説明

清浄具及び清浄具用保持体

【課題】 対象物に対し広い範囲にわたり比較的均等に清浄材に対し力を加えつつ拭くことができることによって清掃や洗浄等の効率を大きく高めることができる清浄具及び清浄具用保持体の提供。
【解決手段】 合成樹脂フィラメントB1の束からなる清浄材B、保持体M、ブラシ柄Hからなる。保持体Mは、清浄材Bの一部を締め付けて保持するための環状締部Fと、外周側に設けられた張出片部Cと、一対の延設部Sを備える。環状締部Fは、開口部C1を一箇所に有するC字状をなす。3箇所に設けた各張出片部Cは扇面形状をなし、隣接張出片部C間には径方向スリット状をなす周方向間隙部Lを有する。延設部Sは、環状締部Fの開口部C1の両端からそれぞれ外方に延び、端部の外側に互いに逆向きに突起部S1が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清浄材の一部を締め付け保持してなり、清掃や洗浄等のために用いる清浄具、及び、清浄材の一部を締め付け保持するための清浄具用保持体に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2007/029281再公表特許公報には、「紐状体並列体25が、一端側から簀巻き状に巻かれて一塊に形成されたブラシ体2が、その幅方向中間部分cの外周部を結束体3によって挟持された状態で、適宜の形状に形成された握り柄1の先端部11に固着されていることを特徴とする洗浄用ブラシ」の発明が記載されている。
【0003】
この洗浄用ブラシにおいて、紐状体並列体25からなるブラシ体2を挟持するための結束体3は、前記公報の図7に示されるように、中間部分3aをCリング状とし、その解放両端を外径方向に向けて突出させた脚部3b,3bと、その先端部を更に横外側に折り曲げた外方突出部3c,3cとを備え、平面視概形をΩ形としたものである。
【0004】
この洗浄用ブラシを用いて風呂やトイレ等の対象物の清掃を行うには、握り柄を把持して洗浄用ブラシを構成する紐状体並列体により対象物の表面を擦る必要がある。その場合、対象物に対し紐状体並列体を押圧する力は、握り柄に連結された結束体を介して伝えられるが、紐状体並列体全体に十分な力を伝えることは困難であり、清掃効率が十分とは言い得なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2007/029281再公表特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術に存した上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、対象物に対し広い範囲にわたり比較的均等に清浄材に対し力を加えつつ拭くことができることによって清掃や洗浄等の効率を大きく高めることができる清浄具及び清浄具用保持体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の清浄具は、開口部を一箇所に有する環状締部を備えた保持体により清浄材の一部を締め付けて保持してなる清浄具であって、
前記保持体は、環状締部の外周側に、外方に張り出した張出片部を備えており、保持体を支持して対象物を清浄材において拭く場合に、前記張出片を介して清浄材を対象物に対し押圧しつつ拭くことができるものであることを特徴とする。
【0008】
また本発明の清浄具用保持体は、開口部を一箇所に有する環状締部を備えた、清浄材の一部を締め付けて保持することにより清浄具を形成するための清浄具用保持体であって、
前記環状締部の外周側に、外方に張り出した張出片部を備えており、保持した清浄材により対象物を清浄材において拭く場合に、前記張出片を介して清浄材を対象物に対し押圧しつつ拭くことができるものであることを特徴とする。
【0009】
保持体を支持して対象物を清浄材において拭いたり擦ったりして清掃や洗浄を行う場合に、張出片を介して清浄材を対象物に対し押圧しつつ作業することができる。そのため、対象物に対し、環状締部の外周側に備える張出片部が外方に張り出した広い範囲にわたり比較的均等に清浄材に対し力を加えつつ拭いたり擦ったりして清掃や洗浄を行うことにより、清掃や洗浄等の効率を大きく高めることができる。
【0010】
本発明の清浄具は、環状締部の外周側に、外方に張り出した張出片部を、周方向の間隙部を隔てて2以上有するものとすることが望ましい。
