説明

温水器及びその運転方法

沸騰式温水器(10)の運転水温を決定する方法。この方法は以下の諸ステップを含んでいる。(a)所定水位までタンク(12)に水を加えるステップ;(b)前記タンク(12)内の水を95℃前後に加熱するステップ;(c)前記タンク内の水の沸騰を第1の所定期間内に生じさせるように前記タンク(12)内の水に十分な熱を加えるステップ;(d)前記タンク(12)内の水の沸騰水温を計測するステップ;(e)前記ステップ(d)で計測した前記沸騰水温から所定温度を減じて前記運転水温を定めるステップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水器及びそれを運転する方法に関するものである。
【0002】
本発明は、沸騰式温水器に関して主に開発されてきたもので、以下、この適用例に関して記載されるであろう。しかしながら、本発明は、この特定の使用分野に限定されるのではなく、例えば、温水器・水冷器兼用ユニットにおける使用にも適している。
【背景技術】
【0003】
最高の性能を得るために、温水器は、水の沸点に非常に近い温度で運転する。しかしながら、水は、異なる大気圧では異なる温度で沸騰する。この変化は、所定高度での異なる大気条件に対しては比較的に軽微であるが、海面よりも上方の高高度での運転に対して海面の高さでの運転を比較した場合には、もっと大きくなる。
【0004】
一例として、海面の高さでの沸点よりも1又は2℃低い温度で運転されるよう設計された沸騰式温水器は、高い高度のところに運ばれたときに過沸騰状態で運転することになろう。この状況は、特に、水温を沸点から1又は2℃の範囲内に制御しようと試みる場合に、温度測定装置の測定誤差のために更に面倒になる。これまで、この問題を解決するために多くの試みがあった。
【0005】
一つの簡単な方法は、水が予想最高高度で沸騰するであろう温度よりも低い運転温度に温水器を設定することであった。しかしながら、これは、大多数の販売が発生するより低い高度での温水器の性能を損なってしまう。
【0006】
別の、もっと複雑で経費の掛かる解決策は、場所に応じて変更できる手動温度調節機能を温水器に与えることである。しかしながら、大抵の場合、これは、熟練したサービス技術者による調節を必要とすると共に、ユーザーにより調節することができないであろう。更に、特定の場合には、調節を最初の据付け時に行いうるが、通常の慣行は、ユーザーにとって性能上で不満の設定を調節するための追跡修理サービスの電話依頼であろう。この解決策の欠点は、ユーザーに対する修理サービスの電話依頼のコストを含み、また、調節後であっても、性能が依然として損なわれうることである。後者は、サービス技術者により行われるどんな調節も正しい沸点により近い運転温度への調節であり、有害な過沸騰が起きるのを防止するために実際の好ましい運転温度と沸点との間に十分な温度差を残したままであるという事実に由来している。過沸騰は、過剰の蒸気発生及び/又は温水器電力供給停止の有害なトリッピングという結果になる。いずれの場合も、このような状態が起こるのを防止するのに十分な低さの運転温度にサービス技術者が温水器を調節する結果になる故障を修正するため、更なる修理サービスの電話依頼が必要とされる。この場合もやはり性能が損なわれることになる。
【0007】
沸騰式温水器は、伝統的なケトル及び沸し器と比較した場合に、必要とするエネルギが少なく且つ運転時間も短い。しかしながら、水を沸騰温度に維持するには一定のエネルギ入力を必要とする。大抵の場合、沸騰水ユニットは、沸騰水を即時に必要とするのが典型的には営業時間に限られる商業的な適用例で据え付けられる。これらの時間を別にすれば、即時的な沸騰水はしばしば必要とされるのではないにもかかわらず、水沸騰ユニットは全力運転温度にしたままにされているか、或いはタイマーが設けられていて予めプログラムされた時間に温水器のスイッチを切られる。
【0008】
長期にわたる不使用の期間中に温水器のスイッチを切るのが有利であるが、この解決策には幾つかの欠点がある。第1に、結果として得られる電力の節約はプログラム可能なタイマーのコストよりもしばしば低い。従って、タイマーを設置することはコスト効率が高くないかも知れないが、環境の観点からはエネルギ効率が高い。第2に、タンク内の沸騰水が約45℃未満に冷えるのを認めれば、レジオネラ菌を含め、種々のバクテリアが繁殖するかも知れない。水を沸騰させれば、ユーザーにより出される前に水が沸騰している限り、どんなバクテリアも死ぬであろう。プログラム可能なタイマーの欠点には、プログラム作成を行うことを誰かが教えてもらう必要があること、また、何らかの理由で予めプログラムされた時間外に沸騰水が必要でも、タイマーを迂回することが難しいか又は面倒なことが含まれる。
