液面検出装置
【課題】インサート成形時に生じる電気コードの捻れによる応力の発生を防ぎ、通電不良の発生を抑える液面検出装置を提供する。
【解決手段】液面の変位に追従作動するフロート2を備えたフロートアーム3と、フロートアーム3の作動に伴って回動するマグネット5と、マグネット5の回動に伴う磁気変化を検出する検出素子6と、検出素子6と電気的に接続する電気接続部材11と、を備えた液面検出装置1において、一端側に検出素子6のリード6bと接続し、他端側に電気接続部材11と接続するリード端子14を設け、電気接続部材11と接続するリード端子14の他端側に凹部14bを設け、電気接続部材11を凹部14bに配設し、凹部14bに溶着によって接続したものである。
【解決手段】液面の変位に追従作動するフロート2を備えたフロートアーム3と、フロートアーム3の作動に伴って回動するマグネット5と、マグネット5の回動に伴う磁気変化を検出する検出素子6と、検出素子6と電気的に接続する電気接続部材11と、を備えた液面検出装置1において、一端側に検出素子6のリード6bと接続し、他端側に電気接続部材11と接続するリード端子14を設け、電気接続部材11と接続するリード端子14の他端側に凹部14bを設け、電気接続部材11を凹部14bに配設し、凹部14bに溶着によって接続したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク内の燃料などの液体の液面を検出する液面検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のタンク内の燃料などの液体の液面を検出するため、磁電変換素子を用いた非接触式の液面検出装置が提案されている。
【0003】
この液面検出装置は、一組のターミナルの所定の箇所に磁電変換素子、電子部品及び一対のステータを固定してターミナルアッシーとし、該ターミナルアッシーをハウジングにインサート成形してターミナルアッシーを合成樹脂製のハウジング内に埋設したものである(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−251780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記液面検出装置は、前記ターミナルが、外部接続部を備えており、外部機器との接続にコネクタを必要としていた。コネクタを備えることによって、コストの上昇を招いていた。そこで、前記ターミナルに直接配線コードを接続することで、コストの上昇を抑えることができる。
【0006】
前記ターミナルに前記配線コードを接続する手段として、溶接によって接続する手段がある。
【0007】
しかしながら、従来の平板状のターミナルと前記配線コードとの接続では、溶接時に容易に溶接位置が定まらず、前記ターミナルに対する前記配線コードの位置精度が出ないという問題点があった。また、接合した前記ターミナルと前記配線コードとを樹脂でインサート成形した場合には、前記配線コードに捻れが生じ、前記ターミナルとの接続箇所に過度な応力による通電不良の発生のおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明は前述した問題点に着目し、インサート成形時に生じる電気コードの捻れによる応力の発生を防ぎ、通電不良の発生を抑える液面検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液面検出装置は、液面の変位に追従作動するフロートを備えたフロートアームと、前記フロートアームの作動に伴って回動するマグネットと、前記マグネットの回動に伴う磁気変化を検出する検出素子と、前記検出素子と電気的に接続する電気接続部材と、を備えた液面検出装置において、一端側に前記検出素子のリードと接続し、他端側に電気接続部材と接続するリード端子を設け、前記電気接続部材と接続する前記リード端子の他端側に凹部を設け、前記電気接続部材を前記凹部に配設し、前記凹部に溶着によって接続したものである。
【0010】
また、前記凹部を一つの底面と二つの側面と突き当て面とから構成し、前記底面と前記2つの側面が前記電気接続部材の側面に当接し、さらに、前記突き当て面が前記電気接続部材の端部と当設し、前記電気接続部材の長手方向の移動を規制するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液面検出装置は、インサート成形時に生じる電気コードの捻れによる応力の発生を防ぎ、通電不良の発生を抑える液面検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態の液面検出装置の断面図。
【図2】図1中A−A線の断面図。
【図3】図2中B−B線の断面図。
【図4】図2中C−C線の断面図。
【図5】同実施形態の要部拡大断面図。
【図6】同実施形態の要部拡大斜視図。
【図7】同実施形態の要部拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を用いて本発明の第1実施形態を説明する。
【0014】
本発明の液面検出装置1は、フロート2と、フロートアーム3と、アームホルダ4と、マグネット5と、検出素子6と、ホルダ部材7と、第1ケース体8と、第2ケース体9と、電気接続部材11と、リード端子14と、フレームカバー12と、電子部品13とを備えたものである。なお、10は、シールドケースである。
【0015】
フロート2は、液体燃料などの液体の液面に浮き、前記液面の変位に追従作動するものであり、本実施形態において、ステンレスなどの腐食しにくい金属から形成されている。なお、フロート2の材質は本実施形態に限定されるものではなく、合成樹脂などで形成してもよい。
【0016】
フロートアーム3は、非磁性体の金属で形成されており、一端でフロート2を保持し、他端でアームホルダ4に取り付けられている。
【0017】
アームホルダ4は、合成樹脂からなり、フロートアーム3とマグネット5を保持している。
【0018】
アームホルダ4は、円筒部4aを備えており、この円筒部4aの内側にマグネット5を備えている。また、アームホルダ4は、アーム保持部4cによってフロートアーム3を保持している。
【0019】
また、アームホルダ4の中央部には、円柱部4bが設けられており、この円柱部4bにホルダ部材7の後述する支軸部を回動可能に支持する凹部からなる軸受け4dを備えており、アームホルダ4は、ホルダ部材7に回動可能に支持されている。
【0020】
また、アームホルダ4の図1中左側には、フレームカバー12が配設され、第2ケース体9に固定されている。このフレームカバー12は、アームホルダ4を抜け止め状態にて保持するとともに、アームホルダ4の円柱部4bを軸支する軸受けの機能を果たしている。
【0021】
マグネット5は、環状で、2極着磁されたものであり、アームホルダ4の成形と同時にインサート成形などの手段によって一体に形成されている。マグネット5は、ホルダ部材7の後述する円柱部の外周に対向するように配置され、検出素子6を囲むように配設されている。マグネット5は、フロートアーム3の作動に伴って回動する。
【0022】
検出素子6は、例えば、ホール素子などの磁電変換素子からなり、マグネット5の回動に伴う磁気の変化を検出し検出信号を出力する。検出素子6は、検出部を樹脂で覆った本体6aと、この本体6aから延びるリード6bとで構成されている。
【0023】
本実施形態の検出素子6は、3本のリード6bを備えている。このリード6bは、折り曲げた部分を境として、本体側6b1と先端側6b2とを分かれており、リード6bの本体側6b1は、検出素子6の本体6aとともにマグネット5の回転軸方向に向いており、リード6bの先端側6b2は、マグネット5の回転軸方向に対して垂直方向に折り曲げられている。そして、複数のリード6bの先端側6b2は、隣り合うリード6bの先端側6b2は、マグネット5の回動軸方向に対して異なる位置となっている。本実施形態では、3本のリード6bのうち、中央のリード6bの先端側6b2と両脇の2本のリード6bの先端側6b2とは、マグネット5の回転軸方向に対して、中央のリード6bの先端側6b2は、両脇の2本のリード6bの先端側6b2よりマグネット5から離れた位置に設けられている。
【0024】
検出素子6は、ホルダ部材7に配設され、検出素子6のリード6bは、電子部品13のリード部13bやリード端子14と電気的に接続されている。検出素子6のリード6bのリード部13bやリード端子14との接続は、溶接によって接続されている。なお、検出素子6は、例えばMR素子などの検出素子を用いてもよい。
【0025】
ホルダ部材7は、合成樹脂、たとえば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のような合成樹脂からなる。ホルダ部材7は、アームホルダ4を回動可能に支持する支軸部7bを備えた円柱部7aを有している。又、ホルダ部材7は、円柱部7aの中心軸に対して垂直方向に延長形成された枠体7cを備えている。
【0026】
ホルダ部材7の円柱部7aには、検出素子6の本体6aを保持する凹部からなる第1保持部7dが設けられている。また、ホルダ部材7の枠体7cには、検出素子6のリード6bに当接し保持する第2保持部7eが設けられている。この第2保持部7eは、検出素子6の各リード部6bの先端側6b2に当接するものである。
【0027】
