減少したホールドアップボリュームを有する液体濾過用システムおよび方法
本発明による一実施形態では液体濾過用のフィルタ装置が提供され、このフィルタ装置は複数の液体経路と流体連通し、この複数の液体経路のうちの少なくとも1つの経路は複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を有する。この装置は、フィルタ膜108およびフィルタ膜と流体連通する少なくとも1つの横断孔110を備えるフィルタコア109を備え、各横断孔は等価流体流れ直径を有する。少なくとも1つの横断孔の等価流体流れ直径の合計は、複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を超えない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年6月21日出願の米国特許仮出願第60/815,375号の利益を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明はフィルタ装置に関し、より詳しくはフィルタの両端の圧力低下を増加させずにホールドアップボリュームおよび洗い流し時間を低減させることができる使い捨てフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体製造で使用される化学物質のポイントオブユース濾過などの分野で使用される従来型のフィルタ装置は、使い捨て装置およびカートリッジフィルタの2つの型式のものである。
【0004】
この分野での進歩にもかかわらず、使い捨て装置は、等価な入口および出口ポートおよび/または装置にまたは装置から導くチューブ配管およびパイプ配管より大きい、過剰に大きな内部流れ流路を通常有する。これらの大きな流れ流路は、流体流れ経路内の膨張および収縮に起因して、結果として不必要なホールドアップボリュームになり、かつ圧力低下を増加させる。膨張および収縮によって生じる圧力変動は、濾過されつつある流体内の泡を溶液から外に出るようにさせる可能性がある。圧力低下が増加するのは、ガス放出に敏感な流体プロセスに対して有害である。必要とされるより高い圧力は、結果としてより多くの溶解ガスとより大きなガス放出の発生になる。ガス放出は、最終使用での欠陥に直接的に関連する。さらに、大きな流れ流路は、泡が捕らえられるようになる、あるいは泡の核生成が起きるより多くの場所が存在することを意味する。同様に、より多量のホールドアップボリュームは、フィルタに呼び水を差しかつ使用前のバックグランド微粒子レベルに洗浄するための時間がより長く掛かるようにさせる。
【0005】
定義によれば、カートリッジフィルタは、ハウジング内で使用され、したがってハウジングとフィルタの間に通常大きな流れ流路を有する。したがって、それらは不必要なホールドアップボリュームによって生じる同様な問題点に悩まされている。
【0006】
従来技術の一例として、Hopkinsらによる米国特許第5,620,599号明細書は、スリーブまたはケージがフィルタとハウジングの間の容積の通常80%を占有するカートリッジフィルタを開示し、de los Reyesらによる米国特許第5,762,789号明細書は、洗い流し流れ処置が流れパターンを改善する、低い死容積を有する使い捨てフィルタを開示する。
【0007】
フォトレジスト、誘電体、反射防止材および光学ディスク材料などの半導体製造などの分野で使用されるプロセス流体の高コスト、ならびに泡および他の原因によって生じる欠陥を避ける必要性が与えられている場合、フィルタのホールドアップボリュームの低減および完全洗浄時間の低減は重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,620,599号明細書
【特許文献2】米国特許第5,762,789号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ホールドアップボリュームおよび完全洗浄時間を低減させるための努力が存在してきているけれども、フィルタの両端の圧力低下を増加させずにホールドアップボリュームおよび完全洗浄時間を低減させることが、したがって継続的に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による一実施形態では液体濾過用のフィルタ装置が提供され、このフィルタ装置は複数の液体経路と流体連通し、この複数の液体経路のうちの少なくとも1つの経路は、複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を有する。この装置は、フィルタ膜と、フィルタ膜と流体連通する少なくとも1つの横断孔を備えるフィルタコアとを備え、各横断孔は等価流体流れ直径を有する。少なくとも1つの横断孔の等価流体流れ直径の合計は、複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を超えない。このフィルタ装置は、フィルタ膜を支持する底部キャップ、およびフィルタ膜を取り囲むフィルタボウルを備えることができ、このフィルタコア、底部キャップ、およびフィルタボウルは単一の構造体に任意選択で形成される。このフィルタボウルは、フィルタボウルの底部内側表面と流体連通する垂直な流体流路を備えることができる。この垂直な流体流路は、フィルタボウルの底部内側表面の最も近くで最小に達することができる変動する横断面面積を備えることができる。このフィルタコアの外側表面は溝なしであることができる。
【0011】
本発明による別の実施形態では、液体濾過用のフィルタ装置が提供される。このフィルタ装置は出口ポートと流体連通するフィルタ膜と、フィルタ膜と流体連通する少なくとも1つの横断孔を備えるフィルタコアとを備える。横断孔のうちの少なくとも1つはフィルタコアの頂部表面に配置されかつ出口ポートと流体連通する。この少なくとも1つの横断孔は、それらの等価流体流れ直径の合計がフィルタ装置と流体連通する複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を超えないように構成することができる。このフィルタコアは出口ポートと流体連通する内部流体経路を備えることができ、この内部流体経路は、フィルタ装置と流体連通する複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を超えない等価流体流れ直径を有することができる。この内部流体経路は、変動する横断面直径のものであることができる。
【0012】
別の実施形態では、フィルタ装置を製造するための方法が提供される。この方法は、フィルタ膜を頂部キャップに接合できる高められた温度までフィルタ装置の頂部キャップを加熱するステップと;フィルタ装置の中央流れ通路内に固定装置を挿入するステップと;高められた温度でフィルタ膜を頂部キャップに接合するステップと;頂部キャップが高められた温度より下に冷却した後、固定装置を取り外すステップとを含む。
【0013】
前述のことは、同様な参照符合が異なる図を通して同じ部品を指す添付の図面に示されている、本発明の例示的な実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。この図面は必ずしも縮尺どおりではなく、その代わりに本発明の実施形態を図示することに強調が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】本発明の第1の実施形態による使い捨てフィルタ装置の外側を示す図である。
【図1B】図1Aのフィルタ装置の横断面図である。
【図2】図1Aおよび図1Bの実施形態のフィルタ装置のボウルの図である。
【図3】図1Bの実施形態のフィルタ装置のフィルタコアの図である。
【図4A】図1Bの実施形態の頂部キャップの上面図である。
【図4B】図1Bの実施形態の頂部キャップの底面図である。
【図5A】本発明の第2の実施形態による、フィルタ装置用の単一式のボウル、コア、および底部キャップの図である。
【図5B】図5Aの実施形態の単一式のボウル、コア、および底部キャップの横断面図である。
【図6A】図5Aおよび図5Bの実施形態による、単一式のボウル、コア、および底部キャップを使用する組み立てられたフィルタ装置の横断面図である。
【図6B】図6Aの実施形態による、組み立てられたフィルタ装置の四つ割りにした断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態による、変動する横断面流れ出口を有するコアを備えるフィルタ装置の横断面図である。
【図8】本発明の実施形態による、頂部キャップが固定ピンを使用してフィルタ膜およびコアに接合される、製造プロセスを示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好ましい実施形態の説明が以下に続く。
【0016】
本発明の第1の実施形態によれば、装置の両端の圧力低下を認めうるほどに増加させずに、従来の装置と比較して相当に減少したホールドアップボリュームおよび減少した完全洗浄時間を達成する、使い捨てフィルタ装置が提供される。この減少したホールドアップボリュームおよび減少した完全洗浄時間は、多数の特長により達成される。
【0017】