【0011】
この場合、環状締部内に清浄材の一部を配する上で必要に応じ環状締部を拡げたり締め付ける際に、拡げたり締め付けるための環状締部の変形を張出片部が阻害することを可及的に防ぐことができる。
【0012】
また本発明の清浄具は、張出片部の外方張り出し長が、環状締部の内側の寸法の半分以上であるものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の清浄具及び清浄具用保持体によれば、対象物に対し、環状締部の外周側に備える張出片部が外方に張り出した広い範囲にわたり比較的均等に清浄材に対し力を加えつつ拭くことにより、清掃や洗浄等の効率を大きく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】清浄具の模式的な要部平面図である。
【図2】清浄具の模式的な要部正面図である。
【図3】図1におけるIII−III線の模式的な要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
(1) 図1乃至図4は、本発明の実施の形態の一例としての風呂用ブラシ(清浄具)に関するものである。
【0017】
この風呂用ブラシは、合成樹脂フィラメントB1の束からなる清浄材B、保持体M(清浄具用保持体)、及びブラシ柄Hからなる。
【0018】
保持体Mは、清浄材Bの一部を締め付けて保持するための環状締部Fと、環状締部Fの外周側の3箇所に設けられた径方向外方張り出しの張出片部Cと、一対の延設部Sを備え、合成樹脂により一体成形されてなる。
【0019】
環状締部Fは、開口部C1を一箇所に有するC字リング状(C字又は略C字)をなす。環状締部Fの内周側に、清浄材Bの一部を締め付けることによる清浄材Bの保持の確実性を高めるための内方突起Pが、開口部C1を基点とした90度中心角毎の3箇所に設けられている。
【0020】
環状締部Fにおける開口部C1と反対の側並びにその両側の3箇所に、それぞれ約80度中心角にわたり径方向外方に環状締部Fの直径の2倍強程度張り出した平面視扇面形状(扇形の要の側の小扇形をのぞいた形状)をなす板状の張出片部Cが設けられ、隣接張出片部C間には、約10度中心角の径方向スリット状をなす周方向の間隙部Lが形成されている。
【0021】
延設部Sは、環状締部Fの開口部C1の両端からそれぞれ外方に延びてなるものである。相対する一対の延設部Sの端部の外側には、互いに逆向きに突起部S1が設けられている。
【0022】
ブラシ柄Hは、先端部に嵌合孔H1の端部を開口し、嵌合孔H1における開口部からやや奥の両側に、それぞれ係合凹部H2が形成されている。なお、ブラシ柄Hの形態には限定はない。例えばブラシ柄Hは10乃至20cm又は50乃至70cm程度適宜の長さとすることができ、ブラシ柄Hの基部には適宜把手部等を設けることができる。
【0023】
この風呂用ブラシは、合成樹脂フィラメントB1の束からなる清浄材Bを、その束の長さ方向中間部において保持体Mの開口部C1を介して環状締部F内に配した状態で、保持体Mの一対の延設部Sを密着させてブラシ柄Hの先端部から嵌合孔H1に挿入し、両延設部Sの突起部S1が係合凹部H2に係合することにより、環状締部Fにより清浄材Bが締め付け保持された状態が維持されて組み立てられる。
【0024】
隣接張出片部C間には径方向スリット状をなす周方向の間隙部Lが形成されているので、環状締部F内に清浄材Bの束の長さ方向中間部を配する上で必要に応じ環状締部Fを拡げたり、保持体Mの一対の延設部Sを密着させてブラシ柄Hの先端部から嵌合孔H1に挿入して清浄材Bを締め付ける際に環状締部Fを縮める際の環状締部Fの変形を阻害しない。
【0025】
清浄材Bを構成する合成樹脂フィラメントB1の束は、保持体Mの上下においてそれぞれ分散してブラシ状をなす。浴槽等の対象物を清浄材Bにおいて拭いたり擦ったりして清掃や洗浄を行う場合に、張出片を介して清浄材Bを対象物に対し押圧しつつ作業することができる。そのため、対象物に対し、環状締部Fの外周側に備える張出片部Cが外方に張り出した広い範囲にわたり比較的均等に清浄材Bに対し力を加えつつ拭いたり擦ったりして清掃や洗浄を行うことにより、清掃や洗浄等の効率を大きく高めることができる。
【0026】
(2) 清浄材としては、合成樹脂フィラメント束に限らず、例えば、合成繊維、天然繊維、合成樹脂、スポンジ状合成樹脂等からなる紐状体又は帯状体等を多数束状としたものや、合成樹脂シートに多数の切れ目を設けて折曲又は巻回して多数の紐状突出部を有する清浄材としたもの等を挙げることができる。
