説明

清掃具

【課題】清掃クッション部材による清掃面を覆って取着される清掃シートを、被清掃面の周囲の形状に沿わせて変形させながら清掃作業や仕上げ作業を行うことのできる清掃具を提供する。
【解決手段】シート保持部20を備えるヘッド本体19と、ヘッド本体19に装着される清掃クッション部材17とからなり、弾性清掃面17aを覆って巻き付けられて清掃シート13が交換可能に取着される清掃ヘッド11を備える清掃具10であって、清掃クッション部材17は、周縁17bの一部に、ヘッド本体19の周縁19aから当該周縁19aに沿って間隔を保持して外方に突出して設けられる多数の弾性突片14,14’からなる周縁弾性変形部15を備えており、清掃ヘッド11に取着される清掃シート13は、弾性突片14,14’の先端で折り返された折返し縁辺13aが、周縁弾性変形部15の変形に伴って曲折可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃シートが着脱可能に取着される清掃ヘッドを備える清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッド本体と、このヘッド本体に装着されるスポンジ材等による清掃クッション部材とからなり、清掃クッション部材に液体洗浄液やワックス等の液剤を染み込ませて、床面等の被清掃面の清掃作業や仕上げ作業を行うようにした清掃具が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。また、清掃クッション部材による清掃面を覆って、清掃シートを着脱可能に取着して用いる清掃具も知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
これらの清掃具では、ヘッド本体は、一般に矩形の平面形状を有しており、例えばユニバーサルジョイントを介して連結された柄部を把持して、適度な押圧力で清掃クッション部材や清掃シートを被清掃面に押し付けつつ清掃作業や仕上げ作業を行うようになっている。
【特許文献1】特開2000−70205号公報
【特許文献2】特開平2−180237号公報
【特許文献3】実公平6−21421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の清掃具では、スポンジ材等による清掃クッション部材は、ヘッド本体と略同様の平面形状を有するように形成されていて、ヘッド本体の周縁から外側にあまりはみ出すことなく設けられることから、剛性のあるヘッド本体が邪魔になって、例えば角部分の被清掃面や、椅子やテーブルの脚等が配置された部分の被清掃面に対しては、これらの周囲の形状に沿わせて細部まで効率良く清掃作業や仕上げ作業を行うことが難しかった。特に、清掃クッション部材による清掃面を覆って清掃シートを交換可能に取着して用いる清掃具の場合、清掃シートは、ヘッド本体又は清掃クッション部材の周縁で折り返された状態で、その端部がヘッド本体の上面に係着されて着脱交換されることになるため、ヘッド本体や清掃クッション部材の形状に支配されて、可撓性を有する清掃シートを被清掃面の周囲の形状に沿わせて変形させることは困難である。
【0005】
本発明は、清掃クッション部材による清掃面を覆って交換可能に取着される可撓性を有する清掃シートを、被清掃面の周囲の形状に沿わせて変形させながら清掃作業や仕上げ作業を行うことのできる清掃具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上面にシート保持部を備えるヘッド本体と、該ヘッド本体に装着されて弾性清掃面を形成する清掃クッション部材とからなり、前記弾性清掃面を覆って巻き付けられて端部が前記シート保持部に係着されることにより、清掃シートが交換可能に取着される清掃ヘッドを備える清掃具であって、前記清掃クッション部材は、周縁の少なくとも一部に、前記ヘッド本体の周縁から当該周縁に沿って間隔を保持して外方に突出して設けられる多数の弾性突片からなる周縁弾性変形部を備えており、前記清掃ヘッドに取着される前記清掃シートは、前記弾性突片の先端で折り返された折返し縁辺において、前記周縁弾性変形部の変形に伴って