説明

混合装置及び混合粒子製造方法

【課題】2種類以上の粒子を脈動の発生しない状況で均一混合を達成すると同時に、混合装置内全ての箇所で均一混合を達成できる混合装置を提案するものである。
【解決手段】2種以上の粒子を混合するための混合装置であって、前記混合装置は、少なくとも槽内に回転軸に設置した撹拌羽根を有し、更に前記槽内に1枚又は複数枚のデフレクタを有し、前記デフレクタが複数の透孔を有し、前記回転軸により回転される粒子回転方向に対向する角度で設置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種類以上の粒子を混合するための、デフレクターを有する混合装置及び、粒径の異なる粒子を混合させるための混合粒子製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、2種類以上の粒子を混合するための装置として、固定した槽内に粉粒体を投入し、前記槽内に設けた撹拌羽根を駆動装置により水平回転させて粒子を混合する装置が、装置構造が簡単なことや、加熱、冷却等の混合に必要な環境を作り易い等の利点を有することから、広範囲な分野で使用されてきた。
【0003】
特許文献1では、着色樹脂粒子と大・小2種類の無機微粒子の付着状態を、混合装置の撹拌羽根の周速及び混合装置の内部温度等を変えることで調整できるとしている。
【0004】
また、特許文献2では、n:撹拌羽根の回転数(l/s)、d:撹拌羽根の長さ(m)、l:撹拌羽根先端厚み(m)、L:撹拌槽内高さ(m))の関係を50≦n32l/L≦500かつ、0.015≦l/L≦0.05とすることで、羽根先端部での過剰な発熱を抑制し、さらに混合中の融着物を発生させることなく、樹脂粒子に無機微粒子を均一に付着させることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−36980号公報
【特許文献2】特開2005−215088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大・小2種類の無機微粒子を樹脂微粒子に均一混合、付着させるための方法として、上記特許文献1が提案されているが、三井鉱山社製:ヘンシェルミキサに設置されているデフレクタによって、混合粒子が装置内で不均一な粉の流れ、即ち脈動が発生する場合があることが分かった。混合粒子が、撹拌混合される際に、装置内のデフレクタ部に混合粒子の一部が溜まり、一定時間で落下するためであることが分かった。そこで、装置内部各所の混合粒子の均一性を確認したところ、混合状態が不均一になる場合があることが分かった。
【0007】
脈動は、撹拌羽根のトルク(電流値)をモニターすることでも、検知することができる。即ち、運転中の、電流値の振れ幅が大きくなるのである。例えば、三井ヘンシェルミキサー500L型では、混合粒子90kg仕込みの場合、運転中の振れ幅が、25アンペア程度振れる場合があることが分かっている。
【0008】
また、ヘンシェルミキサーと装置構成の異なる装置を用いた特許文献2の装置を用いても、明細書中記載の22.邪魔板(本発明中のデフレクタに相当する)が設置されているために、これも同様に、装置内のデフレクタ部に混合粒子の一部が溜まり、脈動が発生してしまう場合があることが分かった。これも、同様に、装置内部各所で混合粒子の確認を行うと、混合状態が不均一になる場合があることが分かった。
【0009】
本発明は、従来技術における上記欠点を改善し、2種類以上の粒子を脈動の発生しない状況で均一混合を達成すると同時に、混合装置内全ての箇所で均一混合を達成できる混合装置を提案するものである。
【0010】
また、本発明の目的は、2種類以上の粒子を脈動の発生しない状況で混合し、さらに混合装置内全ての箇所で均一混合を達成できる混合粒子製造方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題を解決する本発明は、2種以上の粒子を混合するための混合装置であって、前記混合装置は、少なくとも槽内に回転軸に設置した撹拌羽根を有し、更に前記槽内に1枚又は複数枚のデフレクタを有し、前記デフレクタが複数の透孔を有し、前記回転軸により回転される粒子回転方向に対向する角度で設置されていることを特徴とする混合装置に関する。
