説明

清掃用シート

【課題】隙間の形状に沿って入り込んで当該隙間を十分に清掃することができる清掃用シート及び当該清掃用シートが装着される掃除具を提供する。
【解決手段】掃除具20に装着される清掃用シート10において、基材シート11と、基材シート11の一面に接合され、繊維が集合してなる繊維集合体12と、基材シート11の他面に接着され、被清掃部Aが有する隙間の形状に沿って弾性変形可能な弾性シート13と、を備え、掃除具20が備える掃除具本体部21が、清掃用シート10の長手方向一端側から挿入されることによって、掃除具20に装着され、弾性シート13は、清掃用シート10が掃除具20に装着された状態で、少なくとも掃除具本体部21の先端よりも清掃用シート10の長手方向他端側に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃用シート及び掃除具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、把持部が連結された掃除具に装着されて使用される清掃用シートとして、基材シートに、繊維集合体が接合されてなるものが知られている。
このような清掃用シートが装着される掃除具においては、例えば、清掃用シートが装着される本体部分のしなり易い状態としなり難い状態とを切り替えることを可能な掃除具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この掃除具を用いると、しなりの程度によって、被清掃面への押圧力や清掃圧、或いは被清掃面への押圧面積を変化させることができるので、単一の掃除具を用いて清掃形態に応じた効率的な清掃を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−68772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の掃除具に装着される清掃用シートは、掃除具の本体部分のしなりに追従するだけなので、本体部分がしなり難い場合、清掃用シートは家具の後ろ等にある隙間の形状に沿って入り込むことができず、当該隙間を十分に清掃することができない。
【0005】
本発明の課題は、隙間の形状に沿って入り込んで当該隙間を十分に清掃することができる清掃用シート及び当該清掃用シートが装着される掃除具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
掃除具に装着される清掃用シートにおいて、
基材シートと、
前記基材シートの一面に接合され、繊維が集合してなる繊維集合体と、
前記基材シートの他面に接着され、被清掃部が有する隙間の形状に沿って弾性変形可能な弾性部材と、
を備え、
前記掃除具が備える掃除具本体部が、当該清掃用シートの長手方向一端側から挿入されることによって、前記掃除具に装着され、
前記弾性部材は、前記清掃用シートが前記掃除具に装着された状態で、少なくとも前記掃除具本体部の先端よりも前記清掃用シートの長手方向他端側に配置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の清掃用シートにおいて、
前記弾性部材は、板状に形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、
前記弾性部材は、前記基材シートで覆われ、
前記繊維集合体は、前記基材シートの外面を覆うように設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3の何れか一項に記載の清掃用シートが装着される掃除具において、
前記清掃用シートに挿入される掃除具本体部と、
掃除時に握る把持部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の掃除具において、
前記掃除具本体部は、被清掃部が有する隙間の形状に沿って弾性変形可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、清掃用シートは、被清掃部が有する隙間の形状に沿って弾性変形可能な弾性部材を備え、当該弾性部材は、清掃用シートが掃除具に装着された状態で、少なくとも掃除具本体部の先端よりも清掃用シートの長手方向他端側に配置されている。したがって、掃除具本体部がしなり難い場合であっても、清掃用シートは、当該清掃用シートが掃除具に装着された状態で、掃除具本体部の先端よりも長手方向他端側の部分が弾性部材によってしなるため、隙間の形状に沿って入り込んで当該隙間を十分に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の清掃用シート及び掃除具の一例を示す平面斜視図である。
【図2】本実施形態において、清掃用シートに掃除具を装着した状態の一例を説明するための図である。
【図3】本実施形態において、掃除具に装着された清掃用シートを用いて隙間を清掃している状態の一例を示す図である。
【図4】本実施形態において、掃除具に装着された清掃用シートを用いて隙間を清掃している状態の他の一例を示す図である。
【図5】変形例1の掃除具に装着された清掃用シートを用いて隙間を清掃している状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
本発明に係る清掃用シートは、掃除具に装着して用いる取り替え式の清掃用シートである。
なお、以下の説明では、清掃用シート10において、長手方向一端側を後側、他端側を前側とし、短手方向一端側を左側、他端側を右側とし、前後方向及び左右方向の双方に直交する方向を上下方向とする。
【0014】
本実施形態の清掃用シート10は、例えば、図1及び図2に示すように、モップ状の清掃用シートであり、互いに重ね合わされた2枚の基材シート11と、基材シート11の一方の面(外面)に接合され、繊維121,…が集合してなる繊維集合体12と、基材シート11の他方の面(内面)に接着され、弾性変形自在な弾性シート13と、を備えて構成される。
そして、清掃用シート10は、例えば、図2に示すように、掃除具20が備える掃除具本体部21の略全体を覆うように装着されて使用される。
【0015】
具体的には、清掃用シート10は、挿入部10aから掃除具本体部21を差し込むことによって、掃除具20に装着されて使用される。
清掃用シート10は、例えば、図3及び図4に示すように、被清掃部Aにゴミ等の固形状汚れがある場合、主に繊維集合体12で当該固形状汚れを絡め取ることによって、当該固形状汚れを取り去るようになっている。
【0016】
基材シート11,11は、例えば、前後方向に長尺な矩形状を成しており、繊維集合体12で覆われていない面同士が対向するように重ね合わされて、長手方向他端部(前端部)と短手方向両端部(左端部及び右端部)とを接着することによって、袋状に形成されている。すなわち、基材シート11,11により形成された袋状体の長手方向一端部(後端部)は、開口部となっている。
【0017】
基材シート11は、所定の繊維を繊維素材として、例えば、スパンレース、エアスルー、エアレイド、ポイントボンド、スパンボンド、ニードルパンチ等の周知の技術により製造される不織布である。
所定の繊維としては、例えば、レーヨン、リヨセル、テンセル、コットン等のセルロース系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド系繊維が挙げられる。これらは単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、基材シート11は、不織布に限ることはなく、シートであれば任意であり、例えば、織布であっても良い。
【0018】
繊維集合体12は、繊維121,…が所定の接合手段により基材シート11に接合されることによって、形成されている。
所定の接合手段としては、例えば、ホットメルト等の公知の接着剤、ヒートシール、超音波シール、縫製、ステープラ、植毛が挙げられる。これらは単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、繊維121は、複数の繊維が集合してなる繊維束(トウ)をなしていることとする。
【0019】
繊維集合体12は、所定の繊維で形成された繊維束状の繊維121が集合してなるものである。
所定の繊維としては、例えば、レーヨン、リヨセル、テンセル、コットン等のセルロース系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド系繊維が挙げられる。これらは単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
弾性シート13は、例えば、前後方向に長尺な矩形板状の弾性部材に、当該弾性部材の短手方向中央部における長手方向一端(後端)から長手方向略中央の位置に略矩形状の切欠部13aを設けることによって、形成されている。
弾性シート13は、当該弾性シート13の両面(上面及び下面)が、所定の接着手段により基材シート11,11に接着されている。したがって、清掃用シート10においては、基材シート11,11により形成された袋状体の開口部と、弾性シート13に設けられた切欠部13aと、により構成される挿入部10aから掃除具本体部21が挿入可能となっている。
所定の接着手段としては、例えば、ホットメルト等の公知の接着剤が挙げられる。
【0021】
弾性シート13は、所定の樹脂を射出成型等することによって形成された弾性部材である。
所定の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂、シリコンゴム、ブチレンゴム等の軟質樹脂が挙げられる。これらは単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
掃除具20は、例えば、挿入部10aに挿入可能な形状の掃除具本体部21と、掃除具本体部21を操作するために掃除時にユーザが握る把持部22と、を備えて構成される。
ここで、掃除具20(掃除具本体部21)はしなり難い部材により形成されていることとする。
【0023】
次に、清掃用シート10の使用方法について説明する。
【0024】
まず、清掃用シート10を掃除具20に装着する。具体的には、清掃用シート10の挿入部10aから掃除具20の掃除具本体部21を挿入することによって、例えば、図2に示すように、清掃用シート10を掃除具20に装着する。
そして、ユーザは、清掃用シート10が装着された掃除具20の把持部22を握り、清掃用シート10で被清掃部Aを拭き掃除する。
【0025】
ここで、清掃用シート10は、被清掃部Aが有する隙間B(家具A1と家具A1との間の隙間や家具A1と壁A2との間の隙間)に入り込んで、当該隙間Bを清掃できるようになっている。
具体的には、例えば、図3に示すように、家具A1と家具A1との間の隙間に、掃除具20に装着された清掃用シート10を差し込むことによって、当該隙間に清掃用シート10を入り込ませることができる。
掃除具20に装着された清掃用シート10をさらに押し込むと、例えば、図4に示すように、当該清掃用シート10は弾性シート13によって家具A1と壁A2との間の隙間の形状に沿って側面視略L字状に弾性変形するため、当該隙間に清掃用シート10を入り込ませることができる。
【0026】
以上説明した本実施形態の清掃用シート10によれば、基材シート11と、基材シート11の一面に接合され、繊維121,…が集合してなる繊維集合体12と、基材シート11の他面に接着され、被清掃部Aが有する隙間Bの形状に沿って弾性変形可能な弾性シート13と、を備え、掃除具20が備える掃除具本体部21が、清掃用シート10の長手方向一端側(後端側)から挿入されることによって、掃除具20に装着され、清掃用シート10が掃除具20に装着された状態で、掃除具本体部21が配置されていない部分(掃除具本体部21の先端よりも清掃用シート10の長手方向他端側(前端側)の部分)が弾性シート13によって弾性変形可能となっている。
したがって、掃除具本体部21はしなり難い部材により形成されているが、清掃用シート10は、当該清掃用シート10が掃除具20に装着された状態で、掃除具本体部21の先端よりも前端側の部分が弾性シート13によってしなるため、隙間Bの形状に沿って入り込んで当該隙間を十分に清掃することができる。
【0027】
また、以上説明した本実施形態の清掃用シート10によれば、弾性シート13は、板状に形成されている。
したがって、隙間Bが狭くても、当該隙間Bに入り込むことができる。
【0028】
また、以上説明した本実施形態の清掃用シート10によれば、弾性シート13は、基材シート11で覆われ、繊維集合体12は、基材シート11の外面を覆うように設けられている。
すなわち、清掃用シート10は、当該清掃用シート10の両面に繊維集合体12を備えているため、互いに対向して隙間Bを形成する2つの面を同時に清掃することができる。
【0029】
また、以上説明した本実施形態の掃除具20によれば、清掃用シート10に挿入される掃除具本体部21と、掃除時にユーザが握る把持部22と、を備えている。
したがって、掃除具本体部21をしなり難い部材で形成しても、清掃用シート10が弾性シート13によってしなるため、隙間Bの形状に沿って入り込んで当該隙間を十分に清掃することができる。
【0030】
なお、本発明は、上記した実施の形態のものに限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0031】
<変形例1>
上記実施形態において、掃除具本体部21をしなり難い部材によって形成するようにしたが、これに限ることはなく、清掃用シート10が装着される掃除具の掃除具本体部は、例えば、図5に示す掃除具30の掃除具本体部31のように、被清掃部Aが有する隙間Bの形状に沿って弾性変形可能な弾性部材によって形成したものであっても良い。
具体的には、掃除具本体部31は、所定の樹脂を射出成型等することによって形成された弾性部材である。所定の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂、シリコンゴム、ブチレンゴム等の軟質樹脂が挙げられる。これらは単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
以上説明した変形例1の掃除具30によれば、掃除具本体部31は、被清掃部Aが有する隙間Bの形状に沿って弾性変形可能である。
すなわち、清掃用シート10は、変形例1の掃除具30に装着された状態で、掃除具本体部31が配置されていない部分(掃除具本体部31の先端よりも前端側の部分)だけでなく、例えば、図5に示すように、掃除具本体部31が配置された部分もしなることができる。したがって、上記実施形態の掃除具20に装着する場合と比較して、清掃用シート10が隙間Bの奥まで入り込むことができるため、当該隙間Bをより十分に清掃することができる。
【0033】
なお、上記した実施形態及び変形例1において、弾性シート13を、基材シート11の内面略全域に配置するようにしたが、これに限ることはなく、弾性シート13は、清掃用シート10が掃除具20,30に装着された状態で、少なくとも掃除具本体部21,31の先端よりも清掃用シート10の長手方向他端側(前端側)に配置されていれば良い。
【0034】
また、上記した実施形態及び変形例1において、基材シート11,11によって袋状体を形成するようにしたが、これに限ることはなく、基材シート11は、例えば、弾性シート13の両面(上面及び下面)に貼り付けられているだけであっても良い。
また、基材シート11、繊維集合体12、弾性シート13、挿入部10a(切欠部13a)、掃除具20,30の形状は、上記したものに限ることはなく、任意である。
【符号の説明】
【0035】
10 清掃用シート
11 基材シート
12 繊維集合体
13 弾性シート(弾性部材)
20,30 掃除具
21,31 掃除具本体部
22 把持部
121 繊維
A 被清掃部
B 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除具に装着される清掃用シートにおいて、
基材シートと、
前記基材シートの一面に接合され、繊維が集合してなる繊維集合体と、
前記基材シートの他面に接着され、被清掃部が有する隙間の形状に沿って弾性変形可能な弾性部材と、
を備え、
前記掃除具が備える掃除具本体部が、当該清掃用シートの長手方向一端側から挿入されることによって、前記掃除具に装着され、
前記弾性部材は、前記清掃用シートが前記掃除具に装着された状態で、少なくとも前記掃除具本体部の先端よりも前記清掃用シートの長手方向他端側に配置されていることを特徴とする清掃用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の清掃用シートにおいて、
前記弾性部材は、板状に形成されていることを特徴とする清掃用シート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の清掃用シートにおいて、
前記弾性部材は、前記基材シートで覆われ、
前記繊維集合体は、前記基材シートの外面を覆うように設けられていることを特徴とする清掃用シート。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の清掃用シートが装着される掃除具において、
前記清掃用シートに挿入される掃除具本体部と、
掃除時に握る把持部と、を備えることを特徴とする清掃具。
【請求項5】
請求項4に記載の掃除具において、
前記掃除具本体部は、被清掃部が有する隙間の形状に沿って弾性変形可能であることを特徴とする掃除具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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