説明

温熱治療器

【課題】安価で小型の家庭でも使用可能であって、温熱治療効果も十分期待できる温熱治療器を提供する。
【解決手段】鉱物粉を練り込んだゴム・シートないしはゴム・プレートに難燃剤を配合したゴム基材6に赤外線や遠赤外線などの光線を放射する鉱物や岩石の粉末を練り込み、それを加温する熱源(電熱ヒータ)8を組み合わせたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遠赤外線や赤外線(以下、赤外線類と言う)を放射する鉱物や岩石(以下、鉱物類と言う)を利用した温熱治療器に関するものである。
【0002】
鉱物類は加熱すると赤外線類を放射することがわかっている。鉱物類の中にはトルマリンのように多量の赤外線類を放射するものも発見されている。
【0003】
「石焼いも」が古くからの赤外線類の利用例である。また近年、赤外線類を利用する製品が多く開発、上市されていて、医療やヘルスケア、農業など生命に係わる分野で大きく貢献している。
【背景技術】
【0004】
最近ブームになった赤外線類利用サービスとして岩盤浴がある。これは、赤外線類を多量に放射する岩石を蒸気などの熱源で温め、その岩石から放射される赤外線類を身体に浴びて血行を改善し、凝りや張り、痺れあるいは慢性的な疾病を快癒させるのに効果を発揮している。従来型のドライ・サウナでも、昨今では赤外線類を放射する鉱物をバーナーなどで加熱することも多くなってきた。
【0005】
ほかに赤外線類を利用したものとして赤外線ランプがあり、整形外科のリハビリ・ルームや接骨院などの治療器として使用されている。赤外線ランプは局所利用が一般で、全身治療には向いていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では岩盤浴場やサウナ場として大きな設備を構えなければならず、日常的に家庭で使用できるものではなく、設備の大きさから当然価格も高いものである。本発明は、安価、コンパクトであって、市井の岩盤浴場と同じ、あるいはそれ以上の効果を家庭内で得られる温熱治療器の提供を目的としている。
【0007】
治療用赤外線ランプも高価で、家庭での収納性を問われるほど大きい。また、火傷を回避するため赤外線放射源の高出力化が不可欠で装置が大掛かりになると指摘されている(特開2006−55484号)。治療範囲が局所的であることも欠点のひとつであり、全身治療には向いていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
赤外線類を放射する鉱物類を0.1μm〜100μmに粉砕したものをゴムに練り込む。こうすることによって、ゴムの可塑性と弾性を利用して様々な形態をとることが可能となる。
【0009】
使用するゴム類にはシリコーン系ゴム、アクリル系ゴムあるいはエラストマーゴムなどが適切ではあるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
ゴム100部に対して練り込む鉱物類などの粉末は、2部〜50部を範囲とするが、鉱物粉が少ないと赤外線類の放射量を期待できず、鉱物粉が多すぎるとゴムが脆くなるので、練り込む鉱物粉は10部〜40部程度が好ましい。鉱物粉を40部あるいはそれ以上練り込むには、100μm程度の大きめの粉末を利用すると練りこみやすい。
【0011】
混練りについては手技によって混ぜることも可能ではあるが、大量に均質に混ぜるには混練り器を使うことが望ましい。また混練り時にエアを含ませないためには脱気装置付き真空混練り器の使用が最も望ましい。
【0012】
本発明では鉱物粉を練り込んだゴム・シートないしはゴム・プレート(以下、ゴム・シート類と言う)を成型する。成型は目的の大きさの枠に鉱物粉と難燃剤を練り込んだゴムを流しいれ、スプレダーを用いて広げることによって目的の大きさのゴム・シート類を得る。
【0013】
鉱物類からの赤外線類の放射量は温度に依存する。すなわち、鉱物類の温度が高ければ高いほど赤外線類の放射量は多い。そこで、本発明では鉱物類の粉末を練り込んだゴム・シート類と温度調整装置付き電熱ヒーターを組み合わせる(図2)。
【0014】
ゴム・シート類と電熱ヒータを組み合わせたものを、表布(例えばフェルト)で包むが、その表布表面で約30℃(中)、最高で約50℃(高)に制御できるコントローラーを装着する。