【0012】
また、本発明は、重量平均粒子径(D4)が3.0μm以上10.0μm以下の粒子aと、一次粒子の個数平均粒径が500nm以下の粒子bを混合させる混合粒子製造方法において、
混合粒子製造工程は、混合装置内で行われ、前記混合装置は、少なくとも槽内に回転軸に設置した撹拌羽根を有し、更に前記槽内に1枚又は複数枚のデフレクタを有し、前記デフレクタが複数の透孔を有し、前記回転軸により回転される粒子回転方向に対向する角度で設置されていることを特徴とする混合粒子製造方法に関する。
【0013】
上記本発明の装置及び製造方法は、前記デフレクタの面積をS1(cm2)とし、前記槽内の上面・底面の中心を通る断面積をS2(cm2)としたとき、下記式(1)で求められるデフレクタの面積率A(%)が3.0≦A≦20.0であることが好ましい。
A=(S1×100)/S2 (1)
【0014】
また、前記透孔中の1つの透孔面積が0.70cm2以上20.0cm2以下であり、且つ前記デフレクタの面積をS1(cm2)とし、前記透孔の総面積をS3(cm2)としたとき、下記式(2)で求められる前記透孔を有したデフレクタの開孔率B(%)が10≦B≦70であることが好ましい。
B=(S3×100)/S1 (2)
【0015】
さらに、本発明の製造方法において、前記粒子aは、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件でパウダーレオメータによって測定したときのエネルギー量C(mJ)が、800以上3000以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の混合装置により、2種類以上の粒子を脈動の発生しない状況で均一混合を達成すると同時に、混合装置内全ての箇所で均一混合を達成できるものである。また、本発明の混合粒子製造方法により、2種類以上の粒子を脈動の発生しない状況で混合し、さらに混合装置内全ての箇所で均一混合を達成できるものである。
【0017】
これにより、例えば、電子写真のトナーであれば、耐久後も、外添剤の遊離由来の白ポチ画像不良を抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1−1】従来のデフレクタのイメージ図である。
【図1−2】従来のデフレクタのイメージ図である。
【図2−1】本発明の透孔を有するデフレクタの概要図である。
【図2−2】本発明の透孔を有するデフレクタの概要図である。
【図2−3】本発明の透孔を有するデフレクタの概要図である。
【図2−4】本発明の透孔を有するデフレクタの概要図である。
【図3】本発明の透孔を有するデフレクタ 概要図である。
【図4】本発明のデフレクタ面積率A:3%イメージ図である。
【図5】本発明のデフレクタ中の透孔による開孔率10%のイメージ図である。
【図6】本発明のデフレクタ中の透孔による開孔率40%のイメージ図である。
【図7】デフレクタ:従来イメージと本発明の粒子衝突・通過イメージ図である。
【図8】混合装置内部の粒子サンプリング位置を示す図である。
【図9】透孔を通過し、粒子間で干渉しているイメージ図である。
【図10】本発明で評価に使用した現像器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明者等は、上記課題を解決するにあたり、2種類以上の粒子を混合させる際に使用する三井ヘンシェルミキサー(冷却器:REIKEN社製 KCWII−03)のデフレクタに注目、改良し、以下の提案に至った。本発明では、三井三池化工社製、ヘンシェルミキサーFM−500J型のデフレクタの改良を行い、検討を行った。
【0020】
複数の透孔を有した1枚又は複数枚のデフレクタを使用することである。以下にその理由を述べる。
【0021】
まず、本発明の透孔を有したデフレクタでは、脈動が発生しない。これは、回転軸に設置した撹拌羽根の回転により回転している粒子がデフレクタに設けられた透孔を通過するためである(図7参照)。
【0022】
従来の混合に用いられてきたデフレクタでは、撹拌羽根で舞い上がった粒子がデフレクタに衝突し、粒子がデフレクタ付近にトラップされ、脈動が起こっていたが、透孔を設けることでデフレクタ付近に粒子がトラップされない。これにより、混合処理中の粒子の動きは均一になる。ゆえに、撹拌羽根にかかるトルク(電流値)も安定し、混合装置内全ての箇所で均一混合を達成できる(図8及び評価項目参照)のである。
