説明

温度調節用ヒータ

【課題】絶縁性、密閉されたシール性に優れると共に小型・コンパクト化を図った温度調節用ヒータを提供する。
【解決手段】両端の端子3a,3bにリード線9,11が接続された抵抗3を、前記両端の端子3a,3bを含めて抵抗全体を被覆する絶縁性の内側被覆材15と、その内側被覆材15全体を覆う外側被覆材17とにより二重の被覆構造とする一方、前記リード線9,11を外部へ延長させた状態で前記外側被覆材17の両端を密閉シール21,21したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い湿度及び水分の多い場所で使用するのに適する温度調節用ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に高い湿度や水分の多い場所で使用する温度調節用ヒータとしては、例えば、図6に示すようにアルミ箔101にコードヒータ103を貼付け、ヒータ端子105とリード線107の接続領域を塩化ビニールチューブ109で密閉シールし、接続領域に水侵入が起きないようになっている。
【0003】
コードヒータ103は、図7に示すようにガラス芯側111にニクロム線等の抵抗線113を螺旋状に巻いた形状で、その外周は内側と外側の2層の被覆材115、117により被覆された構造となっている。その使用例として例えば、冷蔵庫がある。
【特許文献1】特開平11−142045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温度調節用ヒータは、コードヒータ103がアルミ箔101に貼付けられた面状ヒータとなるところから、使用場所によってその専有スペースを例えば、二点鎖線で示すように今までの半分、あるいは3分の1に小さくしたい要望がある。加えて、100Vで、例えば、2W程度の低出力の発熱量で、かつ、全長500mmのヒータ線を作ろうとすると、1m当たり10000Ωの抵抗線が必要となる。これを達成するには単位抵抗を大きくする必要があるが、そのためには、細い線を大きく密に巻き、長くすることになる。具体的には例えば、φ0.05mm以下の細い抵抗線を使用し、しかも、ガラス芯の外径を大きくφ1以上で密に巻く必要がある。このために、単位抵抗を大きくするには物理的に限度があり、次のような問題をかかえる。
【0005】
°細い線を採用するので断線しやすい。
°密に巻くのでピッチ間で短絡しやすく作業に神経を使う。
°ガラス芯の外径が大きくなるので、コードヒータとしての加工性が悪くなる。
°端末加工がしづらくなり信頼性も悪くなる。
そこで、本発明にあっては、前記問題点の解消を図った新たな温度調節用ヒータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明にあっては、両端の端子にリード線が接続された抵抗を、前記両端の端子を含めて抵抗全体を被覆する絶縁性の内側被覆材と、その内側被覆材全体を覆う外側被覆材とにより二重の被覆構造とする一方、前記リード線を外部へ延長させた状態で前記外側被覆材の両端を密閉シールしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、抵抗を用いてヒータとするため、小型、コンパクトに作ることができる。また、抵抗全体は内側被覆材と外側被覆材とによる二重の被覆構造により絶縁が確保された状態で密閉シールすることができるため、高い湿度や水分の多い場所でも使用場所に限定されることなく設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明にあっては第1に、前記抵抗を、複数接続すると共に外側被覆材内において並列配置することで小型、コンパクト化を可能とする一方、各抵抗の抵抗値を選択することで幅広い出力のヒータが得られるようにする。
【0009】
第2に、前記内側被覆材と外側被覆材を、抵抗の表面に印字された抵抗値が見える透明又は半透明の材質とし、外から使用する抵抗値の確認を容易にする。
【0010】
第3に、前記内側被覆材を耐熱性のシリコンゴム,外側被覆材を熱溶着性の塩化ビニールの材質とすることで、内側被覆材の滑り性を確保し、内側被覆材を外側被覆材内へ挿入する挿入作業を容易にする一方、塩化ビニールによる熱溶着によって確実な密閉シールを確保する。
【0011】
第4に、前記外側被覆材に、全周面にわたってアルミ箔を巻き付けることで、アルミ箔を介して周面状の均一な熱伝導を確保する。
【実施例】
【0012】
以下、図1乃至図5の図面を参照しながら本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0013】
図1は本発明にかかる温度調節用ヒータの概要切断説明図を示している。
【0014】
温度調節用ヒータ1は、並列配置された第1の抵抗3と第2の抵抗5を有している。並列配置された第1、第2の抵抗3,5は、この実施の形態では、例えば、2〜4W程度の低出力の発熱量を得るために抵抗値が12kΩのものを使用している。
【0015】
第1、第2の抵抗3,5の一方の各端子3a,5aはビニール等の被覆材により被覆されたU字状のリード線7により接続された直列接続となっている。
【0016】
したがって、前記抵抗値とは異なる抵抗値のものを選択したり、あるいは、各抵抗3,5の数を増やすことで幅広い発熱量の確保が可能となる。
