説明

温度調節手段を備えた積分球

本発明は、光源の発光特性を測定するための積分球に関し、より詳細には、積分球内の温度を調節することができる手段を備えた積分球に関するものである。
本発明による光源の光学特性を測定するための積分球は、内部に実質的に球状の中空が形成されており、中空の内部に設置される光源に電源を供給する配線のための第1の貫通孔と、積分球の中空の内部に制御された温度の空気を供給するための第2の貫通孔とが形成されている。また、中空の内部に一端が前記積分球の中空の中心部に位置するように配置され、他端が前記積分球の第1の貫通孔を密閉するように内周面に固定された光源支持台が設置されている。前記第2の貫通孔を介して積分球の内部に空気を供給するように第2の貫通孔が形成された積分球の外周面に固定された空気供給チューブと、前記空気供給チューブに空気を供給するための空気供給手段と、前記空気供給手段から供給されて空気供給チューブを通過する空気の温度を制御するための温度調節手段と、前記第2の貫通孔から一定距離離隔して設置された遮蔽板とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の発光特性を測定するための積分球に関し、より詳細には、積分球内の温度を調節することができる手段を備えた積分球に関するものである。特に、本発明は、高輝度LEDの温度による光学特性の測定に適した積分球に関し、さらに本発明は、高輝度LEDやFLAT LAMPのように周辺温度によって光特性が変わる光源に対する光学特性評価及び防熱設計に必要な特性の測定に適した積分球に関する。
【背景技術】
【0002】
積分球は、光源の光学特性の測定に使用されるもので、内部に実質的に球形状の中空が形成されており、中空の内周面は、入射した光が拡散反射されるように表面処理されている。また、積分球には中空の内部で反射された光を検出するための検出器が設置されている。積分球は、内部に設置された光源から放射される光が中空の内周面で反射されて放射された光量に比例する光量を検出器で集光するようにしており、光学積分器として使用されている。
【0003】
最近、照明用光源として使用できる高輝度LEDが開発されており、LCDのバックライト、信号灯、生活照明など、様々な分野で利用されている。高輝度LEDを様々な応用分野で利用するためには、使用条件に応じた温度範囲でのLEDの光学特性を測定する必要がある。特に、限定された空間に設置された高輝度LEDは、電源が印加されると多量の熱が発生し、LED自体だけでなく周囲の空気温度が急激に上昇するようになる。
【0004】
また、LEDは、使用条件によって金属からなるLED基板を冷却しながら動作する場合がある。また、LEDは、光学設計における効率的な防熱構造の有無がその性能に大きな影響を与える。よって、LEDの光学特性を実際の使用条件と同じ環境で検査するためには、積分球の中空内部の温度条件をLEDの実際の使用条件と同じ温度条件に維持する必要がある。特に、積分球の中空の内部に設置され、検査されたLED周辺の空気温度を均一に維持しながら光学特性を検査できる積分球が求められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、光源が実際に使用されている温度条件を提供できる積分器の必要性を解決するものである。
そこで、本発明は、検査すべき光源の使用温度条件を実現するために、積分球の中空の内部の温度を調節することができる温度調節手段を備えた積分球を提供することを目的とする。
また、本発明は、積分球の内部の温度だけでなく、設置される光源自体の温度を制御することができる積分球を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による光源の光学的特性を測定するための積分球は、実質的に球状の中空が形成された本体を有し、本体の中空の内部に設置される光源に電源を供給する配線のための第1の貫通孔と、本体の中空の内部に調節された温度の空気を供給するための第2の貫通孔とが形成されている。また、中空の内部には一端が前記本体の中空の中心部に位置するように配置され、他端が前記本体の第1の貫通孔を密閉するように内周面に固定された光源支持台が設置されている。さらに、光源支持台には前記第1の貫通孔を介して本体の外部から一端部に配線が通過するように中空が形成されている。前記第2の貫通孔を介して本体の内部に空気を供給するように、第2の貫通孔が形成された本体の外周面に固定された空気供給チューブと、前記空気供給チューブに空気を供給するための空気供給手段と、前記空気供給手段から供給され空気供給チューブを通過する空気の温度を制御するための温度調節手段と、前記第2の貫通孔から一定距離離隔して設置された遮蔽板とを有する。
【0007】
前記温度調節手段は、空気供給チューブに供給される空気を加熱するための電熱ヒータと、光源支持台に設置された温度センサーと、前記温度センサーの温度値を受信して電熱ヒータの電流を制御するための制御器とを有する。また、温度調節手段は、空気供給チューブに供給される空気を冷却するために、低温部が空気供給チューブの内部に露出するように配置されたペルチェ素子を有することもできる。
【0008】
前記空気供給手段としては、モータによって回転するように空気供給チューブに設置されたファン(FAN)を使用することが好ましいが、空気圧縮機に連結された空気保存タンクを使用することもできる。空気供給手段は、必要に応じて除湿器を含むことも可能である。
【0009】
本発明によれば、空気供給手段により空気供給チューブと第2の貫通孔を介して積分球本体の中空に供給される空気は、電熱ヒータによって加熱されて積分球の内部に供給される。これにより、積分球内部の空気の温度をLEDのような光源が実際に使用される雰囲気の温度に調節することができるようになる。