【0023】
また、本発明の透孔を有するデフレクタを用いると、混合粒子の異なる大きさの粒子を混合しても、小さい粒子が大きい粒子から外れにくくなる効果がある。これは、図9に示したイメージの様に、撹拌され送られてきた粒子が、その粒子回転方向に対向する角度で設置されたデフレクタの透孔を通過した直後に粒子同士で衝突を起こす(粒子間干渉)。ここでは、透孔の無いデフレクタに衝突してたたき落とされるよりも、よりソフトに、且つ粒子同士が衝突するため、より回数の多い衝突が繰り返される。この様に、粒子間干渉を発生させることで、上記効果が発現すると考えられる。
【0024】
本発明の透孔について詳細に説明する。前記透孔の形状は、図2に記した円でも楕円でもよく、形状にとらわれない。但し、透孔と隣の透孔との間が近すぎると、粒子間干渉(図9イメージ)が発生しにくくなると考えられる。
【0025】
そこで、本発明の混合装置のより良い構成について説明する。
【0026】
図8を参照し、本発明のデフレクタの詳細を述べる。デフレクタの面積をS1(cm2)とし、前記槽内の上面・底面の中心を通る断面積をS2(cm2)としたとき、式(1)で求められるデフレクタの面積率A(%)が、3.0≦A≦20.0であることが好ましい。
A=(S1×100)/S2 (1)
【0027】
より好ましい範囲は、8.0以上20.0以下である。面積率Aが3.0未満であると、デフレクタの面積が槽内断面に対して小さく、上述した粒子間干渉が起こりにくくなる場合がある。また、20.0より大きいと、撹拌羽根によって舞い上げられた粒子の流れが悪くなり、粒子間干渉が起こりにくくなる場合がある。
【0028】
次に、透孔の詳細について述べる。
【0029】
透孔中の1つの透孔の面積が0.70cm2以上20.0cm2以下であり、且つ前記デフレクタの面積をS1(cm2)とし、前記透孔の総面積をS3(cm2)としたとき、式(2)で求められる前記透孔を有したデフレクタの開孔率B(%)が10≦B≦70であることが好ましい。
B=(S3×100)/S1 (2)
【0030】
透孔の面積のより好ましい範囲は、2.0以上20.0以下である。面積が0.70cm2未満の場合、透孔の面積が小さいため、混合粒子が透孔を通過しにくくなり、粒子間干渉が起こりにくくなる場合がある。また、デフレクタの開孔率B(%)のより好ましい範囲は、20以上70以下である。開孔率Bが10%未満の場合、透孔を通過する粒子の比率が低くなり、粒子間干渉が起こりにくくなる場合がある。また、70%より大きくなると、デフレクタの強度が弱くなり、装置の耐久性に支障をきたす場合がある。
【0031】
次に、本発明の混合粒子製造方法のより良い構成について述べる。
【0032】
本発明の混合粒子製造方法は、重量平均粒子径(D4)が3.0μm以上10.0μm以下の粒子aと、一次粒子の個数平均粒径が500nm以下の粒子bを混合させる混合粒子製造方法であって、混合粒子製造工程が、前記混合装置内で行われることを特徴とする。
【0033】
ここで、粒子aと粒子bについて説明する。本発明者らは、混合粒子製造方法に関わる粒子a及び粒子bを、前記特許文献1に記載された電子写真用のトナー粒子及び無機微粒子(外添剤)に対応させ、実験を行い、その効果を確認した。即ち前記請求内容は、トナー粒子の重量平均粒子径(D4)が3.0μm以上10.0μm以下、無機微粒子の一次粒子個数平均粒径が500nm以下とすることができる。本発明の混合粒子製造方法については、トナー粒子及び無機微粒子の例も含め以下に記す。
【0034】
粒子aは3.0μm以上10.0μm以下、好ましい範囲は4.0μm以上8.4μm以下である。3.0μm未満であると、粒子間の凝集力が高くなり、1粒子での粒子間干渉が起こりにくくなる。また10.0μmより大きくなると、粒子が透孔を通過した後、落下しやすいため、粒子間干渉を起こしにくい場合がある。
【0035】
粒子bは、500nm以下、好ましい範囲は430nm以下である。500nmより大きくなると、粒子aに均一に付着するものの、混合粒子を使用する段階で、粒子aから外れてしまう場合がある。
【0036】