【0009】
既知の温水器に関連した別の欠点は、温度制御システムが所望水温に達したことを認識した場合に、同温度制御システムは加熱要素への電力を停止させることである。しかしながら、ヒステリシスのため、加熱要素における残留熱が多少の付加的な加熱を一般的に行い、これが過沸騰、従って、エネルギ消耗になりうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上述した先行技術の欠点の1つ以上を克服すること又は少なくとも改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、第1の形態において、本発明は、沸騰式温水器の運転水温を決定する方法であって、
(a)所定水位までタンクに水を加えるステップと、
(b)前記タンク内の水を95℃前後に加熱するステップと、
(c)前記タンク内の水の沸騰を第1の所定期間内に生じさせるように前記タンク内の水に十分な熱を加えるステップと、
(d)前記タンク内の水の沸騰水温を計測するステップと、
(e)前記ステップ(d)で計測した前記沸騰水温から所定温度を減じて前記運転水温を定めるステップと、
を含む方法を提供している。
【0012】
この方法は、前記ステップ(b)及び(c)の間に第2の所定期間にわたり前記タンク内の水を95℃前後に維持するステップを更に含むことが好ましい。
【0013】
好ましくは、前記第1及び第2の所定期間はそれぞれ実質的にに90秒及び120秒である。
【0014】
前記ステップ(e)において減じた前記所定温度は1.5℃であるのが好ましい。
【0015】
第2の形態において、本発明は、 運転水温を決定するのに適応した温水器であって、
水タンクと、
該水タンク内の水の水温を計測する手段と、
タイマーと、
前記水タンク内の水を95℃前後に加熱するのに適応した加熱手段であって、該加熱手段は、前記タンク内の水の沸騰を第1の所定期間内に生じさせるように前記タンク内の水に十分な熱を加えるようにも適応している、前記加熱手段と、
を含んでおり、前記水の前記運転水温は、計測した沸騰水温から所定温度を引いたものである、温水器を提供している。
【0016】
前記加熱手段は、好ましくは、該加熱手段が前記タンク内の水の沸騰を第1の所定期間内に生じさせるように前記タンク内の水に十分な熱を加える前に、第2の所定期間にわたり前記タンク内の水を95℃前後に維持するようにも適応している。
【0017】
前記第1及び第2の所定期間はそれぞれ実質的に90秒及び120秒であることが好ましい。
【0018】
好ましくは、引いた前記所定温度は1.5℃である。
【0019】
前記温水器はまた、好ましくは、前記タイマー及び/又は前記温度を計測する手段からの入力に応答して前記加熱手段を制御するように適応したコントローラを含んでいる。
【0020】
第3の形態においては、本発明は、温水器を運転する方法であって、
(a)所定水位までタンクに水を加えるステップと、
(b)水が前記水タンクから最後に注出された時からの時間を監視するステップと、
(c)監視した前記時間が所定時間に達していれば、前記タンク内の水がバクテリアの成長が起きない温度よりも高い所定温度に冷えるまで、前記タンクから水加熱エネルギを排除すると共に、前記タンク内の水の温度を実質的に前記所定温度に維持するように前記タンク内の水に十分な熱を加えるステップとを含む方法を提供している。
【0021】
前記所定温度は実質的に64℃であることが好ましい。
【0022】
前記所定時間は実質的に2又は4時間であることが好ましい。
【0023】
前記方法はまた、好ましくは、水が注出されたことを検知した際に前記温水器を全出力運転に戻すステップも含んでいる。
【0024】
第4の形態において、本発明は、温水器であって、
水タンクと、
該水タンクから水が注出された時点を検知する手段と、
水が前記水タンクから最後に注出された時からの時間を監視するタイマーと、
前記水タンク内の水の温度を計測する手段と、
前記水タンク内の水を加熱する加熱手段と、
を含んでおり、監視した前記時間が所定時間に達していれば、前記タンク内の水がバクテリアの成長が起きえない温度よりも高い所定温度に冷えるまで、前記加熱手段からエネルギを排除し、その後、前記加熱手段は、前記タンク内の水の温度を実質的に前記所定温度に維持するように前記タンク内の水に十分な熱を加える、温水器を提供している。
【0025】
前記所定温度は好適には実質的に64℃である。
【0026】
好ましくは、前記所定時間は、実質的に2又は4時間であり、最も好ましくは、ユーザーのオプションである。
【0027】
前記温水器は、水が注出されたことを検知した際に全出力運転に戻るよう適応していることが好ましい。