【0017】
また、第1、第2の抵抗3,5の他方の各端子3b,5bは、ビニール等の被覆材により被覆された2本のリード線9,11と接続している。リード線9,11は平行に延長され、その延長端は接続コネクタ13と接続し、接続コネクタ13を介して第1、第2の抵抗3,5に電力が供給されるようになっている。
【0018】
第1の抵抗3と第2の抵抗5は、絶縁性の内側被覆材15と外側被覆材17の二重の被覆構造によって被覆されている。
【0019】
内側被覆材15は、耐熱性及び滑り性に優れた透明又は半透明のシリコンゴムで作られたチューブ状の形状となっていて、各両端子3a,3b,5a,5bの接続部Pを含めて抵抗全体がそれぞれ独立して被覆されている。この場合、各リード線7,9,11にかかる被覆領域dは各端子3a,3b,5a,5b及び接続部Pが露出しない3mm以上であることが望ましい。
【0020】
一方、外側被覆材17は、熱溶着性に優れた透明又は半透明の塩化ビニールで作られた楕円のチューブ状の形状となっている。外側被覆材17の内部には前記内側被覆材15を含む各抵抗3,5が挿入配置され、前記接続コネクタ13に続くリード線9,11を外部へ延長させた状態において外側被覆材17の両端が熱溶着21,21により密閉シールされている。これにより、リード線9,11を介して内部への水侵入が確実に阻止されるようになっている。
【0021】
このように構成された温度調節用ヒータ1によれば、内側被覆材15がシリコンゴムでできているため、外側被覆材17の内部へ挿入セットする時に、その滑り性により迅速容易に挿入作業が完了し、作業性の面で大変好ましいものとなる。また、作業終了後、各抵抗3,5の抵抗値を外からの目視によって確認することが可能となる。
【0022】
また、抵抗3,5を用いてヒータとするため、縦h・横Lの外径寸法が小さくて済むようになり、小型・コンパクトに作れる。また、第1、第2の抵抗3,5は、抵抗値の選択あるいは、さらに組合せることで、幅広い仕様のヒータが得られる一方、内側被覆材15と外側被覆材17による二重の被覆構造により、確実な絶縁性に加えて、両端が密閉シールされているため、高い湿度や水分の多い場所での使用が可能となる。
【0023】
したがって、例えば、図4に示すように、冷蔵庫の冷蔵室23と野菜室25の間に並列配置された製氷室27と切替室29とを仕切る、幅の狭い仕切壁31内に、図5に示すように仕切壁31の表面パネル31aの結露防止用ヒータとして使用することができる。
【0024】
この場合、例えば図3に示すように外側被覆材17の外周にアルミ箔33を巻きつけることが好ましい。これにより、全周面にわたって均一な熱伝導が得られる。
【0025】
なお、抵抗を用いる数は、単独でも複数でもよく、また、接続は直列接続,並列接続いずれであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にかかる温度調節用ヒータの一部切断概要説明図。
【図2】図1の断面説明図。
【図3】外側被覆材の外周にアルミ箔を巻いた温度調節用ヒータの概要説明図。
【図4】温度調節用ヒータを製氷室と切替室とを仕切る仕切壁内に実施した冷蔵庫の概要正面図。
【図5】図4のA−A線概要断面図。
【図6】従来例を示した温度調節用ヒータの説明図。
【図7】図6のB部の拡大した切断概要説明図。
【符号の説明】
【0027】
3 抵抗
3a,3b 端子
9,11 リード線
15 内側被覆材
17 外側被覆材
21 熱溶着(密閉シール)
33 アルミ箔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端の端子にリード線が接続された抵抗を、前記両端の端子を含めて抵抗全体を被覆する絶縁性の内側被覆材と、その内側被覆材全体を覆う外側被覆材とにより二重の被覆構造とする一方、前記リード線を外部へ延長させた状態で前記外側被覆材の両端を密閉シールしたことを特徴とする温度調節用ヒータ。
【請求項2】
前記抵抗は、複数接続されると共に外側被覆材内において並列配置されていることを特徴とする請求項1記載の温度調節用ヒータ。
【請求項3】
前記内側被覆材と外側被覆材は、抵抗の表面に印字された抵抗値が見える透明又は半透明の材質となっていることを特徴とする請求項1記載の温度調節用ヒータ。
【請求項4】
前記内側被覆材は耐熱性のシリコンゴム,外側被覆材は熱溶着性の塩化ビニールの材質となっていることを特徴とする請求項1又は3記載の温度調節用ヒータ。
【請求項5】
前記外側被覆材は、全周面にわたってアルミ箔が巻かれていることを特徴とする請求項1、2、3、4記載の温度調節用ヒータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−115546(P2007−115546A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306293(P2005−306293)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューママーケティング株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝家電製造株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】