説明

清掃具

本発明は、複雑な形状をした面や、隅部分などの細かな部分にある塵や埃などをより効率よく捕捉することの可能な清掃具を提供することを目的とする。
本発明の清掃具は、曲線状の輪郭を形成する周縁部を備えた舌片状のシート体(7、8)を重ね合わせて、シート体(7、8)の周縁部で相互に融着してなる清掃具本体(2)と、清掃具本体(2)におけるシート体(7)の面部に融着しているフリンジ帯(13)とからなる。清掃具本体(2)には、支持体としての手を挿入できる挿入部(20)が形成されており、さらに、重なり合うシート体(7、8)の間隙に挿入部(20)から奥方に向かって空間部(21)が形成されている。フリンジ帯(13)は、挿入部(20)から空間部(21)の奥方に向かう方向に凸状に湾曲している。フリンジ帯(13)は、シート体(7)の外方向の側辺に多数の切り込みが設けられて短冊状のフリンジ(14)を形成するとともに、これら多数のフリンジ(14)を支持するフリンジ支持部(10)が形成されている。また、フリンジ帯(13)は、このフリンジ支持部(10)においてシート体(7)と融着している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
家具、テーブルや装飾品のような手近な物を清掃するため、モップ部分に開口部を設け、その開口部より直接手を挿入して清掃を行うハンドモップが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかし、このようなハンドモップによれば、テーブルの天板などの被清掃物において、その平たく広い面にある塵や埃を払拭することができるものの、複雑な形状をした面や細かな部分にある塵や埃を十分に払拭することができなかった。
【0004】
そこで、複雑な形状をした面や細かな部分を容易且つ確実に清掃するための袋状清掃具が提案されている(例えば特許文献2参照)。
この袋状清掃具は、手を挿入できる袋状物本体の甲側及び/又は掌側を極細繊維から成る織編物で構成すると共に、袋状物本体の周縁に、短冊状の小片を設けてなる。
【特許文献1】特開平10−137168号公報
【特許文献2】特開2000−166841号公報
【0005】
このような袋状清掃具では、清掃具を前後左右方向に動かして被清掃物の面上の塵を払拭する場合には、ある程度細部まで塵を払拭できるが、清掃具を上下方向に動かして被清掃物の面上の塵を払拭することができない。したがって、この袋状清掃具では、隙間の奥にある埃を手前に掻き出して払拭することが容易でないという問題がある。さらに、この袋状清掃具では、箱体内側の四隅部分などといった細かい部分にある塵等を充分に払拭できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決し、被清掃物の複雑な形状をした面や、四隅部分などの細かな部分にある塵や埃を十分に払拭できるような清掃具を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【0007】
本発明の清掃具は、清掃具を支持する支持体を挿入する挿入部を備えた清掃具本体の面部にフリンジ帯を融着していることを特徴とする。
【0008】
本発明の清掃具によれば、手や柄のような支持体を挿入する挿入部を備えた清掃具本体の少なくとも一方の面部に帯状のフリンジ帯が融着しており、清掃時に、フリンジ帯の先端部分が複雑な形状をした面に対してもフィットして、その面にある塵等を払拭でき、またフリンジ帯の先端部分が隅部分などの細かな部分まで届いて、その隅部分に溜まった埃等を充分に払拭することが可能となる。
【0009】
また本発明の清掃具によれば、清掃具本体は挿入部より挿入された支持体としての手から直接に作用力をうけるから、被清掃物の表面と強い力で当接でき、被清掃物の面上にある埃を十分に払拭することができる。さらに、コンピュータのキーボードなど、外部から受ける作用力で破損しやすいような物を被清掃物とする場合には、この清掃具は、挿入部に柄を挿入して使用されることで、被清掃物の表面に適切な力で当接でき、被清掃物を破損させることなく埃を払拭することができる。
