説明

混合不活性成分冷媒を使用する冷媒サイクル

【課題】非反応性の冷媒を用い、従来よりも低い温度を達成できる冷却システムを提供する。
【解決手段】クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含んでおらず、かつAr、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも3つの別個の成分を含んでいる混合成分冷媒を有する少なくとも1つの冷媒サイクルを備えており、混合成分冷媒が、少なくとも12Kまで冷却する冷凍システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に、冷媒サイクルおよび冷媒サイクルにおいて使用される冷媒に関する。
【背景技術】
【0002】
低温および極低温冷凍は、一般的に、深冷分離のための流体流れの冷却、気体の液化、バイオロジカル・フリーザの冷却、化学プロセスの反応速度の制御、材料特性分析装置の冷却、真空プロセスにおける低圧蒸気圧を生成するための水蒸気の捕集、半導体ウエハ処理などの製造プロセスにおける冷却対象物の冷却、撮像装置、素粒子検出器および光検出器の冷却、化学分析装置の冷却、ならびに超電導ケーブルおよび超電導装置の冷却、のために使用される。従来のシステムは、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロカーボン、およびヒドロカーボン冷媒を使用している。しかし、これらの冷媒にはいくつかの欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の冷媒は反応性であり、腐食性のラジカル(基、radical )に分解するおそれがある。クロロフルオロカーボンおよびフルオロカーボンといった従来の冷媒は、腐食性の塩素ラジカルおよびフッ素ラジカルに分解する。ヒドロカーボンなどの冷媒は、プロセス条件下で発火源が存在すると可燃性になる。プロセスの損傷を受けやすい部分にこれらの冷媒が漏れると、多大で高額の損害を引き起こすおそれがある。例えば、半導体プロセスにおいて、従来からのクロロフルオロカーボンおよびフルオロカーボン冷媒が微量にせよ存在すると、フリーラジカル(遊離基)の増加につながるおそれがあり、半導体回路および関連機器の製造に悪影響を及ぼすおそれがある。従来の冷媒が大規模に漏洩すると、火災および他の問題を引き起こすおそれがある。
【0004】
従来の冷媒は、規制される傾向にある。したがって、従来の冷媒を用いるシステムの修理は、有資格の技術者を必要とする。影響を受けやすい製造プロセスにおいて使用される冷凍システムの修理では、有資格の技術者が設備を取り扱えるようにシステムを停止(shut down )させねばならず、高コストを招く。例えば、従来の冷媒を用い、従来の冷凍システムを使用するクリーンルーム環境では、冷凍システムの修理が製造の遅れを引き起こして高コストを招き、不利となる。
【0005】
別の欠点は、従来の冷媒を使用して達成できる温度の限界にある。真空環境において実行される物理的気相成長法、半導体製造プロセスにおける熱の除去、生物学的組織の冷却および保存、撮像装置および化学分析装置からの熱の除去、超電導ケーブルおよび超電導装置の冷却、ならびに化学プロセスおよび製薬プロセスなど、種々のプロセスは、従来の冷媒によって達成できる温度よりも低い温度を使用できれば、有益である。
【0006】
したがって、改良された低温および極低温冷凍プロセスが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特定の一実施形態において、冷却システムが開示される。この冷却システムは、第1の非振動(non-oscillating)冷媒サイクルおよび第2の非振動冷媒サイクルを備えている。第1の非振動冷媒サイクルは第1冷媒を有し、第2の非振動冷媒サイクルは、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、およびヒドロカーボンを含まず、かつ極低温ガス成分の混合物を含む、第2冷媒を有する。
【0008】
別の実施形態においては、第1の非振動冷媒サイクルおよび第2の非振動冷媒サイクルを備えている冷却システムが開示される。第1の非振動冷媒サイクルは第1冷媒を有する。第2の非振動冷媒サイクルは、極低温ガス成分を含む第2冷媒を有する。第2冷媒は、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含まない。第2冷媒の少なくとも一部が、第2冷媒サイクルにおいて凝縮される。
【0009】
さらに別の実施形態においては、冷却を実現する方法が開示される。この方法は、第1冷媒サイクルにおいて第1冷媒を凝縮するステップ、第1冷媒を減圧して(すなわち、圧力を低下させて)、第2冷媒サイクルの第2冷媒を冷却するステップ、および冷却対象物を冷却するステップを含む。第2冷媒は、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含まず、少なくとも2つの別個の極低温ガスの混合物を含む。
【0010】
別の実施形態においては、少なくとも1つの冷媒サイクルを有する冷媒システムが開示される。この冷媒サイクルは、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含まず、かつAr、Kr、Ne、Xe、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも2つの別個の成分を含む混合成分冷媒を有する。
【0011】
さらに別の実施形態においては、少なくとも1つの冷媒サイクルを有する冷凍システムが開示される。この冷媒サイクルは、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含まず、かつN、Kr、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも2つの別個の成分を含む混合成分冷媒を有する。
【0012】
別の実施形態においては、少なくとも1つの冷媒サイクルを有する冷凍システムが開示される。この冷媒サイクルは、第1成分と第2成分とを含む混合成分冷媒を有する。この混合成分冷媒は、第1成分を40%〜95%含む。第1成分は、Ar、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される。第2成分は、Ar、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される。
【0013】
さらに、少なくとも1つの冷媒サイクルを有する冷媒システムの典型的な実施形態を開示する。この冷媒サイクルは、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含まず、かつAr、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも3つの別個の成分を含む混合成分冷媒を有する。
【0014】
別の実施形態においては、冷凍システムを稼動する方法が開示される。この方法は、極低温ガスを冷媒サイクルに注入して、この冷媒サイクルの冷媒がクロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含まず、かつAr、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも3つの別個の成分を含む混合成分冷媒となるようにするステップを含む。
【0015】
さらに別の実施形態においては、冷凍システムを稼動する方法が開示される。この方法は、極低温ガスを冷媒サイクルに注入して、この冷媒サイクルの冷媒が第1成分および第2成分を含む混合成分冷媒となるようにするステップを含む。この混合成分冷媒は、第1成分を40%〜95%含む。第1成分は、Ar、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される。第2成分は、Ar、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される。
【0016】
さらに別の実施形態においては、Kr、Xe、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも1つの成分と、Ar、N、Ne、およびHeからなるグループのうちから選択される少なくとも1つの成分とを含む混合成分冷媒を有する少なくとも1つの冷媒サイクルを有する冷凍システムが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】カスケード冷凍システムの典型的な実施形態の図を含む。
【図2】自動カスケード冷媒サイクルの典型的な実施形態の図を含む。
【図3】冷凍システムの典型的な実施形態の図を含む。
【図4】冷凍システムの典型的な実施形態の図を含む。
【図5】冷凍システムの典型的な実施形態の図を含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の開示は、添付の図面を参照することにより、詳細に理解され、当業者には、その多くの目的、特徴、および利点が明らかになるであろう。
【0019】
特定の一実施形態においては、環境に優しい冷媒として特徴付けることができるAr、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOのうちの1つ以上を含む混合成分冷媒を使用する少なくとも1つの冷媒サイクルを有する冷凍および冷却システムが開示される。一例においては、冷凍システムは、絞り弁方式(throttle type)の冷凍システムである。さらに、非反応性化学種を含む混合成分冷媒、および、非反応性化学種を含む混合成分冷媒を使用する、冷却対象物またはプロセスの冷却方法が開示される。混合成分冷媒は、非反応性の2つ以上の成分の混合物を含むことができる。非反応性化学種としては、例えば不活性ガスを挙げることができる。典型的な一例においては、不活性ガスが、Ar、Kr、Ne、Xe、およびHeなどの希ガスから選択された化学種を含むことができる。別の実施形態においては、非反応性成分として、2原子の窒素(N)を挙げることができる。別の典型的な実施形態においては、非反応性成分として、NOまたはCOを挙げることができる。混合成分冷媒はOを含んでもよい。非反応性成分を含む混合成分冷媒は、典型的には、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含まない。
【0020】
