説明

清掃シート

【課題】綿状のダストを絡め取ると共に、比較的大きめのダスト、特に、米粒、パンくず、ゴマ粒、砂粒等をも拭き取ることのできる清掃シートを提供すること。
【解決手段】本発明の清掃シート1Aは、構成する短繊維のより数が異なる複数の繊維集合体2,3それぞれが、基材シート4の一面に接合部5を介して接合されて清掃部6を形成している。複数の接合部5は、一方向に、所定間隔で配されている。複数の繊維集合体2,3それぞれは、一方向に延びるひも状の形状を有し、並置されている。複数の繊維集合体2,3それぞれは、より数の高い繊維集合体2からなる第1繊維集合群20と、より数の低い繊維集合体3からなる第2繊維集合群30とを形成している。第1繊維集合群20における各より数の高い繊維集合体2同士の間隔は、第2繊維集合群30における各より数の低い繊維集合体3同士の間隔より短い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床や畳、壁、窓等のゴミ等を拭き取るための清掃シートに関する。
【背景技術】
【0002】
短繊維を使用した清掃具としては、モップや織布としての雑巾等が古くから広く使用されてきた。これらは繰り返し使用されることから耐久性が必要とされていた。また、一般的には水等で濡らして使用されるため、繊維が強く撚られて形成されており繊維自身が動いて綿状のダスト等を絡め取るという機能は持っていなかった。
【0003】
このような従来の清掃具とは別に、綿状のダストより比較的大きめのダスト、例えば、髪の毛、紙片、菓子片等をも清掃することに着目した清掃具が知られている。例えば特許文献1には、シート状基部の主要部にカットパイル部を備え、カットパイル部の外周にループパイル部を備えた清掃布が記載されている。しかしながら、特許文献1には、繊維によりを加えて形成することについて何ら記載されておらず、特許文献1に記載の清掃布は、カットパイル部又はループパイル部が、極細繊維から構成されているため、やはり、比較的大きめのダスト、特に、米粒、パンくず、ゴマ粒、砂粒等を拭き取ることは難しい。
【0004】
また、特許文献2には、シート状の基材の下面の中央部にループパイルからなる領域と、ループパイルの領域の外周にカットパイルからなる領域とを備えた清掃用払拭体が記載されている。特許文献2に記載の清掃用払拭体におけるカットパイルは、複数の長繊維を緩く撚って形成されていることが記載されている。しかしながら、長繊維であるため、綿状のダストを絡め取るという機能が弱く、また捉えたダストを離しやすいという課題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2003−111708号公報
【特許文献2】特開2007−202966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、綿状のダストを絡め取ると共に、比較的大きめのダスト、特に、米粒、パンくず、ゴマ粒、砂粒等をも拭き取ることのできる清掃シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、短繊維からなり、該短繊維のより数(JIS L1095)が異なる複数の繊維集合体それぞれが、基材シートの少なくとも一面に複数の接合部を介して接合されて清掃部が形成されている清掃シートであって、複数の前記接合部は、一方向に、所定間隔で配されており、複数の前記繊維集合体それぞれは、一方向に延びるひも状の形状を有し、並置され、より数の高い繊維集合体からなる第1繊維集合群と、より数の低い繊維集合体からなる第2繊維集合群とを形成しており、前記第1繊維集合群における各前記より数の高い繊維集合体同士の間隔が、前記第2繊維集合群における各前記より数の低い繊維集合体同士の間隔より短い清掃シートを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の清掃シートによれば、綿状のダストを絡め取ると共に、比較的大きめのダスト、特に、米粒、パンくず、ゴマ粒、砂粒等を拭き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態の清掃シートの斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す清掃シートのY1−Y1線断面図である。
【図3】図3は、図1に示す清掃シートのX1−X1線断面図である。
【図4】図4は、図1に示す清掃シートの一使用形態を示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態の清掃シートの斜視図である。
【図6】図6は、本発明の第3実施形態の清掃シートの斜視図である。
【図7】図7は、清掃シートの製造装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の清掃シートを、その好ましい第1実施形態に基づき、図1〜図4を参照しながら説明する。尚、各図中、同一符号は同一の構成要素を示している。
【0011】