【0010】
そして、この清掃具によれば、挿入部に支持体としての柄を挿入することで、使用者の手では届かないような場所であっても容易に清掃することができる。
【0011】
本発明の清掃具では、フリンジ帯は、長手方向の側辺に多数のフリンジを形成しているとともに、各フリンジを支持するフリンジ支持部を形成しており、フリンジ支持部で融着して清掃具本体に設けられていてもよい。
【0012】
このような清掃具は、例えば、フリンジ帯の長手方向の側辺に部分的な切れ込みを複数設けてフリンジを形成するとともに各フリンジを支持するフリンジ支持部を形成し、フリンジ支持部で清掃具本体に融着することによって構成される。
【0013】
本発明の清掃具によれば、フリンジ帯のフリンジがモップの糸条部分のような作用を奏し、例えば箱体内側の四隅位置のような部位にある埃等を容易かつ充分に払拭できる。また、フリンジ帯にフリンジが形成されていることで、フリンジ帯が被清掃物に対して接触できる面積が増加し、フリンジ帯による塵や埃の払拭を効率よくすることができる。
【0014】
本発明の清掃具では、フリンジ帯は、不織布からなるものでもよい。
この清掃具では、フリンジ帯が不織布で構成されると、比較的強度に優れるとともに比較的安価に清掃具を製造することができ、洗濯も容易となる。また、不織布を構成する細かな繊維によって静電気を生じ、この静電気によってフリンジ帯に微細な埃を引き付けることが可能となるから、塵や埃を一層確実に払拭できるようになる。
【0015】
本発明の清掃具では、フリンジ帯が複数設けられてもよい。この場合、各々のフリンジ帯は、互いに内外方向に部分的に重なるように、清掃具本体の面部に設けられることが好ましい。
この清掃具によれば、フリンジ帯が複数設けられているため、被清掃物がフリンジ帯に接触しやすくなり、より一層確実に塵や埃を払拭できるようになる。
また、清掃具が、各フリンジ帯を、互いに部分的に重なり合うように清掃具本体の面部に設けて構成していると、被清掃物のある程度まとまった領域に対してむらなく各フリンジを接触させることができるから、このような清掃具によれば、被清掃物の面にある塵や埃等をむらなく払拭できる。
【0016】
本発明の清掃具は、清掃具本体のフリンジ帯を融着した面部に、多数の繊維を束ねてなる繊維体を融着してもよい。
本発明の清掃具はこのように構成されることにより、各フリンジ帯に加え、繊維体によっても埃等を払拭でき、被清掃物を一層確実に清掃できる。
【0017】
さらに本発明の清掃具では、フリンジ帯と繊維体は、繊維体の周囲をフリンジ部が取り巻くように清掃具本体の表面に融着されてもよい。
上記したように繊維体を清掃具に設けることで、清掃時に、まず大きな塵がフリンジ帯で払拭され、このときに取りきれなかった小さな塵は繊維体で払拭される。したがって、清掃具によれば、フリンジ帯と繊維体の両者をより効果的に作用させることができる。
なお、このような清掃具では、フリンジ帯は少なくとも部分的に繊維体の周囲を取り巻くように配設されていればよい。
【0018】
本発明の清掃具では、繊維体は、吸水性を有する繊維を束ねてなるものでもよい。
この清掃具によれば、繊維体が吸水性を有することにより、払拭しようとする塵や埃に水分が含まれていても、容易に塵や埃を拭き取ることができるようになる。
【0019】
本発明の清掃具では、清掃具本体のフリンジ帯を融着した面部に、繊維体を融着し、フリンジ帯が、支持体を挿入する方向(挿入方向という)に凸状に湾曲して清掃具本体の面部に融着しているように構成してもよい。
本発明の清掃具によれば、清掃具本体の面部中央位置近傍に繊維体を融着するためのスペースが確保される。
【0020】
本発明の清掃具において、清掃具本体には、フリンジ帯を融着する面部の背面に、吸水性を有するシート材が設けられてもよい。
本発明の清掃具は、このように構成することにより、従来、モップでは充分に清掃しきれなかったガラス面などの汚れについても、清掃具本体に設けた吸水性を有するシート材の面を使用して清掃することが可能となる。
