説明

清掃具用容器

【課題】収納した組み立て可能な清掃具の保管用としても用いることのできる簡便な清掃具用容器、それを用いた清掃具の保管方法及び清掃具製品を提供する。
【解決手段】表面側に膨出する清掃具収納部4が形成されたブリスターカバーと、該清掃具収納部の開口を閉蓋する蓋板3を有し、該ブリスターカバーの底面に自立用膨出部を有し、該ブリスターカバーの両側縁を背面側に折返して折り返し片5を形成し、該折り返し片の間に該蓋板を差し込んで組み立てる自立可能な清掃具用容器1であって、該清掃具収納部4は、柄及び清掃用部材からなる清掃具を分離した状態では収納できるが、該清掃具を組み立てた状態では収納できない形状であり、該蓋板3に切り起こし蓋11を形成可能とする2つの切り込みマーク10,10’又は2本の切り込み予定線を設けた清掃具用容器、それを用いた清掃具の保管方法及び清掃具製品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は清掃具用容器に関し、詳しくは、収納した清掃具の保管用としても用いることのできる清掃具用容器、それを用いた清掃具の保管方法及び清掃具製品に関する。
【背景技術】
【0002】
清掃具、日用雑貨、事務用品、機械部品、電化製品等の物品(商品)を包装し、販売する手段として、いわゆるブリスター容器が広く利用されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
ブリスター容器は、通常、透明な合成樹脂シートを膨隆状に成形したブリスターカバーと、このブリスターカバーの開口面側を閉蓋する蓋板で構成され、ブリスターカバー内の物品収納部に物品を収納した後、蓋板をブリスターカバーの開口面に被せて両者を一体的に組み立てて使用する容器である。
【0003】
このブリスター容器には、ブリスターカバーの両側縁を折り返し、この折り返し片の間に蓋板を挟持させて組み立てるものであって、このブリスターカバーに蓋板をスライド嵌合させて組み立てる、いわゆる「スライド組み立て式」と、ブリスターカバーと蓋板をシュリンク包装、ステープル止め、接着剤シール等を利用して組み立てる、いわゆる「接合組み立て式」とがある。
これらのブリスター容器は、上部にフック穴を設け、吊り下げることで陳列スペースを節約できる利点がある。
【0004】
このようなブリスター容器は、本来流通に用いられるものであるが、保管容器として再使用可能とする試みも行われている。例えば、裏紙を引き抜いてカバー表面を下にして机上に置いて筆記具置きとするもの(特許文献3)、ブリスターカバーの一部を切り取り、残りの部分を保管容器とするもの(特許文献4)、ブリスターカバーと蓋板を接着又は嵌合しうるもの(特許文献5及び6)等が知られている。
しかし、組み立て式清掃具等を保管しようとする場合、ブリスター容器の物品収納部の形状が組み立て後の商品の形状と異なるため、ブリスター容器に保管しようとしても商品の大部分がはみ出したり又は保管できないという問題があった。特に清掃具では、保管時の開口部分が大きいと、清掃具に付着した埃等が周囲に飛散するので、流通に用いたブリスター容器を保管用に活用することは、あまり行なわれていなかった。
【0005】
【特許文献1】実開昭58−183369号公報
【特許文献2】特開2003−221066号公報
【特許文献3】実開昭39−38592号公報
【特許文献4】特開2003−95324号公報
【特許文献5】特開2003−26230号公報
【特許文献6】特開2005−126103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、収納した組み立て可能な清掃具の保管用としても用いることのできる簡便な清掃具用容器、それを用いた清掃具の保管方法及び清掃具製品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、次の(1)〜(3)を提供する。