本発明の混合粒子製造方法における、デフレクタの装置断面積に対する面積率A(%)及び、デフレクタ内にある透孔、さらには透孔を有したデフレクタの開孔率の詳細については、前述したとおりである。
【0037】
次に、前記粒子aは、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件でパウダーレオメータによって測定したときのエネルギー量C(mJ)が、800以上3000以下であることが好ましい。より好ましい範囲は、900以上2700以下である。前記エネルギー量は、粒子aの流動性を示す値である。800未満であると、粒子の流動性が高いため、透孔を通過した後粒子間干渉せずに、そのまま通過してしまい、粒子bを均一に付着できない場合がある。3000より大きくなると、粒子aの凝集が発生し、1粒子での粒子間干渉が起こりにくくなる。
【0038】
粒子aのエネルギー量Cの調整方法としては、トナー粒子を調製する際、トナー粒子の形状を球形に近づけるほど、エネルギー量Cは大きくなる。球形にする方法としては、一般的な球形化装置、例えば、ホソカワミクロン製ファカルティ Fを用いて行っても良い。熱球形化装置、例えば、日本ニューマチック工業社製 表面改質機、メテオレインボー(MR)を用いても良い。また、トナー粒子に含有させる離型剤(例えば、ワックス成分)をトナー100質量部中に20質量部程度まで増加させると、トナー粒子のエネルギー量Cは増加する傾向になる。
【0039】
以下に、測定方法を記す。
【0040】
<粒子a 重量平均粒子径(D4)>
電解質溶液100乃至150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1乃至5ml添加し、これに測定試料を2乃至20mg添加する。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で1乃至3分間分散処理して、コールターカウンターマルチサイザー(コールター社製)により17μmまたは100μm等の適宜トナーサイズに合わせたアパチャーを用いて体積を基準として0.3乃至40μmの粒度分布等を測定する。この条件で測定した個数平均粒径、重量平均粒径をコンピュータ処理により求める。
【0041】
<粒子b 個数平均粒径の測定方法>
粒子bの粒径は、走査電子顕微鏡(50,000倍)により、粒径が5nm以上の粒子をランダムに500個以上抽出し、長軸と短軸をデジタイザにより測定し、平均したものを粒径とし、500個以上の粒子の粒径分布(カラム幅を5−15,15−25,25−35,35−45,45−55,55−65,65−75,75−85,85−95、・・・のように10nm毎に区切ったカラムのヒストグラムから)のカラムの中心値のピークになる粒径をもって最大ピーク粒径を算出した。
【0042】
<エネルギー量Cの測定方法>
パウダーレオメーターとしてfreeman technology社製のFT4を用いて測定する。なお、測定前に温湿度の影響をなくすため、トナーは、温度22℃、湿度50%RHの状態で、8時間以上放置したものを用いる。
【0043】
まず、トナー粒子を内径50mmのスプリット容器(高さ89mmの160mL容器の上に高さ51mmの円筒を載せ、上下に分離できるようにしたもの)に、高さ89mmを超える量のトナーを充填する。
【0044】
トナーを充填した後、充填されたトナー粒子を穏やかに撹拌することによりサンプルの均質化を行う操作を実施する。この操作を以下ではコンディショニングと呼ぶ。
【0045】
コンディショニングでは、充填した状態でトナーにストレスを与えないようトナー粒子からの抵抗を受けない回転方向で回転翼を緩やかに撹拌して、過剰の空気や部分的ストレスのほとんどを除去し、サンプルを均質な状態にする。具体的なコンディショニング条件は、5°の進入角で、60mm/secの回転翼の先端スピードで撹拌を行う。このとき、プロペラ型の回転翼が、回転と同時に下方向にも運動するので先端はらせんを描くことになり、このときのプロペラ先端が描くらせん経路の角度を進入角度と呼ぶ。
【0046】
コンディショニング操作を5回繰り返した後、スプリット容器の容器上端部を静かに動かし、高さ89mmの位置において、ベッセル内部のトナーをすり切って、160mL容器を満たすトナーを得る。コンディショニング操作を実施するのは、流動性エネルギー量を安定して求めるためには、常に安定して体積一定の粉体を得ることが重要であるからである。
