説明

液面検出装置及びオイル回収装置

【課題】 圧縮空気の消費量を削減することができるオイル回収装置を提供する。
【解決手段】 エアー回路で構成されるオイル回収装置であって、一次エアーP1をパイロットエアーPAに変換する精密レギュレータ2と、この精密レギュレータ2が吐出するパイロットエアーPAをドレインパン15に貯留されるオイル16の油面16aに放射する検知部4と、油面16aの昇降に伴うパイロットエアーPAの圧力変化により作動する第1低圧空気作動弁5と、この第1低圧空気作動弁5の一次エアーP1に基づく出口エアーP2により作動する第2低圧空気作動弁6と、この第2低圧空気作動弁6の一次エアーP1に基づく出口エアーP3により作動する空気作動弁17と、この空気作動弁17の一次エアーP1に基づく出口エアーP4により作動するエアーポンプ18を備え、油面16aが上昇してオイル16を回収する時だけエアーポンプ18を駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアー回路のみで構成される液面検出装置及びこれを用いたオイル回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械設備などから洩れドレインパンに溜まるオイルは、常時運転されているポンプ若しくは作業者の手動操作で運転されるポンプを備えたオイル回収装置により回収されている。
【0003】
また、液面を検出する装置としては、スイッチの下方にスイッチ用のストライカがついた浮遊板が内蔵された容器と、容器の下部に鉛直方向に接続されたエアー配管に容器下部で水平方向に接続され、エアー元圧を調整する弁を途中に有するエアー配管を備えた液面検出器において、鉛直方向に接続されたエアー配管に絞り部を設け、絞り部と鉛直方向に接続されたエアー配管下端の開口部との中間位置と、エアー元圧を調整する弁を途中に有するエアー配管の調整弁の上流側を配管で接続したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−222550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ポンプを常時運転させる場合には、圧縮空気を常時ポンプに供給しなければならないため、圧縮空気の消費量を増加させてしまう。また、オイルの面を検出して必要な時にポンプを運転させる場合には、防爆仕様の液面検出装置を使用しなければならない。
【0005】
本発明は、従来の技術が有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、微小な液面上昇を的確に検出することができる液面検出装置及びこれを用いて圧縮空気の消費量を削減することができるオイル回収装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく請求項1に係る発明は、エアー回路で構成される液面検出装置であって、一次エアーをパイロットエアーに変換するレギュレータと、このレギュレータが吐出するパイロットエアーを液面に放射する検知部と、液面の昇降に伴う前記パイロットエアーの圧力変化により作動する第1低圧空気作動弁と、この第1低圧空気作動弁の一次エアーに基づく出口エアーにより作動する第2低圧空気作動弁を備え、この第2低圧空気作動弁の一次エアーに基づく出口エアーを用いてアクチュエータを駆動させるものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の液面検出装置において、前記アクチュエータがエアーポンプである。
【0008】
