説明

測位システムの衛星配列の監視システム

本発明は、衛星(S1)により地球(T)へ向かって発せられる測位信号を受信できるように衛星配列(2)の衛星(S1)の高度より低い高度で軌道(O2)内に配列される少なくとも1つの監視衛星(S2)を備え、かつ上記受信される測位信号の完全性を上記信号からその目的で分離されている位置情報を用いて検証するように意図された処理ユニット(11)を備える監視システム(1)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星配列を監視するためのシステムに関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、通常の衛星測位システムの、例えばGALILEO、GPSまたはGLONASS型の(測位)衛星から着信する測位信号をチェックすることに関する。
【背景技術】
【0003】
周知であるように、衛星測位システムは、地球を周回する平均高度軌道(約25,000km)上に配列されている衛星の位置(配列)を備える。このような衛星およびその軌道は、概して、技術上各々「MEO衛星」および「MEO軌道」と称される(MEOは「中軌道」)。MEO衛星は幾つかの軌道面内に一様に分散され、よって、地球上の任意の地点でユーザは、ユーザに直に接続されている幾つかのMEO衛星(少なくとも3つであるが、ユーザが自らの高度を知りたいと思えば4つ)を見て、これらからユーザ固有の地球座標を推測することができる。各MEO衛星は、高安定性および高精度の原子時計並びに(共通参照に回復された)修正時間および衛星の天体暦を含む測位信号をユーザへ送信する電子機器を搭載している。幾つかのMEO衛星から受信されるこのような測位信号から、ユーザは、様々な可視衛星までのその距離を決定し、よってこれから地球座標におけるその位置を推測する。本発明の目的は、このような測位信号の完全性をチェックすることにある。
【0004】
通常の解決策は、そのための専用である地上局を使用することが知られている。このような固定局は、場合により受信信号における結合マッチングエラーを検出するように(測位信号を介して)衛星から受信される情報をそれらの正確に知られている有効位置と永続的に比較する。局所的偏差である可能性のあるものは、情報を処理し且つ間違った測位信号を送信する衛星を識別する1つまたは複数のコントロールセンタへ送信される。受信された測位信号からのこのような品質情報は後にユーザへ送信され、よってユーザはその測位計算においてこれらの間違った信号を無視する。
【0005】
受信される測位信号における誤差の原因は、以下の2つの大きなカテゴリに等級付けされることが可能である。
− 衛星に起因する共通の誤差。このような誤差は主として、時間参照を与える衛星搭載時計の定偏、衛星の軌道パラメータの定偏または衛星搭載の処理異常に起因する。
− 大気を介する信号の伝搬に起因、および/または局所的な複数経路現象に起因する局所的誤差。このような誤差は時間と共に変化し、限定数のユーザにしか同時的に影響せず、物理的な自然現象に依存することから補正手段を持たないオペレータに直接的な責任はない。
【0006】
衛星測位システムは全て、地球の位置を計算するために衛星から発せられる測位信号の到着時間差の測定値を使用すること、および上述の誤差のカテゴリは両方とも同じ効果、即ちユーザにより受信される信号の時間誤差を有することから、局所的な伝搬誤差と衛星から送信される信号の時間誤差とが混同されやすい。このような曖昧性を抑えようとして、専用の処理センタは地上の多くの局から着信する情報を収集し、基本的には統計学的な計算を介して、局所的な誤差部分から共通誤差部分を分離する。実際に、全てのユーザへ送信される価値のあるものは、1つまたは複数の衛星から着信するものである共通の誤差部分のみである。このように複雑な処理は、全ての局に共通する部分から1つまたは複数の局に局所的な部分(複数経路に繋がる電離層の影響または幾何学的配列等)を曖昧性なしに区別するために十分な情報を待機しなければならない面があることから時間がかかるが、そしてその原因は単に1つまたは複数の衛星上でのみ究明され得る。
【0007】
間違っている衛星の確実な特定が完了するまで、全てのユーザはその測位計算を誤り、特に移動デバイスの場合は過酷な結果が生じる可能性がある。このような測位システムの何れのオペレータにとっても、そのシステムの品質をユーザに保証することを視野に入れれば、間違った(衛星)測位信号の識別時間を短縮することが優先事項である点は容易に理解される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述の欠点を解決することにある。本発明は、例えばGPS、GALILEOまたはGLONASS型の測位システムに属する衛星配列により発せられる測位信号を監視すると共に、上述の欠点の矯正を可能にするように意図される監視システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明によれば、上記監視システムは、
− 衛星により地球へ向かって発せられる測位信号を受信するように上記衛星配列の衛星の高度より低い高度で軌道内に配列される少なくとも1つの監視衛星であって、上記監視衛星は少なくとも以下の衛星搭載手段、即ち、
・ 上記衛星配列の衛星によって発せられる測位信号を直に受信できる少なくとも1つの受信機と、
・ 上記受信される測位信号の完全性を、これらの測位信号から独立している測位情報を用いてチェックし、衛星が間違った測位信号を発している事例を決定するように構成される少なくとも1つの処理ユニットと、
・ 場合により、間違った測位信号を有する上記衛星配列の衛星を指示する完全性データを地球へ発することができる少なくとも1つのエミッタとを備えるものと、
− 上記監視衛星を制御し、その軌道を決定し且つこのような監視衛星により発せられる完全性データを受信できる手段を備えるために地球上に配列されている少なくとも1つのコントロールセンタと、
− 地球上に配列されている少なくとも1つの完全性メッセージ配信センタであって、上記センタは、
・ 上記コントロールセンタから送信される、監視衛星からの完全性データを受信するための手段と、
・ このような完全性データから、測位システムの上記衛星配列の衛星に関する完全性メッセージを決定するための手段と、
・ このような完全性メッセージをユーザへ発するための手段とを備えるものと
を備えることにおいて優れている。
【0010】
従って、本発明によれば、測位システムの衛星配列を監視するために地上に設けられる固定局を使用する代わりに、監視システムは、衛星配列の衛星により発せられる(且つ測位システムのユーザ向けである)測位信号を受信できるように前記衛星配列の衛星の高度より低い高度に位置決めされている、但し本明細書において先に述べたもの等の、より具体的には局所的な複数経路現象または伝搬遅延に起因する局所的誤差の発生を防止するように軌道内に配列されている少なくとも1つの監視衛星を使用する。
【0011】
この結果、より具体的には、監視されている測位システムの1つまたは複数の衛星により発せられる間違った測位信号を自律的且つ迅速に曖昧性なしに検出することを、この目的のために上記測位信号から独立している測位情報を用いて可能にする特に信頼性の高い監視システムが達成される。
【0012】
ある好適な実施形態において、上記監視システムは、全て配列の衛星より低い軌道に配列されて上述の機能を実装する、本明細書において先に述べたもの等の複数の監視衛星を備える。
【0013】
効果的には、各監視衛星はさらに、衛星配列の衛星により発せられる上記測位信号を用いることなく(上記コントロールセンタから受信される情報によって)上記監視衛星の空間内の第1の位置を決定することを可能にする衛星搭載補助手段を備え、この処理ユニットは、
― 衛星配列の衛星から受信される上記測位信号によって少なくとも1つの第2の位置を計算するための第1の手段と、
― 上記第1および第2の位置間を比較するための第2の手段と、
― 場合により、上記比較から間違った測位信号の存在を推測するための第3の手段とを備える。
【0014】
さらに、ある好適な実施形態において、
− 上記第1の手段は、複数の第2の位置を計算するように構成され、上記第2の位置は各々、上記衛星配列の衛星のサブグループから受信される測位信号を用いて計算され、上記サブグループは各々、予め決められた第1の同数の衛星(例えば、4衛星)を含み、任意の2つのサブグループは共通して毎度最大で第2の既定数の衛星(例えば、2衛星)を有し、
− 上記第2の手段は、これらの第2の位置の各々を上記第1の位置と比較するように構成され、
− 上記第3の手段は、場合により、上記第2の手段により実装される比較の結果および上記サブグループの組成を用いて間違った測位信号を有する衛星を決定するように構成される。
【0015】
さらに、各監視衛星は、上記受信機に関連づけられ、複数経路を回避するように位置合わせされ、且つ(上記監視衛星の構造体上での測位信号の反射または回折による)望ましくない伝搬モードを除去してアンテナによる信号受信を妨害し得る最も頻繁な現象を除去できるようにするために1つの電磁防護スクリーンで包囲されている単一の受信アンテナを追加的に備える。
【0016】
ある好適な実施形態において、上記1つまたは複数の監視衛星は、以下の軌道、即ち、
− 電離層の緻密層の高度より高い高度を有していて、測位信号が電離層の緻密層を通過する結果として電離層遅延が発生することを回避できるようにし、および/または、
− 誤差の検出精度を最大限に高めるように、上記衛星配列の衛星の軌道平面とは異なる平面を有する軌道に配列される。
【0017】
さらに、ある好適な実施形態において、上記コントロールセンタおよび配信センタは同じ場所に位置決めされ、単一の同じ管理センタに帰属する。
【0018】
さらに、効果的には、上記コントロールセンタは、さらに、
− 上記監視衛星の各々を遠隔制御するための手段と、
− このような監視衛星に搭載されている処理ユニットを監視および更新するために上記衛星の軌道パラメータを計算するための手段とを備える。
【0019】
さらに、効果的には、上記配信センタは、完全性メッセージを、このような情報の使用を適切な復号手段を装備している(例えば契約に加入している)特定の顧客に限定するように、発信に先行して符号化するための符号化手段をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による監視システムの概略構成図である。
【図2】本発明による監視システムに属する監視衛星に搭載されている主要手段を示す略図である。
【図3】本発明による監視衛星の処理ユニットを示すブロック図である。
【図4】コントロールセンタの主要手段を示す略図である。
【図5】配信センタの主要手段を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付図面の図により、本発明がどのように実施されるかが明確に理解される。これらの図中、同一符合は、同一要素を示す。
【0022】
本発明による、図1の略示的な構成に従って示される監視システム1は、例えばGALILEO、GPSまたはGLONASS型、並びにEGNOSS等の増大する衛星の通常の衛星測位システムを監視するためのものである。
【0023】
図1は、単に、このような測位システムの衛星配列2を表している。このような衛星配列2は、地球Tを周回する軌道内で概して平均高度(約20,000kmから25,000km)を有する軌道O1に配列されている複数の衛星S1を含む。
【0024】
本発明による監視システム1の目的は、より具体的には、測位システムのこのような衛星配列2の衛星S1により発せられる測位信号を監視することにある。通常、このような測位信号が、測位システムのユーザによってその位置および場合によりその速度をさらに具体的に決定するように使用されることは周知である。
【0025】
本発明によれば、この目的のために、上記監視システム1は、
− 少なくとも1つの、但し好適には複数の監視衛星S2であって、このような監視衛星S2は、矢印Eが示すように多数の衛星S1により地球Tへ発せられる測位信号を受信するように、地球Tを周回する軌道内に、上記衛星配列2の衛星S1の高度(約20,000から25,000m)より低い、例えば2,000から3,000mまでの範囲内の高度を有する軌道O2で配列されるものと、
− 地球T上に配列されている、上記監視衛星S2を制御し且つ上記監視衛星S2により発せられる完全性データを受信できる手段4を備える少なくとも1つのコントロールセンタ3であって、コントロールセンタ3と監視衛星S2との間のデータ伝送リンクL1は通常型であり、電磁波を基礎とするものと、
− 地球T上に配列される少なくとも1つの完全性メッセージ配信センタ5であって、これは、図5に示されているように以下の手段、即ち、
・ 上記監視衛星S2から発せられ、上記コントロールセンタ3により伝送される完全性データを受信するための手段6と、
・ このような完全性データから、測位システムの上記衛星配列2の衛星S1に関する完全性メッセージを決定するための手段7であって、このような完全性メッセージは、場合により、間違った測位信号を発する衛星S2を明確に識別するものと、
・ このような完全性メッセージをユーザへ発するための手段8と
を有するものとを備える。
【0026】
よって測位システムのユーザは、完全性メッセージにおいて識別された衛星S1により受信される測位信号を無視し、完全なものである衛星信号S1のみを使用することが可能である。
【0027】
さらに、本発明によれば、システム1の監視衛星S2の各々は、図2に示されているように、少なくとも以下の衛星搭載手段を備える。
― 少なくとも1つの受信機9であって、関連づけられるアンテナ10を介して、上記衛星配列2の衛星S1により発せられる測位信号を受信できるものと、
― 少なくとも1つの処理ユニット11であって、リンク12を介して受信される上記測位信号の完全性を、このような測位信号から独立している測位情報(後述する)を用いてチェックするように構成されており、さらに、このような処理ユニット11は、場合により、間違った測位信号を発している衛星S1を決定するようにも構成されるものと、
― 少なくとも1つのエミッタ13であって、リンクL1によって示されているように、処理ユニット11から(リンク15を介して)受信され、場合により、その測位信号が間違っている上記衛星配列2の衛星S1を指示する完全性データを関連のアンテナ14によって地球Tへ発することができるもの。
【0028】
従って、監視システム1は監視されている測位システムの完全性を独立式にチェックすることができ、衛星S1により発せられる測位信号の品質に関する情報を、より具体的には上記測位システムのユーザへ情報通信することができる。
【0029】
固定式の地上局ではなく監視衛星S2を使用することにおけるより具体的な利益は、このような監視衛星S2から受信される測位信号に例えば複数経路等の任意の局所的誤差がないことにある。従って、このタイプの監視衛星S2を介して、監視システム1は、測位システムの衛星配列2の1つまたは複数の衛星S1により発せられる間違った測位信号の迅速な自律的検出を曖昧性なしに実行することができる。
【0030】
ある特定の実施形態において、上記監視衛星S2は以下の軌道O2、即ち、
− 電離層の緻密層の高度より高い高度を有していて、測位信号が電離層の緻密層を通過する結果として電離層遅延が発生することを回避できるようにし、および/または、
− 誤差検出精度を最大限に高めるように上記衛星S1の軌道O2とは異なる平面を有する軌道O2に配列される。
【0031】
さらに、ある好適な実施形態において、各監視衛星S2は、図2に示されている、その幾つかについては先に述べた以下の機器を搭載している。
− 測位信号のための受信アンテナ10。このようなアンテナ10は、監視衛星S2の構造体上での測位信号の反射または回折による複数経路の可能性がないように位置合わせされる。このため、このようなアンテナ10には、必要であれば、望ましくない伝搬モードを除去し且つこのようなアンテナ10を包囲するように意図されている通常の電磁防護スクリーン(不図示)が装備される可能性もある。
− 測位システムの衛星配列2に関連する監視衛星S2のアンテナ10の位置、並びに時間情報を与える1つまたは複数の受信機9。
− 衛星配列2から独立した時間参照を提供する高安定性の時計16。
− 衛星搭載の受信機9および時計16により(リンク12およびリンク17を介して)送信される情報を処理するための、且つ後述する通り1つまたは複数の測位衛星S1が間違った測位信号を送っているかどうかを検出するように構成されている1つまたは複数の処理ユニット11。
− 測位信号の周波数とは異なる周波数で動作し、処理ユニット11により実装される処理結果を送信するエミッタ13およびそのアンテナ14。
− 任意の衛星の通常のエレメントおよび機能のセット18。セット18の目的は、より具体的には、
・ 監視衛星S2の高度を操り、その軌道O2を修正し、
・ 必要とされる電力を供給し、
・ 衛星搭載機器に適度な熱環境を提供することである。
【0032】
本発明では、監視衛星S2上の衛星搭載処理ユニット11は、衛星S2の管理オペレーション並びに監視ミッション固有のオペレーションを実行する。特に、後者のオペレーションを実行するために、衛星搭載処理ユニット11は、図3に示されている以下の手段を備える。
− 監視されるべき衛星S1の三次元位置および速度を、衛星配列2から受信される測位信号から計算するための手段19。このような信号は、一様に分散されたサブグループにおいて使用される。各サブグループは所定数の衛星、例えば4衛星を備え、そのうちの所定数(例えば2つ)以下の衛星は2つのサブグループに共通している。
− 衛星および衛星搭載時間の軌道パラメータの伝搬を管理するための手段20。このようなパラメータは、まずコントロールセンタ3からロードされる。
− 場合により、その測位信号が間違っている衛星S1を識別する完全性データを生成するための手段21。このような完全性データは、コントロールセンタ3および測位システムのユーザへ送信されるべきものである。
− 衛星搭載ペイロードの異常を検出できるように、監視衛星S2の動作状態、特に、計算されている三次元位置と衛星上で伝搬される三次元位置との整合性を監視するための手段22。
【0033】
