説明

温度制御を備えた多モジュール秤量装置

【課題】個々の秤量モジュールの熱的安定性を確保し且つ独立した秤量モジュールの各々の測定結果の再現性又は反復精度を改良した多モジュール秤量装置の提供。
【解決手段】所定の空間配置で相互に堅牢に結合されており且つ相互に独立して作動可能である複数の秤量モジュール(22)を受け入れるように機能する保持構造(21)を有し、秤量モジュール(22)の各々が、少なくとも1つの荷重受け部材(5)を含んでいる多モジュール秤量装置であり、前記秤量モジュール(22)の各々に対して熱的に結合されている温度自動調節装置に結合されていることを特徴とする多モジュール秤量装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、秤量モジュールの温度を制御することができる、均一性の対象物を秤量するための複数の秤量モジュールを備えた秤量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多モジュール秤量装置の好ましい用途は、自動化された製造及び試験工場にある。モジュール型の設計の秤、所謂秤量モジュールは、それら自体が、特に、これらの工場における一体化に適している。基本的には、これらの秤量モジュールは、ディスプレイユニットが秤とは別に、例えば、複数のモジュールのための中央ディスプレイを備えた装置内に設けられている秤である。装置内に一体化されたこのタイプの秤量モジュールの適用領域は、小さく且つ比較的高価な部品の製造及び試験のための設備、例えば、製薬工業におけるタブレット、カプセル、バイアル等のための充填及び包装機械又はボールベアリングの点検のための設備である。同じ種類の対象物の秤量又はいわゆる回分秤量は、複数の材料の量が、点検、添加準備、充填等のような目的のために、コンパクトな空間内で個々に秤量されなければならないプロセスである。
【0003】
同じ種類の対象物を秤量するために使用されるこの種の装置は、現在の技術状況において知られている。これらの装置は、主として、秤量モジュールの直線状の又は二次元の列として形成される。その他の構造は、直線配置の荷重受け装置の周囲の付随体のような二次元配列状態に秤量モジュールを配置するという概念に基づいており、これは、現存の搬送コンベア装置の給送部材間の距離に適合する必要があろう。
【0004】
他の装置は、コンパクトな秤量モジュールを備えており、これらのモジュールは、相互間距離ができるだけ短く保たれる共有保持構造で相互に固定された間隔で配置されている。
【0005】
電子秤又は秤量モジュールの秤量結果だけでなく再現精度もまた、秤量モジュールの温度によって影響を受ける。従って、再現可能な秤量のためには、多モジュール装置内に配置されている秤量モジュールの各々がほぼ均一な作動温度を有していることが有利である。
【0006】
多モジュール秤量装置内の個々の秤量モジュールが極めて近接して隔置されているときには、これは、装置内に不利な温度分布を生じさせ、これは、個々の秤量モジュールの及び/又は装置全体の秤量結果の再現性及び反復精度に影響を及ぼし得る。
【0007】
秤量モジュールが、相対的に有する温度作用に加えて、雰囲気温度のふらつき、特に、予想しない温度ピークもまた、ゼロ荷重指標、再現性のみならずその他の秤量パラメータに影響を及ぼし得る。製造設備における雰囲気温度のふらつきは、例えば、オフに切り換えられつつある機械、空調装置、太陽からの放射線又はその他のファクタによって惹き起こされ得る。しかしながら、特に製造設備においては、秤が、均一な品質の測定結果を維持しつつ、雰囲気温度への長い適合時期を必要とすることなく、常に動作可能状態にあることが大切である。
【0008】
秤のための種々の冷却された秤量室が、現在の秤量技術における技術状況において提案されている。EP 1 396 711 B1に開示されている秤の秤量室の温度自動調節は、秤の固定部分の一部であり且つ熱電モジュールに結合されている垂直壁に沿って伝わる温度勾配を使用することによって達成される(特許文献1参照)。
【0009】
JP 2024528 Aにはまた、電子部品を含んでいるハウジング部品内に配置されているヒートパイプが、ハウジングから発生される熱を伝えて、電子部品によって発生される熱による秤量室の温度上昇が減少せしめられるように配置されている(特許文献2参照)。
【0010】
JP 2586115 Bにおいては、通気遮蔽部材を開けることによって生じる対流空気の流れを避けるために、秤量室内に配置された熱電モジュールによって、秤量室が温度制御されている秤が開示されている。このモジュールは、電子部品が包囲されるか隔離壁自体によって構成されている壁に沿って延びている冷却プレートと熱接触状態にある。このモジュールの目的は、秤の電子部品によって発生される熱が秤量室へ届かないようにすることである(特許文献3参照)。
【特許文献1】EP 1 396 711 B1公報
