説明

清浄綿パック用ポーチ

【課題】ウェット状態での清浄綿を冬季でも気持ち良く手軽に使用できる清浄綿パック用ポーチを提供する。
【解決手段】開口1aが閉じ部材2で開閉可能に閉じられる袋状のポーチ本体1内の厚み方向の両側部位に、ウェット状態の清浄綿Wを内包している使い捨て用清浄綿パックPを収容するための清浄綿パック用収容部8A,8Bおよび8C,8Dを設け、さらに、前記ポーチ本体1内に、前記両側の清浄綿パック用収容部8A,8Bおよび8C,8Dにそれぞれ収容された清浄綿パックPによって厚み方向からサンドイッチ状に挟まれた状態で前記清浄綿Wを温める懐炉Nを収容する懐炉用収容部9を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばアルミニウムシート等でラミネートされたパック材にウェット状態の清浄綿を収容してある清浄綿パックを収容するための清浄綿パック用ポーチに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウェット状態にした清浄綿ないしはティッシュ等を容器に収容し、使用時に容器における引き出し口から洗浄綿等を引き出すようにした衛生用品が普及している。これは、乾燥状態のティッシュや清浄綿等とは違って常時ウェット状態に保持されているから、使用時に清浄綿等をわざわざ湿らしたりしなくても被清浄物体を綺麗に清浄化することができる利点がある。
【0003】
とくに、ウェット状態の清浄綿をアルミラミネート等からなるパック材に収容してある清浄綿パックでは、外出時に携行して何時でも簡単に清浄綿を使用できる。これは、例えば、育児の各種の世話を行う際の清掃処理を速やかに行えることから重宝されている。
【0004】
一方、従来、冷却材を構成する冷却基剤と冷却反応剤とを隔離して収容した袋に、被冷却材としての清浄綿を外袋に収容し、冷たい清浄綿が必要になった時に前記冷却基剤と冷却反応剤と反応させ、その時の冷却基材が冷える温度で清浄綿を冷却させるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−38540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、清浄綿は常時ウェット状態に保たれているから、夏場の使用時には、冷たい感じで結構気持ち良く使えるものの、冬季では、その冷たさがマイナスとなって敬遠されることもある。
【0007】
しかし、前述の公知技術においては、冷却基材が冷える温度で清浄綿を冷却させるに過ぎず、冬場でも清浄綿を気持ち良く使用したい要求に対応することができない。
【0008】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ウェット状態での清浄綿を冬季でも気持ち良く手軽に使用できる清浄綿パック用ポーチを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0010】
[1]袋状のポーチ本体と、
前記ポーチ本体の開口を開閉可能に閉じる閉じ部材と、
前記ポーチ本体内の厚み方向の両側部位にそれぞれ設けられて、ウェット状態の洗浄綿を内包した使い捨て用清浄綿パックを収容する清浄綿パック用収容部と、
前記両側の清浄綿パック用収容部にそれぞれ収容された清浄綿パックによって厚み方向からサンドイッチ状に挟まれた状態で、前記清浄綿を温める懐炉を収容する懐炉用収容部と、
を備えている異を特徴とする清浄綿パック用ポーチ。
【0011】
[2]前記両側の清浄綿パック用収容部は、ポーチ本体の横幅方向に複数設けられている前項1に記載の清浄綿パック用ポーチ。
【0012】
[3]前記閉じ部材は、ポーチ本体の開口端部に連成され、前側に折り返されて前記開口を閉じるカバーで構成されている前項1または2に記載の清浄綿パック用ポーチ。
【0013】
[4]前記懐炉は、使い捨てタイプである前項1〜3のいずれか一つの項に記載の清浄綿パック用ポーチ。
【発明の効果】
【0014】
前項[1]の発明によれば、ポーチ本体における厚み方向の両側の清浄綿パック用収納部にそれぞれ清浄綿パックを入れ、さらに、懐炉用収容部に懐炉を収容すれば、懐炉は清浄綿パックで厚み方向から挟まれた状態となるから、懐炉の発熱剤や熱源から発せられた熱が清浄綿パックに伝達されず外部に漏れることを低減することができ、各清浄綿パックを効率的に温めることができる。