【0027】
(3) 保持体の環状締部は、C字状に限らず、コ字状、U字状等の環状締部内に清浄材の一部を配し、開口部の両端を直接又は開口部の両端からそれぞれ外方に延びた延設部において締め付けることにより清浄材を保持し得るものとすることができる。
【0028】
(4) 保持体の張出片部は、環状締部が一定平面に沿うものである場合にその一定平面に沿って外方に張り出したものとすることができる。
【0029】
張出片部は、平面視扇面形状の板状であることが望ましいが、必ずしもこれに限らない。
【0030】
また、張出片部は、必要に応じ環状締部を拡げたり縮めたりする上で、2以上、より好ましくは3以上が、周方向に間隙を隔てて設けられていることが望ましい。
【0031】
環状締部の外周側において外方に張り出した1又は2以上の張出片部のそれぞれは、例えば中心角40度以上にわたるもの、好ましくは60度以上、より好ましくは70度以上であって、例えば中心角120度以下、好ましくは90度以下であるものとすることができる。
【0032】
1又は2以上の全ての張出片部を併せた場合、環状締部の外周側における各張出片部の中心角の合計が例えば中心角120度以上にわたるものとすることができる。広い範囲にわたり保持した清浄材に対し力を加える上で好ましくは中心角180度以上である。
【0033】
張出片部の外方張り出し長は、例えば環状締部の内側の寸法の半分以上(環状締部の内側が円形状である場合は半径の長さ以上、多角形であれば最長対角線の半分の長さ以上)とすることができ、広い範囲にわたり保持した清浄材に対し力を加える上で好ましくは、環状締部の内側の寸法以上(環状締部の内側が円形状である場合は直径の長さ以上、多角形であれば最長対角線の長さ以上)であるものとすることができる。
【0034】
(5) 環状締部の内周側には、清浄材の一部を締め付けることによる清浄材の保持の確実性を高めるための1又は2以上の内方突起を有するものとすることができる。
【0035】
なお、以上の実施の形態についての記述における構成部品の寸法、個数、材質、形状、その相対配置などは、特にそれらに限定される旨の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。
【符号の説明】
【0036】
B 清浄材
B1 合成樹脂フィラメント
C 張出片部
C1 開口部
F 環状締部
H ブラシ柄
H1 嵌合孔
H2 係合凹部
L 間隙部
M 保持体
P 内方突起
S 延設部
S1 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を一箇所に有する環状締部を備えた保持体により清浄材の一部を締め付けて保持してなる清浄具であって、
前記保持体は、環状締部の外周側に、外方に張り出した張出片部を備えており、保持体を支持して対象物を清浄材において拭く場合に、前記張出片を介して清浄材を対象物に対し押圧しつつ拭くことができるものであることを特徴とする清浄具。
【請求項2】
環状締部の外周側に、外方に張り出した張出片部を、周方向の間隙部を隔てて2以上有する請求項1記載の清浄具。
【請求項3】
張出片部の外方張り出し長が、環状締部の内側の寸法の半分以上である請求項1又は2記載の清浄具。
【請求項4】
開口部を一箇所に有する環状締部を備えた、清浄材の一部を締め付けて保持することにより清浄具を形成するための清浄具用保持体であって、
前記環状締部の外周側に、外方に張り出した張出片部を備えており、保持した清浄材により対象物を清浄材において拭く場合に、前記張出片を介して清浄材を対象物に対し押圧しつつ拭くことができるものであることを特徴とする清浄具用保持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−279446(P2010−279446A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133560(P2009−133560)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000178583)山崎産業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】