【特許文献2】JP 2024528 A公報
【特許文献3】JP 2586115 B公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の解決方法は全て、例えば、通気遮蔽部材によって包囲されている秤量室を有している分析用秤のような単一の秤量セルを備えた秤に関するものである。通常は、秤の電子部品によって発生される熱のみが秤量室から逃がされるか又は近づけないようにされ、雰囲気温度に対して自動温度調節温度管理も温度適応も全くなされていない。特に、分析用秤は、通常は、雰囲気パラメータがほぼ一定に保たれている環境において使用される。従って、分析用秤の場合には、秤をある準備時間内にオンに切り換え且つ秤が作動温度に達するか又は雰囲気温度になるまで待つだけで十分である。
【0012】
一方、多モジュール秤量装置においては、少なくとも装置が作動している間に、個々の秤量モジュールが同様の作動温度を有し且つ周囲環境に対して熱的に安定していることが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0013】

多モジュール秤量装置の個々の秤量モジュールの熱的安定性を確保し且つ独立した秤量モジュールの各々の測定結果の再現性又は反復精度を改良するために、本発明による多モジュール秤量装置は、温度のふらつきが起こるときに温度のふらつきを補償するために、適当な温度自動調節装置に接続されている。多モジュール秤量装置は、所定の空間配置において相互に堅固に結合されており且つ互いに独立して作動可能である複数の秤量モジュールのための台として機能する保持構造を含んでいる。秤量モジュールの各々は、少なくとも1つの荷重受け領域と1つの荷重受け部材とを含んでいる。多モジュールの秤量装置は、各秤量モジュールに対して熱的に結合されている温度自動調節装置に結合されている。
【0014】
多モジュール秤量装置は更に、制御装置及び/又は調節ユニットに結合され、前記調節ユニットは、雰囲気温度を測定する機能を果たす少なくとも1つの第一の温度センサーに結合されている。更に、少なくとも1つの第二の温度センサーが多モジュール秤量装置に割り当てられて、少なくとも当該多モジュール秤量装置に関連付けられた第二の温度を測定する機能を果たす。制御及び/又は調節ユニットは、測定された温度に基づいた温度自動調節装置の冷却力及び/又は加熱力を制御し且つ調整するように設計されている。
【0015】
制御及び/又は調節ユニットは更に、第一の温度センサー及び/又は第二の温度センサーの測定された温度の値に時間の値を割り当てるように設定されている。
【0016】
このような構造とされている多モジュール秤量装置においては、多モジュール秤量装置及び/又は個々の秤量モジュールの作動温度を雰囲気温度に対して調節し且つ/又は個々の秤量モジュールが作動状態にあるときに本質的に均一な温度を有し、それによって、個々の秤量モジュールの測定のより良い再現性又は反復精度が達成できるような形態で調節することが可能である。
【0017】
保持構造上に直に第二の温度センサーを配置することができる。単一の第二の温度センサーが使用されている場合には、当該第二の温度センサーは、本質的に保持構造の中心に配置されるのが有利である。なぜならば、これによって、雰囲気温度に対する最も大きな温度差を測定することができ且つこれを温度調節において使用することができるからである。
【0018】
実施形態の好ましい例においては、複数の第二の温度センサーを保持構造内に配置して、多モジュール秤量装置の多次元温度プロファイルが時間の関数として決定できる。このことは、温度自動調節装置が、個々の秤量モジュール又は幾つかの秤量モジュールの群の独立した温度調節が可能な場合に特に有利である。
【0019】
秤量モジュールに少なくとも1つの第三の温度センサーが割り当てられていて、例えば、秤量モジュールの内部の温度及び/又は秤量モジュールと隣接する秤量モジュールとの間の接触面の温度を示すことができるのが、個々の秤量モジュールの独立した温度調節にとって有利である。
【0020】
多モジュール秤量装置の温度及び/又は多次元温度プロファイルを決定するためには、既に工場において秤量モジュール内に設置された温度センサーを使用することもできる。
【0021】
多モジュール秤量装置の温度は、共有温度自動調節装置及び/又は複数の温度自動調節手段を含んでいる温度自動調節装置によって調節することができる。この場合には、温度自動調節手段は、個々の秤量モジュール又は一群の秤量モジュールに熱的に結合することができる。多モジュール秤量装置の温度自動調節手段は、多モジュール秤量装置の各秤量モジュールに熱的に結合された温度自動調節装置を構成している。温度自動調節手段としては、冷却部材及び/又は加熱部材を使用することができる。
【0022】