【0015】
このため、例えば、外出中に乳幼児のお尻を拭いたりする際には、前記清浄綿パック内の清浄綿が温められているから、乳幼児の肌に対して冬季であってもウェット状態でありながら温かい感触を与えて機嫌の良い状態での世話が可能となる。
【0016】
前項[2]の発明によれば、ポーチ本体内に清浄綿パックを増やして収容量を増やすことができうえ、それら洗浄綿パックを一つの懐炉で温めることができ、外出中等に清浄綿が不足したりすることも少なくなる。
【0017】
前項[3]の発明によれば、ポ−チ本体の開口端部にカバーが連成されているので、部品点数が増えることもなく、安価で作りやすい。
【0018】
前項[4]に記載の発明によれば、使い捨て懐炉を使用するので、安価で手軽に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施形態に係る清浄綿パック用ポーチを閉じた状態で示す斜視図である。
【図2】同じく清浄綿パック用ポーチを開放状態で示す斜視図である。
【図3】図1のZ−Z線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、この発明の実施形態に係る清浄綿パック用ポーチを閉じた状態で示す斜視図、図2は、同じく清浄綿パック用ポーチを開放状態で示す斜視図、図3は、図1のZ−Z線に沿った断面図である。
【0022】
図1〜図3において、この清浄綿パック用ポーチAに収容される清浄綿パックPは、例えば、四角形のアルミニウムシート等を袋状にラミネートしたパック材Mと、このパック材M内に収容されたウェット状態の清浄綿Wとから構成されており、使い捨て用となっている。
【0023】
パック材Mは、ウェット状態の清浄綿Wの収容後、その周縁部をシールして該清浄綿Wをウェット状態に保持してある。使用時に、パック材Mの所定個所や適当な辺縁部を切り裂けば、簡単に清浄綿Wを取り出すことができるようになっている。
【0024】
前記清浄綿パック用ポーチAは、例えば、不織布を使って袋状に縫製されて、上側が開放されたポーチ本体1と、その上端開口1aを覆うカバー2とかなる。
【0025】
勿論、ポーチ本体1の構成材は、例えばデニム生地や皮革等を任意に選択して使用することができるが、この例のように、不織布を使えば、比較的安価に製作できる他、手触り感も良く、また、浮遊ウィルスや花粉等の侵入を防ぐ効果も発揮される。
【0026】
前記カバー2は、ポーチ本体1における後布1B側上端に連成されるとともに、連成部位21が、前記上端開口1aを閉じるためにポーチ本体1における前布1A側に折り返される折り返し部として構成されている。
【0027】
また、このカバー2の先端部2aの裏面と、ポーチ本体1における前布1Aの表面との一方には、面ファスナーを構成するフック部4が取り付けらており、他方には、該面ファスナーを構成するループ5が取り付けられている。勿論、面ファスナーに限らず、ボタンやホック(フック)等の他の止め部材を使用してよい。
【0028】
また、ポーチ本体1の開口1aを開閉可能に閉じる部材は、カバー2に限らず、例えば線ファスナー等を使用して閉じるようにすることもできる。その場合、開閉が速やかに行えるうえ、閉じた状態がしっかりと保持される。
【0029】
なお、線ファスナーとしては、樹脂製の凹状レールと凸状レールとを弾性的に嵌合させるレールファスナーが気密性が確保されて好適に使用できる。
【0030】
前記ポーチ本体1の内部には、その厚み方向(前後方向:矢印x方向)において襠幅を、例えば略3分するように前後2つの仕切り布6,7が左右方向(横幅方向:矢印y方向)の一端から他端まで延びて縫い付けられており、さらに、両仕切り布6,7の略中央部6a,7aは、それぞれポーチ本体1における前後の布6,7に縫い付けられている。
【0031】
つまり、前記2つの仕切り布6,7により、ポーチ本体1の内部における前布1Aと前側仕切り布6との間には、左右方向において、前記中央縫い付け部6aを境にして2つの清浄綿パックPの収納部8A,8Bが直列状に形成される一方、後布1Bと後側仕切り布7との間にも、左右方向において、前記中央縫い付け部7aを境にして2つの清浄綿パックPの収納部8C,8Dが直列状に形成されている。これら洗浄綿パック用収容部8A〜8Dには、洗浄綿パックPが立てて収容される。
【0032】
前記ポーチ本体1の内部において、両仕切り布6,7との間(ポーチ本体1における前側の清浄綿パック用収納部8A,8Bと後側の清浄綿パック用収納部8C,8Dとの間)には、例えば一つの懐炉Nを立てて収容する懐炉用収容部9として構成されている。つまり、懐炉用収容部9に立てて収容された懐炉Nは、前側の清浄綿パック用収容部8A,8Bと後側の清浄綿用収納部8C,8Dとで厚さ方向からサンドイッチ状に挟まれた状態となって、それらの清浄綿パックP内の清浄綿Wを厚み方向から温めるようになっている。
【0033】
前記懐炉Nとして、この例では、いわゆる使い捨て懐炉が使用されている。これは、周知のように、袋状の収納材F内に酸化作用で発熱する鉄粉等の発熱材Hが収容されたものが一般的であり、安価で手軽に使用できる。
【0034】
つぎに、上記のように構成された清浄綿パック用ポーチの使用方法について説明する。
【0035】
例えば、乳幼児等の世話をするにあたって、ポーチ本体1における前側の清浄綿パック用収容部8A,8Bと後側の清浄綿用収納部8C,8Dとにそれぞれ清浄綿パックPを1ないし2パック程度ずつ立てて収容し、さらに、ポーチ本体1における懐炉用収容部9に懐炉Nを立てて収容しておく。そうしておけば、懐炉Nにおける発熱剤Hが発熱し、その熱が前記各清浄綿パックPに対して伝達されて清浄綿Wが温められる。
【0036】
この際、懐炉Nは清浄綿パックPによって厚み方向から挟まれた状態となるから、懐炉Nから発せられた熱が清浄綿パックPに伝達されず外部に漏れることを低減することができ、効率的に清浄綿パックPを温めることができる。
【0037】
このため、自宅ないしは外出中等で清浄綿Wを使って乳幼児のお尻を拭いたりする場合に、前記ポーチAから清浄綿パックPを取り出して、パック材Mから洗浄綿Wを取り出せば、清浄綿Wが温められている状態であるので、冬季であっても、冷たい清浄綿Wで乳幼児の機嫌を損なわせるようなこともなくなり、温かい清浄綿Wで乳幼児に気持ちの良い感触を与えながら拭き取り作業を速やかに行うことができる。
【0038】
なお、前側の清浄綿パック用収納部8A,8Bおよび後側の清浄綿パック用収納部8C,8Dの数は、2つに限らず、適宜増減可能である。
【0039】
また、この実施形態では、使い捨てタイプの懐炉Nを収容する例で説明したが、これに限らず、例えば充電式の懐炉等、非使い捨てタイプのものをポーチAに収容して使うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
ウェット状態の清浄綿が収容された清浄綿パックを収容する清浄綿パック用ポーチに利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 ポーチ本体
1a 開口
2 閉じ部材(カバー)
8A〜8D 清浄綿パック用収容部
9 懐炉用収容部
N 懐炉
P 清浄綿パック
W 清浄綿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状のポーチ本体と、
前記ポーチ本体の開口を開閉可能に閉じる閉じ部材と、
前記ポーチ本体内の厚み方向の両側部位にそれぞれ設けられて、ウェット状態の洗浄綿を内包した使い捨て用清浄綿パックを収容する清浄綿パック用収容部と、
前記両側の清浄綿パック用収容部にそれぞれ収容された清浄綿パックによって厚み方向からサンドイッチ状に挟まれた状態で、前記清浄綿を温める懐炉を収容する懐炉用収容部と、
を備えている異を特徴とする清浄綿パック用ポーチ。
【請求項2】
前記両側の清浄綿パック用収容部は、ポーチ本体の横幅方向に複数設けられている請求項1に記載の清浄綿パック用ポーチ。
【請求項3】
前記閉じ部材は、ポーチ本体の開口端部に連成され、前側に折り返されて前記開口を閉じるカバーで構成されている請求項1または2に記載の清浄綿パック用ポーチ。
【請求項4】
前記懐炉は、使い捨てタイプである請求項1〜3のいずれか一つの項に記載の清浄綿パック用ポーチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−162178(P2010−162178A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7286(P2009−7286)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(390030052)大衛株式会社 (7)
【Fターム(参考)】