請求項3に係る発明は、エアー回路で構成されるオイル回収装置であって、一次エアーをパイロットエアーに変換するレギュレータと、このレギュレータが吐出するパイロットエアーをドレインパンに貯留されるオイルの油面に放射する検知部と、油面の昇降に伴う前記パイロットエアーの圧力変化により作動する第1低圧空気作動弁と、この第1低圧空気作動弁の一次エアーに基づく出口エアーにより作動する第2低圧空気作動弁と、この第2低圧空気作動弁の一次エアーに基づく出口エアーにより作動する空気作動弁と、この空気作動弁の一次エアーに基づく出口エアーにより作動するエアーポンプを備え、油面が上昇してオイルを回収する時だけ前記エアーポンプを駆動させるものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、第1低圧空気作動弁の出口エアーにより作動して一次エアーに基づく出口エアーを吐出する第2低圧空気作動弁をブースターとして設けたことにより、パイロットエアーの圧力を小さくすることができると共に、アクチュエータを駆動させるのに十分な圧力を供給することができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、第1低圧空気作動弁の出口エアーにより作動して一次エアーに基づく出口エアーを吐出する第2低圧空気作動弁をブースターとして設けたことにより、パイロットエアーの圧力を小さくすることができると共に、エアーポンプを駆動させるのに十分な圧力を供給することができる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、オイルの回収が必要な時だけエアーポンプを駆動させることができるので、常時エアーポンプを駆動させている場合と比べて圧縮空気の消費量を削減することができ、その結果として二酸化炭素の排出量の削減に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、図1は本発明に係る液面検出装置の構成図、図2は本発明に係るオイル回収装置の構成図、である。
【0013】
本発明に係る液面検出装置1は、図1に示すように、一次エアーP1をパイロットエアーPAに変換する精密レギュレータ2と、この精密レギュレータ2が吐出するパイロットエアーPAを液体3の液面3aに低圧エアージェットとして放射するジェットノズル4aを有する検知部4と、液面3aの昇降に伴うパイロットエアーPAの圧力変化により作動する第1低圧空気作動弁5と、この第1低圧空気作動弁5の一次エアーP1に基づく出口エアーP2により作動する第2低圧空気作動弁6を備えてなる。
【0014】
そして、第2低圧空気作動弁6の一次エアーP1に基づく出口エアーP3を用いて制御対象となるアクチュエータ(不図示)を駆動させる。アクチュエータとしては、エアーシリンダ、エアーモータやエアーポンプなどの空圧機器が該当する。
【0015】
精密レギュレータ2の入口2aは一次エアーP1を吐出する空気圧源(不図示)と配管7で接続され、精密レギュレータ2の出口2bは検知部4とエアーチューブ8aで接続されている。検知部4は液体3が溜まる貯留槽12の底面に設置され、ジェットノズル4aと液面3aの間隔が所定範囲内になるようになっている。また、精密レギュレータ2の出口2bは第1低圧空気作動弁5のパイロットエアー入口5cとエアーチューブ8aから分岐したエアーチューブ8bで接続されている。
【0016】
第1低圧空気作動弁5の入口5aは空気圧源と配管7から分岐した配管9で接続され、第1低圧空気作動弁5の出口5bは第2低圧空気作動弁6のパイロットエアー入口6cと配管10で接続されている。第2低圧空気作動弁6の入口6aは空気圧源と配管7から分岐した配管11で接続されている。そして、第2低圧空気作動弁6の出口6bは、アクチュエータを駆動させる空気作動弁(不図示)のパイロットエアー入口などに接続される。
【0017】
以上のように構成された本発明に係る液面検出装置1の動作について説明する。図1に示すように、精密レギュレータ2を調整して、一次エアーP1(例えば、圧力0.57MPa)をパイロットエアーPA(例えば、圧力0.001MPa以下)にする。すると、パイロットエアーPAがジェットノズル4aから噴出し、液面3に衝突する。
【0018】
そして、ドレインパンに溜まる液体3が増加して液面3aが上昇すると、ジェットノズル4aと液面3aの距離が接近し、パイロットエアーPAの圧力が上昇する。パイロットエアーPAの圧力が上昇すると、パイロットエアーPAにより作動する第1低圧空気作動弁5の一次エアーP1に基づく出口エアーP2の圧力が上昇する(例えば、圧力0.002MPa)。
【0019】