複数の温度自動調節手段が使用されている場合には、当該温度自動調節手段が互いに独立して調節することができて、温度自動調節のふらつきもまた検知でき且つ多モジュール秤量装置内及び/又は互いに隣接する秤量モジュール間で補償することができることが有利である。
【0023】
多モジュール秤量装置の温度自動調節のためには、保持構造の少なくとも1つのベースプレートを、温度自動調節手段として熱交換流体のための少なくとも1つの導管を含むような構造とすることができる。
【0024】
温度自動調節手段は、例えば、ヒートパイプ、ペルティエ素子、空冷部材及び/又は温度自動調節流体と協働し且つ温度自動調節装置が同種の及び/又は異種の1以上の温度自動調節手段を含む部材として構成することができる。
【0025】
実施形態の更に別の例においては、多モジュール秤量装置は、少なくとも1つのハウジング部材によって周囲環境から遮蔽されており、ハウジング部材は、多モジュール秤量装置の能動的及び/又は受動的な隔離を構成しているのが好ましい。周囲環境からの多モジュール秤量装置の熱的隔離は、例えば、装置が製造工場において使用される場合に有利である。なぜならば、製造ライン又は製造ビル内においてさえ、温度のふらつきの影響が最少化されるからである。
【0026】
この実施形態においては、それ自体、ハウジング部材の外側において雰囲気温度を測定する機能を果たす第一の温度センサーを配置することを示唆している。
【0027】
温度自動調節すなわち多モジュール秤量装置の温度を制御する方法は、幾つかのステップを含んでいる。多モジュール秤量装置は、所定の空間配置により相互に堅固に結合されており且つ互いに独立して作動可能である複数の秤量モジュールのための台として機能する保持構造を有している。各秤量モジュールは、荷重受け領域、荷重受け部材及び力補償措置を含んでいる。当該多モジュール秤量装置は、制御装置及び/又は調整ユニットに結合され且つ各秤量モジュールに熱的接続されている温度自動調節装置に結合されると共に第一の温度センサーにも接続されている。更に、多モジュール秤量装置に関連付けられた少なくとも1つの第二の温度センサーが設けられている。
【0028】
初めに、第一の温度である雰囲気温度が、1以上の第一の温度センサーと制御及び/又は調節ユニットとによって、時間の関数として判定される。また、多モジュール秤量装置の少なくとも1つの第二の温度もまた、1以上の第二の温度センサーと制御及び/又は調節ユニットとによって時間の関数として判定される。
【0029】
次に、測定された第一及び第二の温度/時間データに基づいて、測定された温度間の数学的な関係を確立する関数を決定することができる。この関数は、制御及び/又は調節ユニットのプログラム又は記憶ユニット内に記憶されるのが好ましい。これは、制御及び/又は調節ユニットによって温度自動調節装置の加熱及び/又は冷却力を制御し且つ/又は調節する目的にかなう。調節は、第二の温度が本質的に第一の温度と一致するか又は第一の温度にほぼ一定のずれで追従するようになされる形態で起こり得る。前記ほぼ一定のずれは、決定された関数に基づく制御及び/又は調節ユニットによって温度自動調節装置の加熱及び/又は冷却力を適合させることによって達成される。
【0030】
温度自動調節装置の加熱及び/又は冷却力を、実験的に又は理論的に決定された関数によって調節することもまた考えられる。例えば空調装置のスタートアッププロファイルのような、例えば、回帰時間依存温度現象の日常のサイクル及び/又は昼夜サイクルは、多モジュール秤量装置の温度自動調節のための基準と考えることができた。
【0031】
秤量結果の均一な品質を達成するためには、多モジュール秤量装置の適用領域に応じて、測定サイクルの始まり前に少なくとも第一及び第二の温度を一回判定し、次いで、加熱及び/又は冷却のほほ均一な速度を設定することで十分であるかも知れない。雰囲気温度が強く脈動するか又は突然の温度ピークが起こる適用領域に対しては、上記のステップを固定の時間間隔で繰り返し且つ多モジュール秤量装置の作動温度を連続的に又は決定された関数に基づいた特定の時間で再調節することが念頭に浮かぶ。
【0032】
上記したステップにおいて決定された数学的関数は、実際の雰囲気温度と多モジュール秤量装置の実際の温度との間の単純な相違の形態を有することができ、又は、実際の雰囲気温度と1以上の個々の秤量モジュールの実際の温度との間の関数的な数学的関係を表すことができ、その結果、1以上の個々の秤量モジュールの温度が互いに独立して設定され且つ/又は調節される。制御及び/又は調節ユニット内の所定の関数又は設定点温度を記憶し且つこれを温度自動調節装置の加熱及び/又は冷却速度の調節のために使用することも更に可能である。
【0033】
多モジュール秤量装置及び/又は1以上の秤量モジュールの温度を監視するために、第二及び/又は第三の温度センサーを使用することもできる。測定された温度が所定の作動温度外にある場合には、制御及び/又は調節ユニットは警告信号を発生する。
【発明の効果】