本明細書において使用されるとき、用語「クロロフルオロカーボン」は、同様の化学構造の化合物の中でも特に、ジクロロフルオロメタン(CCl)を含む。例えば、クロロフルオロカーボンは、塩素、フッ素、および炭素原子で構成された分子であって、Cl‐C結合およびF‐C結合を有しており、その化学種の炭素原子の数に応じてC‐C結合を有する。本明細書において使用されるとき、用語「フルオロカーボン」は、同様の化学構造の化合物の中でも特に、テトラフルオロメタン(CF)、パーフルオロエタン(C)、パーフルオロプロパン(C)、パーフルオロブタン(C10)、パーフルオロペンタン(C12)、パーフルオロエテン(C)、パーフルオロプロペン(C)、パーフルオロブテン(C)、パーフルオロペンテン(C10)、ヘキサフルオロシクロプロパン(cyclo‐C)、およびオクタフルオロシクロブタン(cyclo‐C)を含む。フルオロカーボンは、フッ素および炭素原子で構成された分子を含み、F‐C結合を有し、その種の炭素原子の数に応じたC‐C結合を有する。
【0021】
本明細書において使用されるとき、用語「ヒドロフルオロカーボン」は、同様の化学構造の化合物の中でも特に、フルオロホルム(CHF)、ペンタフルオロエタン(CHF)、テトラフルオロエタン(C)、ヘプタフルオロプロパン(CHF)、ヘキサフルオロプロパン(C)、ペンタフルオロプロパン(C)、テトラフルオロプロパン(C)、ノナフルオロブタン(CHF)、オクタフルオロブタン(C)、ウンデカフルオロペンタン(CHF11)、フッ化メチル(CHF)、ジフルオロメタン(CH)、フッ化エチル(CF)、ジフルオロエタン(C)、トリフルオロエタン(C)、ジフルオロエテン(C)、トリフルオロエテン(CHF)、フルオロエテン(CF)、ペンタフルオロプロペン(CHF)、テトラフルオロプロペン(C)、トリフルオロプロペン(C)、ジフルオロプロペン(C)、ヘプタフルオロブテン(CHF)、ヘキサフルオロブテン(C)、およびノナフルオロペンテン(CHF)を含む。ヒドロフルオロカーボンは、H、F、およびC原子を含む分子であり、H‐CおよびF‐C結合を有し、その種の炭素原子の数に応じたC‐C結合を有する。
【0022】
本明細書において使用されるとき、用語「ヒドロクロロフルオロカーボン」は、同様の化学構造の化合物の中でも特に、クロロジフルオロメタン(CHClF)、クロロフルオロメタン(CHClF)、クロロメタン(CHCl)、ジクロロフルオロメタン(CHClF)、クロロテトラフルオロエタン(CHClF)、クロロトリフルオロエタン(CClF)、クロロジフルオロエタン(CClF)、クロロフルオロエタン(CClF)、クロロエタン(CCl)、ジクロロトリフルオロエタン(CHCl)、ジクロロジフルオロエタン(CCl)、ジクロロフルオロエタン(CClF)、ジクロロエタン(CCl)、トリクロロフルオロエタン(CClF)、トリクロロジフルオロエタン(CHCl)、トリクロロエタン(CCl)、テトラクロロフルオロエタン(CHClF)、クロロエテン(CCl)、ジクロロエテン(CCl)、ジクロロフルオロエテン(CClF)、およびジクロロジフルオロエテン(CHClF)を含む。ヒドロクロロフルオロカーボンは、H、Cl、F、およびC原子を含む分子であり、H‐C、Cl‐C、およびF‐C結合を有し、その種の炭素原子の数に応じたC‐C結合を有する。
【0023】
本明細書において使用されるとき、用語「フルオロエーテル」は、同様の化学構造の化合物の中でも特に、トリフルオロメトキシ‐パーフルオロメタン(CF‐O‐CF)、ジフルオロメトキシ‐パーフルオロメタン(CHF‐O‐CF)、フルオロメトキシ‐パーフルオロメタン(CHF‐O‐CF)、ジフルオロメトキシ‐ジフルオロメタン(CHF‐O‐CHF)、ジフルオロメトキシ‐パーフルオロエタン(CHF‐O‐C)、ジフルオロメトキシ‐1,2,2,2‐テトラフルオロエタン(CHF‐O‐CHF)、ジフルオロメトキシ‐1,1,2,2‐テトラフルオロエタン(CHF‐O‐CHF)、パーフルオロエトキシ‐フルオロメタン(C‐O‐CHF)、パーフルオロメトキシ‐1,1,2‐トリフルオロエタン(CF‐O‐C)、パーフルオロメトキシ‐1,2,2‐トリフルオロエタン(CF‐O‐C)、シクロ‐1,1,2,2‐テトラフルオロプロピルエーテル(cyclo‐C‐O‐)、シクロ‐1,1,3,3‐テトラフルオロプロピルエーテル(cyclo‐C‐O‐)、パーフルオロメトキシ‐1,1,2,2‐テトラフルオロエタン(CF‐O‐CHF)、シクロ‐1,1,2,3,3‐ペンタフルオロプロピルエーテル(cyclo‐C‐O‐)、パーフルオロメトキシ‐パーフルオロアセトン(CF‐O‐CF‐O‐CF)、パーフルオロメトキシ‐パーフルオロエタン(CF‐O‐C)、パーフルオロメトキシ‐1,2,2,2‐テトラフルオロエタン(CF‐O‐CHF)、パーフルオロメトキシ‐2,2,2‐トリフルオロエタン(CF‐O‐C)、シクロ‐パーフルオロメトキシ‐パーフルオロアセトン(cyclo‐CF‐O‐CF‐O‐CF‐)およびシクロ‐パーフルオロプロピルエーテル(cyclo‐C‐O)、メトキシ‐パーフルオロプロパン(CH‐O‐CFCFCF)を含む。典型的なフルオロエーテルとしては、さらに、化学式C2a+d−b(ここで、a=2または3、3≦b≦8、c=1または2、d=0または2)の環状または非環状のヒドロフルオロエーテルを挙げることができる。フルオロエーテルは、F、O、およびC原子を含む分子であり、H原子を含んでもよい。フルオロエーテルは、少なくとも2つのO‐C結合を有し、F‐C結合を有し、場合によっては(optionally)H‐C結合を有し、その種の炭素原子の数に応じたC‐C結合を有する。
【0024】
本明細書において使用されるとき、用語「ヒドロカーボン」は、同様の化学構造の化合物の中でも特に、水素(H)、メタン(CH)、エタン(C)、エテン(C)、プロパン(C)、プロペン(C)、ブタン(C10)、ブテン(C)、シクロプロパン(C)、およびシクロブタン(C)を含む。ヒドロカーボンは、HおよびC原子を含む分子であり、H‐C結合を有し、その種の炭素原子の数に応じたC‐C結合を有している。
【0025】
本明細書において使用されるとき、用語「希ガス」は、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、およびキセノン(Xe)のうちの1つを意味する。本明細書において使用されるとき、用語「不活性ガス」は、窒素(N)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ネオン(Ne)、およびヘリウム(He)のうちの1つを意味する。用語「低反応性ガス」は、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、窒素(N)、二酸化炭素(CO)、およびNOを含む。用語「極低温ガス」は、本明細書においては、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、窒素(N)、NO、二酸化炭素(CO)、および酸素(O)からなるグループを意味する。極低温ガスは、一般には、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、ヒドロカーボン、および同様の炭素ベースの化合物を含まない。用途によっては、安全上および互換性の問題から、Oを15モル%以下、10モル%以下、5モル%以下などのように、20モル%を超えない量で使用することができ、またはOが混合冷媒に基本的に存在していなくてもよい。高濃度の酸素が高圧で存在すると、混合物が可燃性または引火性になるおそれがある。場合によっては、酸素が金属と激しく反応する。他の用途においては、安全上および互換性の問題から、NOおよびOなどといった酸素を含む分子を使用しなくてもよい。しかし、他の用途においては、酸素が所望の熱性能を実現できる。したがって、酸素の使用は、標準的な技術実施業務において安全性を確保を維持しなければならないことを理解されるべきである。
【0026】
典型的な実施形態においては、極低温ガスを混合して、混合成分冷媒を生成できる。特定の例では、成分となる極低温ガスを、標準沸点の差にもとづいて選択することができる。例えば、極低温ガス成分を、標準沸点が近いことを理由に選択することができる。あるいは、成分を、最も高沸点の成分と最も低沸点の成分との間の標準沸点の差が、少なくとも約15℃であるように選択することができる。例えば、標準沸点の差は、少なくとも約30℃、少なくとも約50℃などのように、少なくとも約20℃あってよい。
【0027】
混合成分冷媒は、冷凍システムにおいて使用することができる。上述の混合成分冷媒の実施形態は、283K(10℃)以下の温度での冷凍を実現する低温冷凍システムにおいて、特に有用である。例えば、上述の混合成分冷媒の実施形態は、100K〜223K(−173℃〜−50℃)の冷凍温度など、223K(−50℃)以下の温度での冷凍を実現する超低温の冷凍システムにおいて、有用である。別の例では、上述の混合成分冷媒の実施形態は、4K〜90K(−265℃〜−183℃)の冷凍温度など、90K(−183℃)以下の温度での冷凍を実現する極低温の冷凍システムにおいて、有用である。本明細書の開示の目的に関して、用語「低温」は、283K以下の温度を意味するのに使用され、用語「超低温」は、90K〜223Kの温度を意味するのに使用され、用語「極低温」は、4K〜90Kの温度を意味するのに使用される。明瞭化のため、用語「極低温成分」または「極低温ガス」は、「極低温」だけに限定して使用されることを意味しない。これらの用語は独立である。本出願の主たる利益は、超低温および極低温の冷却用途を意図している。しかし、本出願の利益は、低温の用途においても利益をもたらし、おそらくはより高い温度の用途においても利益をもたらすと予測され、この理由で本出願に含まれる。
【0028】
冷媒システムを作動して、低温または超低温での冷凍を実行できる。典型的な実施形態においては、圧縮機に連通する吸込管が、5〜115psia(pound per square inch absolute。絶対psi )の圧力で動作し、圧縮機に連通する吐出管が、115〜500psiaの圧力で動作できる。別の実施形態においては、圧縮機に連通する吸込管が、115〜700psiaの圧力で動作し、圧縮機に連通する吐出管が、500〜5000psiaの圧力で動作できる。ここで、115psia以下の吸込管を有する冷媒サイクルが、低圧冷媒サイクルと称され、115psia超の吸込管を有する冷媒サイクルが、高圧冷媒サイクルと称される。典型的な実施形態は、65psia以下など、90psia以下の吸込み圧力を有する。別の典型的な実施形態は、少なくとも約300psiaなど、少なくとも約200psiaの吸込み圧力を有することができる。マルチサイクルの冷凍システムは、低圧サイクルおよび高圧サイクルを含むことができる。
【0029】
