説明

清掃用具

【課題】 被清掃領域を拭き清掃するための清掃体を備える清掃用具において、清掃効果向上を図るのに有効な技術を提供する。
【解決手段】 本発明に係る清掃用具100では、清掃体110は、清掃体ホルダ120の保持体131,131が挿入される被挿入領域115,115を有し、この被挿入領域115,115への挿入動作を通じて保持体131,131の延在部分に倣って捻られつつ清掃体ホルダ120に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃用具に係り、詳しくは室内や車内などの被清掃領域を拭き清掃するための清掃体を備える清掃用具の構築技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、清掃対象の拭き清掃を行うシート状の清掃体を備える清掃用具が種々提案されている。例えば、下記特許文献1には、清掃布と、この清掃布に設けられた収容領域に挿設されたこの清掃布を着脱自在に保持する柄を備える構成の清掃用具が開示されている。この清掃用具は、柄を介して保持された清掃布を用いることによって被清掃領域の拭き清掃を行う可能性を有するが、清掃体を備えるこの種の清掃用具の設計に際しては、清掃効果を高める技術に対する要請がある。
【特許文献1】特開平9−154791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、被清掃領域を拭き清掃するための清掃体を備える清掃用具において、清掃効果向上を図るのに有効な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を達成するため、各請求項記載の発明が構成される。これら各請求項に記載の発明は、一戸建て、マンション、ビル、工場、車両等の屋内や屋外における被清掃領域(床面、壁面、天井面、外壁面、家具面、衣類、カーテン、寝具、家電品など)や、人体の各構成部位における被清掃領域を清掃するための清掃用具の構成に適用され得る。これら各種の被清掃領域は、平面として構成されてもよいし、或いは曲面、凹凸面、段差面として構成されてもよい。
【0005】
本発明に係る清掃用具は、被清掃領域の拭き清掃に用いられるものであって、清掃体ホルダ及び清掃体を少なくとも備える構成とされる。清掃体ホルダは、長尺状の部材として構成される。この清掃体ホルダは、当該清掃体ホルダの延在方向と交差する方向への延在成分を有しつつ長尺状に延在する保持部を備える構成とされる。清掃体は、長尺状の清掃体ホルダに装着される部材として構成される。この清掃体は、清掃体ホルダの保持部が挿入される被挿入領域を有し、この被挿入領域への挿入動作を通じて保持部の延在部分に倣って捻られつつ清掃体ホルダに装着される。換言すれば、清掃体ホルダの保持部と清掃体の被挿入領域との協働によって、保持部を被挿入領域に挿入する挿入動作を、清掃体の捻り動作に変換する変換機構が構成される。被挿入領域は、単一の被挿入部分が長尺状に配設されることによって構成されてもよいし、或いは複数の被挿入部分が断続的に配設されることによって構成されてもよい。
【0006】
本発明に係る清掃用具のこのような構成によれば、清掃体ホルダの保持部を清掃体の被挿入領域に挿入することによって、清掃体を所定の態様で捻れた状態のまま保持することが可能となる。この場合、清掃体が捻られることによって、清掃体ホルダまわりの清掃体全面にわたって清掃面が形成され、また清掃体にボリューム感が付与されるため、清掃体全面で埃を捕捉することができ清掃効果が高まる。また、清掃体全面にわたって清掃面が形成されることで、使用者は清掃面の位置を特に気にすることなく拭き清掃作業を行うことが可能となり作業性が向上する。特に、清掃体ホルダの保持部を清掃体の被挿入領域に挿入する挿入動作にしたがって、清掃体の捻り動作が行われるため合理的である。
【0007】
なお、本発明に係る清掃用具において、清掃体ホルダの延在方向と交差する方向への延在成分を有しつつ長尺状に延在する保持部は、長尺状に延在する単一の長尺部分として構成されてもよいし、或いは並行して長尺状に延在する複数の長尺部分の組み合わせによって構成されてもよい。
また、本発明に係る清掃体は、一回使用を目安とした使い捨てタイプのものや、被清掃領域から除去したごみや埃を刷毛部において保持しつつ複数回の使用を目安として交換を行う使い捨てタイプのものであってもよいし、或いは洗濯などを行ったうえで繰り返し使用することが可能なタイプのものであってもよい。
