説明

温水洗浄便座の漏水検出装置

【課題】水位検出器の検出により電磁弁を開閉して温水タンク内に所定水位の水を溜める
温水洗浄便座において、温水タンクからの漏水があった場合や、電磁弁から温水タンクま
での配管から漏水があった場合は、温水タンク内の温水レベルの低下速度は、自然低下に
おける場合よりもかなり速く、頻繁に電磁弁がON/OFFするようになり、電磁弁の耐
久性の低下と共に、頻繁に水道水が温水タンク内へ供給され温水温度が低下してヒータに
よる加熱時間も長くなり、省エネルギーの点からも好ましくない。本発明は、これを解決
するものである。
【解決手段】基準の給水動作間隔に対して、電磁弁による給水動作間隔が短い場合、制御
部によって漏水と判定し、その判定出力によって報知部を動作させて所定の報知を行なう
こと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水配管に接続された導水管を通って供給される水道水が、温水タンクに
よって加熱され洗浄ノズルから噴出して、便座に着座した人の部位を洗浄する温水洗浄便
座に関し、特に、上水道水が温水タンクへ供給される配管からの漏水を検出する漏水検出
装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温水洗浄便座用の温水を溜めるためにヒータを内蔵した温水タンクを備え、この温水タ
ンクは、水道水が電磁弁と減圧弁を通って供給され、温水タンク内の温水を洗浄ノズルか
ら噴射して、肛門やビデ等の局部洗浄用として使用することは周知である。(例えば、特
許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−98615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1の形態では、おしり洗浄時またはビデ洗浄時には、電磁弁を開いて水道
水を温水タンク内へ供給することにより、温水タンクを通して掛かる水道水圧によって、
おしり洗浄ノズルまたはビデ洗浄ノズルを進出させ、先端のノズル口から温水を噴出する

【0005】
温水タンク内の温水温度は、ヒータによる加熱量を制御するために、使用者が設定スイ
ッチによって略40℃などの任意の温度に設定できるようになっている。長時間に亘り温
水洗浄座を使用しないときは、このように加温された温水の自然蒸発によって温水レベル
が低下する。これは、蒸発した蒸気が温水タンク内の上壁に付着し、また温水タンクに安
全のために設けた負圧弁を通して、温水タンク内に空気が流入する際に、温水タンク内の
蒸発した蒸気が外部へ排出されることによる。
【0006】
温水タンク内の温水レベル(水位)は、温水レベルに応じて上下動するフロートスイッ
チによって検出し、減少して所定の下限レベルに達したとき、電磁弁を開いて水道水を温
水タンク内へ供給し、所定の上限レベルに達したとき電磁弁を閉じる制御になっている。
温水タンクや、電磁弁から温水タンクまでの配管からの漏水がない場合は、上記の蒸発に
よる温水レベルの自然低下であり、前記下限レベルに減少するまでは、長時間かかる。し
かし、温水タンクからの漏水があった場合や、電磁弁から温水タンクまでの配管から漏水
があった場合は、温水タンク内の温水レベル(水位)の低下速度は、前記自然低下におけ
る温水レベル(水位)の低下速度よりもかなり速くなり、頻繁に電磁弁がON/OFFす
るようになる。
【0007】
このため、電磁弁の耐久性の低下も問題になると共に、頻繁に水道水が温水タンク内へ
供給されるため、温水温度が低下してヒータによる加熱時間も長くなり、省エネルギーの
点からも好ましくない状況となる。本発明では、このような点に鑑み、漏水を速やかに検
知して修理などの対処を促すようにすると共に、電磁弁の耐久性の低下防止及び省エネル
ギーの改善となる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明は、給水配管にて供給される水道水をシーズヒータによって加熱する温水タン
クと、前記温水タンク内の水位を検出する水位検出器と、前記給水配管を開閉して前記水
道水の供給を制御する電磁弁を備え、前記水位検出器の水位検出により前記電磁弁を開閉
して前記温水タンク内に所定水位の水を溜める温水洗浄便座において、基準の給水動作間
隔に対して、前記電磁弁による給水動作間隔が短い場合、制御部によって漏水と判定し、
その判定出力によって報知部を動作させて所定の報知を行なうことを特徴とする。
【0009】
第2発明は、給水配管にて供給される水道水をシーズヒータによって加熱する温水タン
クと、前記温水タンク内の水位を検出する水位検出器と、前記給水配管を開閉して前記水
道水の供給を制御する電磁弁を備え、前記水位検出器の水位検出により前記電磁弁を開閉
して前記温水タンク内に給水して所定水位の水を溜める温水洗浄便座において、所定時間
内における前記給水の回数が所定回数以上のとき、制御部によって漏水と判定し、その判
定出力によって報知部を動作させて所定の報知を行なうことを特徴とする。
【0010】
第3発明は、第1発明において、前記給水動作間隔を、前記水位検出器が上限水位を検
出し再度上限水位を検出するまでの時間、または前記水位検出器が下限水位を検出し再度
下限水位を検出するまでの時間としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によって、温水タンクからの漏水があった場合や、電磁弁から温水タンクまでの
配管から漏水があった場合は、温水タンク内の温水レベル(水位)の低下速度は、自然低
下における温水レベル(水位)の低下速度よりもかなり速くなるため、電磁弁による給水
動作間隔による検知、温水レベルの低下速度による検知、所定時間内における電磁弁によ
る給水動作回数による検知によって、漏水検知をすることができ、速やかに漏水対処をす
ることができる。なお、電磁弁が給水動作する給水動作間隔を、水位検出器が上限水位を
検出する時間間隔、または水位検出器が下限水位を検出する時間間隔とすることにより、
漏水検出がし易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る温水洗浄便座を便器に取り付けた斜視図である。
【図2】図1の温水洗浄便座の本体ケース及び操作部の内部構成を一部破断により示す平面図である。
【図3】本発明に係る温水洗浄便座の制御回路図である。
【図4】本発明に係るノズルユニットNUと洗浄水切り替えユニットSUを組み合わせた状態の側面斜視図である。
【図5】本発明に係るノズルユニットNUと洗浄水切り替えユニットSUを組み合わせた状態の後方斜視図である。
【図6】本発明に係る洗浄水切り替えユニットを温水タンクの下面に取り付けた状態を上下方向で切断しその一部を拡大で示す断面図である。
【図7】本発明に係るノズルユニットNUを上下方向で切断しその一部を拡大で示す断面図である。
【図8】本発明に係る洗浄水切り替えユニットSUの分解斜視図である。
【図9】本発明に係る水位検出器であるフロートスイッチの構成図である。
【図10】本発明に係る漏水検知を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施例1]
本発明の実施例を先ず図1に基づき説明すると、1は洋式便器2の上に着脱可能に設置
された温水洗浄便座であり、本体ケース3に便座4の後部とこの便座4の上面を覆う便蓋
5の後部が軸支持され、便座4と便蓋5を上下方向に開閉自在に枢支している。本体ケー
ス3の一方の側面には給水管6を突設し、この給水管6にフレキシブルな配管ホース7を
接続していると共に、この配管ホース7は、分岐水栓8を介して上水を供給する市水等の
上水道管9に接続している。
【0014】
本体ケース3は、その一方の側面に、前方が上記便座4の側面に沿って延設された操作
部10を一体的に突設しており、操作部10は本体ケース3の一部分を構成する。操作部
10は、この操作部10の上面から操作される後述の複数のスイッチやこのスイッチによ
る動作状態を表示する表示部となるLEDを収納している。図示のものは操作部10が便
座4の側部に配置された構成であるが、操作をリモートコントロール方式とする場合は、
操作部10の部分がリモートコントローラとなる。
【0015】
図示の構成において、本体ケース3内には、図2に示す様に、主とした機能部品として
、便座4に着座した人の肛門やビデ等の被洗浄局部を洗浄するための温水をつくるための
温水タンク13と、この温水タンク13と給水管6とを接続する給水配管14と、給水配
管14に接続した電磁弁11と、給水配管14に接続した減圧弁12、温水洗浄ユニット
60と、脱臭機構16と、電気制御回路を取り付けた基板17とを収納配置している。な
お、本体ケース3内には、便座4と便蓋5を上下方向に開閉する電動機19、20が収容
されている。温水タンク13には、電磁弁11が開くことにより、配管ホース7及び給水
配管14を通って上水道管9の上水が、温水タンク13内の底部に供給される。温水タン
ク13に供給された水は、温水タンク13内に配置した温水ヒータ42で温水となる。
【0016】
脱臭機構16は、脱臭用触媒24と、脱臭ファン25と、ファンケース26にて主に構
成し、このファンケース26は、上記洋式便器2のボウル2Aに対向して開口した第1吸
気孔27と、本体ケース3内に開口した第2吸気孔28と、これらの吸気孔から吸引した
空気が上記脱臭用触媒24を通過した後、本体ケース3の外に排出する排気孔29とを設
けている。
【0017】
便座4は、図1に一部断面で示すように、便座4の裏側にアルミニウム箔4Aを介して
絶縁被覆された便座ヒータ41が取り付けられており、便座ヒータ41の発熱によって便
座4が加温される。
【0018】
操作部10は、図2に一部拡大で示すように、その中に絶縁性の操作基板18を水平状
態に収納し、この操作基板18には、各種の操作スイッチと、LED表示部が取り付けら
れている。この操作スイッチとして、おしり(肛門)洗浄開始スイッチ45、ビデ洗浄開
始スイッチ46、洗浄停止スイッチ44、洗浄水の水勢増減スイッチ47Pと47Q、温
水タンク13の温水温度調節スイッチ48、便座ヒータ41による便座2の温度を可変す
る便座温度調節スイッチ49等が設けられ、また、LED表示部として、水勢増減スイッ
チ47Pと47Qに対応して水勢の強中弱の状態を3段階で表示するLED47L、温水
温度調節スイッチ48に対応して温水温度を低中高の3段階で表示するLED48L、便
座温度調節スイッチ49に対応して便座温度を低中高の3段階で表示するLED49Lが
設けられている。なお、便座4と便蓋5を上下方向に開閉する電動機19、20をON・
OFFするスイッチ23、43とその押圧部分を前記操作スイッチ同様に操作部10に設
けている。
【0019】
操作部10の上面開口は、前記の各スイッチ及びLEDの対応部分に貫通孔を形成した
カバー板で覆われており、このカバー板の上面は、前記貫通孔を塞ぐようにこれらスイッ
チに対応する部分が可撓性を有し、且つ前記LEDに対応する部分が透光性を有するフィ
ルム10Fで覆われている。このため、これらスイッチ44、45、46、47Pと47
Q、48、49に対応するフィルム10Fの押圧部分44A、45A、46A、47Aと
47B、48A、49Aを押すことによって、対応するスイッチが作動する。電動機19
、20をON・OFFするスイッチ23、43の部分も同様である。
【0020】
温水タンク13内の水を加熱するための温水ヒータ42として、通電にて発熱するシー
ズヒータ42が温水タンク13内の底部に配設されている。温水タンク13の上壁には、
温水タンク13内の異常温度を検知してシーズヒータ42への通電回路を遮断する温度検
知部50と、温水タンク13内の温水レベル(洗浄水レベル)を検知することにより電磁
弁11を開閉制御して、温水タンク13内の温水レベル(洗浄水レベル)を所定レベルに
制御する水位検出器51と、温水タンク13内の圧力が外気圧よりも低くなったとき温水
タンク13内と外気を連通する負圧弁52を備えた気圧調整用パイプ53の取り付け部5
4が設けられている。実施例では、水位検出器51をフロートスイッチ51で示している
。温水タンク13内は、負圧弁52の作用によって外気と連通する以外は、外気と連通し
ないように気密構造である。また、温水タンク13内の温水温度は、温水モードにおいて
温水温度調節スイッチ48によって使用者が任意の設定温度に設定できる。温水モードに
おいてシーズヒータ42への通電を制御して、温水タンク13内の温水温度を前記設定温
度に維持するため、温水タンク13内の温水温度を検知するサーミスタ55が設けられて
いる。
【0021】
温水洗浄ユニット60は、おしり洗浄ノズル61と、ビデ洗浄ノズル62と、おしり洗
浄ノズル61を進出・退避動作を行なうように収容したおしり洗浄ノズル用ノズルケース
63と、ビデ洗浄ノズル62を進出・退避動作を行なうように収容したビデ洗浄ノズル用
ノズルケース64とを備えたノズルユニットNUと、温水タンク13から供給される温水
をおしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62のいずれに供給するかを切り替える切り替
え弁66を備えた洗浄水切り替えユニットSUとによって構成されている。
【0022】
ノズルユニットNUは、具体的には、おしり洗浄ノズル61の真下にビデ洗浄ノズル6
2が略平行線上に位置するように、それぞれ上下の平行配置のおしり洗浄ノズル用ノズル
ケース63とビデ洗浄ノズル用ノズルケース64に収容され、後述のように、温水タンク
13に掛かる水道水圧によって進出動作し、先端部のノズル口61A、62Aから温水を
噴出する構成である。おしり洗浄ノズル用ノズルケース63とビデ洗浄ノズル用ノズルケ
ース64は、合成樹脂で一体形成されてノズルケース体NCを構成している。
【0023】
おしり洗浄ノズル61は、合成樹脂製で円筒形等所定形状の筒状をなし、洗浄水である
温水が通る内部通路61Tは、先端部のノズル口61Aへ向けて次第に洗浄水の圧力が高
くなるように、先端に行くにしたがって次第に断面積S1が小さくなるように形成されて
いる。ビデ洗浄ノズル62は、おしり洗浄ノズル61と同様に、合成樹脂製で円筒形等所
定形状の筒状をなし、洗浄水である温水が通る内部通路62Tは、先端部のノズル口62
Aへ向けて次第に洗浄水の圧力が高くなるように、先端に行くにしたがって次第に断面積
S2が小さくなるように形成されている。おしり洗浄ノズル61と、ビデ洗浄ノズル62
と、おしり洗浄ノズル用ノズルケース63と、ビデ洗浄ノズル用ノズルケース64とを共
通形態にすることによって、ノズル先端部を除いて共通の筒状ノズル形態を採用できるた
め、全体として部品の共通化と、組み立ての容易さ、更にコストダウン化を図ることがで
きるものとなる。
【0024】
ノズルユニットNUの後端部には、洗浄水切り替えユニットSUから供給される温水が
、おしり洗浄ノズル用ノズルケース63へ導入される温水導入部63Bと、ビデ洗浄ノズ
ル用ノズルケース64へ導入される温水導入部64Bを形成している。具体的には、温水
導入部63Bと温水導入部64Bとを形成した導入部カバー86と、この導入部カバー8
6を覆うように取り付け部材87が、ネジ88にてノズルケース体NCの後端に取り付け
られている。これによって、おしり洗浄ノズル用ノズルケース63の後端の入口開口が、
温水導入部63Bと連通状態となり、また、ビデ洗浄ノズル用ノズルケース64の後端の
入口開口が、温水導入部64Bと連通状態となる。
【0025】
取り付け部材87は、ノズルユニットNUを本体ケース3内の固定基板(図示せず)に
ネジ89によって固定するために、取り付け部87Aを形成したものであるが、ノズルユ
ニットNUを本体ケース3内の固定基板にネジ89によって固定する部分を導入部カバー
86に形成できれば、取り付け部材87は不要である。
【0026】
上下配置のおしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62は、洋式便器2のボウル2A内
において、共に前方斜め下方に向けて進出し退避する向きの配置であり、本体ケース3に
便座4と便蓋5を取り付けた状態で、おしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62は、便
座4の左右間の中心線となる前後方向中心線上の配置となる。このため、便座4と便蓋5
を取り付けた本体ケース3を洋式便器2の上の所定位置にセットした状態では、便座4に
着座した人の肛門やビデ等の被洗浄局部に対して、真下または真下後方部からの温水噴出
が得られる。
【0027】
このため、上記水道水圧が掛からない状態においては、おしり洗浄ノズル61はコイル
バネ65Aによって、おしり洗浄ノズル用ノズルケース63内に退避した状態に保たれ、
上記水道水圧が掛かったときは、上記水道水圧をおしり洗浄ノズル61の後端に形成した
環状フランジの水受け部61Bが受けて、コイルバネ65Aを圧縮しつつおしり洗浄ノズ
ル61が進出し、水受け部61Bに取り付けたパッキン61Pが洗浄ノズル用ノズルケー
ス63内の停止部63Aに当接して、その進出が停止し、この位置が所定の進出位置とな
る。
【0028】
一方、ビデ洗浄ノズル62については、上記水道水圧が掛からない状態においては、ビ
デ洗浄ノズル62はコイルバネ65Bによってビデ洗浄ノズル用ノズルケース64内に退
避した状態に保たれ、上記水道水圧が掛かったときは、上記水道水圧をビデ洗浄ノズル6
2の後端に形成した環状フランジの水受け部62Bが受けて、コイルバネ65Bを圧縮し
つつビデ洗浄ノズル62が進出し、水受け部62Bに取り付けたパッキン62Pがビデ洗
浄ノズル用ノズルケース64内の停止部64Aに当接して、その進出が停止し、この位置
が所定の進出位置となる。
【0029】
洗浄水切り替えユニットSUは、切り替え弁66を回動駆動する電動機67と、切り替
え弁66を収容する弁室69を形成した合成樹脂製の弁室部材70と、切り替え弁66に
よって切り替えられるおしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72を形成した合成樹脂製
の切り替え通路部材73とが、ネジ74によって結合されて一体化された構成である。こ
れによって、弁室69が水密状態に保たれる。
【0030】
温水タンク13内の温水を導出するために、温水タンク13内に略垂直に立設した温水
導出パイプ15を設けている。温水導出パイプ15の上端開口15A(温水タンク13の
温水流出口)は、温水タンク13内の上壁との間に若干の間隔を存して位置している。図
示のものは、温水タンク13内の上壁が若干上方へ膨らんだ部分で、この上壁に近接する
位置に上端開口15Aが位置している。温水タンク13には、電磁弁11が開くことによ
り、配管ホース7及び給水配管14を通って上水道管9の上水が、温水タンク13内の底
部に供給され、温水ヒータ42で加熱されて温水となる。温水タンク13内の温水レベル
(洗浄水レベル)は、フロートスイッチ51の検出に基づき電磁弁11を開閉制御して、
温水タンク13内の温水レベル(洗浄水レベル)を所定レベルに制御する。この所定レベ
ルは、温水導出パイプ15の上端開口15A(温水タンク13の温水流出口)よりも若干
低いレベルである。
【0031】
後述のように、洗浄モードになると、温水タンク13内に上水道管9の上水を供給しつ
つ温水タンク13内の温水をおしり洗浄ノズル61またはビデ洗浄ノズル62から噴出す
る。この場合、温水になっていない上水がおしり洗浄ノズル61またはビデ洗浄ノズル6
2から噴出しないようにするために、温水導出パイプ15が立設されている。
【0032】
切り替え弁66は、水平軸上で正転・逆転の回動動作を行うように、電動機67の駆動
軸68に支持されて弁室69に収容されている。弁室部材70は、その上壁に形成した温
水導入口69Bに、温水導出パイプ15の下端の温水導出口が接続され、温水導出パイプ
15にて流下する温水が、温水導入口69Bから弁室69へ流入する。
【0033】
電動機67の駆動軸68は、電動機67の回転子から延びた軸68Aのみで形成しても
よいが、電動機67の汎用性から、電動機67の駆動軸68は、電動機67の回転子から
延びた軸68Aと、これに嵌め合わせて一体化した合成樹脂製の補助軸68Bとで構成し
ている。図6に示すように、電動機67の駆動軸68は、温水が漏れないようにシールパ
ッキン76によってシール状態で切り替え通路部材73を貫通し、その先端に切り替え弁
66を取り付けている。電動機67は、後述の制御回路30のパルス出力によってステッ
ピング動作をするものであり、ステッピングモータとも称する。
【0034】
組み立て及び修理交換の容易さを考慮して、切り替え弁66は、電動機67の駆動軸6
8の先端に、図6において左側から(図8においては右側から)嵌め合わせで取り付けら
れている。切り替え弁66によって切り替えられる温水の流れが、切り替え弁66に貫通
形成した弁通路66Aがおしり洗浄水通路71と連通した状態と、弁通路66Aがビデ洗
浄水通路72と連通した状態へ切り替えられるため、切り替え弁66が切り替え通路部材
73へ押し圧保持される必要がある。このため、切り替え弁66が回動可能であってその
支持が安定化するために、切り替え弁66を駆動軸68側に向けてコイルバネ79の押し
圧にて保持する構成を採用している。具体的には、切り替え弁66の駆動軸68とは反対
側は、弁室69の側壁(図6において弁室部材70の左壁)から駆動軸68方向に突出す
る支持軸77と、切り替え弁66から突出する支持軸78とに緩く嵌められたコイルバネ
79によって、切り替え弁66を駆動軸68側に向けて押し圧にて保持しており、電動機
67による正転・逆転の回動動作が円滑に行なわれる構成である。
【0035】
洗浄水切り替えユニットSUは、上記のように、電動機67と、弁室部材70と、切り
替え通路部材73とが、ネジ74によって結合されて一体化された構成である。この一体
化された状態で、洗浄水切り替えユニットSUは、温水タンク13の底面部にネジ80に
よって固定し、この状態で、温水導出パイプ15の下端が弁室69の温水導入口69Bに
連通接続される。この連通接続部からの温水防止のために、パッキン81が設けられてい
る。
【0036】
また、この一体化によって、弁室部材70と切り替え通路部材73との接合部から温水
が漏洩しないようにするために、この接合部がゴム製のシールパッキン82によってシー
ルされている。また、切り替え弁66によって温水の流れが、おしり洗浄水通路71へ切
り替えられた状態で、ビデ洗浄水通路72へ温水が入り込まないようにし、また、温水の
流れが、ビデ洗浄水通路72へ切り替えられた状態で、おしり洗浄水通路71へ温水が入
り込まないようにするために、おしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72の入口周縁に
、ゴム製のシールパッキン83A、83Bが取り付けられている。これによって、切り替
え弁66は、コイルバネ79によって切り替え通路部材73へ向けて押されるとき、切り
替え弁66の一方の面がシールパッキン83A、83Bに圧接され、この圧接状態におい
て、切り替え弁66は、温水の流れをおしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72とに切
り替え回動する。
【0037】
なお、切り替え弁66の一方の面がシールパッキン83A、83Bに圧接状態において
、切り替え弁66が、温水の流れをおしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72とに切り
替え回動する動作を安定化のために、シールパッキン83A、83Bと同一平面をなすよ
うに、切り替え通路部材73の凹部84A、84Bにそれぞれゴム製の当接部材85A、
85Bを嵌め込んでいる。
【0038】
温水洗浄ユニット60は、ノズルユニットNUと洗浄水切り替えユニットSUの温水通
路の接続のために、おしり洗浄水通路71は、その出口部71Aが可撓性パイプ75Aに
よって温水導入部63Bへ連通接続されている。また、ビデ洗浄水通路72は、その出口
部72Aが可撓性パイプ75Bによって温水導入部64Bへ連通接続されている。洗浄水
切り替えユニットSUは、上記のように、ネジ80によって温水タンク13の底面部に固
定され、温水タンク13は本体ケース3内の固定基板にネジ等によって固定される。また
、ノズルユニットNUは、本体ケース3内の固定基板にネジ89によって固定され、おし
り洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62が、便座4の左右間の中心線となる前後方向中心
線上の所定位置に保たれる。このようにして、温水洗浄ユニット60が所定位置にセット
される。
【0039】
図3は、制御手段となる制御回路30の構成を示すもので、商用電源31にマイクロコ
ンピュータを中心に構成した制御部32を接続し、かつこの制御部32の入力回路には上
記操作基板18を接続し、更に制御部32の入力回路には、上記便座4への着座を検出す
る着座スイッチ33と、便座4の温度を検出する便座用温度センサ35と、フロートスイ
ッチ51と、温水タンク13内の温水温度を検知するサーミスタ55が接続されている。
着座スイッチ33は、便座4に人が着座したときの重量で便座4が下降することにより作
動するスイッチや、便座4に着座した人を赤外線で検出する赤外線スイッチなどがある。
【0040】
制御部32は、タイマ、メモリ等を含み、所定のプログラムに従って、所定の動作を行
なうマイクロコンピュータ制御方式である。商用電源31には、上記制御部32の出力に
て各々動作するスイッチング素子21、22、36、37、38、39、40を介して、
それぞれ便座4の開閉電動機19、便蓋5の開閉電動機20、便座ヒータ41、温水タン
ク13内の水を加熱する温水ヒータ42、切り替え弁66を駆動する電動機67(洗浄モ
ータ67ともいう)、脱臭ファン25、及び電磁弁11を接続している。また、後述のよ
うに、制御部32は、漏水判定によって所定の報知を行なう報知部SSを接続している。
報知部SSは、単なるLEDの点灯または点滅による光報知でもよいが、漏水という事態
を考慮すれば、ブザーや音声による発音による報知が望ましい。また、この光報知と発音
による報知の併用でもよい。
【0041】
待機状態において、通常、接点が閉じている温度検知部50は、温水タンク13内の異
常温度を検知したとき開いて、温水ヒータ42の通電を遮断する。また、温水タンク13
内の水は、サーミスタ55の温度感知によって、制御部32が動作し、スイッチング素子
37が温水ヒータ42の通電のON・OFF動作を行い、温水温度が所定温度範囲に維持
される。温水タンク13内の温水レベル(洗浄水レベル)は、フロートスイッチ51の検
出によってスイッチング素子40が電磁弁11を開閉制御して、温水タンク13内の温水
レベル(洗浄水レベル)を所定レベルに制御する。この所定レベルは、温水導出パイプ1
5の上端開口15A(温水タンク13の温水流出口)よりも若干低いレベルである。
【0042】
また、待機状態において、切り替え弁66は、切り替え弁66の弁通路66A以外の面
が、おしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72の入口周縁のシールパッキン83A、8
3Bに当接しており、これによって、切り替え弁66は、温水タンク13内がおしり洗浄
水通路71とビデ洗浄水通路72のいずれとも連通しないように、おしり洗浄水通路71
とビデ洗浄水通路72の入口を塞ぎ、弁通路66Aがおしり洗浄水通路71とビデ洗浄水
通路72のいずれとも連通せず遮断状態である。
【0043】
このような待機状態において、制御部32は、スイッチ43のONにて電動機20にて
便蓋5が上方向に開く。そして、着座スイッチ33により便座4への人体の着座を検出す
ると、スイッチング素子39を通電して脱臭ファン25を回転する。この着座状態におい
て、おしり(肛門)洗浄開始スイッチ45が押されておしり(肛門)洗浄指令が発せられ
、またはビデ洗浄開始スイッチ46が押されてビデ洗浄指令が発せられると、制御部32
はスイッチング素子38、40を適宜作動して、洗浄モータ67の作動にて切り替え弁6
6を回動駆動すると共に電磁弁11が開く。電磁弁11が開くことにより、水道管9から
給水配管14を通って、上水の水圧が温水タンク13内に掛かり、温水タンク13内底部
に上水が供給されつつ、温水タンク13内の温水が温水導出パイプ15の上端開口15A
(温水タンク13からの温水流出口)から温水導出パイプ15へ流出し、弁室69へ供給
される。
【0044】
この場合、おしり(肛門)洗浄開始スイッチ45が押されている場合は、洗浄モータ6
7の作動にて切り替え弁66がシールパッキン83A、83Bと当接部材85A、85B
に当接した状態で回動し、切り替え弁66の弁通路66Aがおしり洗浄水通路71と連通
した状態で洗浄モータ67が停止する。これによって、上水の水圧によって弁室69へ供
給された温水は、弁通路66Aとおしり洗浄水通路71を通り、その出口部71Aから可
撓性パイプ75Aを通って温水導入部63Bへ流入する。温水導入部63Bへ流入した温
水の水圧は、コイルバネ65Aによって退避位置(図7に示す位置)にあるおしり洗浄ノ
ズル61の水受け部61Bに作用して、コイルバネ65Aを圧縮しつつおしり洗浄ノズル
61を進出させ、パッキン61Pが停止部63Aに当接して、その進出が停止し、この進
出位置で、洗浄水である温水は、水圧受け部61Bの中心孔を通過しておしり洗浄ノズル
61の内部通路61Tに流入し、先端のノズル口61Aから噴出する温水によって、おし
り(肛門)が洗浄される。
【0045】
そして、洗浄停止スイッチ44が押されてONすることにより、制御部32が動作し、
スイッチング素子38、40が動作して、洗浄モータ67の作動にて切り替え弁66を待
機位置へ戻すと共に、電磁弁11を閉じる。電磁弁11が閉じることにより、上水の水圧
が温水タンク13内に掛からなくなり、ノズル口61Aからの温水の噴出が停止すると共
に、コイルバネ65Aによっておしり洗浄ノズル61がおしり洗浄ノズル用ノズルケース
63内に退避した状態(図7に示す位置)に復帰する。
【0046】
また、上記において、おしり(肛門)洗浄開始スイッチ45ではなく、ビデ洗浄開始ス
イッチ46が押されている場合は、洗浄モータ67の作動にて切り替え弁66がシールパ
ッキン83A、83Bと当接部材85A、85Bに当接した状態で回動し、切り替え弁6
6の弁通路66Aがビデ洗浄水通路72と連通した状態で洗浄モータ67が停止する。こ
れによって、上水の水圧によって弁室69へ供給された温水は、弁通路66Aとビデ洗浄
水通路72を通り、その出口部72Aから可撓性パイプ75Bを通って温水導入部64B
へ流入する。温水導入部64Bへ流入した温水の水圧は、コイルバネ65Bによって退避
位置にあるビデ洗浄ノズル62の水受け部62Bに作用して、コイルバネ65Bを圧縮し
つつビデ洗浄ノズル62を進出させ、パッキン62Pが停止部64Aに当接して、その進
出が停止し(図7に示す位置)、この進出位置で、洗浄水である温水は、水圧受け部62
Bの中心孔を通過してビデ洗浄ノズル62の内部通路62Tに流入し、先端のノズル口6
2Aから噴出する温水によって、ビデが洗浄される。
【0047】
そして、洗浄停止スイッチ44が押されてONすることにより、制御部32が動作し、
スイッチング素子38、40が動作して、洗浄モータ67の作動にて切り替え弁66を待
機位置へ戻すと共に、電磁弁11を閉じる。電磁弁11が閉じることにより、上水の水圧
が温水タンク13内に掛からなくなり、ノズル口62Aからの温水の噴出が停止すると共
に、コイルバネ65Bによってビデ洗浄ノズル62がビデ洗浄ノズル用ノズルケース64
内に退避した状態(上記おしり洗浄ノズル61の退避した状態と同様の状態)に復帰する

【0048】
図9には、水位検出器51の一つであるフロートスイッチ51の構成図である。フロー
トスイッチ51は、温水タンク13内に上下に延びたガイド棒51Cと、ガイド棒51C
の上限ストッパ51C1と下限ストッパ51C2間を温水タンク13内の水位に応じて上
下動するようにガイド棒51Cに支持したフロート51Aと、ガイド棒51Cの上部位置
に設けたリードスイッチ51Bで構成され、フロート51Aが温水タンク13内の水位に
応じて上下動することにより、フロート51Aに設けた磁石Mgがリードスイッチ51B
をON−OFF作動する構成である。フロートスイッチ51のON(またはOFF)にて
、即ち、フロート51Aの上限水位位置にて磁石Mgによってリードスイッチ51BがO
N(またはOFF)することによって、給水配管14に取り付けた電磁弁11を閉じ、フ
ロート51Aが下降して磁石Mgがリードスイッチ51Bから離れたとき、電磁弁11を
開くように制御して、温水タンク13内に所定量の水が供給されるようにする。
【0049】
温水洗浄便座1を洋式便器2に設置した当初から温水タンク13内の水を加熱する初期
加熱と待機状態について説明する。通常状態の動作として、温水洗浄便座1を洋式便器2
に設置した当初は、温水タンク13内は空である。また、フロート51Aは降下して磁石
Mgはリードスイッチ51Bから離れた状態であり、OFF(またはON)の状態である
。この状態で温水洗浄便座1側の電源プラグを電源コンセントに差し込むことによって、
制御部32の動作によって、スイッチング素子40が給水配管14に取り付けた電磁弁1
1に通電して給水配管14を開き、水道水が温水タンク13内に供給される。そして、温
水タンク13内の水位の上昇によってフロート51Aが上昇し、磁石Mgによってリード
スイッチ51BがON(またはOFF)したとき、制御部32の動作によって、スイッチ
ング素子40が電磁弁11をOFFして給水配管14を閉じ、温水タンク13内への水道
水の供給が停止する。このようにフロート51Aが上昇して磁石Mgによってリードスイ
ッチ51BがON(またはOFF)したことにより、制御部32の動作によって、スイッ
チング素子37がシーズヒータ42へ通電し、温水タンク13内の水が加熱される。
【0050】
この加熱によって上昇した水温が上限設定温度T3になれば、温水タンク13内の温水
温度を検知するサーミスタ55の検知に基づき制御部32の動作によって、シーズヒータ
42の通電回路をOFFする。おしり洗浄ノズル61またはビデ洗浄ノズル62による洗
浄がない場合は、自然による温度低下によって水温が下限設定温度t2になれば、サーミ
スタ55の検知に基づき制御部32が動作してスイッチング素子37によって、シーズヒ
ータ42の通電回路をONし、シーズヒータ42に通電されて発熱し、温水タンク13内
の水を加熱する。この加熱によって上昇した水温が上限設定温度t3になれば、サーミス
タ55の検知に基づき制御部32の動作によって、スイッチング素子37がシーズヒータ
42の通電回路をOFFする。このようなサイクル動作によって、温水タンク13内の水
温が所定の温度ts℃の温水に保たれる。
【0051】
おしり洗浄ノズル61またはビデ洗浄ノズル62による洗浄がない場合、即ち、洗浄待
機状態では、温水タンク13からの漏水や、電磁弁11から温水タンク13までの給水配
管14からの漏水がない場合には、蒸発による温水レベルの自然低下であり、温水タンク
13内の温水レベルのこの低下に伴ってフロート51Aは降下し、所定の下降時点で磁石
Mgはリードスイッチ51Bから離れた状態となり、リードスイッチ51BがOFF(ま
たはON)の状態となる。このときの温水レベルが、下限レベルである。この下限レベル
に達したことにより、制御部32の動作によって、スイッチング素子40が電磁弁11を
通電(ON)して給水配管14を開き、水道水が温水タンク13内に供給される。この供
給による温水レベルの上昇に伴って、フロート51Aが上昇し、所定の上昇時点で磁石M
gによってリードスイッチ51BがON(またはOFF)したとき、制御部32の動作に
よって、スイッチング素子40が電磁弁11を非通電(OFF)して給水配管14を閉じ
、温水タンク13内への水道水の供給が停止する。このときの温水レベルが、上限レベル
である。なお、上限レベルと下限レベルとの水位差は、フロート51Aが上下動するとき
、リードスイッチ51Bに磁石Mgが作用する時点と作用しなくなる時点とによって定め
ることができる。
【0052】
このように蒸発による温水レベルの自然低下の場合は、温水タンク13内の温水のレベ
ルが上限レベルから下限レベルに減少するまで長時間かかる。しかし、温水タンク13か
らの漏水があった場合や、電磁弁11から温水タンク13までの給水配管14から漏水が
あった場合は、温水タンク13内の温水レベル(水位)の低下速度は、自然低下における
温水レベル(水位)の低下速度よりもかなり速くなり、頻繁に電磁弁11がON/OFF
するようになる。
【0053】
このため、電磁弁11の耐久性の低下も問題になると共に、頻繁に水道水が温水タンク
13内へ供給されるため、温水温度が低下してシーズヒータ42による加熱時間も長くな
り、省エネルギーの点からも好ましくない状況となる。本発明では、このような点に鑑み
、漏水を速やかに検知するために、温水レベルの低下が、この自然低下によるものか、漏
水によるものかを区別した検知を行なう。この検知方式としては、電磁弁11による給水
動作間隔による検知、温水レベルの低下速度による検知、所定時間内における電磁弁11
による給水動作回数による検知などによって、漏水検知をすることができる。
【0054】
ここで、図10(イ)(ロ)に示すように、時刻t0時点で電磁弁11が開き、給水さ
れて温水タンク13内の温水のレベルが上限レベルに到達して、時刻t1時点で電磁弁1
1が閉じる。この状態において、蒸発により温水レベルが自然低下する場合と、漏水があ
る場合とについて説明する。
【0055】
先ず、温水レベルの低下速度による検知について説明する。図10(イ)に示すように
、時刻t1時点で電磁弁11が閉じてから、おしり洗浄ノズル61またはビデ洗浄ノズル
62による洗浄がない場合、即ち、洗浄待機状態において、蒸発により温水レベルが自然
低下して時刻t2で下限レベルに減少すれば、再び電磁弁11が開き、給水されて温水タ
ンク13内の温水のレベルが上限レベルに到達して、時刻t3で電磁弁11が閉じる。こ
の場合、時刻t0から時刻t2までの基準の給水動作間隔の時間を第1基準時間TS1と
し、時刻t1から時刻t3までの基準の給水動作間隔の時間を第2基準時間TS2とする
。この電磁弁11が2度開く時間TmとTn1が略同じであれば、第1基準時間TS1と
第2基準時間TS2は、略同じである。
【0056】
一方、漏水がある場合は、図10(ロ)に示すように、電磁弁11が時間Tmで開いた
後、第1基準時間TS1または第2基準時間TS2が経過する前に、時刻t4時点で電磁
弁11が開き、温水タンク13内の温水のレベルが上限レベルに到達して、時刻t5時点
で電磁弁11が閉じる。その後も漏水が継続して、時刻t6で下限レベルに減少すれば、
時刻t6時点で電磁弁11が開き、温水タンク13内の温水のレベルが上限レベルに到達
して、時刻t7時点で電磁弁11が閉じる。更に漏水が継続して、時刻t8で下限レベル
に減少すれば、時刻t8時点で電磁弁11が開き、温水タンク13内の温水のレベルが上
限レベルに到達して、時刻t9時点で電磁弁11が閉じる。この場合、時刻t0から時刻
t4までの時間を漏水時の第1動作時間TL1とし、時刻t1から時刻t5までの時間を
漏水時の第2動作時間TL2とする。この電磁弁11が2度開く時間TmとTn2が略同
じであれば、第1動作時間TL1と第2動作時間TL2は、略同じである。
【0057】
制御部32は、その内部に備えた判定手段の判定動作によって、第1基準時間TS1に
達する前に第1動作時間TL1となれば、漏水と判定して、報知部SSにて報知を行なう
。または、前記判定手段の判定によって、第2基準時間TS2に達する前に第2動作時間
TL2となれば、漏水と判定して、報知部SSにて報知を行なう。これは、漏水がない場
合は、温水タンク13内の温水のレベルが上限レベルから下限レベルに減少するまで長時
間かかるが、漏水がある場合は、温水タンク13内の温水のレベルが上限レベルから下限
レベルに減少するまでの時間が短くなることを意味する。即ち、漏水がない場合の電磁弁
11による基準の給水動作間隔TS1またはTS2と、漏水がある場合の電磁弁11によ
る給水動作間隔TL1またはTL2との時間比較(時間判定)によって、漏水か否かの判
定が行なわれることとなる。
【0058】
また、上記の時間判定で明らかなように、漏水がない場合は、温水タンク13内の温水
のレベルが上限レベルから下限レベルに減少するまで長時間かかるが、漏水がある場合は
、温水タンク13内の温水のレベルが上限レベルから下限レベルに減少するまでの時間が
短くなる。これは、漏水がない場合と漏水がある場合では、温水レベルの低下速度が異な
ることを意味しており、上記の時間判定によって、実質的に温水レベルの低下速度の相違
が判定でき、漏水か否かの判定が行なわれることとなる。
【0059】
次に、所定時間内における電磁弁11による給水動作回数により、漏水検知を行なう場
合について説明する。図10(イ)(ロ)に示すように、漏水がある場合は、第1基準時
間TS1に達する前、または第2基準時間TS2に達する前に、電磁弁11による給水動
作が複数回行なわれる。即ち、漏水がない場合は図10(イ)のように、第1基準時間T
S1または第2基準時間TS2内で1回の給水動作であるが、漏水がある場合は図10(
ロ)のように、第1基準時間TS1または第2基準時間TS2内で3回の給水動作が行な
われるため、漏水がない場合に比して漏水がある場合は、温水タンク13への給水回数が
多くなり、両者の給水回数に相違が生じる。このため、制御部32の判定手段により、所
定時間内(図10の実施例の場合は、TS1またはTS2)における給水回数が所定回数
以上(図10の実施例の場合は2回以上)のとき、漏水と判定して、報知部SSにて警報
するものである。
【0060】
このように、温水タンク13からの漏水や、電磁弁11から温水タンク13までの給水
配管14からの漏水がない場合には、温水タンク13内の温水レベルの低下は、蒸発によ
る自然低下である。このため、電磁弁11による給水動作間隔による検知、温水レベルの
低下速度による検知、または所定時間内における電磁弁11による給水動作回数による検
知によって、漏水を検知することにより、漏水が少ない段階での漏水検知ができることと
なり、漏水の検知精度が向上したものとなる。
【0061】
実施例では、水位検出器51がフロートスイッチ51であり、電磁弁11が給水動作し
再度給水動作するまでの時間TS1またはTL1の測定方式として、フロートスイッチ5
1が上限水位を検出した後、再度上限水位を検出するまでの時間とすることができる。ま
た他の方式として、フロートスイッチ51が下限水位を検出した後、再度下限水位を検出
するまでの時間TS2またはTL2とすることができる。
【0062】
具体的には、フロートスイッチ51が上限水位または下限水位を検出したとき、リード
スイッチ51BがOFFまたはONするため、この信号が制御部32に入力され、リード
スイッチ51BがOFFした後、再度OFFするまでの時間を測定し、または、リードス
イッチ51BがONした後、再度ONするまでの時間を測定し、この時間TL1またはT
L2と基準時間TS1またはTS2との実質的比較によって、この時間TL1またはTL
2が基準時間TS1またはTS2よりも短いとき、漏水と判定され報知部SSにて報知す
る。
【0063】
なお、基準時間TS1またはTS2は、予め温水洗浄便座1によって、漏水がない場合
の蒸発による自然低下のデータを複数収集し、その平均値を制御部32のメモリに基準時
間データとして格納し、上記待機状態において、制御部32にて漏水判定を行なえばよい

【0064】
また、上記では、基準の給水動作間隔としての基準時間TS1またはTS2は、漏水が
ない場合の蒸発による自然低下の場合の給水動作間隔の時間としたが、この給水動作間隔
よりも若干短く設定した任意の時間を基準の給水動作間隔としてもよい。この場合は、電
磁弁11による給水動作間隔が、この設定した基準の給水動作間隔より短ければ、制御部
によって漏水と判定し、その判定出力によって報知部を動作させて所定の報知を行なうよ
うに制御される。また、所定時間内における電磁弁11による給水動作回数による漏水判
定では、この所定時間を上記設定した基準の給水動作間隔の時間とし、この設定した基準
の給水動作間隔内の給水回数が所定回数以上のとき、漏水と判定して、報知部SSにて警
報するようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
上記実施例では、水位検出器51をフロートスイッチで示したが、電極式であっても同
様の作用効果を達成できる。上記温水洗浄便座は、温水タンク内に供給される水道水圧に
よって、おしり洗浄ノズルまたはビデ洗浄ノズルから前記温水タンク内の温水を噴出する
温水洗浄便座であり、上記実施例では、おしり洗浄ノズルとビデ洗浄ノズルが、温水タン
クに掛かる水道水圧によって進出動作し先端部のノズル口から温水を噴出する形態である
が、これに替わって、おしり洗浄ノズルとビデ洗浄ノズルが、それぞれのモータによって
進出・退避動作を行なうモータ式にも適用することができる。この場合、コイルバネ65
A、65Bは不要である。
【0066】
このモータ式の場合も、洗浄水切り替えユニットSUの構成及び動作は上記と同様であ
り、洗浄モータ67の作動にて切り替え弁66を回動駆動すると共に電磁弁11が開き、
おしり洗浄ノズル61またはビデ洗浄ノズル62から温水が噴出する通常動作に付いても
、上記と同様である。
【0067】
このため、電磁弁11が開くことにより温水タンク13内に水道水が供給される温水洗
浄便座において、おしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62が、それぞれのモータによ
って進出・退避動作を行なうモータ式の場合も含めて、本発明は、上記実施例に示した構
成に限定されず、種々の形態のものに適用できるものであり、本発明の技術範囲において
種々の形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0068】
1・・・・・温水洗浄便座
2・・・・・洋式便器
3・・・・・本体ケース
4・・・・・便座
5・・・・・便蓋
6・・・・・給水管
7・・・・・配管ホース
8・・・・・分岐水栓
9・・・・・上水道管
10・・・・操作部
11・・・・電磁弁
12・・・・減圧弁
13・・・・温水タンク
14・・・・給水配管
15・・・・温水導出パイプ
16・・・・脱臭機構
17・・・・基板
18・・・・操作基板
19・・・・電動機
20・・・・電動機
21・・・・スイッチング素子
22・・・・スイッチング素子
23・・・・電動機19のON・OFFスイッチ
30・・・・制御回路
31・・・・商用電源
32・・・・制御部
33・・・・着座スイッチ
35・・・・便座用温度センサ
36・・・・スイッチング素子
37・・・・スイッチング素子
38・・・・スイッチング素子
39・・・・スイッチング素子
40・・・・スイッチング素子
41・・・・便座ヒータ
42・・・・温水ヒータ
43・・・・電動機20のON・OFFスイッチ
44・・・・洗浄停止スイッチ
45・・・・おしり(肛門)洗浄開始スイッチ
46・・・・ビデ洗浄開始スイッチ
47P、47Q・・・・洗浄水の水勢増減スイッチ
48・・・・温水温度調節スイッチ
49・・・・便座温度調節スイッチ
50・・・・温度検知部
51・・・・水位検出器(フロートスイッチ)
51A・・・フロート
51B・・・リードスイッチ
51C・・・ガイド棒
51C1・・上限ストッパ
51C2・・下限ストッパ
52・・・・負圧弁
53・・・・明るさ検知センサ
54・・・・温水検知センサ
55・・・・温水温度検知用サーミスタ
60・・・・温水洗浄ユニット
61・・・・おしり(肛門)洗浄ノズル
61B・・・おしり(肛門)洗浄ノズルの水受け部
61A・・・おしり(肛門)洗浄ノズルのノズル口
61P・・・パッキン
62・・・・ビデ洗浄ノズル
62A・・・ビデ洗浄ノズルのノズル口
62B・・・ビデ洗浄ノズルの水受け部
62P・・・パッキン
63・・・・おしり(肛門)洗浄ノズル用ケース
63A・・・停止部
63B・・・温水導入部
64・・・・ビデ洗浄ノズル用ケース
64A・・・停止部
64B・・・温水導入部
65A・・・コイルバネ
65B・・・コイルバネ
66・・・・切り替え弁
67・・・・電動機
68・・・・電動機67の駆動軸
69・・・・弁室
69B・・・温水導入口
70・・・・弁室部材
71・・・・おしり洗浄水通路
71A・・・おしり洗浄水通路の出口部
72・・・・ビデ洗浄水通路
72A・・・ビデ洗浄水通路の出口部
73・・・・切り替え通路部材
74・・・・ネジ
75A・・・可撓性パイプ
75B・・・可撓性パイプ
77・・・・支持軸
78・・・・支持軸
79・・・・コイルバネ
82・・・・シールパッキン
83A・・・シールパッキン
83B・・・シールパッキン
85A・・・当接部材
85B・・・当接部材
87・・・・取り付け部材
90・・・・空気抜き通路
90A・・・空気抜き通路の出口部
91・・・・可撓性パイプ
NC・・・・ノズルケース体
NU・・・・ノズルユニット
SS・・・・報知部
SU・・・・洗浄水切り替えユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水配管にて供給される水道水をシーズヒータによって加熱する温水タンクと、前記温
水タンク内の水位を検出する水位検出器と、前記給水配管を開閉して前記水道水の供給を
制御する電磁弁を備え、前記水位検出器の水位検出により前記電磁弁を開閉して前記温水
タンク内に所定水位の水を溜める温水洗浄便座において、基準の給水動作間隔に対して、
前記電磁弁による給水動作間隔が短い場合、制御部によって漏水と判定し、その判定出力
によって報知部を動作させて所定の報知を行なうことを特徴とする温水洗浄便座の漏水検
出装置。
【請求項2】
給水配管にて供給される水道水をシーズヒータによって加熱する温水タンクと、前記温
水タンク内の水位を検出する水位検出器と、前記給水配管を開閉して前記水道水の供給を
制御する電磁弁を備え、前記水位検出器の水位検出により前記電磁弁を開閉して前記温水
タンク内に給水して所定水位の水を溜める温水洗浄便座において、所定時間内における前
記給水の回数が所定回数以上のとき、制御部によって漏水と判定し、その判定出力によっ
て報知部を動作させて所定の報知を行なうことを特徴とする温水洗浄便座の漏水検出装置

【請求項3】
前記給水動作間隔を、前記水位検出器が上限水位を検出し再度上限水位を検出するまで
の時間、または前記水位検出器が下限水位を検出し再度下限水位を検出するまでの時間と
したことを特徴とする請求項1に記載の温水洗浄便座の漏水検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−203162(P2010−203162A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50665(P2009−50665)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302071092)テガ三洋工業株式会社 (244)
【Fターム(参考)】