(1)表面側に膨出する清掃具収納部が形成されたブリスターカバーと、該清掃具収納部の開口を閉蓋する蓋板を有し、該ブリスターカバーの底面に自立用膨出部を有し、該ブリスターカバーの両側縁を背面側に折返して折り返し片を形成し、該折り返し片の間に該蓋板を差し込んで組み立てる自立可能な清掃具用容器であって、該清掃具収納部は、柄及び清掃用部材からなる清掃具を分離した状態では収納できるが、該清掃具を組み立てた状態では収納できない形状であり、該蓋板に切り起こし蓋を形成可能とする2つの切り込みマーク又は2本の切り込み予定線を設けた清掃具用容器、
(2)組み立てた状態の清掃具を、清掃具用容器に収納する清掃具の保管方法であって、該清掃具用容器は、表面に膨出する清掃具収納部が形成されたブリスターカバーと、該清掃具収納部の開口を閉蓋する蓋板を有し、該ブリスターカバーの底面に自立用膨出部を有し、該ブリスターカバーの両側縁を背面側に折返して折り返し片を形成し、該折り返し片の間に該蓋板を差し込んで組み立てられ、かつ自立可能とされており、該清掃具収納部は、柄及び清掃用部材からなる清掃具を分離した状態で収納できるが、該清掃具を組み立てた状態では収納できない形状であり、該蓋板に切り起こし蓋を形成可能とする2つの切り込みマーク又は2本の切り込み予定線を設けた清掃具用容器であり、該蓋板に切り込みを入れ、切り起こし蓋を形成することで、該組み立てた状態の清掃具の柄が該蓋板の上端辺より上方に飛び出した状態で、組み立てた状態の該清掃具を、該清掃具用容器に収納する清掃具の保管方法、
(3)柄及び清掃用部材からなる清掃具並びに上記(1)の清掃具用容器を有する清掃具製品であって、該清掃具は分離した状態で収納されており、該清掃具用容器は分離した状態の清掃具を収納した場合であっても、該清掃具用容器の蓋板に切り起こし蓋を形成して組み立てた状態の清掃具の清掃用部材側を収納し、該清掃具の柄が蓋板の上端辺より容器の上方に飛び出すようにした場合であっても、ブリスターカバーの脚部により自立可能である清掃具製品、
を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の清掃具用容器、それを用いた清掃具の保管方法及び清掃具製品によれば、流通に用いた清掃具用容器をそのまま保管用としても用いることができる。また、嵌合部等の特別な構成を付加する必要もないので、製造時のコストアップもない。さらに、清掃具の保管用として使用する場合も使い勝手が良く、容器保管時のスペースも節約できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(清掃具用容器)
本発明の清掃具用容器は、表面側に膨出する清掃具収納部が形成されたブリスターカバーと、該清掃具収納部の開口を閉蓋する蓋板を有し、該ブリスターカバーの底面に自立用膨出部を有し、該ブリスターカバーの両側縁を背面側に折返して折り返し片を形成し、該折り返し片の間に該蓋板を差し込んで組み立てる自立可能な清掃具用容器であって、該清掃具収納部は、柄及び清掃用部材からなる清掃具を分離した状態では収納できるが、該清掃具を組み立てた状態では収納できない形状であり、該蓋板に切り起こし蓋を形成可能とする2つの切り込みマーク又は2本の切り込み予定線を設けた清掃具用容器である。
本発明の清掃具用容器に収納される清掃具は、柄及び清掃用部材からなり、該柄は、例えばグリップやヘッド等の複数の部材から構成されてもよい。
【0010】
まず図面を参照して、本発明の清掃具用容器の一例について説明する。図1は、本発明の清掃具用容器(組み立て後)の一例を示す正面図であり、図2は、図1の清掃具用容器の分解図であり、(a)はブリスターカバーの正面図、(b)はブリスターカバーの底面図、(c)は蓋板の正面図である。図3は、図2(a)に示すブリスターカバーの斜視図である。図4は、図1の清掃具用容器の中敷の斜視図である。図5は、図1の清掃具用容器が収納する清掃具の分解図であり、(a)はヘッドの斜視図、(b)はグリップの斜視図、(c)は清掃用部材の斜視図である。
【0011】
図1及び図2に示す、いわゆるスライド組み立て式のブリスター容器である清掃具用容器1は、透明な合成樹脂シート等から成形されたブリスターカバー2と、ブリスターカバー2と横方向の寸法がほぼ同一又は僅かに小さな略長方形の蓋板3を有する。ブリスターカバー2には、収納する清掃具の形状に合せた清掃具収納部4がその表面側に膨出するように形成されている。蓋板3は後述するように、ブリスターカバー2の開口面側すなわち清掃具収納部4の膨出する側と反対の面に被着され清掃具収納部4の開口を閉蓋する。