【0008】
本発明に係る別の形態の清掃用具は、被清掃領域の拭き清掃に用いられるものであって、長尺状の清掃体ホルダと、この清掃体ホルダに装着される清掃体を少なくとも備える構成とされる。清掃体ホルダは、当該清掃体ホルダの延在方向と交差する方向への延在成分を有しつつ長尺状に延在する保持部を備える一方、清掃体は、保持部が挿入される被挿入領域を備える構成とされる。清掃体ホルダの保持部は、清掃体ホルダの延在方向に関する長さ及び延在方向と交差する方向への延在成分の長さが、それぞれ清掃体の有効清掃領域に関する長さ寸法及び幅寸法を規定する構成とされる。ここでいう有効清掃領域とは、清掃体のうち実質的な清掃機能を有する領域であって、清掃作業時において保持部からの荷重が及ぶ領域に概ね合致する。この場合、保持部によって区画される領域に関する長さ寸法や幅寸法に、更に予め規定の長さが加算されることによって得られる長さ寸法や幅寸法によって、清掃体の有効清掃領域が規定されてもよいし、或いは保持部によって区画される領域に関する長さ寸法や幅寸法自体によって、清掃体の有効清掃領域が規定されてもよい。
このような構成によれば、清掃体ホルダの保持部は、清掃体ホルダの延在方向と交差する方向への延在成分によって、清掃体装着時において清掃体に対し清掃体ホルダの延在方向と交差する方向に関するボリューム感を付与することができ清掃効果が高まる。また、清掃体ホルダの保持部の大きさによって清掃体の有効清掃領域に関する長さ寸法及び幅寸法を規定することが可能とされる。
【0009】
本発明に係る別の形態の清掃用具は、被清掃領域の拭き清掃に用いられるものであって、長尺状の清掃体ホルダと、この清掃体ホルダに装着される清掃体を少なくとも備える構成とされる。清掃体ホルダは、当該清掃体ホルダの延在方向と交差する方向への延在成分を有しつつ長尺状に延在する保持部を備える一方、清掃体は、保持部が挿入される被挿入領域を備える構成とされる。清掃体ホルダの保持部は、清掃体ホルダの延在方向と交差する方向に関する断面積、換言すれば清掃体ホルダの延在方向と交差する方向に関する投影面積が、清掃体の有効清掃領域に関する断面積を規定する構成とされる。この場合、保持部によって区画される領域に関する断面積に、更に予め規定の面積が加算されることによって得られる断面積によって、清掃体の有効清掃領域が規定されてもよいし、或いは保持部によって区画される領域に関する断面積自体によって、清掃体の有効清掃領域が規定されてもよい。
このような構成によれば、清掃体ホルダの保持部は、清掃体ホルダの延在方向と交差する方向への延在成分によって、清掃体装着時において清掃体に対し清掃体ホルダの延在方向と交差する方向に関するボリューム感を付与することができ清掃効果が高まる。また、清掃体ホルダの保持部の大きさによって清掃体の有効清掃領域に関する断面積を規定することが可能とされる。
【0010】
本発明に係る更なる形態の清掃用具では、前記の保持部は、所定の捻れ形状の延在部分を有し、前記の清掃体は、被挿入領域への挿入動作を通じて保持部の延在部分に倣って捻られつつ清掃体ホルダに装着される構成であるのが好ましい。このような構成によれば、清掃体装着時において保持部の捻れ形状にしたがって清掃体が捻られることによって、清掃体ホルダまわりの清掃体全面にわたって清掃面が形成され、また清掃体にボリューム感が付与されるため、清掃体全面で埃を捕捉することができ更なる清掃効果向上を図ることが可能となる。また、清掃体全面にわたって清掃面が形成されることで、使用者は清掃面の位置を特に気にすることなく拭き清掃作業を行うことが可能となり作業性が向上する。
【0011】
本発明に係る更なる形態の清掃用具では、前記の保持部は、並行してらせん状に延在する二本の保持体によって構成され、前記の被挿入領域は、各保持体が挿入される領域として区画された構成であるのが好ましい。このような構成によれば、清掃体ホルダの二本の保持体を清掃体の各々の被挿入領域に挿入することによって、清掃体をらせん状に捻れた状態のまま保持することが可能となる。
【0012】
本発明に係る更なる形態の清掃用具では、前記の保持部は、二本の保持体によって二重らせん構造を形成する構成であるのが好ましい。ここでいう「二重らせん構造」とは、らせん状の二本の線が互いに絡み合うように延在する構造であって、二本鎖DNAがとる規則的な立体構造としても称呼される。このような構成によれば、二重らせん構造とされた二本の保持体を清掃体の各々の被挿入領域に挿入することによって、清掃体を規則的に捻れた状態のまま保持することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、被清掃領域を拭き清掃するための清掃体を備える清掃用具において、特に清掃体ホルダに、その延在方向と交差する方向への延在成分を有しつつ長尺状に延在する保持部を設ける構成を採用することによって、清掃体装着時において清掃体に対し清掃体ホルダの延在方向と交差する方向に関するボリューム感を付与することができ、以って清掃体による清掃効果を高めることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、図1〜図3を用いて、本発明における「清掃用具」の一実施の形態である清掃用具100の構成を説明する。この清掃用具100を用いて拭き清掃される清掃対象としては、一戸建て、マンション、ビル、工場、車両等の室内、室外、屋外における被清掃領域(床面、壁面、窓、天井面、外壁面、家具面、衣類、カーテン、寝具、照明、家電品等)や、人体の各構成部位における被清掃領域等が挙げられる。これら各種の被清掃領域は、平面として構成されてもよいし、或いは曲面、凹凸面、段差面として構成されてもよい。
【0015】
本実施の形態の清掃用具100を構成する清掃体110及び清掃体ホルダ120を互いに装着される前の状態の斜視図が図1に示される。図1に示すように、この清掃用具100は、清掃体110と清掃体ホルダ120に大別される。
【0016】
清掃体110は、拭き清掃において清掃対象である被清掃領域の汚れを掻き取る汚れ掻き取り機能を有する清掃体とされる。この清掃体110は、販売時或いは未使用時にはシート状として構成され、使用時には解されて嵩高として構成される。詳細については後述するが、この清掃体110は、図1に示すように平面視が長方形とされたシート体であって、所定の長手方向(長辺の延在方向)に長尺状に延在する構成であるとともに、互いに積層された清掃体本体111及び保持シート112が、平行に(並行して)延在する溶着接合部113及び溶着接合部114,114にて溶着接合された構成とされる。これら溶着接合部113及び溶着接合部114,114によって区画される左右一対の空間は、清掃体ホルダ120の保持部分(後述するホルダ本体130の保持体131,131)が挿入される被挿入領域115,115として構成される。各被挿入領域115は、ホルダ本体130の各保持体131が挿入可能な大きさ(挿入幅及び挿入深さ)を有する形状とされている。ここでいう清掃体110が、本発明における「清掃体」に相当する。なお、必要に応じては、この清掃体110を、平面視が正方形等の他の形状の清掃体として構成することもできる。また、ここでいう被挿入領域115,115が、本発明における「被挿入領域」に相当する。この被挿入領域115,115は、単一の被挿入部分が長尺状に配設されることによって構成されてもよいし、或いは複数の被挿入部分が断続的に配設されることによって構成されてもよい。
【0017】
清掃体ホルダ120は、上記構成の清掃体110に対し着脱自在とされており、互いに連接するホルダ本体130及びハンドル部140からなる長尺状の部材として構成される。この清掃体ホルダ120が、本発明における「清掃体ホルダ」に相当する。ハンドル部140は、長尺状に延在するハンドル本体141と、このハンドル本体141とホルダ本体130との間に介在する連結部141aを備える。ハンドル本体141は、使用者によって把持される部位とされる。連結部141aは、ハンドル本体141とホルダ本体130を固定状に連結する部位を構成している。
【0018】
ホルダ本体130は、清掃体110を着脱自在に保持する機能を有する部位である。このホルダ本体130は、連結部141aからハンドル本体141と概ね同方向に長尺状に延在する二本の保持体131,131を有する。これら二本の保持体131,131は、ホルダ本体130の延在方向と交差する方向への延在成分を有しつつ長尺状に延在する捻れ形状とされる。具体的には、これら二本の保持体131,131は、所定の間隔でらせん状ないし捻れ状に並行して延在する、いわゆる二重らせん構造を形成する。らせん状の二本の線が互いに絡み合うように延在するこの二重らせん構造は、二本鎖DNAがとる規則的な立体構造としても称呼される。なお、各保持体131のねじれ角度は、180度、270度、360度等、必要に応じて適宜選択可能である。ここでいう二本の保持体131,131によって、本発明における「保持部」及び「二本の保持体」が構成される。二本の保持体131,131の断面形状に関しては、断面が円形ないし多角形の棒形状、断面が長方形の板形状等を適宜選択することができる。特に、断面が円形の棒形状とすることのよって、清掃体装着時における各保持体131の挿入抵抗を抑えることができ、円滑な挿入操作が可能とされる。