【0047】
更にこのような操作を7回実施した後、容器内を底面からの高さ110mmから10mmまで、進入角度−5°で移動しながら回転翼の先端スピード100mm/secで回転するときの、回転トルクと垂直荷重を測定する。このときのプロペラの回転方向は、コンディショニングと逆方向(上から見て右回り)である。底面からの高さ10mmから100mmの区間の回転トルクと垂直荷重を積分して流動性エネルギー量を求める。
【0048】
また、誤差による影響を少なくするため、このコンディショニングとエネルギー測定操作のサイクルを7回行って得られた平均値を、エネルギー量C(mJ)とする。
【実施例】
【0049】
以下に、具体的製造例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0050】
後述の粒子a(トナー粒子)については、特許公開2005−107427号公報に記載の方法により粒子aを調製した(実施例1〜12、及び15〜17に使用のトナー粒子)。また、粒子a(実施例13或は14)は、特許公開2007−86458号公報に記載の方法により調製した。また、比較例1及び2は、それぞれ特許文献1及び特許文献2を参照し粒子aを調製した。
【0051】
粒子bは、特許公開2004−309880号公報に記載のシリカ微粉体の製造方法を参照し調製した。また実施例15に記載の粒子bは、特許公開2006−181954号公報を参照し、大径シリカ粒子を調製した。
【0052】
<実施例1>(デフレクタ1)
図1に示す従来のデフレクタに対して、図2−1の様にデフレクタに透孔を有しており、デフレクタの面積率A:10%、透孔面積:3.0、デフレクタ開孔率40%である。以下、デフレクタの特徴は表1に記す。デフレクタの位置は、混合粒子が混合槽内の外周を回りやすいことから、混合槽内壁に接する様に固定すると良い。
【0053】
デフレクタの角度は、図2−1の平面図の様に、槽内上面・底面の中心に軸を有する場合は、如何なる角度であっても、同様の効果が得られる。
【0054】
<実施例2>(デフレクタ2)
図4の様に、槽内上面・底面の中心に軸が無い場合は、粒子の回転方向に対向する角度で設置する必要がある(図4の平面図参照)。
【0055】
<実施例3>(デフレクタ3)
図2−1の様に、混合粒子の粉面に近づいている状態である。
【0056】
<実施例4>(デフレクタ4)
図4の様に、混合装置の槽内上面・底面の中心を通る断面に対して、小さいデフレクタである。
【0057】
デフレクタの高さは、混合粒子粉面に近いところに降下させても良い。
【0058】
<実施例5>(デフレクタ5)
図5の様に、デフレクタ内の透孔の直径が小さい状態である。この場合、混合粒子が透孔を通過出来ない粒子も発生すると考えられる。
【0059】
<実施例6>(デフレクタ6)
図6の様に、デフレクタ内の透孔の直径が大きい状態である。この場合、多くの混合粒子が透孔を通過出来ると考えられる。
【0060】
但し、上述した透孔を通過後の乱流が起こりにくくなると考えられる。
【0061】
<実施例7>(デフレクタ7)
図5のデフレクタよりも、さらに透孔の直径が小さい状態である。この場合、混合粒子が透孔を通過出来ない粒子の比率が高くなる。ゆえに、透孔通過後の乱流が起こりにくくなると考えられる。
【0062】
<実施例8>(デフレクタ8)
図2−3の様に、デフレクタの開孔率がデフレクタ1(図2−1)に比べて11/40になっている状態である。この場合、デフレクタの開孔率が低いため、混合粒子が透孔を通過出来ない粒子の比率が若干高くなる。
【0063】
<実施例9>(デフレクタ9)
図2−4の様に、デフレクタの開孔率がデフレクタ1(図2−1)に比べて68/40になっている状態である。この場合、ほとんどの混合粒子が透孔を通過出来ると考えられる。但し、上述した透孔を通過後の乱流が起こりにくくなると考えられる。
【0064】
<実施例10>(デフレクタ10)
図2−3のデフレクタの開孔率を低くした、もしくは、図2−2の大きさの透孔を少なく設けたデフレクタである。何れにしてもデフレクタを通過する混合粒子が少なくなるため、透孔を通過後の乱流が起こりにくくなると考えられる。
【0065】