【0028】
前記温水器はまた、前記タイマー及び/又は前記検知する手段及び/又は前記温度を計測する手段からの入力に応答して前記加熱手段を制御するように適応したコントローラを含むのが好ましい。
【0029】
第5の形態において、本発明は、温水器を運転する方法であって、
(a)所定水位までタンクに水を加えるステップと、
(b)第1の所定水温に達するまで第1のエネルギレベルで前記水に熱を加えるステップと、
(c)前記第1の所定水温よりも高い第2の所定水温に達するまで、前記第1のエネルギレベルよりも低い第2のエネルギレベルで前記水に熱を加えるステップと、
を含む方法を提供している。
【0030】
この方法は、好ましくは、前記第2の所定水温よりも高い第3の所定水温に達するまで、前記第2のエネルギレベルよりも低い第3のエネルギレベルで前記水に熱を加えるステップも含んでいる。
【0031】
前記方法は、好ましくは、前記第3の所定水温よりも高い第4の所定水温に達するまで、前記第3のエネルギレベルよりも低い第4のエネルギレベルで前記水に熱を加えるステップも含んでいる。
【0032】
前記第1のエネルギレベルは前記温水器の全電力容量(full power capacity)であることが好ましい。
【0033】
前記第1の所定水温は前記温水器の所望の運転温度よりも実質的に2℃低いことが好ましい。
【0034】
好ましくは、前記第2のエネルギレベルは前記温水器の前記全電力容量の実質的に50%である。
【0035】
前記第2の所定水温は前記温水器の所望の運転温度よりも実質的に1℃低いことが好ましい。
【0036】
前記第3のエネルギレベルは前記温水器の前記全電力容量の実質的に25%であることが好ましい。
【0037】
前記第3の所定水温は前記温水器の所望の運転温度よりも実質的に.5℃低いことが好ましい。
【0038】
前記第4のエネルギレベルは前記温水器の前記全電力容量の実質的に10%であることが好ましいく、また、前記第4のエネルギレベルはパルスになって供給されるのが好ましい。
【0039】
第6の形態において、本発明は、温水器であって、
水タンクと、
該水タンク内の水の温度を計測する手段と、
該水タンク内の水に選択的に可変の熱を加えるように適応した調節可能な加熱手段と、を含み、前記加熱手段は、第1の所定水温に達するまで第1のエネルギレベルで作動し、その後、前記加熱手段は、前記第1の所定水温よりも高い第2の所定水温に達するまで、前記第1のエネルギレベルよりも低い第2のエネルギレベルで作動する、温水器を提供している。
【0040】
前記加熱手段は、前記第2の所定水温よりも高い第3の所定水温に達するまで、前記第2のエネルギレベルよりも低い第3のエネルギレベルで作動するようにも適応しているのが好ましい。
【0041】
前記加熱手段は、前記第3の所定水温よりも高い第4の所定水温に達するまで、前記第3のエネルギレベルよりも低い第4のエネルギレベルで作動するようにも適応しているのが好ましい。
【0042】
好ましくは、前記第1のエネルギレベルは前記温水器の全電力容量である。
【0043】
前記第1の所定水温は前記温水器の所望の運転温度よりも実質的に2℃低いことが好ましい。
【0044】
前記第2のエネルギレベルは前記温水器の前記全電力容量の実質的に50%であることが好ましい。
【0045】
前記第2の所定水温は前記温水器の所望の運転温度よりも実質的に1℃低いことが好ましい。
【0046】
前記第3のエネルギレベルは前記温水器の前記全電力容量の実質的に25%であることが好ましい。
【0047】
前記第3の所定水温は前記温水器の所望の運転温度よりも実質的に.5℃低いことが好ましい。
【0048】
前記第4のエネルギレベルは前記温水器の前記全電力容量の実質的に10%であることが好ましく、また、前記第4のエネルギレベルはパルスになって供給されることが好ましい。
【0049】
前記温水器は、前記温度を計測する手段からの入力に応答して前記加熱手段を制御するように適応したコントローラも含んでいることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
次に、添付図面を参照して、単なる一例として本発明の好適な実施形態について説明する。
【0051】
図1〜図3を参照すると、本発明による沸騰式温水器10の実施形態が示されている。この温水器10は、水タンク12と、外側ケース14と、それらの間にある絶縁体16とを有している。水タンク12の内部には電気加熱要素18があり、これは、下方のコイル状端部18aと、第1、第2、第3の水位センサ20,22,24とを有している。温水器10はまた、3つの水位センサ20,22,24のための取付ブロック26を含んでいる。
【0052】