【0010】
本発明による積分球において、光源が位置する本体の中空の中央部の温度が均一になるように、前記遮蔽板は、ディスク形状で、直径が第2の貫通孔の直径より大きいものを使用することが好ましい。前記本体の中空の直径は、前記貫通孔の直径に比べて5倍以上大きいことがより好ましい。遮蔽板の直径の大きさが本体の内部に空気を供給する第2の貫通孔の大きさより大きく、本体の中空の直径が少なくとも第2の貫通孔の直径より5倍以上大きい場合、流入する空気が遮蔽板に衝突した後、光源の周囲に集まるようになり、光源の周囲温度を均一に維持することができる。
【0011】
また、本発明による積分球は、使用時に強制冷却方式により冷却される光源の性能を評価するために、光源に接触して光源を直接冷却するように、前記光源支持台の一端部に設置されたペルチェ素子をさらに含むことが好ましい。特に、ペルチェ素子の設置された積分球は、LEDとともに発熱量の多い光源を冷却しながら使用する条件を設けており、LEDの光特性を検査するのに適している。
【0012】
積分球の本体の中空が密閉されており、第2の貫通孔を介して流入した空気が第2の貫通孔を逆流して排出されることを防止し、光源の周辺が均一な温度分布を有するように本体の適切な位置に排出孔をさらに形成することが好ましい。
排出孔の位置は、空気の流動を考慮して、第2の貫通孔と対向する位置に形成することが好ましく、製造を考慮して、検出器の周辺に形成することが好ましい。ここで第2の貫通孔は、積分球の本体の中空の中心において光源支持台を中心に中心角が−45°〜+45°の範囲の領域に形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、空気供給手段により空気供給チューブと第2の貫通孔を介して積分球本体の中空に供給される空気は、電熱ヒータにより加熱されて積分球の内部に供給される。これにより、積分球の内部空気の温度をLEDのような光源が実際に使用されている雰囲気の温度に調節することができるようになる。
【0014】
また、本発明によれば、ペルチェ素子を含み、積分球の内部の温度だけでなく、設置される光源自体の温度を制御しながら光源の光特性を検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明による積分球の一実施例の概咯図である。本実施例の積分球100は、実質的に球状の中空が形成された本体10と、本体の中空に固定設置された光源支持台50とを有する。本体10には、中空の中心部に配置された光源支持台50の一端部に設置される光源20に電源を供給する配線が通過するための第1の貫通孔10-3と、本体10の中空の内部に調節された温度の空気を供給するための第2の貫通孔10-4が形成されている。未説明の貫通孔10-1と10-2は、それぞれ検出器11と、補償のための補助光源12を設置するためのものである。図面符号13及び14は、それぞれバッフル(BAFFLE)を示す。
【0016】
本実施例の光源20は高輝度LEDである。
光源支持台50は、中空のパイプ形状で、一端が前記本体10の中空の中心部に位置するように配置され、他端が前記本体の第1の貫通孔10-3を密閉するように本体の中空の内周面に固定されている。光源支持台の中空の内部には、温度センサー51と光源20に電源を供給するための配線が通過する。
【0017】
本体10の第2の貫通孔10-4が形成された外周面には、空気供給チューブ30が設置されている。空気供給チューブの内部には電熱ヒータ31が設置されており、電熱ヒータは、電熱ヒータに供給される電流を制御するための制御器40に接続されている。また、制御器40は、本体10に設置された温度センサー51に連結され、測定された温度値に応じて電熱ヒータに供給される電流値を制御し、本体10の中空に供給される空気の温度を制御する。温度センサー51としては、熱電対(THERMOCOUPLE)を使用する。
【0018】
また、空気供給チューブ30には、外部の空気を供給するための空気供給手段32が連結されている。ここに図示されていないが、モータにより駆動されるファンが設置されている。ファンは、空気供給チューブ30の内部に設置されている。制御器40は、温度センサー51の測定値を受信し、ファンの回転速度を制御するようにファンに接続されたモータに連結されている。これにより、本体10の中空に供給される空気量を調節して、本体内部の温度を制御することもできる。
【0019】
また、本体10の中空の内部には、前記第2の貫通孔10-4から一定距離離隔して遮蔽板33が設置されている。遮蔽板33は、第2の貫通孔10-4に流入した空気が衝突して本体の中空の内部に均等に分布するようにする役割と、光源から放射された光が第2の貫通孔10-4から漏れないように反射させる役割をする。光源の温度に対する光特性を精密に検査するためには、光源の周囲温度を均一に維持する必要がある。
【0020】
これにより、第2の貫通孔10-4を介して供給される一定の温度の空気が光源の周囲に供給されるようにするため、第2の貫通孔10-4の直径の大きさと、遮蔽板33の直径の大きさと、本体10の中空の直径の大きさとを適正な割合で形成することができる。本実施例において、遮蔽板33は、ディスク形状で、直径が第2の貫通孔10-4の直径より大きいものを使用する。
【0021】
また、本体10の中空の直径は、前記第2の貫通孔10-4の直径より5倍以上大きく形成されている。さらに、第2の貫通孔10-4は、空気の流動を考慮して、積分球100の本体10の中空の中心において光源支持台を中心に中心角が−45°〜+45°の範囲の領域に形成されている。
【0022】