このフィルタ装置は、フィルタが使い捨て容器の内側に収納されるときフィルタを保護するためにケージが必要でないので、フィルタを取り囲むケージまたはスリーブを有さない。本明細書で使用されるとき、使い捨てフィルタ装置はユニットとして設置しかつ取り外すことができ、取り外し後処分することができるものである。モジュール内のフィルタ膜を交換する必要があるとき、フィルタ装置全体がそれが使用されるシステムから取り外され、かつ処分される。
【0018】
フィルタの外側直径は、容器のボウルの内側にきつく嵌合している。「きつく嵌合」によって、この嵌合はフィルタ媒体を流体背圧に対して支持するのに十分にきつくあるべきであるが、任意の必要な流路を通る流体流を閉鎖するのに十分なほどきつくないことを意味している。ボウルの側面を下る流体流路は装置の底部に流体を連通させ、ボウルの底部を洗い流すために使用することができるが、この流体はフィルタのプリーツを下って移動することもできる。フィルタ媒体とボウルの間のこのきつい嵌合は、流体背圧下でフィルタ媒体をボウル内に支持する利点を提供する。
【0019】
フィルタ装置のコアは溝をまったく有さない。従来型技術でのように、流体をフィルタ膜から装置の出口に運ぶために溝付きのコアを使用する代わりに、通常高分子の網から形成されるフィルタ膜の支持部材およびフィルタ膜のプリーツがコア内の横断孔に流体を運ぶために使用され、それらが流体を出口に導く。
【0020】
このフィルタコアは、流体をフィルタ膜から装置の出口に運ぶための最小限の数の横断孔(例えば、1つまたは2つの横断孔)と、装置に呼び水を差す間フィルタ膜を通り空気を換気させ、引き続き装置の出口に流体を運ぶのを補助するための、フィルタコアの頂部表面の所のまたはその近くの少なくとも1つの横断孔とを特徴とする。より多数の横断孔を使用し、かつフィルタコアの頂部表面の所にまたはそれに近接して横断孔をまったく有さない従来型の装置と比較して、横断孔のそのような使用は、装置のホールドアップボリュームおよび完全洗浄時間を減少させる。その上、フィルタコアの頂部表面の所にまたはそれに近接して少なくとも1つの横断孔を使用することは、従来の設計で重大な問題点であり得る流体チャンバの頂部の所の空気捕捉を防止する。
【0021】
このフィルタコア流れ流路は、さらに以下に説明する流れ平衡原理によるフィルタ装置の入口および出口流れ経路に合致させられる。特に、コア内の横断孔の等価直径の合計は、さらに以下に説明するように、フィルタ装置と流体連通する最小の液体流れ経路の等価直径(例えば、出口流れ経路の等価直径)と等しくすることができる。
【0022】
小さな流れ経路は、できるだけ小さなホールドアップボリュームを維持しながらボウルの底部を洗い流すことができるように、フィルタ装置の底部キャップとボウルの間に使用される。「小さな流れ経路」によって、この流れ経路はボウルを洗い流すことができるのに十分大きいが、ホールドアップボリュームを望ましくなく増加させるほど大きくないことを意味する。例えば、底部キャップの下の流れ経路は、従来の装置と比較して2ccまたはそれより多いホールドアップボリュームと同じ量をなくすことができる。ボウルの底部の洗い流しは、流体からの泡の取り除きを助け、および流体流れ経路内の死容積をなくすことを助ける。底部キャップの下のそのような流れ経路は、以下にさらに説明する流れ平衡原理による入口および出口流れ経路に合致させることができる。
【0023】
以下にさらに説明するように、このフィルタ頂部キャップは、溶接、注封、または他の接合方法から結果として生じる溶融プラスチックが流体流れ経路と干渉するのを防止するために、固定ピンを使用する方法によって装置に接合することができる。面取りされた縁部または座ぐりを溶融プラスチックを受けるために使用することができる。
【0024】
上記のような機構を使用して、(この特定の図は限定として考えるべきではなく、例示としてのみ与えられているが)本発明による第1の実施形態は、同様な状況で使用される従来の装置が40mlより大きなホールドアップボリュームを有していた場合、約20mlより少ないホールドアップボリュームを達成することができ、これによってフィルタ装置の性能を大きく改善する。
【0025】
図1Aは、本発明の第1の実施形態による使い捨てプリーツ付き膜フィルタ装置100の外側を示す。このフィルタ装置は、フィルタ装置100の内部と流体連通する少なくとも3つのポート102、103、および104、すなわち入口104、出口102および排気部103が内に配置されるヘッド区画101と、ボウル105とを含む。
【0026】
図1Bは、図1Aのフィルタ装置100の横断面図を示す。ポート102および104は、内に頂部キャップ106、底部キャップ107、フィルタ膜108、およびコア109から形成されるフィルタカートリッジが収容される、フィルタ装置100の内部と流体連通する。横断孔110がコア109の頂部表面の所に、またはそれに近接して(この場合は、頂部表面の所に)形成され、装置に呼び水を差す間フィルタ膜を通る空気を排気するのを助ける。装置に呼び水を差す間に装置が最初に流体で充填されるとき、コアの頂部表面の所に、またはそれに近接してそのような横断孔を有さない従来の装置は、コアの頂部近くで空気を捕捉する可能性がある。しかしながら、横断孔110を設けることによって、呼び水を差す間に空気および他のガスを出口102を介して排気することができるので、呼び水を差す間のそのような問題点は軽減される。装置が充填された後、この横断孔110は、膜108によって濾過された流体を出口102に運ぶために使用される。本明細書で使用されるとき、「横断孔」は、フィルタコアを直径(または他の弦または区画)で横切って延び、その端部の両方でコア内に流れ込む流体の流れに対して開いている流れ通路を呼ぶ。この横断孔110とコア内の任意の他の横断孔の等価直径の合計は、以下にさらに説明する流れ平衡原理に従って、装置と流体連通する液体流れ経路に合致させることができる。底部キャップ107とボウル105の間の小さな容積111によって、流体がボウル105の底部を洗い流すことが可能になる。容積111を通る流れ経路も、以下にさらに説明する流れ平衡原理に従って、装置への流れ経路に合致する等価直径を有することができる。フィルタ膜108は、プリーツ付きの膜であることができ、フィルタ媒体が流体背圧の下でボウル内に支持されるように、フィルタボウル105ときつい嵌合112を形成する。ケージまたはスリーブはフィルタ媒体108をまったく取り囲まない。頂部キャップ106、コア109、底部キャップ107、およびボウル105は、成型構成部品であることができ、例えば、高密度ポリエチレンから形成することができる。このヘッド区画101は、ミネソタ州チャスカのEntegris,Inc.によって販売されるIMPACT(登録商標)2headなどの、同様な状況で使用される他のフィルタ装置と共に使用される標準ヘッドであることができる。
【0027】
図2は、図1Aおよび図1Bの実施形態のボウル105の図である。図1Bのフィルタ膜108は、ボウル105ときつい嵌合を形成するけれども、小さな垂直な流体流路218がボウル105の底部に流体を運ぶのに使用される。この流体流路218は、ボウル105の頂部近くでより大きく、ボウル105の底部の所のより小さな横断面に向かってテーパのついた変動する横断面を有する。この流体流路218は流体を装置の底部へ連通させ、流体がボウル105の底部を洗い流すのを可能にし、これが泡を流体から取り除きかつ流体流れ経路内の死容積をなくすのを助ける。この流体流路218は流体がボウル105内により深く移動するとき減少する横断面面積を有するので、流体が流体流路218を下って移動するとき流体速度は増加し、ボウル105の底部で最大流体速度に達し、そこでそれは流路218を出て底部キャップ107の下を洗い流す。流体がボウル105の底部で最大速度に達しているので、底部キャップ107の下でのその洗い流しはより効果的になる。さらに、流体が流路218を下って移動するとき、より多くの流体が膜108を通過する。したがって、漸次より少ない流体しか存在しないので、流路218を下ってより小さな横断面面積、したがってより少ないホールドアップボリュームがさらに必要となる。
【0028】
流体流路218を通り移動するのに加えて、この流体はフィルタ膜108のプリーツを下降して移動することもできる。
【0029】
図3は、図1Bの実施形態のフィルタコア109の図である。横断孔310はコアの頂部表面に形成される内部コア容積313と流体連通しており、それは、横断孔310が装置に呼び水を差す間に排気し、かつ引き続き流体を出口102(図1B)に運ぶのを助けるように、出口ポート102(図1B)と流体連通している。この内部コア容積313は、中央に配置されるのが好ましいが、出口102と流体連通する、フィルタ装置内の他の位置にも配置することもできる。図3のコア109の平滑さによって分かるように、コア109の外部表面は溝をまったく有さず、その代わりにフィルタ膜の支持部材(通常高分子の網)とコア内の横断孔310に流体を運ぶためのフィルタ媒体のプリーツに頼っており、この横断孔310は流体を出口ポート102に導く(図1B)。
【0030】
図4Aは、図1Bの実施形態の頂部キャップ106の上面図である。この頂部キャップ106は、ヘッド区画101に(接着または取り付けの他の手段も使用できるが)熱的に接着されている。頂部キャップ106内の中央開口部419は出口ポート102に流体連通し、スロット420は入口ポート104と流体連通している。入口スロット420の差込部分421は、頂部キャップ106の縁部に配置されるノッチ422に流体を導き、このノッチは図2のボウルの流体流路218内に開口している。ノッチ423および通路424は排気流れ経路の一部をなし、通路424は排気ポート103と流体連通している。キー付き部分425は、製造中頂部キャップ106をヘッド区画101に向きを合わせるために使用できる。