特定の実施形態においては、混合成分冷媒が、アルゴン(Ar)、2原子の窒素(N)、クリプトン(Kr)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)、ヘリウム(He)、酸素(O)、二酸化炭素(CO)、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも3つの別個の成分を含むことができる。冷媒は、例えば、前記少なくとも3つの別個の成分のそれぞれを、5モル%よりも多く含むことができる。例えば、混合成分冷媒が、第1成分を約5モル%〜90モル%含むことができる。別の例では、冷媒が、第1成分を約10モル%〜80モル%含むことができ、または第1成分を約30モル%〜60モル%含むことができる。混合成分冷媒は、典型的には、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、およびヒドロカーボンを含まず、フルオロエーテルを含まないこともある。
【0030】
典型的な一実施形態においては、混合成分冷媒が、O、Ar、N、Ne、およびHeからなるグループのうちから選択される成分と、Kr、Xe、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される1つ以上の成分とを含むことができる。典型的に、二酸化炭素は単独では、1気圧かつ低温において固体または液体であり、一般に低圧における冷媒として適切でない。しかし、キセノンとの混合によって、凝固点の降下がもたらされ、COを通常予測されるよりも低い圧力で冷媒として使用することが可能になる。凝固点の降下は、典型的には、本出願において開示される上記極低温冷媒のいくつかの組み合わせにおいて生じる。例えば、CO、Ar、Kr、Xe、N、Oからなるグループのうちから選択された2つ以上の成分のいくつかの組み合わせが、凝固点の低下を示す。特に、混合成分冷媒は、COとAr、Kr、Xe、N、およびOからなるグループのうちから選択された少なくとも1つの成分とを含むことができる。当業者であれば、より高い凝固点を有する成分の濃度が高くなると、凝固点の降下の程度が小さくなることを、理解できるであろう。
【0031】
別の典型的な実施形態においては、混合成分冷媒が、Ar、Kr、Ne、Xe、およびHeからなるグループのうちから選択された少なくとも2つの別個の成分を含むことができる。混合成分冷媒は、第1成分を約5モル%〜95モル%含むことができる。別の例では、混合成分冷媒が、第1成分を約10モル%〜80モル%含むことができ、または第1成分を約30モル%〜60モル%含むことができる。上記の組成は、良好な凝固点降下のためにとくに好都合であろう。
【0032】
別の典型的な実施形態においては、混合成分冷媒が、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも2つの別個の成分を含むことができる。混合成分冷媒は、第1成分を約5モル%〜95モル%含むことができる。別の例では、混合成分冷媒が、第1成分を約10モル%〜80モル%含むことができ、または第1成分を約30モル%〜60モル%含むことができる。
【0033】
さらなる特定の実施の形態においては、混合成分冷媒が、第1および第2成分を含むことができる。混合成分冷媒は、第1成分を約40%〜90%含むことができる。第1成分は、Ar、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択することができる。第2成分は、Ar、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択することができる。例えば、混合成分冷媒は、第1成分を約45モル%〜80モル%含むことができる。
【0034】
特定の別の実施形態においては、混合成分冷媒が、CO、NO、Xe、およびKrからなるグループのうちから選択される第1成分と、Ar、Ne、N、O、およびHeからなるグループのうちから選択される第2成分とを含むことができる。特定の典型的な実施形態は、フッ素および塩素を含有する分子を含まない。
【0035】
冷凍システムは、1つまたは複数の冷媒サイクルを備えることができ、混合成分冷媒が、少なくとも1つまたは複数のサイクルにおいて冷媒として含まれる。典型的な一実施形態においては、冷凍システムが2つのサイクルを有することができる。第1サイクルが、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、ヒドロカーボン、およびこれらの組み合わせを含む冷媒を含むことができる。この第1サイクルは、カスケード構成で使用することにより第2冷媒サイクルを冷却でき、第2冷媒サイクル内に位置する第2冷媒を、少なくとも部分的に凝縮することができる。第2冷媒は、非反応性の冷媒であってよい。第2冷媒サイクルを使用して、プロセスまたは冷却対象物を冷却することができる。
【0036】
このような方法で、不燃性または難燃性であって環境に優しい冷媒が、プロセスの直近で使用される一方で、規制されている反応性の冷媒が、プロセスから離れて使用される。特定の一実施形態においては、非反応性の冷媒が、混合成分冷媒である。極低温の化学種を混合することによって、凝固点の降下および有用な温度プロファイルが可能になる。
【0037】
典型的な一実施形態においては、第1冷媒サイクルと第2冷媒サイクルとを有する冷却システムが開示される。第1冷媒サイクルが第1冷媒を有し、第2冷媒サイクルが第2冷媒を有する。第2冷媒は、極低温成分の混合物を含む。第2冷媒サイクルにおいて、第2冷媒の少なくとも一部を液化または凝縮することができる。第1冷媒サイクルと第2冷媒サイクルとを、カスケード構成に接続することができる。第1冷媒サイクルおよび第2冷媒サイクルの少なくとも一方が、自動カスケード・サイクル(auto cascade cycle)であってもよい。極低温成分の混合物は、一実施形態においては、Ar、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも3つの別個の成分を含むことができる。混合成分冷媒は、前記少なくとも3つの別個の成分のそれぞれを、5モル%よりも多く含むことができる。別の実施形態においては、混合物が、Ar、Kr、Ne、Xe、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択された少なくとも2つの別個の成分を含むことができる。別の典型的な実施形態においては、混合物が、N、Kr、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択された少なくとも2つの別個の成分を含むことができる。
【0038】
別の典型的な実施形態においては、第1冷媒サイクルと第2冷媒サイクルとを有する冷却システムが開示される。第1冷媒サイクルが第1冷媒を有し、第2冷媒サイクルが、非反応性の成分を含む第2冷媒を有する。第2冷媒は,クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含まない。第2冷媒の少なくとも一部を、第2冷媒サイクルにおいて凝縮することができる。第1冷媒サイクルと第2の冷媒サイクルとを、カスケード構成に接続することができる。第1冷媒サイクルおよび第2の冷媒サイクルの少なくとも一方が、自動カスケード・サイクルであってもよい。第2冷媒は、Ar、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも3つの別個の成分を含む混合物を含むことができる。混合物は、前記少なくとも3つの別個の成分のそれぞれを、5モル%よりも多く含むことができる。別の例では、混合物が、Ar、Kr、Ne、Xe、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択された少なくとも2つの別個の成分を含むことができる。別の典型的な実施形態においては、混合物が、N、Kr、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択された少なくとも2つの別個の成分を含むことができる。
【0039】
さらに、冷却を実現する方法が開示される。この方法は、第1冷媒サイクルの第1冷媒を凝縮するステップ、第2冷媒サイクルの第2冷媒を冷却するために、第1冷媒の圧力を低下させるステップ、および第2冷媒サイクルを使用して冷却対象物を冷却するステップを含む。第2冷媒は、少なくとも別個の極低温ガスからなる混合物を含む。冷却対象物は第2冷媒の気化によって冷却できる。冷却対象物を直接冷却してもよく、間接的に冷却してもよい。例えば、第2冷媒サイクルによって流体を冷却し、流体によって冷却対象物を冷却することができる。別の例においては、第2冷媒サイクルによってヒートシンクを冷却し、ヒートシンクによって冷却対象物からの熱を吸収することができる。別の実施形態においては、冷却対象物が、ヒートシンクまたは被加工物であってよい。典型的な一実施形態においては、被加工物が半導体ウエハである。別の典型的な実施形態においては、電力供給されているか、または電力供給されていない完成されたマイクロ電子チップである。別の典型的な実施形態においては、冷却の対象物が、気体の流れ、液体の流れ、または、部分的にもしくは完全に凝縮される気体である。第1冷媒サイクルと第2冷媒サイクルとを、カスケード構成に接続することができる。第1冷媒サイクルおよび第2冷媒サイクルの少なくとも一方が、自動カスケード・サイクルであってもよい。
【0040】
図1は、第1冷媒サイクル116と第2冷媒サイクル118とを有する典型的な冷凍システムを示している。第1冷媒サイクル116と第2冷媒サイクル118とがカスケード構成に配置され、第1冷媒サイクル116が、熱交換器または凝縮器108を介して第2冷媒サイクル118を冷却している。
【0041】
第1冷媒サイクル116の冷媒が圧縮機102によって圧縮される。圧縮された冷媒が、熱交換器または凝縮器104において冷却され、冷媒を冷却し、および場合によっては凝縮する。冷却された冷媒は、オプションの(任意的な、optional)熱交換器122によってさらに冷却され、次いで絞りまたは膨張器(expander)106において圧力が低下され、熱交換器108において加熱されて気化する。熱交換器108を出る冷媒は、熱交換器122によってさらに加熱および気化され、圧縮機102に戻される。混合成分冷媒が使用される場合、一般的に、熱交換器122が改良された性能を示す。
【0042】
第2冷媒サイクル118においては、第2冷媒が圧縮機114によって圧縮される。圧縮された第2冷媒は、過熱低減器120によって室温に冷却され、熱交換器108においてさらに冷却され、場合によっては凝縮される。熱交換器108において第1冷媒を実質的に気化させることによって、第2冷媒が冷却され、可能ならば凝縮される。冷却された第2冷媒が、熱交換器124によってさらに冷却および凝縮され、絞りまたは膨張器110において圧力が低下され、熱交換器112において加熱されて気化する。絞りまたは膨張器106および110は、バルブ、毛細管、タービン膨張器、オリフィス、または圧力低下板(pressure drop plates)でよい。熱交換器112を出る冷媒は、熱交換器124によってさらに加熱および気化される。気化した第2冷媒が、圧縮機114に戻される。
【0043】
熱交換器112を使用して、プロセスまたは冷却対象物を冷却することができる。熱交換器112は、例えば熱伝達媒体、ヒートシンク、または冷却対象物を冷却することができる。冷却対象物を、熱伝達媒体またはヒートシンクを使用することによって、間接的に冷却することもできる。典型的な一実施形態においては、冷却対象物が半導体ウエハである。別の典型的な実施形態においては、熱交換器112が気体の流れを冷却して、例えば水蒸気を凝縮させるか、または気体を冷却または液化して外部の物体との熱伝達もしくは多くの目的に利用することができる。別の典型的な実施形態においては、熱交換器112を使用して気体の流れを冷却し、深冷分離において使用することができる。さらに別の典型的な実施形態においては、熱交換器112を使用して、真空ポンプ・システムにおけるクライオコイルを冷却する。さらに別の典型的な実施形態においては、熱交換器112は、生物学的試料保存ユニットを冷却するか、凍結乾燥器に溶媒を捕集するか、または生物薬剤プロセスから熱を除去するために使用される。あるいは、熱交換器112を使用して、超電導ケーブルおよび超電導装置を冷却することもできる。さらに、熱交換器112は、撮像装置または化学分析装置を冷却することもできる。
【0044】
第1冷媒は、低反応性の冷媒または極低温の冷媒であってもよい。あるいは、第1冷媒が、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、ヒドロカーボン、またはこれらの組み合わせを含む冷媒であってもよい。
【0045】
第1冷媒の典型的な実施形態としては、米国特許第6,502,410号、米国特許第5,337,572号、およびPCT特許出願公開第WO 02/095308 A2号に記載されているような冷媒を挙げることができる。
【0046】
第2冷媒は、Ar、N、Kr、Ne、Xe、He、CO、およびNOから選択される成分を含む低反応性の冷媒であってもよい。特定の実施形態においては、第2冷媒が、Ar、N、Kr、Ne、Xe、He、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも3つの別個の成分を含むことができる。別の例においては、冷媒が、Ar、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOのうちの2つ以上を含むことができる。冷媒は、例えば、上記少なくとも3つの別個の成分のそれぞれを、5モル%よりも多く含むことができる。例えば、第2冷媒は、第1成分を約5モル%〜90モル%の間で含むことができる。別の例では、冷媒が、第1成分を約10モル%〜80モル%の間で含むことができ、または第1成分を約30モル%〜60モル%の間で含むことができる。
【0047】
別の典型的な実施形態においては、第2冷媒が、Ar、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも2つの別個の成分を含むことができる。第2冷媒は、第1成分を約5モル%〜95モル%の間で含むことができる。別の例では、第2冷媒が、第1成分を約10モル%〜80モル%の間で含むことができ、または第1成分を約30モル%〜60モル%の間で含むことができる。
【0048】
別の典型的な実施形態においては、第2冷媒が、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも2つの別個の成分を含むことができる。第2冷媒は、第1成分を約5モル%〜95モル%の間で含むことができる。別の例では、第2冷媒が、第1の成分を約10モル%〜80モル%の間で含むことができ、または第1成分を約30モル%〜60モル%の間で含むことができる。
【0049】
さらに別の特定の実施形態においては、第2冷媒が、第1および第2成分を含むことができる。第2冷媒は、第1成分を40%〜90%の間で含むことができる。第1成分は、Ar、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択することができる。第2成分は、Ar、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択することができる。例えば、第2冷媒は、第1成分を約45モル%〜80モル%の間で含むことができる。
【0050】
図1の第1および第2の冷媒サイクルのいずれかまたは両方が、自動カスケード・サイクルであってもよい。図2は、本発明による霜取り(defrost )能力を有する典型的な自動カスケード・サイクルを示している。冷媒が、圧縮機202において圧縮される。圧縮された冷媒はオプションの油分離器224を通過し、圧縮された冷媒の流れから潤滑剤が除去される。油分離器224によって分離された油は、移送管230を通して圧縮機202の吸込管222に戻すことができる。油分離器224の使用は、吐出流中に排出される油の量および冷凍プロセスの油に対する許容量に応じて、任意である。別の構成においては、油分離器224が、霜取り分岐管228に直列に置かれる。
【0051】
圧縮された冷媒は、油分離器224から配管206を通って凝縮器204まで通過し、凝縮器204において冷却され、部分的にまたは完全に凝縮される。冷却用の媒体を利用して圧縮された冷媒を凝縮できる。カスケード構成の場合には、第1冷媒を利用して、凝縮器204において第2冷媒を冷却または凝縮できる。
【0052】
凝縮された冷媒が、凝縮器204から、配管210を通って冷凍プロセス208に移送される。冷凍プロセス208は、1つまたは複数の熱交換器、相分離器(phase separator )、および流れ調節装置(flow metering device)を備えることができる。冷凍プロセス208の低温出口214は、蒸発器212に導かれており、蒸発器212は、プロセスまたは冷却対象物から熱を吸収することによって、プロセスまたは冷却対象物を冷却する。加熱された冷媒は、配管220を通して冷凍プロセス208に戻される。カスケード構成においては、蒸発器212を使用して、次のより低温段の冷媒を冷却することができる。
【0053】
この典型的な実施形態においては、冷凍プロセス208は、自動冷凍カスケード・システムとして示されており、熱交換器232、相分離器234、熱交換器236、相分離器238、熱交換器240、相分離器242、熱交換器244、流れ調節装置(FMD)246、FMD248、およびFMD250を備えている。熱交換器により、高圧冷媒から低圧冷媒への熱の伝達がなされる。FMDは、高圧冷媒を低圧冷媒へ絞って放出し(throttle)、絞り(throttling)プロセスの結果として冷凍効果を生み出す。
【0054】
冷凍システム200は、冷却、霜取り、および待機という3つのモードのうちの1つで動作可能である。上述の冷媒混合物は、これら3つのモードのそれぞれにおける動作を可能にしている。ソレノイド・バルブ260および218が、両方とも閉止位置にある場合、システムは待機状態にあると称される。冷媒が蒸発器に流れることはない。冷媒は、高圧冷媒をプロセスの低圧側に送る内部流れ調節装置(すなわち、FMD246、FMD248、およびFMD250)によって、冷凍プロセス208の内部のみを流れる。これは、冷凍プロセス208の連続動作を可能にする。単一絞りの冷凍プロセスが使用される場合、動作モードのうちの待機モードが可能になるのは、絞りを通して流れを通過させる手段が待機モードにおいて有効に作用し、冷媒を冷凍プロセス208の高圧側から低圧側に流す場合のみである。特定の構成においては、これは、一対のソレノイド・バルブによって蒸発器への冷媒の流れ、または冷凍プロセスに戻る冷媒の流れを制御することで可能になる。別の構成においては、追加の絞りおよびソレノイド・バルブを用いて待機状態におけるこの内部流れを可能にする。別の構成においては、サブクーラーと称される熱交換器が、冷凍プロセスに備えられる。サブクーラーが使用されるとき、高圧冷媒の一部(fraction)が蒸発器から分流され、低圧に減圧されて冷媒の温度を下げる。次いで、この流れをサブクーラーの低圧側において利用して、蒸発器およびこの分流された流れの両方に供給するサブクーラーの高圧側の全体流れを予備冷却する。したがって、蒸発器への流れが止まると、内部流れおよび熱交換が継続し、高圧冷媒が徐々に低温になり、結果として、サブクーラーに入る減圧された冷媒の温度がより低くなる。
【0055】
図4に示されているように、熱交換器412はサブクーラーとして知られている。冷凍システムによってはサブクーラーを使用しないものもあり、したがってサブクーラーは、任意的な要素である。熱交換器412が使用されない場合、熱交換器408を出る高圧流れが、冷媒供給管420に直接供給される。戻りの流れ経路において、冷媒戻り管448は熱交換器408に冷媒を供給する。サブクーラーを備えるシステムにおいては、サブクーラーを出る低圧冷媒が、接続点Hにおいて冷媒の戻りの流れに混合され、得られた混合流が熱交換器408に供給される。熱交換器408を出る低圧冷媒が、熱交換器406に供給される。相分離器によって取り除かれた液体部分は、FMD410によって低圧流れに注入される。冷媒がFMD410から流れ、次いで熱交換器408から熱交換器406へと流れる低圧の冷媒に混合される。この混合流が熱交換器406に供給され、次いでこれが、熱交換器402に供給され、続いて圧縮機の吸込管464に供給される。熱交換器が、高圧冷媒と低圧冷媒との間で熱交換する。
【0056】
図2に戻ると、ソレノイド・バルブ218を開くことによって、システムは冷却モードになる。この動作モードでは、ソレノイド・バルブ260は閉止位置にある。冷凍プロセス208からの冷媒が、FMD216によって減圧され、バルブ218を通って蒸発器212に流れ、次いで冷媒戻り管220を通して冷凍プロセス208に戻される。
【0057】
ソレノイド・バルブ260を開くことにより、冷凍システム200を霜取りモードに置くことができる。この動作モードにおいては、ソレノイド・バルブ218は閉止位置にある。霜取りモードにおいては、圧縮機202からの高温のガスが、蒸発器212に供給される。一般に、霜取りは、蒸発器212の表面を暖めるために開始される。高温冷媒が、油分離器224を通り、霜取り管228を通ってソレノイド・バルブ260に流れ、ソレノイド・バルブ218と蒸発器212との間の接続点に供給され、蒸発器212に流れる。霜取りの開始時には、蒸発器212は低温、超低温、または極低温であって、高温の冷媒を冷却し、完全にまたは部分的に凝縮する。冷媒は、冷媒戻り管220を通り冷凍プロセス208に戻る。戻りの霜取り冷媒は、最初は、冷却モードにおいて通常供給される温度にきわめて近い低温、超低温、または極低温にある。霜取りプロセスが進行するにつれて、蒸発器212が暖められる。最終的に、戻りの霜取りガスの温度は、冷却モードにおいて供給されるよりもはるかに高温になる。これが結果的に、冷凍プロセス208に大きな熱負荷となる。これは短い時間期間(典型的には2〜7分)であれば許容でき、この時間は、通常は、蒸発器212の全表面を暖めるために充分である。分かりやすくするために図示していないが、温度センサは冷媒戻り管220に熱接触している。冷媒戻り管220が所望の温度に達したとき、温度センサが制御システム(分かりやすくするため、図示していない)に霜取りを終了させ、ソレノイド・バルブ260を閉じて冷凍システム200を待機状態に置く。霜取りの完了後、典型的には5分間である短い待機の期間により、冷凍プロセス208の温度が低下し、その後冷却モードに切り替えられる。