曲折可能となっている清掃具を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の清掃具によれば、清掃クッション部材による清掃面を覆って取着される可撓性を有する清掃シートを、被清掃面の周囲の形状に沿わせて変形させながら清掃作業や仕上げ作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に示す本発明の好ましい一実施形態に係る清掃具10は、清掃ヘッド11に着脱交換可能に取着される使い捨て用の清掃シート13を取り付けて、例えば床面を被清掃面として清掃作業を行う際に用いられる。また、本実施形態の清掃具10は、清掃シート13が取着された清掃ヘッド11の周縁部分の少なくとも一部を変形可能とすることにより、当該変形可能な周縁部分を変形させて清掃シート13を曲折させながら、例えば角部分の床面や、椅子やテーブルの脚等が配置された部分の床面を、これらの周囲の形状に沿わせて細部まで効率良く清掃できるようにする機能を備えている。なお、本実施形態では、清掃シート13は、洗浄剤などを含浸させていない、所謂ドライシートである。
【0009】
本実施形態の清掃具10は、上面にシート保持部20を備えるヘッド本体19と、ヘッド本体19に装着されて弾性清掃面17a(図3参照)を形成する清掃クッション部材17とからなり、弾性清掃面17aを覆って巻き付けられて端部がシート保持部20に係着されることにより、清掃シート13が交換可能に取着される清掃ヘッド11を備える清掃具である。そして、図2にも示すように、清掃クッション部材17は、周縁17bの少なくとも一部に、ヘッド本体19の周縁19aから当該周縁19aに沿って間隔を保持して外方に突出して設けられる多数の弾性突片14,14’からなる周縁弾性変形部15を備えており、清掃ヘッド11に取着される清掃シート13が、この周縁弾性変形部15を包み込んでいる。これにより、弾性突片14,14’の先端で折り返された折返し縁辺13aが、周縁弾性変形部15の変形に伴って、その変形に倣うように曲折する。
【0010】
また、本実施形態では、ヘッド本体19は矩形平面形状を有しており、ヘッド本体19に装着される清掃クッション部材17の周縁弾性変形部15は、矩形平面形状の一つの長辺部分に、当該長辺部分の全長に亘って設けられている。
【0011】
本実施形態では、清掃具10を構成する清掃ヘッド11は、矩形平面形状を備えるように成形された合成樹脂製のヘッド本体19の下面側に、図3にも示すように、底面が平坦な矩形平面形状の弾性清掃面17aとなった清掃クッション17を装着して形成される。ヘッド本体19の上面部の中央部分には、ユニバーサルジョイント18を介して柄部12が連結している。清掃クッション17の弾性清掃面17aは、清掃時に柄部12からの押圧力を受けて、清掃シート13を介在させつつ被清掃面である床面に適度な力で押し付けられた状態で接触する。
【0012】
また、ヘッド本体19の上面部には、ジグザグ状のスリット20aが形成された柔軟な弾性材料からなる公知のシート保持部20が、当該上面部の4隅に設けられている。ヘッド本体19の下面側に取り付けられた清掃クッション部17を覆うようにして、清掃シート13を清掃ヘッド11に巻き付けた後に、清掃シート13の端部を、スリット20aを介してシート保持部20に押し込んで係着することにより、清掃シート13が清掃ヘッド11に着脱交換可能に容易に取着される。
【0013】
ユニバーサルジョイント18を介してヘッド本体19に連結される柄部12は、例えばSUS,アルミなどの金属製、あるいは合成樹脂製のパイプ部材からなり、清掃具10を用いて立った状態で清掃作業を行うのに適するように、例えば50〜120cm程度の長さを有している。また、柄部12は、ユニバーサルジョイント18を介してヘッド本体19に連結されていることにより、360°のいずれの方向に対しても回動でき、しかも清掃ヘッド11のヘッド角を調整できる。
【0014】