【0031】
図4Bは、図1Bの実施形態の頂部キャップ106の底面図である。出口ポート102用の中央開口部419、入口ポート104用のノッチ422、および排気ポート103用のノッチ423が、頂部キャップ106の底部側上で開口しているのが分かる。排気用のノッチ423は、排気を助けかつ入口ノッチ422を排気ノッチ423に接続する、頂部キャップ106の底縁部周りに形成される薄いスロット426の最も深い所に位置決めされる。
【0032】
使用では、第1の実施形態を通る流れパターンは以下の通りである。濾過される予定の液体は、ヘッド区域101の入口ポート104を通り入り、頂部キャップの開口部420内に流れ込み、入口ノッチ422を通り、流路218を通りボウルの側面を下る。液体がボウル内に流れ込むとき、この液体は膜108を貫通してコア109に向かってすべての側面から内向きにも流れる。液体は流路218の底部から外にも流れ、ボウル105の底部を洗い流す。膜108を貫通して内向きに流れた後、この濾過された液体は横断孔110を通り流れ、頂部キャップの通路419に入り、ヘッド区域101の出口ポート102を通り外へ出る。液体内のガスの泡は、入口ポート104および流れパターンの入口側に接続される排気ポート103の所に集められ、排気ポートを通り排気される。流れパターンの入口側から外に出て上昇する泡は、頂部キャップ106の底部側のスロット426内に集まり、排気ポート103に繋がる通路424内にノッチ423を介して上昇する。同様に、入口ポート104は、ヘッド区域101内の接続部(図示せず)を介して排気ポート103に直接的に接続することもできる。インサイドアウト(inside−out)流れパターンおよびタンジェンシャル(tangential)流れ濾過パターンなどの、他の流れパターンも本発明の実施形態に従って使用できることは理解されるであろう。入口、出口、および排気ポートは、例えば、図示のものと異なる形態で配置することができる。
【0033】
本発明による第2の実施形態では、ボウル、コア、および底部キャップが単一式構造体に形成されていることを除き、概して第1の実施形態と同様な、減少したホールドアップボリュームを有する使い捨てフィルタ装置が提供される。本明細書で使用されるとき、「単一式(unitary)」はただ1つの部片(例えば、ただ1つの成型構造体)から形成されることを意味する。そのような実施形態は、従来型の装置と比較してホールドアップボリューム、呼び水を差す時間、およびコストを低下させ、かつ排気効率を増加させる。この単一式の構造体は、底部キャップの下から空気を洗い流す必要性をなくす。その上、ボウル、コア、および底部キャップ用に単一式構造体を使用することは、装置の製造コストを低下させるのを助ける。
【0034】
第2の実施形態によるフィルタ装置は、第1の実施形態に対して上記で論じた特徴のうちのいくつかを使用することができる。例えば、このフィルタ装置はフィルタを取り囲むケージまたはスリーブをまったく有さないことができる;このフィルタ装置は、フィルタ媒体の外側直径と任意選択でボウルの側面を下る流体流路を有するボウルとの間にきつい嵌合を使用することができる;このフィルタ装置のコアは溝をまったく有さないことができる;このフィルタコアは、フィルタ膜から装置の出口に流体を運ぶための最小限の数の横断孔と、装置に呼び水を差し引き続いて膜から出口に流体を運ぶ間にフィルタ膜を通る空気を排気するのを助けるための、フィルタコアの頂部表面の所にまたはそれに近接してある少なくとも1つの横断孔とを特徴とすることができる;このフィルタコア流れ流路は、以下にさらに論じる流れ平衡原理に従ってフィルタ装置の入口および出口流れ経路に合致させることができる;かつこのフィルタの頂部キャップは固定ピンを使用する方法で装置に接合することができる。
【0035】
図5Aは、本発明の第2の実施形態による、フィルタ装置用の単一式のボウル、コア、および底部キャップを示す。この実施形態では、単一式の構造体514は、ボウル505、コア区域509、および底部キャップ区域507を含む。このコア区域509は、図1Bの実施形態の横断孔110に似た方式で、呼び水を差し、引き続いて流体を出口に運ぶ間に排気するのを助けるための、コアの頂部表面の所にまたはそれに近接してある横断孔510を含む。この単一式の構造体514は、例えば高密度ポリエチレンから成型することができる。
【0036】
図5Bは、ボウル505、コア区域509、底部キャップ区域507および横断孔510を示す、図5Aの実施形態の単一式のボウル、コア、および底部キャップの横断面図を示す。
【0037】
図6Aは、図5Aおよび図5Bの実施形態による、単一式のボウル、コア、および底部キャップを使用する組み立てられたフィルタ装置の横断面図を示す。図1Aおよび図1Bのものと類似するヘッド区画601が、単一式のボウル、コア、および底部キャップ514に嵌合される。フィルタ膜608は、ボウル507の底部に直接注封され、一方ボウル509のコア区画はその頂部表面の所に、またはそれに近接して横断孔510を有する。フィルタ膜608は、図1Aおよび図1Bの実施形態のものと類似することができ、ボウル505の内側ときつい嵌合612を形成するプリーツ付きのフィルタであることができる。頂部キャップ606は、図1Bのヘッド区画101および頂部キャップ106のものと類似する方式で、ヘッド区画601とポート602および604を連結し、ポート、頂部キャップ、フィルタ膜、およびコアを介した、図1Bの実施形態におけるのと類似する流体流れパターンを有する。
【0038】
図6Bは、ヘッド区画601、頂部キャップ606、フィルタ膜608、および単一式のボウル、コア、および底部キャップ514を示す、図6Aの実施形態の組み立てられたフィルタ装置の四つ割りにした断面図である。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、フィルタ装置の(図1Bの頂部キャップ106およびヘッド区画101などの)頂部キャップおよびヘッド区画は、流れ平衡原理による装置の入口および出口流れ経路に合致する等価直径を有するように設計することができる。
【0040】
より一般的に、本発明の一実施形態によれば、フィルタ装置全体にわたる流体流路は、流体流れに対するそれらの等価直径が、フィルタ装置と流体連通するポート、接続部および/またはチューブ配管のうちの任意のものの最小の等価直径を超えないように寸法設定(本明細書では、流れ平衡化)することができる。装置と流体連通する配管系統のサイズと概して等しくなるような方式で流れ流路サイズを寸法設定しかつその数を定めることによって、その圧力低下を増加させるなどの、装置の性能に悪影響を及ぼすことなしに装置のホールドアップボリュームを最小限にすることができる。一般に、本発明の実施形態によるフィルタ装置の流れ流路に一定の横断面面積を使用することは、装置内の膨張および収縮の圧力低下を最小限にし、泡捕捉および泡の核形成場所をより少なく作り出す傾向がある。例えば、図7を参照して以下に論じる技術を含め、流れ平衡化を達成するために様々な異なる考え得る技術を使用することができる。層流を有する円形の流体通路に対しては、横断面面積が等価直径を求めるために通常使用することができ、あるいは、非円形通路を通る乱流流れに対しては、水力直径(hydraulic diameter)DHを使用することができ、通路の横断面面積Aおよび周囲長さPに対して、
【数1】
となる。例えば長方形のダクトの等価直径を求めるための、ASHRAE(the American Society of Heating,Refrigeration,and Air−Conditioning Engineers)または他の標準機関によって出版される公式などの、他の式も等価直径を求めるために使用することができる。例えば、コア内の複数の横断孔に対しては、横断孔の等価直径の合計を、最小の液体ポートの等価直径に等しくすることができる。
【0041】
本発明の第3の実施形態によれば、第1および第2の実施形態と概して類似するフィルタ装置は、上記で説明した流れ平衡原理をうまく利用するために、変動する横断面流れ出口を有するコアを特徴とすることができる。この第3の実施形態では、コア内の各横断孔がコア出口流れ経路と交わるとき、このコアの出口流れ経路は直径が増加する。このコアの出口流れ経路は、テーパ付きまたは段付のいずれかであることができる。
【0042】
図7は、本発明の第3の実施形態による変動する横断面流れ出口を有するコアを備えるフィルタ装置の横断面図である。第1および第2の実施形態と同様な方式で、頂部キャップ706を備えるフィルタカートリッジ、フィルタ膜708、底部キャップ707、およびコア709が、ボウル705とポート702および704を備えるヘッド区画701との中に入れられている。しかしながら、図7の実施形態のコア709では、横断孔710は変動する横断面を有するコアからの出口流れ経路715と交わる。上記で説明した流れ平衡原理を使用すると、Dがフィルタ装置と流体連通する最小直径の液体接続部、ポート、または配管系統であると定義される場合、変動する横断面流れ経路715の最大内側直径DCは、上記で与えられる流れ平衡原理の下で、Dと同じに、すなわち、
