説明

混合造粒ガラス原料及びガラス物品の製造方法

【課題】高温熔融を要するガラス物品の混合ガラス原料であって、高い均質度を有し、欠陥のない優れた品位のガラス物品を製造することができる混合造粒ガラス原料及びそれを用いたガラス物品の製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス熔融炉に投入される混合造粒ガラス原料Mは、複種のガラス原料Mが混合されて造粒された混合造粒物よりなり、前記混合造粒物の粒径加積曲線における有効粒径であるD10が、前記混合造粒物中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90の5〜30倍の範囲内である。該混合造粒ガラス原料を、ガラス熔融炉を構成する1000℃以上に加熱された熔解槽内へ投入し加熱熔融して熔融ガラスとし、該熔融ガラスに均質化操作を施した後に連続成形装置による熱間成形操作を施すことによって、成形時に軟化点以上の温度域で自由表面であった表面を一部に有する形状のガラス物品を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス熔融時の未熔解原料に起因する欠陥の混入を防止することができるガラス熔融用の混合造粒ガラス原料と、この混合造粒ガラス原料を使用するガラス物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な用途に使用されるガラス物品は、その多くが熔融されたガラスを所定形状に成形することによって得られたものである。このため外観形状に係わるガラス物品中の欠陥は、熔融時に生じた何らかの問題に起因して発生したものであることが多い。このようなガラス物品中の欠陥は、他の原因によるものもあるが、主にガラス熔融時の未熔解原料や再結晶物、あるいは高温化学反応時に発生した気体がガラス物品中に残留することによるものである。よって熔融ガラス中のこれらの主要なガラス欠陥の発生を抑制することができれば、ガラス物品の欠陥数を著しく削減することが可能となる。
【0003】
このため、ガラス物品中の欠陥数を減らすため、多くの観点からの発明がこれまでにも数多く行われてきている。例えば、特許文献1では、ソーダ石灰ガラスよりなるガラス物品中に混入する泡を低減するために原料バッチ中のドロマイトと芒硝を混入するガラス原料の調整方法において、全ての粒度が1000μm以下のドロマイトを使用するという発明が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、1700℃以上の高温度で熔解する必要のあるガラスを不純物や泡・異物等の無い高品質なガラスとして製造するため、ガラス原料を粗熔解する粗熔解工程と、粗熔解したガラスを高周波誘導加熱により、粗熔解温度よりも高い温度に直接加熱して熔解・均質化・清澄する高周波誘導直接加熱工程とを含むガラスの熔解方法が開示されている。
【0005】
特許文献3では、珪砂粒子と炭酸ストロンチウム粒子とを含むガラス用混合原料において、炭酸ストロンチウム粒子の平均粒径が、珪砂粒子の平均粒径の8倍以内であるようにすることによって、低温熔解が可能で、高品質なガラスを得ることができるという発明が開示されている。
【0006】
さらに特許文献4では、低温の熔融環境下でも均質なガラス物品を得ることができるラス用混合原料として、混合後に粉砕された複数の異なる組成を有する無機原料の粒子が分散された状態にあり、粒径加積曲線における有効粒径であるD90が50μm以下とすることによってこの課題を達成できるとするガラス用混合原料の発明が開示されている。
【特許文献1】特開平6−107418号公報
【特許文献2】特開平5−024851号公報
【特許文献3】特開2003−040641号公報
【特許文献4】特開2006−069881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ガラス物品を製造するために使用する原料に関しては、これまでに行われてきた発明だけでは、より高い性能を求められる用途に用いられるガラス物品に対応するには不十分である。近年の電子産業を代表する高い信頼性と高付加価値を有する各種製造品に搭載されるガラス物品は、従前よりもさらに高品位で経済的なものが常に求められている。例えば、著しい発展を続ける各種画像表示装置用途、あるいは光関連産業に使用される透光性の高い精密部材などとしてガラス物品が使用される場合には、ガラス物品に求められる均質度は、高い光線透過率や精密な外観の寸法形状、あるいは画像表示装置全体の薄型化や大画面化、さらに高画素化に伴って一層高い品位が求められ、しかもこれらガラス物品の普及に伴い、経済的にも安価な製造費が求められることになる。このため、安定した品位のガラス物品を製造するにはガラス物品を製造する際に使用される原料段階から徹底した対応を行わねばならない。
【0008】
