説明

温水装置

【課題】スケール除去手段として、酢酸などの洗浄液を利用した熱交換器の洗浄が行なわれた場合であっても、洗浄液の残留に起因して水抜き用配管部が腐食する不具合のない温水装置を提供する。
【解決手段】加熱用ガスから顕熱および潜熱を回収する1次および2次熱交換器2A,2Bと、それらの伝熱管20a,20bを連結する連結用配管部23に設けられた水抜き用開口部23aと、を備えている、温水装置WH1であって、水抜き用開口部23aに一端部が接続され、かつ他端部が外装ケース14の外部に配されて止水手段31が設けられた構成とされ、連結用配管部23内の湯水が外装ケース14の外部に排水される状態と、この排水が阻止された状態とを、止水手段31の開閉により切り替え可能な水抜き用配管部3を備え、この水抜き用配管部3は、耐酸性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガスなどの加熱用ガスから熱交換器を利用して顕熱および潜熱を回収するように構成された高効率給湯装置などの温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の温水装置の具体例として、特許文献1に記載のものがある。同文献に記載された温水装置は、バーナにより発生された燃焼ガスから、1次および2次熱交換器を利用して顕熱および潜熱を回収するように構成されている。1次および2次熱交換器は、連結用配管部を介して連結された伝熱管を有しており、この伝熱管内を流通する湯水が前記の顕熱および潜熱を利用して効率良く加熱される。一方、このような温水装置であっても、伝熱管を用いた他の温水装置と同様に、冬季における長期間の運転停止時において温水装置内の凍結防止を図ることを目的として、あるいは熱交換器のメンテナンス作業を適切に行なう観点から、熱交換器内の水抜きが可能であることが望まれる。
そこで、前記した特許文献1においては、1次および2次熱交換器を連結する連結用配管部の途中箇所に、水抜き用開口部を設けて、この部分に水抜き用配管部を接続する手段が採用されている。水抜き用配管部の終端は、栓体を用いて閉塞されており、この栓体を開状態とした際には、連結用配管部内から水抜き用配管部内に流入した水を機外(外装ケースの外部)に排水することが可能である。
【0003】
しかしながら、前記したような従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
欧米では、温水供給に利用される水が硬水である場合が多く、前記した温水装置をそのような地域で使用する場合、1次および2次熱交換器内にスケール(缶石)が発生し易い。スケールは、熱交換効率の低下要因となるばかりか、このスケールの発生量が多くなると、詰まり(缶石詰まり)を生じる虞がある。そこで、硬水の使用地域において温水装置を使用する場合には、缶石詰まりを防止するための手段として、いわゆる缶体洗浄を適当な頻度で行なうことが望まれる。この缶体洗浄は、たとえば酢酸またはその水溶液を洗浄液とし、この洗浄液を1次および2次熱交換器の伝熱管に注入することにより行なわれる。このような缶体洗浄を終えた後には、上水を利用した再洗浄作業が行なわれる。1次熱交換器の伝熱管は、熱伝導性、加工容易性、および低コストなどの観点から銅製とされているのが一般的であるが、銅製の伝熱管内に洗浄液の酢酸成分が残存したのでは、この伝熱管が腐食する。上水を用いた再洗浄作業は、そのような伝熱管の腐食を防止することを目的として行なわれる。
前記した缶体洗浄を行なうと、洗浄液が水抜き用配管部に流入する。これに対し、その後の再洗浄作業において、1次熱交換器の伝熱管を適切に再洗浄するには、水抜き用配管部の末端の栓体を閉状態にしておく必要がある。このため、再洗浄作業を行なったとしても、水抜き用配管部に進入した洗浄液は、再洗浄作業に用いられた上水と置換され難く、水抜き用配管部には酢酸成分が残留したままとなる現象を生じ易い。その一方、従来において、水抜き用配管部は、1次熱交換器の伝熱管や連結用配管部と同様に、銅製とされているのが実情である。