該清掃具収納部4は、清掃用部材を収納する大きな略半円筒状の清掃用部材収納部と、柄等の部品を収納する部品収納部とから構成されていてもよい。また、図2(c)において、蓋板3には、2つの切り込みマーク10,10’を設け、切り起こし蓋11を形成可能としている。ブリスターカバー2と蓋板3は、同じ平面形状を有する必要はないが、少なくとも清掃具収納部4は重なり合う形状となっている。
【0012】
図2(a)において、ブリスターカバー2の両側縁は清掃具収納部4が膨出しているのと反対の側、すなわち背面側に折り返されて、折り返し片5,5'が形成されており、ブリスターカバー2の上側縁にも折り返し片5''が設けられている。そして、ブリスターカバー2の両側縁の折り返し片5,5'の側縁の一部には孔部6,6'が形成されている。
一方、図2(c)において、蓋板3の両側縁には、ブリスターカバー2の孔部6,6'に係止される抜け止め用の係合部7,7'が、ブリスターカバー2の両側縁の孔部6,6'の間の幅よりも広幅になるように突設されている。そして、抜け止め用の係合部7,7'は、蓋板3を差し込む側から徐々に広幅となるテーパー状とし、差し込む側と反対側に蓋板3の側縁と概ね垂直又は鋭角となる側縁を設けることによって、蓋板3をブリスターカバー2にスライドした際の挿入を容易とし、かつ、挿入後の抜け止めが確実となるよう構成してある。
【0013】
すなわち、ブリスターカバー2の両側縁の折り返し片5,5'の間に、蓋板3を上端辺14から差し込むようにスライドさせて挿入すると、蓋板3の係合部7,7'の領域では、係合部7,7'の側縁が徐々に広幅となるテーパーによって押し広げられつつ挿入される。係合部7,7'がブリスターカバー2の孔部6,6'に到達し、孔部6、6‘に嵌合すると、係合部7,7'の挿入方向と反対側の側縁が孔部6,6'に係合する。すなわち、ブリスターカバー2が蓋板3から抜けないように孔部6、6‘と係合部7,7'とが相互に係止され、蓋板3はブリスターカバー2に挟持される。このため、清掃具用容器1の組み立て後は、清掃具収納部4に収納された清掃具は蓋板3が外れて落下することはない。なお、蓋板3の抜け防止をより確実なものとするために、ブリスターカバー2の底部に抜け落ち防止のための受部(図示せず)を設けることもできる。
ブリスターカバー2と蓋板3の係合は、双方が弾性変形可能であるため、すなわち、ブリスターカバー2は横に押し広げることができ、蓋板は撓ませて内側に押し込むようにしてその幅を狭くすることができるため、着脱自在となっている。蓋板3には物品情報表示等を印刷し、又は、店頭で目を引くための各種デザインを施すことができる。
なお、係合部7,7'と孔部6,6'との係合によらず、片面に粘着剤を塗布した紙片や合成樹脂片などによるシール材を貼付することにより、蓋板3を固定することもできる。
【0014】
清掃具用容器1の上部にはフック穴からなる吊下げ部8が設けられている。この吊下げ部8は、清掃具用容器1を組み立てた際に、ブリスターカバー2と蓋板3に設けた吊下げ部8の位置が一致するように設けられる。この吊下げ部8を利用して、清掃具用容器1を陳列台のバーに通して吊り下げることによって、狭いスペースに多数の清掃具用容器1を整然と陳列することができる。
また、図1〜3に示すように、ブリスターカバー2の下部(底面)には、清掃具収納部4より下方に突出するように自立用脚部9が設けられており、清掃具用容器1は、自立用脚部9の底面がショーケースや床面等の載置面に単独で、あるいは蓋板3とともに接することで自立する。これにより、展示販売のため清掃具の入った清掃具用容器1をショーケース等に載置する際に、起立させることができ、組み立て後の清掃具を保管する際にも、自立させることができる。
【0015】