特許文献1は、窓板ガラス等の用途で使用されているソーダ石灰ガラスの製造品位を向上させるという発明であり、ソーダ石灰ガラスの用いられる用途には有益なものであるが、それ以外の他のガラス材質への適用は困難な場合もある。また特許文献3の発明はストロンチウムを含有するガラス物品を製造する場合にのみ効果的なものと考えられる。さらに特許文献2の発明は、1700℃以上の高温熔融を行う際には、ある程度の効果を有するものではあるが、高周波誘導加熱を使用するものであるため、そのための設備の増設や管理などが新たに必要となる。一方、より広範囲な適用が可能で、しかも均質なガラス物品を得ることのできるガラス原料に係わるものとして本発明者は、特許文献4のような特定の粒度を有する粉砕混合ガラス原料を使用するという発明を行なったが、さらに好ましい高い均質性を実現できる汎用性のあるガラス原料を見いだすために、その後も多くの研究を重ねてきた。
【0009】
すなわち本発明は、光部品や電子部品などの高付加価値が求められる用途で問題となる砒素等の環境負荷元素を極力減らした構成成分よりなる珪酸塩ガラス等、初期熔解時に難熔解性であって製造のためには高温熔融を必要とするガラス物品について、従来設備に特段の新たな熔融設備等を増設せずとも、高い均質度を有し、欠陥のない優れた品位のガラス物品を経済的に大きな負荷をかけることなく製造することのできる混合ガラス原料の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、ガラス熔融用の混合原料についての研究を重ねる中で、ガラス物品の用途やその成形性などの様々な制約の中で、混合ガラス原料構成が難熔解性の原料構成となる場合であっても、従来よりも低温で高速な熔解性を実現することが可能となり、しかも経済的にも優れたものとなる混合ガラス原料を見いだし、ここにその構成を提示するものである。
【0011】
本発明の混合造粒ガラス原料は、複数種のガラス原料が混合されて造粒された多数の混合造粒物よりなり、ガラス熔融炉に投入される混合造粒ガラス原料であって、前記混合造粒物の粒径加積曲線における有効粒径であるD10が、前記混合造粒物中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90の5〜30倍の範囲内であることを特徴とする。
【0012】
ここで、ガラス熔融炉に投入される混合造粒ガラス原料であって、前記混合造粒物の粒径加積曲線における有効粒径であるD10が、前記混合造粒物中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90の5〜30倍の範囲内であるとは、次のようなものある。すなわち、ガラス熔融炉の熔解槽内にバッチチャージャー等の投入機によって投入されて、加熱することによってガラス化反応させて、熔融ガラスとするための無機ガラス原料について、ある粒径の篩い目を通過した粒子の質量百分率を縦軸とし、粒径を対数目盛の横軸としてプロットしてこれらを連結することによって得られるSiを含む珪酸塩原料の粒径加積曲線における有効粒径である90質量%に相当するD90の値に対して、複数の原料が混合された後の混合造粒物の粒径加積曲線における10質量%に相当するD10の値が、5倍から30倍の範囲内の値となることを意味している。
【0013】
ガラス熔融炉に投入される混合造粒ガラス原料については、2種以上の無機原料を混合して、造粒したものであればよく、より好ましくは3種以上、最も好ましくは全ての原料を造粒したものとすることである。また造粒する原料にはガラスを粉砕したカレットを使用してもよく、この場合には同材質でも、異なる材質のカレットであっても併用してもよい。又複数種の材質、粒度のカレットを併用してもよい。
【0014】
本発明の混合造粒ガラス原料とは、異なる組成を有する原料粒子を所望のガラス組成を与えるように複数組み合わせてランダムに存在する状態で造粒したものを意味し、単独で複数のカチオンを有する原料一種類を造粒したものではない。例えばムライト、カオリナイト、モンモリロナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、ブラペイサイト、又はコレマナイトなどのような、複数のカチオンを含有する鉱物原料、窒化珪素、サイアロン、結晶化ガラス等のような人工的に焼結操作や造粒操作等によって生成された人工鉱物を一品種のみ選択して複数のカチオンが存在するので混合造粒された原料であるとするものではない。そのような考え方は、本件には該当しないものである。本件のガラス熔融用の混合造粒原料は、これらの複数のカチオンを含む原料も一品種の原料と見なし、さらに他の原料種と粉末状態で混合され、さらに造粒された状態になって、初めて本発明に該当するものとなるということである。
【0015】
混合造粒物の粒径加積曲線における有効粒径であるD10が、混合造粒物中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90の5〜30倍の範囲内とすることで、熔融時に造粒された1つの粒子内での共融反応が迅速に進行することとなり、また一方混合造粒粒子間の間隙に閉じこめられる気体が大きな寸法の気泡となって混合造粒粒子間から高速で逸散し易いものとなるので、両者の相乗効果により高温ガラス化反応が円滑に進行することとなる。
【0016】
