説明

清掃用手袋

【課題】便器の縁裏のような狭い所や窪んだ所等に付着した汚れを除去することができ、清掃性能に優れた清掃用手袋を提供すること。
【解決手段】清掃用手袋1は、先端2aが閉じられ、後端2bから該先端2aに向けて使用者の手を挿入可能な手袋本体2と、該手袋本体2の先端2a側(指挿入部2A)の外面上に配され、清掃対象部の汚れをかき取る清掃シート3とを具備する。手袋本体2と清掃シート3とが、該手袋本体2における使用者の手の挿入方向Xに沿った側縁2S,2Sで互いに接合されている。清掃シート3が、手袋本体2の挿入方向Xに沿った側縁2Sから外方に延出し且つ硬化処理が施されている延出部33を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器、洗面台、浴槽等の付着便、黒ずみ、黄ばみや水垢のような、硬質表面に付着した汚れの除去に好適な清掃用手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
便器、洗面台、浴槽等を清掃する場合、ゴム手袋を着用し、ブラシやたわし等で汚れを掻き取るのが一般的である。しかし、斯かる場合には、種々の清掃用具が必要であり、清掃作業はこれらの用具を清掃箇所に対応して持ち替えながら行うことになるため面倒であり、且つ非効率的であった。そこで、清掃作業の省力、効率化等の観点から、ゴム製あるいはプラスチック製の手袋自体に洗浄機能を付与した清掃用手袋が提案されている。
【0003】
このような清掃用手袋として、例えば特許文献1〜6には、手袋の手のひらや手の甲の部分に不織布やスポンジ等の研磨性のある洗浄素材を貼り付けて一体化させた清掃用手袋が記載されている。また特許文献7には、使用者の手が直接挿入される手袋の中に清掃具として機能する手袋を封入した清掃用手袋が記載されている。また特許文献8には、布等の摩擦性のある素材を手袋状に成形した清掃用手袋が記載されている。
【0004】
しかし、従来の清掃用手袋は、例えば便器の縁裏のような、たわしやブラシでは磨きにくい所(狭い所、窪んだ所等)に付着した汚れを除去し難く、清掃性能の点で改良の余地があった。
【0005】
【特許文献1】実開昭60−33943号公報
【特許文献2】登録実用新案第3039239号公報
【特許文献3】登録実用新案第3042449号公報
【特許文献4】登録実用新案第3067070号公報
【特許文献5】登録実用新案第3065092号公報
【特許文献6】登録実用新案第3138011号公報
【特許文献7】実開平2−134962号公報
【特許文献8】実開平6−46660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、便器の縁裏のような狭い所や窪んだ所等に付着した汚れを除去することができ、清掃性能に優れた清掃用手袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、先端が閉じられ、後端から該先端に向けて使用者の手を挿入可能な手袋本体と、該手袋本体の先端側の外面上に配され、清掃対象部の汚れをかき取る清掃シートとを具備する清掃用手袋であって、前記手袋本体と前記清掃シートとが、該手袋本体における使用者の手の挿入方向に沿った側縁で互いに接合されており、前記清掃シートが、前記手袋本体の前記挿入方向に沿った側縁から外方に延出し且つ硬化処理が施されている延出部を有している清掃用手袋を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の清掃用手袋は、トイレ、洗面所、浴室、台所等の清掃作業を効率良く衛生的に行うことができ、且つ便器の縁裏のような狭い所や窪んだ所等に付着した汚れを除去することができ、清掃効果が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の清掃用手袋を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。図1には、本発明の第1実施形態としての清掃用手袋の平面図が示されている。図2は、図1の要部(指挿入部)の拡大図、図3は、図1に示す清掃用手袋の使用方法の説明図である。第1実施形態の清掃用手袋1は、先端2aが閉じられ、後端2bから該先端2aに向けて使用者の手を挿入可能な手袋本体2と、該手袋本体2の先端2a側の外面〔使用時に使用者の手と当接する面(内面)と反対側に位置する面〕上に配され、便器、洗面台、浴槽、台所等の清掃対象部の汚れをかき取る清掃シート3とを具備している。
【0010】