【0034】
理想的には、本発明によれば、全ての秤量モジュールを温度自動調節装置によってほぼ均一な作動温度に調節して本質的に均一な空間温度プロファィルが確立されるようにすることが可能である。
【0035】
更に、本発明による温度自動調節装置は、例えば、多モジュール秤量装置を迅速にほぼ一定の作動温度にするために、多モジュール秤量装置を加熱する可能性を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、温度制御機能を有する多モジュール秤量装置の幾つかの実施形態を、図面を参照することによって更に詳細に説明する。
【0037】
図1においては、多モジュール秤量装置20が簡素化された表現で示されている。多モジュール秤量装置20は、20個以下(そのうちの10個を図面に見ることができる)の秤量モジュール22のための保持構造21を備えている。各秤量モジュール22は、ある種のソケット23を介して保持構造21に結合されており且つ荷重受け部材24を備えている。荷重受け部材24は、秤量モジュール22の内側に配置されている秤量セル(図示されていない)に適当な構造とされている連結機構によって結合されている。図1に示されているように、多モジュール秤量装置20は、少なくとも1つのハウジング要素25(そのうちの2つを図面に見ることができる)によって、周囲環境から隔離することができる。多モジュール秤量装置20が全ての側面をハウジング要素25によって包囲されることもまた可能である。ハウジング要素25は、熱的な影響のみならず、例えば、汚れに対して多モジュール秤量装置20を保護する。ハウジング要素25は、その最も簡単な形態においては、絶縁材料によって構成されるが、ハウジング要素25を積極的に冷却するか又は加熱することも可能である。これは、多モジュール秤量装置の温度自動調節に対して以下に説明するものと類似した手段によって達成することができる。
【0038】
保持構造21の下方には、更に別の搬送構造26が配置されており、当該搬送構造26上には、空冷要素27の形態の幾つかの温度自動調節手段が配置されている。搬送構造26は、当該構造26から保持構造21への衝撃及び振動の伝達を出来るだけ避けるような形態で保持構造21に結合されている。
【0039】
空冷要素27に対しては、図面においては通気ファンによって示されているような例えば市販によって入手可能なCPUファン又はその他の冷却装置を使用することができる。空冷要素27の主要目的は、多モジュール秤量装置内で発生される熱を除去し且つそれを外部へと運ぶことである。各空冷要素27は、制御及び/又は調節ユニット32に結合されており、この制御及び/又は調節ユニットは、主として、空冷要素27のローターの回転を遅くし且つ/又は速くすることによって、多モジュール秤量装置20の温度を調節する。
【0040】
雰囲気温度のみならず多モジュール秤量装置20の温度を測定するために、多モジュール秤量装置20は、少なくとも1つの第一の温度センサー28,28’と少なくとも1つの第二の温度センサー29,29’とを備えている。更に、少なくとも1つの第三の温度センサー30,30’,30”を多モジュール秤量装置20に配置することができる。各温度センサー28,28’,29,29’,30,30’,30”が、適当な有線接続又は無線接続によって制御及び/又は調節ユニット32に接続されている。これらの接続の例が無線接続形態で図面に示されている。
【0041】
雰囲気温度を測定するための第一の温度センサー28は、多モジュール秤量装置20に対する熱的接触を有していない。代替例として又は付加的に、更に別の第一の温度センサー28’を、例えばハウジング要素25の外側に配置することができる。
【0042】
保持構造21と搬送構造26との間の空間は更に、例えば、電気的接続のためのケーブルダクト及び個々の秤量モジュール22、空冷要素27及び/又は温度センサー28,28’,29,29’,30,30”の導管として使用することができる。
【0043】
多モジュール秤量装置20の温度を測定するために、1以上の第二の温度センサー29,29’が保持構造21に接続されている。第二の温度センサー29,29’は、保持構造の如何なる所望位置にも配置することができる。第二の温度センサー29はほぼ中央に配置することが有利である。なぜならば、秤量モジュールのきちんと隔置された配置により、これは、雰囲気温度からの最も大きな偏差が予想されるべきである場合であるからである。
【0044】
更に、第三の温度センサー30,30’,30”が秤量モジュール22に且つ/又は秤量モジュール内に配置されている。保持構造21内に第三の温度センサー30,30’,30”を備えない秤量モジュール22を配置することが可能である。
【0045】