ホルダ部材7の枠体7cには、他に、電子部品13の本体部13aを保持する第3保持部7f、電子部品13のリード部13bを保持する第4保持部7g、電気接続部材11を保持する第5保持部7h、リード端子14を保持する第6保持部7iを備えている。
【0028】
ホルダ部材7の第3保持部7fは、電子部品13の本体部13aのマグネット5の回転軸方向の移動と傾きを規制するものであり、本実施形態では、カップ形状である。このカップ形状の内部に電子部品13の本体部13aを収納する。なお、第3の保持部7fの形状は、カップ形状に限定されるものではなく、電子部品13の本体部13aのマグネット5の回転軸方向の移動と傾きを規制するものであればよい。
【0029】
ホルダ部材7の第4保持部7gは、電子部品13aの各リード部13bに当接し保持するものである。ホルダ部材7の第5保持部7hは、電気接続部材11に当接するとともに、電気接続部材11を両側から挟む壁部を備えており、電気接続部材11を保持するものである。ホルダ部材7の第6保持部7iは、リード端子14に当接し、保持するものである。
【0030】
電子部品13は、例えば、コンデンサやダイオードなどで、検出素子6の入出力のノイズ低減を図るものである。電子部品13は、検出素子6の3本並んだリード6bの先端側6b2に対して、3本のリード6bの両脇に配設されている。電子部品13は、本体部13aと、この本体部13aから延びるリード部13bとで構成されている。
【0031】
本実施形態の電子部品13は、2本のリード部13bを備えている。このリード部13bは、折り曲げた部分を境として、本体側13b1と先端側13b2とに分かれており、リード部13bの本体側13b1は、電子部品13の本体部13aとともにマグネット5の回転軸方向に向いており、リード部13bの先端側13b2は、マグネット5の回転軸方向に対して垂直方向に折り曲げられており、検出素子6のリード6bの先端側6b2に対して直角に交わる方向に折り曲げられている。そして、電子部品13の複数のリード部13bの各々の先端側13b2は、マグネット5の回動軸方向に対して異なる位置となっている。本実施形態では、2本のリード部13bのうち、一方のリード部13bの先端側13b2と他方のリード部13bの先端側13b2とは、マグネット5の回転軸方向に対して、一方のリード部13bの先端側13b2は、他方のリード部13bの先端側13b2よりマグネット5から離れた位置に設けられている。
【0032】
電子部品13のリード部13bは、検出素子6のリード6bと電気的に接続されている。リード部13bは、リード6bに溶接によって接続されている。
【0033】
第1ケース体8は、低圧で成形可能な合成樹脂、たとえば、ポリエステル系の合成樹脂からなり、検出素子6、ホルダ部材7の一部、電気接続部材11の一部、電子部品13及びリード端子14は、第1ケース体8をインサート成形によって形成したことによって覆われている。ホルダ部材7の円柱部7aの一部と支軸部7bとは、第1ケース体8で覆われずに露出している。
【0034】
第2ケース体9は、合成樹脂、たとえば、PBTやポリアセタール(POM)などの合成樹脂からなり、ホルダ部材7の円柱部7aの一部と支軸部7bとを除いて、第1ケース体8とシールドケース10を覆っている。
【0035】
ホルダ部材7と第2ケース体9とを同一の材料、例えば、PBTで形成したことによって、第2ケース体9を形成するときに、ホルダ部材7と第2ケース体9とが、溶融して、ホルダ部材7と第2ケース体9とが接着する。よって、ホルダ部材7と第2ケース体9との接着部分から第2ケース体9内に、燃料などが浸入することを防止することができる。
【0036】
第1ケース体8と第2ケース体9の熱膨張係数は、近似であり、温度変化による剥離などを防止している。
【0037】
シールドケース10は、検出素子6を外部磁界から遮断するものであり、例えば、鉄ニッケル合金製で、円筒部10aと底部10bとを備えたカップ形状である。円筒部10aの一部には、第1ケース体8をシールドケース10の外へ引き出すための切り欠き部10cを備えている。
【0038】
シールドケース10は、円筒部10aと底部10bで形成される凹部内に、第1ケース体8を収納した状態で、第2ケース体9で覆われるものである。シールドケース10は、第1ケース体8の検出素子6に対応する部位を収納するように形成されている。このシールドケース10によって、液面検出装置1の外部側からの磁気の影響を遮断することができ、高精度の検出出力を得ることができる。
【0039】
シールドケース10を第2ケース体9で覆ったことによって、シールドケース10の変形を防止することができる。このシールドケース10の変形を防止することによって、磁気特性の変化を防止することができる。さらに、シールドケース10の腐食を防止することができる。特に、前記燃料がアルコールを含有する場合に効果的である。
