説明

温度表示付き湯水混合水栓

【課題】温度検出素子の取付けが容易で、しかも温度検出素子で検出した温度と実際の吐水口からの吐水の温度とを一致させることのできる温度表示付き湯水混合水栓を提供する。
【解決手段】給水管38と、給湯管40と、水と湯とを混合し温調する湯水の混合部と、混合部から温調水を流出させる流出管42と、吐水口18に温調水を導く可撓性のホース20と、温調水の温度を検出する温度検出素子170と、温度表示部162とを備えて成る温度表示付き湯水混合水栓において、流出管42と可撓性のホース20とを接続器具44にて互いに接続するとともに、接続器具44内部の温調水の流路に臨む状態で温度検出素子170を接続器具44に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は吐水の温度を表示する温度表示付き湯水混合水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に湯水混合水栓にあっては、温調ハンドルの操作により設定した吐水の温度を温調ハンドル周りに設けた表示部で表示し、その表示によって吐水の温度を使用者が分るようにしている。
しかしながら温調ハンドルの位置に基づく温度表示では吐水口からの吐水の温度を正確に表すことはできない。
【0003】
そこで吐水口に導かれる温調水の温度をサーミスタ等の温度検出素子で検出し、温度表示部で表示するようになしたものが提案されている。
この種温度表示付きの湯水混合水栓において、温度検出素子を吐水口近くに設け、吐水の温度(温調水の温度)を吐水口近くで検出して温度表示部で表示すると、温度検出素子による温度検出から温度表示部での表示までの間に時間の遅れがあることから、温度表示部で表示したときには、既に温度検出した温調水が吐水口から吐出し終わっており、温度表示部で表示した温度と実際の吐水の温度とが一致しないといった問題が生ずる。
【0004】
例えば下記特許文献1には温度表示部及び温度検出素子を備えた湯水混合水栓が開示されており、図22はその具体例を表したものであるが、ここでは温度検出素子(サーミスタ)200を可撓性のホース202且つ吐水ヘッド204側の端部近傍に設けており、この場合温度検出素子200と吐水口206とが近いために上記した問題を生ずる恐れがある。
【0005】
またこのように可撓性のホース202に温度検出素子200を取り付けることは実際には容易ではないとともに、その可撓性のホース200は吐水ヘッド204とともにホルダ208から引き出され、或いは元に収納される可動のものであることから、その都度温度検出素子200及びこれに接続された電気配線が移動を余儀なくされ、度重なる移動に伴って故障を生じ易く、信頼性の点でも問題が残る。
尚210は、温度検出素子200により検出した温度が一定以上の高温である場合に、使用者に対して警告を発するLED警告灯である。
【0006】
前者の問題点、即ち温度検出素子にて検出した温度と吐水口からの実際の吐水の温度との不一致の問題点に対する解決手段として、給水管212,給湯管214を通じてそれぞれ送られて来た水と湯とを混合し温調する混合部216からの温調水の流出管218を管軸方向に2分割し、その分割した部分に温度検出素子を埋込状態に取り付けた上、各分割体をろう付け接合するといったことが考えられる。
この場合温度検出素子が吐水口に対し上流部の遠い位置にあるため、温度検出素子で検出した温度即ち温度表示部で表示した温度の吐水を吐水口206から正しく吐水することができるようになる。
しかしながらこの場合においても温度検出素子の取付けが著しく面倒且つ大変となる問題が残る。
【0007】
【特許文献1】特開2001−146774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような事情を背景とし、温度検出素子の取付けが容易で、しかも温度検出素子で検出した温度と実際の吐水口からの吐水の温度とを一致させることのできる温度表示付き湯水混合水栓を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して請求項1のものは、(a)給水管と、(b)給湯管と、(c)該給水管及び給湯管を通じて送られて来た水と湯とを混合し温調する湯水の混合部と、(d)該混合部から温調水を流出させる流出管と、(e)吐水口に該温調水を導く可撓性のホースと、(f)該温調水の温度を検出する温度検出素子と、(g)該温度検出素子による検出に基づいて温度表示する温度表示部と、を備えて成る温度表示付き湯水混合水栓において、前記流出管と可撓性のホースとを接続器具にて互いに接続するとともに、該接続器具内部の前記温調水の流路に臨む状態で前記温度検出素子を該接続器具に取り付けてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0010】
