説明

温度補償型水晶発振器及び衛星受信装置及び衛星受信システム

【課題】 本発明は、TCXOの温度特性に係る周波数を予測する際、TCXOの近傍に温度センサを取り付けなければならないことを課題とする。
【解決手段】 TCXO16は、ハウジング内に温度補償を行うため温度センサ17が内蔵されており、ハウジング側面には温度センサ17により検出された温度信号を出力するための出力端子18が設けられている。出力端子18から引き出されたリード線19はCPU14の入力端子20に接続されている。CPU14は、TCXO16に内蔵された温度センサ17から出力された温度信号により温度補償の演算処理を行うため、TCXO16の温度を正確に検出することが可能になる。TCXO16と一体に設けられた温度センサ17からの温度信号に基づいて受信すべき周波数を予測するため、TCXO16の近傍に別体の温度センサを設ける必要がない。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温度センサを有する温度補償型水晶発振器、及び人工衛星からの電波を受信し人工衛星からの信号に基づいて現在位置を検出する衛星受信装置及び衛星通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】人工衛星からの電波を受信して現在位置を求める衛星受信装置及び衛星受信装置を使用した衛星通信システムとして全世界的側位システム:GPS(Global Positioning System)を利用した商品開発(例えば、測量システムやナビゲーションシステム等)が進められている。このGPSは、地球の大気圏外に打ち上げられた非静止衛星から放射された電波を受信して受信位置を求める非静止衛星通信システムであり、軌道高度約2万kmに周期約12時間、軌道傾斜角度55度で6つの軌道面に24個の人工衛星が配置されている。
【0003】GPSで使用される人工衛星(以下「GPS衛星」と称する)は、精密時刻標準として10-13 /日(10ナノ秒/日)の高安定ルビジウム発振器とセシウム発振器の原子時計を搭載している。そして、全てのGPS衛星の時刻信号がGPSのシステム全体として管理されている時刻に同期している。
【0004】そのため、各GPS衛星に搭載された原子時計は、地上の制御局によって常にモニタされており、定期的に更新された時刻補正データが衛星の軌道予測データと共に各GPS衛星に送信され、各GPS衛星からはこの軌道予測データが電波により地上に向けて送信される。
【0005】尚、GPS衛星から送信された航法信号は、PN(Pseudo Noise:擬似雑音)コードでスペクトル拡散変調されたPSK波(Phase Shift Keying:位相偏移キーイング)で1575.42MHz(L1)と1227.6MHz(L2)の2種類の電波が送信されている。このコードはPコード(Precision Code) とC/Aコード(Clear and Acquisition Code) の2種類がある。Pコードは10.23Mbps、周期1週間でL1とL2の2波使用により電離層補正が行われ、精密測位を可能にしている。C/Aコードは、1.023Mbps、周期約1ミリ秒でL1のみを使用する。
【0006】GPSを利用した測位方法には、次のような原理的に方式の異なる2つの方法がある。■として、直接法による測位で複数の衛星からの電波を受け、その航法情報(衛星の時刻、軌道要素等)を解読することにより受信位置を直接算出する方法と、■として干渉法による測位方法で2地点に置いた受信装置でGPS衛星からの電波を受信し、2台の受信装置に到達する信号の到達時間差から相対測位を行う方法とがある。
【0007】上記■の直接法では、受信装置が3個以上のGPS衛星から送信された航法信号を受信し、受信装置に内蔵された水晶時計の時刻と航法情報から得られる衛星時刻との差から衛星までの距離を測定して受信点の3次元的位置を求めることができる。実際には、受信装置の時計自体がずれている可能性があるので、時計の誤差は4個のGPS衛星から送信された観測データから受信装置の位置座標と共に算出できる。
【0008】この■の直接法による測位精度は、Pコードで10m以内、C/Aコードで30〜100m程度となる。尚、C/Aコードの測位精度は、衛星の航法情報(軌道、時刻)に故意に誤差を与えるSA(Selective Availability:選択利用)と呼ばれる利用制約により測位精度の劣化が図られている。■の方法では、一般にC/Aコードを使用する方法が自動車等の移動体測位方法として用いられている。