また、温水器10は、3つの水位センサ20,22,24と、水タンク12内の温度センサ(図示せず)と、タイマーと、多数のその他の要素とに接続されるPCBコントローラ(図示せず)を有している。該コントローラは、3つの水位センサ20,22,24及び温度センサから受け取った信号に応答して加熱コイルである加熱要素18へのエネルギ供給を制御することができる。
【0053】
温水器10は、入口エルボ30を備えた水入口パイプ28も含んでいる。エルボ30、従って、パイプ28は、同様にコントローラにより制御される電磁作動式入口弁(図示せず)を介して本管からの水を供給される。また、温水器10は、同様にコントローラにより制御される電磁作動式出口弁と、明瞭にするため図1〜図3に示していない出口パイプとを含んでいる。
【0054】
温水器10のための運転水温を決定する(即ち、較正する)方法について、以下に、該方法の基本的なステップ40,42,44及び46を表す図4に関して説明することにする。
【0055】
方法の第1ステップ40は、温水器10を据え付けた後に起こり、水位が第1水位センサ20のレベルに達するまで水タンク12に水32を注ぐことを含む。この水32の量は加熱要素18のコイル状端部18aを水没させるのに十分である。
【0056】
ステップ42に示したように、その後、コントローラは、加熱要素18に通電して水を95℃まで加熱し、次いでステップ44に示すように、水タンク12を熱で飽和させるために120秒間にわたりこの温度に水32を維持する。
【0057】
ステップ46に示したように、この飽和期間の終わりの時点で、水32は、90秒の時間で沸点まで加熱され、コントローラ26は、到達した最高水温を記録しておく。加熱要素18は90秒の期間の終了前に水32を沸騰させうること、及びしかし沸騰水の温度は全ての水が沸騰して蒸発するまでに一定に留まることに注目することが重要である。
【0058】
90秒の期間が終わる時点で、コントローラは、温水器10が据え付けられた大気条件についての沸点である到達した最高温度を呼び出す。次いでコントローラは、運転温度又は温水器10の設定点を測定した沸点の1.5度下に設定する。
【0059】
この較正プロセスが行われたときに、温水器10は、次いで充填と加熱を続けるであろう。具体的には、コントローラは弁32を開き、水タンク12が第2水位センサ24(図2参照)に達するまで、水タンク12内の水32が設定温度よりも2℃低くなるのを許容しない制御された速度で水タンク12内に水を満たす。水30が設定点温度に達したとき、入口弁32を開いて、水の温度が設定点よりも3℃低下するような時点まで、水が水タンク12に入るのを可能にする。水がいかなる時点でも設定点よりも3℃より大きく低下すれば、入口弁30は閉じられ、温水器10は設定点温度まで加熱するのを可能とされる。この充填期間中、コントローラは、加熱要素に通電して100%の出力で作動させる。
【0060】
上述した較正方法から生まれる多数の利点がある。第1に、温水器毎の性能が常に一致している。第2に、温水器で利用されている温度測定装置が安定している限り、該装置の厳格な精度は重要ではない。第3に、実際の沸点に対する温水器の性能は常に一致している。第4に、実際の沸点は温水器により最初に決定されるので、運転水温は、常に実際の沸点に非常に近く維持される。第5に、異なる大気条件を有する異なる場所で最適性能を得るためにどんな性能の妥協も必要とされない。第6に、最適性能を実現するために何ら外的調節が必要とされず、また、最適性能のために何ら熟練したサービス技術者が必要とされない。上述した種々の利点は、また、ユーザーに対するコストを低下させ、過沸騰状態が防止されるのでエネルギ消費を減少させ、総合的な顧客満足度を改善させることになる。
【0061】
エネルギ節約モード又は節電モードで温水器10を運転する方法について、該方法の基本的ステップ50,52及び54を表す図5を参照して以下に説明する。
【0062】
ステップ50に示すように、温水器10の通常運転中、コントローラは温水出口弁(図示せず)に通電された時からの時間の長さを監視している。具体的には、コントローラは、選択された設定次第である弁不作動の期間が2時間であるか4時間であるかを監視する。
【0063】
ステップ52に示すように、温水出口弁が選択された時間の間不作動であったとすると、エネルギが加熱要素18から取り去られて、水タンク12内の水の温度が約64℃に低下するまで、温水器10を、即ち、それをエネルギ節約モード(節電モード)にする。
【0064】
ステップ54に示すように、水温が一旦64℃に達したら、電力は、水温を約64℃に維持するのに十分な率のパルスにして加熱要素18に送られる。しかしながら、また、ステップ56に示すように、温水出口弁に通電されれば、節電モードが取り消され、加熱要素18に通電されて、水32をその運転設定点に戻す。典型的には、水32は約2〜3分以内に好適な運転温度に達するであろう。
