説明

温水洗浄装置、温水洗浄装置の報知方法及びプログラム

【課題】操作部を見ずに利便性よく利用できる温水洗浄装置を提供すること。
【解決手段】本体操作部5において、操作手段201に振動手段203を接続し、着座検知手段206で使用者の着座を検知した場合、温水洗浄装置の動作状態が動作モードになり、おしり洗浄を行う操作手段201を振動手段203で振動させることで、操作手段201を見なくても操作できるように使用者に触感を提示し操作誘導できるようになるので、目や耳の不自由な人やお年寄りにも利便性のよい温水洗浄装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作誘導の為の報知、エラー報知における温水洗浄装置、温水洗浄装置の報知方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の温水洗浄装置は、洗浄を開始する洗浄スイッチ、洗浄を停止させるストップスイッチと、設定されている洗浄強さを使用者に認識させる洗浄強さ報知手段とを備え、洗浄スイッチが操作された時、洗浄強さ報知手段を作動させ、洗浄強さを表示する表示部を点灯させ使用者に洗浄強さを事前に報知することで、洗浄スイッチを操作した時、予期せず強く噴出しないようにし、設定されている洗浄強さを使用者が認識しやすいようにしている。
【0003】
また表示部での洗浄強さの表示の代わりに、音声で「洗浄強さは4です。」のようにガイダンスしたり、便座に設けた振動手段を振動させることで、使用者に報知して洗浄強さを伝えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−270221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、温水洗浄装置の本体やリモコンに設けられた洗浄スイッチや停止スイッチが暗くてよく見えない場合や、視覚障害者の方や視力が低下した方または高齢者の方が操作する場合や、温水洗浄装置の設置環境により狭い場所に洗浄スイッチ等がありよく見ることができない場合のように、現在の動作状態において、どのスイッチを操作できるかを使用者に報知することはできなかった。すなわち、どのスイッチを操作すると洗浄して停止するかが、視覚的に確認できない状況において、使用者に対する操作性や使い勝手が悪いという課題があった。
【0006】
本発明は、温水洗浄装置において洗浄または停止などの操作を行なう時、視覚的に確認しにくい状況であっても、指で探りながら、洗浄や停止スイッチであることを触知させ、操作性と利便性の向上した温水洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の温水洗浄装置は、操作手段と、前記操作手段を振動させる振動手段と、使用者が便座に着座したことを検知する着座検知手段を備え、前記使用者が便座に着座したことを検知すると、装置の現在の動作状態を次に移行させるべき動作状態を指示する操作手段を前記振動手段で振動させる構成にしている。
【0008】
これにより、使用者は操作手段の振動で次に操作すべき操作手段を識別できるようになり、複数の操作手段を視認しなくても、複数の操作手段の中から次に操作すべき操作手段を選択できるように、使用者を操作誘導することができる。
【0009】
例えば、暗くてよく見えない時や、視覚障害者や高齢者が操作する時でも簡単に操作すべき操作手段に誘導できるようになり、誰にでも操作しやすい温水洗浄装置を提供できるようになる。
【0010】
また、本発明の温水洗浄装置の報知方法は、使用者が便座に着座したことを検知するステップと、装置の現在の動作状態を次に移行させるべき動作状態を指示する操作手段を振動させるステップとを含むものである。
【0011】
これにより、使用者は操作手段の振動で次に操作すべき操作手段を識別できるようになり、複数の操作手段を視認しなくても、複数の操作手段の中から次に操作すべき操作手段を選択できるように、使用者を操作誘導することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の温水洗便座装置、温水洗便座装置の報知方法およびプログラムを用いることにより、暗い場所や狭くて洗浄スイッチ等が確認出来ない場合や、また目の不自由な方や高齢者の方が操作する場合においても、指の感覚で操作可能な洗浄スイッチ等を触知させ、操作を誘導することで利便性を向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における温水洗浄装置を設置した便座の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における温水洗浄装置を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1におけるリモコンを示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態1における本体操作部のスイッチの断面図