混合造粒物の粒径加積曲線における有効粒径であるD10が、混合造粒物中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90の5倍に満たないと、造粒することによって得られる1つの混合造粒粒子内で生じる共融反応の領域が細分化されるため十分に高速な反応が生じない。このため造粒原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90は、混合造粒物中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD10の5倍以上とすることが必要であり、より好ましくは10倍以上とすることであり、さらに好ましくは12倍以上とすることである。
【0017】
一方、混合造粒物の粒径加積曲線における有効粒径であるD10が、混合造粒物中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90の30倍を超えた値となると、造粒操作等に十分な注意が必要となり、またガラス原料投入時やガラス原料輸送時、あるいはガラス原料保管時に堆積した造粒体が、重みで破壊されやすくなる等の問題も発生することになるので好ましくない。このような観点から混合造粒物の粒径加積曲線における有効粒径であるD10が、造粒原料中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90の25倍までとするのがより好ましく、さらに好ましくは20倍までとすることである。
【0018】
本発明の混合造粒ガラス原料を成形する方法としては、鉱物原料等の粉粒体から造粒する方法であればよく、撹拌造粒法、流動層造粒法、転動造粒法、押出し造粒法、又は乾式造粒法などの造粒方法を適用して造粒を行ってよい。またこれに加えて噴霧乾燥や噴霧冷却法、あるいは蒸発凝固法等の気体造粒法を併用するものであってもよい。
【0019】
特に本発明に適用する造粒方法としては、この内でも撹拌造粒法や転動造粒法が、複数の鉱物原料や化成原料を効率よく、しかも造粒操作中の不純物の混入を抑止した状態で、大量の混合造粒物を成形することができるため、それぞれの原料の純度をなるべく維持したままで多くの造粒体を得る必要のある混合造粒ガラス原料を得る目的に適用するには相応しく、好ましいものである。
【0020】
撹拌造粒法は、媒体中で様々な形状の撹拌羽根の回転によって1次粒子に剪断、転動、圧密などの応力を加えることによって粒子同士の架橋構造を形成させ、微小粒の生成、結合と解砕とを繰り返す中で徐々に粒子同士の結合力を高めて造粒がなされていく造粒方法である。撹拌造粒法としては、ペグミル、ヘンシュエルミキサ又はアイリッヒミキサ等の装置を使用することによって造粒を行うものである。
【0021】
また転動造粒法は、1次原料粉体を所定形状の容器内で撹拌羽根の採用によって流動させつつ、そこに水溶液を噴霧することによってそれぞれの粒子の結合力を高めていき、さらに転動、回転などの応力を加えつつ粒子を成長させて造粒する方法である。転動造粒法は、回転パン(又は回転皿)、回転ドラム(又は回転円筒)、頭切円錐容器(又は回転円錐容器)、又は振動型容器などを使用することによって造粒を行うものである。
【0022】
造粒後の本発明の混合造粒ガラス原料中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90を確認する方法としては、例えば混合造粒ガラス原料を解砕することのできる程度の衝撃を加えることのできる装置、例えばボールミルなどを使用して、混合造粒ガラス原料を構成する夫々の粒子がさらに微細に砕かれるまでのエネルギーを付与しない条件となるように回転速度やボールの種別を選定し、それをもって粉砕するか、あるいは、水中に浸漬して夫々の粒子の結合を解いた後に、得られたシリカ原料のみを選別し、その粒度を計測すればよい。シリカ原料のみを選別する方法としては、水溶性成分を洗い流した後の残渣を十分に乾燥させた上で、テトラブロモエタンにエタノールを適宜添加して密度を調整した液に浸すなどして密度差に基づいた選別を行なう方法、すなわち重液法と呼称される方法を採用すればよい。また条件さえ整えば、それ以外の選別方法を採用してもよい。
【0023】
また本発明の混合造粒ガラス原料は、上述に加えシリカ原料のD90が、5μm〜50μmであるならば、珪酸塩ガラス原料中で最も含有量の多いシリカ原料粒子が、十分に小さい所定の粒径を有する状態にあるので、ガラス化反応時に残留しにくく、熔融ガラス中に残留したシリカ粒子に起因する種々のガラス欠陥、例えばノットや脈理、異物等を低減することに繋がるので好ましい。
【0024】
ここでシリカ原料のD90が、5μm〜50μmであるとは、シリカ原料の粒度計測装置による粒度の測定結果を粒径加積曲線としてプロットすることで、その質量百分率が90%となる有効粒径D90の値が5μmから50μmの範囲内となることを意味している。
【0025】
シリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90が、5μm未満である場合には、粒子径が小さすぎるため偏析などの問題が発生し易くなり、均質な混合造粒物を得難い場合も生じるため好ましくない。一方シリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90が、50μmを越えるとシリカ粒子の寸法が余りに大きくなるために上記したような造粒による反応促進効果が十分に発揮できない。以上の観点からシリカ原料のD90は、より好ましくは7μm〜48μmの範囲とすることであり、さらに好ましくは10μm〜45μmの範囲とすることである。
【0026】
本発明に係わるシリカ原料の粒径加積曲線を計測する方法としては、JIS R1629(1997)に定義されるレーザー粒子径計測装置による粒子径の計測方法によるものであればよい。
【0027】
また本発明の混合造粒ガラス原料は、上述に加え混合造粒ガラス原料中のシリカ原料の含有比率が質量百分率表示で20%から80%の範囲内であるならば、種々の要望に対応することのできるガラス組成を実現することができるので好ましい。
【0028】
混合造粒ガラス原料中のシリカ原料の含有比率が質量百分率表示で20%〜80%の範囲内であるとは、上記したガラス熔融炉に投入される原料中で、造粒された状態の混合原料について、この粒径加積曲線における有効粒径であるD10が、混合造粒物中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90の5〜30倍となっていることに加えて、このシリカ原料の含有比率を質量換算で調べると、その値が20から80%の範囲内となるものであることを意味している。
【0029】
混合造粒ガラス原料中のシリカ原料の含有比率が質量百分率表示で20%以上の原料であれば、難熔解性の珪酸塩ガラスとなりやすく低温で溶解し難いため本発明の効果が顕著となる。また混合造粒ガラス原料中のシリカ原料の含有比率が質量百分率表示で80%を超える場合には、シリカ原料以外の原料比率が少なくなるため、共融温度が上昇することとなり、迅速な共融現象が妨げられる場合があるので好ましくない。
【0030】
混合造粒ガラス原料中のシリカ原料の含有比率を特定するには、造粒後の任意の混合造粒物を選択して、蛍光X線分析や化学分析などの各種分析手法を利用することによって、シリカ分原料の含有割合を求めればよい。
【0031】
また本発明の混合造粒ガラス原料は、上述に加え混合造粒物が、シリカ原料を含む複数種のガラス原料に溶媒を添加した含水混合物から水溶媒の乾燥に伴って固化させる造粒操作により得られたものであるならば、適度に強固な混合造粒物となっているため、混合造粒物をガラス熔融炉内に投入するまでに混合造粒物が壊れることもなく、炉内に投入された後に原料の共融反応が確実に進行するものとなる。
【0032】
混合造粒物が、シリカ原料を含む複数種のガラス原料に溶媒を添加した含水混合物から水溶媒の乾燥に伴って固化させる造粒操作により得られたものであるとは、造粒操作を行う際にその媒体として結合剤等の添加物を含有する純水、イオン交換水などの溶媒を使用することに複数の原料の混合を行い、その後水溶媒を乾燥する操作を行うことによって造粒するということを表している。水溶媒としては、特に結合剤を添加せずともガラス原料中の水に対する溶解性の高い原料成分が結合剤としての働きを有するのであれば添加する必要はない。
【0033】
また水溶媒として所定の水溶液を使用するのであれば、その種類や、添加物の濃度などの諸条件については、適用するガラス原料の種類によって様々なものを使用してよい。水溶液の添加方法についても、水溶液を噴霧するようなものであってもよく、また単純に計量した各ガラス原料を容器内に投入し、そこへ水溶液を流し込むといった方法であってもよい。
【0034】
また本発明の混合造粒ガラス原料は、上述に加え嵩密度が0.70g/ml〜0.95g/mlの範囲内にあるならば、適度に緻密で、しかも熱化学反応時に生じたガス等が混合造粒物外へ逸散し易いものとなるので好ましい。
【0035】
混合造粒ガラス原料の嵩密度が0.70g/mlに満たないと、熱化学反応が円滑に進行しにくくなる場合もあり、緻密ではないため原料の体積が必要以上に大きくなるので、原料投入効率が悪くなるといった問題もあり、好ましくない。一方混合造粒ガラス原料の嵩密度が0.90g/mlを超えると、緻密になりすぎて熱化学反応が阻害され、熔解がむしろ遅くなる場合もあるので好ましくない。以上の観点から混合造粒ガラス原料の嵩密度は、より好ましくは0.72g/ml〜0.93g/mlの範囲内とすることが好ましく、より好ましくは0.70g/ml〜0.90g/mlの範囲内とすることであり、一層好ましくは、0.75g/ml〜0.90g/mlの範囲内とすることである。
【0036】
また本発明の混合造粒ガラス原料は、上述に加え砒素及び/又はアンチモンを実質的に含有していないものであるならば、環境負荷元素がフリーなガラス物品を得ることができるばかりでなく、熔融環境やガラス原料を計測、混合して調整する環境においても人体に及ぼす影響を回避することに繋がるため、製造環境を安全で健全な状況とできる。
【0037】
砒素及び/又はアンチモンを実質的に含有していないとは、不純物などから混入する砒素やアンチモンは許容するという意味であって、具体的にはこれらの元素成分がそれぞれ酸化物換算の質量百分率表示で0.1%未満であればよい。
【0038】
また本発明の混合造粒ガラス原料は、上述に加え光部品又は電子部品を構成するガラス物品の製造に使用されるものであれば、光学的な高い均質性を要求され、しかも高温熔融を要求されるガラス組成を必要とする用途に対応できるので好ましい。