その結果、水抜き用配管部は、その内部に残留した酢酸成分に起因し、腐食し易くなるという不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−46866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、スケール除去手段として酢酸などの酸性の洗浄液を用いた1次および2次熱交換器の洗浄作業が行なわれた場合であっても、洗浄液の残留に起因して水抜き用配管部が腐食し易くなるといった不具合を生じないようにすることが可能な温水装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面により提供される温水装置は、連結用配管部を介して互いに連結された伝熱管を有し、かつ加熱用ガスから顕熱および潜熱を回収することにより前記伝熱管内に供給される湯水を加熱することが可能な1次および2次熱交換器と、これら1次および2次熱交換器を囲む外装ケースと、前記連結用配管部に設けられ、かつ前記1次および2次熱交換器の各伝熱管内の水抜きを行なうときに前記連結用配管部内の水をその外部に排水させるための水抜き用開口部と、を備えている、温水装置であって、前記水抜き用開口部に一端部が接続され、かつ他端部が前記外装ケースの外部に配されて止水手段が設けられた構成とされ、前記連結用配管部内から前記水抜き用開口部を通過した湯水が前記外装ケースの外部に排水される状態と、この排水が阻止された状態とを、前記止水手段の開閉により切り替え可能な水抜き用配管部を備えており、この水抜き用配管部は、耐酸性を有する材質とされていることを特徴としている。
好ましくは、前記1次熱交換器の伝熱管および前記連結用配管部は、銅製パイプを用いて構成され、前記水抜き用配管部は、ステンレス製もしくは樹脂製パイプ、または内面に耐酸性を有するコーティング層が設けられた銅製パイプを用いて構成されている。
【0009】
このような構成によれば、温水装置が硬水地域において使用され、かつ1次および2次熱交換器内のスケール除去手段として、酢酸などの酸性の洗浄液を用いた洗浄作業が行なわれた結果、連結用配管部に接続された水抜き用配管部内に洗浄液が残留する事態を生じたとしても、この洗浄液に起因して水抜き用配管部が腐食し易くなることを適切に防止することができる。
【0010】
本発明の第2の側面により提供される温水装置は、連結用配管部を介して互いに連結された伝熱管を有し、かつ加熱用ガスから顕熱および潜熱を回収することにより前記伝熱管内に供給される湯水を加熱することが可能な1次および2次熱交換器と、これら1次および2次熱交換器を囲む外装ケースと、前記連結用配管部に設けられ、かつ前記1次および2次熱交換器の各伝熱管内の水抜きを行なうときに前記連結用配管部内の水をその外部に排水させるための水抜き用開口部と、を備えている、温水装置であって、前記水抜き用開口部に装着された止水手段と、この止水手段を前記外装ケースの外部からの操作によって開閉可能であり、前記連結用配管部内の湯水が前記水抜き用開口部を通過して排水される状態と、この排水が阻止された状態とを切り替え可能な操作手段と、を備えていることを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、水抜き用開口部に装着された止水手段は、1次および2次熱交換器内の水抜きを行なう場合にのみ開状態とすればよく、通常の温水生成時や、酸性の洗浄液を利用した1次および2次熱交換器の洗浄作業時には、前記止水手段を閉状態としておけばよい。前記構成においては、洗浄液が残留する虞のある水抜き用配管部またはこれに相当する部分が設けられていない。したがって、洗浄液の残留に起因して水抜き用配管部あるいはこれに相当する部分が腐食し易くなるといった不具合は、やはり適切に解消することが可能である。なお、前記止水手段の開閉は、外装ケースの外部において操作手段を操作して行なうことが可能であるため、従来技術と比較して利便性が劣るといった不
利を生じないようにすることもできる。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記止水手段は、前記水抜き用開口部に装着され、かつ前記水抜き用開口部に連通する流路を内部に形成している筒状のハウジングと、このハウジングに螺合装着された栓体と、を備えており、前記操作手段は、前記栓体に一端部が接続され、かつ他端部が前記外装ケースの外部に位置する操作部として構成された操作用管体部を備えており、前記操作部が回転操作されて、前記栓体が回転しつつ進退動作を行なうことにより、前記流路は開閉可能であり、かつ前記流路が開状態となったときには、前記連結用配管部内の水が前記操作用管体部内を通過して前記外装ケースの外部に排水される動作が可能な構成とされている。
【0013】
このような構成によれば、簡易な構造によって、本発明が意図する作用が得られる。また、1次および2次熱交換器内の水抜き時には、連結用配管部内の水を、操作用管体部を利用して外装ケースの外部に導いて適切に排水することも可能である。
【0014】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る温水装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】(a)は、図1のII部拡大断面図であり、(b)は、その分解断面図である。
【図3】(a)は、図1に示す温水装置の水抜き作業状態を示す概略断面図であり、(b)は、図1に示す温水装置の洗浄作業状態を示す概略断面図である。
【図4】本発明に係る温水装置の他の例を示す概略断面図である。
【図5】(a)は、図4の一部省略要部断面図であり、(b)は、その切り替え状態を示す一部省略要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1に示す温水装置WH1は、潜熱回収型の給湯装置として構成されており、バーナ10、ファン11、1次および2次熱交換器2A,2B、水抜き用配管部3、ならびにこれらの各構成要素を囲んで保護する外装ケース14を備えている。
【0018】
バーナ10は、たとえば燃料ガスを燃焼させるガスバーナであり、ファン11は、バーナ10に燃焼用空気を供給する。1次および2次熱交換器2A,2Bは、バーナ10によって発生された燃焼ガスから顕熱および潜熱をそれぞれ回収して湯水加熱を行なうものであり、バーナケース10a上に載設された缶体21a,21b内に伝熱管20a,20bが配された構成である。顕熱および潜熱が回収された後の燃焼ガスは、2次熱交換器2Bの缶体21bに設けられた排気口22から外装ケース14の外部に排ガスとして排出される。1次熱交換器2Aの伝熱管20aおよび缶体21aは、熱伝導性が良好であって低コスト化に適する銅製とされている。これに対し、2次熱交換器2Bの伝熱管20bおよび缶体21bは、ステンレス製である。2次熱交換器2Bを利用して燃焼ガスから潜熱を回収した際には、強酸性のドレイン(凝縮水)が発生する。このため、2次熱交換器2Bの伝熱管20bおよび缶体21bなどの各部は、耐酸性に優れたステンレス製とされている。なお、図示説明は省略するが、2次熱交換器2Bの下方には、前記した強酸性のドレインを回収して中和処理装置に導くためのドレイン回収部が設けられており、この点は特許文献1と同様である。
【0019】
1次および2次熱交換器2A,2Bの伝熱管20a,20bは、連結用配管部23を介して互いに連結されており、2次熱交換器2Bには、内部入水管50が接続され、1次熱交換器2Aには、内部出湯管51が接続されている。このことにより、外装ケース14の外部から水道管などの給水管55を介して入水口50aに供給された水は、伝熱管20b、連結用配管部23、および伝熱管20aを通過し、かつその過程において加熱された後に、出湯口51aに接続された外部出湯管56を介して所定の給湯先に供給可能である。内部入水管50、連結用配管部23、および内部出湯管51は、たとえば1次熱交換器2Aの伝熱管20aと同様に銅製である。
【0020】
水抜き用配管部3は、1次および2次熱交換器2A,2Bの凍結防止用の水抜き、あるいはメンテナンス作業時における水抜きに利用されるものであり、その材質は、ステンレスである。この水抜き用配管部3は、連結用配管部23に上端部が接続され、かつこの接続部分から下向きに延びている。この水抜き用配管部3の下端開口部は、外装ケース14の外部に位置する排水口30であり、この部分には、止水用の栓体31が装着されている。栓体31は、本発明(請求項1)でいう止水手段の具体例に相当し、たとえば図5を参照して後述する栓体7と同様な構成とすることが可能である。この栓体31は、排水口30から排水がなされる状態と、この排水が停止された状態とを切り替えることが可能に開閉できればよい。したがって、栓体31としては、水抜き用配管部3の下端部に螺合装着されることによって排水口30を閉塞可能なものとし、この栓体31を水抜き用配管部3から取り外すことによって、排水口30が開放状態となって排水がなされるといった構成とすることも可能である。
【0021】