【0065】
上述した節電モードの利点は次の通りである。第1に、プログラム可能なタイマーは何ら必要ない。第2に、外部からの影響は何ら必要ない。第3に、システムはユーザーに対してはるかに適応性がある。第4に、エネルギ節約は、エネルギコスト及び環境における温室効果ガスの減少の双方に対する効果を伴って実現される。最後に、水がバクテリアの繁殖を起こさせうる温度まで冷めるのを許容しないので、健康問題が損なわれることがない。
【0066】
温水器10はまた、以下に述べるようにエネルギ節約の向上になる通常運転モードも有している。
【0067】
前述したように、水が沸騰されるとき、水の温度は、水を沸騰させながら一定のままである。また、所望の温度に達したことをコントローラが認識し、加熱要素への電力を停止したとき、ヒステリシスのため、加熱要素からの残留熱が過沸騰、従って、エネルギ消耗を生じさせる。これは、コントローラの応答時間遅れにより更に面倒になりうる。
【0068】
温水器10において、コントローラは、水の温度が所定運転温度に近づいている時点を認識し、加熱要素18へ供給されるエネルギを減少させ始める。言い換えれば、水32が沸騰温度に接近すればするほど、エネルギ入力は少なくなる。
【0069】
具体的には、水タンク12が第2水位センサ22(図2参照)まで満たされたときに、コントローラは、水タンク12内の水32が設定点から2℃の範囲内に加熱されるまで加熱要素18に全電力を供給する。この点で、加熱要素18に供給される電力はその最大容量の50%に減少する。これは温水器10が過剰に蒸気を排出するのを防止する。
【0070】
更に、水タンク12が第3水位センサ24(図3参照)まで満たされたときに、入口弁は20秒間開いたままになる。これは、水タンク12の若干の過充填を認めると共に、蒸発又は水の擾乱による弁32の有害運転を防止する。加熱要素18はまた、最大の25%で作動するよう設定されると共に、設定点温度に達するまでこの設定に維持される。最後に、水温が設定点から0.5℃の範囲内であるときに、加熱要素18に供給される電力は、その最大容量の10%まで減少されると共に、水温を設定点に保持するべくパルスになって供給される。
【0071】
これにより生じる利点は次の通りである。第1に、この方法は運転状態でのより精確な温度制御を可能にする。第2に、温水器は電力消費を減少させた。過沸騰を最小にすることにより結果として、蒸気発生が少なくなり、資源の消耗が最少になり、温水器の静かな運転になる。
【0072】
好適な実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者には明らかなように、本発明は多くの他の形態で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】初期充填中の、本発明による温水器の実施形態の部分斜視図である。
【図2】中間充填中の、図1に示した温水器の部分斜視図である。
【図3】一杯になったときの、図1に示した温水器の部分斜視図である。
【図4】図1に示した温水器の運転温度較正に関係した論理図である。
【図5】図1に示した温水器の節電モードに関係した論理図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沸騰式温水器の運転水温を決定する方法であって、
(a)所定水位までタンクに水を加えるステップと、
(b)前記タンク内の水を95℃前後に加熱するステップと、
(c)前記タンク内の水の沸騰を第1の所定期間内に生じさせるように前記タンク内の水に十分な熱を加えるステップと、
(d)前記タンク内の水の沸騰水温を計測するステップと、
(e)前記ステップ(d)で計測した前記沸騰水温から所定温度を減じて前記運転水温を定めるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記ステップ(b)及び(c)の間に第2の所定期間にわたり前記タンク内の水を95℃前後に維持するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1及び第2の所定期間はそれぞれ実質的に90秒及び120秒である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(e)において減じた前記所定温度は1.5℃である、請求項1,2又は3に記載の方法。
【請求項5】
運転水温を決定するのに適応した温水器であって、
水タンクと、
該水タンク内の水の水温を計測する手段と、