第1実施形態の清掃シート1Aは、短繊維からなり、その短繊維より数(JIS L1095)の異なる複数の繊維集合体2,3それぞれが、基材シート4の少なくとも一面に複数の接合部5を介して接合されて清掃部6が形成されている。清掃シート1Aを形成する基材シート4は、図1に示すように、長手方向(図中のX方向)及びそれに直交する幅方向(図中のY方向)を有する矩形状のシートであり、X方向の長さが250mm〜310mmであり、Y方向の長さが205mm〜250mmのものである。第1実施形態の清掃シート1Aは、基材シート4の一面4a上に、清掃部6を有しているが、他面4b上に、清掃部6を有していてもよく、両面4a,4bそれぞれに、清掃部6を有していてもよい。清掃部6は、基材シート4のY方向の中央領域に形成されている。基材シート4には、清掃部6のX方向に延びる両側縁6aに沿って、両側縁6aからY方向に延出して一対のフラップ部41が形成されている。一方、X方向に関し、清掃部6は、基材シート4のX方向の全域に延びている。
【0012】
清掃シート1Aの清掃部6は、図1に示すように、短繊維のより数(JIS L1095)の異なる複数の繊維集合体2,3を備えており、複数の繊維集合体2,3は、一方向に延びるひも状の形状を有し、並置されている。ここで、「一方向に延びる」とは、一直線状に延びるだけでなく、波線状に延びていることも含む意味である。尚、短繊維とは、紡績するために使用される繊維状の原材料をいい、一般的には長繊維をカットして得ることができる。清掃シート1Aの清掃部6について、以下詳述する。
【0013】
図1に示すように、より数(JIS L1095)の異なる繊維集合体は、より数の高い繊維集合体2と、より数の低い繊維集合体3に大別される。清掃部6は、複数のより数の高い繊維集合体2及び複数のより数の低い繊維集合体3を備えている。複数のより数の高い繊維集合体2及び複数のより数の低い繊維集合体3それぞれは、図1に示すように、第1実施形態においては、X方向に延びるひも状の形状を有しており、基材シート4の一面4a上にY方向に並置されている。
【0014】
複数の繊維集合体2,3は、図1に示すように、複数のより数の高い繊維集合体2からなる第1繊維集合群20と、複数のより数の低い繊維集合体3からなる第2繊維集合群30とを形成している。第1繊維集合群20は、ダストを効率よく捕集し、保持する観点から、2本以上、好ましくは2本〜10本のより数の高い繊維集合体2から形成されていることが好ましく、第1実施形態においては、図1に示すように、3本のより数の高い繊維集合体2から形成されている。ダストの中でも比較的大きめのダスト、特に、米粒、パンくず、ゴマ粒、砂粒等を拭き取ることができる。第2繊維集合群30は、綿状のダストを絡め取る観点から、1本以上、好ましくは2本〜10本のより数の低い繊維集合体3から形成されていることが好ましく、第1実施形態においては、図1に示すように、2本のより数の高い繊維集合体2から形成されている。
【0015】
第1繊維集合群20は、基材シート4の一面4aに、ダストを効率よく捕集し、保持する観点から、1個以上、好ましくは2個〜50個配されていることが好ましく、第1実施形態の清掃シート1Aにおいては、図1に示すように、2個の第1繊維集合群20が配されている。また、第2繊維集合群30は、基材シート4の一面4aに、綿状のダストを絡め取る観点から、1個以上、好ましくは2個〜50個配されていることが好ましく、第1実施形態の清掃シート1Aにおいては、図1に示すように、3個の第2繊維集合群30が配されている。第1実施形態の清掃シート1Aにおいては、図1に示すように、2個の第1繊維集合群20と3個の第2繊維集合群30とを有し、清掃部6のX方向に延びる側縁6aから順に第2繊維集合群30と第1繊維集合群20とが交互に配されて、清掃部6が形成されている。
【0016】
本発明においては、第1繊維集合群20における各より数の高い繊維集合体2同士の間隔が、第2繊維集合群30における各より数の低い繊維集合体3同士の間隔より短く配されている。ここで、間隔は、繊維集合体2,3それぞれを基材シート4に接合する接合部5を基準に判断する。以下、具体的に説明する。複数の接合部5は、一方向に、所定間隔で配されている。ここで、「一方向」とは、一直線状に延びる仮想直線上に配されているだけでなく、繊維集合体2,3が波線状に延びるように、所謂千鳥状に配されていることも含む意味である。第1実施形態の清掃シート1Aにおいては、図1に示すように、各より数の高い繊維集合体2及び各より数の低い繊維集合体3それぞれは、X方向に一直線上に並んだ複数の接合部5により、基材シート4上に一直線状に接合されている。従って、第1繊維集合群20における各より数の高い繊維集合体2同士の間隔とは、より数の高い繊維集合体2を基材シート4上に接合する複数個の接合部5それぞれの中心を通る仮想直線と、Y方向に隣り合うより数の高い繊維集合体2を接合する複数個の接合部5それぞれの中心を通る仮想直線との間の間隔のことであり、第2繊維集合群30における各より数の低い繊維集合体3同士の間隔も同様に、より数の低い繊維集合体3を基材シート4上に接合する複数個の接合部5それぞれの中心を通る仮想直線と、Y方向に隣り合うより数の低い繊維集合体3を接合する複数個の接合部5それぞれの中心を通る仮想直線との間の間隔のことである。尚、より数の高い繊維集合体2又はより数の低い繊維集合体3が波線状に配されており、複数の接合部5が千鳥状に配されている場合には、例えば、波線状のより数の高い繊維集合体2の山側に位置する複数個の接合部5それぞれの中心を通る仮想直線と、波線状のより数の高い繊維集合体2の谷側に位置する複数個の接合部5それぞれの中心を通る仮想直線との間を二等分する平均仮想直線を、各波線状のより数の高い繊維集合体2に対して求めることにより、上記間隔を求めることができる。
【0017】
図2に示すように、第1繊維集合群20における各より数の高い繊維集合体2同士の間隔(L1)は、比較的大きめのダスト、特に、米粒、パンくず、ゴマ粒、砂粒等を基材シート4とY方向に隣り合うより数の高い繊維集合体2,2との間で挟み込む観点から、0.01〜2mmであることが好ましく、0.01〜1mmであることが更に好ましい。より数の高い繊維集合体2同士の各間隔(L1)は、第1実施形態の清掃シート1Aのように、均一であってもよく、均一でなくてもよく、第2繊維集合群30における各より数の低い繊維集合体3同士の間隔(L2)より短ければよい。
【0018】
図2に示すように、第2繊維集合群30における各より数の低い繊維集合体3同士の間隔(L2)は、綿状のダストを絡め取り、清掃動作により繊維を動きやすくする観点から、1〜50mmであることが好ましく、2〜30mmであることが更に好ましい。より数の低い繊維集合体3同士の各間隔(L2)は、第1実施形態の清掃シート1Aのように、均一であってもよく、均一でなくてもよい。
【0019】
清掃部6を構成する繊維集合体2,3は、一方向に延びるひも状のものである。ひも状の繊維集合体2,3は、所定の太さを有し、その太さよりも十分に大きな長さを有する形状をしている。ひも状の繊維集合体2,3は多数の短繊維の集合体からなる。短繊維は、互いに交絡した状態になっており、それによってひも状の形態が保たれている。
【0020】
ひも状の繊維集合体2,3を構成する多数の短繊維は、繊維集合体2,3がひも状の形態を保つのに足る繊維交絡度をもって交絡している。したがって、保形性の観点からは、短繊維の繊維交絡度は高ければ高いほど好ましい。換言すれば、短繊維の繊維自由度は低ければ低いほど好ましい。しかし、繊維自由度が低いことは、ひも状の繊維集合体2,3の綿状のダストを絡め取る捕集性やダスト保持性の観点からマイナスに作用する。したがって、ひも状の繊維集合体2,3を構成する短繊維は、繊維集合体2,3がひも状の保形性を確保することを条件として、綿状のダストを絡め取る捕集性や捕集されたダストの保持能を有するに足る高い繊維自由度を有していることが必要である。
【0021】
さらに、ひも状のより数の高い繊維集合体2は、上述したように、比較的大きめのダストを挟み込み、挟み込んだダストの保持性を有するような強度も必要である。このような観点から、ひも状のより数の高い繊維集合体2を構成する短繊維は、JIS L1095 一般紡績糸試験方法に記載されるより数を尺度とする繊維自由度の程度が、特に制限はなく、10〜1000回/mであることが好ましく、10〜500回/mであることが好ましい。
【0022】
ひも状のより数の低い繊維集合体3を構成する短繊維は、JIS L1095 一般紡績糸試験方法に記載されるより数を尺度とする繊維自由度の程度が、10〜200回/mであることが好ましく、10〜100回/mであることが更に好ましい。より数が10〜200回/mであると、満足すべき綿状のダスト捕集能及び捕集された綿状のダストの保持能を発現する。尚、より数の低い繊維集合体3のひも状の保形性を確保し、清掃動作によって短繊維の抜け落ちを防止する観点から、より数の下限値としては、10回/m以上とした。
【0023】
ひも状の繊維集合体2,3を構成する短繊維は、その繊維長が好ましくは12〜180mm、更に好ましくは38〜120mmである。繊維長をこの範囲内とすることで、綿状のダストを絡め取って捕集する性能が高くなる。また、清掃中に短繊維が毛羽抜けすることが効果的に防止される。後述するように短繊維が捲縮を有する場合には、その捲縮を引き伸ばしてまっすぐにした状態での長さを、短繊維の長さとする。
【0024】
ひも状の繊維集合体2,3を構成する短繊維の太さは、1.0〜8.0dtex、特に1.5〜6.6dtexであることが好ましい。太さをこの範囲内にすることによって、短繊維が適度な剛性を有するようになり、清掃部6が凹凸を有する清掃対象面、例えば敷居や引き戸のレールに十分に追従するようになる。また、部屋の隅並びにドアストッパー及びその周辺のような狭い場所に、清掃部6が十分に追従するようになる。更に、ダストの捕集性が向上する。
【0025】
ひも状の繊維集合体2,3を構成する短繊維としては、捲縮を有するものを用いることが、綿状のダストの捕集性が一層向上する観点から好ましい。捲縮繊維としては、二次元捲縮又は三次元捲縮したものを用いることができる。捲縮繊維は、その捲縮率(JIS L0208)が、5〜50%、特に10〜30%であることが好ましい。捲縮率は、繊維を引き伸ばしたときの長さAに対する、繊維を引き伸ばしたときの長さAと元の繊維の長さBとの差の百分率で定義され、下記の式から算出される。
捲縮率=(A−B)/A×100(%)
【0026】
捲縮繊維の捲縮数は、ひも状の繊維集合体2、3の嵩高さと関係している。詳細には、捲縮数が大きいほど、ひも状繊維集合体2は嵩高なものとなる。この観点から、捲縮数は3〜80、特に5〜40であることが好ましい。捲縮数は、JIS L1015に従い測定される。
【0027】
