説明

清掃材及びその製法

【課題】 水分を用いつつ対象を拭くことにより、対象物の表面の汚れ、特に厨房等における油汚れや水垢等を効果的に取り除くことができる清掃材及びその清掃材の製法。
【解決手段】 固体状物質を溶解および/または分散状態で含有する液体を、清掃材を構成するメラミン系樹脂発泡体の所要部に含浸させた後、そのメラミン系樹脂発泡体を凍結乾燥させる。メラミン系樹脂発泡体の部分又は全部に、炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質を満遍無く含有させる。炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質は、水に溶解した水溶液がそれぞれ弱塩基性又は弱酸性を示すものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の表面の汚れ、特に厨房等における油汚れや水垢等を、拭いて取り除くことができる清掃材及びその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第3386378号公報(特許文献1)には、密度5〜50kg/m3、引っ張り強度0.6〜1.6kg/cm2、破断時の伸び8〜20%、セル数80〜300個/25mmの連続気泡構造の多孔体で、拭き取り作業時の摩擦によって粒子状に剥離する表面を有し、かつ親水性を示すメラミン系樹脂発泡体からなる拭き清浄具であって、前記メラミン系樹脂発泡体の気泡形成時に使用する乳化剤としてアニオン系界面活性剤が、1〜60重量部の範囲内で添加されて前記拭き清浄具の使用時に拭き清浄具の表面に流出するようにされ、かつ洗浄助剤が前記アニオン系界面活性剤と同量を越えない範囲で添加されてなることを特徴とする拭き清浄具が開示されている。
【0003】
アニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニル硫酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、スルホ琥珀酸塩が好適である。具体的には、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、椰子油還元アルコール硫酸エステルナトリウム(C1225OSO3Na)、牛脂還元アルコール硫酸エステルナトリウム(C1633OSO3Na,C1837OSO3Na)等が挙げられ、洗浄助剤としては、ゼオライト、カルボキシメチルセルロース、炭酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、珪酸ナトリウム、ポリアクリル酸ソーダ等が挙げられている。洗浄助剤の選択に当たっては、アニオン系界面活性剤と相乗効果の高い組み合わせを選択するものとされ、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ(ABS)、ノニルフェノールEO付加物については、トリポリリン酸ソーダ、珪酸ソーダ等が好ましく、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ(LAS)、高級アルコールアルキル硫酸エステルソーダについては、ゼオライト、カルボキシメチルセルロース等がふさわしいと記述されている。
【0004】
この拭き清浄具は、従来は強度的な面で用途の無かったメラミン系樹脂発泡体によって構成されたもので、そのメラミン系樹脂発泡体の強度の低さおよび表面の微細な凹凸、さらには水分等の含み易さにより、従来の布雑巾や軟質ポリウレタン発泡体等からなる拭き清浄具に比べて、被清浄面を傷付けにくく、汚れ落ち効果に優れ、しかも拭き跡が残らず、さらには艶出し作用も発揮するという、優れた効果を有する。加えて、被清浄面を傷付けにくいため、家具や自動車に限られず、食器類やその他、幅広い対象物に使用することができ、さらに、拭き跡が残らないため、表面が鏡面の物にも好適であり、しかも、拭き跡除去のための仕上げ拭きが不要となり、作業が簡単に済む効果もあるとされている。
【0005】
使用時にはアニオン系界面活性剤が拭き清浄具表面に流出し、またそのアニオン系界面活性剤が流出した表面が粒子状に剥離するため、洗浄効果がさらに増大する。また洗浄助剤(ビルダー)は界面活性剤のミセル限界濃度を低下させる作用あるいは、重金属封鎖作用(硬水軟化作用)があり、洗浄性を高める。
【0006】
しかしながら、このようなアニオン系界面活性剤が流出するメラミン系樹脂発泡体からなる拭き清浄具を用いると、使用者の手荒れを引き起こすおそれがある。
一方、アニオン系界面活性剤が流出しないメラミン系樹脂発泡体からなる拭き清浄具にて対象面を拭いた場合、油汚れや水垢を対象面から物理的に除去できたように感じても、ヌメリやベトツキ感が対象面に残る場合が多くあった。
【特許文献1】特許第3386378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術に存した上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、水分を用いつつ対象を拭くことにより、対象物の表面の汚れ、特に厨房等における油汚れや水垢等を効果的に取り除くことができる清掃材及びその清掃材の製法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の清掃材は、炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質を部分又は全部に満遍無く含有するメラミン系樹脂発泡体を備えてなる清掃材であって、前記炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質は、水に溶解した水溶液がそれぞれ弱塩基性又は弱酸性を示すものであることを特徴とする。
【0009】
清掃材の固体状物質を含有する箇所により、清掃対象物を拭く。その際、清掃材のうち少なくとも当該箇所に水分を含ませた状態および/または清掃対象物の表面に水分が存在する状態として水分を用いつつ対象を拭くことにより、清掃材のうち清掃対象物に接する付近の箇所に含有された炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質が、その水分に溶解し、対象物の表面の油汚れや水垢等の汚れに作用する。この炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質の水溶液による作用と、メラミン系樹脂発泡体自体の汚れ除去作用とが相まって、対象物の表面の油汚れや水垢並びにその他の汚れを効果的に取り除くことができる。
【0010】
また、炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質をメラミン系樹脂発泡体の部分又は全部に満遍無く含有するので、当該部分又は全部を清掃に使用することにより、清掃対象に接する箇所のメラミン系樹脂発泡体が徐々に磨耗・崩壊等により消耗するにも拘らず、前記部分又は全部のうち清掃対象物に接すべき表面付近に炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質が常に存在する。そのため、常に炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質が水分に溶解して油汚れや水垢等に作用し、効果的に対象物の表面の油汚れや水垢等を除去することができる。
【0011】
また、本発明の清掃材は、上記メラミン系樹脂発泡体の一部は上記固体状物質を含有する含有部、他の一部は上記固体状物質を含有しない非含有部であり、前記メラミン系樹脂発泡体の表面のうち、一部は前記含有部により形成され、他の一部は前記非含有部により形成されているものとすることができる。
【0012】
炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質を含有する部分である含有部により清掃対象物を拭いた場合、清掃対象物上に、その炭酸塩類又は有機酸類に起因する残留物が生じる可能性がある。ところが、たとえ残留物が生じたとしても、清掃材のうち炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質を含有しない部分である非含有部により効果的に拭取り除去することができる。
【0013】
また本発明の清掃材は、上記メラミン系樹脂発泡体のうち上記固体状物質を含有する部分において、その固体状物質の含有量が0.1乃至50重量%であるものとすることができる。固体状物質の含有量が0.1重量%未満の場合、炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質の水溶液による作用が不十分なものとなり易く、固体状物質の含有量が50重量%を超える場合、メラミン系樹脂発泡体自体の汚れ除去作用が不十分になる恐れがある。
【0014】
また本発明の清掃材は、上記メラミン系樹脂発泡体のうち上記固体状物質を含有する部分が色素で着色されているものであることが望ましい。
【0015】
メラミン系樹脂発泡体に炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質を含有していても、含有しないものと色彩の上で変わらないので、その固体状物質を含有するか否かの識別が容易ではない。この清掃材の場合、メラミン系樹脂発泡体のうち上記固体状物質を含有する部分が色素で着色されていることにより、その固体状物質を含有するものであるか否かの識別、特に、部分的に含有する場合に、メラミン系樹脂発泡体のうち含有する部分と含有しない部分との識別が容易であるため、含有する固体状物質を利用して効果的に清掃作業を行うe上で好適である。
【0016】
上記清掃材の製法は、上記固体状物質を溶解および/または分散状態で含有する液体を上記メラミン系樹脂発泡体の所要部に含浸させた後、そのメラミン系樹脂発泡体を凍結乾燥させることを特徴とする。
【0017】
固体状物質を溶解および/または分散状態で含有する液体を上記メラミン系樹脂発泡体の所要部、すなわち部分又は全部に含浸させた後、そのメラミン系樹脂発泡体を凍結乾燥させることにより、昇華乾燥が行われるため、炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質を、メラミン系樹脂発泡体の所要部に満遍なく含有させることができ、これにより、清掃に使用することにより清掃対象に接する箇所のメラミン系樹脂発泡体が徐々に消耗するにも拘らず、清掃対象物に接すべき表面付近に炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質が常に存在して効果的に対象物の表面の油汚れや水垢等を除去することができる清掃材を製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の清掃材によれば、清掃材の固体状物質を含有する箇所により、水分を用いつつ清掃対象物を拭くことにより、清掃材のうち清掃対象物に接する付近の箇所に含有された炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質が、その水分に溶解し、対象物の表面の油汚れや水垢等の汚れに作用するので、メラミン系樹脂発泡体自体の汚れ除去作用と相まって、対象物の表面の油汚れや水垢並びにその他の汚れを効果的に取り除くことができる。
【0019】
本発明の製法によれば、本発明の清掃材を確実性高く効率的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の清掃材は、メラミン系樹脂発泡体を備えてなる。清掃材は、メラミン系樹脂発泡体そのものであってもよく、メラミン系樹脂発泡体を一部に有するものであってもよい。
【0021】
メラミン系樹脂発泡体としては、清掃対象面を拭いて汚れを除去するために使用されるものを用いることができ、従来使用されている公知のメラミン系樹脂発泡体を採用し得る。
【0022】
前記メラミン系樹脂発泡体は、炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質を、部分又は全部に満遍無く含有する。固体状物質を含有する部分の含有濃度は均一であることが好ましいが、必ずしもそれに限るものではない。
【0023】
メラミン系樹脂発泡体に含有される炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質は、水に溶解した水溶液がそれぞれ弱塩基性又は弱酸性を示すものである。
【0024】
水に溶解した水溶液が弱塩基性を示す炭酸塩類としては、その水溶液のpHが10以下の弱塩基性を示すものを用いることができる。具体例としては、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0025】
水に溶解した水溶液が弱酸性を示す有機酸類としては、その水溶液のpHが3乃至6を示すものを用いることができる。具体例としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、又は、それらの塩類、水和物、無水物、若しくはその他の誘導体等を挙げることができる。水に溶解した水溶液が弱酸性を示す有機酸類からなる固体状物質を含有したものの場合、水分を用いつつ清掃対象物を拭くことにより、ポットやシンクに付着した水垢(カルシウム、ナトリウム、カリウム等のミネラル分)に作用してそれを効果的に除去することが可能である。なお、水に溶解した水溶液が弱塩基性を示す炭酸塩類からなる固体状物質を含有したものの場合、水垢に対する洗浄効果はほとんどない。
【0026】
本発明の清掃材は、例えば次のように方法により製造することができる。
(1) 炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質を溶解および/または分散状態で含有する液体をメラミン系樹脂発泡体の所要部に含浸させた後、そのメラミン系樹脂発泡体を凍結乾燥させる方法。
【0027】
前記液体の例としては、イオン交換水等の水の他、本発明の効果を阻害しない別の成分を含有する水系溶媒を挙げることができる。固体状物質を溶解状態で液体に含有する場合の濃度は、例えば0.1重量%乃至飽和濃度とすることができる。
【0028】
炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質を溶解および/または分散状態で含有する液体を、浸漬等の適宜手段により、メラミン系樹脂発泡体の所要部、すなわち必要部分又は全部に含浸させた後、そのメラミン系樹脂発泡体を、ディープフリーザー等により凍結させた後、凍結乾燥機により凍結乾燥させる。これにより、常温常圧で液体である水等の成分の昇華乾燥が行われるため、乾燥の際に液体の移動が生じず、炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質をメラミン系樹脂発泡体の所要部に満遍なく含有させることができる。
【0029】
なお、前記液体に色素を含有させることにより、メラミン系樹脂発泡体のうち上記固体状物質を含有する部分を色素で着色することができる。これにより、その固体状物質を含有するものであるか否かの識別、特に、部分的に含有する場合に、メラミン系樹脂発泡体のうち含有する部分と含有しない部分との識別が容易であるため、含有する固体状物質を利用して効果的に清掃作業を行うことができる。
【0030】
前記色素としては、例えばウコン、クチナシ等の各種天然色素並びに各種合成色素を挙げることができる。
(2) 炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質を溶解および/または分散状態で含有する液体をメラミン系樹脂発泡体の所要部に含浸させた後、そのメラミン系樹脂発泡体を自然乾燥又は加熱乾燥させる方法。
【0031】
液体の例、及び、炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質を溶解および/または分散状態で含有する液体を、メラミン系樹脂発泡体の所要部に含浸させるまでの工程は、(1)と同様である。その後の乾燥は、常温常圧下での自然乾燥又は常圧で50乃至200℃の温度での乾燥機による乾燥等、一般的な乾燥方法による。
【0032】
この場合、乾燥の際に、メラミン系樹脂発泡体の表面からの液体の蒸発に伴い、前記固体状物質を溶解および/または分散状態で含有する液体がメラミン系樹脂発泡体内を移動する。そのため、メラミン系樹脂発泡体のうち固体状物質を含有させることが必要な部分のうち一部又は全部のうち一部に固体状物質を含有しないものとなるおそれがある。
なお、含有箇所がメラミン系樹脂発泡体の表面にない場合、メラミン系樹脂発泡体の一部切除や使用による消耗等の適宜手段により、含有箇所を露出させた後で使用可能である。
【実施例】
【0033】
次に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない。
【0034】
製造例1
市販の清掃用のメラミンスポンジ(メラミン系樹脂発泡体)を、縦横高さ30mm×40mm×30mmに整形した。
【0035】
200ccビーカーにイオン交換水189.875gとセスキ炭酸ナトリウム10gを入れて攪拌することにより、セスキ炭酸ナトリウムを完全に溶解させた。その水溶液にウコン色素(キリヤ化学社製)0.25gを加え、液が均一着色されるまで攪拌した。
【0036】
この着色水溶液を、ガラスビーカー(φ70mm×H100mm)内に、40mmの深さとなるように収容した。このビーカー内の着色水溶液中にメラミンスポンジ全体を10秒間浸漬してメラミンスポンジに着色水溶液を含浸させた後、メラミンスポンジを取り出した。
【0037】
そのメラミンスポンジを−15℃のディープフリーザーで一晩凍結させた後、凍結乾燥機により1週間にわたり凍結乾燥させた。
【0038】
得られたメラミンスポンジ(清掃材)は、スポンジの全体にセスキ炭酸ナトリウムをほぼ均一に含有するものであった。
【0039】
製造例2
市販の清掃用のメラミンスポンジ(メラミン系樹脂発泡体)を、縦横高さ30mm×40mm×30mmに整形した。
【0040】
ガラスビーカー(φ70mm×H100mm)にイオン交換水94.9375gとセスキ炭酸ナトリウム5gを入れて攪拌することにより、セスキ炭酸ナトリウムを完全に溶解させた。その水溶液にウコン色素(キリヤ化学社製)0.125gを加え、液が均一着色されるまで攪拌した。/
【0041】
この着色水溶液を、ガラスシャーレ(φ85mm、高さ13mm)内に、5mmの深さとなるように収容した。このシャーレ内の着色水溶液中にメラミンスポンジの下側部を2秒間浸してメラミンスポンジに着色水溶液を含浸させた後、メラミンスポンジを取り出した。
【0042】
次に、着色水溶液の深さが5mmとなるようにガラスシャーレ内に着色水溶液を補充した。このシャーレ内の着色水溶液中に、メラミンスポンジの上側部を上下逆にして2秒間浸することによりメラミンスポンジに着色水溶液を含浸させた後、メラミンスポンジを取り出した。
【0043】
そのメラミンスポンジを50℃の恒温槽に12時間静置して水分を完全に蒸発させた。
【0044】
得られたメラミンスポンジ(清掃材)は、スポンジの上下それぞれ5mmの部分にセスキ炭酸ナトリウムを満遍無く含有するものであった。
【0045】
実施例1(油汚れ除去試験)
飲食店の厨房のフライヤー横で約1年間使用されて油汚れが付着したステンレス板を水平に載置した。
【0046】
油汚れ付着部分に水道水10ccを滴下し、製造例1により得られたメラミンスポンジにより拭き掃除を行ったところ、油汚れの除去を短時間で行うことができ、油のべとつき感もなくなった。製造例2により得られたメラミンスポンジを用いた場合も同様であった。
比較のため、製造例1及び2において用いた市販のメラミンスポンジにより拭き掃除を行ったところ、油汚れの除去に多くの時間を要し、而も、油のべとつき感が残った。
【0047】
製造例3
市販の清掃用のメラミンスポンジ(メラミン系樹脂発泡体)を、縦横高さ30mm×40mm×30mmに整形した。
【0048】
200ccビーカーにイオン交換水187.8gと無水クエン酸12gを入れて攪拌することにより、無水クエン酸を完全に溶解させた。その水溶液にクチナシ色素(キリヤ化学社製)0.200gを加え、液が均一着色されるまで攪拌した。
【0049】
この着色水溶液を、ガラスビーカー(φ70mm×H100mm)内に、40mmの深さとなるように収容した。このビーカー内の着色水溶液中にメラミンスポンジ全体を10秒間浸漬してメラミンスポンジに着色水溶液を含浸させた後、メラミンスポンジを取り出した。
【0050】
そのメラミンスポンジを−15℃のディープフリーザーで一晩凍結させた後、凍結乾燥機により1週間にわたり凍結乾燥させた。
【0051】
得られたメラミンスポンジ(清掃材)は、スポンジの全体にクエン酸をほぼ均一に含有するものであった。
【0052】
製造例4
市販の清掃用のメラミンスポンジ(メラミン系樹脂発泡体)を、縦横高さ30mm×40mm×30mmに整形した。
【0053】
ガラスビーカー(φ70mm×H100mm)にイオン交換水93.9gと無水クエン酸6gを入れて攪拌することにより、無水クエン酸を完全に溶解させた。その水溶液にクチナシ色素(キリヤ化学社製)0.100gを加え、液が均一着色されるまで攪拌した。
【0054】
この着色水溶液を、ガラスシャーレ(φ85mm、高さ13mm)内に、5mmの深さとなるように収容した。このシャーレ内の着色水溶液中にメラミンスポンジの下側部を2秒間浸してメラミンスポンジに着色水溶液を含浸させた後、メラミンスポンジを取り出した。
【0055】
次に、着色水溶液の深さが5mmとなるようにガラスシャーレ内に着色水溶液を補充した。このシャーレ内の着色水溶液中に、メラミンスポンジの上側部を上下逆にして2秒間浸することによりメラミンスポンジに着色水溶液を含浸させた後、メラミンスポンジを取り出した。
【0056】
そのメラミンスポンジを50℃の恒温槽に12時間静置して水分を完全に蒸発させた。
【0057】
得られたメラミンスポンジ(清掃材)は、スポンジの上下それぞれ5mmの部分にクエン酸を満遍無く含有するものであった。
【0058】
実施例2(水垢除去試験)
【0059】
白い水垢が付着したシンクに対し、製造例3により得られたメラミンスポンジにより、少量の水道水を用いて拭き掃除を行ったところ、水垢を短時間で除去することができた。製造例4により得られたメラミンスポンジを用いた場合も同様であった。
【0060】
比較のため、製造例3及び4において用いた市販のメラミンスポンジにより拭き掃除を行ったところ、水垢の除去に強い力と多くの時間を要した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質を部分又は全部に満遍無く含有するメラミン系樹脂発泡体を備えてなる清掃材であって、前記炭酸塩類又は有機酸類からなる固体状物質は、水に溶解した水溶液がそれぞれ弱塩基性又は弱酸性を示すものであることを特徴とする清掃材。
【請求項2】
上記メラミン系樹脂発泡体の一部は上記固体状物質を含有する含有部、他の一部は上記固体状物質を含有しない非含有部であり、前記メラミン系樹脂発泡体の表面のうち、一部は前記含有部により形成され、他の一部は前記非含有部により形成されている請求項1記載の清掃材。
【請求項3】
上記メラミン系樹脂発泡体のうち上記固体状物質を含有する部分において、その固体状物質の含有量が0.1乃至50重量%である請求項1又は2記載の清掃材。
【請求項4】
上記メラミン系樹脂発泡体のうち上記固体状物質を含有する部分が色素で着色されている請求項1、2又は3記載の清掃材。
【請求項5】
上記固体状物質有機酸類からなるものである請求項1乃至4の何れかに記載の清掃材。
【請求項6】
請求項1記載の清掃材を製造する方法であって、上記固体状物質を溶解および/または分散状態で含有する液体を上記メラミン系樹脂発泡体の所要部に含浸させた後、そのメラミン系樹脂発泡体を凍結乾燥させることを特徴とする清掃材の製法。

【公開番号】特開2007−202749(P2007−202749A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24349(P2006−24349)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(000178583)山崎産業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】