タイマーと、
前記水タンク内の水を95℃前後に加熱するのに適応した加熱手段であって、該加熱手段は、前記タンク内の水の沸騰を第1の所定期間内に生じさせるように前記タンク内の水に十分な熱を加えるようにも適応している、前記加熱手段と、
を含んでおり、前記水の前記運転水温は、計測した沸騰水温から所定温度を引いたものである、温水器。
【請求項6】
前記加熱手段は、該加熱手段が前記タンク内の水の沸騰を第1の所定期間内に生じさせるように前記タンク内の水に十分な熱を加える前に、第2の所定期間にわたり前記タンク内の水を95℃前後に維持するようにも適応している、請求項5に記載の温水器。
【請求項7】
前記第1及び第2の所定期間はそれぞれ実質的に90秒及び120秒である、請求項6に記載の温水器。
【請求項8】
引いた前記所定温度は1.5℃である、請求項5,6又は7に記載の温水器。
【請求項9】
前記温水器はまた、前記タイマー及び/又は前記温度を計測する手段からの入力に応答して前記加熱手段を制御するように適応したコントローラを含む、請求項5〜8のいずれか1項に記載の温水器。
【請求項10】
温水器を運転する方法であって、
(a)所定水位までタンクに水を加えるステップと、
(b)水が前記水タンクから最後に注出された時からの時間を監視するステップと、
(c)監視した前記時間が所定時間に達していれば、前記タンク内の水がバクテリアの成長が起きない温度よりも高い所定温度に冷えるまで、前記タンクから水加熱エネルギを排除すると共に、前記タンク内の水の温度を実質的に前記所定温度に維持するように前記タンク内の水に十分な熱を加えるステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記所定温度は実質的に64℃である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記所定時間は実質的に2又は4時間である、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法はまた、水が注出されたことを検知した際に前記温水器を全出力運転に戻すステップも含んでいる、請求項10,11又は12に記載の方法。
【請求項14】
温水器であって、
水タンクと、
該水タンクから水が注出された時点を検知する手段と、
水が前記水タンクから最後に注出された時からの時間を監視するタイマーと、
前記水タンク内の水の温度を計測する手段と、
前記水タンク内の水を加熱する加熱手段と、
を含んでおり、監視した前記時間が所定時間に達していれば、前記タンク内の水がバクテリアの成長が起きえない温度よりも高い所定温度に冷えるまで、前記加熱手段からエネルギを排除し、その後、前記加熱手段は、前記タンク内の水の温度を実質的に前記所定温度に維持するように前記タンク内の水に十分な熱を加える、温水器。
【請求項15】
前記所定温度は実質的に64℃である、請求項14に記載の温水器。
【請求項16】
前記所定時間は実質的に2又は4時間である、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記温水器は、水が注出されたことを検知した際に全出力運転に戻るよう適応している、請求項14,15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記温水器はまた、前記タイマー及び/又は前記検知する手段及び/又は前記温度を計測する手段からの入力に応答して前記加熱手段を制御するように適応したコントローラを含む、請求項14〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
温水器を運転する方法であって、
(a)所定水位までタンクに水を加えるステップと、
(b)第1の所定水温に達するまで第1のエネルギレベルで前記水に熱を加えるステップと、
(c)前記第1の所定水温よりも高い第2の所定水温に達するまで、前記第1のエネルギレベルよりも低い第2のエネルギレベルで前記水に熱を加えるステップと、
を含む方法。
【請求項20】
前記方法は、前記第2の所定水温よりも高い第3の所定水温に達するまで、前記第2のエネルギレベルよりも低い第3のエネルギレベルで前記水に熱を加えるステップも含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、前記第3の所定水温よりも高い第4の所定水温に達するまで、前記第3のエネルギレベルよりも低い第4のエネルギレベルで前記水に熱を加えるステップも含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のエネルギレベルは前記温水器の全電力容量である、請求項19,20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の所定水温は前記温水器の所望の運転温度よりも実質的に2℃低い、請求項19〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記第2のエネルギレベルは前記温水器の前記全電力容量の実質的に50%である、請求項19〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の所定水温は前記温水器の所望の運転温度よりも実質的に1℃低い、請求項19〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記第3のエネルギレベルは前記温水器の前記全電力容量の実質的に25%である、請求項20〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記第3の所定水温は前記温水器の所望の運転温度よりも実質的に.5℃低い、請求項20〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記第4のエネルギレベルは前記温水器の前記全電力容量の実質的に10%である、請求項21〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記第4のエネルギレベルはパルスになって供給される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
温水器であって、
水タンクと、
該水タンク内の水の温度を計測する手段と、
該水タンク内の水に選択的に可変の熱を加えるように適応した調節可能な加熱手段と、
を含み、前記加熱手段は、第1の所定水温に達するまで第1のエネルギレベルで作動し、その後、前記加熱手段は、前記第1の所定水温よりも高い第2の所定水温に達するまで、前記第1のエネルギレベルよりも低い第2のエネルギレベルで作動する、温水器。
【請求項31】
前記加熱手段は、前記第2の所定水温よりも高い第3の所定水温に達するまで、前記第2のエネルギレベルよりも低い第3のエネルギレベルで作動するようにも適応している、請求項30に記載の温水器。
【請求項32】
前記加熱手段は、前記第3の所定水温よりも高い第4の所定水温に達するまで、前記第3のエネルギレベルよりも低い第4のエネルギレベルで作動するようにも適応している、請求項31に記載の温水器。
【請求項33】
前記第1のエネルギレベルは前記温水器の全電力容量である、請求項30,31又は32に記載の温水器。
【請求項34】
前記第1の所定水温は前記温水器の所望の運転温度よりも実質的に2℃低い、請求項30〜33のいずれか1項に記載の温水器。
【請求項35】
前記第2のエネルギレベルは前記温水器の前記全電力容量の実質的に50%である、請求項30〜34のいずれか1項に記載の温水器。
【請求項36】
前記第2の所定水温は前記温水器の所望の運転温度よりも実質的に1℃低い、請求項30〜35のいずれか1項に記載の温水器。
【請求項37】
前記第3のエネルギレベルは前記温水器の前記全電力容量の実質的に25%である、請求項31〜36のいずれか1項に記載の温水器。
【請求項38】
前記第3の所定水温は前記温水器の所望の運転温度よりも実質的に.5℃低い、請求項31〜37のいずれか1項に記載の温水器。
【請求項39】
前記第4のエネルギレベルは前記温水器の前記全電力容量の実質的に10%である、請求項32〜38のいずれか1項に記載の温水器。
【請求項40】
前記第4のエネルギレベルはパルスになって供給される、請求項39に記載の温水器。
【請求項41】
前記温水器は、前記温度を計測する手段からの入力に応答して前記加熱手段を制御するように適応したコントローラも含んでいる、請求項30〜40のいずれか1項に記載の温水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−529708(P2007−529708A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503146(P2007−503146)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000286
【国際公開番号】WO2005/088205
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(506310256)ジップ インダストリーズ (オーストラリア) プロプライアタリー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】