【図5】本発明の実施の形態1における温水洗浄装置の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、操作手段と、前記操作手段を振動させる振動手段と、使用者が便座に着座したことを検知する着座検知手段を備え、前記使用者が便座に着座したことを検知すると、装置の現在の動作状態を次に移行させるべき動作状態を指示する操作手段を前記振動手段で振動させる温水洗浄装置を構成したものである。
【0015】
これにより、使用者が便座に着座したことを着座検知手段が検知すると、現在動作している温水洗浄装置の動作状態を次に移行させるべき動作状態を指示する操作手段を振動させるので、使用者は次に操作すべき操作手段の振動で識別できるようになり、複数の操作手段を視認しなくても、複数の操作手段の中から次に操作すべき操作手段を選択できるように、使用者を操作誘導することができる。例えば、暗くてよく見えない時や、視覚障害者や高齢者が操作する時でも簡単に操作すべき操作手段を指で簡単に探すことができるようになる。
【0016】
第2の発明は、特に、第1の発明の操作手段は便座本体に備えたもので、便座本体に備えた操作手段は、温水便座装置の形状上で小さく見にくい場所に設けられた場合においても、動作状態に応じて操作手段が振動するので、使用者が操作すべき操作手段を見ずに、指で探すことができるようになり利便性が向上する。
【0017】
第3の発明は、第1又は第2の発明の着座検知手段が使用者の着座を検知すると、洗浄操作を行なう操作手段を振動させるので、着座検知後の動作状態において、最も操作する洗浄操作を行なう操作手段を振動させることによって、さらに利便性を向上する。
【0018】
第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明の洗浄動作中、洗浄停止操作を行なう操作手段を振動させるので、洗浄動作中の動作状態において、最も操作する洗浄停止操作を行う操作手段を振動させることによって、さらに利便性を向上する。
【0019】
第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明の振動手段で振動するパターンを少な
くとも2つ以上備え、温水洗浄装置に異常が発生した場合、前記操作手段を振動させる振動パターンとは、異なる振動パターンで異常を報知するものである。
【0020】
これにより、振動手段の振動パターンを2つ以上備えることで、通常動作時の振動パターンと、温水洗浄装置で発生する異常状態を異なる振動パターンで報知することにより、使用者が操作手段に触っただけで、動作状態が異常かどうかを判断できるようになるため、さらに利便性が向上する。
【0021】
第6の発明は、第1〜第5のいずれか1つの発明の操作手段が複数在る場合、異なる振動パターンとするので、複数の操作手段に対して、異なる振動パターンを与えることによって、洗浄強さの変更操作、洗浄開始操作などの同一動作状態操作可能な複数の操作手段に対して、指の感触で判断できるようになり、さらに利便性が高まる。
【0022】
第7の発明は、第1〜第5のいずれか1つの発明の温水洗浄装置において、使用者が便座に着座したことを検知するステップと、装置の現在の動作状態を次に移行させるべき動作状態を指示する操作手段を振動させるステップとを含む報知方法である。
【0023】
これにより、使用者は次に操作すべき操作手段の振動で識別できるようになり、複数の操作手段を視認しなくても、複数の操作手段の中から次に操作すべき操作手段を選択できるように、使用者を操作誘導することができる。
【0024】
第8の発明は、第7の発明の報知方法の少なくとも一部をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
【0025】
そして、プログラムであるので、電気・情報機器、コンピュータ、等のハードリソースを協働させて本発明の少なくとも一部を簡単なハードウェアで実現できる。また記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における温水洗浄装置を設置した便座の斜視図である。図2は温水洗浄装置本体のブロック構成図である。図3は温水洗浄装置本体に対して制御信号を送信するリモコンのブロック構成図である。
【0028】
図1において、便器1に流す水を貯める水槽タンク3と、便座装置本体2とが便器1に取り付けられている。便座装置本体2には未使用時に便座装置本体2を覆う蓋体4、及び便座装置本体2に備えた機能を操作する本体操作部5を備えている。また図示していないが、便座装置本体2の電源コードを電源コンセントに接続することで、使用者のおしりを温水洗浄する機能や、洗浄した後乾燥させる機能、便座を温める機能等を制御し、使用者に提供する。