【0039】
また本発明の混合造粒ガラス原料は、上述に加え液晶表示装置あるいはプラズマディスプレイ装置に搭載される板ガラスを製造するために使用される原料であるならば、製造される板ガラスが大面積かつ薄型を要求される用途であって、しかも難熔解性の原料を使用する必要がある場合であっても対応することが可能となる。
【0040】
本発明のガラス物品の製造方法は、本発明の混合造粒ガラス原料を、ガラス熔融炉へ投入し加熱熔融して熔融ガラスとし、該熔融ガラスに均質化操作を施した後に熱間成形操作を施すことによってガラス物品を得ることを特徴とする。
【0041】
ここで、本発明の混合造粒ガラス原料を、ガラス熔融炉へ投入し加熱熔融して熔融ガラスとし、該熔融ガラスに均質化操作を施した後に熱間成形操作を施すことによってガラス物品を得るとは、次のようなものである。すなわち複数種のガラス原料が混合されて造粒された多数の混合造粒物よりなり、ガラス熔融炉に投入される混合造粒ガラス原料であって、前記混合造粒物の粒径加積曲線における有効粒径であるD10が、前記混合造粒物中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90の5〜30倍の範囲内である混合造粒ガラス原料が、ガラス熔融炉に配設され、槽内の最高温度が1000℃以上になるように管理された熔融槽内へと投入され、槽内にて加熱して熔融状態とし、この熔融ガラスにさらに攪拌やバブリングなどの混合、均質化操作を行い、連続的に熱間での成形操作を行うことによって、熔融ガラスが107.6dPa・sに相当する軟化温度以上の温度状態にある時に、自由表面であった表面がガラス物品として成形された後にガラス物品の表面となるものであることを意味している。
【0042】
このような製造方法としては、例えばオーバーフローダウンドロー法などの成形方法によって所定形状になるように熔融ガラスを各形状に成形する方法が該当する。
【0043】
このような成形方法によって成形されたガラス物品は、高温状態で自由表面であった面をガラス物品の表面とするものであるため、熔融起源のガラス欠陥があると、外観やガラスの強度性能ばかりでなく、ガラス物品の外形寸法までも著しい影響を受けることとなり好ましくない。しかしながら、本発明を適用することによって高水準の熔融状態を実現できれば、このような均質性の不備が、ガラス物品の外寸までにも影響を及ぼすような事を避けることに繋がるので好ましい。
【発明の効果】
【0044】
(1)以上のように、本発明の混合造粒ガラス原料は、複数種のガラス原料が混合されて造粒された多数の混合造粒物よりなり、ガラス熔融炉に投入される混合造粒ガラス原料であって、前記混合造粒物の粒径加積曲線における有効粒径であるD10が、前記混合造粒物中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90の5〜30倍の範囲内であるため、初期熔解時に融解時等に原料のセグリゲーション等が発生する場合、また原料粒径が小さすぎるために原料の飛散が生じて問題となる場合、あるいは難熔解性であるために高温熔融を必要とする場合であっても、均質なガラス熔融状態を得ることが容易になる。
【0045】
(2)また本発明の混合造粒ガラス原料は、シリカ原料のD90が、5μm〜50μmであるならば、混合、造粒時の偏析を抑制することが可能となり高温状態で高い均質度を有し、欠陥のない優れた品位の熔融ガラスを得ることができ、その結果高い品位のガラス物品を経済的に大きな負荷をかけることなく製造することができる。
【0046】
(3)また本発明の混合造粒ガラス原料は、シリカ原料の含有比率が質量百分率表示で20%〜80%の範囲内であるならば、ガラス化反応時に残留し易いシリカ原料に起因する未熔解分が残留しにくくなるので、そのことに起因するガラス物品中の欠陥数を低減することになる。
【0047】
(4)さらに本発明の混合造粒ガラス原料は、混合造粒物が、シリカ原料を含む複数種のガラス原料に水溶媒を添加した含水混合物から水溶媒の乾燥に伴って固化させる造粒操作により得られたものであるならば、適正な機械的強度を有する混合造粒物であって、輸送時や保管時などに混合造粒物が壊れることもなく安定した熔融性能を発揮するものとなる。
【0048】
(5)また本発明の混合造粒ガラス原料は、嵩密度が0.70g/ml〜0.95g/mlの範囲内にあるならば、熔解が阻害されるほどの高い密度でもなく、また搬送等に支障をきたす程の容積でもなく、適度な嵩を有するので、原料投入のための新規設備を採用する必要はなく、通常の原料投入機を使用することによって熔解槽内に効率よくこのガラス原料を投入することができる。
【0049】
(6)さらに本発明の混合造粒ガラス原料は、砒素及び/又はアンチモンを実質的に含有していないものであるならば、ガラス熔融炉周辺の環境から製造されたガラス物品を使用する環境、さらにリサイクルされるガラス物品の回収工程に至る、ガラス物品に関わるあらゆる環境について、環境負荷元素を含有することから生じる制約から解放されるものとするものである。
【0050】
(7)また本発明の混合造粒ガラス原料は、光部品又は電子部品を構成するガラス物品の製造に使用されるものであるならば、少量多品種であるために大きな熔融設備を利用することができず、しかも高い均質性を実現せねばならない場合であっても、ガラス原料を高速に熔解することが可能となるので、安定した品位のガラス物品を得るのが容易となる。
【0051】
(8)本発明のガラス物品の製造方法は、本発明の混合造粒ガラス原料を、ガラス熔融炉へ投入し加熱熔融して熔融ガラスとし、該熔融ガラスに均質化操作を施した後に熱間成形操作を施すことによってガラス物品を得るものであるため、外形寸法に高い精度を要求されるガラス物品の製造を円滑に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下に本発明のガラス熔融用の混合造粒ガラス原料、そしてこの混合造粒ガラス原料を使用するガラス物品の製造方法について、実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0053】
本発明のガラス熔融用の混合造粒ガラス原料として、液晶表示装置に搭載される板ガラスの原料に適用する場合について以下に示す。液晶表示装置に搭載される板ガラスは、その用途のためにアルカリ金属元素成分を含有しない無アルカリガラスが採用されているが、さらに薄型化や軽量化等の所望の性能を発揮するために、ガラス組成は限られたものとなり、そのため難熔解性のガラス原料構成とならざる負えないものとなっている。そこでこの無アルカリガラスの熔解性を向上させて、ガラス熔融炉での熔解工程にかかるエネルギー的な負荷を低減するために、本発明の混合造粒ガラス原料の適用が行われた。
【0054】
この液晶表示装置に搭載するこの無アルカリ組成を有する板ガラスの組成は、酸化物換算の質量百分率表示でSiO 62%、Al 15%、B 10%、CaO 5%、SrO 5%、BaO 3%であり、砒素やアンチモン等の清澄剤を含有しない構成であって、この組成を実現するために使用する原料としてシリカフラワー、ホウ酸、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムなどを使用している。これらの原料は、従来個別に秤量した後で原料混合機を使用して混合を行ない、必要に応じて適正量のカレットを添加した上でスクリューチャージャー等のガラス原料投入装置を利用してガラス熔融炉の熔解槽内に投入されていたものであり、熔解性を重視するために、ガラス原料中で最も含有比率が大きく質量百分率表示で59%となるシリカ原料について、平均粒径D90が38μmのシリカフラワーを採用している。
【0055】
そこで、上記したような原料構成は変更することなく、またガラス原料投入機などの付帯設備にも新たな改良を施さずに円滑で、しかも高い効率の操炉が可能となるように原料の造粒を行った。まず、上記したようなガラス組成となるように各々の原料を秤量する。次いで、秤量された各原料500kg、あるいは600kgを造粒装置に投入する。ここで使用した造粒装置は、一般にアイリッヒミキサと呼ばれ、セメントの混合等にも使用される装置である。図1にそのアイリッヒミキサ10の概念図を示す。この装置は回転軸が傾斜した状態で、その周囲に攪拌羽根12(アジテータとも呼ぶ)を備え、この攪拌羽根12が容器11(パンとも呼ぶ)内で単独あるいは容器11の回転方向Sと連動しつつ回転方向Tで回転して容器内のガラス原料を混合しつつ造粒するものであり、ここでは、アイリッヒ社製のR15Vac型のアイリッヒ・インテンシブ・ミキサを使用し、その中にガラス原料Mを投入することによって以下のような所定条件で造粒をおこなった。
【0056】
ガラス原料の造粒条件としては、表1に示すA〜Cの3条件で造粒を行った。すなわちA条件は、混合原料の質量が500kg、パン内に添加する最大の水分量は、混合原料の質量を100とした時に12%の最大水分添加率となる60kg、そしてパン回転数が15rpmで、最大のアジテータ回転数が700rpmである。またB条件は、最大水分添加率が14%とした以外は条件Aと同じであり、また条件Cは最大水分添加率を13%とし、混合原料の質量を600kgとした以外は条件Aと同じ条件である。
【0057】
【表1】

【0058】
以上のようなA、BそしてCの3条件に従って、試料No.1〜3の3種類のガラス原料の造粒操作を行い、その粒度特性等の一連の評価を実施したところ、表2に示す結果となった。
【0059】
ここで、造粒時間は、パン及びアジテータの回転開始時から、回転終了までの時間を示しており、混合造粒物の粒径は、JIS Z8801−1(2006)の試験用篩を使用して計測したものであり、シリカ原料のD90は株式会社島津製作所製レーザー回折粒度測定装置SALD 2000Jを使用して計測し、図2に示したような粒径加積曲線を描き、その90%に相当するD90を得たものである。また、混合造粒物の嵩密度は、筒井理化学器械株式会社製のABD−72型粉体特性測定器付属の容積100mlの容器に充填できる混合造粒ガラス原料の質量を3回計測し、その平均値より求めたものでる。さらに混合造粒物の飛散性については、Heubach社製のダストメーターを使用することによって20分間操作した際のダストの集塵量を確認し、5mg/分未満の計測値となって十分少ない場合には「○」、逆に5mg/分以上の計測値となってダストが多い結果となる場合は、「×」とすることにした。偏析性については、造粒操作によって得られた混合造粒ガラス原料を任意に同量だけサンプリングし、その原料の組成を分析して、シリカ含有量が目標値から1割以上外れた場合は、「劣悪」、1割未満である場合は「良好」と判定したものである。
【0060】
【表2】

【0061】
表2からも明らかなように、試料No.1は、試験条件Aで8分間に亘り造粒したものであるが、混合造粒物の粒径はD10が260μmで、D50が300μmであって、シリカ原料であるシリカフラワーの粒径D90が38μmであるから、造粒原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD10が、造粒原料中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90の約6.8倍であり、本発明の混合造粒ガラス原料としての要件を満足するものである。またこの原料の嵩密度は0.89g/mlであって、飛散性は「○」判定であり、偏析性についても十分高い性能を発揮するものであった。
【0062】
また試料No.2は、試験条件Bで8分間に亘り造粒したものであるが、混合造粒物の粒径はD10が700μmで、D50が3800μmであって、シリカ原料であるシリカフラワーの粒径D90が38μmであるから、造粒原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD10が、造粒原料中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90の約18.4倍であり、この試料No.2も本発明の混合造粒ガラス原料としての要件を満足するものである。そしてこの試料No.2の原料の嵩密度は0.81g/mlで、飛散性は5mg/分未満であって「○」判定であり、偏析性についてもシリカの目標値から1割未満であって十分高い性能を発揮するものであった。
【0063】
さらに試料No.3は、試験条件Cで17分間に亘り造粒したものであるが、混合造粒物の粒径はD10が550μmで、D50が1800μmであって、シリカ原料であるシリカフラワーの粒径はD90が38μmであるから、造粒原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD10が、造粒原料中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90の約14.5倍であり、この試料No.3についても本発明の混合造粒ガラス原料としての要件を十分に満足している。またこの試料No.3の原料の嵩密度は0.81g/mlで、飛散性は5mg/分未満であって「○」判定であり、偏析性についてもシリカの目標値から1割未満であって十分高い性能を発揮するものであった。
【0064】
このように高い性能を有することが明瞭となった本発明の混合造粒ガラス原料を使用し、ガラス物品を製造する方法について以下に説明する。
【0065】
まず、前記と同様の手順によって試験条件Cに従い作成した試料No.3の混合造粒ガラス原料を準備する。次いでこの本発明の混合造粒ガラス原料をスクリューチャージャーを使用して液晶表示装置に搭載する厚さ0.7mmの板ガラスを製造するための成形設備を配設したガラス熔融炉の熔解槽内へ連続的に投入する。ちなみ投入されるガラス原料には、混合造粒ガラス原料以外に、粉砕調整され、20%のカレット率となるように混合されたカレットが使用されている。
【0066】
ガラス熔融炉の熔解槽内に投入された造粒原料は、熔解槽内にて約1800℃となるように加熱された高温状態の熔融雰囲気に晒されて、高温化学反応を起こす。この際に造粒された粒子内では夫々の原料粒子間で共融化学反応が起こり、炭酸ガス等の反応気体が速やかに発生し、混合造粒粒子間の間隙から逸散することになる。夫々のガラス原料が本発明に係る造粒装置によって適正粒径となるように造粒されているため、高温化学反応は迅速に進行し、ガラス熔融状態に移行することになる。
【0067】
こうして熔融ガラス状態へと速やかに移行した後に、熔融ガラスは清澄槽を経て攪拌によって均質な状態となり、板ガラスの成形装置へと流入することになる。
【0068】
ここで本発明のガラス物品の製造方法では、例えば上部が開口した樋形状の熔融ガラス供給溝を頂部に有し、このガラス供給溝の両側壁頂部をオーバーフローの堰とし、かつ両側壁の外面部を断面が略楔形となるように両側壁の外面同士を下方に向けて相互に接近させて下端で終結させた成形体を備え、熔融ガラスをガラス供給溝の一端から他端へと連続的に供給して両側壁頂部稜線から二手に分かれた状態でオーバーフローさせ、両側壁外面に沿って流下させて略楔形下端で合流させて冷却し、0.7mm厚の板ガラスを成形する板ガラスの成形装置によって、連続的に板ガラスが成形されることになる。
【0069】
このようにして軟化点以上の温度域で自由表面であった表面を包含する形状となるように成形された板ガラスは、泡やノット、あるいは脈理などの様々なガラス欠陥の混入が抑止された高い均質性を有するものとなる。また本発明の熔融初期にガラス化反応が迅速に進行するため、過剰な加熱条件を採用する必要性がそもそもなく、そのためガラス熔融炉内を加熱するために使用する燃料コストを大幅に低減することが可能となるものであった。