ヘッド本体19に装着されて弾性清掃面17aを形成する清掃クッション部材17は、例えばエラストマー樹脂類(スチレン系、ポリエステル系、ウレタン系、オレフィン系等)やゴム類(天然ゴム、シリコン等の合成ゴム等)や軟質樹脂類(LDPE、EVA等)、更にはこれらを発泡させた、発泡材料等からなり、柄部12からの押圧力を受けると共に床面に沿ったスライド方向の力を受けた際に、床面との密着状態を容易に保持できる程度の弾性を備えている。また清掃クッション部材17は、ヘッド本体19よりも一回り大きな略矩形平面形状を備えると共に、その上面側にヘッド本体19と略同様の大きさの凹嵌部17cを有している(図3参照)。この凹嵌部17cにヘッド本体19を嵌め込むことにより、清掃クッション部材17は、その周縁17bをヘッド本体19の周縁19aから外側にはみ出させた状態で、ヘッド本体19に着脱可能に装着される。清掃クッション部材17によって、例えば清掃作業中に清掃ヘッド11が壁面等に衝突した際の衝撃を緩和することができる。
【0015】
そして、本実施形態では、図2に示すように、清掃クッション部材17のスライド方向前方側の一つの長辺部分に沿った周縁17bに、当該長辺部分の全長に亘って周縁弾性変形部15が設けられている。周縁弾性変形部15は、多数の平面視二等辺三角形状の弾性突片14を、その底辺部分を当該周縁17bの周縁に沿って連設配置して設けると共に、その両端部に平面視縦長の直角三角形状の一対の弾性突片14’を、斜辺部分を内側に配置して設けることによって構成されている。
【0016】
また、これらの弾性突片14,14’は、隣接する弾性突片14,14’の間に三角形状の間隔を楔状に保持して連設配置されると共に、両端にある一対の直角三角形状の端部弾性突片14’、14’は、これらの間に配置される二等辺三角形状の他の弾性突片14よりもその長さが長くなっていることで、他の弾性突片14よりも清掃クッション部材17の外側に向かってより多く突出している。両端の一対の端部弾性突片14’が、こられの間に配置される弾性突片14よりも長くなっていることにより、角部などの細かな場所の形状に追従すると共に、清掃クッション部材17を覆う清掃シート13の中央が後退し、捕集したゴミを保持するという利点が得られる。
【0017】
本実施形態では、清掃ヘッド11の清掃クッション部材17による弾性清掃面17aを覆って取着される清掃シート13は、例えば不織布、紙、布等からなる、公知の各種の可撓性を備える清掃用のシート材料を用いることができる。清掃シート13は、弾性清掃面17aの全体を覆うように清掃ヘッド11に巻き付けて用いることが可能な大きさに予め裁断される。清掃シート13は、矩形平面形状を有する清掃ヘッド11の底面側から、両側の長辺部分に沿った清掃クッション部材17の周縁17bにおいて折返し縁辺13a,13bとして折り返えされ、その両端部をシート保持部20に押し込んで係着することにより、清掃ヘッド11に着脱交換可能に容易に取着される(図1参照)。
【0018】
そして、上述の構成を有する本実施形態の清掃具10によれば、清掃クッション部材17による弾性清掃面17aを覆って取着される可撓性を有する清掃シート13を、床面等の被清掃面の周囲の形状に沿わせて変形させながら清掃作業を効率良く行うことが可能になる。
【0019】
すなわち、本実施形態の清掃具10によれば、清掃クッション部材17の周縁17bに設けた多数の弾性突片14,14’からなる周縁弾性変形部15と、清掃ヘッド11に取着される清掃シート13の弾性突片14,14’の先端で折り返された折返し縁辺13aとが、周縁弾性変形部15の弾性変形に伴って曲折可能となっているので、当該周縁弾性変形部15の部分で、被清掃面である床面の周囲の形状に追従させつつ例えば埃の掻き出し操作を容易に行うことが可能になる。これによって、例えば壁や家具によって区画された角部分の被清掃面や、椅子やテーブルの脚等が配置された部分の被清掃面に対しても、これらの周囲の凹凸に追随してゴミや埃の掃き出し作業を容易に行うことが可能になり、被清掃面の細部まで効率良く清掃作業を行うことが可能になる。また、周縁弾性変形部15の部分で箒の掃き出し動作を再現することも可能になる。