雰囲気温度を測定するための少なくとも1つの第一の温度センサー及び多モジュール秤量装置20の温度を測定するための少なくとも1つの第二の温度センサー29,29’及び/又は第三の温度センサー30,30’,30”が設けられている限り、多モジュール秤量装置20には、図1に示されている温度センサー28,28’,29,29’,30,30’,30”の全て又は一部分のみを配備することができる。図面に示されているセンサー28,28’,29,29’,30,30’,30”の配置は例を意味している。本発明による多モジュール秤量装置は、図面に示されているものに付加されたセンサー及び/又は他の位置に配置されたセンサーを有することができる。
【0046】
図2は、各秤量モジュール22が別個の温度自動調節手段に直に結合されており、当該別個の温度自動調節手段が、この場合には2つのヒートパイプ34,34’の形態を有しており、前記2つのヒートパイプが更に別の冷却部材33の形態の更に別の温度自動調節手段に結合されている。例を付与するために、冷却部材33はファンとして表されているが、熱を除去するために他の公知の冷却部材を使用することも可能である。ヒートパイプ34,34’は、適切な設計の係合ソケット43を介して、搬送構造226及び/又は保持構造121に結合されている。ヒートパイプ34は、荷重受け構造121内にのみ配置することができ、又は同じく図2においてヒートパイプ34に対しても示されている秤量モジュール内に到達することができ、その結果、これらは、秤量モジュール22と直接熱接触状態にあるようにすることができる。ヒートパイプ34,34’及び冷却部材33は、温度センサー(同じく図1を参照)によって判定された温度の値に依存する制御及び/又は調節ユニット(図1に示されているが、図2には示されていない)によって制御することができる温度自動調節装置内に結合されている。一例としてここに示されている実施形態においては、個々の秤量モジュール22の温度は、直に結合されたヒートパイプ34,34’及び冷却媒体33を介して、別個に制御且つ調節することができる。このことは、外部から発生する温度の影響のみならず個々の秤量モジュール22が相互に有する熱的影響を本質的に補償すること及び各々の独立した秤量モジュール22が一定の均一な温度/時間プロファイルによって本質的に作動することを確保することを可能にする。
【0047】
更に別のタイプの温度自動調節装置が図3に示されており、図3は、秤量モジュール22のための台として機能する保持構造221を備えた多モジュール秤量装置の細部のみを示している。当該温度自動調節装置は、冷却部材35に結合されているペルティエ素子36の形態の温度自動調節手段を含んでいる。個々の秤量モジュール22の温度は、ペルティエ素子36によって調節するか又は設定することができ、秤量モジュールによって発生された熱は、冷却部材35によって逃がされる。ここに示されているように、各秤量モジュール22に割り当てられたペルティエ素子36を設けることができる。ペルティエ素子36は、一群の秤量モジュール22に熱的に結合されることもまた可能である。ペルティエ素子36が冷却部材35と搬送構造221との間に配置されている。ペルティエ素子36の全てのみならず冷却部材35の全てが、測定された温度の値に基づいて温度自動調節装置の冷却及び/又は加熱出力を制御し且つ調節するように制御及び/又は調節ユニット(図面には図示されていない)に結合されている。
【0048】
本発明の更に別の実施形態として、図4は、加熱又は冷却が温度自動調節流体によって提供される温度自動調節装置を示している。多モジュール秤量装置320が複数の流体が充填された熱交換器37に結合されている。流体としては、例えば、流体又は気体状の水又はその他の公知の熱交換流体を使用することができる。流体の交換のみならず温度自動調節は、例えば、適当な温度自動調節及び/又は低温保持装置に結合されている熱交換器37に結合された入口及び/又は出口の導管44によってなされる。
【0049】
温度自動調節装置のための図4に示された構造に加えて、図5に図示されているように、多モジュール秤量装置の保持構造321内に温度自動調節装置を組み込むこともまた可能である。保持構造321は、2つの部品として構成され、蛇行状の導管40が保持構造321の構成部品構造38,39のうちの少なくとも1つ内の温度自動調節手段として位置決めされている。構成部品構造38,39は、導管40が、導管40内の熱伝達流体が2つのコネクタ41,42を介してのみ導管40内へ或いは導管40から出ることができるように緊密にシールされるような形態で相互に結合されている。熱交換流体は、コネクタ41,42に結合され且つ例えば温度自動調節及び/又は低温保持装置の一部とすることができる適当なポンプによって導管40内で循環される外部温度自動調節及び/又は低温保持装置(ここでは図示せず)によって制御された温度に保たれる。導管40は、蛇行状の構造とされており、図5の形状はそのための一つの可能な例を示している。導管40は、如何なる所望の形状を有することもできる。温度センサーによって測定された温度の値によって並びに制御及び/又は調節ユニットによって、図1〜5に示されている温度自動調節装置は、多モジュール秤量装置の動力学及び/又は空間温度プロファィルを雰囲気温度又は当然ながら如何なる規定された温度に対して調節することができる。通常は、熱は温度自動調節することができる。通常は、熱は、温度自動調節装置によって逃がす必要がある多モジュール秤量装置の作動中に発生される。原理的には、提供された温度自動調節装置はまた、多モジュール秤量装置が例えば低温環境において使用されるべきである場合にも多モジュール秤量装置を加熱する機能をも有している。