【0021】
なお、本発明の清掃具では、隣設するフリンジ帯は互いに色彩が異なるものであってもよい。このような清掃具は、見た目に美しく、清掃時にフリンジ帯に取り込まれた被清掃物の埃などの汚れを浮き立たせることができ、どの程度の汚れがフリンジ帯に取り込まれたかについて使用者に視覚で判別させることができる。
【0022】
また、本発明の清掃具では、挿入部より、支持棒とグリップ部とからなる柄が支持体として挿入されてもよい。このとき支持棒は、挿入部の間口寸法より広い間隔を隔てて複数設けられていることが好ましい。このように構成されていると、支持棒を挿入部に挿入する際、支持棒間隔が狭められるとともに、支持棒の挿入部への挿入後に支持棒の復元力が作用することにより、柄が挿入部から脱離しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明における清掃具の実施例の1つを示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の清掃具の実施例の1つにおける製造方法を示すフローチャート図である。
【図3】図3は本発明の清掃具を構成するフリンジ帯の製造方法を示す説明図である。
【図4】図4は本発明の清掃具を構成するシート体を形成する不織布シートの製造方法を示す説明図である。
【図5A】図5Aは、本発明の清掃具を構成するシート体の製造方法を示す説明である。
【図5B】図5Bは、本発明の清掃具を構成するシート体の製造方法を示す説明である。
【図5C】図5Cは、本発明の清掃具を構成するシート体の製造方法を示す説明である。
【図5D】図5Dは、本発明の清掃具を構成するシート体の製造方法を示す説明である。
【図6A】図6Aは、本発明の清掃具の製造工程を説明する説明図である。
【図6B】図6Bは、本発明の清掃具の製造工程を説明する説明図である。
【図6C】図6Cは、本発明の清掃具の製造工程を説明する説明図である。
【図6D】図6Dは、本発明の清掃具の製造工程を説明する説明図である。
【図6E】図6Eは、本発明の清掃具の製造工程を説明する説明図である。
【図6F】図6Fは、本発明の清掃具の製造工程を説明する説明図である。
【図6G】図6Gは、本発明の清掃具の製造工程を説明する説明図である。
【図6H】図6Hは、本発明の清掃具の製造工程を説明する説明図である。
【図6I】図6Iは、本発明の清掃具の製造工程を説明する説明図である。
【図6J】図6Jは、本発明の清掃具の製造工程を説明する説明図である。
【図7】図7は、図6JにおけるB−B間領域のA−A線断面図である。
【図8】図8は、図6Jにおける部分側面図である。
【図9】図9は、本発明における清掃具の他の実施例を示す分解斜視図である。
【図10】図10は、本発明における清掃具の他の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の清掃具1は、図1に示すように、曲線状を輪郭を形成する周縁部を備えた舌片状のシート体7、8を重ね合わせて、シート体7、8の周縁部で相互に融着してなる清掃具本体2と、清掃具本体2におけるシート体7の面部に融着しているフリンジ帯13とからなる。
清掃具本体2には、支持体としての手を挿入できる挿入部20が形成されており、さらに、重なり合うシート体7、8の間隙に挿入部20から奥方に向かって空間部21が形成されている。すなわち、空間部21は、挿入部20から挿入方向に向かって形成されている。
【0025】
フリンジ帯13は、第1フリンジ帯13aと第2フリンジ帯13bとからなり、第1フリンジ帯13aと第2フリンジ帯13bは、各々挿入部20から空間部21の奥方に向かう方向に凸状に湾曲し、且つ、互いに内外方向に部分的に重なるようにシート体7、8の少なくとも一方(シート体7)の面部に配設されている。この場合、第1フリンジ帯13aは第2フリンジ帯13bよりも外方向の位置に配設されている。なお、外方向は、シート体7表面の中央からシート体7の外方に向かう方向であり、外方向の反対方向が、内方向であるものとする。
【0026】