ひも状の繊維集合体2,3の横断面の形状に特に制限はなく、例えば円形、楕円形、矩形、扁平形等の形状を採用し得る。ひも状のより数の高い繊維集合体2の太さは、横断面が円形である場合には2〜20mm、特に3〜6mmであることが、ダストの挟み込みのしやすさ、および凹凸面や溝への追従性が高くなる観点、及び基材シート4への接合のしやすさの観点から好ましい。ひも状のより数の低い繊維集合体3の太さは、横断面が円形である場合には2〜20mm、特に3〜10mmであることが、綿状のダストの絡めやすさ、および凹凸面や溝への追従性が高くなる観点、及び基材シート4への接合のしやすさの観点から好ましい。第1実施形態においては、図1に示すように、ひも状の繊維集合体2,3は、その延びる方向の全域にわたって太さが一様であるが、これに限られるものではなく、例えば、数珠状の形状を有するものや、太さにムラがあるものも使用することができる。ひも状の繊維集合体2,3の太さが、清掃部6の厚みに相当する。清掃部6における清掃シート1Aの厚みは300Pa荷重下において、2〜20mm、特に3〜10mmであることが好ましい。
【0028】
第1実施形態においては、基材シート4のX方向の全長に亘り、より数の高い繊維集合体2からなる第1繊維集合群20及びより数の低い繊維集合体3からなる第2繊維集合群30それぞれが配置されているので、第1繊維集合群20の各より数の高い繊維集合体2のX方向の長さ、及び第2繊維集合群30の各より数の低い繊維集合体3のX方向の長さは、基材シート4のX方向の長さと実質的に同じである。しかしながら、これに代えて、第1繊維集合群20の各より数の高い繊維集合体2のX方向の長さ、又は第2繊維集合群30の各より数の低い繊維集合体3のX方向の長さを基材シート4のX方向の長さよりも長くしてもよい。
【0029】
基材シート4とひも状の繊維集合体2,3とは、図1に示すように、接合部5にて接合されている。接合部5は、各より数の高い繊維集合体2を基材シート4に安定的に接合し、捕集性と固定性を両立する観点から、2個〜20個配されていることが好ましく、第1実施形態においては、8個の接合点が配されている。接合部5は、各より数の低い繊維集合体3を基材シート4に安定的に接合し、捕集性や追従性と両立する観点から、2個〜20個配されていることが好ましく、第1実施形態においては、8個の接合点が配されている。第1実施形態の清掃シート1Aにおいては、図1に示すように、各より数の高い繊維集合体2を基材シート4に接合する接合部5及び各より数の低い繊維集合体3を基材シート4に接合する接合部5は、それぞれ、均等な間隔を空けてX方向に断続的に配されているが、均等な間隔でなくてもよい。
【0030】
各より数の高い繊維集合体2は、比較的大きめのダストを基材シート4とY方向に隣り合うより数の高い繊維集合体2,2との間で挟み込む観点から、X方向に隣り合う接合部5同士の間でループを形成しないように、即ち、弛みの無いように、X方向に隣り合う接合部5同士の間隔と、X方向に隣り合う接合部5同士の間のより数の高い繊維集合体2の長さと略同じであることが好ましい。より数の高い繊維集合体2を接合するX方向に隣り合う接合部5同士の間隔は、5mm〜50mmであることが好ましい。尚、より数の高い繊維集合体2の長さは、より数の高い繊維集合体2を構成する短繊維の長さであり、上述した方法で求めることができる。
【0031】
一方、図3に示すように、各より数の低い繊維集合体3は、綿状のダストを絡め取り、絡め取ったダストを保持する観点から、X方向隣り合う接合部5同士の間でループを形成するように、ひも状繊維集合体のひも状に伸びる方向の隣り合う接合部5同士の間隔(L3)よりも、隣り合う接合部5同士の間のより数の低い繊維集合体3の長さ(L4)が長いことが好ましい。より数の低い繊維集合体3を接合するX方向に隣り合う接合部5同士の間隔(L3)は、5mm〜100mmであることが好ましく、隣り合う接合部5同士の間のより数の低い繊維集合体3の長さ(L4)は、10mm〜50mmであることが好ましい。隣り合う接合部5同士の間のより数の低い繊維集合体3の長さ(L4)は、X方向に隣り合う接合部5同士の間隔(L3)に対して、1.0倍〜10倍であることが好ましく、1.2倍〜5倍であることが更に好ましい。尚、より数の低い繊維集合体3の長さも同様に、より数の低い繊維集合体3を構成する短繊維の長さとして求めることができる。
【0032】
ひも状の繊維集合体2,3を構成する短繊維としては、例えば熱可塑性樹脂からなる合成繊維、コットンや麻、ウールなどの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維などを用いることができる。これらの繊維は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ひも状の繊維集合体2,3と基材シート4との接合のしやすさを考慮すると、短繊維としては、熱融着が容易に行える材料である熱可塑性樹脂からなる合成繊維を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂などを用いることができる。合成繊維は、単一の樹脂から構成されていてもよく、あるいは2種以上の樹脂を組み合わせてなる複合繊維(例えば芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維や分割繊維)であってもよい。
【0033】
短繊維には薬剤が塗工されていてもよい。ドライな乾式清掃を目的とした薬剤の塗工によって、ごみの吸着を利用した捕集性が高まる。そのような薬剤としては各種油剤成分が挙げられる。油剤成分としては、例えば、鉱物油、合成油、シリコーン油などの油剤、及び該油剤成分に界面活性剤、溶剤、酸化防止剤、香料などを混合したものを用いることができる。油剤成分をはじめとする薬剤の塗工量は、短繊維の重量に対して0.1〜50重量%程度とすることができる。
【0034】