【0040】
電気接続部材11は、本実施形態では、リード線であり、導体11aと、この導体11aを覆う絶縁性を有する合成樹脂などからなる絶縁被膜11bとで構成されている。導体11aは、銅などの導電性の良好な金属からなる細線を複数まとめたものであり、絶縁皮膜11bから露出した部分は、図示しない半田などによって、ばらけないようにまとめられている。なお、電気接続部材11の導体11aは、1本の導体で構成されるものであっても良い。リード線11の導体11aが、リード端子14と電気的に接続されている。
【0041】
リード端子14は、導電性を有する金属からなり、検出素子6のリード6bと電気接続部材11とを電気的に接続するものである。リード端子14の両端に、それぞれ検出素子6のリード6bと電気接続部材11の導体11aが接続する。リード端子14の両端には、それぞれ検出素子6のリード6b用の凹部14aと電気接続部材11の導体11a用の凹部14bが設けられている。
【0042】
この凹部14a、14bは、プレス可能などによって形成されるものであり、凹部14a、14bは、一つの底面14a1、14b1と、二つの側面14a2、14b2と、凹部14a、14bの奥に位置する突き当て面14a3、14b3とからなる4つの面を備えている。リード端子14の凹部14a、14bは、細長い棒状の部材に形成されるため、側面14a2、14b2を形成するために、凹部14a、14bの両側には、壁部14a4、14b4が設けられている。
【0043】
各凹部14a、14bは、底面14a1、14b1と、側面14a2、14b2の3つの面で、検出素子6のリード6bと電気接続部材11の導体11aのそれぞれ側面に当接することで、3点で検出素子6のリード6bと電気接続部材11の導体11aとを支持する。さらに、突き当て面14a3、14b3にて、検出素子6のリード6bと電気接続部材11の導体11aの端部と当設することによって、検出素子6と電気接続部材11の長手方向の移動を規制することができる。この凹部14a、14bに、それぞれ検出素子6のリード6bと、電気接続部材11の導体11aを配設し、この凹部14a、14bに溶接によって固定し、電気的に接続する。
【0044】
リード端子14の凹部14a、14bを設けたことによって、検出素子6のリード6bと電気接続部材11の導体11aとをリード端子14に保持することができ、インサート成形時に生じる検出素子6のリード6bや電気接続部材11の捻れによる応力の発生を防ぎ、通電不良の発生を抑えることができる。
【0045】
また、本実施形態では、3つのリード端子14のうち、両脇のリード端子14は、クランク状に折り曲げられており、マグネット5の回動軸方向に対して異なる位置となっているリード6bの先端側6b2と、同等の位置に整列している3本の電気接続部材11との接続を容易にするものである。なお、両脇のリード端子14にクランク状の折り曲げを施さず平板とし、代わりに、電気接続部材11をマグネット5の回転軸方向に対して異なるように配置しても良い。
【0046】
検出素子6のリード6b、電気接続部材11、電子部品13のリード部13b及びリード端子14との電気的接続は、ホルダ部材7に、検出素子6、電気接続部材11、電子部品13及びリード端子14を配置し、溶接して電気的接続を行うものである。
【0047】
以上のように構成により、インサート成形時に生じる検出素子6のリード6bや電気接続部材11の捻れによる応力の発生を防ぎ、通電不良の発生を抑えることが可能な液面検出装置1を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、タンク内の各種液体の液面を検出する液面検出装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 液面検出装置
2 フロート
3 フロートアーム
5 マグネット
6 検出素子
6b リード
6b1 リード(本体側)
6b2 リード(先端側)
11 電気接続部材
11a 導体
11b 絶縁皮膜
14 リード端子
14a、14b 凹部
14a1、14b1 底面
14a2、14b2 側面
14a3、14b3 突き当て面
14a4、14b4 壁部
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク内の燃料などの液体の液面を検出する液面検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のタンク内の燃料などの液体の液面を検出するため、磁電変換素子を用いた非接触式の液面検出装置が提案されている。
【0003】