第1フリンジ帯13aは、長手方向の側辺に多数の切り込みが設けられて短冊状のフリンジ14(14a)を形成するとともに、これら多数のフリンジ14aを支持するフリンジ支持部10(10a)が形成されている。また、第1フリンジ帯13aは、このフリンジ支持部10aにおいてシート体7と融着している。
第2フリンジ帯13bは、第1フリンジ帯13aと同様に、フリンジ14bとフリンジ支持部10bとを形成してなる。
【0027】
第1フリンジ帯13a、第2フリンジ帯13bの切れ込み長さ、すなわち第1フリンジ帯13a、第2フリンジ帯13bにおけるフリンジ14(14a、14b)の長さは、各々適宜選択可能であるが、0.8cmから3cmであることが好ましい。切れ込みの長さが余りに短いと、清掃具1は、被清掃物を清掃する際、細かい隙間の奥までフリンジ14を到達させることができず、塵や埃を充分に捕捉できない虞があり、切れ込みの長さが余りに長いと、フリンジ14同士に絡まり合いが生じやすくなって清掃時に清掃具1の十分良好な操作性を得ることができなくなる虞がある。
【0028】
第1フリンジ帯13a、第2フリンジ帯13bに切れ込みを入れる間隔、すなわちフリンジ14の幅は、各々適宜選択可能であるが、0.5mmから5mmであることが好ましい。切れ込みを入れる間隔が余り狭いとフリンジ14が幅細になりすぎて脆弱なものとなる虞があり、切れ込みを入れる間隔が余り広いとフリンジ14の形成される数が少なくなり、フリンジ帯13が被清掃物に接触できる面積が減少し、塵や埃が十分に払拭されなくなる虞がある。
【0029】
フリンジ帯13は、直線状に切り込みフリンジ14を短冊状に形成する場合に限定されず、連続したぎざぎざ形状や、連続した波形状等に形成してもよく、また、このような形状を複数種類組合わせて形成してもよい。
また、フリンジ帯13に形成されるフリンジ14は、フリンジ帯13を切れ込むことによって形成する場合に限られず、所定幅で所定深さまでフリンジ帯13を切り欠いて形成してもよい。
【0030】
なお本発明の実施例においては、清掃具1はフリンジ帯13を2つ設けた場合について説明しているが、フリンジ帯13の配設数は、これに限定されず、フリンジ帯13の長手方向の長さや幅等に応じて適宜選択でき、1つでも、3つ以上であってもよい。
【0031】
本発明の実施例においては、清掃具1が、フリンジ帯13を、挿入方向に凸状に湾曲させてシート体7の面部に設ける場合について説明したが、これに限定されず、清掃具1は、フリンジ帯13を、条状、波型状、螺旋状にしてシート体7の面部に設けてもよい。
ただし、本発明の清掃具1が、フリンジ帯13を挿入方向に凸状に湾曲させてシート体7の面部に設ける場合には、第2フリンジ帯13bは、内方向側の側辺の寸法(内寸法という)が、第1フリンジ帯13aの内寸法よりもやや小さいことが好ましい。この場合、第1フリンジ帯13aとシート体7との融着位置に対して内外方向で内側の位置において第2フリンジ帯13bをシート体7に融着させることが容易になる。シート体7の面部中央近傍まで略隙間なくフリンジ帯を順次設けることができ、多数のフリンジ帯13をシート体7の面部に効率よく配設することができる。
【0032】
また本発明において、フリンジ帯13やシート体7、8の素材としては、不織布シートが挙げられ、またフリンジ帯13やシート体7、8は1つの不織布シートからなるものでも、複数枚の不織布シートを重ね合わせたものでもよい。
フリンジ帯13、シート体7、8の素材としては、不織布シートを形成可能な素材から適宜選択可能であり、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、エアスルーボンド不織布、ポイントボンド不織布等を具体的に採用できる。ただし、シート体7、8を構成する不織布シートは、サーマルボンド不織布であることが好ましい。それは、シート体7にフリンジ帯13を熱溶着によって容易に溶着一体化させることができるからである。
なお、フリンジ帯13やシート体7、8が多数枚の不織布シートを重ね合わせて構成している場合、互いに異なる素材からなる不織布シートを重ね合わせて構成してもよい。