手袋本体2は、使用時に使用者の指が挿入される指挿入部2Aと、使用者の腕が挿入される腕挿入部2Bとを一体に有している。指挿入部2Aは、図2に示すように平面視して四角形形状をしている。指挿入部2Aに位置する手袋本体2の先端2aは、平面視して挿入方向Xと直交する方向に延びる直線状となっている。第1実施形態における指挿入部2Aは、その内部が複数に区分されておらず、使用者の指が一体的に挿入されるようになされており、後述する第5実施形態のように使用者の指が個別に挿入されるようになされていない。
【0011】
手袋本体2は、略偏平なものであり、複数のシート材(第1実施形態では2枚のシート材)を貼り合わせて、使用者の手を挿入可能な隙間が形成されたものである。手袋本体2を構成する複数のシート材は、該手袋本体2の後端2bを除く周縁部において熱融着や接着等の接合手段によって互いに接合されている。腕挿入部2Bに位置する手袋本体2の後端2bにおいては、手袋本体2を構成する複数のシート材が互いに接合されておらず、該後端2bは、使用時に使用者の手が挿入される開口端となっている。扁平な形状を有する手袋本体2は、使用時に使用者の手のひら側を被覆する第1の面21及び該第1の面21と反対側に位置し且つ使用時に使用者の手の甲側を被覆する第2の面22を有している。
【0012】
清掃シート3は、硬質表面に付着した汚れをかき取ることが可能な硬質材料からなる。清掃シート3は、手袋本体2の先端2a側、即ち指挿入部2Aの第1の面21及び第2の面22それぞれの外面上に配されている。
【0013】
第1実施形態における清掃シート3は、矩形形状のシート材を2つ折りし且つその折り線3aと直交する両側縁3S,3Sにおいて対向する該シート材どうしを熱融着や接着等の接合手段によって接合してなる矩形形状の袋体からなり、且つ該折り線3aを手袋本体2の先端2aと一致させて、該手袋本体2の先端2a側(指挿入部2A)を覆っている。清掃シート3の折り線3aは、清掃シート3(清掃用手袋1)の先端を形成している。尚、ここでいう、先端2aと折り線3aとが一致している状態は、先端2aと折り線3aとが当接している場合のみならず、両者がある程度離間している場合を含み、清掃用手袋1を図1に示す如く広げて偏平にした状態において、先端2aの外面と折り線3aの内面との間の最短距離が概ね20mm以内の場合を含む。
【0014】
袋体からなる清掃シート3は、略偏平なものであり、手袋本体2の第1の面21を被覆する第1の面31及び該第1の面31と反対側に位置し且つ手袋本体2の第2の面22を被覆する第2の面32を有している。袋体からなる清掃シート3は、上述したようにその折り線3aが手袋本体2の直線状の先端2aに一致するように該手袋本体2の指挿入部2Aに被せられ、該指挿入部2Aの両面を被覆している。
【0015】
第1実施形態においては上述したように手袋本体2の両面(第1の面21及び第2の面22)に清掃シート3が配されているが、片面(第1の面21又は第2の面22)に清掃シート3を配することもできる。但し、第1実施形態のように手袋本体2の両面に清掃シート3が配されていると、1)清掃対象部が狭い隙間などの場合には、該隙間に清掃用手袋を装着した手を挿入して擦るだけで、手の向きを変えなくても、該隙間に存している汚れを一度で落とせる、2)清掃対象部が便器の縁裏など、手の向きを容易に変えられないような場所である場合には、手の甲側に配された清掃シートを使って汚れを除去することで、清掃用手袋の向きを持ちかえなくても掃除できる、などの利点がある。
【0016】
手袋本体2と清掃シート3とは、図2に示すように、該手袋本体2における使用者の手の挿入方向(指の挿入方向)Xに沿った側縁2S,2Sで互いに接合され、接合部40を形成している。手袋本体2と清掃シート3との接合部40は、上述した袋体からなる清掃シート3の側縁3Sを構成する相対向するシート材間に手袋本体2の側縁2Sが挟持された状態で、熱融着や接着等の接合手段によってこれらが接合一体化されることにより形成されている。接合部40は、手袋本体2の一側縁2Sの全体に亘って形成されていても良く、図2に示すように一側縁2Sの一部に形成されていていても良い。
【0017】
第1実施形態においては、清掃シート3における手袋本体2の後端2b寄りに位置する後端3bから該清掃シート3の内方に亘る所定領域において、手袋本体2と該手袋本体2の外面上に配された清掃シート3との間が接合されておらず、これら2,3の間に隙間(図示せず)が形成されている。より具体的には、手袋本体2と清掃シート3とは、上述したように手袋本体2の側縁2S,2Sでのみ接合されており、該側縁2S,2Sを除く他の部位では接合されておらず、従って前記所定領域(手袋本体2と清掃シート3とが接合されていない非接合領域)は、手袋本体2の両面それぞれにおいて、両側縁2S,2Sの間で且つ清掃シート3の後端3bから該清掃シート3の先端(折り線)3aに亘って存している。前記隙間には、清掃シート3の後端3bから使用者の手を挿入可能である。清掃用手袋1にこのような隙間が形成されていることにより、例えば該隙間に予め水や洗剤等の清掃用助剤を含ませておき、使用時に該隙間から清掃シート3の外面上に該清掃用助剤を徐々に染み出させるようにすることもでき、斯かる使用形態により清掃対象部の汚れ除去効果を一層高めることが可能となる。
