説明

温水洗浄便座装置

【課題】温水洗浄便座において、タンク内の水をヒータで加熱する場合、タンクを便座の
後方に収納する構成が必要となり、タンクへの給水配管、タンクからおしり洗浄ノズルと
ビデ洗浄ノズルへ供給する配管、タンク内の水位制御装置、タンク内の水を加熱するヒー
タの取り付け装置、タンク内の異常温度保護装置、タンク内の圧力調整装置等が必要であ
り、部品数も多くなり、組み立ても複雑化し、タンクからの漏水の懸念等の問題がある。
本発明はこの方式に替わって、おしり洗浄ノズルとビデ洗浄ノズルの部分で洗浄水を瞬間
加熱する方式とし、上記のような問題を解決するものである。
【解決手段】洗浄ノズルは、待機状態ではバネ力によってガイド筒内に退避状態に収納さ
れ、洗浄モードにてバネ力に抗する水道水の水圧によって進出し洗浄水を噴出する仕組み
であり、洗浄ノズルが磁性材で構成され、洗浄モードにてガイド筒に取り付けた誘導加熱
コイルに通電して洗浄ノズルを誘導電流によって発熱して洗浄水を加熱すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水配管に接続された導水管を通って供給される水道水が、加熱要素にて
加熱されて洗浄ノズルから噴出し、便座に着座した人の部位を洗浄する温水洗浄便座装置
に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂性のタンク内の水をヒータで加熱し、おしり洗浄ノズルとビデ洗浄ノズルによる洗
浄開始、洗浄停止等を行うスイッチを備えた操作部を便座の側方に配置し、この操作部の
スイッチ操作によって、タンク内の温水を前記おしり洗浄ノズルまたはビデ洗浄ノズルか
ら噴出させる温水洗浄便座装置がある。(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−98615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようにタンク内の水をヒータで加熱するため、このタンクを便座の後方に収納する
構成が必要となり、また、このタンクへの給水配管、このタンクからおしり洗浄ノズルと
ビデ洗浄ノズルへ供給する配管、このタンク内の水位制御装置、このタンク内の水を加熱
するヒータの取り付け装置、このタンク内の異常温度保護装置、このタンク内の圧力調整
装置等が必要であり、部品数も多くなり、組み立ても複雑化し、またタンクからの漏水の
懸念等の問題がある。
【0004】
また、他の方式として、水道水管からおしり洗浄ノズルとビデ洗浄ノズルへ至る水道水
の供給水管路に、この管路を流れる水道水を電気ヒータで加熱するためのアルミニウム等
で構成された加熱ブロックを設け、水道水をこの加熱ブロックを通しつつ加熱する方式も
考えられるが、特別な加熱ブロックが必要となり、この加熱ブロックの入口と出口への供
給水管路の接続や、この接続部からの漏水の懸念等の問題がある。
【0005】
本発明は、このような方式に替わって、おしり洗浄ノズルとビデ洗浄ノズルの部分で洗
浄水を瞬間加熱する方式とし、上記のような問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水道水配管に接続された導水管を通って供給される水道水が加熱要素にて加
熱されて洗浄水として噴出する洗浄ノズルを備え、前記洗浄ノズルを前記水道水の水圧や
モータによって進出し、人体に向けて洗浄水を噴出する仕組みである温水洗浄便座装置に
おいて、前記洗浄ノズルが磁性材で構成され、前記加熱要素が前記洗浄ノズルを外周から
加熱する誘導加熱コイルであり、前記洗浄ノズルより洗浄水を噴出する洗浄モードにて、
前記誘導加熱コイルの通電による前記洗浄ノズルの発熱によって前記洗浄ノズル内の洗浄
水を加熱することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によって、誘導加熱コイルがガイド筒に取り付けられ、この誘導加熱コイルへの
通電によって、ガイド筒内の洗浄ノズルが発熱するため、従来技術のような温水を生成す
るタンクやアルミニウム等で構成された加熱ブロックも不要となり、上記の問題も解決す
る。また、洗浄ノズルそのものが発熱するため、洗浄ノズルを衛生的に保つ効果も期待で
きる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の温水洗浄便座装置は、水道水配管に接続された導水管を通って供給される水道
水が加熱要素にて加熱されて洗浄水として噴出する洗浄ノズルを備え、前記洗浄ノズルを
前記水道水の水圧やモータによって進出し、人体に向けて洗浄水を噴出する仕組みである
温水洗浄便座装置において、前記洗浄ノズルが磁性材で構成され、前記加熱要素が前記洗
浄ノズルを外周から加熱する誘導加熱コイルであり、前記洗浄ノズルより洗浄水を噴出す
る洗浄モードにて、前記誘導加熱コイルの通電による前記洗浄ノズルの発熱によって前記
洗浄ノズル内の洗浄水を加熱するものであり、本発明の実施例を以下に記載する。
【実施例1】
【0009】
本発明の実施形態について説明する。図1は本発明に係る温水洗浄便座装置の蓋が閉ま
った状態の斜視図、図2は本発明に係る温水洗浄便座装置の蓋と機能部分のカバーを取り
外した状態の機能部分と制御ボックス内を示す正面斜視図、図3は本発明に係る温水洗浄
便座装置の着座検出スイッチ装置部分の断面図、図4は本発明に係る温水洗浄便座装置の
待機モードを示す構成図、図5は本発明に係る温水洗浄便座装置のおしり洗浄モードを示
す構成図、図6は本発明に係る温水洗浄便座装置のビデ洗浄モードを示す構成図、図7は
本発明に係る温水洗浄便座装置の制御装置の構成図である。
【0010】
図において、1は本発明の温水洗浄便座装置を示しており、裏側から絶縁被覆されたコ
ードヒータ(図示せず)で加温される便座2と、便座2の上面を覆う開閉蓋3と、便座2
及び開閉蓋3の後方に位置して後述の機能部10を配置すると共に便座2及び開閉蓋3を
開閉回動可能に支持する基材部8を備えている。基材部8には、洗浄ノズルとして便座2
の後部下側へ延びるおしり(肛門)洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4B、及び電装
部6等の機能部10が配設され、この機能部10を覆うようにカバー7が基材部8に着脱
自在に取り付けられている。カバー7の一部がパネル7Aになっている。蓋3の後端部の
駆動側(図では右側)は、基材部8に支持部材を介して取り付けた電動機装置9によって
往復回転する回転軸11に取り付けられて、蓋3が上方に開閉回動可能である。
【0011】
また、便座2の後端部の駆動側(図では左側)は、基材部8に取り付けた電動機装置1
2によって往復回転する回転軸13に取り付けられて、便座2が上方に開閉回動可能であ
る。また、便座2の後端部の従動側(図では右側)は、便座2の後端部から水平方向に外
向きに突出した円筒状軸部24が一体に形成され、この円筒状軸部24が後述の着座検出
装置25のタクトスイッチ28の作動部として作用する。なお、この円筒状軸部24へ緩
く進入するように基材部8から延びた水平方向軸によって、回動可能且つ上下動可能に支
持するようにしてもよい。また、円筒状軸部24が基材部8の軸受け部に上下動可能に支
持される構成でもよい。
【0012】
洗浄水として供給される水道水は、パイプジョイント装置14によって水道水配管に接
続された導水管19に取り付けたごみ取り用のストレーナ62と逆止弁63を通過した後
、電磁弁40と減圧弁41を順次通り、後述の開閉弁47を経て水道水路の途中に設けた
接続部19Aから導水管75を経て、後述のノズル通路切り替え弁48機構から、おしり
(肛門)洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bの入口側へ流入する。
【0013】
基材部8には、便座2の側方(図では右側)に配置した上面開口の制御ボックス80が
連結されており、機能部10を覆うカバー7に一体または別体に制御ボックス80の上面
を覆うカバー84が設けられている。制御ボックス80内には、おしり(肛門)洗浄用ノ
ズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bによる洗浄開始、洗浄停止等を行うスイッチSWを取り
付けた絶縁性基板81を内蔵している。制御ボックス80の上面開口は、カバー(図示せ
ず)で覆われ、このカバーの上面はスイッチSWの手動操作部83を構成する可撓性薄板
85で覆われている。手動操作部83を押すことによって、対応するスイッチSWが作動
する。
【0014】
前記スイッチSWは絶縁性基板81に取り付けられており、このスイッチSWは、実施
例では、おしり(肛門)洗浄開始スイッチ43A、ビデ洗浄開始スイッチ43B、洗浄停
止スイッチ44、後述の誘導加熱コイル42A、42Bの通電ON−OFFスイッチ45
、洗浄水の水勢調節スイッチ49A、49B、後述の誘導加熱コイル42A、42Bの電
流を可変して洗浄水の温度を可変する洗浄水温可変スイッチ64等である。絶縁性基板8
1には、これらのスイッチSWが接続された制御部60(制御回路部60と称してもよい
)と、前記通電ON−OFFスイッチ45がON状態で発光するLED(発光ダイオード
)82が取り付けられている。LED(発光ダイオード)82の発光が制御ボックス80
の上面から目視できるように、LED(発光ダイオード)82の光は、カバー84を貫通
した透孔から可撓性薄板85の透明部に照射される。
【0015】
おしり洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bは、図4乃至図6に示すように筒状を
なしており、ガイド筒を構成するノズルカバー4A1、4B1内に進退可能に収容されて
おり、供給される水道水圧によって進出するようにするために、洗浄モードに入る前の待
機モードでは、おしり洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bは、図4のように、それ
ぞれコイル状のバネ4A2、4B2のバネ力によって、ガイド筒を構成するノズルカバー
4A1、4B1内に退避収容された状態であり、洗浄モードにおいて、おしり洗浄用ノズ
ル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bは、水道水圧によってそれぞれコイルバネ4A2、4B2
をそのバネ力に抗して圧縮しつつ前方へ進出する仕組みである。
【0016】
組み立てのし易さ等を考慮して、図に示すように、コイルバネ4A2、4B2及びノズ
ルカバー4A1、4B1を含むおしり洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bの機構、
ステッピングモータ46を含む開閉弁47機構とノズル通路切り替え弁48機構は、1つ
の洗浄ノズルユニットNUを構成している。
【0017】
おしり(肛門)洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bは、例えば、着磁特性のステ
ンレススチールのような錆び難い磁性材料で構成され、耐熱性合成樹脂製のノズルカバー
4A1、4B1内に前進と後退が可能に収納されている。ノズルカバー4A1、4B1に
は、加熱要素として誘導加熱コイル42A、42Bが、それぞれおしり(肛門)洗浄用ノ
ズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bをその長さ方向に沿って外周から加熱するように、おし
り(肛門)洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bを取り巻くように取り付けられてい
る。誘導加熱コイル42A、42Bは、それぞれ対応するノズルカバー4A1、4B1の
外側に配置した形態と、ノズルカバー4A1、4B1の成形時に埋設状態に取り付けた形
態、またはその他の形態のいずれでもよい。また、誘導加熱コイル42A、42Bによっ
て生じる外部磁界を遮断するために、誘導加熱コイル42A、42Bを覆うようにノズル
カバー4A1、4B1の外側周囲をアルミニウム等の遮蔽部材で覆う構成がよい。この誘
導加熱コイル42A、42Bは、後述のように、制御部60の動作によって洗浄モードに
て通電され、洗浄ノズル4A、4Bを流れる誘導電流によって洗浄ノズル4A、4Bが発
熱し、その発熱によって洗浄ノズル4A、4B内を流れる洗浄水を瞬間加熱する方式であ
る。おしり洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4B内を流れる洗浄水を有効加熱するた
めに、誘導加熱コイル42A、42Bは、筒状のおしり洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノ
ズル4Bをその長さに亘って略全体を加熱すべく、図4乃至図6に示すようにノズルカバ
ー4A1、4B1の長さに亘って配設している。誘導加熱コイル42A、42Bの通電は
、洗浄モードの終了によって非通電となる。制御部60には、誘導加熱コイル42A、4
2Bへ電力を供給するインバータ電源等が含まれている。
【0018】
導水管19によって供給される水道水の給水路には、この給水路を開閉する開閉弁47
が設けられている。導水管19は、電磁弁40または開閉弁47のいずれかの弁装置によ
って開閉するものでもよいが、実施例では電磁弁40と開閉弁47の二つ弁装置によって
開閉されるようにしているのは、一方の弁装置が導水管19を開いたままで故障しても、
他方の弁装置が導水管19を閉じておれば、水道水圧が温水タンク5へ掛かることが無い
ための安全を考慮したものである。
【0019】
導水管19から供給される洗浄水をおしり洗浄用ノズル4Aへ供給するか、ビデ洗浄用
ノズル4Bへ供給するかを切り替えるノズル通路切り替え弁48が、おしり洗浄用ノズル
4A側の入口通路74Aとビデ洗浄用ノズル4B側の入口通路74Bの分岐部72に設け
られている。開閉弁47とノズル通路切り替え弁48は、1つのステッピングモータ46
によって正転・逆転する回動軸70と、この回動軸70を収容した筒体71によって構成
されている。開閉弁47機構は、回動軸70の回転によって水入口通路ETと水出口通路
XTを連通する構成である。また、ノズル通路切り替え弁48の機構は、回動軸70の先
端から軸方向へ形成した有底の中空通路73と、この中空通路73に連通するように回動
軸70の一部を貫通した連通路48Aが形成されていて、回動軸70の回転によっておし
り洗浄用ノズル4A側へ洗浄水を流すか、ビデ洗浄用ノズル4B側へ洗浄水を流すかの切
り替えを行なう構成である。
【0020】
洗浄モードに入る前の待機モードにおいては、図4に示すように、開閉弁47機構では
、水入口通路ETと水出口通路XTを連通しない位置にあり、開閉弁47が閉じた状態で
ある。また、ノズル通路切り替え弁48機構では、通路48Aが筒体71によって塞がれ
た状態であり、中空通路73がおしり洗浄用ノズル4A側の入口通路74Aとビデ洗浄用
ノズル4B側の入口通路74Bのいずれにも連通していない状態である。このため、図4
に示すように、おしり洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bが、それぞれコイルバネ
4A2、4B2によって、ノズルカバー4A1、4B1内に収容された状態である。
【0021】
便座2は、その裏側に間隔を存して複数個の弾性脚部が設けられ、便器上面フランジ部
に便座2を倒した状態で、この弾性脚部が便器上面フランジ部に当接する。この弾性脚部
によって、便座2に着座した使用者の体重によって軸部24側が下降する構成であり、軸
部24が下降することによって、スイッチカバー34がコイルバネ35を圧縮して、着座
検出装置25のタクトスイッチ28の作動部29が下方へ押され、タクトスイッチ28が
作動する仕組みである。また、着座状態の便座2から人が離れることによって、タクトス
イッチ28が復帰する。
【0022】
便座2に人が着座してタクトスイッチ28が閉じた(ONした)状態で、おしり洗浄開
始スイッチ43Aまたはビデ洗浄開始スイッチ43Bを便座2の使用者がON操作するこ
とによって、洗浄モードとなり、制御部60が作動して、おしり洗浄用ノズル4Aまたは
ビデ洗浄用ノズル4Bが進出してその進出したノズルから洗浄水が噴出する。この噴出は
、洗浄停止スイッチ44を便座2の使用者がON操作することによって停止する。
【0023】
このように、おしり洗浄開始スイッチ43Aまたはビデ洗浄開始スイッチ43Bの操作
によって、制御部60が作動し、洗浄水が、おしり洗浄用ノズル4Aまたはビデ洗浄用ノ
ズル4Bから噴出する制御について以下に説明する。
【0024】
水道水は、後述のように、水道水配管に接続された導水管19に取り付けた電磁弁40
と減圧弁41を順次通り、開閉弁47を経て洗浄水として供給される。通常使用状態にお
いて洗浄モードに入る前の待機モードでは、電磁弁40と開閉弁47が導水管19を閉じ
ている。洗浄モードでない待機モードでは、おしり洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル
4Bは、図4のようにそれぞれコイルバネ4A2、4B2によって、ノズルカバー4A1
、4B1内に収容された退避状態(後退状態)である。
【0025】
便座2に人が着座してタクトスイッチ28が閉じた(ONした)状態で、おしり洗浄開
始スイッチ43Aまたはビデ洗浄開始スイッチ43Bを便座2の使用者がON操作するこ
とによって、制御部60が作動し洗浄モードとなる。即ち、タクトスイッチ28による着
座検出と、おしり洗浄開始スイッチ43Aまたはビデ洗浄開始スイッチ43BのONの両
方が整ったとき(AND状態)によって、洗浄モードとなる。
【0026】
この洗浄モードは、おしり洗浄モードとビデ洗浄モードがある。先ず、おしり洗浄モー
ドについて説明する。誘導加熱コイル42A、42Bの通電ON−OFFスイッチ45は
、ON状態になっているものとする。おしり洗浄開始スイッチ43Aに対応する手動操作
部83を押しておしり洗浄開始スイッチ43AをONすることにより、制御部60の動作
によって洗浄モードが開始する。このため、制御部60の動作によって、誘導加熱コイル
42Aに通電され、おしり(肛門)洗浄用ノズル4Aが誘導電流によって発熱する。これ
と共に、制御部60の動作によって通電によって電磁弁40が開くと共に、ステッピング
モータ46が制御部60からのパルス信号によってステップ作動して回動軸70が正回転
し、開閉弁47機構では、水入口通路ETと水出口通路XTを連通するように開閉弁47
が開いた状態となり、水道水圧が掛かる状態となる。また、このステッピングモータ46
の動作によって、ノズル通路切り替え弁48機構では、連通路48Aがおしり洗浄用ノズ
ル4A側の入口通路74Aに連通した状態となる。このため、水道水圧によって洗浄水が
おしり洗浄用ノズル4Aへ供給され、図5のように、その水圧によっておしり洗浄用ノズ
ル4Aがコイルバネ4A2をそのバネ力に抗して圧縮しつつ、前方へ進出し、先端の噴出
口から洗浄水が噴出する。この噴出する洗浄水は、上記のように発熱したおしり(肛門)
洗浄用ノズル4A内で加熱されるため、温水となって噴出する。
【0027】
次に、ビデ洗浄モードについて説明する。誘導加熱コイル42A、42Bの通電ON−
OFFスイッチ45は、ON状態になっているものとする。ビデ洗浄開始スイッチ43B
に対応する手動操作部83を押してビデ洗浄開始スイッチ43BをONすることにより、
制御部60の動作によって洗浄モードが開始する。このため、制御部60の動作によって
、誘導加熱コイル42Bに通電され、ビデ洗浄用ノズル4Bが誘導電流によって発熱する
。これと共に、制御部60の動作によって、通電によって電磁弁40が開くと共に、ステ
ッピングモータ46が制御部60からのパルス信号によってステップ作動して回動軸70
が逆回転し、開閉弁47機構では、水入口通路ETと水出口通路XTを連通するように開
閉弁47が開いた状態となり、水道水圧が掛かる状態となる。また、このステッピングモ
ータ46の動作によって、ノズル通路切り替え弁48機構では、連通路48Aがビデ洗浄
用ノズル4B側の入口通路74Bに連通した状態となる。このため、水道水圧が掛かるこ
とにより、洗浄水がビデ洗浄用ノズル4Bへ供給され、図6のように、その水圧によって
ビデ洗浄用ノズル4Bがコイルバネ4B2をそのバネ力に抗して圧縮しつつ、前方へ進出
し、先端の噴出口から洗浄水が噴出する。この噴出する洗浄水は、上記のように発熱した
ビデ洗浄用ノズル4B内で加熱されるため、温水となって噴出する。
【0028】
おしり洗浄モードまたはビデ洗浄モードのいずれにおいても、噴出する洗浄水の流量は
、流量可変スイッチ49A、49Bによって行なう。待機モードから洗浄モードになった