【0020】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、清掃ヘッドのヘッド本体に連結される柄部は、棒状のパイプ部材である必要は必ずしも無く、短い長さの柄部を一体としてヘッド本体に連結固定して、いわゆるハンディタイプの清掃具として用いることもできる。清掃ヘッドに柄部を連結することなく用いることもできる。また、清掃クッション部材や清掃シートに液体洗浄液やワックス等の液剤を塗布したり供給できるようにして、湿式の清掃具として用いることもできる。
【0021】
さらに、間隔を保持して設けた多数の弾性突片からなる周縁弾性変形部は、三角形状の弾性突片を連設配置したものである必要は必ずしもなく、その他の種々の形状の弾性突片を連設配置したものであっても良い。図4に示すように、先端に略円形の膨出部分を備えるマッチ棒状の弾性突片21,21’ を連設配置したものであっても良い。さらにまた、周縁弾性変形部15は、図5(a)に示すように、清掃クッション部材17の両側の長辺部分の双方に設けることもできる。
【0022】
また、図5(b)に示すように、周縁19aが凹状に切欠かれた切欠き凹部22をヘッド本体19に設けておき、この切欠き凹部22において、周縁弾性変形部15の多数の弾性突片23を、ヘッド本体19の周縁19aから外方に突出して設けることもできる。このようにすることで、机の脚などの周りを確実に包み込んで清掃できる、また、弾性突片23のある中央のみ変形するので、広い場所の清掃効率向上と、狭い場所の清掃効率向上とを両立させた清掃具が容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る清掃具の斜視図である。
【図2】清掃ヘッドの構成を説明する要部平面図である。
【図3】清掃シートを取付ける前の状態の清掃ヘッドの、図2のA−Aに沿った断面図である。
【図4】清掃ヘッドの他の形態を例示する要部平面図である。
【図5】(a)、(b)は、清掃ヘッドのさらに他の形態を例示する要部平面図である。
【符号の説明】
【0024】
10 清掃具
11 清掃ヘッド
12 柄部
13 清掃シート
14,14’,21,21’,23 弾性突片
15 周縁弾性変形部
17 清掃クッション部材
17a 弾性清掃面(清掃クッション部材の底面)
17b 清掃クッション部材の周縁
18 ユニバーサルジョイント
19 ヘッド本体
19a ヘッド本体の周縁
20 シート保持部
22 切欠き凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面にシート保持部を備えるヘッド本体と、該ヘッド本体に装着されて弾性清掃面を形成する清掃クッション部材とからなり、前記弾性清掃面を覆って巻き付けられて端部が前記シート保持部に係着されることにより、清掃シートが交換可能に取着される清掃ヘッドを備える清掃具であって、
前記清掃クッション部材は、周縁の少なくとも一部に、前記ヘッド本体の周縁から、当該周縁に沿って間隔を保持して外方に突出して設けられる多数の弾性突片からなる周縁弾性変形部を備えており、
前記清掃ヘッドに取着される前記清掃シートは、前記弾性突片の先端で折り返された折返し縁辺において、前記周縁弾性変形部の変形に伴って曲折可能となっている清掃具。
【請求項2】
前記ヘッド本体は矩形平面形状を有しており、前記ヘッド本体に装着される前記清掃クッション部材の周縁弾性変形部は、前記矩形平面形状の一つの長辺に設けられている請求項1記載の清掃具。
【請求項3】
前記清掃クッション部材の周縁弾性変形部は、前記一つの長辺の全長に亘って設けられている請求項2記載の清掃具。
【請求項4】
前記一つの長辺の全長に亘って設けられている前記周縁弾性変形部の両端に位置する前記弾性突片は、該弾性突片の間に配置される他の弾性突片よりも突出している請求項3記載の清掃具。
【請求項5】
前記ヘッド本体は、その周縁が凹状に切欠かれた切欠き凹部を有しており、前記周縁弾性変形部の多数の弾性突片は、該切欠き凹部において前記ヘッド本体の周縁から外方に突出して設けられている請求項1又は2に記載の清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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