この液面検出装置は、一組のターミナルの所定の箇所に磁電変換素子、電子部品及び一対のステータを固定してターミナルアッシーとし、該ターミナルアッシーをハウジングにインサート成形してターミナルアッシーを合成樹脂製のハウジング内に埋設したものである(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−251780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記液面検出装置は、前記ターミナルが、外部接続部を備えており、外部機器との接続にコネクタを必要としていた。コネクタを備えることによって、コストの上昇を招いていた。そこで、前記ターミナルに直接配線コードを接続することで、コストの上昇を抑えることができる。
【0006】
前記ターミナルに前記配線コードを接続する手段として、溶接によって接続する手段がある。
【0007】
しかしながら、従来の平板状のターミナルと前記配線コードとの接続では、溶接時に容易に溶接位置が定まらず、前記ターミナルに対する前記配線コードの位置精度が出ないという問題点があった。また、接合した前記ターミナルと前記配線コードとを樹脂でインサート成形した場合には、前記配線コードに捻れが生じ、前記ターミナルとの接続箇所に過度な応力による通電不良の発生のおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明は前述した問題点に着目し、インサート成形時に生じる電気コードの捻れによる応力の発生を防ぎ、通電不良の発生を抑える液面検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液面検出装置は、液面の変位に追従作動するフロートを備えたフロートアームと、前記フロートアームの作動に伴って回動するマグネットと、前記マグネットの回動に伴う磁気変化を検出する検出素子と、前記検出素子と電気的に接続する電気接続部材と、を備えた液面検出装置において、一端側に前記検出素子のリードと接続し、他端側に電気接続部材と接続するリード端子を設け、前記電気接続部材と接続する前記リード端子の他端側に凹部を設け、前記電気接続部材を前記凹部に配設し、前記凹部に溶着によって接続したものである。
【0010】
また、前記凹部を一つの底面と二つの側面と突き当て面とから構成し、前記底面と前記2つの側面が前記電気接続部材の側面に当接し、さらに、前記突き当て面が前記電気接続部材の端部と当設し、前記電気接続部材の長手方向の移動を規制するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液面検出装置は、インサート成形時に生じる電気コードの捻れによる応力の発生を防ぎ、通電不良の発生を抑える液面検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態の液面検出装置の断面図。
【図2】図1中A−A線の断面図。
【図3】図2中B−B線の断面図。
【図4】図2中C−C線の断面図。
【図5】同実施形態の要部拡大断面図。
【図6】同実施形態の要部拡大斜視図。
【図7】同実施形態の要部拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を用いて本発明の第1実施形態を説明する。
【0014】
本発明の液面検出装置1は、フロート2と、フロートアーム3と、アームホルダ4と、マグネット5と、検出素子6と、ホルダ部材7と、第1ケース体8と、第2ケース体9と、電気接続部材11と、リード端子14と、フレームカバー12と、電子部品13とを備えたものである。なお、10は、シールドケースである。
【0015】
フロート2は、液体燃料などの液体の液面に浮き、前記液面の変位に追従作動するものであり、本実施形態において、ステンレスなどの腐食しにくい金属から形成されている。なお、フロート2の材質は本実施形態に限定されるものではなく、合成樹脂などで形成してもよい。
【0016】
フロートアーム3は、非磁性体の金属で形成されており、一端でフロート2を保持し、他端でアームホルダ4に取り付けられている。
【0017】
アームホルダ4は、合成樹脂からなり、フロートアーム3とマグネット5を保持している。
【0018】
アームホルダ4は、円筒部4aを備えており、この円筒部4aの内側にマグネット5を備えている。また、アームホルダ4は、アーム保持部4cによってフロートアーム3を保持している。
【0019】
また、アームホルダ4の中央部には、円柱部4bが設けられており、この円柱部4bにホルダ部材7の後述する支軸部を回動可能に支持する凹部からなる軸受け4dを備えており、アームホルダ4は、ホルダ部材7に回動可能に支持されている。
【0020】
また、アームホルダ4の図1中左側には、フレームカバー12が配設され、第2ケース体9に固定されている。このフレームカバー12は、アームホルダ4を抜け止め状態にて保持するとともに、アームホルダ4の円柱部4bを軸支する軸受けの機能を果たしている。
【0021】
マグネット5は、環状で、2極着磁されたものであり、アームホルダ4の成形と同時にインサート成形などの手段によって一体に形成されている。マグネット5は、ホルダ部材7の後述する円柱部の外周に対向するように配置され、検出素子6を囲むように配設されている。マグネット5は、フロートアーム3の作動に伴って回動する。
【0022】
検出素子6は、例えば、ホール素子などの磁電変換素子からなり、マグネット5の回動に伴う磁気の変化を検出し検出信号を出力する。検出素子6は、検出部を樹脂で覆った本体6aと、この本体6aから延びるリード6bとで構成されている。
【0023】
本実施形態の検出素子6は、3本のリード6bを備えている。このリード6bは、折り曲げた部分を境として、本体側6b1と先端側6b2とを分かれており、リード6bの本体側6b1は、検出素子6の本体6aとともにマグネット5の回転軸方向に向いており、リード6bの先端側6b2は、マグネット5の回転軸方向に対して垂直方向に折り曲げられている。そして、複数のリード6bの先端側6b2は、隣り合うリード6bの先端側6b2は、マグネット5の回動軸方向に対して異なる位置となっている。本実施形態では、3本のリード6bのうち、中央のリード6bの先端側6b2と両脇の2本のリード6bの先端側6b2とは、マグネット5の回転軸方向に対して、中央のリード6bの先端側6b2は、両脇の2本のリード6bの先端側6b2よりマグネット5から離れた位置に設けられている。
【0024】
検出素子6は、ホルダ部材7に配設され、検出素子6のリード6bは、電子部品13のリード部13bやリード端子14と電気的に接続されている。検出素子6のリード6bのリード部13bやリード端子14との接続は、溶接によって接続されている。なお、検出素子6は、例えばMR素子などの検出素子を用いてもよい。
【0025】
ホルダ部材7は、合成樹脂、たとえば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のような合成樹脂からなる。ホルダ部材7は、アームホルダ4を回動可能に支持する支軸部7bを備えた円柱部7aを有している。又、ホルダ部材7は、円柱部7aの中心軸に対して垂直方向に延長形成された枠体7cを備えている。
【0026】
ホルダ部材7の円柱部7aには、検出素子6の本体6aを保持する凹部からなる第1保持部7dが設けられている。また、ホルダ部材7の枠体7cには、検出素子6のリード6bに当接し保持する第2保持部7eが設けられている。この第2保持部7eは、検出素子6の各リード部6bの先端側6b2に当接するものである。
【0027】
ホルダ部材7の枠体7cには、他に、電子部品13の本体部13aを保持する第3保持部7f、電子部品13のリード部13bを保持する第4保持部7g、電気接続部材11を保持する第5保持部7h、リード端子14を保持する第6保持部7iを備えている。
【0028】
ホルダ部材7の第3保持部7fは、電子部品13の本体部13aのマグネット5の回転軸方向の移動と傾きを規制するものであり、本実施形態では、カップ形状である。このカップ形状の内部に電子部品13の本体部13aを収納する。なお、第3の保持部7fの形状は、カップ形状に限定されるものではなく、電子部品13の本体部13aのマグネット5の回転軸方向の移動と傾きを規制するものであればよい。
【0029】
ホルダ部材7の第4保持部7gは、電子部品13aの各リード部13bに当接し保持するものである。ホルダ部材7の第5保持部7hは、電気接続部材11に当接するとともに、電気接続部材11を両側から挟む壁部を備えており、電気接続部材11を保持するものである。ホルダ部材7の第6保持部7iは、リード端子14に当接し、保持するものである。
【0030】
電子部品13は、例えば、コンデンサやダイオードなどで、検出素子6の入出力のノイズ低減を図るものである。電子部品13は、検出素子6の3本並んだリード6bの先端側6b2に対して、3本のリード6bの両脇に配設されている。電子部品13は、本体部13aと、この本体部13aから延びるリード部13bとで構成されている。
【0031】