【0050】
ここに提供された温度自動調節装置は、如何なる多モジュール秤量装置にも結合することができる。温度自動調節装置は、一つの均一な種類の及び/又は異なる種類の温度自動調節手段を採用することができ、これらの温度自動調節手段は、純粋な冷却手段、純粋な加熱手段及び/又は結合された加熱/冷却手段として構成することができる。図1〜5は、2〜3の温度自動調節手段の例を示しているが、当該技術状況による他の温度自動調節手段を使用することもまた当然に可能である。
【0051】
図6は、全体で48個の独立した秤量モジュール4からなる均一な秤量対象物の秤量のための多モジュール秤量装置の三次元図である。これらは、互いに垂直方向に3つの高さ1,2,3に配置され、高さ1,2,3の各々において秤量モジュール4の2つの平行な列を形成し、第一の高さ1の秤量モジュール4は、第二の高さの秤量モジュールに対してその長さ方向の直線方向のずれを有している。ここに図示されているタイプの秤量モジュール4は、それらの幅に比べて極めて長さが長い。秤量モジュールの各々は、相互に規則正しい間隔で配列された荷重受け部材5,5’,5”を有している。荷重受け部材5,5’,5”は、少なくとも1つの力伝達ロッドのみならず荷重担持部材を含んでおり、当該荷重担持部材は、力伝達ロッド(図面では見えない)によって、各秤量モジュール4のハウジング8の内側の秤量セル(同様に、図面には示されていない)の荷重受け部材に結合されている。図6の荷重担持部材は、力伝達ロッドの端部を形成している設置ボルト7によって示されている。如何なる種類の荷重担持部材又は秤量パンも、荷重担持部材又は秤量パンの大きさが互いに隣接する荷重受け部材5,5’,5”間の距離よりも小さいならば、設置ボルト7上に設定することができる。
【0052】
第二の高さ及び第三の高さの秤量モジュールに結合された荷重受け部材5,5’,5”は、第一の高さ1の秤量モジュールと比較して長くされていて、設置ボルト7又はこれらのボルトに取り付けられた秤量パンの全てが重力方向に直角に延びる面内に整合されるようになされている。
【0053】
一つの高さの各列の秤量モジュールは、各々の搬送プラットホーム10,10’に取り付けられている。この構造においては、搬送プラットホーム10は、第一の高さ1を第二の高さ2から隔離し、一方、搬送プラットホーム10’は第二の高さ2を第三の高さ3から隔離している。この場合には一つの連続したプレートとして形成されているベースプレート11は、均一な対象物の秤量のための装置の構造全体を支持している。搬送プラットホーム10,10’は、必要とされる安定度を均一な対象物のための秤量装置全体に付与するために、ここでは特別に記載されていない一般的な方法でベースプレート11に結合されている。
【0054】
各秤量モジュール4のハウジング8は、荷重受け部材5,5’,5”に向かう端部に、狭いテーパーが付けられた形状を有している。これは、荷重担持部材のマトリックス列を形成するために、秤量モジュール4を別の形態で配列することもできる可能性を提案している。
【0055】
荷重担持プラットホーム10,10’及び/又はベースプレート11の各々は、図1〜5に示されている温度自動調節装置のうちの一つに結合することができる。ここに示されている多モジュール秤量装置のための温度自動調節手段として、特に、搬送プラットホーム10,10’のうちの1以上及び/又はここに一例として示されているように熱伝達流体を導くために図5に示されている種類の蛇行状の導管を備えたベースプレート11を提供することが思い浮かぶ。図6においては、ベースプレート11の内側で蛇行状の導管に結合されている2つのコネクタ41,42を見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、幾つかの秤量モジュールを備えた多モジュール秤量装置の簡素化された三次元図であり、当該秤量モジュールは、複数の温度センサーを備え且つ制御及び/又は調節ユニットのみならず空冷温度自動調節装置にも結合されている。
【図2】図2は、幾つかの秤量モジュールを備えた多モジュール秤量装置の部分破断状態で描かれた簡素化された三次元図であり、温度自動調節装置が、温度自動調節手段としてヒートパイプ及び空冷要素を含み、各秤量モジュールは少なくとも1つの温度自動調節手段に結合されている。