【0070】
[比較例]一方、比較例として本発明に係る造粒操作を行うことなく、夫々の原料を単純に転動型の混合装置を使用して混合しただけの混合原料の場合には、飛散性は10.9mg/分と高い値となって「×」判定であり、また偏析性についても目標値から1割を超えた。
【0071】
またこのような試験結果と同様に、本発明に係る造粒操作を行うことのない原料を使用する場合に実際のガラス熔融炉においてもガラス原料中で最も含有比率が大きく質量百分率表示で59%となるシリカ原料について、平均粒径D90が38μmのシリカフラワーを採用して造粒を行なうことなく使用するのであれば、原料投入時に熔解槽内でシリカフラワーが飛散しやすく、熔解槽内で本来原料が投入される箇所よりも熔解槽内の遥かに川下、すなわち本来であればガラス化反応が終了して泡等がなくなった熔融ガラス表面上に飛散されたシリカフラワーが堆積してしまい、このような飛散物が未熔解となって残留することで、ガラス欠陥の発生が増加するような悪影響を回避するために一層熔解槽内を高温状態とする必要が生じ、その結果燃料消費量が多くなってエネルギーコストが高価なものになってしまう。
【0072】
またシリカ原料のD90が19μmのものを使用して造粒を行なった場合には、搬送時や熔融初期にメルティングセグリゲーション(熔融偏析)を引き起こし易くなり、長期に亘る製造時には問題となる場合もあり、一方53μmを越えるものであると造粒しても熔解時間が増加する傾向が認められる他、混合造粒ガラス原料の組成偏析が大きくなるので好ましい迅速な反応が得がたいものとなることも判明した。
【0073】
以上のように本発明の造粒混合原料を使用すれば製造欠陥に対しての過度な注意を行う必要もなく、そのため経済的にも安価な製造条件を選択することができて安定した製造条件を維持することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
上記本発明の技術は、ガラス熔融用の無機ガラス原料に関しての造粒に関わるものであるが、これ以外にも焼結のために予め造粒を行う場合にも適用することが可能であり、さらに結晶化ガラスを製造する場合に、均質な混合状態を実現し、意図した結晶を析出させる際の母材を作成する場合にも使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の混合造粒ガラス原料を得るために使用するアイリッヒミキサを示す概念図である。
【図2】粒径加積曲線の説明図である。
【符号の説明】
【0076】
10 アイリッヒミキサ
11 パン(容器)
12 アジテータ(攪拌羽根)
M ガラス原料
S パンの回転方向
T アジテータの回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種のガラス原料が混合されて造粒された多数の混合造粒物よりなり、ガラス熔融炉に投入される混合造粒ガラス原料であって、
前記混合造粒物の粒径加積曲線における有効粒径であるD10が、前記混合造粒物中のシリカ原料の粒径加積曲線における有効粒径であるD90の5〜30倍の範囲内であることを特徴とする混合造粒ガラス原料。
【請求項2】
シリカ原料のD90が、5μm〜50μmであることを特徴とする請求項1に記載の混合造粒ガラス原料。
【請求項3】
シリカ原料の含有比率が質量百分率表示で20%〜80%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の混合造粒ガラス原料。
【請求項4】
混合造粒物が、シリカ原料を含む複数種のガラス原料に水溶媒を添加した含水混合物から水溶媒の乾燥に伴って固化させる造粒操作により得られたものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の混合造粒ガラス原料。
【請求項5】
嵩密度が0.70g/ml〜0.95g/mlの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の混合造粒ガラス原料。
【請求項6】
砒素及び/又はアンチモンを実質的に含有していないものであることを特徴とする請求項1〜5に記載の混合造粒ガラス原料。
【請求項7】
光部品又は電子部品を構成するガラス物品の製造に使用されるものであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の混合造粒ガラス原料。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の混合造粒ガラス原料を、ガラス熔融炉へ投入し加熱熔融して熔融ガラスとし、該熔融ガラスに均質化操作を施した後に熱間成形操作を施すことによってガラス物品を得ることを特徴とするガラス物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−179508(P2009−179508A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19274(P2008−19274)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】