ときは、最大流量と最小流量の中間流量に設定されるようになっており、この状態から使
用者が水勢を強くするときは水勢調節スイッチ87をON操作し、水勢を弱くするときは
水勢調節スイッチ88をON操作することによって、制御部60によってステッピングモ
ータ46が作動して回動軸70が回動し、それによってノズル通路切り替え弁48の開度
(連通路48Aが筒体71によって塞がれる範囲)が変わり、選択されたおしり洗浄用ノ
ズル4Aまたはビデ洗浄用ノズル4Bから噴出する洗浄水の流量を可変できる。
【0029】
おしり洗浄モードまたはビデ洗浄モードのいずれにおいても、洗浄停止スイッチ44を
便座2の使用者がON操作することによって洗浄モードは停止する。洗浄停止スイッチ4
4をON操作することにより、制御部60の動作によって、誘導加熱コイル42Bへの通
電が非通電となる。これと共に、電磁弁40が非通電となって導水管路を閉じると共に、
ステッピングモータ46が制御部60からのパルス信号によってステップ作動し、開閉弁
47機構では、水入口通路ETと水出口通路XTを非連通状態とし、開閉弁47が閉じた
状態に復帰し、また、ノズル通路切り替え弁48機構も、連通路48Aが入口通路74A
、74Bのいずれにも連通しない状態に復帰する。このようにして水道水圧が掛からなく
なるため、おしり洗浄用ノズル4Aまたはビデ洗浄用ノズル4Bは、それぞれ対応するコ
イルバネ4A2、4B2によって、図4のように、ノズルカバー4A1、4B1内に収容
された状態に復帰する。
【0030】
上記のように、洗浄ノズル4A、4Bが磁性材で構成され、各ガイド筒を構成するノズ
ルカバー4A1、4B1に取り付けた誘導加熱コイル42A、42Bは、洗浄モードにて
通電され、洗浄ノズル4A、4Bの発熱によってその中を流れる洗浄水を加熱する。この
ため、従来技術のような温水を生成するタンクやアルミニウム等で構成された加熱ブロッ
クも不要となり、それに伴う上記の問題も解決する。また、洗浄ノズル4A、4Bそのも
のが発熱するため、洗浄ノズル4A、4Bを衛生的に保つ効果も期待できる。
【0031】
また、制御部60の動作によって、着座検出装置25の着座検出状態において洗浄開始
スイッチ43A、または43Bによる洗浄指令が発せられたとき、弁装置(実施例では電
磁弁40と開閉弁47の二つ弁装置)を開いて対応する洗浄ノズル4A、4Bを水圧によ
って進出させると共に、洗浄ノズル4A、4Bから洗浄水を噴出させる洗浄モードとなり
、この洗浄指令によって誘導加熱コイル42A、42Bに通電して洗浄ノズル4A、4B
を誘導電流によって発熱させ、その中の洗浄水を加熱し、洗浄モードの終了によって誘導
加熱コイル42A、42Bが非通電とする。洗浄水を洗浄ノズル4A、4Bへ導入する導
入管を加熱する場合には、噴出の当初に若干冷たい洗浄水が噴出することとなるが、上記
の構成によって、洗浄ノズル4A、4Bそのものが発熱するため、噴出の当初に若干冷た
い洗浄水が噴出することが少なくなり、温水を直ちに噴出することができるようになる。
また、タンク内に一定温度の温水を溜めておく従来方式では、洗浄モード以外でも電気ヒ
ータのON−OFF制御によって温水温度を保つ必要があるが、本発明では、洗浄モード
以外での対応する誘導加熱コイル42A、42Bの通電は実質不要となり、洗浄モード以
外での節電効果が向上する。
【0032】
尚、上記実施例では、洗浄開始スイッチ43A、または43Bによる洗浄指令が発せら
れたときに誘導加熱コイル42Aまたは42Bへの通電を開始する様に構成しているが、
着座検出装置25により着座を検出すると、例えば誘導加熱コイル42A、42Bを弱電
流により通電し、または所定時間間隔で通電し、洗浄ノズル4A、4Bを予熱する様に構
成しても良く、これにより、洗浄開始初期の冷水の噴出を極力防止する事が出来るもので
ある。
【0033】
更に、上記実施例では、おしり洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bを各々備えた
、所謂2本ノズルの構成で説明しているが、これに限定されることなく、周知の1本ノズ
ルの先端におしり用洗浄水を噴出するおしり用噴出孔と、ビデ用洗浄水を噴出するビデ用