【0029】
本体操作部5は、温水洗浄装置の動作を制御する制御回路が内蔵され、メンブレン405や樹脂製部材の下にタクトスイッチ等の電気スイッチを配置し、操作スイッチを形成する。また本体操作部5はタッチスイッチ(静電式、圧電式)や樹脂材とバネ材で構成したボタンスイッチなどあってもよい。静電式のタッチスイッチの場合には、剛体の樹脂材やガラス等で操作部を形成し、前記操作部に振動手段を接続して振動させるようにする。
【0030】
また、おしり洗浄を開始、停止するスイッチには、振動モータや圧電デバイスなどの振動装置を接続し、所定の動作に応じ前記開始、停止スイッチを振動させるようにし、使用者がスイッチを触知できるようにしている。
【0031】
また前記便座装置本体2を制御するためのリモコン6を備える。リモコン6はトイレの壁面等に設置される。リモコン6は、赤外線通信により便座装置本体2に制御信号を送信し、便座装置本体2の制御や設定を行なう。
【0032】
リモコン6には、温水洗浄機能を備える便座装置本体2の制御、設定機能を備えており、おしり洗浄開始、ビデ洗浄開始、洗浄停止、洗浄したおしりの乾燥開始、おしりの洗浄の強弱設定、便座温度の強弱設定、洗浄ノズルの前後位置設定、便座装置本体2、蓋体4の上げ下げなどの制御、設定の操作を行わせる。リモコン6には、おしり洗浄スイッチ6a、ビデ洗浄スイッチ6b、洗浄停止スイッチ6cを備える。またリモコン6のスイッチも本体操作部5と同様にメンブレン405や樹脂製部材の下にタクトスイッチ等の電気スイッチを配置しスイッチを形成する。また本体操作部5同様に、タッチスイッチ(静電式、圧電式)や樹脂材とバネ材で構成したボタンスイッチなどあってもよい。
【0033】
次に図2において、便座装置本体2は、操作手段201、制御手段202、振動手段203、記憶手段204、表示手段205、着座検知手段206、洗浄手段207、受信手段208で構成される。
【0034】
また図3において、リモコン6は、リモコン操作手段301、リモコン制御手段302、送信手段303、表示手段304で構成される。これらを協働させ、温水洗浄装置の機能を形成している。
【0035】
操作手段201は、本体操作部5に備えるスイッチで提供される。リモコン6を使わない場合、或いは使えない場合において、使用者は操作手段201を操作し、おしりの洗浄開始、または洗浄停止を行なう。操作手段201には、温水洗浄装置の基本的な機能である洗浄開始、停止、便座あたため設定などのみを設け、美観を損なわないように小さく配置している為、スイッチは小さく形成されている。但し、リモコン6を用いない温水洗浄装置の場合はその限りでなくこれに限定されない。
【0036】
また操作手段201には後述する振動手段203が接続され、温水洗浄装置の動作状態に応じて振動し、操作手段201に触れた使用者の指の感覚で触知する機能を備える。
【0037】
制御手段202は、温水洗浄装置の制御機能を提供する。具体的には、マイクロコンピュータなどで形成され、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである後述する記憶手段204に必要な設定情報を記憶し、リモコン6からの制御信号を受信手段208で受信し、またLEDなどで形成した表示手段205に情報を表示し、温水洗浄装置を機能させている。
【0038】
また便座装置本体2には、使用者が着座すると検知する着座検知手段206を備え、着座検知を行なうと制御手段202により、温水洗浄装置の動作状態(動作モード)を変更する。制御手段202は、リモコン6からの制御信号を受信し、おしりやビデの洗浄手段207を、アクチュエータを制御して動作させる。
【0039】
振動手段203(振動装置)は、触覚提示素子である小型モータや圧電デバイスなどで形成される。振動手段203は、操作手段201が操作され、変更された時の動作状態に応じた振動パターンを記憶手段204から取得し振動する。そして接続している操作手段201を振動させることで、使用者が現在の動作状態において操作可能な操作手段201
に、手の触感に提示し誘導する。
【0040】
具体的には、使用者が便座装置本体2に着座後、おしり洗浄など洗浄スイッチである操作手段201を振動させる。また洗浄動作中には、停止スイッチである操作手段201を振動させる。なお、おしり洗浄スイッチ6a、洗浄停止スイッチ6cは同じスイッチで形成してもよい。また、制御手段202は振動手段203を振動させる振動パターンを複数備え、正常動作時と異常時とは振動パターンを変更して振動させる。
【0041】
記憶手段204は、温水洗浄装置の各種設定などを記憶保持し、制御手段202で同じ設定情報を読み出して温水洗浄装置を制御する。各種設定とは、便座あたためのON/OFF、脱臭機能のON/OFFなどである。また洗浄ノズルなどへの給水異常や、リモコン6の電池切れなどの異常が発生した時、異常状態も保持する。加えて振動手段203を振動するパターンも保持し、短周期や長周期の振動パターンなど、複数の振動パターンを記憶する。
【0042】
表示手段205は、LEDなどの表示デバイスで構成される。洗浄スイッチのON、OFF、便座あたための温度の大中小などの設定状態などをLEDの点灯、消灯で表示する。なお、表示手段205はLEDに限定されるものでなくLCDなどであってもよい。
【0043】
着座検知手段206は、便座装置本体2に備えるスイッチであり、タクトスイッチ401などで形成される。便座装置本体2に使用者が着座すると、便座部分が使用者の体重により押圧され、便座装置本体2に備えたタクトスイッチ401でON/OFFする。着座検知手段206はタクトスイッチ以外にも、圧電デバイスによる感圧検知や、赤外線の人感センサによる人感検知であってもよい。着座検知手段206とは、使用者が排便するために着座した時の状態を検知させるように備えたものである。
【0044】
洗浄手段207は、使用者のおしり、ビデ等を洗浄するアクチュエータを備えた洗浄ノズルである。本体操作部5やリモコン6の洗浄スイッチを操作すると、便座装置本体2に格納されている洗浄ノズルが伸張し、使用者のおしりを洗浄する。ビデも同様である。洗浄手段207は、おしりとビデは同一でも複数であってもよい。
【0045】
受信手段208は、赤外線受光素子で形成され、リモコン6からの制御信号を受信する。リモコン6の操作で送信される制御信号、例えば「おしり洗浄開始信号」を、受信手段208で受信し、制御手段202で制御電文を解析し、制御信号に応じて各種制御を行なう。なお、受信手段208は赤外線に限定されるものではなく無線通信でもよい。
【0046】
次に図3において、リモコン6は、リモコン操作手段301、リモコン制御手段302、送信手段303、表示手段304で構成される。これらを協働して、温水洗浄装置のリモコン機能を形成している。
【0047】
リモコン操作手段301は、リモコン筐体上に設けられたスイッチであり、表面をメンブレン405で覆ったタクトスイッチ401などで形成される。リモコン操作手段301は、リモコン6のおしり洗浄スイッチ6a、ビデ洗浄スイッチ6b、洗浄停止スイッチ6cなどの操作部である。
【0048】
リモコン制御手段302は、リモコン操作手段301を使用者が操作に応じて、同スイッチの制御を行なう制御信号を生成し、後述する送信手段303によって赤外線で送信する。リモコン制御手段302は、温水洗浄装置のリモコン6の制御機能を提供する。具体的には、マイクロコンピュータなどで形成され、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリに必要な設
定情報を記憶し、LEDなどで形成した表示手段304に情報を表示している。メモリは図3には図示しない。
【0049】
送信手段303は、リモコン制御手段302で生成した制御信号を、赤外線信号に載せて送信し、便座装置本体2の受信手段208で制御信号を受信させる。送信手段303は、赤外線の発光手段である発光ダイオードで形成される。なお送信手段303は、赤外線通信に限定されるものではなく、無線通信であってもよい。
【0050】
表示手段304は、温水洗浄装置の設定状態を表示するLEDなどの表示デバイスで形成される。洗浄強さの設定、洗浄ノズルの位置などをLEDの点灯、消灯で表示する。なお表示デバイスは、LCDなどであってもよい。
【0051】
次に、本実施の形態における温水洗浄装置の本体操作部5の構造を、図4を用いて説明する。図4は、本体操作部5のスイッチ(操作手段201)の断面図である。スイッチは、おしり洗浄スイッチ6aである。タクトスイッチ401(操作手段201)は、電子部品が実装されたプリント基板402上に実装され、タクトスイッチ401の上部は、樹脂材からなる外筐体404に覆われ、内部の電子回路に汚れや水分の侵入を防ぐと共に、スイッチ名が印刷されたメンブレン(樹脂材)405で貼り付けされている。
【0052】
またタクトスイッチ401の上部の外筐体404の近傍に小型の振動モータ(振動手段203)403が貼り付けられ、動作状態に応じて、マイコンから振動モータ403に通電制御され、振動が外筐体404の当該スイッチ部分に振動が伝わる構成としている。外筐体404の一部には切り欠き部406を設けており、メンブレン405のおしり洗浄スイッチ6a部分を押下すると凹むようになっている。スイッチ部分の外筐体404は、切り欠き部406によって、弾性を持たせる構造にしている。なお、スイッチは、おしり洗浄スイッチ6aで説明したが、スイッチの機能には依存しない。
【0053】
次に図5は、使用者がおしり洗浄や洗浄停止の操作を行なう時、温水洗浄装置の動作状態に応じて振動手段203で操作手段201を振動させ、使用者に触知し操作誘導する動作を示すフローチャートである。
【0054】