【0033】
フリンジ帯13やシート体7、8の素材となる不織布を構成する短繊維は、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの繊維の他、これらを芯鞘型やサイドバイサイド型の複合繊維にしたもの等を具体的に利用できる。
【0034】
なお、本発明の清掃具1には、フリンジ帯13が設けられているシート体7の面部に、多数の繊維を束ねてなる繊維体が溶着されてもよい。繊維体を構成する各繊維は、その幅(太さ)につき適宜選択可能であるが、フリンジ帯13に形成されるフリンジ14の幅よりも細幅であることが好ましい。繊維体を構成する繊維が、フリンジの幅よりも細いと、清掃時に、フリンジ14では払拭しきれなかったような小さな塵や埃を繊維体の各繊維によって払拭することができるようになる。
【0035】
また、繊維体とフリンジ帯は、繊維体の周囲の全体に若しくは部分的にフリンジ帯13が取り巻くようにシート体7に融着されることが好ましい。このとき、繊維体は、フリンジ帯13よりもシート体7の内外方向で内側位置において、清掃具本体2と融着するようになる。
このような清掃具によれば、清掃時に、塵や埃はまず最初にフリンジ帯13のフリンジ14と接触し、ある程度大きな塵がフリンジ帯13のフリンジ14で払拭され、そしてフリンジ14をすり抜けてしまう程に小さい塵や埃については、繊維体で払拭されるようにすることができ、繊維体とフリンジ帯の両者はそれぞれの役割を効果的に発揮できる。
【0036】
繊維体を構成する各繊維としては、特に限定されず、上記したシート体7、8を構成する不織布シートに用いる繊維と同様のものを具体的に利用できる。
また、繊維体を構成する各繊維としては、吸水性を有する繊維を用いてもよく、レーヨン、コットン、麻などが具体的に例示される。このような繊維体を設けた清掃具1によれば、被清掃物に多少の水分を含んだ塵や埃があったとしても、繊維体で水分を吸水し、且つ塵や埃をフリンジ帯13や繊維体で払拭することができ、被清掃物の清掃を一層効率よく実施できるようになる。
【0037】
なお、繊維体は、各繊維ごとにバラバラにならない程度に束ねて嵩高に構成してもよいし、各繊維を束ねて圧縮してシート状に構成してもよい。
【0038】
清掃具1の清掃具本体2には、フリンジ帯13を融着する面部の背面に、すなわちシート体8の表面に、吸水性を有するシート材が設けられてもよい。吸水性を有するシート材としては、レーヨンなどの吸水性を有する繊維からなるスパンレース不織布等が具体的に例示される。
【0039】
清掃具本体2は、その大きさにつき、挿入部20から手を挿入できる程度に挿入部20から奥方に空間部21を確保できる程度の大きさがあることが好ましい。また、清掃具本体2の形状としては、実施例に示したような舌片状の形状以外にも、適宜選択可能であり、例えば、多角形状、円形状、半円形状、三角形状、ミトン形状、グローブ形状、矩形状などの形状を具体的に挙げることができる。
【0040】
なお、清掃具本体2は、空間部21の最も奥方位置から挿入部20に向かう方向に、互いに重なり合うシート体を条状に部分的に融着して指留部を形成してもよい。
【0041】
また、清掃具本体2は、シート体7、8を重ね合わせた実施例に限定されず、シート体7にリング状のベルトを融着し、リング状の部分に手などの支持体を挿入可能な挿入部を形成しているものであってもよい。
【0042】
シート体7とシート体8、シート体7とフリンジ帯13、シート体7と繊維体の各々の間の融着方法としては、インパルス溶着やヒートシールなどの熱融着や、ホットメルト接着剤などの接着剤の塗布による融着、超音波融着装置を用いた超音波照射による加熱融着などの方法が具体的に例示される。
【0043】
清掃具1は、次に示すような製造方法により製造される。なお、ここでは、重なり合う4枚の不織布からなるフリンジ帯13と、各々2枚の不織布を重ね合わせてなるシート体7、8を融着した清掃具本体2とからなる清掃具1に、繊維体を融着し、且つ、清掃具本体2におけるフリンジ帯13を融着した面の背面側に吸水性のあるシート材を設けた実施例についての製造方法を、図2から図8を参照しつつ詳細に説明する。
図2は、本発明における清掃具1の製造方法を示すフローチャート図である。図3、図4、図5Aから図5D、図6Aから図6Jは、清掃具1の製造方法を説明する説明図である。
【0044】
まず、不織布を複数枚重ね合わせて裁断し、フリンジ帯13(13a、13b)、シート体7、8を製造する。
フリンジ帯13は、次に示すように製造される。
長尺の不織布を巻きつけた不織布供給ロール101a、101b、101c、101dから、図3に示すように、不織布が各々連続的に供給され、これらの供給された不織布が互いに重なり合って加工ロール111(111a、111b)を通ずる。加工ロール111には、不織布の幅方向に所定間隔を隔てて多数の加工刃を設けた加工部111cと、加工刃の設けられていない非加工部111dとが形成されている。重なり合う不織布がこのような加工ロール111a、111bの間を通ずると、不織布には、加工部111cに設けた加工刃により不織布の幅方向に間隔をおいて多数の切れ込みが形成されて加工領域113が形成される。このとき、加工領域113は非加工部111dにより長手方向に一定間隔をあけて形成されており、各加工領域間に切れ込みのない非加工領域110が形成されている。
加工ロール111を通じた不織布は、不織布の幅方向に剪断刃112cを備えたカットローラ112(112a、112b)を通ずる。不織布は、カットローラ112a、112bの間を通ずるとき、剪断刃112cにより加工領域113と非加工領域110の夫々略中央位置で切断される。これにより不織布にフリンジ14とフリンジ支持部10が夫々形成されて、フリンジ帯13が形成される。
【0045】
清掃具1に設けるフリンジ帯13としては、第1フリンジ帯13aと第2フリンジ帯13bが製造されるが、第2フリンジ帯13bは、第1フリンジ帯よりも長手方向の長さを短くして製造される(図2におけるS201)。
このような第1フリンジ帯13aと第2フリンジ帯13bは、上記した方法で製造されたフリンジ帯13の一部について長手方向の長さを短く切断することによって長手方向の長さの異なる2種類のフリンジ帯を製造し、長手方向の長さが長いものを第1フリンジ帯13aとし、長手方向の長さが短いものを第2フリンジ帯13bとすることで製造できる。
なお、この第2フリンジ帯13bは、第1フリンジ帯13aを製造するために用いた不織布よりも幅狭な不織布を用いて第1フリンジ帯13aと別途に製造してもよい。
【0046】
シート体7、8は、次に示すように製造される。
長尺の不織布を巻きつけた不織布供給ロール102a、102bから、図4に示すように、夫々連続的に不織布が供給される。供給された不織布は、相互に重ね合わさり、裁断機103を通ずることにより、掌若しくは手の甲を覆い隠すことができる程度の寸法よりも大寸法の矩形状に裁断された不織布シート104(104a、104b)が得られる(図2におけるS202)。
【0047】
シート体7は、図5A、図5Bに示すように、矩形状に裁断された不織布シート104a、104bを重ね合わせて(図5A)、部分的にインパルス溶着し(図5B)溶着部9を形成することにより不織布シート104a、104bを一体化して製造される(図2におけるS203)。
【0048】
また、シート体8は、次のように製造される。
まず、不織布ロール102bに巻きつけられている長尺の不織布として吸水性を有する不織布を用い、上記シート体7と同様にして、矩形状に裁断された不織布シート105を調整する。そして、図5C、図5Dに示すように、不織布シート104と不織布シート105を重ね合わせ(図5C)、部分的にインパルス溶着し(図5D)溶着部6を形成して不織布シート104、105を一体化することにより、シート体8が製造される(図2におけるS204、S205)。
【0049】
このようにして得られたフリンジ帯13a、13b、シート体7、8は、図6Aから図6Jに示すようにして一体化されて清掃具1を形成する。
第1フリンジ帯13a、第2フリンジ帯13bは、図6A、図6Cに示すように、フリンジ14が外方向に向かい、フリンジ支持部10が内方向に向かうように長手方向中央付近で湾曲される。なお、この場合第2フリンジ帯13bの方が第1フリンジ帯13aよりも長手方向の長さが短いため、湾曲された第2フリンジ帯13bの内寸法を、湾曲された第1フリンジ帯13aの内寸法よりもやや小さくすることが容易にできる。
【0050】
第1フリンジ帯13aは、その長手方向両端をシート体7の溶着部9に対向させてシート体7の面部上に配置され、フリンジ支持部10で超音波溶着されることにより、シート体7に溶着される(図6B)。
ついで、第2フリンジ帯13bは、図6C、図6Dに示すように、その外周囲を第1フリンジ帯13aで取り囲まれ、且つ第1フリンジ帯13aと部分的に重なり合うように、シート体7の面部上に配置され、第1フリンジ帯13aと同様にしてシート体7に溶着される(図2におけるS207)。
【0051】
次に、繊維体15が用意される。繊維体15は、多数の繊維を束にして各繊維ごとにばらけない程度に纏めることで製造される。
この繊維体15は、図6E、図6Fに示すように、その周囲を第2フリンジ帯13bで取り囲まれるように、シート体7の面部上に配置され、超音波溶着されることよりシート体7に溶着される(図2におけるS208)。
【0052】
そして、このシート体7のフリンジ帯13を溶着した面に、シート体8の不織布シート105が対向するとともに、シート体7の溶着部9とシート体8の溶着部6とが対向するように、シート体7とシート体8とを重ね合わせ(図6G)、第1フリンジ帯13aのフリンジ14の外方向先端位置よりもやや外側位置で、シート体7、8の両者をインパルス溶着して一体化し、さらにその溶着位置の外側を裁断して溶着体を形成する(図6H)。このとき、溶着部9と溶着部6とは相互に溶着されない。なお、本発明の清掃具の製造方法においては、この製造例に示すような溶着と裁断が別途行われる場合に限定されず、シート体7とシート体8とを重ね合わせて溶断してもよい。
【0053】
こうして得られた溶着体は、その表面と裏面を反転され、シート体8の不織布シート105側の面と、シート体7のフリンジ帯13を設けた面が表面となり、溶着部9と溶着部6の位置に挿入部20が形成され、挿入部20の奥方に空間部21が形成される。そして、空間部21の奥方から挿入部20に向かう方向に条状にシート体7、8を溶着して指留部16を形成し(図6I、図6J)、図7、図8に示すような、清掃具1が製造される(図2におけるS209)。なお、図7は、図6JにおけるB−B間領域のA−A線断面図である。また、図8は、図6Jにおける部分側面図である。
【0054】
なお、本発明の清掃具の製造方法においては、フリンジ帯13と繊維体15を溶着したシート体7と、シート体8とを溶着して一体化するにあたり、シート体7のフリンジ帯13を溶着した面の背面に、シート体8の不織布シート104が対向するとともに、シート体7の溶着部9とシート体8の溶着部6とが対向するように、シート体7とシート体8とを重ね合わせて、上記した製造方法と同様に、シート体7、8の両者をインパルス溶着して一体化してもよい。
【0055】
この場合、シート体7、8がインパルス溶着された時点でシート体8の不織布シート105側と、シート体7のフリンジ帯13を設けた面側が表面となるから、上記した製造方法のような表面と裏面とを反転させる工程を要することなく、清掃具1が製造される。
【0056】
製造された本発明の清掃具1は、挿入部20より清掃具本体2に手を挿入し、被清掃物に接触させて使用することができる。
【0057】
本発明の清掃具1は、挿入部20より手を挿入するだけでなく、挿入部20より柄を支持体として清掃具本体2に挿入して清掃具1に取り付け、柄付清掃具としても使用できる。
柄は、清掃部1に対して着脱自在に取り付けられる。柄の材料としては、プラスチック、金属、木材などを用いることができるが、軽量、安価な点でプラスチックが好ましい。プラスチックを材料として用いる場合、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂が、成形が容易である点で好ましい。
【0058】
清掃具1に取り付ける柄の好ましい例につき、図9、図10により説明する。図9、図10は本発明の清掃具の柄の好ましい態様の一例を示す。
柄50は支持棒51とグリップ部52とから構成される。柄50に設けられている支持棒51、51の間隔は、挿入部20の間口寸法より広めに形成されていることが好ましい。このように構成されていると、支持棒51、51を挿入部20に挿入する際、支持棒51、51間隔は、図9に示すように、N方向に狭められ、挿入部20への挿入後は、支持棒51、51の復元力による外方(R方向)への力が働き、支持棒51、51は空間部21内に確実に保持され(図10)、清掃時に支持棒51、51が挿入部20から容易に離脱することはない。
【0059】
なお、前記2つの支持棒51、51には、その外側縁に、R方向へ部分的に突出した突出部位を設けてもよく、N方向に山形状に支持棒51を切り欠いてなる切欠部位が設けられていてもよい。このような突出部位や切欠部位が設けられていると、2つの支持棒51、51を挿入部20に容易に挿入できると共に、支持棒51、51が挿入部20から離脱し難くなり、清掃時の挿入部20からの支持棒51、51の離脱を更に確実に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の清掃具は、複雑な形状をした面や、隅部分などの細かな部分を充分に清掃する際に利用できる点で極めて有効なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃具を支持する支持体を挿入する挿入部を備えた清掃具本体の面部にフリンジ帯を融着していることを特徴とする清掃具。
【請求項2】
フリンジ帯は、長手方向の側辺に多数のフリンジを形成しているとともに、各フリンジを支持するフリンジ支持部とを形成しており、フリンジ支持部で融着して清掃具本体に設けられている請求項1記載の清掃具。
【請求項3】
フリンジ帯は、不織布からなる請求項1記載の清掃具。
【請求項4】
フリンジ帯は、複数設けられており、各々のフリンジ帯は、互いに内外方向に部分的に重なるように、清掃具本体の面部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の清掃具。
【請求項5】
清掃具本体のフリンジ帯を融着した面部に、多数の繊維を束ねてなる繊維体を融着している請求項1記載の清掃具。
【請求項6】
フリンジ帯と繊維体は、繊維体の周囲をフリンジ部が取り巻くように清掃具本体の面部に融着されている請求項5記載の清掃具。
【請求項7】
繊維体は、吸水性を有する繊維を束ねてなる請求項5記載の清掃具。
【請求項8】
フリンジ帯は、支持体を挿入する方向に凸状に湾曲して清掃具本体の面部に融着している請求項6又は7記載の清掃具。
【請求項9】
清掃具本体は、フリンジ帯を融着する面部の背面に、吸水性を有するシート材を設けている請求項1記載の清掃具。
【請求項10】
請求の範囲1から9のいずれかに記載の清掃具の挿入部より、支持棒とグリップ部とからなる柄を支持体として挿入してなる清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図6J】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【国際公開番号】WO2005/041741
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【発行日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515134(P2005−515134)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015916
【国際出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(595007552)
【Fターム(参考)】