【0018】
手袋本体2と清掃シート3との間に前記隙間を形成し易くする観点から、清掃シート3は手袋本体2よりも硬いことが好ましい。またこのように、清掃用手袋1の先端側(指挿入部2A)において外層を構成する清掃シート3が相対的に硬く、内層を構成する手袋本体2が相対的に柔らかいと、清掃用手袋1の清掃時の操作性が向上するという利点もある。手袋本体2及び清掃シート3の硬さは、形成材料や厚み等によって調整することができる。
【0019】
手袋本体2及び清掃シート3の硬さは、各部の剛性で表すことができる。手袋本体2のJIS−L1018で規定する45°カンチレバー法に準拠した方法によって測定される剛性は、好ましくは1〜40、更に好ましくは1〜30であり、清掃シート3の該剛性は、好ましくは50〜110、更に好ましくは60〜100である。尚、前記45°カンチレバー法に準拠した方法における試験片は1cm×約15cmとする。
【0020】
清掃シート3は、手袋本体2の挿入方向Xに沿った側縁2Sから外方に延出し且つ硬化処理が施されている延出部33を有している。第1実施形態においては図2に示すように延出部33は、清掃シート3の側縁3Sを含んで構成されている。延出部33は、清掃シート3の所定部位(手袋本体2の側縁2Sから外方に延出した部位)に人為的な処理が施されることによって、該所定部位の硬度(剛性)が該処理前に比して高められた部位である。このように比較的硬い延出部33が手袋本体2の側縁2Sよりも外方に形成されていることにより、例えば便器の縁裏のような狭い所や窪んだ所等に付着した汚れを該延出部33で容易に掻き取り除去することが可能となり、清掃性能に優れた清掃用手袋が得られる。延出部33の幅(挿入方向Xと直交する方向の長さ)W1は、好ましくは3〜15mm、更に好ましくは3〜10mmである。
【0021】
延出部33の形成に利用される前記硬化処理としては、清掃シート3の硬度を高めることができる処理であれば良く、清掃シート3の材質等に応じて適宜選択することができる。例えば清掃シート3が後述するような合成繊維を含むシート材である場合、前記硬化処理としては、例えば熱融着(ヒートシール)、接着剤の塗布等が挙げられる。これらの中でも特に熱融着(ヒートシール)が、作業の簡便性、及び手袋本体2と清掃シート3との接合を硬化処理と同時に実施できる点から好ましい。
【0022】
第1実施形態においては、手袋本体2の先端2aは前記硬化処理が施されていない清掃シート3で覆われている。即ち、清掃シート3における手袋本体2の先端2aを被覆している部位は、上述した清掃シート3の折り線3a及びその近傍であり、その硬度(剛性)は清掃シート3が本来有しているものから実質的に変化していない。手袋本体2の先端2aは、使用時に使用者の指先と当接する部位であり、該先端2aが熱融着等の硬化処理が施されていない清掃シート3で覆われていることにより、該先端2aが該硬化処理が施されている清掃シート3で覆われている場合に比して、便器の縁裏のような狭い所や窪んだ所の形状に清掃シート3の先端部が追従して変形し、該形状に沿いやすいため汚れをかきとりやすく、汚れ除去効果が高まる。
【0023】
手袋本体2の挿入方向Xに沿った長さL1は、清掃用手袋1の清掃用途等に応じて適宜設定することができる。長さL1が一定以上、好ましくは20〜50cmであると、清掃用手袋1を、いわゆる封水が常に残っている便器の排水口や台所、浴槽の排水口等の清掃に使用しても、手や衣服を汚すおそれが少ない。また、清掃シート3の挿入方向Xに沿った長さ(最大長さ)L2も、清掃用手袋1の清掃用途等に応じて適宜設定することができる。通常、長さL2は、使用時に清掃シート3が使用者の指全体を覆うように設定される。
【0024】
以上の構成を有する第1実施形態の清掃用手袋1は、手袋本体2の後端2b(開口端)から手を挿入し、図3のように手に装着して使用される。第1実施形態の清掃用手袋1は、右手及び左手のどちらでも装着可能である。清掃用手袋1は、便器、洗面台、浴槽、キッチン周り、食器等の硬質表面の清掃に好適であり、清掃対象部を清掃シート3で擦ることにより、該清掃対象部にこびりついた黄ばみや水垢等の汚れを除去することができる。また、清掃用手袋1の挿入方向1に沿った側縁に、硬化処理が施された延出部33が形成されていることにより、従来の清掃用具では除去し難かった、便器の縁裏のような狭い所や窪んだ所等に付着した汚れを、硬い延出部33で掻きとって除去することができ、清掃効果が高い。必要に応じ、清掃シート3に洗剤を付与してから使用することもでき、その場合、手袋本体2と清掃シート3との間に上述した隙間が形成されている場合には、該隙間に洗剤を入れて使用することもできる。使用後は、手を汚さずに清掃用手袋1を廃棄することができる。
【0025】
次に、第1実施形態の清掃用手袋1を構成する部材の詳細について説明すると、手袋本体2を構成するシート材としては、柔軟性(可撓性)及び撥水性を有するものが用いられ、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、シリコン、天然ゴムラテックス、ニトリルゴム、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
【0026】
清掃シート3としては、例えば不織布やスポンジ等の研磨性のある洗浄素材が用いられる。清掃シート3として特に好ましいものの一例として、手袋本体2上に配される液保持層と、該液保持層上に配される研磨層とを有する清掃シートが挙げられる。このような2層構造の清掃シートを用いると、高い清掃効果が得られると共に、使用時の感触及び拭き心地の点でも良好な結果が得られる。以下、この2層構造の清掃シートについて説明する。
【0027】
前記液保持層は、手袋本体2の外面上に配される層であり、清掃時に使用される洗剤や擦り取られた汚れを含む汚液等を保持する層として機能する。液保持層としては、パルプ繊維や合成繊維等の繊維を主体とする繊維集合体を用いることができる。液保持層におけるパルプ等のセルロース系繊維の含有量は、該液保持層の全質量に対して、好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。
【0028】
前記セルロース系繊維としては、例えば針葉樹や広葉樹等の木材を原料とする木材パルプ;麻、竹、藁、ケナフ、楮、三椏、木綿等の非木材パルプ;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;レーヨン等の再生繊維等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いることができる。また、前記合成繊維としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン系;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系材料;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系材料;ポリアクリルニトリル系材料;レーヨン;各種ゴム等からなる繊維が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いることができる。前記合成繊維は、1種の成分からなるものでも良く、例えば芯鞘型複合繊維のように2種以上の成分が融合せずに独立して存在しているものでも良い。また、前記液保持層を構成する繊維(パルプ繊維、合成繊維)の繊度は、好ましくは0.5〜5dtex、更に好ましくは0.5〜3dtexである。
【0029】
前記液保持層の坪量は、好ましくは20〜80g/m2、更に好ましくは30〜80g/m2である。
【0030】
前記研磨層は、前記液保持層上に積層され清掃用手袋1の外面を構成する層であり、清掃対象部の汚れを掻き取る層として機能する。研磨層としては、例えば不織布、スポンジ、サンドペーパー等を用いることができる。これらの中でも特に合成繊維から構成された不織布が好ましく用いられる。合成繊維としては、上述した液保持層で用いられるものと同様のものを用いることができる。不織布(研磨層)における合成繊維の含有量は、該研磨層の全質量に対して、好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上である。
【0031】
前記研磨層を構成する不織布においては、1)その構成繊維(合成繊維)の繊維間が絡合しているか、又は2)バインダー又は熱融着により結合していることが、汚れの掻き取り性能や研磨層の強度等の点から好ましい。前記1)の構成繊維の繊維間が絡合している不織布は、例えば公知の水流交絡法によって製造することができる。水流交絡法では、繊維をカード機により解繊した後、解繊したウエブにジェット水流を当て、繊維を絡合させて不織布を製造する。
【0032】
また、前記2)の構成繊維の繊維間がバインダー又は熱融着により結合している不織布は、例えば公知のケミカルボンド法、ヒートボンド法等により製造することができる。ケミカルボンド法では、例えば、繊維をカード機により解繊した後、解繊したウエブにバインダーを、スプレー法、コーティング法、デッピング法等により添加し、その後の乾燥工程により固化して不織布を製造する。バインダーの添加量は一般的に繊維重量に対して1割〜2割程度である。バインダーとしては、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の高分子有機材料の他、水ガラスもしくは水ガラスを含有した材料等が用いられる。更にこれらのバインダーには、その性質を損なわない範囲で抗酸化剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、分散剤等の添加剤を任意で配合してもよい。ヒートボンド法では、例えば、熱可塑性樹脂からなる繊維を用い、カード機により解繊した後、解繊したウエブを乾燥工程により熱融解させて結合し不織布を製造する。
【0033】
前記研磨層の坪量は、好ましくは20〜100g/m2、更に好ましくは40〜80g/m2である。
【0034】
前記液保持層と前記研磨層とは、熱融着や接着等の接合手段によって接合され一体化されている。このような液保持層と研磨層とを有する2層構造の清掃シートとしては、例えば本出願人の先の出願に係る特開2003−61885号公報に記載の清掃用シートを用いることもできる。該清掃用シートは、セルロース系繊維を含み且つエアレイ法によって形成されたウエブの片面に、太径熱可塑性繊維と細径熱可塑性繊維を含み且つエアレイ法によって形成されたウエブを積層し、各ウエブの構成繊維同士の交点及び両ウエブ間を融着又はバインダーにより接着させてなるものである。
【0035】
前記清掃用シートにおいては、汚れ除去効果を高める観点から、上述した製造工程において各ウエブの構成繊維同士の交点及び両ウエブ間をバインダーにより接着させる場合に、該バインダーを液保持層側からのみ塗布して該清掃用シートを製造することが好ましい。このようにすることで、研磨層側の構成繊維がその長さ方向を該層の厚み方向に略一致させて配向し、その結果清掃対象面に対して該構成繊維が垂直方向に立つので、便器、洗面台、浴槽等の付着便、黒ずみ、黄ばみ、水垢のような、硬質表面に付着した汚れを該構成繊維によって容易にかき取ることができ、汚れ除去効果が高まる。
【0036】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。後述する他の実施形態については、上述した第1実施形態の清掃用手袋1と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、第1実施形態の清掃用手袋1についての説明が適宜適用される。
【0037】
図4は、本発明の第2実施形態の平面図、図5は、本発明の第3実施形態の平面図である。第2及び第3実施形態の清掃用手袋1は、手袋本体2を構成する第1の面21と第2の面22とが該手袋本体2の周縁部以外の部位において互いに接合されている点以外は、第1実施形態と同様に構成されている。
【0038】
第2実施形態の清掃用手袋1においては、図4に示すように、手袋本体2における清掃シート3が配されている部位(指挿入部2A)の挿入方向Xと直交する方向の中央部に、相対向する第1の面21と第2の面22とが互いに接合されてなる封止部23が形成されており、封止部23の平面視における形状が、挿入方向Xに延びる直線状である。直線状の封止部23は、手袋本体2の直線状の先端2aの略中央から清掃シート3の挿入方向Xの略中央まで達しており、一定の幅を有している。封止部23は、手袋本体2の外面上に清掃シート3が配された状態で、該清掃シート3の先端3aの略中央から該清掃シート3の挿入方向Xの略中央に亘る所定幅の領域をエンボス加工等により熱融着(ヒートシール)することにより形成されており、封止部23においては、清掃用手袋1の全構成部材(手袋本体2及び清掃シート3)が一体化されている。
【0039】
上述の如き構成を有する第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が奏される。特に第2実施形態においては、手袋本体2における指挿入部2Aの挿入方向Xと直交する方向の中央部において該手袋本体2を構成するシート材どうしが互いに接合されて封止部23が形成されていることにより、清掃用手袋1の使用時において手袋本体2の内部に挿入されている使用者の指の動きが封止部23の存在によって制限され、指の固定性が高まるため、汚れを擦るときに指に力が入り易くなり、清掃時の作業性及び清掃効果が一層高まる。このような封止部23の形成は、本実施形態の手袋本体2のように、手袋本体の内部が複数に区分されておらず、使用者の指を個別に挿入可能になされていない(使用者の指が一体的に挿入されるようになされている)場合に特に有効である。