清掃シート1Aをウエットな湿式清掃の目的ために用いる場合には、これに洗浄剤を含浸することによって、シミ汚れや固形物のこびりつき汚れが溶解して洗浄性が高まる。洗浄剤としては、界面活性剤、溶剤、除菌剤、防腐剤、香料、水などを混合したものを用いることができる。洗浄剤の含浸量は、短繊維の重量に対して、20〜500重量%程度とすることができる。
【0035】
ドライな乾式清掃及びウエットな湿式清掃の目的のために用いられることに加え、清掃シート1Aは、水、市販されている洗浄剤、ワックス剤等の液を拭き伸ばしたり、拭き取ったり、含浸したりするといった、雑巾のような使い方をすることもできる。
【0036】
以上の短繊維からなるひも状の繊維集合体2,3は、一般的には紡績工程による撚り合わせによって製造されたものが使用される。
【0037】
ひも状の繊維集合体2,3が固定される基材シート4としては、ひも状の繊維集合体2,3との接合の容易さの点から、例えば合成樹脂からなる各種不織布やフィルム、パルプからなる抄紙板紙、パルプに合成樹脂を混抄した抄紙板紙、あるいはそれらの複合材を用いることができる。不織布を用いる場合には、例えばスパンレース不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布などが好適な例として挙げられる。これらの不織布の坪量は、強度やこしの強さ等の点から、3〜200g/m2、特に10〜100g/m2であることが好ましい。同様の理由から、フィルムを用いる場合、その坪量は3〜500g/m2、特に10〜250g/m2であることが好ましい。抄紙板紙を用いる場合、その坪量は10〜500g/m2、特に20〜250g/m2であることが好ましい。基材シート4を構成する合成樹脂としては、短繊維を構成する合成樹脂として前述したものと同様のものを用いることができる。
【0038】
清掃シート1Aは、例えば図4に示すように、清掃具100に装着されて使用される。清掃具100は、清掃シート1Aが装着可能なヘッド部101及びヘッド部101に自在継手103を介して連結された棒状の柄102から構成されている。ヘッド部101の装着面(底面)は、平面視で長方形状であり、通常の使用態様においては、清掃具100は、ヘッド部101をそのY方向に移動(特に往復移動)させて清掃を行う。清掃シート1Aは、基材シート4のフラップ部41を利用して、清掃具100のヘッド部101に装着される。清掃シート1Aにおいては、基材シート4における清掃部6が設けられていない他面4bがヘッド部101の装着面(底面)に対向するように、ヘッド部101に配される。次に、基材シート4におけるフラップ部41をヘッド部101の上面側に折り返し、更にフラップ部41を、ヘッド部101における、放射状のスリットを有する可撓性の複数のシート保持部104内に押し込む。このように、基材シート4のフラップ部41を利用して、清掃シート1Aを清掃具100のヘッド部101に固定することができる。清掃シート1Aは、この状態で、例えば、フローリング、壁、天井、ガラス、畳、鏡や家具、家電製品、家の外壁、自動車のボディなどの硬質表面の拭き清掃に用いることができる。
【0039】
次に、第1実施形態の清掃シート1Aの好適な製造方法について図7を参照しながら説明する。図7に示す製造装置50においては、先ず、基材シート4の原反ロール40Aから帯状の基材シート4’が繰り出される。これとは別に、予め製造されたひも状のより数の高い繊維集合体2の巻き取りロール20Aからひも状のより数の高い繊維集合体2の長尺状原料2’が繰り出され、巻き取りロール20Aの下流側に配された、予め製造されたひも状のより数の低い繊維集合体3の巻き取りロール30Aからひも状のより数の低い繊維集合体3の長尺状原料3’が繰り出され、帯状の基材シート4’の一方の面上に、長尺状原料2’及び3’が配置される。なお、図7においては、ひも状のより数の高い繊維集合体2の長尺状原料2’及びひも状のより数の低い繊維集合体3の長尺状原料3’は、それぞれ1本ずつ繰り出されているように表されているが、実際は、図1に示す清掃シート1Aの清掃部6を形成する為に、それぞれ複数本ずつ繰り出されている。また、図7に示す製造装置50においては、巻き取りロール20Aの下流側に、巻き取りロール30Aが配されているが、巻き取りロール30Aの下流側に、巻き取りロール20Aが配されていてもよい。
【0040】
ひも状のより数の高い繊維集合体2の長尺状原料2’、及びひも状のより数の低い繊維集合体3の長尺状原料3’が載置された帯状の基材シート4’は、エンボス装置51に導入される。エンボス装置51は、周面に多数の突起51cが分散配置された第1のロール51aと、第1のロール51aに対向配置されたアンビルロール51bとを備えている。両ロール51a,51bは、第1のロール51aにおける突起51cが、アンビルロール51bの周面と接触するか、又は該周面に近接するような距離関係で配置されている。両ロール51a,51bのうち、少なくとも第1のロール51aは加熱されている。このようなエンボス装置51の他に、ロール51aに対向配置されたアンビルロール51bのロールに代えて、第1のロール51aの突起51cと同様のロールを配置し、突起51cどうしを接触させるエンボス方法(Tip to Tip方式)を用いることもできる。エンボス装置51を用いた熱及び圧力の作用によって、長尺状原料2’及び3’を構成する繊維及び帯状の基材シート4’が溶融固化し、長尺状原料2’,3’及び帯状の基材シート4’が接合する。この接合によって、複数の接合部5(図1参照)が形成される。接合部5の形状は、おおむねドット(円形)状で示されているが、これに代えて楕円状、三角状、四角状やV字状、十字状などのドット(円形)状以外の形状を用いることもできる。