本実施形態の電子部品13は、2本のリード部13bを備えている。このリード部13bは、折り曲げた部分を境として、本体側13b1と先端側13b2とに分かれており、リード部13bの本体側13b1は、電子部品13の本体部13aとともにマグネット5の回転軸方向に向いており、リード部13bの先端側13b2は、マグネット5の回転軸方向に対して垂直方向に折り曲げられており、検出素子6のリード6bの先端側6b2に対して直角に交わる方向に折り曲げられている。そして、電子部品13の複数のリード部13bの各々の先端側13b2は、マグネット5の回動軸方向に対して異なる位置となっている。本実施形態では、2本のリード部13bのうち、一方のリード部13bの先端側13b2と他方のリード部13bの先端側13b2とは、マグネット5の回転軸方向に対して、一方のリード部13bの先端側13b2は、他方のリード部13bの先端側13b2よりマグネット5から離れた位置に設けられている。
【0032】
電子部品13のリード部13bは、検出素子6のリード6bと電気的に接続されている。リード部13bは、リード6bに溶接によって接続されている。
【0033】
第1ケース体8は、低圧で成形可能な合成樹脂、たとえば、ポリエステル系の合成樹脂からなり、検出素子6、ホルダ部材7の一部、電気接続部材11の一部、電子部品13及びリード端子14は、第1ケース体8をインサート成形によって形成したことによって覆われている。ホルダ部材7の円柱部7aの一部と支軸部7bとは、第1ケース体8で覆われずに露出している。
【0034】
第2ケース体9は、合成樹脂、たとえば、PBTやポリアセタール(POM)などの合成樹脂からなり、ホルダ部材7の円柱部7aの一部と支軸部7bとを除いて、第1ケース体8とシールドケース10を覆っている。
【0035】
ホルダ部材7と第2ケース体9とを同一の材料、例えば、PBTで形成したことによって、第2ケース体9を形成するときに、ホルダ部材7と第2ケース体9とが、溶融して、ホルダ部材7と第2ケース体9とが接着する。よって、ホルダ部材7と第2ケース体9との接着部分から第2ケース体9内に、燃料などが浸入することを防止することができる。
【0036】
第1ケース体8と第2ケース体9の熱膨張係数は、近似であり、温度変化による剥離などを防止している。
【0037】
シールドケース10は、検出素子6を外部磁界から遮断するものであり、例えば、鉄ニッケル合金製で、円筒部10aと底部10bとを備えたカップ形状である。円筒部10aの一部には、第1ケース体8をシールドケース10の外へ引き出すための切り欠き部10cを備えている。
【0038】
シールドケース10は、円筒部10aと底部10bで形成される凹部内に、第1ケース体8を収納した状態で、第2ケース体9で覆われるものである。シールドケース10は、第1ケース体8の検出素子6に対応する部位を収納するように形成されている。このシールドケース10によって、液面検出装置1の外部側からの磁気の影響を遮断することができ、高精度の検出出力を得ることができる。
【0039】
シールドケース10を第2ケース体9で覆ったことによって、シールドケース10の変形を防止することができる。このシールドケース10の変形を防止することによって、磁気特性の変化を防止することができる。さらに、シールドケース10の腐食を防止することができる。特に、前記燃料がアルコールを含有する場合に効果的である。
【0040】
電気接続部材11は、本実施形態では、リード線であり、導体11aと、この導体11aを覆う絶縁性を有する合成樹脂などからなる絶縁被膜11bとで構成されている。導体11aは、銅などの導電性の良好な金属からなる細線を複数まとめたものであり、絶縁皮膜11bから露出した部分は、図示しない半田などによって、ばらけないようにまとめられている。なお、電気接続部材11の導体11aは、1本の導体で構成されるものであっても良い。リード線11の導体11aが、リード端子14と電気的に接続されている。
【0041】
リード端子14は、導電性を有する金属からなり、検出素子6のリード6bと電気接続部材11とを電気的に接続するものである。リード端子14の両端に、それぞれ検出素子6のリード6bと電気接続部材11の導体11aが接続する。リード端子14の両端には、それぞれ検出素子6のリード6b用の凹部14aと電気接続部材11の導体11a用の凹部14bが設けられている。
【0042】
この凹部14a、14bは、プレス可能などによって形成されるものであり、凹部14a、14bは、一つの底面14a1、14b1と、二つの側面14a2、14b2と、凹部14a、14bの奥に位置する突き当て面14a3、14b3とからなる4つの面を備えている。リード端子14の凹部14a、14bは、細長い棒状の部材に形成されるため、側面14a2、14b2を形成するために、凹部14a、14bの両側には、壁部14a4、14b4が設けられている。
【0043】