以上のように本発明は、温調水の流出管と可撓性のホースとを接続器具にて互いに接続するとともに、その接続器具内部の温調水の流路に臨むようにして温度検出素子を接続器具に取り付けるようになしたもので、本発明によれば、配管や可撓性のホース、或いは水栓本体に対して温度検出素子を組み付ける困難さ,大変さを解消することができる。
しかも温度検出素子は吐水口から十分に離れた上流部に位置することとなるため、温度検出素子で温度検出し且つ温度表示部で表示した温度の水(温調水)が、その後に吐水口から吐水されることとなり、温度表示部で表示した吐水の温度と実際の吐水口からの吐水の温度とを正しく一致させることができる。
【0011】
また本発明に従って温度検出素子を流出管と可撓性のホースとを接続する接続器具に取り付けておくことで、温度検出素子を位置固定に維持することができ、温度検出素子及び電気配線が移動することに伴って故障の原因になる問題を解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明をキッチン用のホース収納式の自動水栓(湯水混合水栓)に適用した場合の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はキッチンのキャビネットで、12はカウンターであり、このカウンター12上に起立する状態で水栓の本体部14と吐水管16とが設けられている。ここで吐水管16は本体部14に対して所定角度回動可能とされている。
また吐水管16は、図3に示しているように逆U字状のグースネック形状をなしている。
同図に示しているように吐水管16は、先端に吐水口18を有し、可撓性のホース20とともに引出し可能な吐水ヘッド22と、吐水ヘッド22を収納位置に保持するホルダとしての働きを有する吐水管本体24とを有している。
【0013】
図1に示しているように、キャビネット10の内部には一対の止水栓28,30の間の位置においてバルブユニット26が配設されている。
そしてこのバルブユニット26の後述の水流入口92(図5(イ)参照)に対して給水用の元配管(以下単に給水元管と略す)が止水栓28,分岐継手32及び接続ホース34を介して接続されている。
また後述の湯流入口94(図5(イ)参照)に対して給湯用の元配管(以下単に給湯元管と略す)が、止水栓30及び接続ホース36を介して接続されている。
このバルブユニット26の水流出口及び湯流出口からは給水管38,給湯管40が上向きに延び出しており、それらの先端が上記の水栓の本体部14に接続されて、その本体部14に水,湯がそれぞれ供給されるようになっている。
【0014】
本体部14には後述の混合弁58(図2参照)が内蔵されていて、その混合弁58の下流部から水又は湯(混合弁58で混合された後の温調水)を流出させる流出管42が下向きに延び出しており、その先端がカプラ(接続器具)44を介して上記の可撓性のホース20に接続されている。
ここでホース20はカプラ44から上向きに延び出した後、1回転した上で本体部14,吐水管本体24を挿通し吐水ヘッド22に接続されている。
【0015】
キャビネット10の内部にはまた浄水器46が設けられており、バルブユニット26の上流部において給水元管からの水が分岐継手32,ホース48を通じてこの浄水器46に導かれるようになっている。
浄水器46は、水道水を後述のフィルタ66(図2参照)に通して浄化するもので、その浄化後の浄水を流出させるホース50が浄水器46から延び出している。
このホース50の先端はカプラ44を介して、吐水ヘッド22に繋がるホース20に接続されている。
即ち浄水器46から流出した浄水がホース50,20を通じて吐水ヘッド22に導かれ、その先端の吐水口18から吐水されるようになっている。
【0016】
キャビネット10の内部にはまた、バルブユニット26の下側において水栓の動作制御のためのコントローラ(制御部)52が設けられている。
【0017】
図2に示しているように本実施形態において給水元管,給湯元管からの水,湯は給水路54,給湯路56を通じて本体部14に内蔵された混合弁58に供給される。