図5において、使用者が排便する為、便座装置本体2に着座すると着座検知手段206で着座検知を行ない、制御手段202で着座検知を判断する(S501)。
【0055】
制御手段202は、記憶手段204より現在の動作状態を取得し、現在の動作状態が、異常モードでないかを判断する。待機モードである場合は、着座検知を判断したことにより、待機モードから動作モードへ移行する(S502、S503)。
【0056】
なお待機モードとは、温水洗浄装置において、使用者が着座していない動作状態である。動作モードとは、着座検知され使用者が温水洗浄装置を使用中の動作状態である。また温水洗浄装置において、給水異常やリモコン6の電池切れなどの動作状態を示す異常モードがある。
【0057】
異常モードでない場合、制御手段202が記憶手段204から振動パターンを取得し、おしり洗浄スイッチ6aまたはビデ洗浄スイッチ6bの操作手段201を、振動手段203で振動させる。この時の振動パターンは、操作誘導用振動パターンである振動パターンAで振動させる(S504)。
【0058】
操作誘導用の振動パターンは指が操作手段201に触れると感触を感じる弱い振動パターンである。この時他の操作を行なう操作手段は振動させない。このようにすることで、
操作手段が小さくて、見にくい場所にある場合で、必要な操作手段201が指の触感で見つけることができるようにしている。
【0059】
そして使用者がおしり洗浄スイッチ6aの操作手段201を押下すると、制御手段202で判断し、動作状態が洗浄モードへ移行したことを判断する(S505)。そして洗浄手段207を制御手段202で動作させ、使用者のおしりを洗浄する。
【0060】
おしり洗浄スイッチ6aまたはビデ洗浄スイッチ6bの操作手段201が押下されない場合は、動作モードのままである。
【0061】
洗浄モードを判定すると、制御手段は前記振動パターンAで振動させる操作手段201を、おしり洗浄スイッチ6aまたはビデ洗浄スイッチ6bから洗浄停止スイッチ6cの操作手段201を振動手段203により振動させる(S506)。
【0062】
そして指の触感により、操作すべき操作手段201に操作誘導を行なう。また、おしり洗浄スイッチ6aまたはビデ洗浄スイッチ6bを別の振動パターンを用いることで、それぞれの操作手段201を触知できるようにすることもできる。例えば、おしり洗浄スイッチ6aは、振動パターンA、ビデ洗浄スイッチ6bは振動パターンBのように制御することも可能である。
【0063】
使用者が洗浄停止スイッチ6cの操作手段201を押下すると、洗浄手段207での洗浄動作が停止すると共に、動作状態を洗浄モードから動作モードへ移行する(S507、S508)。
【0064】
動作モード時は、おしり洗浄スイッチ6aまたはビデ洗浄スイッチ6bの操作手段201を振動させる。また使用者が立ち上がると、着座検知が解除され、前記操作手段201の振動制御を停止する。
【0065】
また、S503の動作状態の確認時において、制御手段202が異常モードを検知した場合、振動手段203により、異常を表現する振動パターンである振動パターンCで操作手段201を振動させる(S509)。
【0066】
振動パターンCは、操作誘導する振動パターンA、Bに比べて、異常を伝えるために振動強度を強くし、とげとげしい振動パターンとしている。振動パターンはこれに限定されるものではなく、異常モード、動作モードでの動作状態を使用者が認識できるようであればよい。
【0067】
このように本実施の形態によれば、ユーザが操作手段201を指で操作する時、温水洗浄装置の動作状態応じて操作手段201が振動するので、操作すべき操作手段201を指の触覚で認識でき、操作すべき操作手段201に誘導することができるので、温水洗浄装置の本体操作部5の操作手段201が、暗くてよく見えない時であっても操作性が向上する。また視覚障害者の方や視力が低下した方または高齢者の方が操作する時でも簡単に操作すべき操作手段201を簡単に指で探すことができるようになる。
【0068】
また便座本体に備えた操作手段201は、温水便座装置の形状上で小さく見にくい場所に設けられた場合においても、動作状態に応じて操作手段201が振動するので、使用者が操作すべき操作手段201を見ずに、指で探すことができるようになり利便性が向上する。
【0069】
また着座検知後の動作状態において、最も操作する洗浄操作を行なう操作手段201を
振動させることによってさらに利便性を向上する。
【0070】
また洗浄動作中の動作状態において、最も操作する洗浄停止操作を行う操作手段201を振動させることによってさらに利便性を向上する。
【0071】
また振動手段203の振動パターンを2つ以上備えることで、通常動作時の振動パターンと、温水洗浄装置で発生する異常状態を異なる振動パターンで報知することにより、使用者が操作手段201に触っただけで、動作状態が、異常かどうかを判断できるようになるため、さらに利便性が向上する。