【図3】図3は、簡素化された三次元図で示された多モジュール秤量装置の詳細を示しており、当該秤量装置は、温度自動調節手段が冷却部材に結合されたペルティエ素子を含んでいる温度自動調節装置に結合されている。
【図4】図4は、温度自動調節機能を備えた多モジュール秤量装置の簡素化された三次元図であり、当該多モジュール秤量装置が、温度自動調節手段が温度自動調節流体を供給される熱交換器を含んでいる温度自動調節に接続されている。
【図5】図5は、複数の秤量モジュールのための保持構造を備えた多モジュール秤量幸の部分的破断形態の簡素化された三次元図であり、前記保持構造の少なくとも1つの構成要素の構造が、温度自動調節手段としての温度自動調節流体のための蛇行状の導管を含んでいる。
【図6】図6は、多モジュール秤量装置の簡素化された三次元図であり、当該多モジュール秤量装置は、幾つかの異なる高さに配列されている秤量モジュールと温度自動調節装置とによって自動温度調節することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 第一の高さ、
2 第二の高さ、
3 第三の高さ、
4 秤量モジュール、
5,5’,5” 荷重受け部材、
6 ベース部材、
7 設置ボルト、
8 秤量モジュールのハウジング、
9,9’ スリーブ、
10,10’ 搬送プラットホーム、
11 ベースプレート、
20,320 多モジュール秤量装置、
21,121,221,321,421 保持構造、
22 秤量モジュール、
23 ソケット、
24 荷重受け部材、
25 ハウジング部材、
26 搬送構造、
27 空冷部材、
28,28’ 第一の温度センサー、
29,29’ 第二の温度センサー、
30,30’,30” 第三の温度センサー、
31 結合部、
32 制御及び/又は調節ユニット、
33 空冷部材、
34,34’ ヒートパイプ、
35 冷却部材、
36 ペルティエ素子、
37 熱交換器、
38 321の構成部品構造、
39 321の構成部品構造、
40 導管、
41 コネクタ、
42 コネクタ、
43 接続ソケット、
44 入口及び/又は出口導管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間配置で相互に堅牢に結合されており且つ相互に独立して作動可能である
複数の秤量モジュール(22)を受け入れるように機能する保持構造(21)を有し、秤量モジュール(22)の各々が、少なくとも1つの荷重受け部材(5)を含んでいる多モジュール秤量装置であり、
前記秤量モジュール(22)の各々に対して熱的に結合されている温度自動調節装置に結合されていることを特徴とする多モジュール秤量装置。
【請求項2】
請求項1に記載の多モジュール秤量装置であり、
雰囲気温度を測定するための少なくとも1つの第一の温度センサー(28)に接続されている制御装置及び/又は調節ユニット(32)に結合されており、当該多モジュール秤量装置に割り当てられた少なくとも1つの第二の温度センサー(29)が設けられており、前記制御装置及び/又は調節ユニット(32)が、前記第一の温度センサー(28)及び前記第二の温度センサー(29)の測定された温度の値によって前記温度自動調節装置の冷却及び/又は加熱出力を制御し且つ調節する構成とされていることを特徴とする多モジュール秤量装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の多モジュール秤量装置であり、
前記制御及び/又は調節ユニット(32)が、前記第一の温度センサー(28)及び第二の温度センサー(29)の測定された温度の値に、時間の値を割り当てる構成とされていることを特徴とする多モジュール秤量装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多モジュール秤量装置であり、
前記第二の温度センサー(29’)が保持構造(21)に配置されていることを特徴とする多モジュール秤量装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の多モジュール秤量装置であり、
各秤量モジュール(22)に割り当てられた少なくとも1つの第三の温度センサー(30)が設けられていることを特徴とする多モジュール秤量装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の多モジュール秤量装置であり、
前記温度自動調節装置が、複数の温度自動調節手段(27)を含んでいることを特徴とする多モジュール秤量装置。
【請求項7】
請求項6に記載の多モジュール秤量装置であり、
前記温度自動調節手段(27)のうちの1以上が相互に独立して調節することができることを特徴とする多モジュール秤量装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の多モジュール秤量装置であり、