<実施例11、12>
図3の様に、デフレクタを複数設置した状態である。デフレクタ11は2枚、デフレクタ同士の角度は水平が好ましいが、二枚の角度が45度以上であれば、透孔通過後の乱流は発生できると考えられるため、本発明の効果は発現出来ると考えられる。また、デフレクタ12の4枚の場合は、図3の様に設置することが、本発明の効果を得るために好ましい。
【0066】
<実施例13乃至17>
混合粒子物性を表1に示すように変える以外は、実施例1と同じデフレクタを用いて粒子混合を行った。
【0067】
<比較例1、2>(デフレクタ11)
図1の様に、従来型の透孔の無いデフレクタである。混合粒子の種類により、デフレクタ付近に粒子が溜まり、脈動が発生した。混合装置内全ての箇所で均一混合を達成できなかった。
【0068】
(1)評価項目1<混合装置内の混合均一性評価>
混合粒子X線測定結果Si強度
図8に示すように、2種類以上の粒子を混合する混合装置の内部の3カ所(X、Y、Z)から混合粒子をサンプリングし、蛍光X線測定を行う。粒子の混合が均一であれば3カ所のX線強度の差(Δ値)は小さく、逆に不均一の場合はΔ値が大きくなる。この指標により、混合装置内全ての箇所で均一混合を達成できるか評価を行った。Δ値の評価ランクは下記の通りである。
A:非常に良好 0.5未満
B:良好 0.5以上1.0未満
C:実用上問題なし 1.0以上1.5未満
D:やや難あり 1.5以上
【0069】
ここで、本発明者は、特にXサンプルを採取する際に、サンプリング方法に細心の注意を施した。Xサンプルを採取するまでに、Yサンプルの部分を通過するため、カップを下向きにして、空気を入れた状態で粉面上部から進入させ、混合槽の底の部分でカップを翻し空気を抜くのと同時に、Xサンプルを採取した。また、他の方法としては、大きめのスポイトを用意し、スポイトの中の空気を抜きながら(スポイト上部を押しながら)粉面上部から進入させ、混合槽の底の部分で、スポイト中にXサンプルを吸引させ採取する方法をとった。これにより、他の部分の粒子が混入するのを避けることができ、混合装置内全ての箇所をくまなく評価できた。
【0070】
また、本測定では、以下の方法により、蛍光X線測定を行った。
【0071】
蛍光X線によるSi原子のピーク強度:
試料プレス成型機(MAEKAWA Testing machine(MFG Co.,LTD製)を用いてサンプルをプレス成形する。プレスは約4gのサンプルに対して、196000kPa(2000kgw/cm2)の圧力を約30秒かけることにより行い、厚さ約2mmで、直径約39mmの測定片を作製した。
【0072】
次に、2θテーブルよりSi原子およびTi原子のKαピーク角度を求め、蛍光X線分析装置 SYSTEM3080(理学電機工業(株)製)中へサンプルを入れ、各々のサンプルのX線強度(kcps)を求めた。なお、蛍光X線分析は、JIS K0119蛍光X線分析通則に従って行った。
【0073】
〔測定条件〕
測定電位,電圧 50kV−50mA
2θ角度 a
結晶板 LiF
測定時間 60秒
【0074】
(2)評価項目2<粒子bの均一固着度の評価>
現像槽の上蓋に付着した粒子bの分析:
耐久評価を行うと、2種以上の粒子を混合させた粒子の場合、小さい粒子(粒子b)が、現像槽上部に付着し、凝集体となり、これが蓄積することで、画像不良を引き起こすことがある。そこで、耐久前後(初期対35万枚後)での現像槽(図10の符号17)上部(図10の符号14)に付着している粒子bの付着量を蛍光X線を用いて測定し、耐久前後の差を比較した。
【0075】
評価方法としては、耐久初期と、耐久終了後に現像槽上部にセロハンテープを当てて、粒子bを採取し、そのセロハンテープを蛍光X線装置を用いて粒子bの強度を確認した。使用した蛍光X線装置は、評価項目1に使用した装置を用い、採取した粒子bが全量測定できるようにした。
【0076】
粒子bの付着量の耐久前後の差のランクは下記の通りである。
A:非常に良好 1.0未満
B:良好 1.0以上2.0未満
C:実用上問題なし 2.0以上3.0未満
D:やや難あり 3.0以上
【0077】
(3)評価項目3<NL環境での耐久画像評価>
白ポチ画像発生個数:
現像槽上部に付着した粒子bが凝集し現像槽内部に混入すると、その凝集物が画像部で白く抜ける現象が発生する。これを白ポチ画像と呼ぶ。白ポチ画像は、画像の品位を落とすため、耐久を通じてその発生個数を抑制する必要がある。今回は、初期と35万枚耐久後にハーフトーン(30H)の画像を連続50枚出力し、その中の白ポチ個数をカウントした。また、今回の評価は、キヤノン製 imageRUNNER ADVANCE C5035の改造機を用いて評価を行った。50H全ベタ・50枚あたりの発生個数の評価ランクは下記の通りである。
A:非常に良好 5個未満
B:良好 5個以上8未満
C:実用上問題なし 8個以上10個未満
D:やや難あり 10以上
【0078】
実施例1の現像剤を用いて、評価を行ったところ、NL環境で35万枚の連続出力を行っても、非常に良好な結果であった。評価結果は表1にまとめて表記した。
【0079】
上記その他の実施例及び比較例の評価結果についても表1に示した。
【0080】
【表1】

【符号の説明】
【0081】
a 混合装置:混合槽、b 混合粒子:上部粉面、X,Y、Z・・・混合粒子 サンプリングポイント、6 現像スリーブ、7 規制ブレード、8 マグネットロール、10,11 現像剤搬送スクリュー、12 ローラー状部材、13 スクレーパー、14 無機微粒子分析部分、17 現像槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の粒子を混合するための混合装置であって、前記混合装置は、少なくとも槽内に回転軸に設置した撹拌羽根を有し、更に前記槽内に1枚又は複数枚のデフレクタを有し、前記デフレクタが複数の透孔を有し、前記回転軸により回転される粒子回転方向に対向する角度で設置されていることを特徴とする混合装置。
【請求項2】
前記デフレクタの面積をS1(cm2)とし、前記槽内の上面・底面の中心を通る断面積をS2(cm2)としたとき、下記式(1)で求められるデフレクタの面積率A(%)が3.0≦A≦20.0であることを特徴とする請求項1に記載の混合装置。
A=(S1×100)/S2 (1)
【請求項3】
前記透孔中の1つの透孔面積が0.70cm2以上20.0cm2以下であり、且つ前記デフレクタの面積をS1(cm2)とし、前記透孔の総面積をS3(cm2)としたとき、下記式(2)で求められる前記透孔を有したデフレクタの開孔率B(%)が10≦B≦70であることを特徴とする請求項1または2に記載の混合装置。
B=(S3×100)/S1 (2)
【請求項4】
重量平均粒子径(D4)が3.0μm以上10.0μm以下の粒子aと、一次粒子の個数平均粒径が500nm以下の粒子bを混合させる混合粒子製造方法において、
混合粒子製造工程は、混合装置内で行われ、前記混合装置は、少なくとも槽内に回転軸に設置した撹拌羽根を有し、更に前記槽内に1枚又は複数枚のデフレクタを有し、前記デフレクタが複数の透孔を有し、前記回転軸により回転される粒子回転方向に対向する角度で設置されていることを特徴とする混合粒子製造方法。
【請求項5】
前記デフレクタの面積をS1(cm2)とし、前記槽内の上、底面の中心を通る断面積をS2(cm2)としたとき、下記式(1)で求められるデフレクタの面積率A(%)が3.0≦A≦20.0であることを特徴とする請求項4に記載の混合粒子製造方法。
A=(S1×100)/S2 (1)
【請求項6】
前記透孔中の1つの透孔面積が0.70cm2以上20.0cm2以下であり、且つ前記デフレクタの面積をS1(cm2)とし、前記透孔の総面積をS3(cm2)としたとき、下記式(2)で求められる前記透孔を有したデフレクタの開孔率B(%)が10≦B≦70であることを特徴とする請求項4又は5に記載の混合粒子製造方法。
B=(S3×100)/S1 (2)
【請求項7】
前記粒子aは、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°の条件でパウダーレオメータによって測定したときのエネルギー量C(mJ)が、800以上3000以下であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の混合粒子製造方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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