【0072】
また複数の操作手段201に対して、異なる振動パターンを与えることによって、洗浄強さの変更操作、洗浄開始操作などの同一動作状態で操作可能な複数の操作手段201に対して、指の感触で判断できるようになり、さらに利便性が高まる。
【0073】
なお、便座装置本体2とリモコン6の間で赤外線通信を行うように説明したが、通信方式、物理手段には依存しない。有線でも無線でもよい。無線の場合、宅内で一般的に利用される特定小電力無線、無線LAN、2.4GHz帯などの電波で利用されるものである。
【0074】
また振動手段203で振動させる対象は、スイッチである操作手段201の他に、使用者と接触している便座装置本体2の便座にすることで、操作手段の誘導ではなく異常状態をより利便性よく報知できる。例えば給水異常、リモコン6の電池切れなどを報知するようにできる。このようにすることで、着座してすぐ温水洗浄装置の異常に気が付くようにでき、使用し始めてから動作しないことで不快な思いをしなくてよい。
【0075】
また振動手段203は本体操作部5に設けた場合において説明したが、リモコン6のリモコン操作手段301に振動手段203を接続し、本体操作部5と同様に構成することもでき、同様の効果を得ることができる。
【0076】
また操作手段201を、メンブレン405の樹脂材で覆ったタクトスイッチを中心に説明したが、操作手段201に振動手段203を接続して使用者の指で振動を触知できる構成であればよく、剛体の樹脂材料で形成した静電式のタッチスイッチであってもよい。その場合、各スイッチ間の間隔を空けたりすることで、どのスイッチが振動しているか認識できる配置にする。
【0077】
また振動手段203を振動される設定手段を設けてもよく、使用者の嗜好に合わせて設定させることでさらに利便性が高まる。また振動手段203の振動強度、振動パターンを設定させるようにすることもでき、さらに利便性が高まる。
【0078】
また温水洗浄装置における機能において、近年、便座の自動開閉、蓋体の自動開閉を行なうものもあるが、便座、蓋体が開いていない場合、便座または蓋体を開制御する操作手段を振動させてもよく、機能が高まり利便性がさらによくなる。
【0079】
また本実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信したりすることで新しい、機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明にかかる温水洗浄装置、温水洗浄装置の報知方法及びプログラムは、家庭用などの便座機能を提供する装置、システムでの設定、制御の触感提示、報知機能に利用できる。
【符号の説明】
【0081】
2 便座装置本体(便座本体)
201 操作手段
203 振動手段
206 着座検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作手段と、前記操作手段を振動させる振動手段と、使用者が便座に着座したことを検知する着座検知手段を備え、前記使用者が便座に着座したことを検知すると、装置の現在の動作状態を次に移行させるべき動作状態を指示する操作手段を前記振動手段で振動させる温水洗浄装置。
【請求項2】
操作手段は便座本体に備えた請求項1に記載の温水洗浄装置。
【請求項3】
着座検知手段が使用者の着座を検知すると、洗浄操作を行なう操作手段を振動させる請求項1または2に記載の温水洗浄装置。
【請求項4】
洗浄動作中、洗浄停止操作を行なう操作手段を振動させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の温水洗浄装置。
【請求項5】
振動手段で振動するパターンを少なくとも2つ以上備え、温水洗浄装置に異常が発生した場合、前記操作手段を振動させる振動パターンとは、異なる振動パターンで異常を報知する請求項1〜4のいずれか1項に記載の温水洗浄装置。
【請求項6】
操作手段が複数在る場合、異なる振動パターンとする請求項1〜5のいずれか1項に記載の温水洗浄装置。
【請求項7】
使用者が便座に着座したことを検知するステップと、装置の現在の動作状態を次に移行させるべき動作状態を指示する操作手段を振動させるステップとを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の温水洗浄装置の報知方法。
【請求項8】
請求項7に記載の温水洗浄装置の報知方法の少なくとも一部をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−127375(P2011−127375A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288592(P2009−288592)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】