DC=D
に作られるべきである。この変動する横断面流れ経路715が、(図7では、コア709の底部に向かう)実際的にゼロに近い最初の横断面直径から、(図7では、コア709の頂部表面の所の)最大横断面直径のDCまで平滑に変化すべきであるのが好ましい。同様に、(1つ、2つ、またはそれより多く存在する可能性のある)横断孔710は、出口流れ経路715の直径が出口流れ経路715と既に交わっている多数の横断孔の等価直径と等しくなるとき横断孔710が出口流れ経路715と交わるように、間隔をあけかつ寸法設定すべきである。具体的には、各横断孔の横断面dは、
【数2】
であるべきであり、上式でNは横断孔の合計数であり、かつi番目の横断孔の後の、出口流れ経路715の横断面直径DC,iは、
DC,i=id
であるべきである。
【0043】
上記で説明した流れ平衡化原理を適用する場合、出口流れ経路715のどちら側にも横断孔の2つの区画710aおよび710bを有するにもかかわらず、各横断孔710はコア709を横切って途中ずっと延びているとして考えられることを理解されたい。横断孔および装置の他の流れ流路の等価直径を考慮する場合、そのような流路の最小の部分を考慮すべきである。例えば、出口流れ経路内の狭窄部718は、出口流れ経路の最小の直径として考えるべきである。入口および出口流れ経路の最小の部分は、718の所などのこの装置内にある可能性がある。重要なことは液体流れに対する圧力低下であることを前提とすると、流れ平衡化では排気流れ経路ではなく、液体流れ経路のみ考慮すべきである。
【0044】
図7の実施形態におけるような配置を使用すると、濾過する予定の流体はフィルタ膜708を通り流れ、横断孔710を通り内向きに、そして出口流れ経路715に入る。この出口流れ経路715は、図7に示しかつ上記の等式で説明したものと別の方式に変更することができることを理解されたい。例えば、出口流れ経路715の横断面は階段状にまたは他の不連続な方式に変化することができ、あるいは直線的にまたは非直線的に変更することができる。
【0045】
図8は、本発明の一実施形態による、頂部キャップが固定ピンを使用してフィルタ膜およびコアに接合される製造方法を示す横断面図である。この実施形態では、頂部キャップ806、フィルタ膜808、底部キャップ807、およびコア809は、本明細書で説明された実施形態と同様なフィルタ装置内で使用される。従来型の製造方法では、この頂部キャップは膜に対してシールするために加熱され、そのことがしばしば、これらの部品が一緒にシールされるとき流れ通路内に侵入する溶融廃プラスチックに結果としてなる。硬化した廃プラスチックは仕上げられた装置内に残り、装置の性能を低下させる可能性がある。これを避けるために、本発明の一実施形態による製造方法は、頂部キャップが装置に接合されている間、装置の中央流れ通路を埋めるために固定ピン816を使用する。この固定ピン816が流れ通路を埋めるので、溶融プラスチックは、限定された座ぐり穴空間817内にしか流れ込むことができず、それ故考え得る小さな廃プラスチックしか流体流れ経路と干渉しない。面取りした縁部を溶融プラスチックを受けるために使用することもできる。次いでこの固定ピン816は、製造ステップが完了した後で取り外される。
【0046】
本明細書で説明されるものによる実施形態を使用して、フィルタ装置は、従来のフィルタ装置と比較して圧力降下の感知できる増加なしに相当に減少したホールドアップボリュームを有することができる。本明細書で説明される技術は、より少ない泡捕捉および泡の核生成場所も作り出すことができる。全体的に見て、このフィルタ装置は減少した呼び水差し時間と減少した体積を有する。
【0047】
上記でプリーツ付き膜が言及されてきたが、様々な異なる考え得る種類の膜を本発明の実施形態により使用することができる。例えば、微多孔膜、限外濾過、または逆浸透膜を使用することができ、かつ高分子、金属、セラミック、ガラスおよび炭素を含む様々な材料から作ることができ、かつ吸着樹脂用の支持構造体としても使用することができ、吸着媒体として作用する化学的部分の取り付けによって改変された表面であることもできる。使用できる他の機構には、螺旋に巻かれたおよび円盤のフィルタ要素;ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエーテルスルフォンおよびポリ弗化ビニリデンなどの任意の数の高分子から作られる膜、ならびにステンレス鋼およびセラミックの膜;膜の構造体内に閉じ込められた、または膜表面に取り付けられた活性吸着剤(例えば、イオン交換樹脂、活性化炭素、特定の溶質用の配位子)を有する膜;エポキシシールされたフィルタ要素;ハウジングの本体に直角な接続ポート、ならびに互いに平行でない可能性のある接続ポートが含まれる。半導体産業の必要性に対し参照が行われてきたが、安全、封じ込めおよび容易なフィルタ交換がやはり重要である、例えば、核、生物学、バイオ技術、および製薬産業などの他の産業も同様な要件を有することを認識すべきである。
【0048】
第1、第2等の実施形態が本明細書で言及されてきたけれども、本発明による各々の説明された実施形態の発明性のある特徴は、別個にまたは組み合わせて使用できることを理解されたい。
【0049】
本発明は、その好ましい実施形態に対する参照によって具体的に示し、かつ説明してきたけれども、当業者は添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更をそれに加えることができることを理解するであろう。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年6月21日出願の米国特許仮出願第60/815,375号の利益を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明はフィルタ装置に関し、より詳しくはフィルタの両端の圧力低下を増加させずにホールドアップボリュームおよび洗い流し時間を低減させることができる使い捨てフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体製造で使用される化学物質のポイントオブユース濾過などの分野で使用される従来型のフィルタ装置は、使い捨て装置およびカートリッジフィルタの2つの型式のものである。
【0004】
この分野での進歩にもかかわらず、使い捨て装置は、等価な入口および出口ポートおよび/または装置にまたは装置から導くチューブ配管およびパイプ配管より大きい、過剰に大きな内部流れ流路を通常有する。これらの大きな流れ流路は、流体流れ経路内の膨張および収縮に起因して、結果として不必要なホールドアップボリュームになり、かつ圧力低下を増加させる。膨張および収縮によって生じる圧力変動は、濾過されつつある流体内の泡を溶液から外に出るようにさせる可能性がある。圧力低下が増加するのは、ガス放出に敏感な流体プロセスに対して有害である。必要とされるより高い圧力は、結果としてより多くの溶解ガスとより大きなガス放出の発生になる。ガス放出は、最終使用での欠陥に直接的に関連する。さらに、大きな流れ流路は、泡が捕らえられるようになる、あるいは泡の核生成が起きるより多くの場所が存在することを意味する。同様に、より多量のホールドアップボリュームは、フィルタに呼び水を差しかつ使用前のバックグランド微粒子レベルに洗浄するための時間がより長く掛かるようにさせる。
【0005】
定義によれば、カートリッジフィルタは、ハウジング内で使用され、したがってハウジングとフィルタの間に通常大きな流れ流路を有する。したがって、それらは不必要なホールドアップボリュームによって生じる同様な問題点に悩まされている。
【0006】
従来技術の一例として、Hopkinsらによる米国特許第5,620,599号明細書は、スリーブまたはケージがフィルタとハウジングの間の容積の通常80%を占有するカートリッジフィルタを開示し、de los Reyesらによる米国特許第5,762,789号明細書は、洗い流し流れ処置が流れパターンを改善する、低い死容積を有する使い捨てフィルタを開示する。
【0007】
フォトレジスト、誘電体、反射防止材および光学ディスク材料などの半導体製造などの分野で使用されるプロセス流体の高コスト、ならびに泡および他の原因によって生じる欠陥を避ける必要性が与えられている場合、フィルタのホールドアップボリュームの低減および完全洗浄時間の低減は重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,620,599号明細書