【0019】
なお、これら二本の保持体131,131は、ホルダ本体130の延在方向に関する長さ及び延在方向と交差する方向への延在成分の長さによって、それぞれ清掃体110の有効清掃領域に関する長さ寸法及び幅寸法を規定することができる。ここでいう有効清掃領域とは、清掃体110のうち実質的な清掃機能を有する領域であって、清掃作業時において二本の保持体131,131からの荷重が及ぶ領域に概ね合致する。この場合、二本の保持体131,131によって区画される領域に関する長さ寸法や幅寸法に、更に予め規定の長さが加算されることによって得られる長さ寸法や幅寸法によって、清掃体110の有効清掃領域が規定されてもよいし、或いは二本の保持体131,131によって区画される領域に関する長さ寸法や幅寸法自体によって、清掃体110の有効清掃領域が規定されてもよい。
【0020】
また、これら二本の保持体131,131は、ホルダ本体130の延在方向と交差する方向に関する断面積、換言すればホルダ本体130の延在方向と交差する方向に関する投影面積によって、清掃体110の有効清掃領域に関する断面積を規定することができる。この場合、二本の保持体131,131によって区画される領域に関する断面積に、更に予め規定の面積が加算されることによって得られる断面積によって、清掃体110の有効清掃領域が規定されてもよいし、或いは二本の保持体131,131によって区画される領域に関する断面積自体によって、清掃体110の有効清掃領域が規定されてもよい。二本の保持体131,131は、清掃体110の有効清掃領域に関する断面積を規定する本構成と、清掃体110の有効清掃領域に関する長さ寸法及び幅寸法を規定する前述の構成の少なくとも一方を備えることができる。
【0021】
ハンドル部140には連結部141aの先端側に押え板132が設けられている。この押え板132は、二本の保持体131,131の間において前方へと延在するとともに、下側に向けて凸形状となるように湾曲して形成される板状部材として構成され、更にその下面に係止突部(図示省略)を備える。
【0022】
次に、上記清掃体110の具体的な構成に関しては図2が参照される。図2には、清掃体110を各構成要素に分離した状態の斜視図が示される。
【0023】
図2に示すように、本実施の形態の清掃体110は、清掃対象側(「下面側」或いは「裏面側」ともいう)から順に清掃体本体111、保持シート112が積層された構成であり、更に清掃体本体111は、清掃対象側(下面側)から順に清掃対象側シート111c、繊維集合体111b、基材シート111aが積層された構成とされる。この場合、保持シート112及び基材シート111aは、繊維集合体111bを挟んで清掃対象側シート111c(下面側シート)と反対側に積層された上面側シートとされる。
【0024】
清掃体本体111を構成する基材シート111a、繊維集合体111b、清掃対象側シート111cは、いずれも平面視が同様の長方形のシート状とされ、清掃体110の長手方向に長尺状に延在する構成とされる。繊維集合体111b及び清掃対象側シート111cは、汚れ掻き取り機能を有する刷毛状部位を構成しており、いわゆる「刷毛部」とも称呼される。この清掃体110は、一回使用を目安とした使い捨てタイプのものや、清掃対象の被清掃領域から除去したごみや埃を刷毛部において保持しつつ複数回の使用を目安として交換を行う使い捨てタイプのものであってもよいし、或いは洗濯などを行ったうえで繰り返し使用することが可能なタイプのものであってもよい。また、本実施の形態では、清掃体110の清掃体本体111を、基材シート111a、繊維集合体111b及び清掃対象側シート111cが積層状に重ねられた構造としたが、この清掃体本体111を更なる繊維層やシートが付加された構造とすることもできる。
【0025】
保持シート112、基材シート111a及び清掃対象側シート111cは、いずれも、清掃体110の長手方向と交差する方向に延在するジクザグ状の短冊片(短冊部分)を複数備える。具体的には、保持シート112に関しては、清掃体110の長手方向と交差する方向に複数の短冊片112aが並列状に延在する構成とされる。また、基材シート111aに関しては、清掃体110の長手方向と交差する方向に複数の短冊片111dが並列状に延在する構成とされ、清掃対象側シート111cに関しては、清掃体110の長手方向と交差する方向に複数の短冊片111eが並列状に延在する構成とされる。各シートの短冊片をジクザグ状とすることによって、ごみを引っ掛けて捕捉し易い清掃機能の高い構造が実現される。なお、短冊片の形状に関しては、ジクザグ状、直線状、曲線状などのうちの単一種類或いは複数種類の形状を適宜用いることができる。
【0026】
次に、上記基材シート111a、清掃対象側シート111c及び保持シート112を形成する不織布の構成、及び繊維集合体111bを形成する繊維集合体の構成につき詳細に説明する。
【0027】
(不織布の構成)
基材シート111a、清掃対象側シート111c及び保持シート112に関しては、いずれも典型的には熱溶融性繊維(熱可塑性繊維)からなるシート状の不織布を使用することができる。すなわち、これら基材シート111a、清掃対象側シート111c及び保持シート112は、不織布シートとも称呼される。この不織布は、機械的、化学的、熱的などの処理によって繊維を固着したり絡み合わせたりして作られるシート状の構成物であって、熱可塑性繊維を一部に含み融着(溶着)が可能な不織布とされ、複数の短冊片を有する形状の不織布として構成される。熱可塑性繊維(熱溶融繊維)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を使用することができる。この不織布としては、エアースルー法、スパンボンド法、サーマルボンド法、スパンレース法、ポイントボンド法、メルトブロー法、ステッチボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法等により製造されたものを適宜使用することができる。なお、清掃時の掃き出し機能を向上させるためには、剛性の高い不織布を用いるのが好ましい。また、不織布に代えて或いは加えて、ウレタン、スポンジ、織布、ネット、ワリフなどの素材を短冊状に加工したものを用いることもできる。
【0028】
(繊維集合体の構成)
一方、繊維集合体111bは、繊維による単一の繊維構造体や、繊維が長さ方向および/または径方向にそろった繊維構造体(撚糸、紡績糸、複数の長繊維が部分的に接続された糸材など)、ないし当該繊維構造体の集合体とされ、熱可塑性繊維を一部に含み融着(「溶着」ともいう)が可能な繊維集合体として構成される。この繊維集合体111bを形成する繊維とは、糸、織物などの構成単位であり、太さに比して十分な長さを持つ、細くてたわみやすい形態のものとして規定され、典型的には長い連続状の繊維が長繊維(フィラメント)とされ、短い繊維が短繊維(ステープル)とされる。この繊維集合体111bの繊維は、基端側が溶着接合部113及び溶着接合部114,114にて接合されるとともに、当該溶着接合部を固定端とし当該固定端と対向する側(先端側)を自由端として、清掃体110(或いは繊維集合体111b)の長手方向と交差する方向に長尺状に延在する構成とされる。清掃体110の長手方向と交差する方向に延在するこの繊維集合体111bが、本発明において「所定方向に延在する繊維を複数集合させて構成される繊維集合体」に相当する。この繊維集合体111bは、複数の繊維が束状に形成された「繊維束」とも称呼される。
【0029】
なお、図2中に示す例では、三つの繊維層が積層状に重ねられることによって繊維集合体111bが形成される場合について記載しているが、この繊維層の数は必要に応じて1または複数とすることができる。この繊維集合体111bは、所定の平面や曲面による面構造を有するとともに、ある程度の厚みを有する立体形状として、或いは薄肉シート形状として構成されるのが好ましい。ここでいう「繊維集合体」は、典型的にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、レーヨンなどを材質とし、実用上はトウを開繊することによって得られる長繊維(フィラメント)の集合体がこの繊維集合体として多用される。特には、芯部分がポリプロピレン(PP)或いはポリエチレンテレフタレート(PET)であり、この芯部分の外面を覆う鞘部分がポリエチレン(PE)の複合繊維を用いて繊維集合体が構成されるのが好ましい。また、この繊維集合体を形成する長繊維の繊度は、1〜50dtexのものが好ましく、更には2〜10dtexのものが好ましい。また、各繊維集合体は概ね同様の繊度の繊維から構成されてもよいし、或いは各繊維集合体が異なる繊度の繊維を含む構成であってもよい。
【0030】
また、清掃時の掃き出し機能を向上させるためには、剛性の高い繊維、すなわち繊度が高い繊維を含む繊維集合体を用いるのが好ましい。また、繊維集合体は、捲縮繊維を有する構成されるのが好ましい。ここでいう捲縮繊維は、所定の巻き縮み処理が付与された繊維として構成され、繊維同士が絡み易い構造とされる。このような捲縮繊維を用いると、繊維集合体が清掃体ホルダ装着前の状態よりも嵩高となり、更に捲縮部分にごみを取り込み易い構造とされる。本構造は、特にトウ繊維から形成された捲縮繊維を用いることによって実現され得る。
【0031】
なお、繊維集合体として、フィルムをテープ状にスリットし、縦方向へ延伸させたフラットヤーンや、スプリットヤーンと称呼される熱可塑性フィルム樹脂を樹脂の配向方向と直交する方向にかきわけて、繊維状となったフィルムが網目状に接合されているものを使用してもよい。或いは、繊維集合体として、エアースルー不織布などの嵩高で繊維密度の低い不織布を使用してもよい。
【0032】
また、清掃体110の構成要素の種類や数等に関しては、上記の例に限定されるものではなく、必要に応じて種々選択が可能である。
【0033】
次に、上記構成の清掃体110及び清掃体ホルダ120を互いに装着する様子を図3及び図4を参照しつつ説明する。これら図3及び図4には、本実施の形態の清掃体110及び清掃体ホルダ120を互いに装着する過程が斜視図にて示される。
【0034】
まず、図3に示すように、ホルダ本体130の保持体131,131の先端部131a,131aの各々を、清掃体110の対応する被挿入領域115,115へと挿入し、更にホルダ本体130を被挿入領域115,115の延在方向に押し込んでいく。これにより、清掃体110は、保持体131の被挿入領域115への挿入動作を通じて、保持体131の延在部分に倣って捻られつつホルダ本体130に装着され保持される。換言すれば、ホルダ本体130の保持体131,131と清掃体110の被挿入領域115,115との協働によって、保持体131,131を被挿入領域115,115に挿入する挿入動作を、清掃体110の捻り回転動作に変換する変換機構が構成される。
【0035】
被挿入領域115,115に対する保持体131,131の挿入完了状態においては、各保持体131が清掃体110側の被挿入領域115に密着状に摺接して嵌まり込み、清掃体110に対し止着作用を付与する。この場合、二本の保持体131,131の間隔は、清掃体110の溶着接合部114,114間の距離と概ね同様であるか、或いは若干小さい構成であるのが好ましい。このような構成によって、清掃体110に対する止着作用が高めることが可能となる。更に、この挿入状態においては、押え板132が清掃体110を上方から押えつけるとともに、その下面に設けられた係止突部(図示省略)が清掃体110の抜け止めとして作用する。これにより、各保持体131を清掃体110側の被挿入領域115に挿入した挿入状態では、清掃体110がホルダ本体130によって確実に保持されることとなる。
【0036】
かくして、清掃体110は、所定の捻りないし捩りが付与された状態でホルダ本体130のまわりに巻き付け状に配設される。これにより、シート状の清掃体110にボリューム感を付与することができる。更に、清掃体110の巻き付け前ないし巻き付け後において、清掃体110を手で解してボリューム感を高めるのが好ましい。また、ホルダ本体130まわりの清掃体110全面にわたって清掃面が形成されることとなり、清掃体110全面で埃を捕捉することができるとともに、使用者は清掃面を特に気にすることなく拭き清掃作業を行うことが可能となる。
【0037】
(他の実施の形態)
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0038】
本発明では、清掃体110に対し所定の捻りないし捩りを付与することが可能であればよく、上記実施の形態の清掃体ホルダ120以外の構造の清掃体ホルダを適宜採用することができる。例えば、清掃体の被挿入領域に挿入される保持部は、上記構成の二本の保持体131,131のように並行して長尺状に延在する複数の長尺部分の組み合わせによって構成されてもよいし、或いは長尺状に延在する単一の長尺部分として構成されてもよい。この場合、単一の長尺部分は保持体131と同様にらせん形状とされるのが好ましい。