【0009】また、上記■の干渉法では、2台の受信装置に到達する到達する信号の到達時間差から相対測位を行うため、GPS衛星から放射された電波の伝搬遅延及びGPS衛星の時刻誤差等を相殺することができるという利点があり、■の直接法による測位よりも高い精度で測位することができるので、測地・測量用としての開発が進められている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このようにしてGPS衛星からの電波を受信して現在位置を求める衛星受信システムでは、各GPS衛星に精密な原子時計が搭載されているのに対し、衛星受信装置には水晶発振器を有する時計が搭載されているだけである。そのため、衛星受信装置の時刻情報には時計オフセットが生じやすい。そこで、衛星受信装置では、3個以上のGPS衛星から送信された電波を同時に受信し、各GPS衛星と受信点との間の時計オフセットを含んだ擬似距離データと各受信衛星の軌道位置データとから受信点の位置を演算している。
【0011】ところが、衛星受信装置においては、電源がオフからオンに切り換えられてGPS衛星からの電波を受信して測位演算開始する際、正確な現在位置を短時間で測位するため、トラッキング・ループのバンド幅を狭めてGPS衛星からの電波を捕捉している。
【0012】また、衛星受信装置の電源がオフからオンに切り換えられた直後は、基準信号発生源としての温度補償型水晶発振器(以下「TCXO」と称する)の発振周波数の温度特性により発振周波数が急激に変化するため、GPS衛星からの電波を捕捉した場合、TCXOの発振周波数が安定するまでの期間、また、TCXOの周波数偏差分、信号をサーチする周波数の範囲を広げて電波を捕捉する必要がある。
【0013】その後、受信した軌道データを復調して距離を測定し、これにより正確な現在位置を求める。このように従来はサーチする周波数の範囲を広げて電波を捕捉するため、サーチに時間がかかり、電源投入直後は、現在位置が演算されるまでに相当な時間を要していた。
【0014】このような問題を解決するため、例えば特開昭63−308587号公報にみられるように、TCXOの発振周波数の温度特性を記憶手段に記憶させると共に、TCXOの近傍に温度センサを配設し、電源投入の際、温度センサからの温度情報を基にTCXOの温度特性に係る予測周波数を読み出すことにより電源投入後にGPS衛星からの電波を捕捉するまでの時間を短縮していた。
【0015】ところが、上記公報に記載された従来の構成では、TCXOが温度センサを内蔵しているにも拘わらずTCXOとは別体の温度センサを必要とするため、部品点数が無駄に増えるばかりか、組立工程でも余分な手間を要するといった問題がある。また、TCXOと別体の温度センサでは、TCXOから離間しているので正確な温度情報が得られなった。
【0016】そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、上記問題を解消した温度補償型水晶発振器及び衛星受信装置及び衛星受信システムを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有する。上記請求項1の発明では、ハウジング内に温度センサを有する温度補償型水晶発振器において、前記ハウジングに前記温度センサにより検出された温度検出信号を外部に出力する出力端子を設けたことを特徴とするものである。
【0018】従って、請求項1によれば、温度補償型水晶発振器のハウジングに温度センサにより検出された温度検出信号を外部に出力する出力端子を設けたため、別個の温度センサを温度補償型水晶発振器(TCXO)の近傍に取り付ける必要がなくなり、その分部品点数の削減、組立工程の作業効率を高めることができる。
【0019】また、請求項2の発明では、温度センサが内蔵された温度補償型水晶発振器と、該温度補償型水晶発振器から出力された基準周波数に基づいて人工衛星から送信された電波の周波数を予測して人工衛星からの電波を受信する受信器と、該受信器により受信された信号から現在位置を演算する演算手段とからなる衛星受信装置において、前記温度補償型水晶発振器に内蔵された温度センサにより検出された温度情報を読み込み、前記温度補償型水晶発振器の温度特性に応じた予測周波数に基づいて前記人工衛星からの電波の周波数サーチ範囲を設定する周波数設定手段を有することを特徴とするものである。
【0020】従って、請求項2によれば、温度補償型水晶発振器に内蔵された温度センサにより検出された温度情報を読み込み、温度補償型水晶発振器の温度特性に応じた予測周波数に基づいて人工衛星からの電波の周波数サーチ範囲を設定するため、温度補償型水晶発振器(TCXO)と別体の温度センサを不要にできると共に、内蔵された温度センサにより検出された温度情報を基に温度補償型水晶発振器(TCXO)の温度特性に係る予測周波数を得ることができ、電源投入してから電波を捕捉するまでの時間を短縮することができる。
【0021】また、請求項3の発明は、温度センサが内蔵された温度補償型水晶発振器から出力された基準周波数に基づいて人工衛星から送信された電波の周波数を予測して人工衛星からの信号を受信する衛星受信システムにおいて、前記温度補償型水晶発振器に内蔵された温度センサにより検出された温度情報に基づいて前記温度補償型水晶発振器の周波数を予測し、この予測値に応じて前記人工衛星からの電波の周波数サーチ範囲を設定する周波数設定手段を有することを特徴とするものである。
【0022】従って、請求項3によれば、温度補償型水晶発振器に内蔵された温度センサにより検出された温度情報に基づいて温度補償型水晶発振器の周波数を予測し、この予測値に応じて人工衛星からの電波の周波数サーチ範囲を設定するため、温度補償型水晶発振器(TCXO)と別個の温度センサが不要になると共に、内蔵された温度センサにより検出された温度情報を基に温度補償型水晶発振器(TCXO)の温度特性に係る予測周波数を得ることができ、電源投入してから電波を捕捉するまでの時間を短縮することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1に本発明の一実施例の構成図に示す。GPS受信システム(衛星受信システム)1は、地球の大気圏外に打ち上げられた非静止衛星から送信された電波を受信して受信位置を求める非静止衛星通信システムであり、軌道高度約2万kmの軌道面に24個のGPS衛星2が配置されている。
【0024】GPS受信装置(衛星受信装置)3は、少なくとも4個のGPS衛星2(2a〜2d)からの電波を受信するアンテナユニット4と、アンテナユニット4で受信された信号から現在位置を演算するGPS本体ユニット(受信器)5と、現在位置の周辺地図を表示する操作・表示部6から構成されている。
【0025】アンテナユニット4は、GPS衛星2(2a〜2d)からの電波を受信するアンテナ7と、アンテナ7で受信された信号を増幅するLNA(ローノイズアンプ)8とよりなる。また、GPS本体ユニット5は、RF信号を中間周波信号(IF)に変換するRFコンバータ9と、RFコンバータ9からの中間周波信号(IF)を復調したディジタルデータを生成した後、このディジタルデータを用いて演算処理を行い、位置データ、速度データ等の測位データを生成するGPS復調・演算部10からなる。
【0026】従って、GPS衛星2(2a〜2d)から地上に放射された電波は、アンテナユニット4で受信されて増幅された後、RFコンバータ9に供給される。RFコンバータ9は、図示しないがRFアンプ、第1及び第2のミキサ、第1及び第2のIF回路、VCO及びPLL回路等から構成される。そして、RFコンバータ9は、RF信号を中間周波信号(IF)に変換して、GPS復調・演算部10に供給する。
【0027】さらに、GPS復調・演算部10は、現在位置を特定するための位置データ、速度データ等の測位データを操作・表示部6に出力し、操作・表示部6は、操作部のキーボードで行われた操作に応じて、GPS復調・演算部10から供給された測位データ(受信位置)を表示する。尚、GPS受信装置3がメモリカード等により地図データを持っている場合には、操作・表示部6に周辺地図及び地図上に現在位置を表示する。
【0028】図2はGPS復調・演算部10の構成を示すブロック図である。GPS復調・演算部10は、CPU14と、カスタムLSI15と、TCXO(温度補償水晶発振器)16とから構成される。CPU14は、操作・表示部6のキー操作により衛星サーチ制御、キャリア同期制御、C/Aコード同期制御を行い、操作・表示部6にGPS衛星2(2a〜2d)と利用者の現在位置との距離(補正なし)を示す疑似距離データを出力する。カスタムLSI15は、RFコンバータ9より中間周波数信号(IF)が入力されると共にTCXO16より温度補償されたクロックが入力されるもので、ベースバンドコンバータ、キャリア同期回路、相関処理回路、C/Aコード発生回路、C/Aコード同期回路、ベースバンドフィルタ、PSK(位相シフトキーイング)データ復調回路、及びCPU周辺ロジックを備える。
【0029】TCXO16は、ハウジング内に温度補償を行うため温度センサ17が内蔵されており、ハウジング側面には温度センサ17により検出された温度信号を出力するための出力端子18が設けられている。そして、出力端子18から引き出されたリード線19はCPU14の入力端子20に接続されている。
【0030】そのため、CPU14は、後述するようにTCXO16に内蔵された温度センサ17から出力された温度信号により温度補償の演算処理を行うため、TCXO16の温度を正確に検出することが可能になる。このようにTCXO16と一体に設けられた温度センサ17からの温度信号に基づいて受信すべき周波数を予測するため、従来のようにTCXO16の近傍に別体の温度センサを設ける必要がない。よって、部品点数の削減を図ることができると共に、組立工程の手間を減らして生産性を高めることができ、製造コストを安価に抑えることができる。
【0031】このようにしてGPS衛星2から送信された電波を受信して現在位置を求める衛星受信システム1では、各GPS衛星2(2a〜2d)に精密な原子時計が搭載されているのに対し、GPS受信装置3にはTCXO16からのクロックを利用した水晶発振時計が搭載されているだけである。そのため、GPS受信装置3の時刻情報には時計オフセットが生じやすい。
【0032】そこで、GPS受信装置3では、3個以上のGPS衛星2から送信された電波を同時に受信し、各GPS衛星2(2a〜2d)と受信点との間の時計オフセットを含んだ擬似距離データと受信した各GPS衛星2(2a〜2d)の軌道位置データとから受信点の位置を演算している。
【0033】ところで、GPS受信装置3においては、電源がオフからオンに切り換えられた直後は、基準信号発生源としてのTCXO16の発振周波数の温度特性により発振周波数が急激に変化するため、GPS衛星2(2a〜2d)からの電波を捕捉した場合、TCXO16の発振周波数が安定するまでの期間、また、TCXO16の周波数偏差分、信号をサーチする周波数の範囲を広げて電波を捕捉する必要がある。
【0034】しかしながら、サーチする周波数の範囲を広げて電波を捕捉すると、サーチに時間がかかり、現在位置が演算されるまでに相当な時間がかかることになる。そこで、GPS受信装置3では、TCXO16の発振周波数の温度特性をCPU14のメモリ21に記憶させると共に、TCXO16に内蔵された温度センサ17から導出される温度情報を基にメモリ21に記憶してあるTCXO16の温度特性に係る予測周波数を読み出す。これにより、CPU14は、電源投入後にGPS衛星2(2a〜2d)からの電波を捕捉するまでの時間を短縮することができる。
【0035】このようにCPU14のメモリ21には、TCXO16に内蔵された温度センサ27により検出された温度情報を読み込み、TCXO16の温度特性に応じた周波数に基づいてGPS衛星2(2a〜2d)からの電波の周波数サーチ範囲を設定する周波数設定手段として周波数設定プログラムが記憶されている。
【0036】また、CPU14は、電源電圧Vccが供給されると、上記のような受信動作を開始し、RFコンバータ9から供給される復調信号の疑似距離データに基づいて演算を行い、位置データ、速度データ、及び時刻データ等の測位データを生成する。さらに、CPU14はメインプログラム及び地図CD−ROM(図示せず)からのデータに基づいて画像処理を行う。
【0037】図3はCPU14が実行する処理を説明するためのフローチャートである。CPU14は、ステップS1(以下「ステップ」を省略する)において、TCXO16に内蔵された温度センサ27により検出された温度情報を読み込む。続いて、TCXO16に内蔵された温度センサ27の温度情報に基づいてメモリ21に記憶してあるTCXO16の温度特性に係る予測周波数を読み出して周波数変動を予測する(S2)。
【0038】そして、TCXO16の温度に対応する予測周波数に応じてGPS衛星2(2a〜2d)からの電波の周波数サーチ範囲を設定する(S3)。その後、設定された予想周波数を中心に基準発振器と最大偏差による周波数サーチ範囲で受信可能な周波数をサーチする(S4)。
【0039】次にGPS衛星2(2a〜2d)からの電波の周波数と同期すると、GPS衛星2(2a〜2d)からの電波が受信可能となる。そして、RFコンバータ9からの中間周波信号(IF)を復調したディジタルデータを生成した後、このディジタルデータを用いて演算処理を行い、位置データ、速度データ等の測位データを生成する(S5)。
【0040】その後、測位データを読み込み、この測位データ中の位置データ(緯度、経度)が現在位置を示す(S6)。続いて、現在位置を示すマークを操作・表示部6のディスプレイに表示するための画面データを生成する(S7)。現在位置は、緯度、経度のデータであるのに対して、地図CD−ROM内の地図データは、縦軸、横軸の座標に対応づけて記憶されている。この現在位置の緯度、経度のデータを、地図のデータの座標データに変換する(S8)。
【0041】操作・表示部6のキー操作で指定した縮尺率等に合わせて、現在位置の座標に対応して操作・表示部6のディスプレイに表示する地図の領域を、座標で求める。この求めた領域の地図データを、地図CD−ROMから読み込む(S9)。また、S9で読み込んだ地図データを基にして、地図をディスプレイに表示するための画面データを生成する(S10)。続いてS7で生成した現在位置表示用の画面データと、S10で生成した地図表示用の画面データを用いて、両画面データを重ねる方法で、ディスプレイ上に地図と現在位置のマークを表示する(S11)。このステップS11で読み込んだ測位データに対応する表示が完了した後、再びS1に戻り、上記S1〜S11の処理を繰り返す。
【0042】このように、TCXO16に内蔵された温度センサ17から導出される温度情報を基にメモリ21に記憶してあるTCXO16の温度特性に係る予測周波数を読み出し、電源投入後にGPS衛星2(2a〜2d)からの電波を捕捉するまでの時間を短縮することができる。
【0043】
【発明の効果】上述の如く、請求項1によれば、温度補償型水晶発振器のハウジングに温度センサにより検出された温度検出信号を外部に出力する出力端子を設けたため、従来のように別個の温度センサを温度補償型水晶発振器の近傍に取り付ける必要がなくなり、その分部品点数の削減、組立工程の作業効率を高めることができる。また、部品点数の削減を図ることができると共に、組立工程の手間を減らして生産性を高めることができるので、製造コストを安価に抑えることができる。
【0044】また、請求項2によれば、温度補償型水晶発振器に内蔵された温度センサにより検出された温度検出信号に基づいて温度補償型水晶発振器の温度特性に応じた予測周波数に基づいて人工衛星からの電波の周波数サーチ範囲を設定するため、従来必要とされていた温度補償型水晶発振器と別体の温度センサを不要にできると共に、電源がオンになったときの温度補償型水晶発振器の発振周波数の温度特性により発振周波数が急激に変化しても内蔵された温度センサにより検出された正確な温度情報を基に温度補償型水晶発振器の温度特性に係る予測周波数を得ることができ、電源投入してから電波を捕捉するまでの時間を短縮することができる。
【0045】また、請求項3によれば、温度補償型水晶発振器に内蔵された温度センサにより検出された温度検出信号に基づいて温度補償型水晶発振器の周波数を予測し、この予測値に応じて人工衛星からの電波の周波数サーチ範囲を設定するため、上記請求項2と同様に温度センサを別個に設ける必要がないばかりか、温度補償型水晶発振器の温度特性に係る予測周波数を得ることができ、電源投入してから電波を捕捉するまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成図である。
【図2】図1のGPS復調・演算部の構成を示すブロック図である。
【図3】CPUが実行する処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 GPS受信システム
2(2a〜2d) GPS衛星
3 GPS受信装置
4 アンテナユニット
5 GPS本体ユニット
7 アンテナ
9 RFコンバータ
10 GPS復調・演算部
14 CPU
15 カスタムLSI
16 TCXO(温度補償水晶発振器)
17 温度センサ
18 出力端子
21 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハウジング内に温度センサを有する温度補償型水晶発振器において、前記ハウジングに前記温度センサにより検出された温度検出信号を外部に出力する出力端子を設けたことを特徴とする温度補償型水晶発振器。
【請求項2】 温度センサが内蔵された温度補償型水晶発振器と、該温度補償型水晶発振器から出力された基準周波数に基づいて人工衛星から送信された電波の周波数を予測して人工衛星からの電波を受信する受信器と、該受信器により受信された信号から現在位置を演算する演算手段とからなる衛星受信装置において、前記温度補償型水晶発振器に内蔵された温度センサにより検出された温度情報を読み込み、前記温度補償型水晶発振器の温度特性に応じた周波数に基づいて前記人工衛星からの電波の周波数サーチ範囲を設定する周波数設定手段を有することを特徴とする衛星受信装置。
【請求項3】 温度センサが内蔵された温度補償型水晶発振器から出力された基準周波数に基づいて人工衛星から送信された電波の周波数を予測して人工衛星からの信号を受信する衛星受信システムにおいて、前記温度補償型水晶発振器に内蔵された温度センサにより検出された温度情報に基づいて前記温度補償型水晶発振器の周波数を予測し、この予測値に応じて前記人工衛星からの電波の周波数サーチ範囲を設定する周波数設定手段を有することを特徴とする衛星受信システム。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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