説明

温水洗浄便座装置の温風乾燥装置

【課題】
サーミスタの抵抗値が定格値を示す前の温風温度の検知を正確に行えるようにした、温水洗浄便座装置の温風乾燥装置の提供。
【解決手段】
乾燥スイッチの閉成により、ヒータへの通電がなされ、この通電に伴い前記ヒータにより暖められた空気が、送風ファンにより温風として便座に着座する使用者の臀部に乾燥のためにブローされるようにし、サーミスタにより検知された前記温風の温度に応じて前記ヒータへの通電を調整する制御装置とを備えた温水洗浄便座装置の温風乾燥装置において、前記サーミスタを常時通電しておくようにした、温水洗浄便座装置の温風乾燥装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水洗浄便座装置の温風乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温水洗浄便座装置に関しては、近年、基本機能たる洗浄機能に加えて、温風乾燥機能、脱臭機能その他の機能の追加が、快適性向上の観点から要請されている。かような要請に応えるため、特許文献1は、温水洗浄機能と温風乾燥機能とを具備する温水洗浄装置を開示する。しかして、この温水洗浄便座装置においては、通電加熱されたヒータにより暖められて、送風機により人体局部にブローされる温風の温度は、サーミスタで検知されるようになっている。
【特許文献1】特開平11−258086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1において開示された温水洗浄便座装置は、人体局部乾燥装置を備え、洗浄後、人体局部乾燥装置の始動スイッチがオンされると、ヒータにより温められた空気が温風として、人体局部にブローされるようになっている。人体局部乾燥装置は、制御回路を備え、この制御回路は、サーミスタで温風温度を検知して、この検知した温度と設定温度との差異に依拠して、ヒータへの通電を行い、ブローされる温風の温度を設定値に維持する。温風温度の検知手段としてコスト的に有利なサーミスタを採用した自体は、卓見であるが、実用上、問題なしとしない。すなわち、通電後、サーミスタが、その定格値を呈するまで、時間を要し、その間、検知される温風温度の値が実態を示さないという不具合がある。また、サーミスタの定格抵抗値にバラツキがあり、これも、検知される温風温度の値が実態を示さないという不具合を惹起させている。
【0004】
それ故に、本発明は、サーミスタの抵抗値が定格値を示す前の温風温度の検知を正確に行えるようにした、温水洗浄便座装置を提供することを、その技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために講じた技術的手段は、請求項1に記載のように、
「乾燥スイッチの閉成により、ヒータへの通電がなされ、この通電に伴い前記ヒータにより暖められた空気が、送風ファンにより温風として便座に着座する使用者の臀部に乾燥のためにブローされるようにし、サーミスタにより検知された前記温風の温度に応じて前記ヒータへの通電を調整する制御装置とを備えた温水洗浄便座装置の温風乾燥装置において、前記サーミスタを常時通電しておくようにした、温水洗浄便座装置の温風乾燥装置。」
を構成したことである。
【0006】
上記の課題を解決するために講じた技術的手段は、請求項2に記載のように、
「乾燥スイッチの閉成により、ヒータへの通電がなされ、この通電に伴い前記ヒータにより暖められた空気が、送風ファンにより温風として便座に着座する使用者の臀部に乾燥のためにブローされるようにし、サーミスタにより検知された前記温風の温度に応じて前記ヒータへの通電を調整する制御装置とを備えた温水洗浄便座装置の温風乾燥装置において、前記サーミスタの抵抗値を、事前評価に依拠して、補正した、温水洗浄便座装置の温風乾燥装置。」
を構成したことである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1で定義される本発明に係る温水洗浄便座装置の温風乾燥装置によれば、サーミスタは常時通電により、乾燥スイッチの閉成時には定格抵抗値に達しているので、温風乾燥装置の始動から精確に温風温度の検知を行うことが出来る。
【0008】
請求項2で定義される本発明に係る温水洗浄便座装置の温風乾燥装置によれば、サーミスタの抵抗値が、事前評価により補正されるので、このサーミスタにより検知される温風温度は、より精確なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の例について、図面に基づいて説明する。
【0010】
図1において、温水洗浄便座装置10は、制御装置20の統制下にある温風乾燥装置30を備える。温風乾燥装置30は、直列に接続された乾燥スイッチ32及びトライアック34を介して、ヒータ36が、電源40に接続される。図示されない洗浄機構による局部洗浄の終了後、乾燥スイッチ32がオンされると、ヒータ36への通電がなされ、通電過熱されたヒータ36により暖められた空気(温風)が、ダクト(図示略)を介して便座(図示略)に着座する使用者の臀部に向けてファン42によりブローされる。
【0011】
ファン42により送風される温風の温度は、ダクトその他適所に設置されたサーミスタ50により検知される。一端が、常時、電源40に接続されたサーミスタ50の他端は、抵抗52を介して接地される。サーミスタ50と抵抗52との接続点53の電圧は、サーミスタ50により検知された温風温度として、制御装置20に送られる。
【0012】
電源40の電圧をVin、サーミスタ50の抵抗値をRth、抵抗52の値をRiとすれば、サーミスタ50と抵抗52との接続点53の電圧Voutは、Vout=Vin・Ri/(Rth + Ri)となる。しかして、サーミスタ50が検知した温風温度が上昇するにつれて、接続点53の電圧Voutは、図2に示されるように上昇する。この変化は、制御装置20により常時監視せられ、電圧Voutが、設定温風温度よりも高くなったことを示す場合、トライアック34を開いてヒータ36への通電を停止し、温風温度を下げるようになっている。
【0013】
しかして、サーミスタ50には、常時、通電状態になっているので、乾燥スイッチ32がオンされたとき、つまり温風乾燥装置30の始動時、サーミスタ50の抵抗値Rthは、定格抵抗値を示すので、温風乾燥装置の始動から精確に温風温度の検知を行うことが出来る。
【0014】
尚、サーミスタ50の実際の抵抗値を、事前評価に依拠し、その値を、定格抵抗値と比較し、その差異を補正値として、制御装置に記憶させておけば、温風温度の検知をより精確に行うことが出来る。この点、図3に依拠して説明する。サーミスタを所定温度の下においたときの抵抗値は、図3に示すように変化する。ここにおいて、R:サーミスタの定格抵抗値、R1:所定温度の下におかれてt1経過後のサーミスタの実際の抵抗値、t2:所定温度の下におかれた後、定格抵抗値に達する時間である。グラフの変化率は既知であるので、t1経過後の抵抗値R1(定格抵抗値Rのx%)を1つの数式で確実に知ることが出来、定格抵抗値を補正できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態例に係る温水洗浄便座装置のブロック図である。
【図2】サーミスタが検知した温度と電圧との関係を示すグラフである。
【図3】サーミスタを所定温度の下においたときの抵抗値の変化を示すグラフ。
【符号の説明】
【0016】
10:温水洗浄便座装置
20:制御装置
32:ヒータ
40:電源
42:ファン
50:サーミスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥スイッチの閉成により、ヒータへの通電がなされ、この通電に伴い前記ヒータにより暖められた空気が、送風ファンにより温風として便座に着座する使用者の臀部に乾燥のためにブローされるようにし、サーミスタにより検知された前記温風の温度に応じて前記ヒータへの通電を調整する制御装置とを備えた温水洗浄便座装置の温風乾燥装置において、前記サーミスタを常時通電しておくようにした、温水洗浄便座装置の温風乾燥装置。
【請求項2】
乾燥スイッチの閉成により、ヒータへの通電がなされ、この通電に伴い前記ヒータにより暖められた空気が、送風ファンにより温風として便座に着座する使用者の臀部に乾燥のためにブローされるようにし、サーミスタにより検知された前記温風の温度に応じて前記ヒータへの通電を調整する制御装置とを備えた温水洗浄便座装置の温風乾燥装置において、前記サーミスタの抵抗値を、事前評価に依拠して、補正した、温水洗浄便座装置の温風乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−249811(P2006−249811A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−68941(P2005−68941)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】