【0039】
また、上記実施の形態では、清掃体110をシート状の不織布と繊維集合体を用いて構成する場合について記載したが、本発明では、シート状の不織布のみによって清掃体が構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施の形態の清掃用具100を構成する清掃体110及び清掃体ホルダ120を互いに装着される前の状態の斜視図である。
【図2】図1中の清掃体110を各構成要素に分離した状態の斜視図である。
【図3】本実施の形態の清掃体110及び清掃体ホルダ120を互いに装着する過程を示す斜視図である。
【図4】本実施の形態の清掃体110及び清掃体ホルダ120を互いに装着する過程を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
100…清掃用具
110…清掃体
111…清掃体本体
111a…基材シート
111b…繊維集合体
111c…清掃対象側シート
111d,111e…短冊片
112…保持シート
112a…短冊片
113,114…溶着接合部
115…被挿入領域
120…清掃体ホルダ
130…ホルダ本体
131…保持体
131a…先端部
132…押え板
140…ハンドル部
141…ハンドル本体
141a…連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被清掃領域の拭き清掃に用いられる清掃用具であって、
長尺状の清掃体ホルダと、前記清掃体ホルダに装着される清掃体と、
を備え、
前記清掃体ホルダは、当該清掃体ホルダの延在方向と交差する方向への延在成分を有しつつ長尺状に延在する保持部を備え、
前記清掃体は、前記保持部が挿入される被挿入領域を備え、この被挿入領域への挿入動作を通じて前記保持部の延在部分に倣って捻られつつ前記清掃体ホルダに装着される構成であることを特徴とする清掃用具。
【請求項2】
被清掃領域の拭き清掃に用いられる清掃用具であって、
長尺状の清掃体ホルダと、前記清掃体ホルダに装着される清掃体と、
を備え、
前記清掃体ホルダは、当該清掃体ホルダの延在方向と交差する方向への延在成分を有しつつ長尺状に延在する保持部を備え、
前記清掃体は、前記保持部が挿入される被挿入領域を備え、
前記保持部は、前記清掃体ホルダの延在方向に関する長さ及び前記延在方向と交差する方向への延在成分の長さが、それぞれ前記清掃体の有効清掃領域に関する長さ寸法及び幅寸法を規定する構成であることを特徴とする清掃用具。
【請求項3】
被清掃領域の拭き清掃に用いられる清掃用具であって、
長尺状の清掃体ホルダと、前記清掃体ホルダに装着される清掃体と、
を備え、
前記清掃体ホルダは、当該清掃体ホルダの延在方向と交差する方向への延在成分を有しつつ長尺状に延在する保持部を備え、
前記清掃体は、前記保持部が挿入される被挿入領域を備え、
前記保持部は、前記清掃体ホルダの延在方向と交差する方向に関する断面積が、前記清掃体の有効清掃領域に関する断面積を規定する構成であることを特徴とする清掃用具。
【請求項4】
請求項2または3に記載の清掃用具であって、
前記保持部は、所定の捻れ形状の延在部分を有し、
前記清掃体は、前記被挿入領域への挿入動作を通じて前記保持部の延在部分に倣って捻られつつ前記清掃体ホルダに装着される構成であることを特徴とする清掃用具。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の清掃用具であって、
前記保持部は、並行してらせん状に延在する二本の保持体によって構成され、
前記被挿入領域は、各保持体が挿入される領域として区画された構成であることを特徴とする清掃用具。
【請求項6】
請求項5に記載の清掃用具であって、
前記保持部は、前記二本の保持体によって二重らせん構造を形成する構成であることを特徴とする清掃用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−212430(P2008−212430A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54928(P2007−54928)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】