【0040】
直線状の封止部23の挿入方向Xに沿った長さ(封止部23の長手方向の長さ)L3は、好ましくは5〜65mmである。また、直線状の封止部23における清掃シート3の後端3b寄りの後端は、手袋本体2の先端2aから25〜70mm離間した位置にあることが好ましい。また、直線状の封止部23の挿入方向Xと直交する方向に沿った長さ(幅)W2は、好ましくは3〜15mmである。
【0041】
第3実施形態の清掃用手袋1においては、図5に示すように、手袋本体2における清掃シート3が配されている部位(指挿入部2A)の挿入方向Xと直交する方向の中央部に、相対向する第1の面21と第2の面22とが互いに接合されてなる封止部24が形成されており、封止部24の平面視における形状が、円形状(ドット状)である。第3実施形態は、封止部24の平面視における形状が異なる点以外は、第2実施形態と同様に構成されており、第2実施形態と同様の効果を奏する。円形状の封止部24の直径は、好ましくは5〜20mmである。
【0042】
図6は、本発明の第4実施形態の平面図である。第4実施形態の清掃用手袋1は、手袋本体2の先端2a側(指挿入部2A)に、使用者の親指が個別に挿入される親指挿入部25が形成されている点以外は、第1実施形態と同様に構成されている。尚、図6に示す清掃用手袋1は左手用であるが、右手用もこれと同様に構成される。
【0043】
上述の如き構成を有する第4実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が奏される。特に第4実施形態においては、親指挿入部25が形成されていることにより、清掃用手袋1の使用時に親指を動かすことが可能となるため、清掃時の作業性及び清掃効果が一層高まる。
【0044】
図7は、本発明の第5実施形態の平面図である。第5実施形態の清掃用手袋1は、手袋本体2及び清掃シート3が、何れも使用者の指が個別に挿入される指挿入部を有しており、これにより使用者の指を個別に挿入可能になされている点で第4実施形態と異なる。即ち、第5実施形態においては、手袋本体2(指挿入部2A)が、使用者の親指が挿入される親指挿入部25、使用者の人差し指が挿入される人差し指挿入部26、使用者の中指が挿入される中指挿入部27、使用者の薬指が挿入される薬指挿入部28、及び使用者の小指が挿入される小指挿入部29を有し、清掃シート3が、これら各指挿入部のうちの少なくとも一部(第5実施形態では親指挿入部25を除く他の指挿入部26〜29)の全体を個別に覆うように配されている。手袋本体2と清掃シート3とは、人差し指挿入部26、中指挿入部27、薬指挿入部28及び小指挿入部29それぞれの各側縁2Sで互いに接合されている。各指挿入部26〜29の各側縁2Sには、前記硬化処理が施されている清掃シート3の延出部33が形成されている。一方、各指挿入部26〜29の各先端2aは、前記硬化処理が施されていない清掃シート3で覆われている。清掃シート3の後端3bは、挿入方向Xと直交する方向に延びる直線状となっている。尚、図7に示す清掃用手袋1は左手用であるが、右手用もこれと同様に構成される。
【0045】
上述の如き構成を有する第5実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が奏される。特に第5実施形態においては、手袋本体2が使用者の各指を個別に挿入可能になされていることにより、使用時における指の固定性が高く、汚れを擦るときに指に力が入り易く、清掃時の作業性及び清掃効果が高い。
【0046】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されず、前述した一の実施形態のみが有する部分は、すべて適宜相互に利用できる。例えば第2実施形態においては、直線状の封止部23は挿入方向X(手袋本体2の長手方向)に対して略平行に延びていたが、該封止部23は挿入方向に延びていれば良く、該封止部23と挿入方向Xとのなす角度が45°未満であれば良い。また第2実施形態において、挿入方向Xに延びる直線状の封止部23を、該挿入方向Xと直交する方向に所定間隔を置いて多列に配することにより、手袋本体2及び清掃シート3を、使用者の指を個別に挿入可能にすることもできる。
【0047】
また第3実施形態においては、円形状(ドット状)の封止部24が1つ形成されていたが、該封止部24を複数形成しても良く、その場合、複数の円形状の封止部24を挿入方向Xに所定間隔を置いて配置することができる。また第3実施形態において、このような挿入方向Xに延びる複数の封止部24の列を、該挿入方向Xと直交する方向に所定間隔を置いて多列に配することにより、手袋本体2及び清掃シート3を、使用者の指を個別に挿入可能にすることもできる。
【0048】
また第4実施形態において、手袋本体2における清掃シート3が配されている部位の挿入方向Xと直交する方向の中央部に、相対向する第1の面21と第2の面22とが互いに接合された封止部を形成しても良い。
【0049】
また第5実施形態においては、清掃シート3が、親指挿入部25を除く他の指挿入部26〜29の全体を個別に覆うように配されていたが、指挿入部26〜29に加えて親指挿入部25の全体も個別に覆うように配されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態の清掃用手袋を模式的に示した平面図である。
【図2】図2は、図1の要部(指挿入部)を模式的に示した拡大平面図である。
【図3】図3は、図1に示す清掃用手袋の使用方法の説明図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態の清掃用手袋を模式的に示した平面図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施形態の清掃用手袋を模式的に示した平面図である。
【図6】図6は、本発明の第4実施形態の清掃用手袋を模式的に示した平面図である。
【図7】図7は、本発明の第5実施形態の清掃用手袋を模式的に示した平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 清掃用手袋
2 手袋本体
2A 指挿入部
2B 腕挿入部
2a 手袋本体の先端
2b 手袋本体の後端
2s 手袋本体の側縁
3 清掃シート
3a 清掃シートの先端(折り線)
3b 清掃シートの後端
3s 清掃シートの側縁
23,24 封止部
25〜29 指挿入部
33 延出部
40 接合部
X 使用者の手(指)の挿入方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が閉じられ、後端から該先端に向けて使用者の手を挿入可能な手袋本体と、該手袋本体の先端側の外面上に配され、清掃対象部の汚れをかき取る清掃シートとを具備する清掃用手袋であって、
前記手袋本体と前記清掃シートとが、該手袋本体における使用者の手の挿入方向に沿った側縁で互いに接合されており、
前記清掃シートが、前記手袋本体の前記挿入方向に沿った側縁から外方に延出し且つ硬化処理が施されている延出部を有している清掃用手袋。
【請求項2】
前記手袋本体の先端が、平面視して前記挿入方向と直交する方向に延びる直線状であり、
前記清掃シートが、矩形形状のシート材を2つ折りし且つその折り線と直交する両側縁において対向する該シート材どうしを接合してなる袋体からなり、且つ該折り線を前記手袋本体の先端と一致させて、該手袋本体の先端側を覆っている請求項1記載の清掃用手袋。
【請求項3】
前記手袋本体及び前記清掃シートが、使用者の指を個別に挿入可能になされている請求項1又は2記載の清掃用手袋。
【請求項4】
前記清掃シートにおける前記手袋本体の後端寄りに位置する後端から該清掃シートの内方に亘る所定領域において、該手袋本体と該手袋本体の外面上に配された該清掃シートとの間が接合されておらず、これらの間に隙間が形成されている請求項1〜3の何れかに記載の清掃用手袋。
【請求項5】
前記清掃シートが前記手袋本体よりも硬い請求項1〜4の何れかに記載の清掃用手袋。
【請求項6】
前記手袋本体の先端が、硬化処理が施されていない前記清掃シートで覆われている請求項1〜5の何れかに記載の清掃用手袋。
【請求項7】
前記手袋本体が、使用時に使用者の手のひら側を被覆する第1の面及び該第1の面と反対側に位置し且つ使用時に使用者の手の甲側を被覆する第2の面を有しており、
前記手袋本体における前記清掃シートが配されている部位の前記挿入方向と直交する方向の中央部に、相対向する前記第1の面と前記第2の面とが互いに接合されてなる封止部が形成されており、
前記封止部の平面視における形状が、前記挿入方向に延びる直線状又は円形状である請求項1〜6の何れかに記載の清掃用手袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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