水抜き用配管部3と連結用配管部23との連結部分の構造は、たとえば図2に示すような構造である。すなわち、連結用配管部23には、水抜き用開口部23aが設けられている。この水抜き用開口部23aの周縁にはバーリング加工による下向きの円筒部23bが形成され、この円筒部23bには、フランジ40aを備えた短寸の筒状体40が接合されている。水抜き用配管部3は、その上端にフランジ32が一体に形成され、かつ凸状段部33に係止されたリング体34とフランジ32との間にシール用のOリング35が介装された構成を有している。水抜き用配管部3は、その上部が筒状体40内に嵌入された状態において、止め具41を利用して筒状体40からの抜け止めが図られている。止め具41としては、既知の構造のもの(たとえば特開2006−266651号公報の図6に示すクイックファスナと称される止め具と同様な構造)であり、その詳細は省略するが、金属製のクリップ状であって、フランジ40aに係止した状態で筒状体40の外周に装着可能である。水抜き用配管部3は、リング体34の下部が止め具41に係止することにより、下方への脱落が阻止されている。筒状体40は、腐食を徹底して防止する観点からすると、水抜き用配管部3と同様なステンレス製とすることが好ましいものの、これに限定されない。筒状体40の内部は、水抜き用配管部3の上端部と略同等高さであって、連結用配管部23の内部に接近して連通しているため、この筒状体40の内部には、後述する洗浄作業に用いられた洗浄液WLが滞留したままになることは殆どないと考えられるからである。
【0022】
次に、前記した温水装置WH1の作用について説明する。
【0023】
まず、給湯動作は、入水口50aに供給された湯水が2次熱交換器2Bの伝熱管20b、連結用配管部23、1次熱交換器2Aの伝熱管20aを順次流通するとともに、バーナ10が燃焼駆動することにより行なわれる。伝熱管20a,20bは、燃焼ガスから顕熱および潜熱を回収するために、熱回収効率を高くすることが可能である。次いで、前記とは異なり、温水装置WH1を冬季において長期間運転停止させる際の凍結防止を図るための水抜きや、メンテナンス作業時の水抜きは、たとえば図3(a)に示すようにして行なわれる。すなわち、温水装置WH1からの水抜きは、入水口50aおよび出湯口51aを
開放状態とし、入水口50aから出湯口51aに到る湯水流通経路内の湯水を外部に流出させる。その際、栓体31を取り外し、または緩めることにより、水抜き用配管部3の排水口30を開状態とし、連結用配管部23からも水抜きを行なう。このことにより、入水口50aや出湯口51aのみでは水抜きが困難な部分の水抜きを適切に実行することができる。なお、水抜き作業に際しては、入水口50aや出湯口51aから排水を行なわせる手段に代えて、内部入水管50や内部出湯管51に水抜き用の栓(図示略)を別途設けておき、入水口50aへの給水を停止させた状態で前記水抜き用の栓を開状態としてこの部分から排水させる手段を採用することもできる。
【0024】
温水装置WH1が、硬水地域で使用される場合、伝熱管20a,20bや、その他の湯水流通経路内にスケール(缶石)が発生し易く、缶石詰まりを生じる虞がある。これを防止するための手段としては、図3(b)に示すような洗浄作業を行なえばよい。この洗浄作業では、入水口50aおよび出湯口51aにホース(配管部材)60,61を接続し、ポンプPを利用して洗浄液WLを入水口50aに送り込む。水抜き用配管部3の栓体31は閉じておく。洗浄液WLは、たとえば酢酸またはその水溶液であり、入水口50aに供給された洗浄液WLは、給湯動作時における湯水流通経路と同一経路を流通し、出湯口51aから洗浄液用の容器62に戻される。このような洗浄液WLの循環供給を行なうことにより、伝熱管20a,20b内やその他の湯水流通経路中に発生したスケールを除去することが可能である。前記した洗浄作業後には、入水口50aに給水管55を接続してから上水を入水口50aに供給し、伝熱管20a,20bやその他の湯水流通経路中に存在する洗浄液WLのパージを図る。
【0025】
洗浄液WLのパージを図るための再洗浄作業を行なったとしても、水抜き用配管部3から洗浄液WLを適切にパージすることは難しく、水抜き用配管部3に酢酸成分が残留する場合がある。栓体31を開状態とすれば、水抜き用配管部3内の再洗浄が可能であるが、作業者がそのような操作をし忘れたり、あるいはその操作が面倒であるといった理由からそのような操作をあえてしない場合も想定し得る。従来であれば、水抜き用配管部3内に洗浄液WLが残留していると、水抜き用配管部3が腐食する虞があったが、本実施形態では、水抜き用配管部3が耐酸性に優れたステンレス製とされているために、前記した腐食の虞を適切に解消し、ユーザなどに対して安心感を与えることが可能である。
【0026】
前記した実施形態においては、水抜き用配管部3の材質をステンレスとしているが、要は、水抜き用配管部は、耐酸性を有する材質であればよい。したがって、水抜き用配管部については、たとえば耐酸性を有する樹脂製パイプ、あるいは内面に耐酸性を有する樹脂やその他の材質のコーティング層を形成した銅製パイプを用いて構成することも可能である。連結用配管部に対して水抜き用配管部の上端部を連結するための手段は、とくに限定されるものではなく、たとえばそれらを螺合連結(ネジ結合)させたり、あるいはロウ付けするといった手段を採用することもできる。
【0027】
水抜き用配管部3に設けられる止水手段は、栓体31について述べたのと同様に、要は、水抜き用配管部3の下端の排水口30から排水がなされる状態と、その排水が停止された状態とを切り替え可能であればよい。したがって、前記止水手段としては、ネジ体状あるいはキャップ状の栓体に代えて、たとえばボールバルブのようなバルブを用いることもできる。
【0028】
図4および図5は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0029】
図4および図5に示す温水装置WH2は、連結用配管部23に設けられた水抜き用開口部23aに装着された略円筒状のハウジング8、このハウジング8に螺合装着された栓体
7、およびこの栓体7に一端部(上端部)が連結された操作用管体部9を備えている。
【0030】
ハウジング8および栓体7は、本発明(請求項3)でいう止水手段の具体例に相当する。ハウジング8内には、水抜き用開口部23aに連通する流路80が形成されており、この流路80は、図5(a)に示すように、栓体7が上昇することにより閉状態となり、同図(b)に示すように、下降することにより開状態となる。流路80が開状態となったときには、流路80を通過した水は、栓体7に設けられた孔部70を通過して操作用管体部9内を下向きに流れるようになっている。
【0031】
操作用管体部9は、本発明でいう操作手段の一例に相当し、この操作用管体部9の下端部は、外装ケース14の外部に位置するように設けられ、かつ操作部90として構成されている。この操作部90は、操作用管体部9の下端部に、たとえば作業者がレンチなどを用いて回転操作することが可能な部材90aを取り付けることにより構成されている。この操作部90を回転させることにより、栓体7を回転させつつ上昇または下降させて、流路80を開閉させることが可能である。操作用管体部9は下部開口部91を有しており、図5(b)に示すように、栓体7の孔部70を下向きに通過した水については、下部開口部91から外装ケース14の外部に排水可能である。
【0032】
本実施形態によれば、通常時においては、図5(a)に示すように、栓体7を利用してハウジング8内の流路80を閉塞しておけばよい。このことにより、連結用配管部23内の湯水が水抜き用開口部23aから外部に排水されないようにすることができる。一方、温水装置WH2内の水抜きを行なう場合には、操作部90を操作し、図5(b)に示すように、ハウジング8内の流路80を開状態とすればよく、このことによって連結用配管部23内の湯水を操作用管体部9内に流入させてから外装ケース14の外部に排水することができる。図3(b)に示した洗浄作業と同様に、温水装置WH2の伝熱管20a,20bやその他の湯水流通経路を洗浄液WLを利用して洗浄する場合には、図5(a)に示すように、ハウジング8内の流路80を閉状態としておけばよい。このことにより、操作用管体部9内に洗浄液WLが流入することはなく、この操作用管体部9がたとえば銅製パイプを用いて構成されている場合であっても、この操作用管体部9が洗浄液WLに起因して腐食し易くなるといった不具合はない。
【0033】
前記実施形態においては、水抜きを行なう際に、連結用配管部23内の湯水が操作用管体部9内を通過して外装ケース14の外部に排出されるために、外装ケース14の内部が水で濡れることを防止することが可能である。ただし、本発明では、そのような構成に代えて、水抜きを行なう際に、水抜き用開口部23aを通過した湯水が外装ケース14の外部に導かれることなく、外装ケース14内において排水されるように構成することもできる。したがって、本発明でいう操作手段としては、必ずしも連結用配管部23のように排水ガイド機能を備えた管体部材を用いなくてもよく、要は、外装ケースの外部から止水手段を開閉可能な構成であればよい。
【0034】
水抜き用開口部に装着される止水手段は、外装ケースの外部に設けられた操作手段の操作によって開閉し、開状態時には連結用配管部内の湯水を外部に排水可能である一方、閉状態時には前記排水を阻止可能であればよい。したがって、前記止水手段としても、ネジ体状などの栓体に代えて、たとえばボールバルブのようなバルブを用いることができる。
【0035】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る温水装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0036】
本発明でいう加熱用ガスとしては、燃焼ガス以外のガスを用いることもできる。たとえば、コージェネレーションシステムの燃料電池あるいはガスエンジンなどから排出され、
顕熱および潜熱を含む排ガスなども、加熱用ガスとして利用することができる。本発明でいう温水装置とは、湯を生成する機能を備えた装置の意であり、一般給湯用、風呂給湯用、暖房用、あるいは融雪用などの各種の給湯装置、および給湯以外に用いられる湯を生成する装置を広く含む。
【符号の説明】
【0037】
WH1,WH2 温水装置
2A 1次熱交換器
2B 2次熱交換器
3 水抜き用配管部
7 栓体(止水手段)
8 ハウジング(止水手段)
9 操作用管体部(操作手段)
14 外装ケース
20a,20b 伝熱管(1次および2次熱交換器の)
23 連結用配管部
23a 水抜き用開口部
30 排水口(水抜き用配管部の)
31 栓体(止水手段)
80 流路(ハウジング内の)
90 操作部
91 下部開口部(操作用管体部の)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結用配管部を介して互いに連結された伝熱管を有し、かつ加熱用ガスから顕熱および潜熱を回収することにより前記伝熱管内に供給される湯水を加熱することが可能な1次および2次熱交換器と、
これら1次および2次熱交換器を囲む外装ケースと、
前記連結用配管部に設けられ、かつ前記1次および2次熱交換器の各伝熱管内の水抜きを行なうときに前記連結用配管部内の水をその外部に排水させるための水抜き用開口部と、
を備えている、温水装置であって、
前記水抜き用開口部に一端部が接続され、かつ他端部が前記外装ケースの外部に配されて止水手段が設けられた構成とされ、前記連結用配管部内から前記水抜き用開口部を通過した湯水が前記外装ケースの外部に排水される状態と、この排水が阻止された状態とを、前記止水手段の開閉により切り替え可能な水抜き用配管部を備えており、
この水抜き用配管部は、耐酸性を有する材質とされていることを特徴とする、温水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温水装置であって、
前記1次熱交換器の伝熱管および前記連結用配管部は、銅製パイプを用いて構成され、
前記水抜き用配管部は、ステンレス製もしくは樹脂製パイプ、または内面に耐酸性を有するコーティング層が設けられた銅製パイプを用いて構成されている、温水装置。
【請求項3】
連結用配管部を介して互いに連結された伝熱管を有し、かつ加熱用ガスから顕熱および潜熱を回収することにより前記伝熱管内に供給される湯水を加熱することが可能な1次および2次熱交換器と、
これら1次および2次熱交換器を囲む外装ケースと、
前記連結用配管部に設けられ、かつ前記1次および2次熱交換器の各伝熱管内の水抜きを行なうときに前記連結用配管部内の水をその外部に排水させるための水抜き用開口部と、
を備えている、温水装置であって、
前記水抜き用開口部に装着された止水手段と、
この止水手段を前記外装ケースの外部からの操作によって開閉可能であり、前記連結用配管部内の湯水が前記水抜き用開口部を通過して排水される状態と、この排水が阻止された状態とを切り替え可能な操作手段と、
を備えていることを特徴とする、温水装置。
【請求項4】
請求項3に記載の温水装置であって、
前記止水手段は、前記水抜き用開口部に装着され、かつ前記水抜き用開口部に連通する流路を内部に形成している筒状のハウジングと、このハウジングに螺合装着された栓体と、を備えており、
前記操作手段は、前記栓体に一端部が接続され、かつ他端部が前記外装ケースの外部に位置する操作部として構成された操作用管体部を備えており、
前記操作部が回転操作されて、前記栓体が回転しつつ進退動作を行なうことにより、前記流路は開閉可能であり、かつ前記流路が開状態となったときには、前記連結用配管部内の水が前記操作用管体部内を通過して前記外装ケースの外部に排水される動作が可能な構成とされている、温水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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