このため、単一の衛星S2は1つの受信アンテナ10しか備えないことから単一の衛星S2に幾つもの真の三次元位置は存在し得ないという、監視衛星S2の特徴的性質を用いることが可能である。このような条件は、監視衛星S2の重心が受信アンテナ10の位置に近いことからさらに高精度で満たされるが、このような条件は、典型的には1mに満たないサイズを有し、その高度は数度以内であることが知られている小型衛星の場合に満たされる。衛星S2が有するその重心とその受信アンテナ10との距離がより大きい場合、手段22は、軌道O2上にある重心の推定位置と計算された三次元位置を供給する受信アンテナ10の位置との間の整合性を保つために、衛星S2の高度の関数として修正を実行するための計算手段を備える可能性もある。
【0034】
さらに、本発明によれば、上記手段19は、(既定値より高い)偏差が存在するかどうかを決定するように、各サブグループの計算された3D位置を、上記コントロールセンタ3から受信される監視衛星S2の軌道パラメータから推定された独立位置と比較する。重大な偏差が存在しない場合、処理ユニット11は以下の結論に至る。
− 一方では、軌道パラメータを用いて計算された独立位置は正しく、
− 他方では、このような状況において2つの相殺誤差が存在することは統計学的に不可能であることから、考察対象であるサブグループの衛星により発せられる測位信号は全て信頼できる。
【0035】
補正に際して、重大な偏差が検出されていれば、上記手段19は、どの衛星S1が間違った信号を送信しているかを決定するために回帰計算を実行する。計算原理は、サブグループのうちの1つが推定された独立位置からの重大な偏差を示していれば、このようなサブグループは間違った測位信号を有する少なくとも1つの衛星S1を含んでいる、というものである。従って、このようなサブグループの衛星S1を他のサブグループの衛星に変える一連の作業を実行することにより、上記手段19は、検出された誤差の源に存在する衛星S1を迅速に分離することができる。
【0036】
ある単純化された(不図示の)実施形態において、コントロールセンタ3および配信センタ5は地球T上の同じロケーションに位置決めされ、同じ1つの管理センタに属する。
【0037】
上記コントロールセンタ3は、特に、図4に示されているように、
− 監視衛星S2から発せられる完全性データを受信するための上記手段4と、
− 上記監視衛星S2をリンクS1を介して遠隔制御するための手段24と、
− 上記監視衛星S2の軌道パラメータを計算するためと、このような監視衛星S2上に搭載されている処理ユニット11を更新するための手段25と、
− 図1のリンクL2によって示されているように、配信センタ5へ完全性データを発するための手段26とを備える。
【0038】
上記配信センタ5は、上述の手段6、手段7および手段8に加えて、(手段7により生成される)完全性メッセージを、認証されたユーザまたは料金を支払っているユーザのみがその完全性情報を復号できるように、(手段8により)ユーザへ発せられる前に符号化するための符号化手段28をさらに備える。解読鍵の配信は、通常の安全を保証された手段を介して実行されることが可能である。完全性情報の(ユーザへの)送信は、
− インターネットを介して、または、
− 無線電波を介して、または、
− 既存の手段または特有の手段(ラジオまたはテレビ、通信衛星、EGNOSS、等)を介して、
発生可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位システムに属する衛星配列(2)によって発せられる測位信号を監視するための監視システムであって、上記監視システム(1)は、
− 少なくとも1つの監視衛星(S2)であって、少なくとも以下の衛星搭載手段、即ち、
・ 前記衛星配列(2)の衛星(S1)により発せられる測位信号を直に受信できる少なくとも1つの受信機(9)と、
・ 場合により、その測位信号が間違っている前記衛星配列(2)の衛星を指示する完全性データを地球(T)へ発することができる少なくとも1つのエミッタ(13)とを備える少なくとも1つの監視衛星(S2)と、
− 地球上に配列されていて、前記監視衛星(S2)を制御し且つこのような監視衛星(S2)により発せられる完全性データを受信できる手段(4)を備える少なくとも1つのコントロールセンタ(3)と、
− 地球(T)上に配列されている少なくとも1つの完全性メッセージ配信センタ(5)であって、
・ 前記コントロールセンタ(3)から送信されている監視衛星(S2)からの完全性データを受信するための手段(6)と、
・ このような完全性データから、前記測位システムの前記衛星配列(2)の衛星(S1)に関する完全性メッセージを決定するための手段(7)と、
・ このような完全性メッセージをユーザへ発するための手段(8)とを備える少なくとも1つの完全性メッセージ配信センタ(5)とを備えるものであって、
前記監視衛星(S2)は、軌道(O2)上に、このような衛星(S1)により地球(E)へ発せられる測位信号を受信できるように前記衛星配列(2)の前記衛星(S1)の高度より低い高度で配列されることと、前記監視衛星(S2)はさらに、前記受信される測位信号の完全性を、このような測位信号から独立している測位情報を用いてチェックし、場合により、間違った測位信号を発している衛星(S1)を決定し且つ対応する完全性データを形成するように構成されている少なくとも1つの処理ユニット(11)を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
複数の監視衛星(S2)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
各監視衛星(S2)はさらに、前記監視衛星(S2)の空間内の第1の位置を、前記衛星配列(2)の衛星(S1)により発せられる前記測位信号を用いることなく決定できるようにする衛星搭載補助手段(19)を備えることと、前記処理ユニット(11)は、
− 前記衛星配列(2)の衛星(S1)から受信される前記測位信号によって少なくとも1つの第2の位置を計算するための第1の手段(19)と、
− 前記第1および第2の位置間を比較するための第2の手段(21)と、
− 前記比較から、場合により、間違った測位信号の存在を推測するための第3の手段(21)とを備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
− 前記第1の手段(19)は複数の第2の位置を計算するように構成され、前記第2の位置の各々は前記衛星配列(2)の衛星のサブグループから受信される測位信号によって計算され、前記サブグループの各々は1つの同じ第1の既定数の衛星を備え、任意の2つのサブグループは毎度最大第2の既定数の衛星を共通して有することと、
− 前記第2の手段(21)は、これらの第2の位置の各々を前記第1の位置と比較するように構成されることと、
− 前記第3の手段(21)は、場合により、その測位信号が間違っている衛星を、前記第2の手段(21)により実装される比較の結果および前記サブグループの組成を用いて決定するように構成されることを特徴とする、請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
各監視衛星(S2)はさらに、前記受信機(9)に関連づけられていて、複数経路を回避するように位置合わせされ、望ましくない伝搬モードを除去するために1つの電磁防護スクリーンで包囲されている単一の受信アンテナ(10)を備えることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項6】
各監視衛星(S2)は、電離層の緻密層の高度より高い高度を有する軌道(O2)に配列されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項7】
各監視衛星(S2)は、前記衛星配列(2)の衛星(S1)の軌道(O1)の平面とは異なる平面を有する軌道(O2)に配列されることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項8】
前記コントロールセンタおよび配信センタは同じ場所に位置決めされ、単一の同じ管理センタに属することを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項9】
前記コントロールセンタ(3)は、さらに、
− 各監視衛星(S2)を遠隔制御するための手段(24)と、
− 各監視衛星(S2)の軌道パラメータを計算するためと、各監視衛星(S2)に搭載されている処理ユニット(11)を更新するための手段(25)とを備えることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項10】
前記配信センタ(5)はさらに、完全性メッセージをユーザへ送信される前に符号化するための符号化手段(28)を備えることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の監視システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−507697(P2012−507697A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533797(P2011−533797)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052107
【国際公開番号】WO2010/052414
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(507142074)
【Fターム(参考)】