各凹部14a、14bは、底面14a1、14b1と、側面14a2、14b2の3つの面で、検出素子6のリード6bと電気接続部材11の導体11aのそれぞれ側面に当接することで、3点で検出素子6のリード6bと電気接続部材11の導体11aとを支持する。さらに、突き当て面14a3、14b3にて、検出素子6のリード6bと電気接続部材11の導体11aの端部と当設することによって、検出素子6と電気接続部材11の長手方向の移動を規制することができる。この凹部14a、14bに、それぞれ検出素子6のリード6bと、電気接続部材11の導体11aを配設し、この凹部14a、14bに溶接によって固定し、電気的に接続する。
【0044】
リード端子14の凹部14a、14bを設けたことによって、検出素子6のリード6bと電気接続部材11の導体11aとをリード端子14に保持することができ、インサート成形時に生じる検出素子6のリード6bや電気接続部材11の捻れによる応力の発生を防ぎ、通電不良の発生を抑えることができる。
【0045】
また、本実施形態では、3つのリード端子14のうち、両脇のリード端子14は、クランク状に折り曲げられており、マグネット5の回動軸方向に対して異なる位置となっているリード6bの先端側6b2と、同等の位置に整列している3本の電気接続部材11との接続を容易にするものである。なお、両脇のリード端子14にクランク状の折り曲げを施さず平板とし、代わりに、電気接続部材11をマグネット5の回転軸方向に対して異なるように配置しても良い。
【0046】
検出素子6のリード6b、電気接続部材11、電子部品13のリード部13b及びリード端子14との電気的接続は、ホルダ部材7に、検出素子6、電気接続部材11、電子部品13及びリード端子14を配置し、溶接して電気的接続を行うものである。
【0047】
以上のように構成により、インサート成形時に生じる検出素子6のリード6bや電気接続部材11の捻れによる応力の発生を防ぎ、通電不良の発生を抑えることが可能な液面検出装置1を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、タンク内の各種液体の液面を検出する液面検出装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 液面検出装置
2 フロート
3 フロートアーム
5 マグネット
6 検出素子
6b リード
6b1 リード(本体側)
6b2 リード(先端側)
11 電気接続部材
11a 導体
11b 絶縁皮膜
14 リード端子
14a、14b 凹部
14a1、14b1 底面
14a2、14b2 側面
14a3、14b3 突き当て面
14a4、14b4 壁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液面の変位に追従作動するフロートを備えたフロートアームと、前記フロートアームの作動に伴って回動するマグネットと、前記マグネットの回動に伴う磁気変化を検出する検出素子と、前記検出素子と電気的に接続する電気接続部材と、を備えた液面検出装置において、一端側に前記検出素子のリードと接続し、他端側に電気接続部材と接続するリード端子を設け、前記電気接続部材と接続する前記リード端子の他端側に凹部を設け、前記電気接続部材を前記凹部に配設し、前記凹部に溶着によって接続したことを特徴とする液面検出装置。
【請求項2】
前記凹部を一つの底面と二つの側面と突き当て面とから構成し、前記底面と前記2つの側面が前記電気接続部材の側面に当接し、さらに、前記突き当て面が前記電気接続部材の端部と当設し、前記電気接続部材の長手方向の移動を規制することを特徴とする請求項1に記載の液面検出装置。
【請求項1】
液面の変位に追従作動するフロートを備えたフロートアームと、前記フロートアームの作動に伴って回動するマグネットと、前記マグネットの回動に伴う磁気変化を検出する検出素子と、前記検出素子と電気的に接続する電気接続部材と、を備えた液面検出装置において、一端側に前記検出素子のリードと接続し、他端側に電気接続部材と接続するリード端子を設け、前記電気接続部材と接続する前記リード端子の他端側に凹部を設け、前記電気接続部材を前記凹部に配設し、前記凹部に溶着によって接続したことを特徴とする液面検出装置。
【請求項2】
前記凹部を一つの底面と二つの側面と突き当て面とから構成し、前記底面と前記2つの側面が前記電気接続部材の側面に当接し、さらに、前記突き当て面が前記電気接続部材の端部と当設し、前記電気接続部材の長手方向の移動を規制することを特徴とする請求項1に記載の液面検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−233747(P2012−233747A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101302(P2011−101302)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]