供給された水と湯とはレバーハンドル60の操作に基づいて所定比率で混合された上、同じくそのレバーハンドル60の操作に基づいて決定された所定流量で流出路62を通じ吐水ヘッド22に送られ、先端の吐水口18から吐水される。
ここでレバーハンドル60は、左右回動操作によって水と湯との混合比率の調節即ち温度調節を行い、また上下回動操作によって流量調節を行う。
【0018】
給水元管からの水はまた、電磁弁68の上流部で給水路54から分岐した浄水路64に取り出され、そして浄水路64上に設けられた浄水器46のフィルタ66を通過してそこで浄化された上で、浄化後の水(浄水)が混合弁58をバイパスして流出路62に導かれ、そしてその流出路62を通じて吐水ヘッド22の吐水口18から吐水されるようになっている。
これら給水路54,給湯路56及び浄水路64のそれぞれには流路を開閉する電磁弁68,70,72及び逆流防止をなす逆止弁74が配設されている。
尚浄水路64には定流量弁73が設けられている。
【0019】
給水路54からはまた、電磁弁68の上流部においてバイパス路76が分岐して延び出しており、その先端が給湯路56且つ電磁弁70及び逆止弁74の下流部に接続されている。
このバイパス路76上にもまた、流路を開閉する電磁弁78と逆止弁74が設けられている。
これら電磁弁68,70,72,78はそれぞれコントローラ52に電気的に接続されていて、コントローラ52によって動作制御される。
【0020】
本実施形態において、給水路54と給湯路56とを連絡するバイパス路76を設けているのは次のような理由による。
即ちレバーハンドル60の操作位置が、混合弁58内における湯の流路を全開、水の流路を全閉状態とする状態にあると、後述する人体検知センサ(水用センサ116)による人体検知に基づいて吐水口18から水吐水させようとしてもこれを行うことができない。
そこで給水路54と給湯路56とをバイパス路76で連絡しておき、混合弁58内において水の流路が全閉状態にあっても、給水元管からの水をバイパス路76,給湯路56,更に流出路62を通じて吐水口18へと供給可能となしているのである。
【0021】
この実施形態の自動水栓では、図16(A)に示しているように電磁弁68及び78が開,電磁弁70,72が閉とされることで、給水路54及びバイパス路76、更に給湯路56の一部を通じて給水元管からの水が混合弁58に送られ、更にその混合弁58を経由して流出路62を通じ、吐水口18から水が吐水(水吐水)される。
また図16(B)に示しているように電磁弁68及び70が開,電磁弁72及び78が閉の状態の下で、給水元管からの水と給湯元管からの湯がそれぞれ給水路54及び給湯路56を通じて混合弁58に送られてそこで混合され、適温の湯(温調水)とされた上で流出路62を通じ吐水口18から湯が吐水(湯吐水)される。
一方図16(C)に示しているように電磁弁68,70及び78の何れもが閉で、電磁弁72のみが開の状態の下では、給水元管からの水が浄水器46、つまり浄水路64の側に導かれてフィルタ66を通り、浄水となって流出路62を通じ吐水口18から吐水(浄水吐水)される。
【0022】
図7に上記混合弁58の構成が具体的に示してある。
同図に示しているように混合弁58は、ハウジング80の内部に固定弁体82と、その上面を摺動する可動弁体84とを有しており、その可動弁体84に対してレバーハンドル60が作動的に連結されている。
固定弁体82には水,湯の入口86,86が設けられていて、それら入口86,86を通じて、給水管38,給湯管40を図中上向きに送られて来た水と湯とが可動弁体84の混合室88内に流入する。
そして混合室88で混合された後の温調水或いは水が出口89から流出管42へと流出して、図2の流出路62を通じ吐水口18へと導かれる。
【0023】
図4〜図6に上記バルブユニット26の構成が具体的に示してある。
これらの図において90はバルブボデーで、図5に示しているように水流入口92,湯流入口94と、それらに連通して給水路54,給湯路56の一部をなす内部流路54a,56aを有している。
そしてそれら内部流路54a,56a上に電磁弁68,70(図6参照)が設けられている。
【0024】
バルブボデー90にはまた、図5(ハ)に示しているように上記バイパス路76の一部を成す分岐流路76aが給水用の内部流路54aから分岐しており、この分岐流路76a上にバイパス路76を開閉するための電磁弁78(図6参照)が設けられている。