【0015】
万が一の過熱による出火を防止するため、ゴム・シート類には成型前に難燃剤も練り込んでおく。難燃剤はジシアンジアミド、ホウ砂などが利用しやすいが、これらに限定されるものではない。固形、あるいは油系液体の難燃剤であれば使用可能であるが、ハロゲン系難燃剤は民生用を標榜する本発明には不向きである。難燃剤の添加量はその難燃効果を十分発揮する量でよく、難燃剤メーカーが推奨する添加量とする。
【0016】
本発明は、以上の構成による温熱治療器である。
【発明の効果】
【0017】
赤外線類を放射する鉱物粉をゴムに練り込むことにより、任意の形と任意の大きさ、任意の厚さに成型することが可能となった。
【0018】
また、難燃剤を使用することにより、電熱ヒータの使用が安全となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0020】
シリコーン・ゴム(横浜ゴム製)100部に、赤外線類を多量に放射する鉱物粉(倉敷市、大手開発株式会社製、粒子サイズ約1μm〜7μm)30部とホウ砂5部を練り込んだ。均一になるまで混練りしたのち、真空脱気装置にて脱気した。
【0021】
厚み2mm(30cm×70cm)に調整した型枠に上記のゴムを流し入れ、スプレッダー(前出、大手開発製)を用いて広げ、一夜放置してゴム・プレートを作成した。
【0022】
上述のゴム・プレート7枚を並べ、210cm×70cm、すなわち人が寝て十分な大きさのプレートを用意した。
【0023】
電熱ヒータ(線長約13m)シート200cm×60cmをゴム・プレートに接着し、ゴム・プレートと電熱ヒータを一体にしたものをつくり、表面をフェルト布で覆った。表布とヒーター、ゴム・プレートはヒーター線を避けて糸で刺し子のように縫合する。製品サイズ201.5cm×70.5cm×1.5cmの温熱治療器が製作された。
【0024】
電熱ヒータは外気温+5℃〜約50℃に調節可能な調節器を備えている。
【0025】
製品サイズは任意であり、ゴム・プレートの厚みを厚くすることによって赤外線類の放射量を増やすことができるが、約200cm×約70cm×約1.5cmのサイズが全身に温熱効果を得る十分かつ適切なサイズと考える。
【0026】
本発明は、以上のような構造である。
これを使用するときは、着衣あるいは診断衣などを着用したままこの上に横たわり、医師、柔道整復師などの指導により、適切な時間と温度で温熱治療を行う。
【0027】
製品サイズを小さく(例えば60cm×30cmあるいは60cm×20cm)することによって、局部的に使用することができる。また、マジック・テープなどの固定具を利用して肘や膝などに巻きつけて使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】 本発明の平面図である。
【図2】 本発明の断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 電源プラグ
2 コントローラー
3 コネクタ
4 本体
5 表布
6 鉱物粉入りゴム・プレート
7 保護布
8 ヒーター線
9 裏布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン系ゴム、エラストマーゴム、アクリル系ゴムあるいは天然ゴム100部に、トルマリンなど、遠赤外線、近赤外線を放射する鉱物やセラミックスを粉砕し得た粉末(0.1μm〜100μm)を2部〜50部混練りし、0.5mm〜4mmの厚さに成型したゴム・プレートを加熱用電気ヒーターと組み合わせた温熱治療器。
【請求項2】
請求項1のゴム・プレートにジシアンジアミド、ホウ砂、水酸化アルミニウムなどの難燃剤を5部〜25部添加したゴム板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−36001(P2010−36001A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222672(P2008−222672)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(508263084)
【Fターム(参考)】