説明

温血動物対象における細胞機能に影響するための電子システム

電力によってアクティブ化可能である電子システムが開示される。システムは、温血哺乳動物対象における細胞機能又は機能障害に影響するのに有用である。システムは、一つ以上の制御可能な低エネルギーHF(高周波数)搬送波信号発生回路、制御情報を受けるための一つ以上のデータプロセッサ又は集積回路、一つ以上の振幅変調信号発生器及び一つ以上の振幅変調周波数制御発生器を含む。振幅変調周波数制御発生器は、振幅変調の周波数を、一つ以上の所定又は既定の基準振幅変調周波数に対して少なくとも1000ppmの精度内、もっとも好ましくは約1ppmの精度内に正確に制御するように適合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温血哺乳動物における細胞機能に影響するための電子システムに関する。特に、本発明は、改善された治療効果及びさらなる治療効果を達成するために、いかに早期に電子システムを修正し、プログラムすることができるのかに関する研究成果に関する。
【0002】
発明の背景
欧州特許EP0592851B1ならびに対応する特許及び特許出願、さらにはそれらの中で引用されている様々な刊行物が参照される。1992年9月25日に米国で優先権出願が出願された時点から(米国特許出願第951563号、現在米国特許第5,441,528号)、不眠症及び/又は不安障害を病む患者に対する非常に低エネルギーの電磁場の効果に関する数多くのさらなる刊行物が生まれている。
【0003】
【表1】

【0004】
上記刊行物は、前記EP0592851B1に記載されている従来の装置、システム及びその使用に関する。しかし、本発明の改良された電子システム及びそのプログラム制御は、中枢神経系(CNS)障害に通じる細胞機能(又は機能障害)に影響するための治療用途だけでなく、特に、他の細胞機能(又は機能障害)に影響する、たとえば温血動物対象におけるガン細胞成長又はその増殖に直接的又は間接的に影響するための治療用途をも見いだすということがわかった。ガン細胞成長に対する直接的又は間接的影響は、ガン細胞形成の予防的回避、細胞機能への影響、たとえばガン細胞成長又はその増殖の阻害に通じることができる白血球機能への影響及び/又は温血動物対象に宿るガン細胞の死滅のいずれかを含むことができるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0005】
文献に記載されている、電磁エネルギー発生装置及びガン細胞を宿す生きた哺乳動物対象を処置するための電磁エネルギーの使用は、1999年6月1日に発行されたBare; James E.への米国特許第5,908,441号及びその中で引用されている参考文献ならびに腫瘍成長の両側への電極の生体内埋め込みを含むいわゆる「NovoCure技術」を含む。しかし、この文献は、本発明に関して求められるような振幅変調高周波数搬送波信号を伴う電磁エネルギーの非常に低いエネルギー放射を考慮していない。
【0006】
1997年11月25日に発行された「Bio-Active Frequency Generator and Method」と題する米国特許第5,690,692号は、周波数シンセサイザに命令して、方形波形を0.001Hzの精度内で有するある特定の正確な周波数信号又は一連の特定の正確な周波数信号で電流を発生させることができるプログラム可能制御を記載している。この特許は、生成された信号の電圧を増幅し、その信号を、対象(哺乳動物又は食品であってもよい)によって保持された又は他のやり方で対象に接続された電極により、ある特定の正確な周波数又は一連の特定の正確な周波数で連続的に対象に印加することを考慮している。ここでもまた、この特許は、本発明に関して求められるような振幅変調高周波数搬送波信号を伴う非常に低いエネルギー放射を考慮していない。
【0007】
発明の概要
本発明の一つの態様においては、電力によってアクティブ化可能である電子システムが提供される。システムは、温血哺乳動物対象における細胞機能又は機能障害に影響するために使用される。システムは、一つ以上の高周波数無線周波数RF搬送波信号を発生させるための一つ以上の制御可能な低エネルギー電磁エネルギー発生回路を含む。プログラムされた制御情報の供給源から制御情報を受けるためのものでもある、一つ以上の発生回路を含む又はそれと通信する一つ以上のマイクロプロセッサ又は集積回路が提供される。一つ以上の発生回路は、一つ以上の高周波数搬送波信号の振幅変調変化を制御するための一つ以上の振幅変調制御信号発生器を含む。一つ以上の発生回路はさらに、振幅変調を生成する周波数を制御するための一つ以上のプログラム可能振幅変調周波数制御信号発生器を含む。一つ以上の振幅変調周波数制御発生器は、本発明の重要な改良点として、振幅変調の周波数を、0.01Hz〜150kHzの範囲内から選択される一つ以上の所定又は既定の基準振幅変調周波数に対して少なくとも1000ppmの精度内に正確に制御するように適合されている。システムはさらに、一つ以上の振幅変調低エネルギー放射を前記正確に制御された変調周波数で温血哺乳動物対象に印加するための導電性アプリケータに接続若しくは結合するための又は接続若しくは結合されるための接続又は結合位置を含む。
【0008】
本明細書で使用する「正確に制御された」とは、変調された低エネルギー電磁放射が、所定又は既定の変調周波数の所期の高周波数(約1000Hz超)のせいぜい約1Hzの分解能の範囲内に変調されるべきであることを意味する。たとえば、温血哺乳動物対象に印加される一つ以上の所定又は既定の変調周波数の一つが約2000Hzであるならば、正確な制御は、そのような変調された低エネルギー放射が約1999〜約2001Hzの間の周波数で生成されることをもたらすべきである。しかし、ガン細胞を宿すヒト対象を処置した経験から決定されたことに関して、増殖を制止する又はそのような細胞を死滅させる目的では、正確な制御は、所期の所定又は既定の変調周波数の約0.5、より好ましくは約0.1、さらに好ましくは約0.01、もっとも好ましくは約0.001Hzの分解能をもたらすことが好ましい。
【0009】
重要であることは、放射の要件が、非常に低く安全なエネルギーレベルにあり、低レベルの吸収しか生じさせないということである。理由は、温血動物(本発明の放射の印加によって影響される)内での電気的衝撃の生理学的交換又は流れが同様に非常に低いレベルにあるからであると考えられる。いずれにしても、領域(導電性アプリケータと処置を受ける対象との接触又は隣接誘導の位置又はその近く)において、比吸収率(SAR)は、生きた組織1gあたり1.6milliWであるべきであり、もっとも好ましくは1.6milliWよりも実質的に低い。
【0010】
さらに、所期の生物学的治療効果を達成するために重要であることは、放射の安定度が放射の間に維持されることであり、そのような安定度は、好ましくは10-5、より好ましくは10-6、もっとも好ましくは10-7のオーダであるべきである。安定度は、周波数の相対偏差÷所望の周波数として求められ、たとえば0.01Hz(偏差)/1,000Hz(所望の周波数)=10-5である。
【0011】
前記EP0592851B1ですでに記載したように、システムは、アプリケーション記憶装置から制御情報がロードされるマイクロプロセッサ(より最近では、集積回路によって置き換えられてもよい)を含む。そして、マイクロプロセッサ(又は今や代替的に集積回路)はシステムの機能を制御して所望の治療用放射を発生させる。同じく記載されているものは、放射を患者に印加するための、低エネルギー電磁放射の放射装置とプローブ(ここでは、より広い意味で、導電性アプリケータと記す)との間に接続されたインピーダンス変成器のシステムへの提供である。インピーダンス変成器は、放射回路から見られる患者のインピーダンスを放射回路の出力のインピーダンスと実質的に整合させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図2に示す電子回路のための例示的なケーシング構造、アプリケータ13(患者の口の中に配置するのに適したプローブとして例示)及びたとえばEP0592851B1の図12〜17に記載され、例示された性質の情報記憶装置に含まれることができるような情報源52から情報を受信するためのインタフェース16(レシーバに置き換えることもできる)を示す図である。
【図2】図1の例示的なケーシング構造に含まれることができる例示的回路のブロック図である。この図2は、点線ブロック106によって示される変調可能な発振器の正確な制御を可能にする高精度変調周波数発生器31(デジタルダイレクトシンセサイザ又はDDSと呼ぶ)を含むことにより、EP0592851B1の図2とは本質的に異なる。
【0013】
EP0592851B1の各図面及びその詳細な説明を参照する。その多くは、図2の回路に含まれることができるコンポーネントを例示するものである。
【0014】
たとえば、EP0592851B1の図3は、本願図2の回路に含まれるDDS変調周波数発生器31によって置き換えられる変調信号発生器31の詳細図である。
【0015】
EP0592851B1の図4は、本願図2の回路で使用することができる変調信号緩衝器及び搬送波発振回路の詳細図である。
【0016】
EP0592851B1の図5は、本願図2の回路に含まれることができる振幅変調(AM)・パワー発生器34及び出力フィルタ39の詳細例である。
【0017】
EP0592851B1の図6は、本願図2の回路に含まれることができるインピーダンス変成器14の詳細例である。
【0018】
EP0592851B1の図7は、本願図2の回路に含まれることができる放射センサ53の詳細例である。
【0019】
EP0592851B1の図8は、本願図2の回路で使用することができる出力パワーセンサ回路54の詳細例である。
【0020】
EP0592851B1の図9は、本願図2の回路に含めることができる表示モジュール又は情報出力17の詳細例である。
【0021】
EP0592851B1の図10は、本願図2の回路に含めることができる充電器付き電源制御回路57の詳細例である。
【0022】
EP0592851B1の図11a〜dは、図1及び2のシステムの動作方法の例示的フローチャートである。
【0023】
詳細な説明
図1を参照すると、本発明の変調低エネルギー電磁放射印加システム11が示されている。先行する米国特許第4,649,935号及び第4,765,322号に記載されているように、このようなシステムは、低エネルギー無線周波数(RF)電磁波を温血哺乳動物対象に印加することを含む低エネルギー放射治療(LEEF、Symtonic社又は同社の後継社の商標)の実施に有用であることが証明されている。印加は、中枢神経系(CNS)障害、たとえば汎発性不安障害、パニック性障害、不眠症を含む睡眠障害、精神障害、たとえばうつ病、強迫性障害、物質乱用から生じる障害、社会病質、心的外傷後ストレス障害又は中枢神経系の他の障害及びそれらの組み合わせを病む温血哺乳動物対象を処置する有効な形態であることが証明された。
【0024】
システムは、一つ以上の電磁放射を温血哺乳動物対象に印加するための導電性アプリケータ12、13を含む。アプリケータの一つの形態は、処置を受ける対象の口の中に挿入される導電性プローブ又はマウスピース13からなることができる。プローブ13は、同軸ケーブル12及びインピーダンス整合変成器14を介して電磁エネルギー放射装置(図2をも参照)に接続されている。
【0025】
以前、対象者への導電性アプリケータの効率的な接続は、たとえば口、鼻、眼、尿道、肛門及び膣の腔又は表面に配置されることによって患者の粘膜に適用されるように適合されたプローブによってしか達成することができないと考えられていた。しかし、今、実際には、導電性アプリケータと患者の皮膚とのより簡単な物理的接触により、患者への十分な放射印加を達成することができることがわかった。患者への放射は、たとえば、患者への導電、誘導、容量又は放射結合によって達成することができる。患者の皮膚との間接的な物理的接触を含む、有効であることがわかった結合の例は、患者の耳の上又は中に配置される絶縁アプリケータである。このようにして患者に伝達される放射は、容量もしくは放射手段又はそれらの組み合わせによるものであることができる。患者の口の中に配置される必要のない装置の重要な利点は、患者が処置時間中にも明瞭に話すことができ、日常生活の活動中に処置を受けることができるということである。したがって、処置はより扱いやすく、より長期間にわたり適用することができ、患者コンプライアンスの向上につながることができる。
【0026】
電子システム11はまた、アプリケーション記憶装置52、たとえば磁気媒体、半導体媒体、光学媒体もしくは機械的にコード化された媒体を受けるように適合された、又は所望のタイプの低エネルギー放射治療が患者に適用されるようにシステム11の動作を制御するために使用される制御情報でプログラムされた放射のプログラムされたプログラム可能装置、たとえばコンピュータ又はインタフェースもしくはレシーバ16に接続するためのコネクタ又はカプラを含む。
【0027】
アプリケーション記憶装置52は、インタフェース16に適用されると、システム11が所望の低エネルギー放射治療を適用する機能を制御するように作動するマイクロプロセッサを備えることができる。あるいはまた、アプリケーション記憶装置52は、システム11内のマイクロプロセッサ21と組み合わせて使用されるマイクロプロセッサを備えることができる。そのような場合、装置52内のマイクロプロセッサは、記憶装置52とシステム11とのインタフェースを支援することもできるし、セキュリティチェック機能を提供することもできる。
【0028】
システム11はまた、システム11の動作の様々な指示を表示することができる表示装置17を含むことができる。加えて、システム11は、場合によってはユーザインタフェース21A(図2を参照)によって置き換えられるオン/オフ電源ボタン18及び19を含むことができる。
【0029】
図2を参照すると、本発明のシステム11の例示的な電子回路のブロック図が示されている。データプロセッサ、たとえばマイクロプロセッサ又は集積回路21が、電子システム11のための制御装置として作動し、たとえばアドレスバス22、データバス23及び/又は入出力ライン25を介してシステム11の様々なコンポーネントを制御するために接続されている。図2のブロック図は、EP0592851B1の図2に比較して、システム11内で正確で安定な変調周波数発生器として作動するデジタルダイレクトシンセサイザ(DDS)31として知られるものを含むことにより、変更されている。例示的なDDS装置がAnalog Devices(Norwood, MA 02062-9106, USA)から市販されている(部品番号AD9835)。この装置は数値制御発振器であり、位相変調及び周波数変調のための変調能力が提供されている。「DAC付きプロセッサ」と題する点線ブロック102によって示されるように、DDSの機能はまた、デジタル・アナログ変換器(DAC)を有するマイクロプロセッサ21と組み合わされることもできる。
【0030】
マイクロプロセッサ21は、好ましくは、コード化された制御プログラム及び一時データの動作のための内部記憶装置を含む。加えて、マイクロプロセッサ21は、入出力ポート及び内部タイマーを含むことができる。マイクロプロセッサ21は、マイクロコントローラ、たとえばIntel社(Santa Clara, CA 95054-1549, USA)から市販されているマイクロコントローラ8048又は8051であることができる。
【0031】
マイクロプロセッサ21のタイミングは、使用されるマイクロプロセッサの具体的なタイプに適したクロック周波数で作動させることができるシステムクロック発振器26Aによって提供される。例示的なクロック周波数は約8.0MHzである。発振器26Aは、正確な変調周波数の安定度を確保する基準周波数発振器26によって置き換えられることができる。また、RF(無線周波数)発振器32をこの目的に使用することもできる。発振器の組み合わせが、「発振器」と題する点線ブロック104によって示されている。
【0032】
EP0592851B1の図11a〜dを参照すると、マイクロプロセッサ21のための例示的な作動プログラムがフローチャートで示されている。一般に、マイクロプロセッサ21は、制御可能な電磁エネルギー発生回路29を制御して、アプリケータ又はプローブ13を介して対象に印加するための所望の形態の変調された低エネルギー電磁放射を発生させるように機能する。
【0033】
「制御可能な発生回路」と題する点線ブロック29は、DDS変調周波数発生器31及び搬送波信号発振器32を含む。マイクロプロセッサ21は、EP0592851B1でさらに詳細に説明されているように、発振器ディスエーブルライン33を介して制御可能な発生回路29をアクティブ化又は非アクティブ化するように作動する。制御可能な発生回路29はまた、搬送波発振器32によって搬送波信号ライン36上に生成される搬送波信号を、変調信号発生回路31によって変調信号ライン37上に生成される変調信号で振幅変調するように作動するAM変調・パワー発生器34を含む。DDS変調周波数発生器31の機能と、点線ブロック102によって示されるDAC付きプロセッサ21との組み合わせが、出力ライン33及び37を組み合わせて単一の信号を生成することを可能にする。この組み合わせはさらに、同じくEP0592851B1で説明されているように、任意の形状の随意又は周期波形を生成することを可能にする。
【0034】
AM変調・パワー発生器34は、変調搬送波信号ライン38上に振幅変調された搬送波信号を生成し、その信号が放射装置出力フィルタ回路39に印加される。フィルタ回路39は、パワー放射センサ54、同軸ケーブル12及びインピーダンス変成器14を介してプローブ又はアプリケータ13に接続されている。
【0035】
マイクロプロセッサ21は、インタフェースライン25を介して制御可能な発生回路29のDDS変調信号発生回路31を制御する。
【0036】
EU0592851B1に例示され、記載されているように、マイクロプロセッサ21は、変調波形記憶装置43に記憶された所望の波形を選択することができ、また、選択された変調信号を検索するために、波形アドレス発生器41を制御して、変調信号記憶装置43に印加されるアドレスのシーケンスを波形アドレスバス42上に生成する。EP0592851B1に記載された実施態様において、所望の変調信号は、変調信号記憶装置43から検索され、デジタル形態で変調信号バス44に印加される。変調信号バス44は波形発生器及びDAC46に印加され、これがデジタル変調信号をアナログ形態に変換する。そして、このアナログ変調信号が選択フィルタ47に印加され、このフィルタが、DAC46によって変調信号ライン20上に生成された波形を平滑化するために、マイクロプロセッサ21の制御の下、抵抗器48ならびにキャパシタ49及び51を含む可変フィルタネットワークの使用により、アナログ変調信号をろ波する。
【0037】
さらなる実施態様の可能性は、点線ブロック102「DAC付きプロセッサ」と、点線ブロック104「発振器」又は発振器26及び26Aの組み合わせとの組み合わせである。そのような組み合わせを用いる場合、EP0592851B1に記載されたハードウェア解決手段を、プロセッサ102中で、複数の出力33及び37又はこれらの信号を組み合わせる単一の出力を用いて内部的に実現することができる。
【0038】
EP0592851B1からの上記実施態様は、一部、DDS変調周波数変調器31の機能によって置き換えられる。しかし、様々な波形の放射が望ましいと判断されるならば、EP0592851B1に記載された変調信号記憶装置43及び波形発生器46を含めることが望ましいであろう。そして、様々な変調信号波形を変調信号記憶装置43に記憶することができる。うまく使用される波形としては、方形波形又は正弦波形がある。他の可能な変調信号波形としては、整流正弦、三角又は他の波形及び上記すべての組み合わせがある。
【0039】
制御可能な発生回路29の動作を制御するためにマイクロプロセッサ21によって使用される特定の変調制御情報はアプリケーション記憶装置52に記憶される。アプリケーション記憶装置は、好都合には、情報を含む又は受けるためのコンピュータである。あるいはまた、EP0592851B1で図12、13、14及び15を参照しながら例示され、説明されているアプリケーション記憶装置を選択することもできる。
【0040】
インタフェース16は、使用される具体的なアプリケーション記憶装置52のために適切に構成されている。インタフェース16は、マイクロプロセッサ21が制御可能な発生回路29を制御して所望の変調低エネルギー放射を生成することを可能にするために、アプリケーション記憶装置52に記憶された制御情報を、マイクロプロセッサ21のメモリ内に記憶するために使用可能な形態に変換する。
【0041】
インタフェース16は、アプリケーション記憶装置52に記憶された情報を直接読むこともできるし、様々な公知の通信リンクの使用によって情報を読むこともできる。たとえば、無線周波数、マイクロ波、レーザ、電話、インタネット又は光学ベースの通信リンクを使用して、情報を、インタフェース又はレシーバ16とアプリケーション記憶装置又はコンピュータ52との間で転送することができる。
【0042】
システム11は、図2のブロック21aに含まれるユーザ識別装置を含むことができる。好都合には、そのような装置は、図示するように、インタフェース16を介して一つ以上のデータプロセッサ又は集積回路と通信する。ユーザ識別装置は、任意のタイプ、たとえば指紋読み取り装置であることができる。このような読み取り装置は、たとえばLenovo(70563 Stuttgart, Germany)から市販されている(部品番号73P4774)。
【0043】
アプリケーション記憶装置又はコンピュータ52に記憶された制御情報は、アプリケータ又はプローブ13を介して対象に印加される変調された低エネルギーRF電磁放射の様々な制御可能なパラメータを指定する。このような制御可能なパラメータとしては、たとえば、搬送波の周波数及び振幅、搬送波の変調の振幅及び周波数及び波形、放射の期間、放射のパワーレベル、放射のデューティサイクル(すなわち、処置中に印加されるパルス化放射のオン期間とオフ期間との比)、特定の用途に関する異なる変調周波数の印加順序ならびに特定の対象に関して規定される合計処置回数及び各処置の期間ならびにそれらの組み合わせがあるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0044】
たとえば、搬送波信号及び変調信号は、搬送波信号が約1GHz未満、好ましくは約1MHz〜約900MHzのスペクトル周波数成分を含み、変調信号が約0.01Hz〜150Hzのスペクトル周波数成分を含む振幅変調信号でアプリケータ又はプローブ13を駆動するように選択することができる。一つ以上の変調周波数を同時に放射又は順序付けして変調信号を形成することもできる。
【0045】
さらなる特徴として、放射センサ53を設けて、搬送波発振器32の周波数の電磁放射の存在を検出することもできる。放射センサ53は、所望の周波数の電磁放射が存在するかどうかの指示をマイクロプロセッサ21に提供する。すると、マイクロプロセッサ21は、たとえば表示装置17上にエラーメッセージを表示する、制御可能な発生回路29を作動不能にするなどにより、適切な措置を講じる。
【0046】
好ましくは、アプリケータ又はプローブ13を介して対象に印加されるパワーの量を、対象から戻る又は反射するパワーの量と比較して検出するパワーセンサ54が含まれる。この比は、治療セッション中のシステムの適切な使用を示す。パワーセンサ54は、パワーセンサライン56を介して、患者から反射したパワーの量に対する、アプリケータ又はプローブ13を介して患者に印加されるパワーの量の指示をマイクロプロセッサ21に提供する。
【0047】
パワー感知ライン56上に提供された指示は、たとえば、印加パワーのレベルを検出し、制御し、患者に適用され、患者が受けた実際の処置に関する情報をアプリケーション記憶装置52上に記録するために、マイクロプロセッサ21によってデジタル化され、使用されることができる。そして、そのような情報を医師又は他の臨床専門家が使用して、患者の処置コンプライアンス及び効果を評価することができる。そのような処置情報としては、たとえば、所与の期間に適用される処置の回数、各処置の実時間及び日時、処置の試行回数、処置コンプライアンス(すなわち、処置セッション中にアプリケータ又はプローブが定位置にあったかどうか)及び特定の変調周波数の累積線量を挙げることができる。
【0048】
印加されるパワーのレベルは、好ましくは、患者によって吸収されるエネルギーの比吸収率(SAR)が組織1kgあたり約1マイクロワット〜組織1kgあたり約50ワットになるように制御される。好ましくは、パワーレベルは、組織1kgあたり約100マイクロワット〜組織1kgあたり約10ワットのSARを生じさせるように制御される。もっとも好ましくは、パワーレベルは、組織1kgあたり約1ミリワット〜組織1kgあたり約100ミリワットのSARを生じさせるように制御される。これらのSARは、患者のいずれの組織におけるものであってもよいが、好ましくは、中枢神経系の組織又は患部組織におけるものである。
【0049】
システム11はまた、バッテリ・充電回路57及びバッテリ電圧変化検出器58を含む給電回路を含むことができる。
【0050】
RF搬送波発振器32は約27MHzのRF搬送波周波数を発生させる。本発明の他の実施態様は、約48MHz、約433MHz又は約900MHzのRF搬送波周波数を考慮する。一般に、搬送波発振器32によって生成されるRF搬送波周波数は、約1GHz未満、好ましくは約1MHz〜約916MHzのスペクトル周波数成分を有する。記載した実施態様は、搬送波発振器周波数が、ひとたびセットされると、実質的に一定であることを考慮しているが、搬送波発振器32によって生成される搬送波周波数は可変性であり、マイクロプロセッサ21により、記憶又は伝送された制御情報の使用によって制御可能であることもできる。
【0051】
搬送波発振器32は搬送波信号ライン36上に搬送波信号を発生させ、この搬送波信号が、信号ライン37上で運ばれる変調信号によって変調される。
【0052】
発振器ディスエーブルライン33は、適切なディスエーブル信号を発振器ディスエーブルライン33に印加することにより、マイクロプロセッサ21が発振器32からの信号を作動不能にすることを可能にする。
【0053】
AM変調・パワー発生器34の出力は信号ライン38上に現れる。この変調された信号は、変調・パワー発生回路34の副作用から生じる搬送波高調波を実質的に減少又は除去する放射装置出力フィルタ39に通して印加される。
【0054】
AM変調・パワー発生器34及び放射装置力フィルタ39の出力は、同軸ケーブル12の50オームインピーダンスに整合するよう50オーム出力インピーダンスを有するように設計されることができる。
【0055】
インピーダンス計測により、プローブ13が患者の口の中に適用される場合、プローブ/対象の組み合わせが約150+j200オームのオーダの複素インピーダンスを示すということが測定された。インピーダンス変成器14が、この複素インピーダンスを同軸ケーブル12の50オームインピーダンス、したがってAM変調器34及び出力フィルタ39の出力インピーダンスと整合させるように働く。これがパワー伝達を促進し、反射を最小限にする。
【0056】
上記構成は、口の粘膜に結合する接触プローブのために最適化されたものである。さらなる例において、外耳道に結合する導電性の分離されたプローブが約433MHzの周波数で使用されている。そのような周波数バンドにおける異なるプローブ設計及びこの結合方法により、整合する要素(EP0592851B1に記載されている79及び81)の値は異なり、省略することさえできる。その場合、アプリケータ又はプローブ13は、容量カプラ又は容量性負荷に整合されたアンテナとみなすことができる。
【0057】
EP0592851B1に記載のように、図11a〜dのフローチャートを参照すると、マイクロプロセッサ21は、パワー感知ライン56上に現れる信号を解析して、患者に印加されるパワーの量を測定し、制御し、患者の処置コンプライアンスを支援し、おそらくは、患者の処置コンプライアンスの証拠をアプリケーション記憶装置52上に記録して、医師又は他の臨床専門家によるその後の解析及び評価に備えることができる。
【0058】
患者に対して実施される処置の例は、脳、膀胱、直腸結腸、腎臓、中皮、神経内分泌、肝臓、肺、乳房、卵巣、膵臓、前立腺及び甲状腺の腫瘍タイプを含むものであった。処置は、非常に高い精度及び安定度で約0.2〜約23,000Hzの範囲の特定に画定された周波数で振幅変調された約27.12MHzのRF信号を印加することを含むものであった。指定されたタイプの腫瘍の場合の処置モード(正確に制御された特定のAM周波数における)のさらなる例を以下さらに詳細に記載する。
【0059】
以下は、本発明の電子装置の使用に関するさらなる刊行物の概要である。
【0060】
実施例A
進行腫瘍における治療用振幅変調電磁場(THERABIONIC)のフェーズI試験
Boris Pasche1, Alexandre Barbault1, Brad Bottger2, Fin Bomholt3, Niels Kuster4
1Cabinet Medical de l'Avenue de la Gare 6, CH-1003-Lausanne, Switzerland
2Danbury Hospital, Danbury, CT-06810
3SPEAG, Zurich, CH-8004-Zurch, Switzerland
4IT'IS Foundation, Swiss Federal Institute of Technology, Zurich, Switzerland
【0061】
背景
インビトロ研究が、低レベルの振幅変調電磁場が細胞成長を変化させることができることを示唆する。ガン細胞成長を阻止することができる特定の周波数が識別されている。低レベルの振幅変調電磁場を印加することができるポータブルなプログラム可能装置が開発された。この装置は、0.2〜23,000Hzの範囲のガン特異的周波数で高精度に振幅変調された27.12MHz無線周波数信号を放射する。装置はスプーン状のカプラに接続され、処置中、そのカプラが患者の口の中に配置される。
【0062】
方法
1日3回各40分間の処置からなるフェーズI試験を実施した。2004年5月から2006年9月まで、固形進行腫瘍の患者24名にご参加登録いただいた。メジアン年齢は57.0±12.2歳であった。16名は女性であった。2007年1月時点で5名がなおも治療中であった。13名は腫瘍進行のせいで死亡し、2名は経過観察不可能になり、1名は同意のうえ脱退した。もっとも一般的な腫瘍タイプは、乳ガン(7)、卵巣ガン(5)及び膵臓ガン(3)であった。22名がそれ以前に全身性治療を受けており、16名は試験参加以前に腫瘍進行が実証されていた。
【0063】
結果
メジアン治療期間は15.7±19.9週であった(範囲:0.4〜72.0週)。NCIグレード2、3又は4の毒性は見られなかった。3名は、処置中及び直後にグレード1の疲労を感じた。12名は、試験参加前に激しい痛みを報告していた。うち2名は処置によって痛みの有意な軽減を報告した。13名において他覚的応答を評価することができ、うち6名は腫瘍マーカの上昇をも示した。さらなる6名が腫瘍マーカでしか評価することができなかった。試験参加時に進行性の疾患をもっていた患者のうち、1名が、>14.4週で、CEA、CA125及びCA15−3における>50%低下を伴う部分的応答を示し(それまで未処置であった転移性乳ガン)、1名が、34.6週間、安定した病状を示し(追加情報)、1名が、12.4週間、CA19−9における50%低下を示した(再発性膵臓ガン)。参加登録時に病状が安定であった患者のうち、4名が、17.0、>19.4、30.4及び>63.4週間、安定な病状を維持した。
【0064】
結論
本処置は、進行ガンに対する安全かつ有望な新規理学療法である。これらの結果を確証するためにフェーズII試験及び分子研究が進行中である。
【0065】
実施例B
進行肝細胞ガン(HCC)の処置における治療用振幅変調電磁場(THERABIONIC)のフェーズII試験
Fredehco P Costa1, Andre Cosme de Oliveira1, Roberto Meirelles Jr1, Rodrigo Surjan1, Tatiana Zanesco1, Maria Chstina Chammas1, Alexandre Barbault2, Boris Pasche2
1Hospital das Clinicas da Faculdade de Medicina da Universidade de Sao Paulo, Sao Paulo, Brazil.
2Cabinet Medical Avenue de la Gare 6, CH-1003-Lausanne, Switzerland
【0066】
背景
フェーズIデータは、実施例Aの装置で口内投与された、特定の周波数で振幅変調された低レベルの電磁場が進行ガンに対して安全かつ潜在的に効果的な処置であることを示唆する。装置は、0.2〜23,000Hzの範囲のガン特異的な周波数で高精度に振幅変調された27.12MHzのRF信号を放射する。装置は、処置中、患者の口の中に配置されるスプーン状のカプラに接続される。治療の選択肢が限られる進行肝細胞ガンHCCの患者に対し、HCC特異的周波数の組み合わせによる処置を提供した。
【0067】
方法
2005年10月から2006年10月まで、進行HCC患者38名にフェーズII試験にご協力いただいた。患者は、病状進行又は死亡まで、1日3回各40分間の処置を受けた。メジアン年齢は64.0±14.2歳であった。32名が男性であり、22名は、試験参加前に病期進行(POD)が実証されていた。
【0068】
結果
2007年1月の時点で、12名がなおも治療中であり、20名はガン進行のせいで死亡し、2名は経過観察不可能になり、3名は同意のうえ脱退した。27名が応答に適格であった。試験参加時にPODが実証されていた患者における部分応答(PR)又は安定な病状(SD)によって定義される全他覚的応答率は31.6%であった。3PR及び9SD。メジアン生存率は20.7週であり、メジアン治療期間は17.5週であった。13名が6ヶ月超、治療を受けた。メジアン応答期間は12.9週であった。12名が試験参加時に痛みを報告した。うち8名(66%)が処置中に痛みの軽減を感じた。NCIグレード2/3/4の毒性は見られなかった。1名がグレード1粘膜炎及びグレード1疲労を発症した。
【0069】
【表2】

【0070】
結論
進行HCC患者において、本処置は、抗腫瘍効果を有し、大多数の患者において痛みの軽減を提供する、安全かつ効果的な新規治療選択肢である。
【0071】
したがって、高周波数搬送波信号の振幅変調の周波数及び安定度の正確な制御のための手段を含む本発明の電子装置は、様々なタイプの進行形態のガンを病む患者の処置のための安全かつ有望な新規理学療法を提供する。
【0072】
以下、高周波数搬送波信号の振幅変調の周波数を制御する上記正確に制御された振幅変調周波数の例を、処置を受ける対象に宿るガン又は腫瘍のタイプとともに記載する。
【0073】
実施例1
乳ガンの処置に使用されたAM周波数(これまでで188の周波数を包含)
【0074】
【表3】



【0075】
実施例2
肝臓ガンの処置に使用されたAM周波数(これまでで162の周波数を包含)
【0076】
【表4】



【0077】
実施例3
卵巣ガンの処置に使用されたAM周波数(これまでで273の周波数を包含)
【0078】
【表5】





【0079】
実施例4
前立腺ガンの処置に使用されたAM周波数(これまでで183の周波数を包含)
【0080】
【表6】



【0081】
実施例5
腎臓ガンの処置に使用されたAM周波数(これまでで36の周波数を包含)
【0082】
【表7】

【0083】
実施例6
甲状腺ガンの処置に使用されたAM周波数(これまでで110の周波数を包含)
【0084】
【表8】

【0085】
実施例7
膀胱ガンの処置に使用されたAM周波数(これまでで28の周波数を包含)
【0086】
【表9】

【0087】
実施例8
大腸ガンの処置に使用されたAM周波数(これまでで100の周波数を包含)
【0088】
【表10】

【0089】
実施例9
膵臓ガンの処置に使用されたAM周波数(これまでで166の周波数を包含)
【0090】
【表11】



【0091】
実施例10
肺ガンの処置に使用されたAM周波数(これまでで80の周波数を包含)
【0092】
【表12】

【0093】
実施例11
平滑筋肉腫の処置に使用されたAM周波数(これまでで36の周波数を包含)
【0094】
【表13】

【0095】
実施例12
中皮腫の処置に使用されたAM周波数(これまでで16の周波数を包含)
【0096】
【表14】

【0097】
実施例13
神経内分泌の処置に使用されたAM周波数(これまでで30の周波数を包含)
【0098】
【表15】

【0099】
実施例14
白血病及び慢性リンパガンの処置に使用されたAM周波数(これまでで17の周波数を包含)
【0100】
【表16】

【0101】
実施例15
骨髄腫、多発性ガンの処置に使用されたAM周波数(これまでで20の周波数を包含)
【0102】
【表17】

【0103】
実施例16
ホジキン病(リンパ腫)の処置に使用されたAM周波数(これまでで19の周波数を包含)
【0104】
【表18】

【0105】
実施例17
脳ガンの処置に使用されたAM周波数(これまでで57の周波数を包含)
【0106】
【表19】

【0107】
上記実施例は、低エネルギー電磁放射励起に暴露された対象による生理学的応答(特定の明確に画定されたAM周波数における)の非常に実質的な観察及び計測を含むバイオフィードバック手法によって決定されたAM周波数を反映する。一般に、指示された形態のガンを病む対象の処置においては、記載された周波数のすべてを印加することが推奨される。しかし、記載された周波数の限られた数でも有利な効果につながる。
【0108】
上記周波数、特に、多数の周波数を含む実施例に関して注目すべきことに、先に、記載された周波数のすべてではなく一部の印加によって有利な治療効果が達成されるということがわかった。しかし、以下、より拡大された試験において、さらなる周波数の対象への印加が、腫瘍が治療に対して耐性になっている患者において処置の効能を高め、治療効果を生み出すということがわかった。したがって、決定された記載の周波数のすべてを対象に印加することが好ましい。さらなる周波数を含む機構は、印加周波数間又は処置によって影響された細胞間の相互作用的相乗効果及びさらなる周波数の付加的効果のいずれか又は両方に起因する。
【0109】
さらに注目すべきことは、同じタイプの腫瘍細胞成長を病む異なる患者が同じ十分に画定されたAM周波数で実質的に不変的に上述の生理学的応答を示すという事実である。さらには、記載された周波数からごくわずかしか異ならない(高めの周波数で0.0001%未満)AM周波数は、一般に、そのような非常にわずかにしか異ならない周波数での励起に暴露された対象による生理学的応答を顕在化させない。これらの判断を考慮して、本発明の電子システムは、広い範囲の周波数にわたって生理学的応答に関して対象をスクリーニングして、腫瘍細胞の有無を決定し、陽性である場合、どの画定された周波数で生理学的応答が顕在化するのかを記録するように適合させることができる。これらの周波数は一般に、上記実施例のいずれか又は開発されうるようなそのようなさらなる例で記載される画定された周波数と整合し、したがって、腫瘍の性質が知られる。したがって、本発明の電子システムは、腫瘍細胞成長又はガンのタイプの有無及び正体を診断するための貴重な診断ツールである。さらには、本発明の電子システムは、患者が一連の所与の変調周波数の印加から恩恵を受けるかどうかを予測するのに貴重である。したがって、システムは、処置に対する応答を予測する能力を有し、それにより、処置の最適形態を選択する可能性を高める。
【0110】
明確に画定された周波数の連続は、好ましくは、各周波数ごとに所定の期間、たとえば三秒間、順次に印加されるが、いくつかの周波数を同時に印加してもよい。これは、180の周波数を含む印加のサイクルがほぼ10分の時間を要することを意味する。しかし、明確に画定された個々の周波数を異なる期間印加する、たとえばいくつかの周波数に関しては3秒間印加し、いくつかの周波数に関しては6秒間印加するなどにより、有利な効果を生じさせることもできる。
【0111】
腫瘍細胞成長又はガンの存在を病む対象に印加される治療線量は、対象への低エネルギー電磁放射の印加の時間によって決まり、ガンの性質及び対象の全体的状態に依存する。しかし、一般に、最大の経験は、余命が約3ヶ月以下であると予想され、化学療法又は放射線処置のような代替形態のガン処置を打ち切ることに合意した末期患者を処置した場合に得られた。このような重篤な症例では、長い処置時間、たとえば1日3回各1時間の処置が推奨される。しかし、代替形態の印加、すなわち、口内プローブによる以外の印加の開発とともに、連続的印加が可能であり、コンプライアンス及び処置の効能を改善することがあり得る。
【0112】
具体的な実施態様に関して本発明を説明したが、他の代替、改変及び変形が当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、特許請求の範囲の真意及び範囲に入るそのような代替、改変及び変形をすべて包含するものと解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力によってアクティブ化可能であり、温血哺乳動物対象における細胞機能又は機能障害に影響するためのものであり、一つ以上の高周波数搬送波信号を発生させるための一つ以上の制御可能な低エネルギー電磁発生回路(29)、一つ以上の発生回路(29)を含む又はそれと通信し、制御情報源(52)から制御情報を受けるためのものである一つ以上のデータプロセッサ又は集積回路(21)を含み、前記一つ以上の発生回路(29)が、一つ以上の高周波数搬送波信号の振幅変調変化を制御するための一つ以上の振幅変調制御信号発生器(34)を含み、一つ以上の制御可能な低エネルギー電磁発生回路(29)がさらに振幅変調を生成する周波数を制御するための一つ以上のプログラム可能振幅変調周波数制御信号発生器(31)を含むものであり、一つ以上の振幅変調された低エネルギー放射をプログラム制御された周波数で温血哺乳動物対象に印加するための導電性アプリケータ(12、13)に接続するための接続又は結合位置(12a)をさらに含む電子システム(11)であって、前記一つ以上のプログラム可能振幅変調周波数制御発生器(31)が、振幅変調の周波数を、0.01Hz〜70kHzの範囲内から選択される一つ以上の所定又は既定の基準振幅変調周波数に対して少なくとも1000ppmの精度内に正確に制御するように適合されていること、さらには、前記制御情報源(52)が、実施例A、B及び1〜17のいずれか一つに記載された正確に画定された基準振幅変調周波数の少なくとも有意な割合(50%超)又は前記正確に画定された周波数もしくはさらなる正確に画定された周波数のすべて又はそれらの組み合わせを含む基準振幅変調周波数制御情報を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
生成される一つ以上の振幅変調の周波数が、一つ以上の所定又は既定の基準振幅変調周波数に対して100ppmの精度内に制御可能である、請求項1記載のシステム(11)。
【請求項3】
生成される一つ以上の振幅変調の周波数が、一つ以上の所定又は既定の基準振幅変調周波数に対して10ppmの精度内に制御可能である、請求項2記載のシステム(11)。
【請求項4】
生成される一つ以上の振幅変調の周波数が、一つ以上の所定又は既定の基準振幅変調周波数に対して約1ppmの精度内に制御可能である、請求項3記載のシステム(11)。
【請求項5】
生成される振幅変調低エネルギー電磁放射が、放射中、少なくとも10-5の安定度に維持される、請求項1〜4のいずれか1項記載のシステム(11)。
【請求項6】
少なくとも10-6の安定度が維持される、請求項5記載のシステム(11)。
【請求項7】
少なくとも10-7の安定度が維持される、請求項6記載のシステム(11)。
【請求項8】
一つ以上の制御可能な発生回路(29)が、生成される様々な形態の振幅変調波形につながる振幅変調制御信号によって制御可能である、請求項1〜7のいずれか1項記載のシステム(11)。
【請求項9】
振幅変調波形が、正弦波形、方形波形、三角波形又はそれらの複数の組み合わせから選択される、請求項8記載のシステム(11)。
【請求項10】
一つ以上の発生回路(29)が、複数の振幅変調波形を順次又は同時に生成する振幅変調制御信号によって制御可能である、請求項8又は9記載のシステム(11)。
【請求項11】
一つ以上の発生回路(29)によって生成される高周波数搬送波信号が、約27MHz、433MHz及び900MHzから選択される一つ以上の高周波数から選択される、請求項1〜10のいずれか1項記載のシステム(11)。
【請求項12】
一つ以上のデータプロセッサ又は集積回路(21)と通信する一つ以上のインタフェース又はレシーバ手段(16)を含み、制御情報が、一つ以上のインタフェース又はレシーバ手段(16)、ひいては一つ以上のデータプロセッサ又は集積回路(21)に転送可能であって、受信された制御信号に応答するコマンド信号が一つ以上のデータプロセッサ又は集積回路(21)によって一つ以上の発生回路(29)に通信されることを可能にする、請求項1〜11のいずれか1項記載のシステム(11)。
【請求項13】
制御情報が、電話、インタネット、無線又は他の手段により、一つ以上のデータプロセッサ又は集積回路(21)と通信する一つ以上のインタフェース又はレシーバ手段(16)を介して一つ以上のデータプロセッサ又は集積回路(21)に転送可能又は伝送可能である、請求項12記載のシステム(11)。
【請求項14】
制御情報が情報記憶装置(52)に記憶され、制御情報が、一つ以上のデータプロセッサ又は集積回路(21)と通信する一つ以上のインタフェース(16)を介して一つ以上のデータプロセッサ又は集積回路(21)に転送可能である、請求項12又は13記載のシステム(11)。
【請求項15】
一つ以上のデータプロセッサ又は集積回路(21)の少なくとも一つと通信して、システム(11)がそのユーザによる使用の場合のみアクティブ化又は使用されることを可能にするユーザ識別装置(21a)を含む、請求項1〜14のいずれか1項記載のシステム(11)。
【請求項16】
一つ以上の発生回路(29)によって生成される振幅変調低エネルギー電磁放射の振幅及び振幅変調周波数をモニタリングするためのモニタリングソフトウェアを含むモニタ(54)を含む、請求項1〜15のいずれか1項記載のシステム(11)。
【請求項17】
所定又は既定の振幅変調周波数制御情報が、対象を一連の振幅変調周波数で振幅変調された高周波数搬送波信号の放射に暴露することによって対象の細胞機能が励起されたとき又はその時間の間の対象による生理学的反応の観察又は計測を含むバイオフィードバックプロセスによって決定又は事前に決定される、請求項1〜16のいずれか1項記載のシステム(11)。
【請求項18】
所定又は既定の周波数が、温血哺乳動物対象が宿す腫瘍又はガンの性質を識別するためのモードとして使用される、請求項17記載のシステム(11)。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−522051(P2010−522051A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500133(P2010−500133)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002379
【国際公開番号】WO2008/116640
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(509266963)
【氏名又は名称原語表記】PASCHE,Boris
【出願人】(509267340)
【氏名又は名称原語表記】BARBAULT,Alexandre
【Fターム(参考)】