【特許文献2】米国特許第5,762,789号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ホールドアップボリュームおよび完全洗浄時間を低減させるための努力が存在してきているけれども、フィルタの両端の圧力低下を増加させずにホールドアップボリュームおよび完全洗浄時間を低減させることが、したがって継続的に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による一実施形態では液体濾過用のフィルタ装置が提供され、このフィルタ装置は複数の液体経路と流体連通し、この複数の液体経路のうちの少なくとも1つの経路は、複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を有する。この装置は、フィルタ膜と、フィルタ膜と流体連通する少なくとも1つの横断孔を備えるフィルタコアとを備え、各横断孔は等価流体流れ直径を有する。少なくとも1つの横断孔の等価流体流れ直径の合計は、複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を超えない。このフィルタ装置は、フィルタ膜を支持する底部キャップ、およびフィルタ膜を取り囲むフィルタボウルを備えることができ、このフィルタコア、底部キャップ、およびフィルタボウルは単一の構造体に任意選択で形成される。このフィルタボウルは、フィルタボウルの底部内側表面と流体連通する垂直な流体流路を備えることができる。この垂直な流体流路は、フィルタボウルの底部内側表面の最も近くで最小に達することができる変動する横断面面積を備えることができる。このフィルタコアの外側表面は溝なしであることができる。
【0011】
本発明による別の実施形態では、液体濾過用のフィルタ装置が提供される。このフィルタ装置は出口ポートと流体連通するフィルタ膜と、フィルタ膜と流体連通する少なくとも1つの横断孔を備えるフィルタコアとを備える。横断孔のうちの少なくとも1つはフィルタコアの頂部表面に配置されかつ出口ポートと流体連通する。この少なくとも1つの横断孔は、それらの等価流体流れ直径の合計がフィルタ装置と流体連通する複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を超えないように構成することができる。このフィルタコアは出口ポートと流体連通する内部流体経路を備えることができ、この内部流体経路は、フィルタ装置と流体連通する複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を超えない等価流体流れ直径を有することができる。この内部流体経路は、変動する横断面直径のものであることができる。
【0012】
別の実施形態では、フィルタ装置を製造するための方法が提供される。この方法は、フィルタ膜を頂部キャップに接合できる高められた温度までフィルタ装置の頂部キャップを加熱するステップと;フィルタ装置の中央流れ通路内に固定装置を挿入するステップと;高められた温度でフィルタ膜を頂部キャップに接合するステップと;頂部キャップが高められた温度より下に冷却した後、固定装置を取り外すステップとを含む。
【0013】
前述のことは、同様な参照符合が異なる図を通して同じ部品を指す添付の図面に示されている、本発明の例示的な実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。この図面は必ずしも縮尺どおりではなく、その代わりに本発明の実施形態を図示することに強調が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】本発明の第1の実施形態による使い捨てフィルタ装置の外側を示す図である。
【図1B】図1Aのフィルタ装置の横断面図である。
【図2】図1Aおよび図1Bの実施形態のフィルタ装置のボウルの図である。
【図3】図1Bの実施形態のフィルタ装置のフィルタコアの図である。
【図4A】図1Bの実施形態の頂部キャップの上面図である。
【図4B】図1Bの実施形態の頂部キャップの底面図である。
【図5A】本発明の第2の実施形態による、フィルタ装置用の単一式のボウル、コア、および底部キャップの図である。
【図5B】図5Aの実施形態の単一式のボウル、コア、および底部キャップの横断面図である。
【図6A】図5Aおよび図5Bの実施形態による、単一式のボウル、コア、および底部キャップを使用する組み立てられたフィルタ装置の横断面図である。
【図6B】図6Aの実施形態による、組み立てられたフィルタ装置の四つ割りにした断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態による、変動する横断面流れ出口を有するコアを備えるフィルタ装置の横断面図である。
【図8】本発明の実施形態による、頂部キャップが固定ピンを使用してフィルタ膜およびコアに接合される、製造プロセスを示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好ましい実施形態の説明が以下に続く。
【0016】
本発明の第1の実施形態によれば、装置の両端の圧力低下を認めうるほどに増加させずに、従来の装置と比較して相当に減少したホールドアップボリュームおよび減少した完全洗浄時間を達成する、使い捨てフィルタ装置が提供される。この減少したホールドアップボリュームおよび減少した完全洗浄時間は、多数の特長により達成される。
【0017】
このフィルタ装置は、フィルタが使い捨て容器の内側に収納されるときフィルタを保護するためにケージが必要でないので、フィルタを取り囲むケージまたはスリーブを有さない。本明細書で使用されるとき、使い捨てフィルタ装置はユニットとして設置しかつ取り外すことができ、取り外し後処分することができるものである。モジュール内のフィルタ膜を交換する必要があるとき、フィルタ装置全体がそれが使用されるシステムから取り外され、かつ処分される。
【0018】
フィルタの外側直径は、容器のボウルの内側にきつく嵌合している。「きつく嵌合」によって、この嵌合はフィルタ媒体を流体背圧に対して支持するのに十分にきつくあるべきであるが、任意の必要な流路を通る流体流を閉鎖するのに十分なほどきつくないことを意味している。ボウルの側面を下る流体流路は装置の底部に流体を連通させ、ボウルの底部を洗い流すために使用することができるが、この流体はフィルタのプリーツを下って移動することもできる。フィルタ媒体とボウルの間のこのきつい嵌合は、流体背圧下でフィルタ媒体をボウル内に支持する利点を提供する。
【0019】
フィルタ装置のコアは溝をまったく有さない。従来型技術でのように、流体をフィルタ膜から装置の出口に運ぶために溝付きのコアを使用する代わりに、通常高分子の網から形成されるフィルタ膜の支持部材およびフィルタ膜のプリーツがコア内の横断孔に流体を運ぶために使用され、それらが流体を出口に導く。
【0020】
このフィルタコアは、流体をフィルタ膜から装置の出口に運ぶための最小限の数の横断孔(例えば、1つまたは2つの横断孔)と、装置に呼び水を差す間フィルタ膜を通り空気を換気させ、引き続き装置の出口に流体を運ぶのを補助するための、フィルタコアの頂部表面の所のまたはその近くの少なくとも1つの横断孔とを特徴とする。より多数の横断孔を使用し、かつフィルタコアの頂部表面の所にまたはそれに近接して横断孔をまったく有さない従来型の装置と比較して、横断孔のそのような使用は、装置のホールドアップボリュームおよび完全洗浄時間を減少させる。その上、フィルタコアの頂部表面の所にまたはそれに近接して少なくとも1つの横断孔を使用することは、従来の設計で重大な問題点であり得る流体チャンバの頂部の所の空気捕捉を防止する。
【0021】
このフィルタコア流れ流路は、さらに以下に説明する流れ平衡原理によるフィルタ装置の入口および出口流れ経路に合致させられる。特に、コア内の横断孔の等価直径の合計は、さらに以下に説明するように、フィルタ装置と流体連通する最小の液体流れ経路の等価直径(例えば、出口流れ経路の等価直径)と等しくすることができる。
【0022】
小さな流れ経路は、できるだけ小さなホールドアップボリュームを維持しながらボウルの底部を洗い流すことができるように、フィルタ装置の底部キャップとボウルの間に使用される。「小さな流れ経路」によって、この流れ経路はボウルを洗い流すことができるのに十分大きいが、ホールドアップボリュームを望ましくなく増加させるほど大きくないことを意味する。例えば、底部キャップの下の流れ経路は、従来の装置と比較して2ccまたはそれより多いホールドアップボリュームと同じ量をなくすことができる。ボウルの底部の洗い流しは、流体からの泡の取り除きを助け、および流体流れ経路内の死容積をなくすことを助ける。底部キャップの下のそのような流れ経路は、以下にさらに説明する流れ平衡原理による入口および出口流れ経路に合致させることができる。
【0023】
以下にさらに説明するように、このフィルタ頂部キャップは、溶接、注封、または他の接合方法から結果として生じる溶融プラスチックが流体流れ経路と干渉するのを防止するために、固定ピンを使用する方法によって装置に接合することができる。面取りされた縁部または座ぐりを溶融プラスチックを受けるために使用することができる。
【0024】
上記のような機構を使用して、(この特定の図は限定として考えるべきではなく、例示としてのみ与えられているが)本発明による第1の実施形態は、同様な状況で使用される従来の装置が40mlより大きなホールドアップボリュームを有していた場合、約20mlより少ないホールドアップボリュームを達成することができ、これによってフィルタ装置の性能を大きく改善する。
【0025】
図1Aは、本発明の第1の実施形態による使い捨てプリーツ付き膜フィルタ装置100の外側を示す。このフィルタ装置は、フィルタ装置100の内部と流体連通する少なくとも3つのポート102、103、および104、すなわち入口104、出口102および排気部103が内に配置されるヘッド区画101と、ボウル105とを含む。
【0026】