前記保持構造(21)が、少なくとも1つの導管(40)が熱交換流体に対して形成されているベースプレート(38,39)を含んでおり、前記導管(40)が温度自動調節装置と協働することを特徴とする多モジュール秤量装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の多モジュール秤量装置であり、
前記温度自動調節装置が、温度自動調節手段として少なくとも1つのヒートパイプ(34)を含んでいることを特徴とする多モジュール秤量装置。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の多モジュール秤量装置であり、
前記温度自動調節装置が、温度自動調節手段(36)として少なくとも1つのペルティエ素子を含んでいることを特徴とする多モジュール秤量装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の多モジュール秤量装置であり、
前記温度自動調節が、温度自動調節手段として、空気及び/又は流体によって温度自動調節される少なくとも1つの温度自動調節素子(27,37)を含んでいることを特徴とする多モジュール秤量装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の多モジュール秤量装置であり、
少なくとも1つのハウジング要素(25)が多モジュール秤量装置を周囲環境から遮蔽し、前記ハウジング要素(25)が能動的な又は受動的な温度絶縁を構成していることを特徴とする多モジュール秤量装置。
【請求項13】
請求項12に記載の多モジュール秤量装置であり、
前記第一の温度センサー(28’)が、前記少なくとも1つのハウジング要素(25)の外部に配置されていることを特徴とする多モジュール秤量装置。
【請求項14】
所定の空間配置において相互に堅牢に結合され且つ相互に独立して作動可能である複数の秤量モジュールを受け入れる機能を果たす保持構造を備え、前記秤量モジュールの各々が荷重受け領域と荷重受け部材とを含んでおり、冷却及び/又は調節ユニットに結合されており、前記秤量モジュールの各々と熱的結合状態にある温度自動調節装置を含んでおり、更に少なくとも1つの第一の温度センサーを含み、少なくとも1つの第二の温度センサーが割り当てられている多モジュール秤量装置を、温度自動調節する方法であり、
a.前記第一の温度センサーと前記制御及び調節ユニットとによって、周囲環境の第一の温度を時間の関数として測定するステップと、
b.前記第二の温度センサー並びに前記制御及び調節ユニットによって、前記多モジュール秤量装置の少なくとも1つの温度を時間の関数として測定するステップと、
c.前記制御及び/又は調節ユニットによって、前記測定された温度間の数学的関係を確立し且つ前記温度自動調節ユニットの加熱及び/又は冷却出力を制御且つ/又は調節する機能を果たす関数を決定するステップと、
d.ステップcにおいて決定された関数に基づいた前記制御及び/又は調節ユニットによって、前記温度自動調節装置の加熱及び/又は冷却出力を調節するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であり、
前記ステップbにおいて、前記多モジュール秤量装置の多次元温度プロファィルが、第二の温度センサーによって時間の関数として決定されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の方法であり、
前記ステップa〜dが、規則正しく規定された時間間隔で繰り返されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14乃至16のいずれか一項に記載の方法であり、
前記多モジュール秤量装置が作動できる状態にあるときに、前記ステップa〜dが連続的に繰り返されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項14乃至17のいずれか一項に記載の方法であり、
少なくとも1つの第三の温度センサーが秤量モジュールの各々に対して割り当てられ、独立した個々の秤量モジュールの温度が雰囲気温度に関して調節されることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項14乃至18のいずれか一項に記載の方法であり、
前記秤量モジュールの全てが、温度自動調節装置によって調節されて、ほぼ均一な空間温度プロファィルが確立することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−129014(P2008−129014A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294230(P2007−294230)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland