測位装置、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラム
【課題】測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる測位装置等を提供すること。
【解決手段】上空衛星数情報に示される上空衛星数が前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価手段と、上空衛星数評価手段の判断結果に基づいて、すべての上空衛星から位置関連信号を受信して、各上空衛星からの位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成する信号強度情報生成手段と、信号強度情報に示される信号強度に基づいて、受信チャンネルに上空衛星を割り当てる受信チャンネル割り当て手段と、受信チャンネルによって受信した位置関連信号に基づいて、測位装置の位置の測位を行う測位手段と、を有することを特徴とする測位装置20。
【解決手段】上空衛星数情報に示される上空衛星数が前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価手段と、上空衛星数評価手段の判断結果に基づいて、すべての上空衛星から位置関連信号を受信して、各上空衛星からの位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成する信号強度情報生成手段と、信号強度情報に示される信号強度に基づいて、受信チャンネルに上空衛星を割り当てる受信チャンネル割り当て手段と、受信チャンネルによって受信した位置関連信号に基づいて、測位装置の位置の測位を行う測位手段と、を有することを特徴とする測位装置20。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星からの信号に基づいて測位を行う測位装置、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衛星航法システムである例えば、GPS(Global Positioning System)を利用してGPS受信機の現在位置を測位する測位システムが実用化されている。
そして、その現在位置から観測することができるGPS衛星のうち、仰角の大きいGPS衛星を優先的に選択して捕捉する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
一般に、仰角が高いGPS衛星からの信号は信号強度も大きいので、測位精度が高くなるという利点がある。
【特許文献1】特開平11−316270号公報(図8等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、例えば、建物の内部においては、仰角が高いGPS衛星からの信号は建物の屋根に遮られて信号強度が減衰するため、高仰角のGPS衛星を選択することによって、測位精度を高くすることができないのみならず、むしろ、測位精度が劣化する場合があるという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる測位装置、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、第1の発明によれば、 複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置であって、前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報と前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成手段と、前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成手段と、前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数と、前記受信チャンネルの数を比較する上空衛星数評価手段と、前記上空衛星数評価手段の比較結果に基づいて、すべての前記上空衛星から前記位置関連信号を受信して、各前記上空衛星からの前記位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成する信号強度情報生成手段と、前記信号強度情報に示される信号強度に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる受信チャンネル割り当て手段と、前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位手段と、を有することを特徴とする測位装置により達成される。
【0006】
第1の発明の構成によれば、前記測位装置は、前記信号強度情報生成手段によって各前記上空衛星からの前記位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成することができる。そして、前記測位装置は、前記受信チャンネル割り当て手段によって前記信号強度情報に示される信号強度に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てることができ、さらに、前記測位手段によって、前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行うことができる。
このため、前記測位装置は、前記信号強度が強い前記位置情報衛星からの前記位置関連信号を受信して測位を行うことができる。そして前記信号強度が強い前記位置関連信号を使用することによって、測位精度が向上する。
すなわち、前記測位装置は前記測位装置の前記概略位置を基準とする仰角の大小にかかわらず、前記信号強度が強い前記位置関連信号を使用して測位する。
これにより、前記測位装置は、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記概略位置を基準とする水平線上に前記位置情報衛星が位置する時間間隔以内において規定される受信チャンネル割り当て見直し時間間隔において、少なくとも1つの前記受信チャンネルを使用して前記上空衛星からの前記位置関連信号を受信し、前記信号強度情報を更新する信号強度情報更新手段と、前記信号強度情報更新手段によって更新された前記信号強度情報に基づいて、前記受信チャンネルに割り当てた前記上空衛星を変更する受信チャンネル割り当て修正手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
前記位置情報衛星は、天空の軌道上を移動するから、ある時刻においては、前記位置関連信号は建物などの妨害を受けずにその前記信号強度が強くても、別の時刻においては、前記位置関連信号は建物などの妨害を受けてその前記信号強度が弱くなる場合がある。
この点、第2の発明の構成によれば、前記測位装置は、前記信号強度情報更新手段によって前記信号強度情報を更新することができ、前記受信チャンネル割り当て修正手段によって前記信号強度情報更新手段によって更新された前記信号強度情報に基づいて、前記受信チャンネルに割り当てる前記上空衛星を変更することができる。
すなわち、前記測位装置は、時間経過によって各前記位置情報衛星からの前記位置関連信号の前記信号強度が変化した場合においても、その変化後の前記信号強度に基いて、前記受信チャンネルに割り当てる前記上空衛星を変更することができるから、時間経過にかかわらず、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる。
【0009】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明のいずれかの構成において、前記信号強度情報生成手段及び前記受信チャンネル割り当て手段は、屋内において起動する構成となっていることを特徴とする。
【0010】
屋内においては、前記概略位置を基準とする仰角が大きい前記位置情報衛星からの前記位置関連信号は、建物の屋根などの構造物に妨害されて、前記信号強度が弱くなる場合がある。すなわち、屋内においては、上述の仰角によって前記受信チャンネルに割り当てる前記位置情報衛星を選択すると、弱い前記信号強度の前記位置関連信号に基いて測位を行う結果、測位精度が劣化する場合がある。
これに対して、上述の仰角が小さい前記位置情報衛星からの前記位置関連信号は、建物の側面に位置する例えば、窓などの電波を妨害する程度の低い部分を通過して、屋内に到達する。すなわち、屋内においては、上述の仰角が高い前記位置情報衛星からの前記位置関連信号よりも、仰角が低い前記位置情報衛星からの前記位置関連信号の方が、前記信号強度が強い場合がある。
この点、第3の発明の構成によれば、前記信号強度情報生成手段及び前記受信チャンネル割り当て手段は、屋内において起動する構成となっているから、仰角に基づいて前記位置情報衛星を選択すると測位精度が劣化するような環境において、確実に前記信号強度が強い前記位置情報衛星を選択し、測位精度を向上させることができる。
【0011】
前記目的は、第4の発明によれば、複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置であって、前記測位装置に対して前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報を提供する情報提供装置から前記概略軌道情報を取得する概略軌道情報取得手段と、前記概略軌道情報と、前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成手段と、前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成手段と、前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数が、前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価手段と、前記上空衛星数評価手段の判断結果に基づいて、前記概略位置を基準とする前記上空衛星の仰角に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる仰角基準受信チャンネル割り当て手段と、前記受信チャンネルに割り当てられた前記上空衛星のうち、前記信号強度が最も小さい前記上空衛星を、前記受信チャンネルに割り当てられていない前記上空衛星と入れ替える上空衛星入れ替え手段と、前記受信チャンネルに割り当てられているいずれの前記上空衛星の前記信号強度も、前記受信チャンネルに割り当てられていないいずれの前記上空衛星の前記信号強度以上であるか否かを判断する受信チャンネル割り当て妥当性判断手段と、前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位手段と、を有することを特徴とする測位装置によって達成される。
【0012】
第4の発明の構成によれば、前記測位装置は、前記仰角基準受信チャンネル割り当て手段によって、前記概略位置を基準とする前記上空衛星の仰角に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てることができる。
しかし、前記仰角が大きい前記上空衛星からの前記位置関連信号の前記信号強度が強いとは限らず、仰角が大きい前記上空衛星からの前記位置関連信号に基く測位の測位精度は高いとは限らない。
そこで、前記測位装置は、前記上空衛星入れ替え手段を有し、前記受信チャンネルに割り当てられている前記信号強度の最も小さい前記上空衛星の前記受信チャンネルへの割り当てを変更する。
さらに、前記測位装置は、前記受信チャンネル割り当て妥当性判断手段によって、前記受信チャンネルに割り当てられているいずれの前記上空衛星も、前記受信チャンネルに割り当てられていないいずれの前記上空衛星の前記信号強度以上であるか否かを判断することができる。
このため、前記測位装置は、前記信号強度が大きい前記上空衛星からの前記位置関連信号に基づいて測位をすることができる。
これにより、前記測位装置は、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる。
【0013】
第5の発明は、第4の発明の構成において、前記上空衛星入れ替え手段は、複数の前記受信チャンネルを使用して、前記上空衛星の入れ替えを実施することを特徴とする。
【0014】
1つの前記受信チャンネルを使用して、前記上空衛星の入れ替えを実施するよりも、複数の前記受信チャンネルを使用して、前記上空衛星の入れ替えを実施する方が、迅速に前記上空衛星の入れ替えを完了することができる。
この点、第5の発明の構成によれば、前記上空衛星入れ替え手段は、複数の前記受信チャンネルを使用して、前記上空衛星の入れ替えを実施するから、複数の前記受信チャンネルを使用して、前記上空衛星の入れ替えを実施することによって、迅速に前記上空衛星の入れ替えを完了することができる。
【0015】
第6の発明は、第4の発明又は第5の発明のいずれかの構成において、前記上空衛星入れ替え手段は、屋内において起動する構成となっていることを特徴とする。
【0016】
第6の発明の構成によれば、前記上空衛星入れ替え手段は、屋内において起動する構成となっているから、仰角に基づいて前記位置情報衛星を選択すると測位精度が劣化するような環境において、確実に前記信号強度が強い前記位置情報衛星を選択し、測位精度を向上させることができる。
【0017】
前記目的は、第7の発明によれば、複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置が、前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報と前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成ステップと、前記測位装置が、前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成ステップと、前記測位装置が、前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数が、前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価ステップと、前記測位装置が、前記上空衛星数評価ステップにおける判断結果に基づいて、すべての前記上空衛星から前記位置関連信号を受信して、各前記上空衛星からの前記位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成する信号強度情報生成ステップと、前記測位装置が、前記信号強度情報に示される信号強度に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる受信チャンネル割り当てステップと、前記測位装置が、前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位ステップと、を有することを特徴とする測位装置の制御方法によって達成される。
【0018】
前記目的は、第8の発明によれば、コンピュータに、複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置が、前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報と前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成ステップと、前記測位装置が、前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成ステップと、前記測位装置が、前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数が、前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価ステップと、前記測位装置が、前記上空衛星数評価ステップにおける判断結果に基づいて、すべての前記上空衛星から前記位置関連信号を受信して、各前記上空衛星からの前記位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成する信号強度情報生成ステップと、前記測位装置が、前記信号強度情報に示される信号強度に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる受信チャンネル割り当てステップと、前記測位装置が、前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位ステップと、を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラムによって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の測位システム10を示す概略図である。
図1に示すように、測位システム10は、測位装置の一例である端末20を有する。端末20の現在位置は、屋内である例えば、建物12の内部である。端末20は、建物12の内部において、複数の位置情報衛星である例えば、GPS衛星G6,G9,G17,G26,G29,G10,G8,G24及びG28から位置関連信号である例えばS6,S9,S17,S26,S29,S10,S8,S24及びS28を受信するための端末GPS装置32を有する。なお、G6等は、GPS衛星の衛星番号の一例であり、例えば、GPS衛星G6は衛星番号G6のGPS衛星を意味する。
【0021】
端末GPS装置32は例えば、8つの受信チャンネルを有し、8個のGPS衛星G6等から信号S6等を識別しつつ、同時に受信することができるようになっている。
端末20は例えば、携帯電話機、PHS(Personal Handy−phone System)、PDA(Personal Digital Assistance)等であるが、これらに限らない。また、端末20は、据付型の装置であってもよい。
なお、図1においては、GPS衛星G6等は、端末20の現在位置において観測可能なGPS衛星の一部を示しており、図1に示さないGPS衛星18等(図2参照)も存在する。
【0022】
図2は、GPS衛星G6等の天空における衛星配置の一例を示す概略図である。
図3は、従来の受信チャンネルへの割り当て方の一例を示す概略図である。
図4は、本実施の形態の受信チャンネルへの割り当て方の一例を示す概略図である。
図2の衛星配置は、端末20の位置を基準(中心点)とし、図1のGPS衛星G6等の衛星配置と対応している。
【0023】
図1及び図2に示すように、端末20の位置を基準として、仰角が高いGPS衛星を4個選択するとすれば、GPS衛星G17,G29,G26及びG10であり、端末20の8つの受信チャンネルに仰角が高い順にGPS衛星G17等を割り当てると図3に示すようになる。ところが、GPS衛星G17,G26,G29及びG10からの信号S17,S26,S29及びS10は、建物12の屋根12aに妨害されて、建物12の内部に到達するときには信号強度が大幅に弱くなる場合がある。例えば、図3に示すように、GPS衛星G26の信号強度は、大幅に減衰している。
このため、仰角を基準としてGPS衛星G17等を選択し、信号S17等を使用して測位すると、測位精度が劣化する場合がある。
なお、図3及び図4の信号強度は、信号強度の数値が高いほど、信号強度が大きくなるようになっている。そして、この信号強度は、例えば、信号強度45をマイナス(−)130dBmとする単位で示している。
【0024】
これに対して、図1及び図2に示すように、GPS衛星G6,G9,G8,G24及びG28は、仰角は上述のGPS衛星G17等に比較して低い。しかし、GPS衛星G6等からの信号S6等は建物12の窓12bを通って建物12の内部に到達する。窓12bは例えば、ガラス等で構成されており、堅固な構造物である屋根12aと比較して、電波の通過を妨害する程度が低いから、信号S6等は信号強度をほぼ維持した状態で、建物12の内部に到達する。すなわち、信号強度と仰角の大きさとは必ずしも一致しない。
そこで、本実施の形態の端末20は、以下に示す構成によって、仰角にかかわらず、図4に示すように信号強度の強いGPS衛星から順に受信チャンネルを割り当てるようになっている。
【0025】
(端末20の主なハードウエア構成について)
図5は端末20の主なハードウエア構成等を示す概略図である。
図5に示すように、端末20は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス22を有する。
このバス22には、CPU(Central Processing Unit)24、記憶装置26が接続されている。記憶装置26は例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。
【0026】
また、このバス22には、命令等を入力するための操作装置28、外部と通信するための端末通信装置30が接続されている。端末通信装置30は通信用アンテナ30aを有し、外部と信号を送受信するようになっている。
また、このバス22には、上述の端末GPS装置32が接続されている。端末GPS装置32は、信号S6等(図1参照)が乗せられた電波を受信するGPSアンテナ32a、例えば1.5ギガヘルツ(GHz)の高周波信号である信号S6等を処理してより低い周波数に変換する高周波処理部32b、及び、信号S6等からデジタル符号を抽出するベースバンド部32cを有する。
また、このバス22には、端末20の現在位置等を表示するための表示装置34が接続されている。
【0027】
(端末20の主なソフトウエア構成について)
図6は、端末20の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図6に示すように、端末20は、各部を制御する端末制御部100、図5の端末通信装置30に対応する端末通信部102、図5の端末GPS装置32に対応する端末GPS部104等を有する。
端末20は、また、各種プログラムを格納する端末第1記憶部110、各種情報を格納する端末第2記憶部150を有する。
【0028】
端末GPS部104は、図5の端末GPS部32のベースバンド部32cが抽出した符号を解読してGPS衛星G6等の衛星軌道情報等の衛星情報(航法メッセージ)152を取得する航法メッセージ解読部104aを含む。
【0029】
航法メッセージ解読部104aが取得する衛星情報152には、すべてのGPS衛星G6等の概略軌道を示す概略軌道情報(アルマナック)152a、及び、各GPS衛星G6等の精密軌道を示す精密軌道情報(エフェメリス)152bが含まれる。
端末制御部100は、航法メッセージ解読部104aによって取得した衛星情報152を端末第2記憶部150に格納する。
【0030】
端末20は、端末第2記憶部150に、初期位置情報154を格納している。初期位置情報は、端末20の概略位置を示す情報であり、例えば、端末20が前回測位した測位位置を示す情報である。
【0031】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、上空衛星情報生成プログラム112を格納している。上空衛星情報生成プログラム112は、端末制御部100が、概略軌道情報152aと初期位置情報154に基づいて、初期位置情報154から観測可能なGPS衛星G6等(以後、上空衛星と呼ぶ)を示す上空衛星情報156を生成するための情報である。図1のGPS衛星G6等は上空衛星の一例であり、上空衛星情報156は上空衛星情報の一例である。そして、上空衛星情報生成プログラム112と端末制御部100は、上空衛星情報生成手段の一例である。
端末制御部100は、生成した上空衛星情報156を端末第2記憶部150に格納する。
【0032】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、上空衛星数情報生成プログラム114を格納している。上空衛星数情報生成プログラム114は、端末制御部100が、上空衛星情報156に基づいて、上空衛星の数を示す上空衛星数情報158を生成するための情報である。上空衛星数情報158は、上空衛星数情報の一例である。そして、上空衛星数情報生成プログラム114と端末制御部100は、上空衛星数情報生成手段の一例である。
端末制御部100は、生成した上空衛星数情報158を端末第2記憶部150に格納する。
【0033】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、上空衛星数評価プログラム116を格納している。上空衛星数評価プログラム116は、端末制御部100が、上空衛星数情報158に示される上空衛星数が受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断するための情報である。すなわち、上空衛星数評価プログラム116と端末制御部100は、上空衛星数評価手段の一例である。
例えば、図1に示すように、上空衛星であるGPS衛星G6等が9個であれば、端末制御部100は受信チャンネル数である8と比較して、上空衛星数が受信チャンネル数よりも多いと判断する。
これに対して、上空衛星が8個以下の場合には、端末制御部100は受信チャンネル数である8と比較して、上空衛星数が受信チャンネル数よりも多くはないと判断する。
【0034】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、信号強度情報生成プログラム118を格納している。信号強度情報生成プログラム118は、端末制御部100が上述の上空衛星数評価プログラム116によって上空衛星数が受信チャンネル数よりも多いと判断した場合に、その判断結果に基づいて、すべての上空衛星から信号S6等を受信して、各上空衛星からの信号S6等の信号強度を示す信号強度情報160を生成するための情報である。信号強度情報160は、信号強度情報の一例である。そして、信号強度情報生成プログラム118と端末制御部100は、信号強度情報生成手段の一例である。
【0035】
図7は、信号強度情報160の一例を示す図である。
図7に示すように、信号強度情報160は、上空衛星である各GPS衛星G29等の信号強度を示す情報である。
端末制御部100は、生成した信号強度情報160を端末第2記憶部150に格納する。
【0036】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、受信チャンネル割り当てプログラム120を格納している。受信チャンネル割り当てプログラム120は、端末制御部100が、信号強度情報160に示される信号強度に基づいて、受信チャンネルに上空衛星を割り当てるための情報である。すなわち、受信チャンネル割り当てプログラム120と端末制御部100は、受信チャンネル割り当て手段の一例である。
【0037】
図8は、受信チャンネルへの割り当ての一例を示す図である。
図8に示すように、受信チャンネル番号1乃至8には、信号強度の大きい順にGPS衛星G29等が割り当てられる。
【0038】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、測位演算プログラム122を格納している。測位演算プログラム122は、端末制御部100が、受信チャンネルによって受信した信号S6等に基づいて、端末20の位置の測位を行うための情報である。すなわち、測位演算プログラム122と端末制御部100は、測位手段の一例である。
端末制御部100は、測位によって生成した測位結果情報164を端末第2記憶部150に格納する。この測位結果情報164は、例えば、端末20の現在位置の、緯度、経度及び高度を示す情報である。
【0039】
上述のように、端末20は、信号強度情報160を生成することができる。そして、端末20は、信号強度情報160に示される信号強度に基づいて、受信チャンネルに上空衛星を割り当てることができ、さらに、受信チャンネルによって受信した信号S6等に基づいて、端末20の位置の測位を行うことができる。
このため、端末20は、信号強度が強い上空衛星からの信号S6等を受信して測位を行うことができる。すなわち、端末20は端末20の概略位置を基準とする仰角の大小にかかわらず、信号強度が強い信号S6等を使用して測位する。
そして信号強度が強い信号S6等を使用することによって、測位精度が向上する。
これにより、端末20は、測位精度を確実に高くするように上空衛星を選択することができる。
【0040】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、信号強度情報更新プログラム124を格納している。信号強度情報更新プログラム124は、端末制御部100が、初期位置情報154に示される端末20の概略位置を基準とする水平線上にGPS衛星G6等が位置する時間間隔以内において規定される受信チャンネル割り当て見直し時間間隔において、少なくとも1つの受信チャンネルを使用して上空衛星からの信号S6等を受信し、信号強度情報160を更新するための情報である。すなわち、信号強度情報更新プログラム124と端末制御部100は、信号強度情報更新手段の一例である。
ここで、端末20の概略位置を基準とする水平線上にGPS衛星G6等が位置する時間間隔とは、GPS衛星G6等の衛星の日の出から日の入りまでの時間間隔である。すなわち、端末20は、GPS衛星G6等が水平線から出て、水平線に沈むまでの間の時間間隔以内において規定される受信チャンネル割り当て見直し時間間隔である例えば、1時間(h)の間隔時間において、信号強度情報160を更新するのである。
具体的には、図4に示すように、8チャンネルを使用してGPS衛星G29等を追尾している場合において、追尾開始から1時間(h)経過した場合には、受信チャンネル番号8を使用して他の上空衛星であるGPS衛星G21,G26、G27及びG18の信号強度を計測する。
なお、他の受信チャンネル番号1乃至7で追尾しているGPS衛星G29等については、常に信号強度を計測している。
【0041】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、受信チャンネル割り当て修正プログラム126を格納している。受信チャンネル割り当て修正プログラム126は、端末制御部100が、上述の信号強度情報更新プログラム124によって更新した信号強度情報160に基いて、受信チャンネルに割り当てる上空衛星を変更するための情報である。すなわち、受信チャンネル割り当て修正プログラム126と端末制御部100は、受信チャンネル割り当て修正手段の一例である。
【0042】
GPS衛星G6等は、天空の軌道上を移動するから、ある時刻においては、信号S6等は建物などの妨害を受けずにその信号強度が強くても、別の時刻においては、信号S6等は建物などの妨害を受けてその信号強度が弱くなる場合がある。
この点、端末20は、上述のように、信号強度情報160を更新することができ、更新した信号強度情報160に基づいて、受信チャンネルに割り当てる上空衛星を変更することができる。
すなわち、端末20は、時間経過によって各GPS衛星G6等からの信号S6等の信号強度が変化した場合においても、その変化後の信号強度に基いて、受信チャンネルに割り当てる上空衛星を変更することができるから、時間経過にかかわらず、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる。
【0043】
なお、上述の信号強度情報生成プログラム118及び受信チャンネル割り当てプログラム120に基づいて端末制御部100が実施する端末20の制御は、端末20が屋内に位置する場合に限って実施するようにしてもよい。
端末制御部100は、屋内か否かを、例えば、端末通信部102が受信する通信電波の電波強度によって判断する。具体的には、図示しない通信基地局との間の通信電波の電波強度が屋外と判断すべき閾値より小さい場合には、現在位置が屋内であると判断する。
【0044】
屋内においては、初期位置情報154に示される端末20の概略位置を基準とする仰角が大きいGPS衛星からの信号は、建物の屋根などの構造物に妨害されて、信号強度が弱くなる場合がある。すなわち、屋内においては、上述の仰角によって受信チャンネルに割り当てるGPS衛星を選択すると、弱い信号強度の信号に基いて測位を行う結果、測位精度が劣化する。
【0045】
これに対して、上述の仰角が小さいGPS衛星からの信号は、建物の側面に位置する例えば、窓などの電波を妨害する程度の低い部分を通過して、屋内に到達する。すなわち、屋内においては、上述の仰角が高いGPS衛星からの信号よりも、仰角が低いGPS衛星からの信号の方が、信号強度が強い場合がある。
この点、上述の信号強度情報生成プログラム118及び受信チャンネル割り当てプログラム120に基づいて端末制御部100が実施する端末20の制御は、端末20が屋内に位置する場合に限って実施することによって、仰角に基づいてGPS衛星を選択すると測位精度が劣化するような環境において、確実に信号強度が強いGPS衛星を選択し、測位精度を向上させることができる。
【0046】
以上が本実施の形態に係る測位システム10の構成であるが、以下、その動作例を主に図9を使用して説明する。
図9は本実施の形態の測位システム10の動作例を示す概略フローチャートである。
図1に示すように、端末20は建物12の内部に位置するという前提で、以下説明する。
【0047】
まず、端末20は、観測可能なGPS衛星G6等(上空衛星)を示す上空衛星情報156(図6参照)を生成する(ステップST1)。このステップST1は、上空衛星情報生成ステップの一例である。
【0048】
続いて、端末20は、上空衛星情報156に基づいて、上空衛星の数を示す上空衛星数情報158(図6参照)を生成する(ステップST2)。このステップST2は、上空衛生数情報生成ステップの一例である。
【0049】
続いて、端末20は、上空衛星数情報158に示されるすべての上空衛星の数が受信チャンネル数よりも多いか否かを判断する(ステップST3)。このステップST3は、上空衛星数評価ステップの一例である。
【0050】
ステップST3において、端末20が、上空衛星数情報158に示されるすべての上空衛星の数が受信チャンネル数よりも多いと判断した場合には、ステップST4に進み、すべての上空衛星からの信号S6等の信号強度を示す信号強度情報160を生成する(ステップST4)。このステップST4は、信号強度情報生成ステップの一例である。
【0051】
続いて、端末20は、信号強度の大きい衛星から順に受信チャンネルに割り当てる(ステップST5)。このステップST5は、受信チャンネル割り当てステップの一例である。このステップST5によって、端末20の受信チャンネル1乃至8には、図8の受信チャンネル割り当て情報162に示すように、信号強度の大きい順にGPS衛星G29等が割り当てられる。
端末20は、受信チャンネルに上空衛星を割り当てると、信号強度の大きい例えば、GPS衛星G29等からの信号S29を捕捉する。
【0052】
続いて、端末20は、信号S29等に基いて、測位演算を実施する(ステップST6)。このステップST6は、測位ステップの一例である。
端末20は、測位演算によって生成した測位結果情報164(図6参照)を端末第2記憶部150に格納する。
【0053】
上述のように、端末20は仰角の大小にかかわらず、信号強度が強い信号を使用して測位する。
これにより、端末20は、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる。
【0054】
なお、上述のステップST3において、端末20が、上空衛星数情報158に示されるすべての上空衛星の数が受信チャンネル数よりも多くはないと判断した場合には、すべての上空衛星を受信チャンネルによって捕捉する(ステップST41)。この場合、信号強度が弱い信号も測位演算(ステップST6)に使用することになるが、受信チャンネルを余らせておくよりは、すべての受信チャンネルによって上空衛星から信号を受信することによって、可能な範囲で最大数の信号を使用して測位演算をすることができるから、より少ない数の信号を使用して測位演算を行う場合と比べて、測位精度の向上が期待できる。
【0055】
ただし、GPS衛星G6等は、天空の衛星軌道上を移動するから、時間経過によって軌道上の位置が変わり、GPS衛星G6等と端末20との間に、巨大な建物等の信号S6等にとっての障害物が位置し、信号強度が弱くなる場合がある。そこで、端末20は、さらに以下のステップを実施する。
まず、端末20は、上空衛星及び上空衛星数を再度確認する(ステップST7)。
【0056】
続いて、端末20は、すべての上空衛星の数が受信チャンネル数よりも多いか否かを判断する(ステップST8)。
ステップST8において、端末20が、すべての上空衛星の数が受信チャンネル数よりも多いと判断すると、1つの受信チャンネル(信号強度情報更新用受信チャンネル)を使用してすべての上空衛星の信号強度情報160を更新する(ステップST9)。
【0057】
続いて、端末20は、信号強度情報更新用受信チャンネル以外の受信チャンネル(測位用受信チャンネル)で捕捉中の上空衛星を変更する必要があるか否かを判断する(ステップST10)。具体的には、測位用受信チャンネルで捕捉している上空衛星からの信号の信号強度よりも強い信号強度の上空衛星からの信号が、上述の信号強度情報更新用受信チャンネルで捕捉された場合には、端末20は、測位用受信チャンネルで捕捉中の上空衛星を変更する必要があると判断し、ステップST11に進む。
【0058】
ステップST11において、端末20は、測位用受信チャンネルで捕捉する上空衛星を変更する(ステップST11)。すなわち、上空衛星の受信チャンネルへの割り当てを変更する。
【0059】
続いて、端末20は、新たに測位用受信チャンネルに割り当てた上空衛星からの信号に基いて、測位演算を実施する(ステップST12)。
続いて、端末は測位を終了するか否かを判断し(ステップST13)、測位終了する場合にはそのまま終了する。測位を終了しない場合には、ステップST7乃至ステップST12を繰り返す。
【0060】
なお、上述のステップST10において、端末20は、測位用受信チャンネルで捕捉中の上空衛星を変更する必要がないと判断した場合には、ステップST111に進み、測位用受信チャンネルで受信する上空衛星を維持しつつ、測位演算を実施する(ステップST12)。
【0061】
以上のステップによって、端末20は、時間経過によって各上空衛星からの信号の信号強度が変化した場合においても、その変化後の信号強度に基いて、受信チャンネルに割り当てる上空衛星を変更することができるから、時間経過にかかわらず、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる。
【0062】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について、説明する。
第2の実施の形態における測位システム10A(図10参照)の構成は、上記第1の実施の形態の測位システム10と多くの構成が共通するため共通する部分は同一の符号等とし、説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0063】
図10は、第2の実施の形態の測位システム10Aを示す概略図である。
図10に示すように、測位システム10Aは、サーバ50を有する。サーバ50は、端末20Aに対して、GPS衛星G6等の概略軌道を示す後述のサーバ側衛星情報252(図12参照)を提供する情報提供装置の一例である。サーバ側衛星情報252は、すべてのGPS衛星G6等の概略軌道を示す情報(アルマナック)であり、概略軌道情報の一例である。
【0064】
端末20Aは、通信基地局である基地局70及び通信網であるインターネット網80を介してサーバ50と通信可能になっている。
【0065】
(サーバ50の主なハードウエア構成について)
図11は、サーバ50の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図11に示すように、サーバ50は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス52を有する。
このバス52には、CPU54、記憶装置56、外部記憶装置58等が接続されている。外部記憶装置58は例えば、HD(Hard Disk)等である。
【0066】
また、このバス52には、命令等を入力するための操作装置60、外部と通信するためのサーバ通信装置62が接続されている。サーバ通信装置62は通信用アンテナ62aを有し、外部と信号を送受信するようになっている。
また、このバス52には、上述のサーバGPS装置64が接続されている。サーバGPS装置64は、GPSアンテナ64a、高周波処理部64b、ベースバンド部64cを有する。
また、このバス52には、各種情報等を表示するための表示装置66が接続されている。
【0067】
(サーバ50の主なソフトウエア構成について)
図12は、サーバ50の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図12に示すように、サーバ50は、各部を制御するサーバ制御部200、図11のサーバ通信装置62に対応するサーバ通信部202、図11のサーバGPS装置64に対応するサーバGPS部204を有する。
サーバGPS部204は、図12のベースバンド部64aによって抽出した符号を解読して衛星軌道を示す情報を取得する航法メッセージ解読部204aを有する。
図12に示すように、サーバ50は、各種プログラムを格納するサーバ第1記憶部210、各種情報を格納するサーバ第2記憶部250を有する。
【0068】
図12に示すように、サーバ50は、サーバ第2記憶部250に、サーバ側衛星情報252を格納している。サーバ側衛星情報252は、上述のように、すべてのGPS衛星G6等の概略軌道を示す情報(アルマナック)である。
【0069】
図12に示すように、サーバ50は、サーバ第1記憶部210に、衛星情報送信プログラム212を格納している。衛星情報送信プログラム212は、サーバ制御部200が、端末20Aに対して、サーバ側衛星情報252を送信するための情報である。
【0070】
(端末20Aの主なソフトウエア構成について)
図13は、端末20Aの主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図13に示すように、端末20Aは、端末第1記憶部110に、衛星情報要求プログラム128を格納している。衛星情報要求プログラム128は、端末制御部100が、サーバ50から、サーバ側衛星情報252を取得するための情報である。すなわち、衛星情報要求プログラム128と端末制御部100は、概略軌道情報取得手段の一例である。
具体的には、端末制御部100は衛星情報要求プログラム128に基づいて、サーバ50に対して、端末通信部102によってサーバ側衛星情報252を要求し、端末通信部102によってサーバ側衛星情報252を取得する。
端末制御部100は、取得したサーバ側衛星情報252を、概略軌道情報152aとして端末第2記憶部150に格納する。
【0071】
端末20Aの端末制御部100は、上空衛星情報生成プログラム112によって上空衛星情報156を生成し、上空衛星数情報生成プログラム114によって上空衛星数情報158を生成する。
そして、端末制御部100は、上空衛星数評価プログラム116によって、上空衛星数情報158に示される上空衛星数が、受信チャンネル数より多いと判断した場合には、以下の構成によって上空衛星を受信チャンネルに割り当てる。
【0072】
図13に示すように、端末20Aは、端末第1記憶部110に、受信チャンネル割り当てプログラム120Aを格納している。受信チャンネル割り当てプログラム120Aは、端末制御部100が、初期位置情報154に示される端末20Aの概略位置を基準とする上空衛星の仰角に基づいて、受信チャンネルに上空衛星を割り当てるための情報である。すなわち、受信チャンネル割り当てプログラム120Aと端末制御部100は、仰角基準受信チャンネル割り当て手段の一例である。
【0073】
図14は、上空衛星の受信チャンネルへの割り当て方の一例を示す図である。
端末制御部100は受信チャンネル割り当てプログラム120Aに基づいて、図14に示すように、仰角の大きい上空衛星から順に、受信チャンネルを割り当てる。
図14に示すように、GPS衛星G26の仰角は、GPS衛星G10よりも大きいが、信号強度は小さい。このように、仰角の大きいGPS衛星からの信号の信号強度が大きいとは限らない。したがって、仰角の大きいGPS衛星からの信号に基いて測位を行うと、測位精度が劣化する場合がある。
そこで、端末20Aは、さらに以下の構成を有する。
【0074】
図13に示すように、端末20Aは、端末第1記憶部110に、受信チャンネル割り当て修正プログラム126Aを格納している。受信チャンネル割り当て修正プログラム126Aは、端末制御部100が、受信チャンネル割り当てプログラム120Aに基づいて受信チャンネルに割り当てた上空衛星のうち、信号強度が最も小さい上空衛星を、受信チャンネル割り当てプログラム120Aに基づいて受信チャンネルに割り当てなかった上空衛星と入れ替えるための情報である。すなわち、受信チャンネル割り当て修正プログラム126Aと端末制御部100は、上空衛星入れ替え手段の一例である。
【0075】
図15及び図16は、端末20Aによる、上空衛星の入れ替え処理の一例を示す図である。
図15(a)は、8つの受信チャンネルに、仰角の大きいGPS衛星から順に割り当てた状態を示す図である。
図15(a)に示すように、受信チャンネルに割り当てた上空衛星のうち、受信チャンネル番号3に割り当てたGPS衛星G26の信号強度が最も小さい。このGPS衛星G26を、受信チャンネルに割り当てなかった上空衛星のうち、最も仰角が大きいGPS衛星G28と入れ替える。その結果、受信チャンネルへの割り当ては、図15(b)に示すようになる。
【0076】
次に、図15(b)に示すように上空衛星を受信チャンネルに割り当てると、受信チャンネル番号5に割り当てたGPS衛星G21の信号強度が最も小さい。このGPS衛星G21を、当初受信チャンネルに割り当てなかった上空衛星のうち、2番目に仰角が大きいGPS衛星G6と入れ替える。その結果、受信チャンネルへの割り当ては、図15(c)に示すようになる。
同様に、受信チャンネルの割り当てを変更していくと、図16(a)の状態を経て、図16(b)の状態となる。
【0077】
図13に示すように、端末20Aは、端末第1記憶部110に、受信チャンネル割り当て妥当性判断プログラム130を格納している。受信チャンネル割り当て妥当性判断プログラム130は、端末制御部100が、受信チャンネルに割り当てられているいずれの上空衛星も、受信チャンネルに割り当てられていないいずれの上空衛星の信号強度以上であるか否かを判断するための情報である。すなわち、受信チャンネル割り当て妥当性判断プログラム130と端末制御部100は、受信チャンネル割り当て妥当性判断手段の一例である。
【0078】
図16(b)の状態で、すべての上空衛星について、信号強度を取得している。この状態から、すべての上空衛星の信号強度を比較して、受信チャンネルを割り当てたいずれの上空衛星の信号強度も、受信チャンネルを割り当てないいずれのGPS衛星の信号強度よりも小さいということがなくなるように、必要に応じてGPS衛星を入れ替えていく。
そして、端末制御部100が、受信チャンネル割り当て妥当性判断プログラム130によって、受信チャンネルに割り当てられているいずれの上空衛星も、受信チャンネルに割り当てられていないいずれの上空衛星の信号強度以上であると判断すると、上空衛星の割り当てを完了する。
この結果、図16(c)に示すように、受信チャンネルを割り当てたいずれのGPS衛星の信号強度も、受信チャンネルを割り当てないいずれのGPS衛星の信号強度以上である状態になる。
端末制御部100は、図16(c)に示すようにGPS衛星を受信チャンネルに割り当てた状態で、測位演算プログラム122によって、測位を実施する。
【0079】
なお、本実施の形態とは異なり、端末20Aは、1つの受信チャンネルを使用して上空衛星の受信チャンネルへの入れ替えを行うのではなくて、複数の受信チャンネルを使用して上空衛星の入れ替えを行うようにしてもよい。これにより、より迅速にすべての上空衛星の信号強度を計測することができる。
【0080】
また、仰角が大きい順に受信チャンネルに割り当てた上空衛星を入れ替える処理は、端末20Aが屋内に位置する場合に限って実施するようにしてもよい。屋外であれば、仰角が大きい上空衛星の信号強度が、仰角が小さい上空衛星の信号強度よりも大きいと考えられるからである。なお、この場合、端末20Aが屋内か屋外かについては、例えば、最も仰角が大きいGPS衛星の信号強度が一定の閾値以上か否かによって判断するようにすればよい。
【0081】
以上が本実施の形態に係る測位システム10Aの構成であるが、以下、その動作例を主に図17を使用して説明する。
図17は本実施の形態に係る測位システム10Aの動作例を示す概略フローチャートである。
【0082】
まず、端末20Aは、サーバ50から、サーバ側衛星情報252(図12参照)を取得する(図17のステップST201)。
続いて、端末20Aは、観測可能なGPS衛星(上空衛星)及び上空衛星数を確認する(ステップST202)。
続いて、端末20Aは、すべての上空衛星の数が、受信チャンネル数よりも多いか否かを判断する(ステップST203)。
【0083】
上述のステップST203において、端末20Aが、すべての上空衛星の数が、受信チャンネル数よりも多いと判断した場合には、仰角の大きいGPS衛星から順に、受信チャンネルに割り当てる(ステップST204)。
端末20Aは、図16(a)に示すように仰角が高い順にGPS衛星17等を受信チャンネルに割り当てると、GPS衛星17等から信号S17等を受信し、信号強度を計測する。
【0084】
続いて、端末20Aは、一番信号強度の小さいGPS衛星を捕捉している受信チャンネル3を、他のGPS衛星に割り当てる(ステップST205)。ステップST205は、すべての上空衛星の信号強度を計測するまで順次実施される。
【0085】
続いて、端末20Aは、すべての上空衛星について信号強度を計測したか否かを判断する(ステップST206)。
ステップST206において、端末20Aが、すべての上空衛星について信号強度を計測したと判断すると、受信チャンネルに割り当てたいずれのGPS衛星の信号強度も、受信チャンネルに割り当てないいずれのGPS衛星の信号強度以上であるか確認する(ステップST207)。
続いて端末20Aは、受信チャンネルに割り当てたいずれのGPS衛星の信号強度も、受信チャンネルに割り当てないいずれのGPS衛星の信号強度以上であると判断すると、測位演算を実施する(ステップST208)。
【0086】
続いて、端末は測位を終了するか否かを判断し(ステップST209)、測位終了する場合にはそのまま終了する。測位を終了しない場合には、ステップST205乃至ステップST208を繰り返す。
【0087】
なお、上述のステップST203において、端末20Aが、すべての上空衛星の数が、受信チャンネル数以下であると判断した場合には、すべての上空衛星を受信チャンネルに割り当てて、捕捉する(ステップST241)。
また、ステップST206において、端末20Aが、すべての上空衛星について信号強度を計測していない判断した場合には、ステップST205及びステップST206を再度実施する。
また、ステップST207において、端末20Aが、受信チャンネルに割り当てたいずれかのGPS衛星の信号強度が、受信チャンネルに割り当てないいずれかのGPS衛星の信号強度よりも小さいと判断すると、ステップST205及びステップST206を繰り返す。
【0088】
以上で説明したように、端末20Aは、信号強度が大きい上空衛星からの信号に基づいて測位をすることができる。
これにより、端末20Aは、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる。
【0089】
(プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等について)
コンピュータに上述の動作例の上空衛星情報生成ステップと、上空衛星数情報生成ステップと、上空衛星数評価ステップと、信号強度情報生成ステップと、受信チャンネル割り当てステップと、測位ステップ等を実行させるための測位装置の制御プログラムとすることができる。
また、このような測位装置の制御プログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等とすることもできる。
【0090】
これら測位装置の制御プログラム等をコンピュータにインストールし、コンピュータによって実行可能な状態とするために用いられるプログラム格納媒体は、例えばフロッピー(登録商標)のようなフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(Compact Disc−Rewriterble)、DVD(Digital Versatile Disc)などのパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的若しくは永続的に格納される半導体メモリ、磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなどで実現することができる。
【0091】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態の測位システムを示す概略図である。
【図2】GPS衛星の天空における衛星配置の一例を示す概略図である。
【図3】従来の受信チャンネルへの割り当て方の一例を示す概略図である。
【図4】本実施の形態の受信チャンネルへの割り当て方の一例を示す概略図である。
【図5】端末の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図6】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図7】信号強度情報の一例を示す図である。
【図8】受信チャンネル割り当て情報の一例を示す図である。
【図9】測位システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【図10】第2の実施の形態の測位システムを示す概略図である。
【図11】サーバの主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図12】サーバの主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図13】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図14】上空衛星の受信チャンネルへの割り当て方の一例を示す図である。
【図15】上空衛星の入れ替え処理の一例を示す図である。
【図16】上空衛星の入れ替え処理の一例を示す図である。
【図17】測位システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
10,10A・・・測位システム、12・・・建物、12a・・・屋根、12b・・・窓、20・・・端末、112・・・上空衛星情報生成プログラム、114・・・上空衛星数情報生成プログラム、116・・・上空衛星数評価プログラム、118・・・信号強度情報生成プログラム、120,120A・・・受信チャンネル割り当てプログラム、122・・・測位演算プログラム、124・・・信号強度情報更新プログラム、126,126A・・・受信チャンネル割り当て修正プログラム、128・・・衛星情報要求プログラム、130・・・受信チャンネル割り当て妥当性判断プログラム、152a・・・概略軌道情報、152b・・・精密軌道情報、154・・・初期位置情報、156・・・上空衛星情報、158・・・上空衛星数情報、160・・・信号強度情報、162・・・受信チャンネル割り当て情報、164・・・測位結果情報
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星からの信号に基づいて測位を行う測位装置、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衛星航法システムである例えば、GPS(Global Positioning System)を利用してGPS受信機の現在位置を測位する測位システムが実用化されている。
そして、その現在位置から観測することができるGPS衛星のうち、仰角の大きいGPS衛星を優先的に選択して捕捉する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
一般に、仰角が高いGPS衛星からの信号は信号強度も大きいので、測位精度が高くなるという利点がある。
【特許文献1】特開平11−316270号公報(図8等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、例えば、建物の内部においては、仰角が高いGPS衛星からの信号は建物の屋根に遮られて信号強度が減衰するため、高仰角のGPS衛星を選択することによって、測位精度を高くすることができないのみならず、むしろ、測位精度が劣化する場合があるという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる測位装置、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、第1の発明によれば、 複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置であって、前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報と前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成手段と、前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成手段と、前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数と、前記受信チャンネルの数を比較する上空衛星数評価手段と、前記上空衛星数評価手段の比較結果に基づいて、すべての前記上空衛星から前記位置関連信号を受信して、各前記上空衛星からの前記位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成する信号強度情報生成手段と、前記信号強度情報に示される信号強度に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる受信チャンネル割り当て手段と、前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位手段と、を有することを特徴とする測位装置により達成される。
【0006】
第1の発明の構成によれば、前記測位装置は、前記信号強度情報生成手段によって各前記上空衛星からの前記位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成することができる。そして、前記測位装置は、前記受信チャンネル割り当て手段によって前記信号強度情報に示される信号強度に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てることができ、さらに、前記測位手段によって、前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行うことができる。
このため、前記測位装置は、前記信号強度が強い前記位置情報衛星からの前記位置関連信号を受信して測位を行うことができる。そして前記信号強度が強い前記位置関連信号を使用することによって、測位精度が向上する。
すなわち、前記測位装置は前記測位装置の前記概略位置を基準とする仰角の大小にかかわらず、前記信号強度が強い前記位置関連信号を使用して測位する。
これにより、前記測位装置は、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記概略位置を基準とする水平線上に前記位置情報衛星が位置する時間間隔以内において規定される受信チャンネル割り当て見直し時間間隔において、少なくとも1つの前記受信チャンネルを使用して前記上空衛星からの前記位置関連信号を受信し、前記信号強度情報を更新する信号強度情報更新手段と、前記信号強度情報更新手段によって更新された前記信号強度情報に基づいて、前記受信チャンネルに割り当てた前記上空衛星を変更する受信チャンネル割り当て修正手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
前記位置情報衛星は、天空の軌道上を移動するから、ある時刻においては、前記位置関連信号は建物などの妨害を受けずにその前記信号強度が強くても、別の時刻においては、前記位置関連信号は建物などの妨害を受けてその前記信号強度が弱くなる場合がある。
この点、第2の発明の構成によれば、前記測位装置は、前記信号強度情報更新手段によって前記信号強度情報を更新することができ、前記受信チャンネル割り当て修正手段によって前記信号強度情報更新手段によって更新された前記信号強度情報に基づいて、前記受信チャンネルに割り当てる前記上空衛星を変更することができる。
すなわち、前記測位装置は、時間経過によって各前記位置情報衛星からの前記位置関連信号の前記信号強度が変化した場合においても、その変化後の前記信号強度に基いて、前記受信チャンネルに割り当てる前記上空衛星を変更することができるから、時間経過にかかわらず、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる。
【0009】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明のいずれかの構成において、前記信号強度情報生成手段及び前記受信チャンネル割り当て手段は、屋内において起動する構成となっていることを特徴とする。
【0010】
屋内においては、前記概略位置を基準とする仰角が大きい前記位置情報衛星からの前記位置関連信号は、建物の屋根などの構造物に妨害されて、前記信号強度が弱くなる場合がある。すなわち、屋内においては、上述の仰角によって前記受信チャンネルに割り当てる前記位置情報衛星を選択すると、弱い前記信号強度の前記位置関連信号に基いて測位を行う結果、測位精度が劣化する場合がある。
これに対して、上述の仰角が小さい前記位置情報衛星からの前記位置関連信号は、建物の側面に位置する例えば、窓などの電波を妨害する程度の低い部分を通過して、屋内に到達する。すなわち、屋内においては、上述の仰角が高い前記位置情報衛星からの前記位置関連信号よりも、仰角が低い前記位置情報衛星からの前記位置関連信号の方が、前記信号強度が強い場合がある。
この点、第3の発明の構成によれば、前記信号強度情報生成手段及び前記受信チャンネル割り当て手段は、屋内において起動する構成となっているから、仰角に基づいて前記位置情報衛星を選択すると測位精度が劣化するような環境において、確実に前記信号強度が強い前記位置情報衛星を選択し、測位精度を向上させることができる。
【0011】
前記目的は、第4の発明によれば、複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置であって、前記測位装置に対して前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報を提供する情報提供装置から前記概略軌道情報を取得する概略軌道情報取得手段と、前記概略軌道情報と、前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成手段と、前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成手段と、前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数が、前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価手段と、前記上空衛星数評価手段の判断結果に基づいて、前記概略位置を基準とする前記上空衛星の仰角に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる仰角基準受信チャンネル割り当て手段と、前記受信チャンネルに割り当てられた前記上空衛星のうち、前記信号強度が最も小さい前記上空衛星を、前記受信チャンネルに割り当てられていない前記上空衛星と入れ替える上空衛星入れ替え手段と、前記受信チャンネルに割り当てられているいずれの前記上空衛星の前記信号強度も、前記受信チャンネルに割り当てられていないいずれの前記上空衛星の前記信号強度以上であるか否かを判断する受信チャンネル割り当て妥当性判断手段と、前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位手段と、を有することを特徴とする測位装置によって達成される。
【0012】
第4の発明の構成によれば、前記測位装置は、前記仰角基準受信チャンネル割り当て手段によって、前記概略位置を基準とする前記上空衛星の仰角に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てることができる。
しかし、前記仰角が大きい前記上空衛星からの前記位置関連信号の前記信号強度が強いとは限らず、仰角が大きい前記上空衛星からの前記位置関連信号に基く測位の測位精度は高いとは限らない。
そこで、前記測位装置は、前記上空衛星入れ替え手段を有し、前記受信チャンネルに割り当てられている前記信号強度の最も小さい前記上空衛星の前記受信チャンネルへの割り当てを変更する。
さらに、前記測位装置は、前記受信チャンネル割り当て妥当性判断手段によって、前記受信チャンネルに割り当てられているいずれの前記上空衛星も、前記受信チャンネルに割り当てられていないいずれの前記上空衛星の前記信号強度以上であるか否かを判断することができる。
このため、前記測位装置は、前記信号強度が大きい前記上空衛星からの前記位置関連信号に基づいて測位をすることができる。
これにより、前記測位装置は、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる。
【0013】
第5の発明は、第4の発明の構成において、前記上空衛星入れ替え手段は、複数の前記受信チャンネルを使用して、前記上空衛星の入れ替えを実施することを特徴とする。
【0014】
1つの前記受信チャンネルを使用して、前記上空衛星の入れ替えを実施するよりも、複数の前記受信チャンネルを使用して、前記上空衛星の入れ替えを実施する方が、迅速に前記上空衛星の入れ替えを完了することができる。
この点、第5の発明の構成によれば、前記上空衛星入れ替え手段は、複数の前記受信チャンネルを使用して、前記上空衛星の入れ替えを実施するから、複数の前記受信チャンネルを使用して、前記上空衛星の入れ替えを実施することによって、迅速に前記上空衛星の入れ替えを完了することができる。
【0015】
第6の発明は、第4の発明又は第5の発明のいずれかの構成において、前記上空衛星入れ替え手段は、屋内において起動する構成となっていることを特徴とする。
【0016】
第6の発明の構成によれば、前記上空衛星入れ替え手段は、屋内において起動する構成となっているから、仰角に基づいて前記位置情報衛星を選択すると測位精度が劣化するような環境において、確実に前記信号強度が強い前記位置情報衛星を選択し、測位精度を向上させることができる。
【0017】
前記目的は、第7の発明によれば、複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置が、前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報と前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成ステップと、前記測位装置が、前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成ステップと、前記測位装置が、前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数が、前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価ステップと、前記測位装置が、前記上空衛星数評価ステップにおける判断結果に基づいて、すべての前記上空衛星から前記位置関連信号を受信して、各前記上空衛星からの前記位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成する信号強度情報生成ステップと、前記測位装置が、前記信号強度情報に示される信号強度に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる受信チャンネル割り当てステップと、前記測位装置が、前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位ステップと、を有することを特徴とする測位装置の制御方法によって達成される。
【0018】
前記目的は、第8の発明によれば、コンピュータに、複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置が、前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報と前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成ステップと、前記測位装置が、前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成ステップと、前記測位装置が、前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数が、前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価ステップと、前記測位装置が、前記上空衛星数評価ステップにおける判断結果に基づいて、すべての前記上空衛星から前記位置関連信号を受信して、各前記上空衛星からの前記位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成する信号強度情報生成ステップと、前記測位装置が、前記信号強度情報に示される信号強度に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる受信チャンネル割り当てステップと、前記測位装置が、前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位ステップと、を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラムによって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の測位システム10を示す概略図である。
図1に示すように、測位システム10は、測位装置の一例である端末20を有する。端末20の現在位置は、屋内である例えば、建物12の内部である。端末20は、建物12の内部において、複数の位置情報衛星である例えば、GPS衛星G6,G9,G17,G26,G29,G10,G8,G24及びG28から位置関連信号である例えばS6,S9,S17,S26,S29,S10,S8,S24及びS28を受信するための端末GPS装置32を有する。なお、G6等は、GPS衛星の衛星番号の一例であり、例えば、GPS衛星G6は衛星番号G6のGPS衛星を意味する。
【0021】
端末GPS装置32は例えば、8つの受信チャンネルを有し、8個のGPS衛星G6等から信号S6等を識別しつつ、同時に受信することができるようになっている。
端末20は例えば、携帯電話機、PHS(Personal Handy−phone System)、PDA(Personal Digital Assistance)等であるが、これらに限らない。また、端末20は、据付型の装置であってもよい。
なお、図1においては、GPS衛星G6等は、端末20の現在位置において観測可能なGPS衛星の一部を示しており、図1に示さないGPS衛星18等(図2参照)も存在する。
【0022】
図2は、GPS衛星G6等の天空における衛星配置の一例を示す概略図である。
図3は、従来の受信チャンネルへの割り当て方の一例を示す概略図である。
図4は、本実施の形態の受信チャンネルへの割り当て方の一例を示す概略図である。
図2の衛星配置は、端末20の位置を基準(中心点)とし、図1のGPS衛星G6等の衛星配置と対応している。
【0023】
図1及び図2に示すように、端末20の位置を基準として、仰角が高いGPS衛星を4個選択するとすれば、GPS衛星G17,G29,G26及びG10であり、端末20の8つの受信チャンネルに仰角が高い順にGPS衛星G17等を割り当てると図3に示すようになる。ところが、GPS衛星G17,G26,G29及びG10からの信号S17,S26,S29及びS10は、建物12の屋根12aに妨害されて、建物12の内部に到達するときには信号強度が大幅に弱くなる場合がある。例えば、図3に示すように、GPS衛星G26の信号強度は、大幅に減衰している。
このため、仰角を基準としてGPS衛星G17等を選択し、信号S17等を使用して測位すると、測位精度が劣化する場合がある。
なお、図3及び図4の信号強度は、信号強度の数値が高いほど、信号強度が大きくなるようになっている。そして、この信号強度は、例えば、信号強度45をマイナス(−)130dBmとする単位で示している。
【0024】
これに対して、図1及び図2に示すように、GPS衛星G6,G9,G8,G24及びG28は、仰角は上述のGPS衛星G17等に比較して低い。しかし、GPS衛星G6等からの信号S6等は建物12の窓12bを通って建物12の内部に到達する。窓12bは例えば、ガラス等で構成されており、堅固な構造物である屋根12aと比較して、電波の通過を妨害する程度が低いから、信号S6等は信号強度をほぼ維持した状態で、建物12の内部に到達する。すなわち、信号強度と仰角の大きさとは必ずしも一致しない。
そこで、本実施の形態の端末20は、以下に示す構成によって、仰角にかかわらず、図4に示すように信号強度の強いGPS衛星から順に受信チャンネルを割り当てるようになっている。
【0025】
(端末20の主なハードウエア構成について)
図5は端末20の主なハードウエア構成等を示す概略図である。
図5に示すように、端末20は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス22を有する。
このバス22には、CPU(Central Processing Unit)24、記憶装置26が接続されている。記憶装置26は例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。
【0026】
また、このバス22には、命令等を入力するための操作装置28、外部と通信するための端末通信装置30が接続されている。端末通信装置30は通信用アンテナ30aを有し、外部と信号を送受信するようになっている。
また、このバス22には、上述の端末GPS装置32が接続されている。端末GPS装置32は、信号S6等(図1参照)が乗せられた電波を受信するGPSアンテナ32a、例えば1.5ギガヘルツ(GHz)の高周波信号である信号S6等を処理してより低い周波数に変換する高周波処理部32b、及び、信号S6等からデジタル符号を抽出するベースバンド部32cを有する。
また、このバス22には、端末20の現在位置等を表示するための表示装置34が接続されている。
【0027】
(端末20の主なソフトウエア構成について)
図6は、端末20の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図6に示すように、端末20は、各部を制御する端末制御部100、図5の端末通信装置30に対応する端末通信部102、図5の端末GPS装置32に対応する端末GPS部104等を有する。
端末20は、また、各種プログラムを格納する端末第1記憶部110、各種情報を格納する端末第2記憶部150を有する。
【0028】
端末GPS部104は、図5の端末GPS部32のベースバンド部32cが抽出した符号を解読してGPS衛星G6等の衛星軌道情報等の衛星情報(航法メッセージ)152を取得する航法メッセージ解読部104aを含む。
【0029】
航法メッセージ解読部104aが取得する衛星情報152には、すべてのGPS衛星G6等の概略軌道を示す概略軌道情報(アルマナック)152a、及び、各GPS衛星G6等の精密軌道を示す精密軌道情報(エフェメリス)152bが含まれる。
端末制御部100は、航法メッセージ解読部104aによって取得した衛星情報152を端末第2記憶部150に格納する。
【0030】
端末20は、端末第2記憶部150に、初期位置情報154を格納している。初期位置情報は、端末20の概略位置を示す情報であり、例えば、端末20が前回測位した測位位置を示す情報である。
【0031】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、上空衛星情報生成プログラム112を格納している。上空衛星情報生成プログラム112は、端末制御部100が、概略軌道情報152aと初期位置情報154に基づいて、初期位置情報154から観測可能なGPS衛星G6等(以後、上空衛星と呼ぶ)を示す上空衛星情報156を生成するための情報である。図1のGPS衛星G6等は上空衛星の一例であり、上空衛星情報156は上空衛星情報の一例である。そして、上空衛星情報生成プログラム112と端末制御部100は、上空衛星情報生成手段の一例である。
端末制御部100は、生成した上空衛星情報156を端末第2記憶部150に格納する。
【0032】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、上空衛星数情報生成プログラム114を格納している。上空衛星数情報生成プログラム114は、端末制御部100が、上空衛星情報156に基づいて、上空衛星の数を示す上空衛星数情報158を生成するための情報である。上空衛星数情報158は、上空衛星数情報の一例である。そして、上空衛星数情報生成プログラム114と端末制御部100は、上空衛星数情報生成手段の一例である。
端末制御部100は、生成した上空衛星数情報158を端末第2記憶部150に格納する。
【0033】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、上空衛星数評価プログラム116を格納している。上空衛星数評価プログラム116は、端末制御部100が、上空衛星数情報158に示される上空衛星数が受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断するための情報である。すなわち、上空衛星数評価プログラム116と端末制御部100は、上空衛星数評価手段の一例である。
例えば、図1に示すように、上空衛星であるGPS衛星G6等が9個であれば、端末制御部100は受信チャンネル数である8と比較して、上空衛星数が受信チャンネル数よりも多いと判断する。
これに対して、上空衛星が8個以下の場合には、端末制御部100は受信チャンネル数である8と比較して、上空衛星数が受信チャンネル数よりも多くはないと判断する。
【0034】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、信号強度情報生成プログラム118を格納している。信号強度情報生成プログラム118は、端末制御部100が上述の上空衛星数評価プログラム116によって上空衛星数が受信チャンネル数よりも多いと判断した場合に、その判断結果に基づいて、すべての上空衛星から信号S6等を受信して、各上空衛星からの信号S6等の信号強度を示す信号強度情報160を生成するための情報である。信号強度情報160は、信号強度情報の一例である。そして、信号強度情報生成プログラム118と端末制御部100は、信号強度情報生成手段の一例である。
【0035】
図7は、信号強度情報160の一例を示す図である。
図7に示すように、信号強度情報160は、上空衛星である各GPS衛星G29等の信号強度を示す情報である。
端末制御部100は、生成した信号強度情報160を端末第2記憶部150に格納する。
【0036】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、受信チャンネル割り当てプログラム120を格納している。受信チャンネル割り当てプログラム120は、端末制御部100が、信号強度情報160に示される信号強度に基づいて、受信チャンネルに上空衛星を割り当てるための情報である。すなわち、受信チャンネル割り当てプログラム120と端末制御部100は、受信チャンネル割り当て手段の一例である。
【0037】
図8は、受信チャンネルへの割り当ての一例を示す図である。
図8に示すように、受信チャンネル番号1乃至8には、信号強度の大きい順にGPS衛星G29等が割り当てられる。
【0038】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、測位演算プログラム122を格納している。測位演算プログラム122は、端末制御部100が、受信チャンネルによって受信した信号S6等に基づいて、端末20の位置の測位を行うための情報である。すなわち、測位演算プログラム122と端末制御部100は、測位手段の一例である。
端末制御部100は、測位によって生成した測位結果情報164を端末第2記憶部150に格納する。この測位結果情報164は、例えば、端末20の現在位置の、緯度、経度及び高度を示す情報である。
【0039】
上述のように、端末20は、信号強度情報160を生成することができる。そして、端末20は、信号強度情報160に示される信号強度に基づいて、受信チャンネルに上空衛星を割り当てることができ、さらに、受信チャンネルによって受信した信号S6等に基づいて、端末20の位置の測位を行うことができる。
このため、端末20は、信号強度が強い上空衛星からの信号S6等を受信して測位を行うことができる。すなわち、端末20は端末20の概略位置を基準とする仰角の大小にかかわらず、信号強度が強い信号S6等を使用して測位する。
そして信号強度が強い信号S6等を使用することによって、測位精度が向上する。
これにより、端末20は、測位精度を確実に高くするように上空衛星を選択することができる。
【0040】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、信号強度情報更新プログラム124を格納している。信号強度情報更新プログラム124は、端末制御部100が、初期位置情報154に示される端末20の概略位置を基準とする水平線上にGPS衛星G6等が位置する時間間隔以内において規定される受信チャンネル割り当て見直し時間間隔において、少なくとも1つの受信チャンネルを使用して上空衛星からの信号S6等を受信し、信号強度情報160を更新するための情報である。すなわち、信号強度情報更新プログラム124と端末制御部100は、信号強度情報更新手段の一例である。
ここで、端末20の概略位置を基準とする水平線上にGPS衛星G6等が位置する時間間隔とは、GPS衛星G6等の衛星の日の出から日の入りまでの時間間隔である。すなわち、端末20は、GPS衛星G6等が水平線から出て、水平線に沈むまでの間の時間間隔以内において規定される受信チャンネル割り当て見直し時間間隔である例えば、1時間(h)の間隔時間において、信号強度情報160を更新するのである。
具体的には、図4に示すように、8チャンネルを使用してGPS衛星G29等を追尾している場合において、追尾開始から1時間(h)経過した場合には、受信チャンネル番号8を使用して他の上空衛星であるGPS衛星G21,G26、G27及びG18の信号強度を計測する。
なお、他の受信チャンネル番号1乃至7で追尾しているGPS衛星G29等については、常に信号強度を計測している。
【0041】
図6に示すように、端末20は、端末第1記憶部110に、受信チャンネル割り当て修正プログラム126を格納している。受信チャンネル割り当て修正プログラム126は、端末制御部100が、上述の信号強度情報更新プログラム124によって更新した信号強度情報160に基いて、受信チャンネルに割り当てる上空衛星を変更するための情報である。すなわち、受信チャンネル割り当て修正プログラム126と端末制御部100は、受信チャンネル割り当て修正手段の一例である。
【0042】
GPS衛星G6等は、天空の軌道上を移動するから、ある時刻においては、信号S6等は建物などの妨害を受けずにその信号強度が強くても、別の時刻においては、信号S6等は建物などの妨害を受けてその信号強度が弱くなる場合がある。
この点、端末20は、上述のように、信号強度情報160を更新することができ、更新した信号強度情報160に基づいて、受信チャンネルに割り当てる上空衛星を変更することができる。
すなわち、端末20は、時間経過によって各GPS衛星G6等からの信号S6等の信号強度が変化した場合においても、その変化後の信号強度に基いて、受信チャンネルに割り当てる上空衛星を変更することができるから、時間経過にかかわらず、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる。
【0043】
なお、上述の信号強度情報生成プログラム118及び受信チャンネル割り当てプログラム120に基づいて端末制御部100が実施する端末20の制御は、端末20が屋内に位置する場合に限って実施するようにしてもよい。
端末制御部100は、屋内か否かを、例えば、端末通信部102が受信する通信電波の電波強度によって判断する。具体的には、図示しない通信基地局との間の通信電波の電波強度が屋外と判断すべき閾値より小さい場合には、現在位置が屋内であると判断する。
【0044】
屋内においては、初期位置情報154に示される端末20の概略位置を基準とする仰角が大きいGPS衛星からの信号は、建物の屋根などの構造物に妨害されて、信号強度が弱くなる場合がある。すなわち、屋内においては、上述の仰角によって受信チャンネルに割り当てるGPS衛星を選択すると、弱い信号強度の信号に基いて測位を行う結果、測位精度が劣化する。
【0045】
これに対して、上述の仰角が小さいGPS衛星からの信号は、建物の側面に位置する例えば、窓などの電波を妨害する程度の低い部分を通過して、屋内に到達する。すなわち、屋内においては、上述の仰角が高いGPS衛星からの信号よりも、仰角が低いGPS衛星からの信号の方が、信号強度が強い場合がある。
この点、上述の信号強度情報生成プログラム118及び受信チャンネル割り当てプログラム120に基づいて端末制御部100が実施する端末20の制御は、端末20が屋内に位置する場合に限って実施することによって、仰角に基づいてGPS衛星を選択すると測位精度が劣化するような環境において、確実に信号強度が強いGPS衛星を選択し、測位精度を向上させることができる。
【0046】
以上が本実施の形態に係る測位システム10の構成であるが、以下、その動作例を主に図9を使用して説明する。
図9は本実施の形態の測位システム10の動作例を示す概略フローチャートである。
図1に示すように、端末20は建物12の内部に位置するという前提で、以下説明する。
【0047】
まず、端末20は、観測可能なGPS衛星G6等(上空衛星)を示す上空衛星情報156(図6参照)を生成する(ステップST1)。このステップST1は、上空衛星情報生成ステップの一例である。
【0048】
続いて、端末20は、上空衛星情報156に基づいて、上空衛星の数を示す上空衛星数情報158(図6参照)を生成する(ステップST2)。このステップST2は、上空衛生数情報生成ステップの一例である。
【0049】
続いて、端末20は、上空衛星数情報158に示されるすべての上空衛星の数が受信チャンネル数よりも多いか否かを判断する(ステップST3)。このステップST3は、上空衛星数評価ステップの一例である。
【0050】
ステップST3において、端末20が、上空衛星数情報158に示されるすべての上空衛星の数が受信チャンネル数よりも多いと判断した場合には、ステップST4に進み、すべての上空衛星からの信号S6等の信号強度を示す信号強度情報160を生成する(ステップST4)。このステップST4は、信号強度情報生成ステップの一例である。
【0051】
続いて、端末20は、信号強度の大きい衛星から順に受信チャンネルに割り当てる(ステップST5)。このステップST5は、受信チャンネル割り当てステップの一例である。このステップST5によって、端末20の受信チャンネル1乃至8には、図8の受信チャンネル割り当て情報162に示すように、信号強度の大きい順にGPS衛星G29等が割り当てられる。
端末20は、受信チャンネルに上空衛星を割り当てると、信号強度の大きい例えば、GPS衛星G29等からの信号S29を捕捉する。
【0052】
続いて、端末20は、信号S29等に基いて、測位演算を実施する(ステップST6)。このステップST6は、測位ステップの一例である。
端末20は、測位演算によって生成した測位結果情報164(図6参照)を端末第2記憶部150に格納する。
【0053】
上述のように、端末20は仰角の大小にかかわらず、信号強度が強い信号を使用して測位する。
これにより、端末20は、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる。
【0054】
なお、上述のステップST3において、端末20が、上空衛星数情報158に示されるすべての上空衛星の数が受信チャンネル数よりも多くはないと判断した場合には、すべての上空衛星を受信チャンネルによって捕捉する(ステップST41)。この場合、信号強度が弱い信号も測位演算(ステップST6)に使用することになるが、受信チャンネルを余らせておくよりは、すべての受信チャンネルによって上空衛星から信号を受信することによって、可能な範囲で最大数の信号を使用して測位演算をすることができるから、より少ない数の信号を使用して測位演算を行う場合と比べて、測位精度の向上が期待できる。
【0055】
ただし、GPS衛星G6等は、天空の衛星軌道上を移動するから、時間経過によって軌道上の位置が変わり、GPS衛星G6等と端末20との間に、巨大な建物等の信号S6等にとっての障害物が位置し、信号強度が弱くなる場合がある。そこで、端末20は、さらに以下のステップを実施する。
まず、端末20は、上空衛星及び上空衛星数を再度確認する(ステップST7)。
【0056】
続いて、端末20は、すべての上空衛星の数が受信チャンネル数よりも多いか否かを判断する(ステップST8)。
ステップST8において、端末20が、すべての上空衛星の数が受信チャンネル数よりも多いと判断すると、1つの受信チャンネル(信号強度情報更新用受信チャンネル)を使用してすべての上空衛星の信号強度情報160を更新する(ステップST9)。
【0057】
続いて、端末20は、信号強度情報更新用受信チャンネル以外の受信チャンネル(測位用受信チャンネル)で捕捉中の上空衛星を変更する必要があるか否かを判断する(ステップST10)。具体的には、測位用受信チャンネルで捕捉している上空衛星からの信号の信号強度よりも強い信号強度の上空衛星からの信号が、上述の信号強度情報更新用受信チャンネルで捕捉された場合には、端末20は、測位用受信チャンネルで捕捉中の上空衛星を変更する必要があると判断し、ステップST11に進む。
【0058】
ステップST11において、端末20は、測位用受信チャンネルで捕捉する上空衛星を変更する(ステップST11)。すなわち、上空衛星の受信チャンネルへの割り当てを変更する。
【0059】
続いて、端末20は、新たに測位用受信チャンネルに割り当てた上空衛星からの信号に基いて、測位演算を実施する(ステップST12)。
続いて、端末は測位を終了するか否かを判断し(ステップST13)、測位終了する場合にはそのまま終了する。測位を終了しない場合には、ステップST7乃至ステップST12を繰り返す。
【0060】
なお、上述のステップST10において、端末20は、測位用受信チャンネルで捕捉中の上空衛星を変更する必要がないと判断した場合には、ステップST111に進み、測位用受信チャンネルで受信する上空衛星を維持しつつ、測位演算を実施する(ステップST12)。
【0061】
以上のステップによって、端末20は、時間経過によって各上空衛星からの信号の信号強度が変化した場合においても、その変化後の信号強度に基いて、受信チャンネルに割り当てる上空衛星を変更することができるから、時間経過にかかわらず、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる。
【0062】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について、説明する。
第2の実施の形態における測位システム10A(図10参照)の構成は、上記第1の実施の形態の測位システム10と多くの構成が共通するため共通する部分は同一の符号等とし、説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0063】
図10は、第2の実施の形態の測位システム10Aを示す概略図である。
図10に示すように、測位システム10Aは、サーバ50を有する。サーバ50は、端末20Aに対して、GPS衛星G6等の概略軌道を示す後述のサーバ側衛星情報252(図12参照)を提供する情報提供装置の一例である。サーバ側衛星情報252は、すべてのGPS衛星G6等の概略軌道を示す情報(アルマナック)であり、概略軌道情報の一例である。
【0064】
端末20Aは、通信基地局である基地局70及び通信網であるインターネット網80を介してサーバ50と通信可能になっている。
【0065】
(サーバ50の主なハードウエア構成について)
図11は、サーバ50の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図11に示すように、サーバ50は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス52を有する。
このバス52には、CPU54、記憶装置56、外部記憶装置58等が接続されている。外部記憶装置58は例えば、HD(Hard Disk)等である。
【0066】
また、このバス52には、命令等を入力するための操作装置60、外部と通信するためのサーバ通信装置62が接続されている。サーバ通信装置62は通信用アンテナ62aを有し、外部と信号を送受信するようになっている。
また、このバス52には、上述のサーバGPS装置64が接続されている。サーバGPS装置64は、GPSアンテナ64a、高周波処理部64b、ベースバンド部64cを有する。
また、このバス52には、各種情報等を表示するための表示装置66が接続されている。
【0067】
(サーバ50の主なソフトウエア構成について)
図12は、サーバ50の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図12に示すように、サーバ50は、各部を制御するサーバ制御部200、図11のサーバ通信装置62に対応するサーバ通信部202、図11のサーバGPS装置64に対応するサーバGPS部204を有する。
サーバGPS部204は、図12のベースバンド部64aによって抽出した符号を解読して衛星軌道を示す情報を取得する航法メッセージ解読部204aを有する。
図12に示すように、サーバ50は、各種プログラムを格納するサーバ第1記憶部210、各種情報を格納するサーバ第2記憶部250を有する。
【0068】
図12に示すように、サーバ50は、サーバ第2記憶部250に、サーバ側衛星情報252を格納している。サーバ側衛星情報252は、上述のように、すべてのGPS衛星G6等の概略軌道を示す情報(アルマナック)である。
【0069】
図12に示すように、サーバ50は、サーバ第1記憶部210に、衛星情報送信プログラム212を格納している。衛星情報送信プログラム212は、サーバ制御部200が、端末20Aに対して、サーバ側衛星情報252を送信するための情報である。
【0070】
(端末20Aの主なソフトウエア構成について)
図13は、端末20Aの主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図13に示すように、端末20Aは、端末第1記憶部110に、衛星情報要求プログラム128を格納している。衛星情報要求プログラム128は、端末制御部100が、サーバ50から、サーバ側衛星情報252を取得するための情報である。すなわち、衛星情報要求プログラム128と端末制御部100は、概略軌道情報取得手段の一例である。
具体的には、端末制御部100は衛星情報要求プログラム128に基づいて、サーバ50に対して、端末通信部102によってサーバ側衛星情報252を要求し、端末通信部102によってサーバ側衛星情報252を取得する。
端末制御部100は、取得したサーバ側衛星情報252を、概略軌道情報152aとして端末第2記憶部150に格納する。
【0071】
端末20Aの端末制御部100は、上空衛星情報生成プログラム112によって上空衛星情報156を生成し、上空衛星数情報生成プログラム114によって上空衛星数情報158を生成する。
そして、端末制御部100は、上空衛星数評価プログラム116によって、上空衛星数情報158に示される上空衛星数が、受信チャンネル数より多いと判断した場合には、以下の構成によって上空衛星を受信チャンネルに割り当てる。
【0072】
図13に示すように、端末20Aは、端末第1記憶部110に、受信チャンネル割り当てプログラム120Aを格納している。受信チャンネル割り当てプログラム120Aは、端末制御部100が、初期位置情報154に示される端末20Aの概略位置を基準とする上空衛星の仰角に基づいて、受信チャンネルに上空衛星を割り当てるための情報である。すなわち、受信チャンネル割り当てプログラム120Aと端末制御部100は、仰角基準受信チャンネル割り当て手段の一例である。
【0073】
図14は、上空衛星の受信チャンネルへの割り当て方の一例を示す図である。
端末制御部100は受信チャンネル割り当てプログラム120Aに基づいて、図14に示すように、仰角の大きい上空衛星から順に、受信チャンネルを割り当てる。
図14に示すように、GPS衛星G26の仰角は、GPS衛星G10よりも大きいが、信号強度は小さい。このように、仰角の大きいGPS衛星からの信号の信号強度が大きいとは限らない。したがって、仰角の大きいGPS衛星からの信号に基いて測位を行うと、測位精度が劣化する場合がある。
そこで、端末20Aは、さらに以下の構成を有する。
【0074】
図13に示すように、端末20Aは、端末第1記憶部110に、受信チャンネル割り当て修正プログラム126Aを格納している。受信チャンネル割り当て修正プログラム126Aは、端末制御部100が、受信チャンネル割り当てプログラム120Aに基づいて受信チャンネルに割り当てた上空衛星のうち、信号強度が最も小さい上空衛星を、受信チャンネル割り当てプログラム120Aに基づいて受信チャンネルに割り当てなかった上空衛星と入れ替えるための情報である。すなわち、受信チャンネル割り当て修正プログラム126Aと端末制御部100は、上空衛星入れ替え手段の一例である。
【0075】
図15及び図16は、端末20Aによる、上空衛星の入れ替え処理の一例を示す図である。
図15(a)は、8つの受信チャンネルに、仰角の大きいGPS衛星から順に割り当てた状態を示す図である。
図15(a)に示すように、受信チャンネルに割り当てた上空衛星のうち、受信チャンネル番号3に割り当てたGPS衛星G26の信号強度が最も小さい。このGPS衛星G26を、受信チャンネルに割り当てなかった上空衛星のうち、最も仰角が大きいGPS衛星G28と入れ替える。その結果、受信チャンネルへの割り当ては、図15(b)に示すようになる。
【0076】
次に、図15(b)に示すように上空衛星を受信チャンネルに割り当てると、受信チャンネル番号5に割り当てたGPS衛星G21の信号強度が最も小さい。このGPS衛星G21を、当初受信チャンネルに割り当てなかった上空衛星のうち、2番目に仰角が大きいGPS衛星G6と入れ替える。その結果、受信チャンネルへの割り当ては、図15(c)に示すようになる。
同様に、受信チャンネルの割り当てを変更していくと、図16(a)の状態を経て、図16(b)の状態となる。
【0077】
図13に示すように、端末20Aは、端末第1記憶部110に、受信チャンネル割り当て妥当性判断プログラム130を格納している。受信チャンネル割り当て妥当性判断プログラム130は、端末制御部100が、受信チャンネルに割り当てられているいずれの上空衛星も、受信チャンネルに割り当てられていないいずれの上空衛星の信号強度以上であるか否かを判断するための情報である。すなわち、受信チャンネル割り当て妥当性判断プログラム130と端末制御部100は、受信チャンネル割り当て妥当性判断手段の一例である。
【0078】
図16(b)の状態で、すべての上空衛星について、信号強度を取得している。この状態から、すべての上空衛星の信号強度を比較して、受信チャンネルを割り当てたいずれの上空衛星の信号強度も、受信チャンネルを割り当てないいずれのGPS衛星の信号強度よりも小さいということがなくなるように、必要に応じてGPS衛星を入れ替えていく。
そして、端末制御部100が、受信チャンネル割り当て妥当性判断プログラム130によって、受信チャンネルに割り当てられているいずれの上空衛星も、受信チャンネルに割り当てられていないいずれの上空衛星の信号強度以上であると判断すると、上空衛星の割り当てを完了する。
この結果、図16(c)に示すように、受信チャンネルを割り当てたいずれのGPS衛星の信号強度も、受信チャンネルを割り当てないいずれのGPS衛星の信号強度以上である状態になる。
端末制御部100は、図16(c)に示すようにGPS衛星を受信チャンネルに割り当てた状態で、測位演算プログラム122によって、測位を実施する。
【0079】
なお、本実施の形態とは異なり、端末20Aは、1つの受信チャンネルを使用して上空衛星の受信チャンネルへの入れ替えを行うのではなくて、複数の受信チャンネルを使用して上空衛星の入れ替えを行うようにしてもよい。これにより、より迅速にすべての上空衛星の信号強度を計測することができる。
【0080】
また、仰角が大きい順に受信チャンネルに割り当てた上空衛星を入れ替える処理は、端末20Aが屋内に位置する場合に限って実施するようにしてもよい。屋外であれば、仰角が大きい上空衛星の信号強度が、仰角が小さい上空衛星の信号強度よりも大きいと考えられるからである。なお、この場合、端末20Aが屋内か屋外かについては、例えば、最も仰角が大きいGPS衛星の信号強度が一定の閾値以上か否かによって判断するようにすればよい。
【0081】
以上が本実施の形態に係る測位システム10Aの構成であるが、以下、その動作例を主に図17を使用して説明する。
図17は本実施の形態に係る測位システム10Aの動作例を示す概略フローチャートである。
【0082】
まず、端末20Aは、サーバ50から、サーバ側衛星情報252(図12参照)を取得する(図17のステップST201)。
続いて、端末20Aは、観測可能なGPS衛星(上空衛星)及び上空衛星数を確認する(ステップST202)。
続いて、端末20Aは、すべての上空衛星の数が、受信チャンネル数よりも多いか否かを判断する(ステップST203)。
【0083】
上述のステップST203において、端末20Aが、すべての上空衛星の数が、受信チャンネル数よりも多いと判断した場合には、仰角の大きいGPS衛星から順に、受信チャンネルに割り当てる(ステップST204)。
端末20Aは、図16(a)に示すように仰角が高い順にGPS衛星17等を受信チャンネルに割り当てると、GPS衛星17等から信号S17等を受信し、信号強度を計測する。
【0084】
続いて、端末20Aは、一番信号強度の小さいGPS衛星を捕捉している受信チャンネル3を、他のGPS衛星に割り当てる(ステップST205)。ステップST205は、すべての上空衛星の信号強度を計測するまで順次実施される。
【0085】
続いて、端末20Aは、すべての上空衛星について信号強度を計測したか否かを判断する(ステップST206)。
ステップST206において、端末20Aが、すべての上空衛星について信号強度を計測したと判断すると、受信チャンネルに割り当てたいずれのGPS衛星の信号強度も、受信チャンネルに割り当てないいずれのGPS衛星の信号強度以上であるか確認する(ステップST207)。
続いて端末20Aは、受信チャンネルに割り当てたいずれのGPS衛星の信号強度も、受信チャンネルに割り当てないいずれのGPS衛星の信号強度以上であると判断すると、測位演算を実施する(ステップST208)。
【0086】
続いて、端末は測位を終了するか否かを判断し(ステップST209)、測位終了する場合にはそのまま終了する。測位を終了しない場合には、ステップST205乃至ステップST208を繰り返す。
【0087】
なお、上述のステップST203において、端末20Aが、すべての上空衛星の数が、受信チャンネル数以下であると判断した場合には、すべての上空衛星を受信チャンネルに割り当てて、捕捉する(ステップST241)。
また、ステップST206において、端末20Aが、すべての上空衛星について信号強度を計測していない判断した場合には、ステップST205及びステップST206を再度実施する。
また、ステップST207において、端末20Aが、受信チャンネルに割り当てたいずれかのGPS衛星の信号強度が、受信チャンネルに割り当てないいずれかのGPS衛星の信号強度よりも小さいと判断すると、ステップST205及びステップST206を繰り返す。
【0088】
以上で説明したように、端末20Aは、信号強度が大きい上空衛星からの信号に基づいて測位をすることができる。
これにより、端末20Aは、測位精度を確実に高くするように衛星を選択することができる。
【0089】
(プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等について)
コンピュータに上述の動作例の上空衛星情報生成ステップと、上空衛星数情報生成ステップと、上空衛星数評価ステップと、信号強度情報生成ステップと、受信チャンネル割り当てステップと、測位ステップ等を実行させるための測位装置の制御プログラムとすることができる。
また、このような測位装置の制御プログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等とすることもできる。
【0090】
これら測位装置の制御プログラム等をコンピュータにインストールし、コンピュータによって実行可能な状態とするために用いられるプログラム格納媒体は、例えばフロッピー(登録商標)のようなフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(Compact Disc−Rewriterble)、DVD(Digital Versatile Disc)などのパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的若しくは永続的に格納される半導体メモリ、磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなどで実現することができる。
【0091】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態の測位システムを示す概略図である。
【図2】GPS衛星の天空における衛星配置の一例を示す概略図である。
【図3】従来の受信チャンネルへの割り当て方の一例を示す概略図である。
【図4】本実施の形態の受信チャンネルへの割り当て方の一例を示す概略図である。
【図5】端末の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図6】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図7】信号強度情報の一例を示す図である。
【図8】受信チャンネル割り当て情報の一例を示す図である。
【図9】測位システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【図10】第2の実施の形態の測位システムを示す概略図である。
【図11】サーバの主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図12】サーバの主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図13】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図14】上空衛星の受信チャンネルへの割り当て方の一例を示す図である。
【図15】上空衛星の入れ替え処理の一例を示す図である。
【図16】上空衛星の入れ替え処理の一例を示す図である。
【図17】測位システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
10,10A・・・測位システム、12・・・建物、12a・・・屋根、12b・・・窓、20・・・端末、112・・・上空衛星情報生成プログラム、114・・・上空衛星数情報生成プログラム、116・・・上空衛星数評価プログラム、118・・・信号強度情報生成プログラム、120,120A・・・受信チャンネル割り当てプログラム、122・・・測位演算プログラム、124・・・信号強度情報更新プログラム、126,126A・・・受信チャンネル割り当て修正プログラム、128・・・衛星情報要求プログラム、130・・・受信チャンネル割り当て妥当性判断プログラム、152a・・・概略軌道情報、152b・・・精密軌道情報、154・・・初期位置情報、156・・・上空衛星情報、158・・・上空衛星数情報、160・・・信号強度情報、162・・・受信チャンネル割り当て情報、164・・・測位結果情報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置であって、
前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報と前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成手段と、
前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成手段と、
前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数が前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価手段と、
前記上空衛星数評価手段の判断結果に基づいて、すべての前記上空衛星から前記位置関連信号を受信して、各前記上空衛星からの前記位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成する信号強度情報生成手段と、
前記信号強度情報に示される信号強度に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる受信チャンネル割り当て手段と、
前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位手段と、
を有することを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記概略位置を基準とする水平線上に前記位置情報衛星が位置する時間間隔以内において規定される受信チャンネル割り当て見直し時間間隔において、少なくとも1つの前記受信チャンネルを使用して前記上空衛星からの前記位置関連信号を受信し、前記信号強度情報を更新する信号強度情報更新手段と、
前記信号強度情報更新手段によって更新した前記信号強度情報に基づいて、前記受信チャンネルに割り当てた前記上空衛星を変更する受信チャンネル割り当て修正手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記信号強度情報生成手段及び前記受信チャンネル割り当て手段は、屋内において起動する構成となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の測位装置。
【請求項4】
複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置であって、
前記測位装置に対して前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報を提供する情報提供装置から前記概略軌道情報を取得する概略軌道情報取得手段と、
前記概略軌道情報と、前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成手段と、
前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成手段と、
前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数が、前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価手段と、
前記上空衛星数評価手段の判断結果に基づいて、前記概略位置を基準とする前記上空衛星の仰角に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる仰角基準受信チャンネル割り当て手段と、
前記受信チャンネルに割り当てられた前記上空衛星のうち、前記信号強度が最も小さい前記上空衛星を、前記受信チャンネルに割り当てられていない前記上空衛星と入れ替える上空衛星入れ替え手段と、
前記受信チャンネルに割り当てられているいずれの前記上空衛星の前記信号強度も、前記受信チャンネルに割り当てられていないいずれの前記上空衛星の前記信号強度以上であるか否かを判断する受信チャンネル割り当て妥当性判断手段と、
前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位手段と、
を有することを特徴とする測位装置。
【請求項5】
前記上空衛星入れ替え手段は、複数の前記受信チャンネルを使用して、前記上空衛星の入れ替えを実施することを特徴とする請求項4に記載の測位装置。
【請求項6】
前記上空衛星入れ替え手段は、屋内において起動する構成となっていることを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれかに記載の測位装置。
【請求項7】
複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置が、前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報と前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数が、前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価ステップと、
前記測位装置が、前記上空衛星数評価ステップにおける判断結果に基づいて、すべての前記上空衛星から前記位置関連信号を受信して、各前記上空衛星からの前記位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成する信号強度情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記信号強度情報に示される信号強度に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる受信チャンネル割り当てステップと、
前記測位装置が、前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位ステップと、
を有することを特徴とする測位装置の制御方法。
【請求項8】
コンピュータに、
複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置が、前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報と前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数が、前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価ステップと、
前記測位装置が、前記上空衛星数評価ステップにおける判断結果に基づいて、すべての前記上空衛星から前記位置関連信号を受信して、各前記上空衛星からの前記位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成する信号強度情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記信号強度情報に示される信号強度に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる受信チャンネル割り当てステップと、
前記測位装置が、前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位ステップと、
を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラム。
【請求項1】
複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置であって、
前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報と前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成手段と、
前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成手段と、
前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数が前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価手段と、
前記上空衛星数評価手段の判断結果に基づいて、すべての前記上空衛星から前記位置関連信号を受信して、各前記上空衛星からの前記位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成する信号強度情報生成手段と、
前記信号強度情報に示される信号強度に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる受信チャンネル割り当て手段と、
前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位手段と、
を有することを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記概略位置を基準とする水平線上に前記位置情報衛星が位置する時間間隔以内において規定される受信チャンネル割り当て見直し時間間隔において、少なくとも1つの前記受信チャンネルを使用して前記上空衛星からの前記位置関連信号を受信し、前記信号強度情報を更新する信号強度情報更新手段と、
前記信号強度情報更新手段によって更新した前記信号強度情報に基づいて、前記受信チャンネルに割り当てた前記上空衛星を変更する受信チャンネル割り当て修正手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記信号強度情報生成手段及び前記受信チャンネル割り当て手段は、屋内において起動する構成となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の測位装置。
【請求項4】
複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置であって、
前記測位装置に対して前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報を提供する情報提供装置から前記概略軌道情報を取得する概略軌道情報取得手段と、
前記概略軌道情報と、前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成手段と、
前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成手段と、
前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数が、前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価手段と、
前記上空衛星数評価手段の判断結果に基づいて、前記概略位置を基準とする前記上空衛星の仰角に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる仰角基準受信チャンネル割り当て手段と、
前記受信チャンネルに割り当てられた前記上空衛星のうち、前記信号強度が最も小さい前記上空衛星を、前記受信チャンネルに割り当てられていない前記上空衛星と入れ替える上空衛星入れ替え手段と、
前記受信チャンネルに割り当てられているいずれの前記上空衛星の前記信号強度も、前記受信チャンネルに割り当てられていないいずれの前記上空衛星の前記信号強度以上であるか否かを判断する受信チャンネル割り当て妥当性判断手段と、
前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位手段と、
を有することを特徴とする測位装置。
【請求項5】
前記上空衛星入れ替え手段は、複数の前記受信チャンネルを使用して、前記上空衛星の入れ替えを実施することを特徴とする請求項4に記載の測位装置。
【請求項6】
前記上空衛星入れ替え手段は、屋内において起動する構成となっていることを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれかに記載の測位装置。
【請求項7】
複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置が、前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報と前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数が、前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価ステップと、
前記測位装置が、前記上空衛星数評価ステップにおける判断結果に基づいて、すべての前記上空衛星から前記位置関連信号を受信して、各前記上空衛星からの前記位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成する信号強度情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記信号強度情報に示される信号強度に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる受信チャンネル割り当てステップと、
前記測位装置が、前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位ステップと、
を有することを特徴とする測位装置の制御方法。
【請求項8】
コンピュータに、
複数の位置情報衛星から位置関連信号を受信する複数の受信チャンネルを有する測位装置が、前記位置情報衛星の概略軌道を示す概略軌道情報と前記測位装置の概略位置を示す概略位置情報に基づいて、前記概略位置から観測可能な前記位置情報衛星である上空衛星を示す上空衛星情報を生成する上空衛星情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記上空衛星情報に基づいて、前記上空衛星の数を示す上空衛星数情報を生成する上空衛星数情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記上空衛星数情報に示される前記上空衛星の数が、前記受信チャンネルの数よりも多いか否かを判断する上空衛星数評価ステップと、
前記測位装置が、前記上空衛星数評価ステップにおける判断結果に基づいて、すべての前記上空衛星から前記位置関連信号を受信して、各前記上空衛星からの前記位置関連信号の信号強度を示す信号強度情報を生成する信号強度情報生成ステップと、
前記測位装置が、前記信号強度情報に示される信号強度に基づいて、前記受信チャンネルに前記上空衛星を割り当てる受信チャンネル割り当てステップと、
前記測位装置が、前記受信チャンネルによって受信した前記位置関連信号に基づいて、前記測位装置の位置の測位を行う測位ステップと、
を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−145411(P2006−145411A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336993(P2004−336993)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]