説明

温度センサ

【課題】 雰囲気温度を正確に検知することができる温度センサを提供する。
【解決手段】 温度センサ10においては、紫外線LED13が発した紫外線をモニタ用フォトセンサ23が受光する一方で、紫外線LED13が発した紫外線を受光して蛍光ガラス板24が発した蛍光をモニタ用フォトセンサ26が受光する。このとき、モニタ用フォトセンサ23の出力値に基づいて、モニタ用フォトセンサ26の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線LED13の発光量を制御回路27が制御するため、モニタ用フォトセンサ26の出力値に基づいて、温度センサ10の雰囲気温度を検知することができる。このように雰囲気温度の検知に紫外線や蛍光といった光を利用することで、外部からの電磁誘導ノイズが発生し難くなり、雰囲気温度を正確に検知することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雰囲気温度の検知に用いられる温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の温度センサとしては、2種類の金属線で閉回路を形成して2接点の温度差により熱起電力を生じさせる熱電対(例えば、特許文献1参照)、温度によって抵抗が大きく変化する半導体素子であるサーミスタ(例えば、特許文献2参照)、測定対象から発せられる熱放射によって測定対象の温度を検知する放射温度計(例えば、特許文献3参照)等が一般的に知られており、用途に応じてそれぞれ使い分けられている。
【特許文献1】特開平6−241913号公報
【特許文献2】特開2001−307908号公報
【特許文献3】特開2001−21417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、熱電対やサーミスタにあっては、電気抵抗の測定を行うため外部からの電磁誘導ノイズが発生し易く、温度を正確に検知することができない場合がある。また、放射温度計にあっては、測定対象から発せられる赤外線等の熱放射の測定を行うため、雰囲気温度の測定には不向きである。
【0004】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、雰囲気温度を正確に検知することができる温度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る温度センサは、紫外線を発する紫外線発光素子と、紫外線発光素子から発せられた紫外線を透過及び反射させて分岐する紫外線透過・反射部材と、紫外線透過・反射部材により分岐された紫外線の一方を受光する第1のモニタ用受光素子と、紫外線透過・反射部材により分岐された紫外線の他方を受光して蛍光を発する蛍光部材と、蛍光部材から発せられた蛍光を受光する第2のモニタ用受光素子と、第1のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、第2のモニタ用受光素子の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線発光素子の発光量を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
この温度センサにおいては、紫外線発光素子が発した紫外線を第1のモニタ用受光素子が受光する一方で、紫外線発光素子が発した紫外線を受光して蛍光部材が発した蛍光を第2のモニタ用受光素子が受光する。このとき、第1のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、第2のモニタ用受光素子の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線発光素子の発光量を制御手段が制御するため、第2のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、温度センサの雰囲気温度を検知することができる。このように雰囲気温度の検知に紫外線や蛍光といった光を利用することで、外部からの電磁誘導ノイズが発生し難くなり、雰囲気温度を正確に検知することが可能になる。なお、紫外線発光素子には、紫外線のみを発光する素子だけでなく、紫外線を含んだ光を発光する素子も含まれる。
【0007】
また、本発明に係る温度センサは、紫外線を発する紫外線発光素子と、紫外線発光素子から発せられた紫外線を透過及び反射させて分岐する紫外線透過・反射部材と、紫外線透過・反射部材により分岐された紫外線の一方を受光する第1のモニタ用受光素子と、紫外線透過・反射部材により分岐された紫外線の他方を受光して蛍光を発する蛍光部材と、蛍光部材から発せられた蛍光を受光する第2のモニタ用受光素子と、第2のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、第1のモニタ用受光素子の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線発光素子の発光量を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
この温度センサにおいては、上述した温度センサと同様に、紫外線発光素子が発した紫外線を第1のモニタ用受光素子が受光する一方で、紫外線発光素子が発した紫外線を受光して蛍光部材が発した蛍光を第2のモニタ用受光素子が受光する。このとき、第2のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、第1のモニタ用受光素子の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線発光素子の発光量を制御手段が制御するため、第1のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、温度センサの雰囲気温度を検知することができる。このように雰囲気温度の検知に紫外線や蛍光といった光を利用することで、上述した温度センサと同様に外部からの電磁誘導ノイズが発生し難くなり、雰囲気温度を正確に検知することが可能になる。
【0009】
また、本発明に係る温度センサは、紫外線を発する紫外線発光素子と、紫外線発光素子から発せられた紫外線を透過及び反射させて分岐する紫外線透過・反射部材と、紫外線透過・反射部材により分岐された紫外線の一方を受光する第1のモニタ用受光素子と、紫外線透過・反射部材により分岐された紫外線の他方を受光して蛍光を発する蛍光部材と、蛍光部材から発せられた蛍光を受光する第2のモニタ用受光素子と、第1のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、第2のモニタ用受光素子の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線発光素子の発光量を制御し、第2のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、第1のモニタ用受光素子の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線発光素子の発光量を制御する制御手段とを備え、制御手段は、第1のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、第2のモニタ用受光素子の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線発光素子の発光量を制御する場合と、第2のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、第1のモニタ用受光素子の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線発光素子の発光量を制御する場合とを切り替える切替手段を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る温度センサは、紫外線発光素子から発せられた紫外線を検出面上に位置する紙葉類に照射した際に紙葉類から発せられる蛍光を受光する蛍光受光素子を更に備えることが好ましい。このように、検出面上に位置する紙葉類に紫外線を照射し、当該紙葉類から発せられた蛍光を受光することで、紙葉類の判別(例えば、紙葉類の種類や真偽の判別)を行うことが可能になる。そして、この温度センサにおいては、紫外線発光素子から発せられた紫外線を紫外線透過・反射部材が分岐し、分岐された紫外線の一方を第1のモニタ用受光素子が受光する。従って、第1のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、紫外線発光素子による紫外線の発光量をモニタすることができる。一方、紫外線透過・反射部材により分岐された紫外線の他方を蛍光部材が受光し、当該蛍光部材から発せられた蛍光を第2のモニタ用受光素子が受光する。従って、第2のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、雰囲気温度に応じて変化する蛍光部材からの蛍光の発光量をモニタすることができる。このように、第1のモニタ用受光素子と第2のモニタ用受光素子とを設けることで、例えば、紫外線発光素子の発光状態が経時的に変化したり、紙葉類の所定領域からの蛍光の発光量が雰囲気温度に応じて変化したりしても、紙葉類の判別を正確に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る温度センサによれば、雰囲気温度を正確に検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る温度センサの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る温度センサ10が適用された紙葉類検査器1の断面図である。この紙葉類検査器1は、紙葉類(例えば、紙幣、商品券、カード等)Sの真偽を判するものであり、所定の間隔をとって対面するガイド板2,3の間に形成された搬送路4を有している。この搬送路4の途中には、紙葉類Sを搬送するための搬送ローラ5,6が配置されている。
【0014】
搬送路4の途中には、LED等の光源により紙葉類Sを照射してその反射光をCCDカメラで捕捉するように構成された紙葉類認識装置8が配置されている。この紙葉類認識装置8は、CCDカメラにより撮像された画像データと既知の画像データとの照合を行うことで紙葉類Sの真偽を判別するものである。
【0015】
しかしながら、近年、カラーコピーの高精度化によって、このような画像認識だけでは、紙葉類Sの真偽を正確に判別することが困難になってきている。
【0016】
そこで、紙葉類検査器1においては、紙葉類Sの真偽を正確に判別するべく、紙葉類認識装置8の上流側に温度センサ10が設けられている。この温度センサ10は、その周囲の雰囲気温度を検知すると共に、図2に示すように、搬送路4を搬送される紙葉類Sが検出面P上を通過する際に紙葉類Sに紫外線を照射し、紙葉類Sから発せられた蛍光(可視光線)を受光することで紙葉類Sの真偽を判別するものである。
【0017】
温度センサ10は、ガイド板2に取り付けられた直方体形状の筐体11を有している。この筐体11内には、出射する紫外線の光軸Aが搬送路4に略平行となるように紫外線LED(紫外線発光素子)13が配置されており、筐体11の側壁の1つをなす駆動回路基板(図示なし)に固定されている。この紫外線LED13から発せられた紫外線は、紫外線LED13のパッケージに設けられたレンズ14によって略平行光に整形される。なお、筐体11の内外の温度差を低減するために、例えば複数の貫通孔(図示なし)を筐体11に設けてもよい。
【0018】
紫外線LED13の直前には、紫外線のみを透過させる紫外線透過フィルタ16が配置されており、筐体11内の上面に立設された仕切部17と筐体11の下壁との間に掛け渡されて固定されている。これにより、紫外線の波長領域外の波長を有する光が紫外線LED13から出射されても、そのような光を遮断して、紫外線のみを紙葉類Sに照射することが可能になる。
【0019】
筐体11内において、検出面Pと直交する検出軸線B上には、紙葉類Sから発せられた蛍光を受光する蛍光用フォトセンサ(蛍光受光素子)18が配置されており、上述した駆動回路基板に固定されている。検出軸線B上において、筐体11の下壁には、防塵用のガラス板12で塞がれた開口部11aが形成されており、また、ガイド板2には、ガラス板12が嵌め込まれた開口部2aが形成されている。これにより、紙葉類Sから発せられた蛍光は、ガラス板2及び開口部2a,11aを通過して、検出軸線B上を蛍光用フォトセンサ18に向かって進行することになる。
【0020】
紫外線LED13の光軸Aと検出軸線Bとが交差する位置には、光軸Aに対して例えば45度といった所定の角度をもって可視光線透過フィルタ19が配置されており、仕切部17と筐体11の下壁との間に掛け渡されて固定されている。この可視光線透過フィルタ19は、紙葉類Sから発せられた蛍光を検出軸線Bに沿って透過させるだけでなく、紫外線LED13から出射された紫外線を分岐して一方を光軸Aに沿って透過させ、他方を検出軸線Bに沿って検出面P側に反射する。
【0021】
また、紫外線LED13の光軸A上には、光軸Aに対して所定の角度をもってハーフミラー(紫外線透過・反射部材)21が配置されており、筐体11の上面に立設された保持部22と筐体11の下壁との間に掛け渡されて固定されている。このハーフミラー21は、可視光線透過フィルタ19を透過した紫外線を透過及び反射させて2つに分岐するものであり、一方を光軸Aに沿って透過させ、他方を上側に90度折り曲げるように反射する。
【0022】
そして、光軸Aに沿ってハーフミラー21を透過・直進した紫外線は、筐体11内に配置されて上述した駆動回路基板に固定された第1のモニタ用フォトセンサ(第1のモニタ用受光素子)23によって受光される。一方、ハーフミラー21により反射された紫外線は、ハーフミラー21の直上において保持部22に固定された蛍光ガラス板(蛍光部材)24に照射される。この蛍光ガラス板24は、蛍光成分を有するガラス板であり、紫外線を受光して蛍光(可視光線)を発するもの(すなわち、蛍光媒体)である。紫外線の照射により蛍光ガラス板24から発せられた蛍光は、筐体11内に配置されて上述した駆動回路基板に固定された第2のモニタ用フォトセンサ(第2のモニタ用受光素子)26によって受光される。
【0023】
更に、温度センサ10には、図2及び図3に示すように、第1のモニタ用フォトセンサ23の出力値に基づいて、第2のモニタ用フォトセンサ26の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線LED13の発光量を制御する制御回路(制御手段)27が設けられている。
【0024】
ここでは、制御回路27は、第1のモニタ用フォトセンサ23の出力値が一定となるように(すなわち、紫外線LED13から発せられる紫外線の発光量が一定となるように)紫外線LED13から発せられる紫外線の発光量をフィードバック制御している。このとき、第2のモニタ用フォトセンサ26の出力値は、図4に示すように、雰囲気温度に対してほぼリニアに変化する。これは、雰囲気温度が高くなるほど蛍光ガラス板24から発せられる蛍光の発光量が減少するからである。なお、図4に示すグラフの縦軸は、雰囲気温度が25℃のときの第2のモニタ用フォトセンサ26の出力値を基準とした場合における第2のモニタ用フォトセンサ26の出力値の偏差である。
【0025】
従って、第1のモニタ用フォトセンサ23の出力値に基づいて、第2のモニタ用フォトセンサ26の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線LED13の発光量を制御することで、第2のモニタ用フォトセンサ26の出力値に基づいて、温度センサ10の雰囲気温度を検知することができる。そして、このように雰囲気温度の検知に紫外線や蛍光といった光を利用することで、外部からの電磁誘導ノイズが発生し難くなり、雰囲気温度を正確に検知することが可能になる。
【0026】
これにより、例えば、他の光センサ(一般的に温度依存性が強い)が紙葉類検査器1に搭載されている場合に、温度センサ10により検知された雰囲気温度に基づいて、当該光センサの出力値、或いは当該光センサによる判別の閾値を補正することができるため、紙葉類Sの真偽をより一層正確に判別することが可能になる。また、温度センサ10を用いることで雰囲気温度を表示することも可能になる。更に、紙葉類検査器1に別個に温度センサを設けることが不要になるため、コストダウン化を図ることも可能になる。
【0027】
また、第1のモニタ用フォトセンサ23を設けることで、その出力値に基づき、紫外線LED13による紫外線の発光量を監視することができる。従って、紫外線LED13の発光状態が経時的に変化しても、紫外線LED13をフィードバック制御して紫外線の発光量を一定に維持させることができる。
【0028】
更に、第2のモニタ用フォトセンサ26を設けることで、その出力値に基づき、蛍光ガラス板24からの蛍光の発光量を監視することができる。従って、例えば、第1のモニタ用フォトセンサ23を用いて、紫外線LED13による紫外線の発光量が一定となるように(すなわち、紙葉類Sに対する紫外線の照射光量が一定となるように)しているにも拘わらず、温度センサ10の雰囲気温度の上昇が原因となって、紙葉類Sの所定領域からの蛍光の発光量が減少している場合であっても、第2のモニタ用フォトセンサ26の出力値に基づいて、蛍光用フォトセンサ18の出力値を適切に増幅させて、補正することができる。
【0029】
なお、紙葉類Sから発せられる蛍光の光量は、紙葉類Sの材質や、紙葉類Sに用いられたインクの種類等に応じて変化する。そのため、温度センサ10においては、次のようにして紙葉類Sの真偽の判別が行われる。すなわち、所定の雰囲気温度下において、本物の紙葉類についての蛍光用フォトセンサ18の出力値を基準値として記憶しておく。そして、紙葉類Sについての蛍光用フォトセンサ18の出力値を、第2のモニタ用フォトセンサ26を用いて補正した後に基準値と比較することで、紙葉類Sの真偽を正確に判別することができる。
【0030】
以上のように、温度センサ10においては、第1のモニタ用フォトセンサ23と第2のモニタ用フォトセンサ26とを設けることで、紫外線LED13の発光状態が経時的に変化したり、紙葉類Sの所定領域からの蛍光の発光量が雰囲気温度に応じて変化したりしても、紙葉類Sの真偽を正確に判別することが可能になる。
【0031】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る温度センサ30は、紙葉類Sの真偽の判別を行わず、雰囲気温度の検知のみを行う点で、雰囲気温度の検知及び紙葉類Sの真偽の判別を行う第1実施形態に係る温度センサ10と異なっている。
【0032】
すなわち、図5に示すように、温度センサ30は、紙葉類検査器1のガイド板2に取り付けられた筐体11と、紫外線を発する紫外線LED13と、紫外線のみを透過させる紫外線透過フィルタ16と、紫外線LED13から発せられた紫外線を透過及び反射させて分岐するハーフミラー21とを備えている。
【0033】
更に、温度センサ30は、ハーフミラー21を透過・直進した紫外線を受光する第1のモニタ用フォトセンサ23と、ハーフミラー21により反射された紫外線を受光して蛍光を発する蛍光ガラス板24と、蛍光ガラス板24から発せられた蛍光を受光する第2のモニタ用フォトセンサ26と、第1のモニタ用フォトセンサ23の出力値に基づいて、第2のモニタ用フォトセンサ26の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線LED13の発光量を制御する制御回路27とを備えている。
【0034】
その一方で、温度センサ30は、紙葉類Sから発せられた蛍光を受光する蛍光用フォトセンサ18と、紙葉類Sから発せられた蛍光を透過させる可視光線透過フィルタ19とを備えておらず、筐体11の下壁及びガイド板2には、紙葉類Sから発せられた蛍光を通過させるためのガラス板2及び開口部2a,11aが設けられていない。
【0035】
そして、この温度センサ30においても、第1実施形態に係る温度センサ10と同様に、第1のモニタ用フォトセンサ23の出力値に基づいて、第2のモニタ用フォトセンサ26の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線LED13の発光量を制御することで、第2のモニタ用フォトセンサ26の出力値に基づいて、温度センサ30の雰囲気温度を検知することができる。そして、このように雰囲気温度の検知に紫外線や蛍光といった光を利用することで、外部からの電磁誘導ノイズが発生し難くなり、雰囲気温度を正確に検知することが可能になる。
【0036】
本発明は、上述した第1及び第2実施形態に限定されるものではない。例えば、制御回路27は、第2のモニタ用フォトセンサ26の出力値に基づいて、第1のモニタ用フォトセンサ23の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線LED13の発光量を制御するものであってもよい。
【0037】
その一例について説明する。図6に示すように、制御回路27は、第2のモニタ用フォトセンサ26の出力値が一定となるように紫外線LED13から発せられる紫外線の発光量をフィードバック制御している。このとき、第1のモニタ用フォトセンサ23の出力値は、図7に示すように、雰囲気温度に対してほぼリニアに変化する。これは、雰囲気温度が高くなるほど蛍光ガラス板24から発せられる蛍光の発光量が減少するからである。なお、図7に示すグラフの縦軸は、雰囲気温度が25℃のときの第1のモニタ用フォトセンサ23の出力値を基準とした場合における第1のモニタ用フォトセンサ23の出力値の偏差である。
【0038】
また、図8に示すように、制御回路27に切替スイッチ(切替手段)28を設けてもよい。これにより、第1のモニタ用フォトセンサ23の出力値に基づいて、第2のモニタ用フォトセンサ26の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線LED13の発光量を制御する場合と、第2のモニタ用フォトセンサ26の出力値に基づいて、第1のモニタ用フォトセンサ23の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように紫外線LED13の発光量を制御する場合とに制御回路27を切り替えることが可能になる。
【0039】
更に、上述した第1実施形態に係る温度センサ10は、紙葉類Sの真偽を判別する場合であったが、同様の構成により紙葉類の種類を判別することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1実施形態に係る温度センサが適用された紙葉類検査器の断面図である。
【図2】第1実施形態に係る温度センサの断面図である。
【図3】第1実施形態に係る温度センサの制御回路の回路図である。
【図4】第1実施形態に係る温度センサにおいて、雰囲気温度と第2のモニタ用フォトセンサの出力値の偏差との関係を示すグラフである。
【図5】第2実施形態に係る温度センサの断面図である。
【図6】一の変形例に係る温度センサの制御回路の回路図である。
【図7】一の変形例に係る温度センサにおいて、雰囲気温度と第1のモニタ用フォトセンサの出力値の偏差との関係を示すグラフである。
【図8】他の変形例に係る温度センサの制御回路の回路図である。
【符号の説明】
【0041】
10,30…温度センサ、13…紫外線LED(紫外線発光素子)、18…蛍光用フォトセンサ(蛍光受光素子)、21…ハーフミラー(紫外線透過・反射部材)、23…第1のモニタ用フォトセンサ(第1のモニタ用受光素子)、24…蛍光ガラス板(蛍光部材)、26…第2のモニタ用フォトセンサ(第2のモニタ用受光素子)、27…制御回路(制御手段)、28…切替スイッチ(切替手段)、P…検出面、S…紙葉類。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を発する紫外線発光素子と、
前記紫外線発光素子から発せられた紫外線を透過及び反射させて分岐する紫外線透過・反射部材と、
前記紫外線透過・反射部材により分岐された紫外線の一方を受光する第1のモニタ用受光素子と、
前記紫外線透過・反射部材により分岐された紫外線の他方を受光して蛍光を発する蛍光部材と、
前記蛍光部材から発せられた蛍光を受光する第2のモニタ用受光素子と、
前記第1のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、前記第2のモニタ用受光素子の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように前記紫外線発光素子の発光量を制御する制御手段とを備えることを特徴とする温度センサ。
【請求項2】
紫外線を発する紫外線発光素子と、
前記紫外線発光素子から発せられた紫外線を透過及び反射させて分岐する紫外線透過・反射部材と、
前記紫外線透過・反射部材により分岐された紫外線の一方を受光する第1のモニタ用受光素子と、
前記紫外線透過・反射部材により分岐された紫外線の他方を受光して蛍光を発する蛍光部材と、
前記蛍光部材から発せられた蛍光を受光する第2のモニタ用受光素子と、
前記第2のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、前記第1のモニタ用受光素子の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように前記紫外線発光素子の発光量を制御する制御手段とを備えることを特徴とする温度センサ。
【請求項3】
紫外線を発する紫外線発光素子と、
前記紫外線発光素子から発せられた紫外線を透過及び反射させて分岐する紫外線透過・反射部材と、
前記紫外線透過・反射部材により分岐された紫外線の一方を受光する第1のモニタ用受光素子と、
前記紫外線透過・反射部材により分岐された紫外線の他方を受光して蛍光を発する蛍光部材と、
前記蛍光部材から発せられた蛍光を受光する第2のモニタ用受光素子と、
前記第1のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、前記第2のモニタ用受光素子の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように前記紫外線発光素子の発光量を制御し、前記第2のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、前記第1のモニタ用受光素子の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように前記紫外線発光素子の発光量を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、前記第2のモニタ用受光素子の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように前記紫外線発光素子の発光量を制御する場合と、前記第2のモニタ用受光素子の出力値に基づいて、前記第1のモニタ用受光素子の出力値が雰囲気温度と一対一に対応するように前記紫外線発光素子の発光量を制御する場合とを切り替える切替手段を有することを特徴とする温度センサ。
【請求項4】
前記紫外線発光素子から発せられた紫外線を検出面上に位置する紙葉類に照射した際に前記紙葉類から発せられる蛍光を受光する蛍光受光素子を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の温度センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−58246(P2006−58246A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242876(P2004−242876)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】