図1Bは、図1Aのフィルタ装置100の横断面図を示す。ポート102および104は、内に頂部キャップ106、底部キャップ107、フィルタ膜108、およびコア109から形成されるフィルタカートリッジが収容される、フィルタ装置100の内部と流体連通する。横断孔110がコア109の頂部表面の所に、またはそれに近接して(この場合は、頂部表面の所に)形成され、装置に呼び水を差す間フィルタ膜を通る空気を排気するのを助ける。装置に呼び水を差す間に装置が最初に流体で充填されるとき、コアの頂部表面の所に、またはそれに近接してそのような横断孔を有さない従来の装置は、コアの頂部近くで空気を捕捉する可能性がある。しかしながら、横断孔110を設けることによって、呼び水を差す間に空気および他のガスを出口102を介して排気することができるので、呼び水を差す間のそのような問題点は軽減される。装置が充填された後、この横断孔110は、膜108によって濾過された流体を出口102に運ぶために使用される。本明細書で使用されるとき、「横断孔」は、フィルタコアを直径(または他の弦または区画)で横切って延び、その端部の両方でコア内に流れ込む流体の流れに対して開いている流れ通路を呼ぶ。この横断孔110とコア内の任意の他の横断孔の等価直径の合計は、以下にさらに説明する流れ平衡原理に従って、装置と流体連通する液体流れ経路に合致させることができる。底部キャップ107とボウル105の間の小さな容積111によって、流体がボウル105の底部を洗い流すことが可能になる。容積111を通る流れ経路も、以下にさらに説明する流れ平衡原理に従って、装置への流れ経路に合致する等価直径を有することができる。フィルタ膜108は、プリーツ付きの膜であることができ、フィルタ媒体が流体背圧の下でボウル内に支持されるように、フィルタボウル105ときつい嵌合112を形成する。ケージまたはスリーブはフィルタ媒体108をまったく取り囲まない。頂部キャップ106、コア109、底部キャップ107、およびボウル105は、成型構成部品であることができ、例えば、高密度ポリエチレンから形成することができる。このヘッド区画101は、ミネソタ州チャスカのEntegris,Inc.によって販売されるIMPACT(登録商標)2headなどの、同様な状況で使用される他のフィルタ装置と共に使用される標準ヘッドであることができる。
【0027】
図2は、図1Aおよび図1Bの実施形態のボウル105の図である。図1Bのフィルタ膜108は、ボウル105ときつい嵌合を形成するけれども、小さな垂直な流体流路218がボウル105の底部に流体を運ぶのに使用される。この流体流路218は、ボウル105の頂部近くでより大きく、ボウル105の底部の所のより小さな横断面に向かってテーパのついた変動する横断面を有する。この流体流路218は流体を装置の底部へ連通させ、流体がボウル105の底部を洗い流すのを可能にし、これが泡を流体から取り除きかつ流体流れ経路内の死容積をなくすのを助ける。この流体流路218は流体がボウル105内により深く移動するとき減少する横断面面積を有するので、流体が流体流路218を下って移動するとき流体速度は増加し、ボウル105の底部で最大流体速度に達し、そこでそれは流路218を出て底部キャップ107の下を洗い流す。流体がボウル105の底部で最大速度に達しているので、底部キャップ107の下でのその洗い流しはより効果的になる。さらに、流体が流路218を下って移動するとき、より多くの流体が膜108を通過する。したがって、漸次より少ない流体しか存在しないので、流路218を下ってより小さな横断面面積、したがってより少ないホールドアップボリュームがさらに必要となる。
【0028】
流体流路218を通り移動するのに加えて、この流体はフィルタ膜108のプリーツを下降して移動することもできる。
【0029】
図3は、図1Bの実施形態のフィルタコア109の図である。横断孔310はコアの頂部表面に形成される内部コア容積313と流体連通しており、それは、横断孔310が装置に呼び水を差す間に排気し、かつ引き続き流体を出口102(図1B)に運ぶのを助けるように、出口ポート102(図1B)と流体連通している。この内部コア容積313は、中央に配置されるのが好ましいが、出口102と流体連通する、フィルタ装置内の他の位置にも配置することもできる。図3のコア109の平滑さによって分かるように、コア109の外部表面は溝をまったく有さず、その代わりにフィルタ膜の支持部材(通常高分子の網)とコア内の横断孔310に流体を運ぶためのフィルタ媒体のプリーツに頼っており、この横断孔310は流体を出口ポート102に導く(図1B)。
【0030】
図4Aは、図1Bの実施形態の頂部キャップ106の上面図である。この頂部キャップ106は、ヘッド区画101に(接着または取り付けの他の手段も使用できるが)熱的に接着されている。頂部キャップ106内の中央開口部419は出口ポート102に流体連通し、スロット420は入口ポート104と流体連通している。入口スロット420の差込部分421は、頂部キャップ106の縁部に配置されるノッチ422に流体を導き、このノッチは図2のボウルの流体流路218内に開口している。ノッチ423および通路424は排気流れ経路の一部をなし、通路424は排気ポート103と流体連通している。キー付き部分425は、製造中頂部キャップ106をヘッド区画101に向きを合わせるために使用できる。
【0031】
図4Bは、図1Bの実施形態の頂部キャップ106の底面図である。出口ポート102用の中央開口部419、入口ポート104用のノッチ422、および排気ポート103用のノッチ423が、頂部キャップ106の底部側上で開口しているのが分かる。排気用のノッチ423は、排気を助けかつ入口ノッチ422を排気ノッチ423に接続する、頂部キャップ106の底縁部周りに形成される薄いスロット426の最も深い所に位置決めされる。
【0032】
使用では、第1の実施形態を通る流れパターンは以下の通りである。濾過される予定の液体は、ヘッド区域101の入口ポート104を通り入り、頂部キャップの開口部420内に流れ込み、入口ノッチ422を通り、流路218を通りボウルの側面を下る。液体がボウル内に流れ込むとき、この液体は膜108を貫通してコア109に向かってすべての側面から内向きにも流れる。液体は流路218の底部から外にも流れ、ボウル105の底部を洗い流す。膜108を貫通して内向きに流れた後、この濾過された液体は横断孔110を通り流れ、頂部キャップの通路419に入り、ヘッド区域101の出口ポート102を通り外へ出る。液体内のガスの泡は、入口ポート104および流れパターンの入口側に接続される排気ポート103の所に集められ、排気ポートを通り排気される。流れパターンの入口側から外に出て上昇する泡は、頂部キャップ106の底部側のスロット426内に集まり、排気ポート103に繋がる通路424内にノッチ423を介して上昇する。同様に、入口ポート104は、ヘッド区域101内の接続部(図示せず)を介して排気ポート103に直接的に接続することもできる。インサイドアウト(inside−out)流れパターンおよびタンジェンシャル(tangential)流れ濾過パターンなどの、他の流れパターンも本発明の実施形態に従って使用できることは理解されるであろう。入口、出口、および排気ポートは、例えば、図示のものと異なる形態で配置することができる。
【0033】
本発明による第2の実施形態では、ボウル、コア、および底部キャップが単一式構造体に形成されていることを除き、概して第1の実施形態と同様な、減少したホールドアップボリュームを有する使い捨てフィルタ装置が提供される。本明細書で使用されるとき、「単一式(unitary)」はただ1つの部片(例えば、ただ1つの成型構造体)から形成されることを意味する。そのような実施形態は、従来型の装置と比較してホールドアップボリューム、呼び水を差す時間、およびコストを低下させ、かつ排気効率を増加させる。この単一式の構造体は、底部キャップの下から空気を洗い流す必要性をなくす。その上、ボウル、コア、および底部キャップ用に単一式構造体を使用することは、装置の製造コストを低下させるのを助ける。
【0034】
第2の実施形態によるフィルタ装置は、第1の実施形態に対して上記で論じた特徴のうちのいくつかを使用することができる。例えば、このフィルタ装置はフィルタを取り囲むケージまたはスリーブをまったく有さないことができる;このフィルタ装置は、フィルタ媒体の外側直径と任意選択でボウルの側面を下る流体流路を有するボウルとの間にきつい嵌合を使用することができる;このフィルタ装置のコアは溝をまったく有さないことができる;このフィルタコアは、フィルタ膜から装置の出口に流体を運ぶための最小限の数の横断孔と、装置に呼び水を差し引き続いて膜から出口に流体を運ぶ間にフィルタ膜を通る空気を排気するのを助けるための、フィルタコアの頂部表面の所にまたはそれに近接してある少なくとも1つの横断孔とを特徴とすることができる;このフィルタコア流れ流路は、以下にさらに論じる流れ平衡原理に従ってフィルタ装置の入口および出口流れ経路に合致させることができる;かつこのフィルタの頂部キャップは固定ピンを使用する方法で装置に接合することができる。
【0035】
図5Aは、本発明の第2の実施形態による、フィルタ装置用の単一式のボウル、コア、および底部キャップを示す。この実施形態では、単一式の構造体514は、ボウル505、コア区域509、および底部キャップ区域507を含む。このコア区域509は、図1Bの実施形態の横断孔110に似た方式で、呼び水を差し、引き続いて流体を出口に運ぶ間に排気するのを助けるための、コアの頂部表面の所にまたはそれに近接してある横断孔510を含む。この単一式の構造体514は、例えば高密度ポリエチレンから成型することができる。
【0036】
図5Bは、ボウル505、コア区域509、底部キャップ区域507および横断孔510を示す、図5Aの実施形態の単一式のボウル、コア、および底部キャップの横断面図を示す。
【0037】
図6Aは、図5Aおよび図5Bの実施形態による、単一式のボウル、コア、および底部キャップを使用する組み立てられたフィルタ装置の横断面図を示す。図1Aおよび図1Bのものと類似するヘッド区画601が、単一式のボウル、コア、および底部キャップ514に嵌合される。フィルタ膜608は、ボウル507の底部に直接注封され、一方ボウル509のコア区画はその頂部表面の所に、またはそれに近接して横断孔510を有する。フィルタ膜608は、図1Aおよび図1Bの実施形態のものと類似することができ、ボウル505の内側ときつい嵌合612を形成するプリーツ付きのフィルタであることができる。頂部キャップ606は、図1Bのヘッド区画101および頂部キャップ106のものと類似する方式で、ヘッド区画601とポート602および604を連結し、ポート、頂部キャップ、フィルタ膜、およびコアを介した、図1Bの実施形態におけるのと類似する流体流れパターンを有する。
【0038】
図6Bは、ヘッド区画601、頂部キャップ606、フィルタ膜608、および単一式のボウル、コア、および底部キャップ514を示す、図6Aの実施形態の組み立てられたフィルタ装置の四つ割りにした断面図である。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、フィルタ装置の(図1Bの頂部キャップ106およびヘッド区画101などの)頂部キャップおよびヘッド区画は、流れ平衡原理による装置の入口および出口流れ経路に合致する等価直径を有するように設計することができる。
【0040】
より一般的に、本発明の一実施形態によれば、フィルタ装置全体にわたる流体流路は、流体流れに対するそれらの等価直径が、フィルタ装置と流体連通するポート、接続部および/またはチューブ配管のうちの任意のものの最小の等価直径を超えないように寸法設定(本明細書では、流れ平衡化)することができる。装置と流体連通する配管系統のサイズと概して等しくなるような方式で流れ流路サイズを寸法設定しかつその数を定めることによって、その圧力低下を増加させるなどの、装置の性能に悪影響を及ぼすことなしに装置のホールドアップボリュームを最小限にすることができる。一般に、本発明の実施形態によるフィルタ装置の流れ流路に一定の横断面面積を使用することは、装置内の膨張および収縮の圧力低下を最小限にし、泡捕捉および泡の核形成場所をより少なく作り出す傾向がある。例えば、図7を参照して以下に論じる技術を含め、流れ平衡化を達成するために様々な異なる考え得る技術を使用することができる。層流を有する円形の流体通路に対しては、横断面面積が等価直径を求めるために通常使用することができ、あるいは、非円形通路を通る乱流流れに対しては、水力直径(hydraulic diameter)DHを使用することができ、通路の横断面面積Aおよび周囲長さPに対して、
【数1】
となる。例えば長方形のダクトの等価直径を求めるための、ASHRAE(the American Society of Heating,Refrigeration,and Air−Conditioning Engineers)または他の標準機関によって出版される公式などの、他の式も等価直径を求めるために使用することができる。例えば、コア内の複数の横断孔に対しては、横断孔の等価直径の合計を、最小の液体ポートの等価直径に等しくすることができる。
【0041】
本発明の第3の実施形態によれば、第1および第2の実施形態と概して類似するフィルタ装置は、上記で説明した流れ平衡原理をうまく利用するために、変動する横断面流れ出口を有するコアを特徴とすることができる。この第3の実施形態では、コア内の各横断孔がコア出口流れ経路と交わるとき、このコアの出口流れ経路は直径が増加する。このコアの出口流れ経路は、テーパ付きまたは段付のいずれかであることができる。
【0042】
図7は、本発明の第3の実施形態による変動する横断面流れ出口を有するコアを備えるフィルタ装置の横断面図である。第1および第2の実施形態と同様な方式で、頂部キャップ706を備えるフィルタカートリッジ、フィルタ膜708、底部キャップ707、およびコア709が、ボウル705とポート702および704を備えるヘッド区画701との中に入れられている。しかしながら、図7の実施形態のコア709では、横断孔710は変動する横断面を有するコアからの出口流れ経路715と交わる。上記で説明した流れ平衡原理を使用すると、Dがフィルタ装置と流体連通する最小直径の液体接続部、ポート、または配管系統であると定義される場合、変動する横断面流れ経路715の最大内側直径DCは、上記で与えられる流れ平衡原理の下で、Dと同じに、すなわち、
DC=D
に作られるべきである。この変動する横断面流れ経路715が、(図7では、コア709の底部に向かう)実際的にゼロに近い最初の横断面直径から、(図7では、コア709の頂部表面の所の)最大横断面直径のDCまで平滑に変化すべきであるのが好ましい。同様に、(1つ、2つ、またはそれより多く存在する可能性のある)横断孔710は、出口流れ経路715の直径が出口流れ経路715と既に交わっている多数の横断孔の等価直径と等しくなるとき横断孔710が出口流れ経路715と交わるように、間隔をあけかつ寸法設定すべきである。具体的には、各横断孔の横断面dは、
【数2】
であるべきであり、上式でNは横断孔の合計数であり、かつi番目の横断孔の後の、出口流れ経路715の横断面直径DC,iは、
DC,i=id
であるべきである。
【0043】
上記で説明した流れ平衡化原理を適用する場合、出口流れ経路715のどちら側にも横断孔の2つの区画710aおよび710bを有するにもかかわらず、各横断孔710はコア709を横切って途中ずっと延びているとして考えられることを理解されたい。横断孔および装置の他の流れ流路の等価直径を考慮する場合、そのような流路の最小の部分を考慮すべきである。例えば、出口流れ経路内の狭窄部718は、出口流れ経路の最小の直径として考えるべきである。入口および出口流れ経路の最小の部分は、718の所などのこの装置内にある可能性がある。重要なことは液体流れに対する圧力低下であることを前提とすると、流れ平衡化では排気流れ経路ではなく、液体流れ経路のみ考慮すべきである。
【0044】
図7の実施形態におけるような配置を使用すると、濾過する予定の流体はフィルタ膜708を通り流れ、横断孔710を通り内向きに、そして出口流れ経路715に入る。この出口流れ経路715は、図7に示しかつ上記の等式で説明したものと別の方式に変更することができることを理解されたい。例えば、出口流れ経路715の横断面は階段状にまたは他の不連続な方式に変化することができ、あるいは直線的にまたは非直線的に変更することができる。
【0045】
図8は、本発明の一実施形態による、頂部キャップが固定ピンを使用してフィルタ膜およびコアに接合される製造方法を示す横断面図である。この実施形態では、頂部キャップ806、フィルタ膜808、底部キャップ807、およびコア809は、本明細書で説明された実施形態と同様なフィルタ装置内で使用される。従来型の製造方法では、この頂部キャップは膜に対してシールするために加熱され、そのことがしばしば、これらの部品が一緒にシールされるとき流れ通路内に侵入する溶融廃プラスチックに結果としてなる。硬化した廃プラスチックは仕上げられた装置内に残り、装置の性能を低下させる可能性がある。これを避けるために、本発明の一実施形態による製造方法は、頂部キャップが装置に接合されている間、装置の中央流れ通路を埋めるために固定ピン816を使用する。この固定ピン816が流れ通路を埋めるので、溶融プラスチックは、限定された座ぐり穴空間817内にしか流れ込むことができず、それ故考え得る小さな廃プラスチックしか流体流れ経路と干渉しない。面取りした縁部を溶融プラスチックを受けるために使用することもできる。次いでこの固定ピン816は、製造ステップが完了した後で取り外される。
【0046】
本明細書で説明されるものによる実施形態を使用して、フィルタ装置は、従来のフィルタ装置と比較して圧力降下の感知できる増加なしに相当に減少したホールドアップボリュームを有することができる。本明細書で説明される技術は、より少ない泡捕捉および泡の核生成場所も作り出すことができる。全体的に見て、このフィルタ装置は減少した呼び水差し時間と減少した体積を有する。
【0047】
上記でプリーツ付き膜が言及されてきたが、様々な異なる考え得る種類の膜を本発明の実施形態により使用することができる。例えば、微多孔膜、限外濾過、または逆浸透膜を使用することができ、かつ高分子、金属、セラミック、ガラスおよび炭素を含む様々な材料から作ることができ、かつ吸着樹脂用の支持構造体としても使用することができ、吸着媒体として作用する化学的部分の取り付けによって改変された表面であることもできる。使用できる他の機構には、螺旋に巻かれたおよび円盤のフィルタ要素;ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエーテルスルフォンおよびポリ弗化ビニリデンなどの任意の数の高分子から作られる膜、ならびにステンレス鋼およびセラミックの膜;膜の構造体内に閉じ込められた、または膜表面に取り付けられた活性吸着剤(例えば、イオン交換樹脂、活性化炭素、特定の溶質用の配位子)を有する膜;エポキシシールされたフィルタ要素;ハウジングの本体に直角な接続ポート、ならびに互いに平行でない可能性のある接続ポートが含まれる。半導体産業の必要性に対し参照が行われてきたが、安全、封じ込めおよび容易なフィルタ交換がやはり重要である、例えば、核、生物学、バイオ技術、および製薬産業などの他の産業も同様な要件を有することを認識すべきである。
【0048】
第1、第2等の実施形態が本明細書で言及されてきたけれども、本発明による各々の説明された実施形態の発明性のある特徴は、別個にまたは組み合わせて使用できることを理解されたい。
【0049】
本発明は、その好ましい実施形態に対する参照によって具体的に示し、かつ説明してきたけれども、当業者は添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更をそれに加えることができることを理解するであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ膜と、
フィルタ膜と流体連通する少なくとも1つの横断孔を備えるフィルタコアとを備え、少なくとも1つの横断孔の各横断孔が等価流体流れ直径を有し、
フィルタ装置が複数の液体経路と流体連通しており、複数の液体経路のうちの少なくとも1つの経路が、複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を有し、かつ、
少なくとも1つの横断孔の等価流体流れ直径の合計が複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を超えない、液体濾過用のフィルタ装置。
【請求項2】
フィルタ膜を支持する底部キャップと、フィルタ膜を取り囲むフィルタボウルとをさらに備え、フィルタコア、底部キャップ、およびフィルタボウルが単一の構造体に形成される、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
フィルタボウルが、フィルタボウルの底部内側表面と流体連通する垂直な流体流路を備える、請求項2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
垂直な流体流路が変動する横断面面積を有する、請求項3に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
垂直な流体流路の横断面面積が、フィルタボウルの底部内側表面の最も近くで最小に達する、請求項4に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
フィルタコアの外側表面が溝なしである、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
出口ポートと流体連通するフィルタ膜と、
フィルタ膜と流体連通する少なくとも1つの横断孔を備えるフィルタコアとを備え、
少なくとも1つの横断孔がフィルタコアの頂部表面に配置され、かつ出口ポートと流体連通する、液体濾過用のフィルタ装置。
【請求項8】
少なくとも1つの横断孔の各横断孔が等価流体流れ直径を有し、
フィルタ装置が複数の液体経路と流体連通し、複数の液体経路のうちの少なくとも1つの経路が複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を有し、
少なくとも1つの横断孔の等価流体流れ直径の合計が複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を超えない、請求項7に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
フィルタコアが出口ポートと流体連通する内部流体経路を備え、かつ内部流体経路がフィルタ装置と流体連通する複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を超えない等価流体流れ直径を有する、請求項7に記載のフィルタ装置。
【請求項10】
内部流体経路が変動する横断面直径のものである、請求項9に記載のフィルタ装置。
【請求項11】
フィルタ膜を頂部キャップに接合できる高められた温度までフィルタ装置の頂部キャップを加熱するステップと、
フィルタ装置の内部流れ通路内に固定装置を挿入するステップと、
高められた温度でフィルタ膜を頂部キャップに接合するステップと、
頂部キャップが高められた温度より下に冷却した後、固定装置を取り外すステップとを含む、フィルタ装置を製造する方法。
【請求項1】
フィルタ膜と、
フィルタ膜と流体連通する少なくとも1つの横断孔を備えるフィルタコアとを備え、少なくとも1つの横断孔の各横断孔が等価流体流れ直径を有し、
フィルタ装置が複数の液体経路と流体連通しており、複数の液体経路のうちの少なくとも1つの経路が、複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を有し、かつ、
少なくとも1つの横断孔の等価流体流れ直径の合計が複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を超えない、液体濾過用のフィルタ装置。
【請求項2】
フィルタ膜を支持する底部キャップと、フィルタ膜を取り囲むフィルタボウルとをさらに備え、フィルタコア、底部キャップ、およびフィルタボウルが単一の構造体に形成される、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
フィルタボウルが、フィルタボウルの底部内側表面と流体連通する垂直な流体流路を備える、請求項2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
垂直な流体流路が変動する横断面面積を有する、請求項3に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
垂直な流体流路の横断面面積が、フィルタボウルの底部内側表面の最も近くで最小に達する、請求項4に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
フィルタコアの外側表面が溝なしである、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
出口ポートと流体連通するフィルタ膜と、
フィルタ膜と流体連通する少なくとも1つの横断孔を備えるフィルタコアとを備え、
少なくとも1つの横断孔がフィルタコアの頂部表面に配置され、かつ出口ポートと流体連通する、液体濾過用のフィルタ装置。
【請求項8】
少なくとも1つの横断孔の各横断孔が等価流体流れ直径を有し、
フィルタ装置が複数の液体経路と流体連通し、複数の液体経路のうちの少なくとも1つの経路が複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を有し、
少なくとも1つの横断孔の等価流体流れ直径の合計が複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を超えない、請求項7に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
フィルタコアが出口ポートと流体連通する内部流体経路を備え、かつ内部流体経路がフィルタ装置と流体連通する複数の液体経路のうちの最小の等価流体流れ直径を超えない等価流体流れ直径を有する、請求項7に記載のフィルタ装置。
【請求項10】
内部流体経路が変動する横断面直径のものである、請求項9に記載のフィルタ装置。
【請求項11】
フィルタ膜を頂部キャップに接合できる高められた温度までフィルタ装置の頂部キャップを加熱するステップと、
フィルタ装置の内部流れ通路内に固定装置を挿入するステップと、
高められた温度でフィルタ膜を頂部キャップに接合するステップと、
頂部キャップが高められた温度より下に冷却した後、固定装置を取り外すステップとを含む、フィルタ装置を製造する方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2009−541031(P2009−541031A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516514(P2009−516514)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/013833
【国際公開番号】WO2007/149273
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(505307471)インテグリス・インコーポレーテッド (124)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/013833
【国際公開番号】WO2007/149273
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(505307471)インテグリス・インコーポレーテッド (124)
【Fターム(参考)】
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