ブリスターカバー2を形成する合成樹脂は特に限定されず、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート等の各種の樹脂を用いることができる。透明な合成樹脂シートを用いてブリスターカバー1を形成すれば、その清掃具の優れた外観、模様、色彩等を陳列時に視認させることができるため好ましい。
これらの合成樹脂からなるシートは、収納する清掃具の特性を考慮して適宜厚みを調整すればよく、通常0.1〜1mm、好ましくは0.3〜0.8mmの厚みとする。合成樹脂からなるシートは金型成形等により所望の形状に加工される。ブリスターカバー2に形成されている清掃具収納部4は、収納される清掃用部材よりも、高さ方向及び厚み方向にゆとりがあると、組み立て後の清掃具の出し入れが容易となり、また、使用後の埃のついた清掃具を収納し、容器から抜き出して再使用する場合にも、容器底部に堆積した埃等が容器外に飛び出しにくく、好ましい。
蓋板3の材質は特に限定されず、合成樹脂シート、板紙、合成紙、合成樹脂シートと板紙又は合成紙等からなる積層材等を用いることができる。これらの中では、取扱いの利便性や印刷等の加工性の観点からコート板紙が好ましい。
【0016】
図2(c)に示す本発明の清掃具用容器1の一例では、蓋板3には切り起こし蓋を形成可能とする切り込みマーク10,10’が印刷されている。切り込みマーク10,10’は、蓋板3に印刷するだけで簡易に設けることができるため、既存の製造プロセスを変更する必要がなく、従ってほとんどコストアップを伴わずに既存の製品に設けることが可能である。
該蓋板3には、少なくともいずれか片面に切り込みマーク10,10’が印刷されている。この切り込みマーク10,10’は、消費者が蓋板3の上端辺14より切り込みマーク10,10’までの間に略並行に切り込みを入れることで切り起こし蓋を形成可能とするものであり、蓋板3の一面につき2つずつ印刷される。また、切り込みマーク10,10’は、消費者に適当な切り込み位置を示唆できるものであればよく、三角形、四角形、菱形等の多角形、直線、十字、星形、円、L字、これらの組み合わせ等が挙げられるが、十字又は円が好ましく、切り込み位置を明確に示唆できる点で十字が最も好ましい。
切り込みマーク10,10’の位置は、ブリスターカバー2及び収納される清掃具の形状及び重心によって変わるが、切り起こし蓋を形成した際に組み立てた清掃具の出し入れが可能な程度に下端寄りであれば好ましく、さらに、組み立てた清掃具を収納した際に倒れにくくする観点から、蓋板3の長さ方向の中心を通る水平線より上端辺寄りであると好ましく、組み立てた清掃具を収納した際の清掃具の重心の位置より上端寄りであるとより好ましい。2つの切り込みマーク10,10’の間隔は、蓋板3の幅と切り込みマーク10,10’の終端を結ぶ線の長さの比で、1:0.5〜1:0.8程度であると、清掃具の出し入れが容易となり好ましい。
【0017】
蓋板3には、切り起こし蓋の形成方法等を示す指示図等を設けることができる(図示せず)。その場合、蓋板3のいずれか片面に、切り込みマーク10,10’とともに印刷すると簡易に設けることができ、経済性の点で好ましい。この指示図は、消費者が蓋板3の上端辺14より切り込みマーク10,10’まで略並行に切り込みを入れ、ブリスターカバー2と組み合わせることで、組み立てた清掃具を収納可能な清掃具用容器1とすることができる点を消費者に示すものであればよく、例えば、図のみ又は図と文章の組み合わせで構成できる。
【0018】
清掃具用容器1は、分離した状態の清掃具を収納した場合であっても、組み立てた状態の清掃具を収納した場合であっても、ブリスターカバー2の自立用脚部9等によって自立可能であるが、自立した状態において、蓋板3は鉛直方向からブリスターカバー2の方向に若干傾いていると、特に組み立てた清掃具を収納した際に蓋板3の方向に倒れにくくなる点で好ましい。具体的には鉛直方向に対し角度にして3〜10°傾いているのが好ましく、5〜7°傾いているのが更に好ましい。
ブリスターカバー2の自立用脚部9の底面の角度や、自立用脚部9の底面と蓋板3の下端辺15との距離及び角度を調節することで、本発明の清掃具用容器1が自立した際の上記の角度を調節することができる。