【0058】
上述のような冷凍システム200の全要素の相互接続がなされると、冷媒を流すことが可能になる。冷凍システム200の全要素は、工業界において周知である(すなわち、圧縮機202、凝縮器204、冷凍プロセス208、蒸発器212、FMD216、ソレノイド・バルブ218、油分離器224、熱交換器232、相分離器234、熱交換器236、相分離器238、熱交換器240、相分離器242、熱交換器244、ソレノイド・バルブ252、膨張タンク254、膨張タンク256、およびFMD258)。しかし、理解しやすいように、以下に各要素を簡単に説明する。
【0059】
本開示における説明の目的のため、冷凍システム200の冷凍プロセス208は、図2において、自動冷凍カスケード・サイクルの一種類として示されている。しかし、冷凍システム200の冷凍プロセス208は、混合冷媒を使用する任意の低温、超低温、または極低温冷凍システムであってよい。
【0060】
より詳細には、冷凍プロセス208は、従来からのPolycoldシステム(すなわち、自動冷凍カスケード・プロセス)、CryoTiger(登録商標)型システム(すなわち、相分離を持たない単一段のクライオクーラー)、Missimer型サイクル(すなわち、自動冷凍カスケード、Missimer特許第3,768,273号)、Kleemenko型(すなわち、相分離器が2つのシステム)、単一相分離器システム、またはLongsworthの特許第5,441,658号に記載されている単一膨張装置型であってもよい。さらに、冷凍プロセス208が、Forrest特許第4,597,267号およびMissimer特許第4,535,597号に記載されているようプロセス、あるいは相分離段を備えず、1つまたは2つ以上の相分離段を備える任意の混合成分冷媒プロセスなど、これらのプロセスの変形形態であってもよい。低温、超低温、および極低温についての別の参照は、American Society of Heating, Refrigeration, and Air Conditioning Engineeringによる2002 ASHRAE Refrigeration Handbookのチャプター38および39に見つけることができる。使用される相分離器の数のほかに、使用される熱交換器の数、および内部の絞り装置の数を、特定の用途に適するように種々の構成に増減させることができる。
【0061】
図2に示した冷凍プロセス208のいくつかの基本的な変形形態が可能である。図2に示した冷凍システム200には、単一の圧縮機が組み合わせられている。しかし、この同じ圧縮効果を並列の2つの圧縮機を使用して得ることができ、または、圧縮プロセスを直列の圧縮機もしくは2段圧縮機による複数の段に分けることができることは、理解されるであろう。これら考えられる変形形態のすべてが、本開示の範囲に包含されると考えられる。図示の実施形態は、信頼性の向上を実現するという理由で、単一の圧縮機を使用している。2つの圧縮機を並列に使用すると、冷凍システムの負荷が軽いときにエネルギーの消費を低減するのに役立つ。この方式の欠点は、構成部品、制御、床面積、およびコストが増加し、信頼性が低下する点にある。2つの圧縮機を直列に使用することにより、各段の圧縮の圧縮比を小さくする手段がもたらされる。これは、圧縮された冷媒ガスが達する最大吐き出し温度を低くするという利点を提供する。しかし、これも追加の構成部品、制御、およびコストを必要とし、システムの信頼性を低下させる。図示の実施形態は、単一の圧縮機を使用している。単一の圧縮機では、単一の圧縮段での混合冷媒の圧縮を、過剰な圧縮比または吐き出し温度を生じることなく利用できる。多段圧縮を提供するように設計され、圧縮段間の冷媒の冷却を可能にする圧縮機を使用することにより、別個の圧縮段の利益を維持すると同時に、単一の圧縮機を使用する理由から、複雑さの増加という欠点を最小限にする。
【0062】
相分離器は、融合式(coalescent-type )、渦流式(vortex-type)、デミスタ式(demister- type)、またはこれらの方式の組み合わせなど、種々の形態をとることができる。相分離器は、融合フィルタ(coalescent filter)、編みメッシュ(knitted mesh)、細目金網、および構造化材料(structured material)を含むことができる。設計、流量、および液体成分に応じて、相分離器は、50%、85%、または99%を超える効率で動作できる。
【0063】
図2に示した冷凍システム200には、単一の蒸発器が組み合わされている。一般的な変形形態は、複数の蒸発器に独立した霜取りの制御および冷却の制御を設けることにある。このような構成においては、蒸発器が並列であって、それぞれ、260および218などの低温冷媒または高温の霜取りガスの流れを制御するためのバルブ一式と、接続管とを有する。この構成では、例えば他の蒸発器を独立に冷却、霜取り、または待機モードに置くと同時に、1つまたは複数の蒸発器を冷却、霜取り、または待機モードにすることが可能になる。
【0064】
冷凍システム200は、さらに、相分離器234の第1出口からの分岐によって供給を受けるオプションのソレノイド・バルブ252を備える。ソレノイド・バルブ252の出口は、第2膨張タンク256に直列(図示)または並列(図示されていない)に接続されるオプションの膨張タンク254に供給する。さらに、オプションのFMD258の入口が、ソレノイド・バルブ252と膨張タンク254との間の接続点に接続されている。FMD258の出口は、熱交換器236と熱交換器232との間の接続点において、冷媒戻り経路に供給されている。システムの構成要素のさまざまな配置構成を使用することができる。それらの構成には、米国特許第4,763,486 号および米国特許第6,644,067 号に開示されているように、受動膨張タンクを備えるシステム、起動の際にソレノイド・バルブが開いて膨張タンクにガスを貯蔵するシステム、および起動時にシステムの性能を管理するために使用されるバイパス・バルブを含む。Longsworthの米国特許第5,441,658 号に開示されているように、膨張タンクを備えず、特別な起動時の構成を備えない、さらに別の構成も使用可能である。この理由のため、膨張タンクの使用は任意である。
【0065】
起動時、一般には、システム全体が室温にあるため、冷却システム200の全体の冷媒の大部分が気体状態にある。この冷媒ガスを、冷却時間が短縮されるように管理することが重要である。起動時に、ガスを冷凍システム200における循環から選択的に取り除くことが、この時間短縮に対して有益である。さらに、ガスを流して冷凍システム200に戻す速度も、冷却速度を左右する。
【0066】
システム・コントローラ(図示されていない)が、起動時にソレノイド・バルブ252を短時間(典型的には10〜20秒間)開く。ソレノイド・バルブ252は、例えば、Sporlan model B6バルブである。結果として、起動時に、冷媒ガスが相分離器234から出て、膨張タンク254および膨張タンク256からなる直列の組み合わせに供給される。FMD258が、膨張タンク254および256に出入りする冷媒ガスの流れを調節する。FMD258を通過する流れを設定するための2つの考慮事項は、次のとおりである。すなわち、流れが十分に遅く、これにより所定のあらゆる時点においてどのような動作条件が存在しても、冷凍システム200に戻るガスが凝縮器において凝縮可能であって、したがって急速な冷却が保証されなければならない。15〜60秒程度の冷却時間を可能にするのは、起動プロセスの際のこの初期の液体の生成である。ただし同時に、FMD258を通過する流れの速度が十分に速く、これにより冷凍システム200に十分な冷媒が流れて、低い吸込み圧力によって停止(shutdown)が生じないようにしなければならない。膨張タンク254および256へのガスの流れ、ならびに膨張タンク254および256からのガスの流れは、図2に示されるようにFMD258を使用して受動的に制御される。あるいは、コントローラとセンサとの組み合わせを用いて、能動的な流れの制御を実現できる。膨張タンクの構成は、少なくとも1つの圧力容器を含んでおり、直列もしくは並列に配置される任意の数または組み合わせの膨張タンクを有することができる。
【0067】
図3は、2段の冷凍システムを示す。第1段は、第2段または低温段を冷却する高温段である。次いで、第2段が、蒸発器または熱交換器344を介して、プロセスまたは冷却対象物を冷却する。
【0068】
第1段において、圧縮機302が第1冷媒を圧縮する。圧縮された冷媒は、オプションの油分離器304を通過し、油分離器304において含まれている油が除去され、圧縮機に戻される。圧縮された冷媒は、凝縮器306に移送され、液体の形態に凝縮される。凝縮した冷媒は冷凍セクション308に送られる。
【0069】
この冷凍セクション308は、1つまたは複数の熱交換器を備えることができ、標準的な冷媒と、冷媒混合物を使用する高圧流と低圧流との間の単一の熱交換器とを有し、相分離を備えない単純な冷媒サイクル(構成によっては、308が存在しない)の1つであってもよい。さらに、冷凍セクション308は、少なくとも1つの熱交換器、1つもしくは複数の相分離器、および流れ測定装置(FMD)、または膨張器を含むことができる。図示の例では、冷凍セクション308は、3つの熱交換器310、314、316、相分離器312、およびFMD320を備えている。凝縮された冷媒が、熱交換器310、314、316を通過し、これらの熱交換機によって、圧縮されまたは凝縮された冷媒から圧縮機302に戻る低圧の冷媒に熱が交換される。相分離器312およびFMD320を利用して、圧力低下および異なる組成の戻り流との混合の結果として追加の冷凍効果を生み出すことができる。
【0070】
FMD318を冷凍セクションの出口に使用して、冷媒の流れを制御することができる。FMD318を閉じ、冷媒サイクルが独立に循環できるようにすることができる。あるいは、FMD318を開き、凝縮した冷媒が圧力を失い、次いで熱交換器330に入るようにすることができる。典型的な一実施形態においては、第1冷媒が熱交換器330において気化する一方で、第2冷媒は凝縮するようにできる。
【0071】
第2段または低温段においては、第2冷媒が圧縮機322で圧縮される。圧縮された冷媒をオプションの油分離器324に通すことにより、含まれている油を除去できる。圧縮された冷媒をアフター・クーラー326に通して、部分的に冷却できる。別の実施形態においては、アフター・クーラー326と油分離器の配置を、逆にすることもできる。さらに、圧縮された冷媒を熱交換器328に通して、さらに冷却し、圧縮機の吸込管に戻る低圧冷媒を部分的に加熱することができる。次いで、圧縮された冷媒を、凝縮器または熱交換器330に通すことができ、そこで第1冷媒サイクルとの間で熱交換される。凝縮した冷媒を冷凍セクション332に通し、さらに冷却することができる。冷却された冷媒が、FMD342を通って蒸発器344に入って減圧され、プロセスまたは冷却対象物を冷却する。
【0072】
熱交換器334、338、340、相分離器336、およびFMD346を含む冷凍セクション332は、冷凍セクション308と同じように動作可能である。あるいは、冷凍セクション332に種々の構成を使用することも可能である。
【0073】
低温段の冷媒圧縮機332は、典型的には、本出願において開示される希ガス、低反応性ガス、または極低温ガスからなる主題の混合物と共に使用される。典型的な一実施形態の圧縮機332は、オイルレス圧縮機である。この場合、油分離器は必要としない。別の典型的な実施形態においては、この圧縮機332が油で潤滑される。この低温段によって生成される最終温度に応じ、冷凍プロセスにおいて使用される相分離器の数および種類に応じ、さらには高温ガス霜取り能力が使用されるか否かに応じて、油分離器、油吸収器、または油分離器と油吸収器との組み合わせが、この冷凍ステージのより低温の部分における油の存在を制限するのに有効である。圧縮機に使用できる油は、ポリオール・エステル(POE、ネオペンチル・エステルとしても知られる)系の油、ポリアルキレン・グリコール(PAG)、およびポリビニル・エーテル(PVE)である。さらに、他の油も適用できる。主たる選択基準は、きわめて低い蒸気圧(POE、PAG、およびPVE油と同程度の)、および可動部品の磨耗が排除または最小化されるような良好な圧縮機の潤滑である。さらに、油管理システムが、油が確実に圧縮機に戻ることができ、熱交換器、絞りまたは膨張器に過剰に蓄積することがないように保証しなければならない。
【0074】
冷凍プロセスの変形形態に加えて、霜取り機能についての種々の構成が可能である。一般的な1つの変形形態は、霜取り能力を備えることである。このような霜取り能力は、所望の複雑さの程度に応じた複雑さの範囲内にある。最も簡単な構成においては、圧縮機の吐き出しからの高温ガスが、冷凍プロセスを避けてバイパスされ、図2に示すように蒸発器に導かれる。このような霜取りの構成を、図3の低温冷凍プロセスに加えることができる。あるいは、より複雑な別の霜取り構成を、図3に示した冷媒サイクルの低温段に加えることができる。他の霜取り構成のいくつかの例が、米国特許第6,574,978 号に開示されている。
【0075】
図5は、別の典型的な冷凍システム500の図を含んでいる。冷凍システム500は、単一の冷媒サイクル510を示している。混合冷媒ガスが、例えば圧縮機502などによって圧縮される。典型的には、ガスが過熱ガスとして生成され、凝縮した液体を若干含む。過熱圧縮ガスが、凝縮器504において冷却され、部分的に凝縮される。カスケード構成においては、凝縮器504が、冷凍プロセスのより高温の冷凍段に熱を排出できる。混合冷媒が、熱交換器512によってさらに冷却され、例えば絞りバルブ506を使用して膨張され、または絞られる。混合冷媒は、ヒータもしくは熱交換器508で、加熱されまたは気化される。カスケード構成では、熱交換器508が、冷凍システムのより低温段の冷凍段を冷却できる。加熱および気化の際、混合冷媒が、システムまたは冷却対象物から熱を奪う。加熱された混合冷媒は、熱交換器512によってさらに加熱され、圧縮機502に戻される。この例の実施形態においては、冷凍プロセス510が、図3の冷凍プロセス308および332のいずれかまたは両方の代わりとなることができる。
【0076】
別の実施形態においては、すでに開示した冷凍プロセスのいずれをも変更して、冷凍プロセス全体にわたって有用な冷却を可能にできる。一例として、広い温度範囲が、図5の熱交換器512の全体にわたって存在する。この熱交換器512は少なくとも第3の流れ経路を追加して、ガス流の冷却を可能にできる。あるいは、存在する種々の温度を利用して、1つまたは複数の冷却対象物から熱を除去できる。この同じ有用性を、本出願に記載される冷凍プロセスに使用される任意の熱交換器に拡張することができる。
【0077】
図1〜5に例示した冷凍システムは、絞り弁式のシステムとして示されているが、冷凍システムが、代案として膨張器を備えてもよく、または代案として振動式のシステムを備えてもよい。一般に、上述の極低温混合冷媒は、絞り弁式のシステムにおいて特有かつ明確な有用性を示す。絞り弁式の冷凍システムは、絞りプロセスを通じて冷媒の膨張を可能にすることによって機能する。絞りプロセスは、オリフィス、バルブ、または限定された配管を通過する流れが圧力の低下を引き起こすことを特徴とする。場合によっては、絞りプロセスを、熱移動機能に組み合わせることもできる。ただし、このようなプロセスは、典型的には、熱移動をわずかしか伴わずに、またはまったく伴わずに生じる。絞り弁式のシステムの簡潔性は、可動部品が使用されておらず、流れが振動的ではないため、他の圧力低下の方法に比べて大きな利点を有する。
【0078】
対照的に、膨張器は、圧力低下のプロセスの際に流体からの仕事量の除去を可能にし、熱移動のない絞りプロセスに比べて低温度をもたらす。特定の極低温混合冷媒の実施形態は、膨張器システムにおいて有用性を示す。膨張器は絞り装置と同様に、定常流のプロセスにおいて使用できる。ただし、膨張器は、高コストであること、および可動要素に損傷を生じることなく多量の液体冷媒を許容する能力が限られていることによって不利である。しかし、ある程度の液相を許容できる設計もいくつか存在する。そのような膨張装置の一例は、ターボエキスパンダー(turbo-expander)である。
【0079】
特定の冷凍プロセスは、定常流に依存せず、本明細書において、動的流れシステム、または振動流システム(oscillating flow system )と称される。例えば、スターリング(Stirling)およびギフォード・マクマホン(Gifford McMahon )の冷凍システムはピストンを使用して、抵抗に逆らって流体の膨張を可能にし、これにより流体によって仕事を実行できるようにする。このような構成は、振動する流れを生み出し、付随の膨張シリンダおよび付随の蓄熱器を通過する流れの方向がピストンの各サイクルにおいて反転するため、定常状態ではない。特定の極低温混合冷媒の実施形態は、ピストンを用いるシステムにおいて特有の有用性を示す。
【0080】
パルス・チューブ冷凍システムも、可動ピストンがないために異なった挙動の、やはり振動する流れに依存している。ピストンの代わりに、膨張は、パルス・チューブ内部の流体容積に生じる。特定の極低温混合冷媒の実施形態が、パルス・チューブ・システムにおいて有用性を示す。
【0081】
これらの実施形態において、再生器要素などの他の構成要素が、2002 ASHRAE Refrigeration Handbookのチャプター38に開示されているように有用であろう。これらのシステムの多くの変形形態が開発されてきている。Ericksson サイクルが、そのような変形形態の1つの例である。
【0082】
さまざまな機構が流体の流れに組み合わされるため、当業者には、冷媒の絞りおよび膨張について上記プロセスのそれぞれにおいて、これらの混合物が異なった挙動を示すことは理解されるであろう。これらの相違は、それぞれの方法における液相および気相の相互作用に起因する。冷媒混合物を使用することによって、多成分の液相および気相が生じ、典型的には、各相が異なる組成を有する。これが、これら2相の管理を難しくする。単一冷媒のシステムは、この問題点を有していない。したがって、混合冷媒システムを使用する場合には、各方法における液相および気相の相互作用の適切な管理が望まれる。
【0083】
そのような事情から、異なる混合物を、1つの種類のサイクルにおいて、他のサイクルに対してよりも優先的に使用することができる。特定の一実施形態においては、冷媒サイクルが、絞り弁および/または膨張器を備える冷媒サイクルなど、定常流のシステムである。別の典型的な実施形態においては、冷媒サイクルが、ピストン・システムまたはパルス・チューブ・システムなど、動的な流れのシステムである。別の例においては、冷媒サイクルが、絞り弁または膨張器にもとづくシステムなど、非振動のシステムであってよい。例えば、特定の混合物が、絞り弁にもとづくシステムにおいて有用でありうる。第2の特定の混合物が、膨張器にもとづくシステムにおいて有用でありうる。別の例では、冷媒サイクルが、スターリングおよびギフォード・マクマホンのピストンまたはパルス・チューブ・システムなど、振動システムである。例えば、ある混合物が、ピストン・システムにおける使用に適切であって、別の混合物が、パルス・チューブ・システムにおける使用に適切であることもある。
【0084】
図1〜5に例示した冷凍システムは、1つまたは複数の成分もしくは成分の混合物を、冷凍システムの1つまたは複数のサイクルに注入することによって、充填することができる。この方法は、カスケード、自動カスケード、および単一サイクルの冷凍システムにおいて使用可能である。成分を、測定された重量または測定された圧力に応じて加えることができる。あるいは、工場または現場での充填を簡単にするため、成分を前もって混合しておくことができる。同様に、冷媒サイクル内の冷媒混合物が上述の混合物に一致するように、新たな冷媒を追加するか、または冷媒を交換することによって、システムを稼動できる。
【0085】
典型的な一実施形態においては、第1冷媒サイクルが、米国特許第6,502,410 号および米国特許第5,337,572 号に記載の冷媒など、第1冷媒を使用することができる。第2冷媒サイクルは、極低温成分を含み、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含まない第2冷媒を使用することができる。
【0086】
実施例
一実施例においては、COおよびXeを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく、0.1MPaにおいて167Kまで冷え、0.4MPaで158Kまで冷える。組成を、表1に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
別の実施例においては、NOおよびXeを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく166Kまで冷える。組成を、表2に示す。
【0089】
【表2】

【0090】
別の実施例においては、NO、CO、およびXeを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく166Kまで冷える。組成を、表3に示す。
【0091】
【表3】

【0092】
別の実施例においては、CO、Xe、およびKrを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく114Kまで冷える。組成を、表4に示す。
【0093】
【表4】

【0094】
別の実施例においては、NO、Xe、およびKrを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく114Kまで冷える。表5を参照のこと。
【0095】
【表5】

【0096】
表6に示す別の実施例においては、NO、CO、Xe、およびKrを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく114Kまで冷える。
【0097】
【表6】

【0098】
表7に示す別の実施例においては、XeおよびKrを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく114Kまで冷える。
【0099】
【表7】

【0100】
表8に示す別の実施例においては、Xe、Kr、およびArを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく82Kまで冷える。
【0101】
【表8】

【0102】
表9に示す別の実施例においては、5モル%〜95モル%のKrおよび5モル%〜95モル%のArを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく82Kまで冷える。
【0103】
【表9】

【0104】
表10に示す別の実施例においては、5モル%〜25モル%のCO、5モル%〜25モル%のNO、5モル%〜60モル%のXe、5モル%〜75モル%のKr、および5モル%〜75モル%のArを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく82Kまで冷える。
【0105】
【表10】

【0106】
表11に示す別の実施例においては、5モル%〜60モル%のXe、5モル%〜80モル%のKr、および5モル%〜90モル%のNを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく69Kまで冷える。
【0107】
【表11】

【0108】
表12に示す別の実施例においては、5モル%〜25モル%のNO、5モル%〜25モル%のCO、5モル%〜60モル%のXe、5モル%〜75モル%のKr、および5モル%〜75モル%のNを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく69Kまで冷える。
【0109】
【表12】

【0110】
表13に示す別の実施例においては、5モル%〜40モル%のXe、5モル%〜40モル%のKr、5モル%〜60モル%のAr、および5モル%〜85モル%のOを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく80Kまで冷える。
【0111】
【表13】

【0112】
表14に示す別の実施例においては、5モル%〜95モル%のXe、および5モル%〜95モル%のOを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく80Kまで冷える。
【0113】
【表14】

【0114】
表15に示す別の実施例においては、5モル%〜95モル%のAr、および5モル%〜95モル%のOを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく79Kまで冷える。
【0115】
【表15】

【0116】
表16に示す別の実施例においては、5モル%〜40モル%のXe、5モル%〜40モル%のKr、5モル%〜75モル%のAr、5モル%〜75モル%のO、および5モル%〜75モル%のNを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく69Kまで冷える。
【0117】
【表16】

【0118】
表17に示す別の実施例においては、5モル%〜60モル%のKr、5モル%〜85モル%のAr、および5モル%〜90モル%のOを含む混合ガス冷媒が、凍結することなく78Kまで冷える。
【0119】
【表17】

【0120】
別の実施例を、表18〜42に見ることができる。
【0121】
【表18】

【0122】
【表19】

【0123】
【表20】

【0124】
【表21】

【0125】
【表22】

【0126】
【表23】

【0127】
【表24】

【0128】
【表25】

【0129】
【表26】

【0130】
【表27】

【0131】
【表28】

【0132】
【表29】

【0133】
【表30】

【0134】
【表31】

【0135】
【表32】

【0136】
【表33】

【0137】
【表34】

【0138】
【表35】

【0139】
【表36】

【0140】
【表37】

【0141】
【表38】

【0142】
【表39】

【0143】
【表40】

【0144】
【表41】

【0145】
【表42】

【符号の説明】
【0146】
116 第1の冷媒サイクル
118 第2の冷媒サイクル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1冷媒を有する第1の非振動の冷媒サイクルと、
極低温ガス成分の混合物を含む第2冷媒を有する第2の非振動の冷媒サイクルと、を備え、
前記第2冷媒が、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、およびヒドロカーボンを含まない冷却システム。
【請求項2】
請求項1において、前記第2冷媒の少なくとも一部が、前記第2の非振動の冷媒サイクルにおいて凝縮される冷却システム。
【請求項3】
請求項1において、前記極低温ガス成分の混合物が、Ar、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも3つの別個の成分を含んでいる冷却システム。
【請求項4】
請求項3において、前記極低温ガス成分の混合物が、前記少なくとも3つの別個の成分のそれぞれを5モル%よりも多く含んでいる冷却システム。
【請求項5】
請求項4において、前記極低温ガス成分の混合物が、前記少なくとも3つの別個の成分のそれぞれを10モル%よりも多く含んでいる冷却システム。
【請求項6】
請求項1において、前記極低温ガス成分の混合物が、Ar、Kr、Ne、Xe、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも2つの別個の成分を含んでいる冷却システム。
【請求項7】
請求項1において、前記極低温ガス成分の混合物が、N、Kr、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも2つの別個の成分を含んでいる冷却システム。
【請求項8】
請求項1において、前記極低温ガス成分の混合物が、Kr、Xe、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも1つの成分を含み、さらにAr、N、Ne、およびHeからなるグループのうちから選択される少なくとも1つの成分を含んでいる冷却システム。
【請求項9】
請求項1において、前記第2冷媒がフルオロエーテルを含まない冷却システム。
【請求項10】
請求項1において、前記第1の非振動の冷媒サイクルおよび前記第2の非振動の冷媒サイクルが、カスケード構成に組み合わせられている冷却システム。
【請求項11】
請求項1において、前記第1の非振動の冷媒サイクルおよび前記第2の非振動の冷媒サイクルの少なくとも一方が、自動カスケード・サイクルである冷却システム。
【請求項12】
請求項1において、前記第2の非振動の冷媒サイクルが、この第2の非振動の冷媒サイクルに組み合わされた蒸発器に接続された圧縮ガス・バイパス管を備えている冷却システム。
【請求項13】
第1冷媒を有する第1の非振動の冷媒サイクルと、
極低温ガス成分を含む第2冷媒を有する第2の非振動の冷媒サイクルと、を備え、
前記第2冷媒が、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含んでおらず、前記第2の冷媒の少なくとも一部が、前記第2の冷媒サイクルにおいて凝縮される冷却システム。
【請求項14】
請求項13において、前記第2冷媒が、Ar、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも3つの別個の成分を含んでいる冷却システム。
【請求項15】
請求項14において、前記第2冷媒が、前記少なくとも3つの別個の成分のそれぞれを5モル%よりも多く含んでいる冷却システム。
【請求項16】
請求項15において、前記第2冷媒が、前記少なくとも3つの別個の成分のそれぞれを10モル%よりも多く含んでいる冷却システム。
【請求項17】
請求項13において、前記第2冷媒が、Ar、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも2つの別個の成分を含んでいる冷却システム。
【請求項18】
請求項13において、前記第2冷媒が、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも2つの別個の成分を含んでいる冷却システム。
【請求項19】
請求項13において、前記第1の非振動の冷媒サイクルおよび前記第2の非振動の冷媒サイクルが、カスケード構成に組み合わされている冷却システム。
【請求項20】
請求項13において、前記第1の非振動の冷媒サイクルおよび前記第2の非振動の冷媒サイクルの少なくとも一方が、自動カスケード・サイクルである冷却システム。
【請求項21】
請求項13において、前記第2の非振動の冷媒サイクルが、この第2の冷媒サイクルに組み合わせられた蒸発器に接続された圧縮ガス・バイパス管を備えている冷却システム。
【請求項22】
冷却を実現する方法であって、
第1冷媒サイクルにおいて第1冷媒を凝縮するステップと、
前記第1冷媒の圧力を低下させて、第2冷媒サイクルの第2冷媒を冷却するステップと、
前記第2冷媒サイクルを使用して冷却対象物を冷却するステップと、を含んでおり、
前記第2冷媒が、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含んでおらず、少なくとも2つの別個の極低温ガスからなる混合物を含んでいる方法。
【請求項23】
請求項22において、前記冷却対象物が直接冷却される方法。
【請求項24】
請求項22において、前記冷却対象物が間接的に冷却される方法。
【請求項25】
請求項24において、前記第2冷媒サイクルが流体を冷却し、この流体が前記冷却対象物を冷却する方法。
【請求項26】
請求項24において、前記第2冷媒サイクルがヒートシンクを冷却し、このヒートシンクが前記冷却対象物から熱を吸収する方法。
【請求項27】
請求項22において、前記冷却対象物がヒートシンクである方法。
【請求項28】
請求項22において、前記冷却対象物が被加工物である方法。
【請求項29】
請求項28において、前記被加工物が半導体ウエハである方法。
【請求項30】
請求項22において、前記混合物が、Ar、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも3つの別個の極低温ガス成分を含んでいる方法。
【請求項31】
請求項30において、前記混合物が、前記少なくとも3つの別個の極低温ガス成分のそれぞれを5モル%よりも多く含んでいる方法。
【請求項32】
請求項22において、前記混合物が、Ar、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも2つの別個の極低温ガス成分を含んでいる方法。
【請求項33】
請求項22において、前記混合物が、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも2つの別個の極低温ガス成分を含んでいる方法。
【請求項34】
請求項22において、前記第1冷媒サイクルおよび前記第2の冷媒サイクルが、カスケード構成に組み合わされている方法。
【請求項35】
請求項22において、前記第1冷媒サイクルおよび前記第2冷媒サイクルの少なくとも一方が、自動カスケード・サイクルである方法。
【請求項36】
クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含んでおらず、かつAr、Kr、Ne、Xe、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも2つの別個の成分を含んでいる混合成分冷媒を有する少なくとも1つの冷媒サイクルを備えている冷凍システム。
【請求項37】
請求項36において、前記少なくとも2つの別個の成分のうちの第1成分が、約5モル%〜95モル%を構成している冷凍システム。
【請求項38】
請求項36において、前記少なくとも2つの別個の成分のうちの第1成分が、約10モル%〜80モル%を構成している冷凍システム。
【請求項39】
請求項36において、前記少なくとも2つの別個の成分のうちの第1成分が、約30モル%〜60モル%を構成している冷凍システム。
【請求項40】
請求項36において、カスケード構成に構成された少なくとも2つの冷媒サイクルを備えている冷凍システム。
【請求項41】
請求項40において、前記カスケード構成が、2つの冷媒サイクルを有しており、この2つの冷媒サイクルのうちの温度が低い方の冷媒サイクルが、前記混合成分冷媒を有する冷凍システム。
【請求項42】
クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含んでおらず、かつN、Kr、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも2つの別個の成分を含んでいる混合成分冷媒を有する少なくとも1つの冷媒サイクルを備えている冷凍システム。
【請求項43】
請求項42において、前記少なくとも2つの別個の成分のうちの第1の成分が、約5モル%〜95モル%を構成している冷凍システム。
【請求項44】
請求項42において、前記少なくとも2つの別個の成分のうちの第1の成分が、約10モル%〜80モル%を構成している冷凍システム。
【請求項45】
請求項42において、前記少なくとも2つの別個の成分のうちの第1の成分が、約30モル%〜60モル%を構成している冷凍システム。
【請求項46】
請求項42において、カスケード構成に構成された少なくとも2つの冷媒サイクルを備えている冷凍システム。
【請求項47】
請求項46において、2つの冷媒サイクルを有しており、この2つの冷媒サイクルのうちの温度が低い方の冷媒サイクルが、前記混合成分冷媒を有する冷凍システム。
【請求項48】
第1成分と第2成分とを含む混合成分冷媒を有する少なくとも1つの冷媒サイクルを備えた冷凍システムであって、
前記混合成分冷媒が、前記第1成分を40%〜95%含み、前記第1成分が、Ar、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択され、前記第2成分が、Ar、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択されている冷凍システム。
【請求項49】
請求項48において、前記第1成分が約60モル%〜80モル%を構成している冷凍システム。
【請求項50】
クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含んでおらず、かつAr、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも3つの別個の成分を含んでいる混合成分冷媒を有する少なくとも1つの冷媒サイクルを備えている冷凍システム。
【請求項51】
請求項50において、前記混合成分冷媒が、前記少なくとも3つの別個の成分のそれぞれを5モル%よりも多く含んでいる冷凍システム。
【請求項52】
請求項50において、前記混合成分冷媒が、前記少なくとも3つの別個の成分のうちの第1成分を約5モル%〜90モル%含んでいる冷凍システム。
【請求項53】
請求項50において、前記混合成分冷媒が、前記少なくとも3つの別個の成分のうちの第1成分を約10モル%〜80モル%含んでいる冷凍システム。
【請求項54】
請求項50において、前記混合成分冷媒が、前記少なくとも3つの別個の成分のうちの第1成分を約30モル%〜60モル%含んでいる冷凍システム。
【請求項55】
請求項50において、カスケード構成に構成された少なくとも2つの冷媒サイクルを備えている冷凍システム。
【請求項56】
請求項55において、2つの冷媒サイクルを有しており、この2つの冷媒サイクルのうちの温度が低い方の冷媒サイクルが、前記混合成分冷媒を有する冷凍システム。
【請求項57】
冷凍システムを稼動する方法であって、
冷媒サイクルの冷媒がクロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含まず、かつAr、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも3つの別個の成分を含む混合成分冷媒となるように、極低温ガスを冷媒サイクルに注入するステップを含む方法。
【請求項58】
請求項57において、前記冷媒サイクルがカスケード冷凍システムの一部である方法。
【請求項59】
冷凍システムを稼動する方法であって、
冷媒サイクルの冷媒がAr、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される第1の成分と、Ar、N、Kr、Ne、Xe、He、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される第2の成分とを含み、前記第1の成分を40%〜95%含む混合成分冷媒となるように、極低温ガスを冷媒サイクルに注入するステップを含む方法。
【請求項60】
請求項59において、前記冷媒サイクルがカスケード冷凍システムの一部である方法。
【請求項61】
Kr、Xe、O、CO、およびNOからなるグループのうちから選択される少なくとも1つの成分と、Ar、N、Ne、およびHeからなるグループのうちから選択される少なくとも1つの成分とを含む混合成分冷媒を有する少なくとも1つの冷媒サイクルを備えている冷凍システム。
【請求項62】
請求項61において、前記混合成分冷媒が、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびヒドロカーボンを含んでいない冷凍システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−32148(P2012−32148A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219030(P2011−219030)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【分割の表示】特願2006−551501(P2006−551501)の分割
【原出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(398029692)ブルックス オートメーション インコーポレイテッド (81)