バルブボデー90には更に、図5(イ)に示しているように分岐流路76aを給湯路56に合流させるための、バイパス路76の残部をなす合流路76bが設けられており、分岐流路76aからの水がこの合流路76bによって給湯路56に合流し、その後給湯路56を通じて図2の混合弁58へと送られるようになっている。
【0025】
上記電磁弁68,70,78は図6(ロ)に示しているように、主弁としてのダイヤフラム弁98と、その背後に形成された背圧室100と、背圧室100の水抜きを行う水抜水路としてのパイロット水路102と、パイロット水路102を開閉するパイロット弁としてのプランジャ弁104と、固定コア106と、プランジャ弁104を電磁力で動作させるソレノイド108とを有している。
この電磁弁68,70,78においては、ソレノイド108への通電によりプランジャ弁104を開弁させると、パイロット水路102が開放されて背圧室100の圧力が抜け、主弁としてのダイヤフラム弁98が開弁動作する。
【0026】
尚、図4(イ)及び図6(イ)に示しているようにバルブボデー90には内部の水,湯を抜くための水抜栓110と、水抜きに際してダイヤフラム弁98を手動にて開放させるための開放操作部材112とが設けられている。
開放操作部材112は、摘み114を回転操作することでダイヤフラム弁98を手動で開放させる。
【0027】
図3に示しているように、逆U字状のグースネック形状をなす吐水管16における吐水管本体24の先端部、詳しくはその最上位の部位から先端に向かって下向きとなる部分の上面に、水用センサ(水用の人体検知センサ)116及び湯用センサ(湯用の人体検知センサ)118が、所定間隔隔てて管軸方向に一列に配列されている。
ここで水用センサ116は使用者に近い手前側に(前側に)、また湯用センサ118は奥側に設けられている。従って水用センサ116は湯用センサ118に対して下位置に、また湯用センサ118は水用センサ116に対して上位置に位置している。
本実施形態においては、吐水管本体24の側面においても浄水用センサ(浄水用の人体検知センサ)120が設けられている。
尚吐水管本体24の先端部下面には、吐水やシンク或いはシンク内の容器等に光を照射してほのかに照らし出す光照射部122が設けられている。
【0028】
この実施形態の自動水栓では、水用センサ116の上方に手をかざして水用センサ116によりこれを検知させると、吐水口18から水が吐水(水吐水)される。また水吐水状態の下で再び水用センサ116の上方に手をかざすと、そこで水吐水が停止する。即ち止水する。
一方湯用センサ118の上方に手をかざすと、湯用センサ118による手の検知に基づいて、吐水口18から適正温度に温度調節された湯(温調水)が吐水され、そしてその湯吐水中に再び湯用センサ118の上方に手をかざすと、そこで湯吐水が停止する。
【0029】
一方図15に示しているように吐水管本体24の先端部側方に手を差し出すと、浄水用センサ120がこれを検知し、吐水口18から浄水が吐水(浄水吐水)される。また浄水吐水状態の下で再び浄水用センサ120に対して手をかざすと、そこで浄水吐水が停止する。
そのようにコントローラ52が対応する各電磁弁68,70,72,78を動作制御する。
【0030】
尚ここでは、水用センサ116の検知距離が奥側の湯用センサ118の検知距離よりも短く設定されている。
即ち各センサ(水用センサ116及び湯用センサ118)が差し出された手の指を検知するものと想定して、ここでは水用センサ116の検知距離が約2cm程度、湯用センサ118の検知距離が約4cm程度に設定されている。
【0031】
図8〜図11に吐水管16の内部構造が具体的に示してある。
図8,図9及び図10に示しているように、吐水管本体24は金属パイプ124と、断面U字状をなして金属パイプ124の内部に挿入され内側においてホース20をガイドし、また外側において上記各水,湯,浄水用の各センサ116,118,120とコントローラ52とを連絡する電気配線をガイドする湾曲形状のインナ部材126と、その先端側に設けられてホース20を挿通ガイドする概略筒状のガイド部材128と、その下側からこれを覆うガイドカバー130とを有している。
【0032】
図11に示しているようにこのガイド部材128の上面には仕切板131が固定されており、そしてその仕切板131の上面に上記水用センサ116,湯用センサ118を有するセンサユニット132,134が載置固定された上、その上側から樹脂製の透光性のセンサカバー136が被せられている。
ガイド部材128には、その側面に浄水用センサ120が取り付けられている。ガイドカバー130は、その浄水用センサ120に対応する部分が透光性とされている。
【0033】
上記湯用センサ118は光電式のものであって、図12(A)に示しているようにこの湯用センサ118を有するセンサユニット134は基板140を有していて、そこに赤外線の発光素子142と、受光素子144と、センサ制御部としてのマイコン146が搭載されている。
基板140にはまた、湯吐水状態であるかそうでないかを表示するためのLED148が搭載されており、湯吐水状態の下ではこのLED148が点滅し、またそうでないときにはLED148が点灯保持するようになっている。
【0034】
一方図12(B)に示しているように、水用センサ116を有するセンサユニット132は、基板140に赤外線の発光素子142と、受光素子144と、更に水吐水中であるか否かを表示するLED150が搭載されている。
ここでLED150は水吐水中であれば点滅を行い、またそうでないときには点灯状態を保持して、水吐水中であるか否かを表示する。
このセンサユニット132にはまた、基板140に現在の吐水温度を表示するための3色(RGB)LED152が搭載されている。
【0035】
一方図12(C)に示しているように浄水用センサ120を有するセンサユニット138は、基板140に赤外線の発光素子142と、受光素子144及び浄水吐水中であるか否かを表示するためのLED154が搭載されている。
このLED154は浄水吐水中においては点滅動作し、またそうでないときには点灯状態を保持することによって、浄水吐水中であるか否かを表示する。
【0036】
一方吐水ヘッド22は、図9に示しているように筒状のコア部材156と、これを外周側から覆うカバー158とを有しており、そのコア部材156に対してホース20の先端部が水密に接続固定されている。
この吐水ヘッド22の先端には、吐水口18からの吐水をストレート吐水からシャワー吐水に又はその逆に切換操作する切換操作部160が設けられている。
【0037】
図1に示しているように、上記カプラ44には吐水口18からの吐水の温度をその上流部において事前に検知する温度検出素子としてサーミスタ170が、カプラ44の内部流路に臨む状態で取り付けられている。
そして図8及び図9に示しているように、このサーミスタ170による温度検出に基づいて吐水の温度ないしその温度変化を光の色ないし色変化によって表示する光温度表示部162が吐水管24の先端面近傍、詳しくはここでは吐水管24の先端面と吐水ヘッド22とによって管軸方向に挟まれる位置に取り付けられている。
【0038】
この光温度表示部162は、図14に示しているように環状且つ平板状の本体部172と、その上部から後方に延出する延出部164とを一体に有する透光性の樹脂から成っており、図9の部分拡大図に示しているようにその延出部164の下面、詳しくは被照射面176(図14(B)参照)に対して、上記3色LED152からの光が照射されるようになっている。
この透光性樹脂から成る光温度表示部162は、本体部172の外周面が表示面178とされていて、組付状態においてその表示面178だけが吐水管16の外周面で露出せしめられ、表示面178で吐水の温度を光の色で表示する。
【0039】
詳しくは、3色LED152から延出部164の被照射面176に照射された光は透光性樹脂の内部を透過して、外周面の表示面178から外部に放射され、その光の色によって吐水の温度を表示する。
【0040】
そしてその表示面178から光を効率高く放射するために、延出部164の被照射面176及び外周面の表示面178以外の面に白色塗料が塗布してある。
【0041】
この光温度表示部162は、図14に示しているように延出部164の下面に掛止爪180を、また本体部172の下部に切欠部182を有しており、図13に示しているようにその掛止爪180をガイド部材128に設けた上向きの引掛部184に弾性的に掛止させ、更にまた下部の切欠部182に対して、ガイドカバー130に設けた係入部186を係入させる状態に、吐水管本体24に組み付けられている。
【0042】
上記3色LED152は色の3原色である赤(Red),緑(Green),及び青(Blue)を発色するLEDをユニット化したもので、上記サーミスタ170よる温度検知に基づいて無段階で連続的に光の色を変化させる。
光温度表示部162は、その光の色及び色変化を無段階で連続的に外部に放射して吐水温度を表示する。
【0043】
即ち吐水温度が低いときには青色を、吐水温度が高いときには赤色を、中間のときにはそれらに応じた色を発色して現在の吐水温度がどのような温度であるかをその色変化によって表示する。
【0044】
本実施形態では、浄水用センサ120,湯用センサ118及び水用センサ116が実質的に同時に手を検知した場合には、浄水用センサ120による検知が最も優先し、その次に湯用センサ118による検知が優先するようになっている。
詳しくは、浄水用センサ120が手を検知したときには一定時間他のセンサ即ち湯用センサ118及び水用センサ116の検知が無効化され、一定時間経過後に湯用センサ118,水用センサ116による検知が有効化される。
また湯用センサ118が手を検知したときには、一定時間水用センサ116による検知が無効化され、一定時間経過後に水用センサ116による検知が有効化される。
コントローラ52がそのように吐水の動作を制御する。
【0045】
図17に示しているように、本実施形態においては光温度表示部162が、吐水管本体24の側に且つ吐水管本体24の先端面と吐水ヘッド22の後端面とによって管軸方向に挟まれる位置に設けてあることから、更にはまたその外周面を表示面178となして、その表示面178において吐水温度を光表示することから、(A)に示しているように吐水ヘッド22を吐水管本体24にセットした状態、即ちホース20を収納した状態においても、また(B)に示しているように吐水ヘッド22を吐水管本体24から引き出した状態においても明確に吐水温度を光表示することができる。
【0046】
本実施形態によれば、配管や可撓性のホース22或いは水栓本体に対してサーミスタ170を組み付ける困難さ,大変さを解消することができる。しかもカプラ44へのサーミスタ170の取付けは容易に行うことができる。
しかもサーミスタ170は吐水口18から十分に離れた上流部に位置することとなるため、サーミスタ170で温度検出し且つ光温度表示部162で表示した温度の水(温調水)が、その後に吐水口18から吐水されることとなり、光温度表示部162で表示した吐水の温度と実際の吐水口18からの吐水の温度とを正しく一致させることができる。
【0047】
またカプラ44に取り付けられたサーミスタ170は位置固定に維持され、そのサーミスタ170及びこれに接続された電気配線が移動することによりそれが故障の原因になるといった問題を解決することができる。
【0048】
図18及び図19は本発明の他の実施形態を示している。
この実施形態では、給水元管からの水及び給湯元管からの湯をそれぞれ上記のようなバルブユニットを経由することなく、直接本体部14内の混合弁58に供給するようにし、そして流出路62を構成する流出管42とホース20とを接続するカプラ180に、流出路62を開閉する電磁弁182を設けている。
即ちここでは、温調された湯を吐水口18から吐水させ又は止水するための電磁弁182を混合弁58の2次側に設けている。
【0049】
また一方、混合弁58の上流部において給水路54から第2の給水路184を分岐して延び出させ、その先端を流出路62且つ電磁弁182の下流部に接続している。
この第2の給水路184上には、定流量弁73と第2の給水路184を開閉する電磁弁186とが設けてある。
【0050】
一方吐水管16には、その上面に湯用センサ118と水用センサ116とが管軸方向に一列に設けられている。
但しここでは湯用センサ118が使用者に近い手前側(前側)に、また水用センサ116が奥側に設けられている。
【0051】
この実施形態においても、使用者に近い手前側の湯用センサ118の検知距離が奥側の水用センサ116の検知距離よりも短く設定してあり、また湯用センサ118と水用センサ116とが実質的に同時に人体検知したときには、奥側の水用センサ116による人体検知が優先するようになしてある。
【0052】
この実施形態では、第2の給水路184からの水が混合弁58をバイパスして吐水口18から水吐水されることから、水吐水の際の流量調節の機能は有しておらず、一定流量で吐水口18から水吐水される。
【0053】
図19にカプラ180の内部構造が具体的に示してある。
同図に示しているように、ここではカプラ180に吐水の温度をその上流部で検出するための温度検出素子としてのサーミスタ170が電磁弁182と併せて組み付けられている。
更にまたこのカプラ170には、水抜栓110と電磁弁182の主弁をなすダイヤフラム弁98を開放させる開放操作部材112が組み込まれている。
【0054】
図20は本発明の更に他の実施形態を示したもので、ここでは第2の給水路184に代えて浄水路64を設け、それに対応して吐水管16の上面に湯用センサ118と浄水用センサ120とを管軸方向に一列に且つ湯用センサ118を使用者に近い手前側に、浄水用センサ120を奥側に設けている。
【0055】
この例においても、湯用センサ118及び浄水用センサ120のうち、使用者に近い手前側の湯用センサ118に対して奥側の浄水用センサ120が優先され、またその検知距離は、奥側の浄水用センサ120に対し手前側の湯用センサ118の検知距離が短く設定されている。
この実施形態の場合、水吐水に代えて浄水吐水が行われる以外は図18及び図19に示す実施形態と基本的に同様である。
【0056】
図21は本発明の更に他の実施形態を示している。
この実施形態は、図18及び図19に示す第2の給水路184,図20の実施形態における浄水路64を省略した形態のもので、吐水管16には湯用センサ118のみが設けられている。
他の点については図18〜図20に示す実施形態と同様である。
【0057】
以上本発明の実施形態を詳述したが、これはあくまで一例示である。例えば本発明では温度表示部を上例以外の他の様々な形態で構成することが可能であるし、また本発明は他の様々な湯水混合水栓に適用することが可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態である自動水栓を示す図である。
【図2】同実施形態の自動水栓の流路を示す図である。
【図3】同実施形態の吐水管と各種センサを示す図である。
【図4】同実施形態のバルブユニットを示す斜視図である。
【図5】図4のバルブユニットを互いに異なる切断面で切断して示す斜視図である。
【図6】図4のバルブユニットの図5とは異なった切断面における断面図である。
【図7】同実施形態における混合弁を示す図である。
【図8】図3の吐水管の内部構造を示す断面図である。
【図9】図8における吐水ヘッドを吐水管本体から離した際の図である。
【図10】図8の分解斜視図である。
【図11】図10の一部を詳しく示した図である。
【図12】同実施形態における各人体検知センサを示した図である。
【図13】光温度表示部をその組付構造とともに示す図である。
【図14】光温度表示部の単品の図である。
【図15】浄水吐水を行う際の図である。
【図16】同実施形態における流路切換えの説明図である。
【図17】同実施形態における光温度表示部の作用状態を示す図である。
【図18】本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図19】図19におけるカプラの内部構造を詳しく示した図である。
【図20】本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図21】本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図22】従来の温度表示付き湯水混合水栓の図である。
【符号の説明】
【0059】
18 吐水口
20 ホース
38 給水管
40 給湯管
42 流出管
44 カプラ(接続器具)
162 光温度表示部(温度表示部)
170 サーミスタ(温度検出素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)給水管と、(b)給湯管と、(c)該給水管及び給湯管を通じて送られて来た水と湯とを混合し温調する湯水の混合部と、(d)該混合部から温調水を流出させる流出管と、(e)吐水口に該温調水を導く可撓性のホースと、(f)該温調水の温度を検出する温度検出素子と、(g)該温度検出素子による検出に基づいて温度表示する温度表示部と、を備えて成る温度表示付き湯水混合水栓において
前記流出管と可撓性のホースとを接続器具にて互いに接続するとともに、該接続器具内部の前記温調水の流路に臨む状態で前記温度検出素子を該接続器具に取り付けてあることを特徴とする温度表示付き湯水混合水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−144323(P2006−144323A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333903(P2004−333903)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】