また、自立用脚部9は、横方向に充分な幅を有していることが倒れにくくなるので好ましい。具体的には、横幅が蓋板の幅の半分以上であるのが好ましく、また、蓋板側に向うに従って横幅が広がるようにするのが一層好ましい。
【0019】
清掃具用容器1は、さらに図4に示すような清掃用部材と柄を固定するための中敷16を有していると、清掃具を安定した状態で流通に供することができる。
該中敷16は、透明な合成樹脂シート等から成形され、蓋板3側に少なくともヘッド収納部17及びグリップ収納部18である凹部を有し、さらに清掃用部材固定部19を有してもよい。該中敷16を形成する合成樹脂は特に限定されず、前述のブリスターカバーを形成する合成樹脂と同様のものを用いることができる。
【0020】
清掃具用容器1に収納される清掃具は、例えば、図5に示すヘッド20、グリップ21及び清掃用部材22から構成されている。ヘッド20は、後述するヘッド嵌挿部32と嵌合する形状のグリップ嵌合部30及び清掃用部材装着部31を有する。グリップ21は前記グリップ嵌合部30と嵌合する形状のヘッド嵌挿部32及びキノコ状の係止部33を有する。清掃用部材22は、二重の基材シート34,34’に、例えば半円状の切り込みを入れることで構成される係合部35及び塵埃を吸着しやすい材質からなる繊維状モップ部36を有する。ヘッド20、グリップ21及び清掃用部材22は分離した状態で清掃具用容器1に収納されており、ヘッド20のグリップ嵌合部30とグリップ21のヘッド嵌挿部32とを嵌合し、ヘッド20の清掃用部材装着部31を清掃用部材22の二重の基材シート34,34’の間に挿入し、係合部35を係止部33に係合させることで組み立てることができる。組み立てた状態の清掃具は全長が長すぎるため、そのままでは清掃具用容器1に収納することはできない。
【0021】
次に、本発明の清掃具用容器の一例について、その使用方法を説明する。
図6は、図1の清掃具用容器1にヘッド20、グリップ21及び清掃用部材22に分離した状態の清掃具が収納され、蓋板3が取り外された状態を示す背面図である。清掃具は、ヘッド20、グリップ21及び清掃用部材22に分離した状態で、ブリスターカバー2、中敷16、蓋板3の順に重ね合わされた清掃具用容器1に収納されている。ここで、中敷16は透明であるため、その凹部、すなわちヘッド収納部17、グリップ収納部18及び清掃用部材固定部19のみを図示した。まず、清掃用部材収納部23を有するブリスターカバー2に、清掃用部材22が収納される。このブリスターカバー2に、ヘッド収納部17及びグリップ収納部18を有する中敷16が重ねられ、ヘッド20及びグリップ21がそれぞれ収納される。該中敷16が重ねられることで、清掃用部材固定部19が清掃用部材22を斜め上方に押し上げ、該清掃用部材22を固定する。また、ブリスターカバー2と清掃用部材22の間に清掃具の特徴等を示すフィルム又は紙等のラベル(図示せず)を配置すると、清掃具製品が未開封状態であっても、該ラベルを外側から視認可能とできる。
【0022】
分離した状態の清掃具は、上述のようにブリスターカバー2及び中敷16に収納され、さらに蓋板3で清掃具収納部4が閉蓋された状態で流通に供することができる。このとき、蓋板3の係合部7,7’がブリスターカバー2の折り返し片5,5'の側縁に形成された孔部6,6'に嵌合している。
消費者は清掃具用容器1に入った清掃具を購入後、蓋板3をスライドさせてブリスターカバー2から取り外す。次いで、清掃具収納部4からヘッド20、グリップ21及び清掃用部材22を取り出し、組み立てることで清掃具とする。組み立てた状態の清掃具は清掃具収納部4に収納しようとしてもそのままでは蓋板3で蓋をすることができない。
しかし、清掃具用容器1は、蓋板3に2つの切り込みマーク10,10’を有するため、蓋板3に切り起こし蓋を形成可能であり、消費者が該切り起こし蓋を形成することで、組み立てた状態の清掃具を収納することができる。
【0023】
まず、消費者はブリスターカバー2から取り外した蓋板3の上端辺14から切り込みマーク10,10’に向かって、はさみなどを用いて略並行に切り込みを入れることで切り込み12、12’を形成する(図7参照)。次に、清掃具を清掃具収納部4に収納しない状態で蓋板3をブリスターカバー2の折り返し片5,5'に再び挿入する。そして蓋板3の係合部7,7'がブリスターカバー2の折り返し片5,5'の側縁に形成された孔部6,6'で係止されることで、蓋板3がブリスターカバー2から抜けることがないようにする。
ここで、蓋板3の上端辺14の中央を摘み、手前に引くことにより、切り起こし蓋11を形成することで、清掃具収納部4に清掃具を差し込むことができ、図7に示したように、清掃用部材22が清掃具収納部4に収納され清掃具のグリップ21が上方に飛び出した状態で清掃具を保管することが可能となる。
切り起こし蓋11は蓋板3(板紙)の弾性により、閉じる方向に付勢されてほぼ閉じた状態となっているので、保管時に清掃用部材に付着した埃が周囲に飛散したり、清掃用部材に埃が付着することを防止できる。
また、前述のように、ブリスターカバー2の下部(底面)には、自立用脚部9が設けられているので、清掃具用容器1を自立させることができ、清掃具のグリップ21が上方に飛び出した状態で清掃具が保管されることとなるので、使用するときにもいちいち蓋を開ける必要がないばかりか、単にグリップ21を引き上げるだけで使用可能とできるので簡便である。
【0024】
また、本発明の清掃具用容器の別の態様では、切り込みマークに代えて切り込み予定線を設けることもできる。図8に本発明の清掃具用容器の別の態様における蓋板3の背面図を示す。
本態様では、蓋板3の上端辺14から下端辺15に向って2本の切り込み予定線24,24'を設け、これらを切り離すことで蓋板3の切り込み予定線の間に切り起こし蓋11を形成可能とした。
切り込み予定線24,24'は、消費者が使用時に切り離すことによって切り起こし蓋11を形成可能とする。切り込み予定線24、24'は、例えば、蓋板3の厚み方向の途中まで刃を入れ切断を容易にしたいわゆる半切線や、印刷された実線又は破線等で構成されると、蓋板3がミシン目等で打ち抜かれていない状態で清掃具用容器が流通に供されるため、気密性に優れ、清掃具への埃の付着を防ぐことができ、また、清掃具用容器1の強度を維持できる点から好ましく、特に印刷された実線又は破線等で構成されると、簡易な製造工程で設けることができるため、経済性の面でも好ましい。
半切線とすることで、はさみなどを用いずに切り込みができる。一方、輸送時の破断を防止するためには、切り込みにはさみを用いることを前提として材質及び厚みを適宜選択すると共に、印刷のみを施すのが好ましい。
【0025】
切り込み予定線24、24'は、蓋板3の上端辺14から下端辺15に向って、途中の位置まで、好ましくは清掃具の形状を考慮した所望の長さ、例えば蓋板3の長さの概ね2分の1までの長さになるよう設ければよい。切り込み予定線24,24'は、両者が略平行、ハの字状又は逆ハの字状になるように設けることができ、その際、清掃具の出し入れの容易性の観点から、両者の蓋板3の長辺13、13’に対する角度が0〜20°程度であることが好ましく、図5に示すように、略平行であるとより好ましい。切り込み予定線24と24’の間隔は、それらの傾きにもよるが、蓋板3の幅と切り込み予定線24と24’の終端を結ぶ線の長さの比で、1:0.5〜1:0.8程度であると、清掃具の出し入れが容易となり好ましい。
切り込み予定線24と24'の間には、両者を結ぶ折り曲げ予定線25を設けることが好ましく、折り曲げ予定線25は切り込み予定線24と24'の終端とを結ぶように設けることが好ましい。また、折り曲げ予定線25は印刷表示とすると蓋板3の弾性力で切り起こし蓋11が閉じる方向に付勢されるので好ましい。一方、型押しなどで蓋板に突条を設けた、いわゆる罫線とすると、付勢力を調整したり、開け易さを優先するには好ましい。
【0026】
このように、本発明の清掃具用容器では、蓋板に切り込みマーク又は切り込み予定線を設けるという簡単かつ低コストな構成により、蓋板に切り起こし蓋を形成可能とし、流通に用いた清掃具用容器をそのまま保管用としても用いることができる。
【0027】
(清掃具の保管方法)
本発明の清掃具の保管方法は、組み立てた状態の清掃具を、清掃具用容器に収納する清掃具の保管方法であって、該清掃具用容器は、表面に膨出する清掃具収納部が形成されたブリスターカバーと、該清掃具収納部の開口を閉蓋する蓋板を有し、該ブリスターカバーの底面に自立用膨出部を有し、該ブリスターカバーの両側縁を背面側に折返して折り返し片を形成し、該折り返し片の間に該蓋板を差し込んで組み立てられ、かつ自立可能とされており、該清掃具収納部は、柄及び清掃用部材からなる清掃具を分離した状態で収納できるが、該清掃具を組み立てた状態では収納できない形状であり、該蓋板に切り起こし蓋を形成可能とする2つの切り込みマーク又は2本の切り込み予定線を設けた清掃具用容器であり、該蓋板に切り込みを入れ、切り起こし蓋を形成することで、該組み立てた状態の清掃具の柄が該蓋板の上端辺より上方に飛び出した状態で、組み立てた状態の該清掃具を、該清掃具用容器に収納する清掃具の保管方法である。
【0028】
(清掃具製品)
本発明の清掃具製品は、柄及び清掃用部材からなる清掃具並びに本発明の清掃具用容器を有する清掃具製品であって、該清掃具は分離した状態で収納されており、該清掃具用容器は分離した状態の清掃具を収納した場合であっても、該清掃具用容器の蓋板に切り起こし蓋を形成して組み立てた状態の清掃具の清掃用部材側を収納し、該清掃具の柄が蓋板の上端辺より容器の上方に飛び出すようにした場合であっても、ブリスターカバーの脚部により自立可能である清掃具製品である。
本発明の清掃具製品は、組み立てた状態の清掃具を収納して自立した場合において、蓋板が鉛直方向からブリスターカバーの方向に好ましくは3〜10°、より好ましくは5〜7°傾いていると、組み立てた清掃具を収納した状態の清掃具製品が蓋板の方向に倒れにくくなる点で好ましい。
【0029】
本発明の清掃具製品における清掃具は、少なくとも柄及び清掃用部材を有し、湿式の清掃具であっても乾式の掃除具であってもよいが、特に乾式のものであると清掃用部材が乾燥しているため、ブリスターカバーの内面が汚れたり、蓋板が濡れてその剛性が低下したりしにくく、さらに、清掃用部材が捕集している塵埃が周囲に飛散しやすいという乾式の清掃具の欠点を補うことができる点で好ましい。この清掃具の具体例としては、前述の本発明の清掃具用容器に収納される、ヘッド、グリップ及び清掃用部材からなる清掃具を挙げることができる。
本発明の清掃具製品における清掃具は、例えば柄及び清掃用部材等の複数の部品に分離した状態では清掃具用容器に収納可能であるが、これらを組み立てた状態では収納できないものであればよい。複数の部品に分離している清掃具を組み立て可能とする機構としては、例えば柄及び清掃用部材が完全に分離しており、清掃用部材に柄を差し込み、柄及び/又は清掃用部材にマジックテープ(登録商標)、紐、ボタン、スナップ等の係止部を設けて係止可能としたり、柄又は清掃用部材に粘着剤層を設けて接着したり、柄に蝶番等を設けて折りたたみ可能としてもよい。清掃具を組み立て可能とする機構は、上記のように何度でも分離と組み立てを繰り返し可能とするものであると好ましいが、例えば接着、ねじ止め、釘うち等、不可逆的に組み立て可能とするものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の清掃具用容器は、流通に供したあと、組立て後の清掃具を保管する場合の清掃具用容器として、有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の清掃具用容器(組み立て後)の一例を示す正面図である。
【図2】図1の清掃具用容器の分解図であり、(a)はブリスターカバーの正面図、(b)はブリスターカバーの底面図、(c)は蓋板の正面図である。
【図3】図2(a)に示すブリスターカバーの正面側の斜視図である。
【図4】図1の清掃具用容器の中敷の斜視図である。
【図5】図1の清掃具用容器が収納する清掃具の分解図であり、(a)はヘッドの斜視図、(b)はグリップの斜視図、(c)は清掃用部材の斜視図である。
【図6】図1の清掃具用容器に清掃具が収納され、蓋板が取り外された状態を示す背面図である。
【図7】図1の清掃具用容器の背面側の斜視図であり、切り起こし蓋を起こして清掃具を保管した状態を示す。
【図8】本発明の清掃具用容器の別の態様における蓋板3の背面図である。
【符号の説明】
【0032】
1:清掃具用容器
2:ブリスターカバー
3:蓋板
4:清掃具収納部
5,5',5'':折り返し片
6,6':孔部
7,7':係合部
8:吊下げ部
9:自立用脚部
10,10’:切り込みマーク
11:切り起こし蓋
12,12':切込み
13,13’:長辺
14:上端辺
15:下端辺
16:中敷
17:ヘッド収納部
18:グリップ収納部
19:清掃用部材固定部
20:ヘッド
21:グリップ
22:清掃用部材
23:清掃用部材収納部
24,24’:切り込み予定線
25:折り曲げ予定線
30:グリップ嵌合部
31:清掃用部材装着部
32:ヘッド嵌挿部
33:係止部
34,34’:基材シート
35:係合部
36:繊維状モップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側に膨出する清掃具収納部が形成されたブリスターカバーと、該清掃具収納部の開口を閉蓋する蓋板を有し、該ブリスターカバーの底面に自立用膨出部を有し、該ブリスターカバーの両側縁を背面側に折返して折り返し片を形成し、該折り返し片の間に該蓋板を差し込んで組み立てる自立可能な清掃具用容器であって、該清掃具収納部は、柄及び清掃用部材からなる清掃具を分離した状態では収納できるが、該清掃具を組み立てた状態では収納できない形状であり、該蓋板に切り起こし蓋を形成可能とする2つの切り込みマーク又は2本の切り込み予定線を設けた清掃具用容器。
【請求項2】
自立した状態において、蓋板が鉛直方向から前記ブリスターカバーの方向に傾いている請求項1に記載の清掃具用容器。
【請求項3】
2つの切り込みマークが、蓋板の中心を通る水平線より上端辺寄りに設けられている、請求項1に記載の清掃具用容器。
【請求項4】
組み立てた状態の清掃具を、清掃具用容器に収納する清掃具の保管方法であって、該清掃具用容器は、表面に膨出する清掃具収納部が形成されたブリスターカバーと、該清掃具収納部の開口を閉蓋する蓋板を有し、該ブリスターカバーの底面に自立用膨出部を有し、該ブリスターカバーの両側縁を背面側に折返して折り返し片を形成し、該折り返し片の間に該蓋板を差し込んで組み立てられ、かつ自立可能とされており、該清掃具収納部は、柄及び清掃用部材からなる清掃具を分離した状態で収納できるが、該清掃具を組み立てた状態では収納できない形状であり、該蓋板に切り起こし蓋を形成可能とする2つの切り込みマーク又は2本の切り込み予定線を設けた清掃具用容器であり、該蓋板に切り込みを入れ、切り起こし蓋を形成することで、該組み立てた状態の清掃具の柄が該蓋板の上端辺より上方に飛び出した状態で、組み立てた状態の該清掃具を、該清掃具用容器に収納する清掃具の保管方法。
【請求項5】
柄及び清掃用部材からなる清掃具並びに請求項1〜3のいずれかに記載の清掃具用容器を有する清掃具製品であって、該清掃具は分離した状態で収納されており、該清掃具用容器は分離した状態の清掃具を収納した場合であっても、該清掃具用容器の蓋板に切り起こし蓋を形成して組み立てた状態の清掃具の清掃用部材側を収納し、該清掃具の柄が蓋板の上端辺より容器の上方に飛び出すようにした場合であっても、ブリスターカバーの脚部により自立可能である清掃具製品。
【請求項6】
前記清掃具製品が、組み立てた状態の清掃具を収納して自立した場合において、前記蓋板が鉛直方向から前記ブリスターカバーの方向に傾いている請求項5に記載の清掃具製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−23665(P2009−23665A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186185(P2007−186185)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【特許番号】特許第4085126号(P4085126)
【特許公報発行日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】