次に、本実施例の積分球100の作用について説明する。光特性を検査しようとする光源を光源支持台50の一端部に置いて電源を印加する。制御器40の使用条件温度を指定し、電熱ヒータ31に電流を供給して空気供給手段のファンを駆動させる。温度センサー51の温度が予め定めた検査温度以下である場合は、電熱ヒータに電流を加えて供給される空気を加熱し、定めた温度以上である場合は、電流の供給を遮断する。
【0023】
ここで制御器40は、ファンの回転速度を同時に調節し、供給される空気の量を調節して、本体10の中空の内部の温度調節を行う。積分球100の本体は密閉されているので、第2の貫通孔10-4を介して中空に供給された空気の流れが図示の矢印方向に形成され、第2の貫通孔10-4を介して排出される。
【0024】
図2は、本発明による積分球の他の実施例の概咯図である。図2に示す実施例が図1の実施例と異なる点は、光源支持台50の一端部に光源20を直接冷却するために設置されたペルチェ素子60をさらに含む点と、第2の貫通孔10-4を介して本体10の中空に供給された空気を排出するための排出孔10-5が本体にさらに形成されている点である。
【0025】
また、制御器40は、ペルチェ素子60に供給される電流を制御して、電源の温度を制御することができる。本実施例のように、ペルチェ素子60の設置された積分球200は、強制冷却が可能な光学系に用いられたLEDのように発熱量の多い光源を冷却しながら動作する条件を設けており、LEDの光特性検査に適している。
【0026】
本実施例の積分球200の作用は、ペルチェ素子60を用いてLEDのような光源20を直接冷却しながら周囲温度を調節して光特性を検査する点と、空気の流動方向が異なる点以外は、図1の実施例と同一であるので詳細な説明を省略する。
【0027】
尚、上記の説明および図面に示された本発明の一実施例により、本発明の技術思想が限定されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲により制限され、各種の変形が本発明の特許請求の範囲を逸脱しない限り、該当技術分野における通常の知識をもつ者により可能である。よって、請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による積分球の一実施例の概咯図。
【図2】本発明による積分球の他の実施例の概咯図。
【符号の説明】
【0029】
10 本体
11 検出器
12 補助光源
20 光源
30 空気供給チューブ
31 電熱ヒータ
32 空気供給手段
33 遮蔽板
40 制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源の光学特性を測定するための実質的に球状の中空が形成されている本体を有する積分球において、
前記本体には中空の内部に設置される光源に電源を供給する配線のための第1の貫通孔と、本体の中空の内部に、調節された温度の空気を供給するための第2の貫通孔とが形成されており、一端が前記本体の中空の中心部に位置するように配置され、他端が前記本体の第1の貫通孔を密閉するように内周面に固定されており、前記第1の貫通孔を介して本体の外部から一端部に配線が通過するように中空が形成された光源支持台と、
前記第2貫通孔を介して本体の内部に空気を供給するように第2の貫通孔が形成された本体の外周面に固定された空気供給チューブと、前記空気供給チューブに空気を供給するための空気供給手段と、
前記空気供給チューブの内部に設置され、前記空気供給手段から供給され空気供給チューブを通過する空気の温度を制御するための温度調節手段と、
前記第2の貫通孔から一定距離離隔して設置された遮蔽板とを有することを特徴とする積分球。
【請求項2】
前記遮蔽板は、ディスク形状で、直径が第2の貫通孔の直径より大きいことを特徴とする請求項1に記載の積分球。
【請求項3】
前記本体の中空の直径は、前記第2の貫通孔の直径に比べて5倍以上大きいことを特徴とする請求項2に記載の積分球。
【請求項4】
光源に接触して光源を直接冷却するように前記光源支持台の一端部に設置されたペルチェ素子をさらに有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の積分球。
【請求項5】
本体には、中空に供給された空気を排出するための排出孔が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の積分球。
【請求項6】
前記温度調節手段は、空気供給チューブに供給される空気を加熱するための電熱ヒータと、前記光源支持台に設置された温度センサーと、前記温度センサーの温度値を受信し、電熱ヒータに供給される電流を制御するための制御器を有することを特徴とする請求項5に記載の積分球。
【請求項7】
前記第2の貫通孔は、本体の中空の中心において光源支持台を中心に中心角が−45°〜+45°の範囲の領域に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の積分球。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−517628(P2009−517628A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524876(P2008−524876)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【国際出願番号】PCT/KR2006/001522
【国際公開番号】WO2007/007947
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(508032505)
【Fターム(参考)】