【0041】
このようにして、帯状の清掃シート1A’が得られる。次に、この帯状の清掃シート1A’は幅方向裁断装置52に導入される。幅方向裁断装置52は、ロールの軸方向に延びる凸条刃52cが、周方向に所定間隔をおいて配置された第1のロール52aと、該第1のロール52aに対向配置されたアンビルロール52bとを備えている。両ロール52a,52bは、第1のロール52aにおける凸条刃52cが、アンビルロール52bの周面と接触するか、又は該周面に近接するような距離関係で配置されている。帯状の清掃シート1A’が、幅方向裁断装置52に導入されることで、帯状の清掃シート1A’は、所定間隔をおいて幅方向に沿って切断される。この切断によって帯状の清掃シート1A’は枚葉のものとなり、目的とする清掃シート1Aが得られる。
【0042】
なお、本製造方法においては、薬剤塗工装置を、図7に示すエンボス装置51のすぐ下流の位置に設置してもよい。薬剤の塗工には、例えば噴霧装置が用いられる。また、薬剤の塗工にグラビアロール塗工方法を用いてもよい。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態の清掃シートについて、図5に基づいて説明する。
第2実施形態の清掃シート1B(以下、「清掃シート1B」ともいう)については、第1実施形態の清掃シート1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は清掃シート1Aと同様であり、清掃シート1Aの説明が適宜適用される。
【0044】
第2実施形態の清掃シート1Bにおいては、図5に示すように、第1繊維集合群20は、5本のより数の高い繊維集合体2から形成されており、第2繊維集合群30は、2本のより数の低い繊維集合体3から形成されている。
【0045】
第2実施形態の清掃シート1Bにおいては、図5に示すように、基材シート4の一面4aに、1個の第1繊維集合群20が配されており、基材シート4の一面4aに、2個の第2繊維集合群30が配されている。第2実施形態の清掃シート1Bにおいては、図5に示すように、Y方向の中央部に1個の第1繊維集合群20が配され、第1繊維集合群20のY方向の外方それぞれに、第2繊維集合群30が配されて、清掃部6が形成されている。
【0046】
第2実施形態の清掃シート1Bの形成材料について説明する。第2実施形態の清掃シート1Bについては、第1実施形態の清掃シート1Aの形成材料と同様である。
【0047】
上述した本発明の第2実施形態の清掃シート1Bを使用した際の作用効果について説明する。
第2実施形態の清掃シート1Bの効果については、清掃シート1Aの効果と同様である。
【0048】
次に、本発明の第3実施形態の清掃シートについて、図6に基づいて説明する。
第3実施形態の清掃シート1C(以下、「清掃シート1C」ともいう)については、第1実施形態の清掃シート1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は清掃シート1Aと同様であり、清掃シート1Aの説明が適宜適用される。
【0049】
第3実施形態の清掃シート1Cにおいては、図6に示すように、複数のより数の高い繊維集合体2及び複数のより数の低い繊維集合体3それぞれは、Y方向に延びるひも状の形状を有しており、基材シート4の一面4a上にX方向に並置されている。
【0050】
第3実施形態の清掃シート1Cにおいては、図6に示すように、第1繊維集合群20は、3本のより数の高い繊維集合体2から形成されており、第2繊維集合群30は、2本のより数の低い繊維集合体3から形成されている。
【0051】
第3実施形態の清掃シート1Cにおいては、図6に示すように、基材シート4の一面4aに、4個の第1繊維集合群20が配されており、基材シート4の一面4aに、5個の第2繊維集合群30が配されている。第3実施形態の清掃シート1Cにおいては、図6に示すように、4個の第1繊維集合群20と5個の第2繊維集合群30とを有し、基材シート4のX方向の端部から順に第2繊維集合群30と第1繊維集合群20とが交互に配されて、清掃部6が形成されている。
【0052】
第3実施形態の清掃シート1Cの形成材料について説明する。第3実施形態の清掃シート1Cについては、第1実施形態の清掃シート1Aの形成材料と同様である。
【0053】
上述した本発明の第3実施形態の清掃シート1Cを使用した際の作用効果について説明する。
第3実施形態の清掃シート1Cの効果については、清掃シート1Aの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、清掃シート1Aの効果と同様であり、清掃シート1Aの効果の説明が適宜適用される。
【0054】
第3実施形態の清掃シート1Cにおいては、繊維集合体の配置が清拭方向と平行になるため、ごみがとりこみやすい。
【0055】
本発明の清掃シートは、上述の第1,第2,第3実施形態の清掃シート1A,1B,1Cに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の第1,第2,第3実施形態の清掃シート1A,1B,1Cにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
【0056】
例えば、上述の第1,第2,第3実施形態の清掃シート1A,1B,1Cは、図1,図5,図6に示すように、より数の高い繊維集合体2からなる第1繊維集合群20と、より数の低い繊維集合体3からなる第2繊維集合群30は、X方向又はY方向に、隣り合って配されているが、第1繊維集合群20と第2繊維集合群30との間に、一本からなる更に別の繊維集合体を配してもよく、この別の繊維集合体からなる繊維集合群を配してもよい。また、清掃部6の一部において第1繊維集合群20と第1繊維集合群20とを区切る為に、一本からなるより数の低い繊維集合体3を配してもよく、又は、第2繊維集合群30と第2繊維集合群30とを区切る為に、一本からなるより数の高い繊維集合体2を配してもよい。
【0057】
また、上述の第1,第2,第3実施形態の清掃シート1A,1B,1Cは、図3に示す清掃具に装着されて使用した例を示したが、これに代えて、本出願人の先の出願に係る特開平9−299305号公報に記載の、挿入空間を有する扁平な袋状に形成された清掃シートとなし、該清掃シートを、同公報に記載のハンディワイパータイプの清掃具に装着してもよく、あるいは手で直接把持して清掃を行ってもよい。
また、前記実施形態においては、基材シート41の片面にのみ清掃部を形成したが、これに代えて基材シート41の両面に清掃部を形成してもよい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
【0059】
〔実施例1〕
図7に示す装置を用い清掃シート1Aを製造した。基材シート4として、坪量30g/m2のスパンボンド不織布を用いた。この不織布は、ポリエステル繊維から構成されていた。基材シート4は、長手方向Xの長さが280mm、幅方向Yの長さが210mmであった。この基材シート4の一面上に、3個の第2繊維集合群30と2個の第1繊維集合群20とをY方向に交互に配した。各第1繊維集合群20は、3本のより数の高い繊維集合体2を0.01mmの間隔(L1)で配して形成されたものである。より数の高い繊維集合体2は、その横断面は円形であり、太さは3mmであった。より数の高い繊維集合体2は、繊維長64mmのポリエステル短繊維集合体の3本を、リング撚糸機を使用して、より数200回/mで撚り合わせることにより形成されたものである。各第2繊維集合群30は、2本のより数の低い繊維集合体3を7mmの間隔(L2)で配して形成されたものである。より数の低い繊維集合体3は、その横断面は円形であり、太さは5mmである。より数の低い繊維集合体3は、繊維長78mmのポリエステル短繊維集合体の3本を、リング撚糸機を使用して、より数10回/mで撚り合わせることにより形成されたものである。各より数の高い繊維集合体2及び各より数の低い繊維集合体3を基材シート4の一面上に、熱シール機によって、8個の接合部5を介して接合し、清掃部6を形成した。各より数の高い繊維集合体2を接合する接合部5同士の間隔は30mmであった。各より数の低い繊維集合体3を接合する接合部5同士の間隔(L3)は10mmであり、接合部5同士の間のより数の低い繊維集合体3の長さ(L4)は30mmであった。このようにして、図1に示す清掃シート1Aを得た。
【0060】
〔実施例2〕
図7に示す装置を用い清掃シート1Bを製造した。基材シート4として、実施例1と同様のものを用いた。この基材シート4の一面上に、Y方向の中央部に第2繊維集合群30を配し、第2繊維集合群30のY方向の外方それぞれに第1繊維集合群20を配した。各第1繊維集合群20は、5本のより数の高い繊維集合体2を1mmの間隔(L1)で配して形成されたものである。より数の高い繊維集合体2は、ポリエステル短繊維を、より数300回/mで撚り合わせる以外は、実施例1と同様のものである。各第2繊維集合群30は、2本のより数の低い繊維集合体3を15mmの間隔(L2)で配して形成されたものである。より数の低い繊維集合体3は、ポリエステル短繊維を、より数10回/mで撚り合わせる以外は、実施例1と同様のものである。各より数の高い繊維集合体2及び各より数の低い繊維集合体3を基材シート4の一面上に、実施例1と同様に、接合部5を介して接合し、清掃部6を形成した。各より数の高い繊維集合体2を接合する接合部5同士の間隔は、実施例1と同様であった。各より数の低い繊維集合体3を接合する接合部5同士の間隔(L3)は15mmであり、接合部5同士の間のより数の低い繊維集合体3の長さ(L4)は15mmであった。このようにして、図5に示す清掃シート1Bを得た。
【0061】
〔実施例3〕
図7に示す装置を用い清掃シート1Cを製造した。基材シート4として、実施例1と同様のものを用いた。この基材シート4の一面上に、5個の第2繊維集合群30と4個の第1繊維集合群20とをX方向に交互に配した。より数の高い繊維集合体2は、ポリエステル短繊維を、より数300回/mのものを使用した。それ以外は実施例1と同様のものである。このようにして、図6に示す清掃シート1Cを得た。
【0062】
〔比較例1〕
比較例1の清掃シートは、より数の高い繊維集合体2及びより数の低い繊維集合体3を有していないものであり、比較例1の清掃シートとしては、商品名「おそーじじょーず」(販売元:株式会社大創産業)を用いた。
【0063】
〔比較例2〕
比較例1の清掃シートは、より数の低い繊維集合体3を有しておらず、より数の高い繊維集合体2のみを基材シート4の一面上に配して形成されたものである。具体的には、比較例1の清掃シートは、実施例1と同様の基材シート4の一面上に、14本のより数の高い繊維集合体2を10mmの間隔で配して形成されたものである。より数の高い繊維集合体2は、実施例1と同様のものである。このようにして、比較例1の清掃シートを得た。
【0064】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた清掃シートを、花王株式会社製のクイックル(登録商標)ワイパーのヘッド部に装着し、綿状のダストの捕集性、粒状のダストの捕集性及び床面への追従性を次の方法で評価した。その結果を表1に示す。清掃対象面として、木製のフローリングの溝(National社製KER7UE V溝深さ1mm、幅2mm)を使用した。綿状のダストの捕集性は、直径15mmの略球状の綿10個を散布した後、清掃面を追従させるように4往復清拭した。清拭後、清掃面に残った綿状のダストを目視観察して判定を行った。粒状のダストの捕集性は、ゴマ粒を10粒散布した後、清掃面を追従させるように5往復清拭した。清拭後、清掃面に残ったゴマ粒を目視観察して判定を行った。床面への追従性は、引き戸用のレールにコットンリンタを適量まき、ヘッド部の縦方向に2往復且つ横方向に2往復の清拭を1セットとし、まいたコットンリンタを完全に拭き取る回数を目視観察して判定を行った。尚、評価結果は、実施例及び比較例で得られた清掃シートを用いて、各項目について3回評価した結果の平均値である。評価基準は以下のとおりである。
【0065】
〔綿状のダストの捕集性〕
○:凹凸部分及びその周辺部に撒布した綿の75%以上を捕集する。
△:凹凸部分及びその周辺部に撒布した綿の50%以上を捕集する。
×:凹凸部分及びその周辺部に撒布した綿の50%未満を捕集する。
〔粒状のダストの捕集性〕
○:凹凸部分及びその周辺部に撒布したゴマ粒の75%以上を捕集する。
△:凹凸部分及びその周辺部に撒布したゴマ粒の50%以上を捕集する。
×:凹凸部分及びその周辺部に撒布したゴマ粒の50%未満を捕集する。
〔床面への追従性〕
○:拭き取る回数が5セット以下で撒布したコットンリンタを完全に捕集する。
△:拭き取る回数が10セット以下で撒布したコットンリンタを完全に捕集する。
×:拭き取る回数が11セット以上でも撒布したコットンリンタを完全に捕集できない。
【0066】
【表1】

【0067】
表1に示す結果から明らかなように、各実施例の清掃シートは、比較例の清掃シートに比べ、粒状のダストの捕集性及び床面への追従性が良好であることが判る。これに対して、より数の高い繊維集合体2及びより数の低い繊維集合体3を有していないシート状の比較例1の清掃シート及びより数の高い繊維集合体2のみを配して形成された比較例2の清掃シートは、粒状のダストの捕集性及び床面への追従性が劣ることが判る。
【符号の説明】
【0068】
1A,1B,1C 清掃シート
2 より数の高い繊維集合体
20 第1繊維集合群
3 より数の低い繊維集合体
30 第2繊維集合群
4 基材シート
4a 一面,4b 他面
41 フラップ部
5 接合部
6 清掃部
6a X方向に延びる側縁
50 製造装置
1A’ 帯状の清掃シート
2’ ひも状のより数の高い繊維集合体2の長尺状原料
20A ひも状のより数の高い繊維集合体2の巻き取りロール
3’ ひも状のより数の低い繊維集合体3の長尺状原料
30A ひも状のより数の低い繊維集合体3の巻き取りロール
4’ 帯状の基材シート
40A 基材シート4の原反ロール
51 エンボス装置
51a 第1のロール
51b アンビルロール
51c 突起
52 幅方向裁断装置
52a 第1のロール
52b アンビルロール
52c 凸条刃
100 清掃具
101ヘッド部
102 柄
103 自在継手
104 シート保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
短繊維からなり、該短繊維のより数(JIS L1095)が異なる複数の繊維集合体それぞれが、基材シートの少なくとも一面に複数の接合部を介して接合されて清掃部が形成されている清掃シートであって、
複数の前記接合部は、一方向に、所定間隔で配されており、
複数の前記繊維集合体それぞれは、一方向に延びるひも状の形状を有し、並置され、より数の高い繊維集合体からなる第1繊維集合群と、より数の低い繊維集合体からなる第2繊維集合群とを形成しており、
前記第1繊維集合群における各前記より数の高い繊維集合体同士の間隔が、前記第2繊維集合群における各前記より数の低い繊維集合体同士の間隔より短い清掃シート。
【請求項2】
前記より数の低い繊維集合体を構成する短繊維のより数(JIS L1095)が、10〜200回/mである請求項1に記載の清掃シート。
【請求項3】
前記より数の低い繊維集合体は、隣り合う前記接合部同士の間でループを形成するように、隣り合う該接合部同士の間隔よりも、隣り合う該接合部同士の間の前記より数の低い繊維集合体の長さが長い請求項1又は2に記載の清掃シート。
【請求項4】
前記第1繊維集合群における各前記より数の高い繊維集合体同士の間隔は、0.01〜2mmである請求項1又は2に記載の清掃シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−135999(P2011−135999A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297249(P2009−297249)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】