更に、第1低圧空気作動弁5の一次エアーP1に基づく出口エアーP2により作動する第2低圧空気作動弁6の出口エアーP3の圧力が上昇する(例えば、圧力0.35MPa)。この第2低圧空気作動弁6の一次エアーP1に基づく出口エアーP3を、制御対象となるアクチュエータを駆動させる空気作動弁のパイロットエアー入口に導いて、空気作動弁を作動させることができる。
【0020】
従って、液面3aが上昇して液面3aとジェットノズル4aとの距離が所定距離以下になると、第2低圧空気作動弁6の出口エアーP3の圧力が上昇し、制御対象となるアクチュエータを駆動させるのに十分なエアー(必要となる圧力と流量)が空気作動弁を介して空気圧源よりアクチュエータに供給されることになる。
【0021】
一方、液面3aが下降して液面3aとジェットノズル4aとの距離が所定距離を超えると、第2低圧空気作動弁6の出口エアーP3の圧力が下がり、制御対象となるアクチュエータを駆動させるのに十分なエアー(圧力と流量)が空気作動弁を介して空気圧源よりアクチュエータに供給されないため、アクチュエータの作動は停止することになる。
【0022】
次に、本発明に係るオイル回収装置は、図2に示すように、一次エアーP1をパイロットエアーPAに変換する精密レギュレータ2と、この精密レギュレータ2が吐出するパイロットエアーPAをドレインパン15に溜まるオイル16の油面16aに低圧エアージェットとして放射するジェットノズル4aを有する検知部4と、油面16aの昇降に伴うパイロットエアーPAの圧力変化により作動する第1低圧空気作動弁5と、この第1低圧空気作動弁5の一次エアーP1に基づく出口エアーP2により作動する第2低圧空気作動弁6と、この第2低圧空気作動弁6の一次エアーP1に基づく出口エアーP3により作動する空気作動弁17と、この空気作動弁17の一次エアーP1に基づく出口エアーP4により駆動するオイル回収用のエアーポンプ18を備えてなる。
【0023】
精密レギュレータ2の入口2aは一次エアーP1を吐出する空気圧源(不図示)と配管7で接続され、精密レギュレータ2の出口2bは検知部4とエアーチューブ8aで接続されている。検知部4はオイル16が貯留されるドレインパン15の底面に設置され、ジェットノズル4aと油面16aの間隔が所定範囲内になるようになっている。また、精密レギュレータ2の出口2bは第1低圧空気作動弁5のパイロットエアー入口5cとエアーチューブ8aから分岐したエアーチューブ8bで接続されている。
【0024】
第1低圧空気作動弁5の入口5aは空気圧源と配管7から分岐した配管9で接続され、第1低圧空気作動弁5の出口5bは第2低圧空気作動弁6のパイロットエアー入口6cと配管10で接続されている。第2低圧空気作動弁6の入口6aは空気圧源と配管7から分岐した配管11で接続されている。そして、第2低圧空気作動弁6の出口6bは空気作動弁17のパイロットエアー入口17cと配管20で接続されている。
【0025】
空気作動弁17の入口17aは空気圧源と配管7から分岐した配管21で接続され、空気作動弁17の出口17bは制御対象となるエアーポンプ18と配管22で接続されている。エアーポンプ18の吸引側配管23は、ドレインパン15の底面に臨んでいる。
【0026】
以上のように構成された本発明に係るオイル回収装置の動作について説明する。図2に示すように、精密レギュレータ2を調整して、一次エアーP1(例えば、圧力0.57MPa)をパイロットエアーPA(例えば、圧力0.001MPa以下)にする。すると、パイロットエアーPAがジェットノズル4aから噴出し、油面16aに衝突する。
【0027】
そして、ドレインパン15に溜まるオイル16が増加して油面16aが上昇すると、ジェットノズル4aと油面16aの距離が接近し、パイロットエアーPAの圧力が上昇する。パイロットエアーPAの圧力が上昇すると、パイロットエアーPAにより作動する第1低圧空気作動弁5の一次エアーP1に基づく出口エアーP2の圧力が上昇する(例えば、圧力0.002MPa)。
【0028】
更に、第1低圧空気作動弁5の出口エアーP2により作動する第2低圧空気作動弁6の一次エアーP1に基づく出口エアーP3の圧力が上昇する(例えば、圧力0.35MPa)。そして、第2低圧空気作動弁6の出口エアーP3により作動する空気作動弁17の一次エアーP1に基づく出口エアーP4の圧力が上昇する(例えば、圧力0.5MPa)。すると、エアーポンプ18は、作動に必要な圧力と流量を満たした空気圧源より供給されるエアーにより運転を開始し、ドレインパン15に溜ったオイル16を回収する。
【0029】
従って、油面16aが上昇して油面16aとジェットノズル4aとの距離が所定距離以下になると、パイロットエアーPAの圧力が上がることにより、第2低圧空気作動弁6の一次エアーP1に基づく出口エアーP3の圧力が上昇し、エアーポンプ18の作動に必要な圧力と流量を満たしたエアーが空気作動弁17を介して空気圧源よりエアーポンプ18に供給されるため、エアーポンプ18の運転が開始されてドレインパン15に溜ったオイル16が回収される。
【0030】
一方、オイル16の回収が進み、油面16aが下降して油面16aとジェットノズル4aとの距離が所定距離を超えると、パイロットエアーPAの圧力が下がることにより、第2低圧空気作動弁6の出口エアーP3の圧力が下がって、エアーポンプ18の作動に必要な圧力と流量を満たしたエアーが空気作動弁17を介して空気圧源よりエアーポンプ18に供給されないため、エアーポンプ18の運転は停止することになる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、第1低圧空気作動弁の出口エアーにより作動して一次エアーに基づく出口エアーを吐出する第2低圧空気作動弁をブースターとして設けたことにより、パイロットエアーの圧力を小さくすると共に、アクチュエータを駆動させるのに十分な圧力を供給する液面検出装置を提供することができる。
【0032】
また、この液面検出装置を用いることにより、オイルの回収が必要な時だけエアーポンプを駆動させることができるので、常時エアーポンプを駆動させている場合と比べて圧縮空気の消費量を削減することができ、その結果として二酸化炭素の排出量の削減に寄与するオイル回収装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る液面検出装置の構成図
【図2】本発明に係るオイル回収装置の構成図
【符号の説明】
【0034】
1…液面検出装置、2…精密レギュレータ、3…液体、3a…液面、4…検知部、5…第1低圧空気作動弁、6…第2低圧空気作動弁、12…貯留槽、15…ドレインパン、16…オイル、16a…油面、17…空気作動弁、18…エアーポンプ、P1…一次エアー、PA…パイロットエアー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアー回路で構成される液面検出装置であって、一次エアーをパイロットエアーに変換するレギュレータと、このレギュレータが吐出するパイロットエアーを液体の液面に放射する検知部と、液面の昇降に伴う前記パイロットエアーの圧力変化により作動する第1低圧空気作動弁と、この第1低圧空気作動弁の一次エアーに基づく出口エアーにより作動する第2低圧空気作動弁を備え、この第2低圧空気作動弁の一次エアーに基づく出口エアーを用いてアクチュエータを駆動させることを特徴とする液面検出装置。
【請求項2】
前記アクチュエータが、エアーポンプである請求項1記載の液面検出装置。
【請求項3】
エアー回路で構成されるオイル回収装置であって、一次エアーをパイロットエアーに変換するレギュレータと、このレギュレータが吐出するパイロットエアーをドレインパンに貯留されるオイルの油面に放射する検知部と、油面の昇降に伴う前記パイロットエアーの圧力変化により作動する第1低圧空気作動弁と、この第1低圧空気作動弁の一次エアーに基づく出口エアーにより作動する第2低圧空気作動弁と、この第2低圧空気作動弁の一次エアーに基づく出口エアーにより作動する空気作動弁と、この空気作動弁の一次エアーに基づく出口エアーにより作動するエアーポンプを備え、油面が上昇してオイルを回収する時だけ前記エアーポンプを駆動させることを特徴とするオイル回収装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−71645(P2010−71645A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235839(P2008−235839)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】