噴出孔とを備えたものや、おしり洗浄用ノズルの先端に、ビデ洗浄用ノズルを伸縮自在に
装着したものでも良く、この構成により、誘導加熱コイルをおしり用とビデ用に兼用する
ことで、コストダウンを図ることが出来るものである。
【0034】
そして又、上記実施例では水道水の水圧により洗浄ノズルを洗浄位置に押し出している
が、周知の歯車やスチールベルトをモータによって回転或いは伸縮することで、ノズルを
洗浄位置に伸縮させる様に構成しても良い。
【0035】
そして更に、上記実施例では、誘導加熱コイル42A、42Bを一体に構成しているが
、洗浄用ノズル4A、4Bを洗浄位置に押し出した時に、これらノズルに対向しない部分
を分割構成し、洗浄モード時にはこの分割構成部分への通電を停止することで、非対向部
分の空焚きによるコイル温度の上昇を防止する事が出来るものである。
【0036】
尚、洗浄ノズル4A、4Bを二重筒構成とし、洗浄ノズルが伸縮しても常に誘導加熱コ
イル42A、42Bに洗浄ノズルが対向する様に構成すれば、誘導加熱コイル42A、4
2Bを分割する必要もなく、かつ、水道水と洗浄ノズルとの接触時間が長くなり、洗浄水
の加熱効率を向上する事が出来るものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、上記実施例に示した構成に限定されず、種々の形態の温水洗浄便座装置に適
用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る温水洗浄便座装置の蓋が閉まった状態の斜視図である。
【図2】本発明に係る温水洗浄便座装置の蓋と機能部分のカバーを取り外した状態の機能部分と制御ボックス内を示す正面斜視図である。
【図3】本発明に係る温水洗浄便座装置の着座検出スイッチ装置部分の断面図である。
【図4】本発明に係る温水洗浄便座装置の待機モードを示す構成図である。
【図5】本発明に係る温水洗浄便座装置のおしり洗浄モードを示す構成図である。
【図6】本発明に係る温水洗浄便座装置のビデ洗浄モードを示す構成図である。
【図7】本発明に係る温水洗浄便座装置の制御装置の構成図である。
【符号の説明】
【0039】
1・・・・・温水洗浄便座
2・・・・・便座
3・・・・・開閉蓋
4A・・・・おしり洗浄用ノズル
4A1・・・ガイド筒を構成するノズルカバー
4A2・・・コイル状のバネ
4B・・・・ビデ洗浄用ノズル
4B1・・・ガイド筒を構成するノズルカバー
4B2・・・コイル状のバネ
7・・・・・カバー
8・・・・・基材部
9・・・・・電動機装置
10・・・・機能部
12・・・・電動機装置
24・・・・便座の軸部
25・・・・着座検出装置
28・・・・タクトスイッチ
40・・・・電磁弁
41・・・・減圧弁
42A、42B・・・誘導加熱コイル
43A・・・おしり洗浄開始スイッチ
43B・・・ビデ洗浄開始スイッ
44・・・・洗浄停止スイッチ
46・・・・ステッピングモータ
47・・・・開閉弁
48・・・・ノズル通路切り替え弁
48A・・・連通路
60・・・・制御部
70・・・・回動軸
71・・・・筒体
72・・・・分岐部
73・・・・中空通路
74A・・・おしり洗浄用ノズル4A側の入口通路
74B・・・ビデ洗浄用ノズル4B側の入口通路
80・・・・制御ボックス
81・・・・絶縁性基板
82・・・・LED
83・・・・手動操作部
84・・・・カバー
85・・・・可撓性薄板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道水配管に接続された導水管を通って供給される水道水が加熱要素にて加熱されて洗
浄水として噴出する洗浄ノズルを備え、前記洗浄ノズルを前記水道水の水圧やモータによ
って進出し、人体に向けて洗浄水を噴出する仕組みである温水洗浄便座装置において、前
記洗浄ノズルが磁性材で構成され、前記加熱要素が前記洗浄ノズルを外周から加熱する誘
導加熱コイルであり、前記洗浄ノズルより洗浄水を噴出する洗浄モードにて、前記誘導加
熱コイルの通電による前記洗浄ノズルの発熱によって前記洗浄ノズル内の洗浄水を加熱す
ることを特徴とする温水洗浄便座装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate