説明

測定器

【課題】比較的広い測定領域を表示しつつ、指定した領域の目盛を読み取りやすくした測定器を提供する。
【解決手段】測定結果を表示する表示部50を有する測定器において、表示部50は、有機EL素子の集合体からなる有機ELパネルまたは電子ペーパにより構成され、表示部に、複数の目盛セグメント画像を等間隔で表示するとともに、これら目盛セグメント画像によって表示される表示領域のうち測定結果に対応する位置に指針画像Sを表示する表示制御手段と、表示領域のうち少なくとも一部の領域E1,E2を指定するとともに、この指定領域E1,E2の目盛セグメント画像M1,M2の目盛間隔情報を入力する目盛情報入力部とを備える。表示制御手段は、目盛情報入力部によって指令された指定領域E1,E2の目盛セグメント画像M1,M2を目盛間隔情報に基づいて表示する目盛間隔変更手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定器に関する。詳しくは、測定結果を表示する表示部を備えた測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
指針と目盛とによって被測定物の寸法等を読み取る測定器として、ダイヤルゲージが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ダイヤルゲージは、本体ケースにスピンドルを軸方向へ移動可能に設け、このスピンドルの移動変位量を拡大機構を介して指針の回転運動に変換し、この指針の回転角位置を目盛板に設けられた目盛から読み取って被測定物の寸法等を測定する構造である。
【0003】
目盛板の外周には、目盛が一定間隔で印刷されている。目盛の間隔は、ダイヤルゲージの使いやすさの1つの要素である。目盛の間隔が広いと、読み取りやすい反面、目盛板1周の分割数が少なくなるため、指針1回転当たりのスピンドルのストロークが短くなり、測定範囲が狭まる。逆に、目盛の間隔が狭いと、指針1回転当たりのスピンドルのストロークが長くなるため、測定範囲を拡大できる反面、読み取りづらい。
そのため、従来のダイヤルゲージでは、測定範囲をある程度確保しつつ、読み取りやすさを考慮した最適な目盛の間隔を設定し、この目盛を測定範囲全域に設定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−310601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、指針と目盛とで被測定物の寸法を読み取る測定器では、測定範囲を確保しつつ、読み取りやすさを考慮して、最適な目盛の間隔を測定範囲全域に設定していたため、不都合が生じる場合がある。
例えば、複数の部品の寸法検査をする際、寸法のばらつきが大きい場合でも、測定範囲を比較的大きく確保できるため、寸法のばらつきが大きい部品でも測定できる。しかし、寸法のばらつきが小さく、かつ、測定値が基準値に対して予め設定した公差内に入っているか否かを測定したい場合、目盛の間隔が測定範囲全域で同じ間隔に設定されているため、公差内において目盛が読み取りづらい場合がある。
【0006】
本発明の目的は、従来の課題に対して、比較的広い測定範囲を表示しつつ、指定した領域の目盛を読み取りやすくした測定器、つまり、測定範囲の確保と目盛の読み取りやすさを同時に達成できる測定器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の測定器は、測定結果を表示する表示部を有する測定器において、前記表示部は、有機EL素子の集合体からなる有機ELパネルまたは電子ペーパにより構成され、前記表示部に、複数の目盛セグメント画像を等間隔で表示するとともに、これら目盛セグメント画像によって表示される表示領域のうち前記測定結果に対応する位置に指針画像を表示する表示制御手段と、前記表示領域のうち少なくとも一部の領域を指定するとともに、この指定領域の前記目盛セグメント画像の目盛間隔情報を入力する目盛情報入力手段とを備え、前記表示制御手段は、前記目盛情報入力手段によって指令された前記指定領域の前記目盛セグメント画像を前記目盛間隔情報に基づいて表示する目盛間隔変更手段を有する、ことを特徴とする。
【0008】
ここで、有機ELパネルとは、有機EL(Electro-Luminescence:エレクトロルミネッセンス)素子の集合体をいい、特に、有機EL素子がマトリックス状に配置されたドットマトリックス型が好ましい。電子ペーパとは、電気泳動表示パネルという。
また、測定器とは、長さ、距離、角度などの物理量を測定する測定器、例えば、ノギス、マイクロメータ、インジケータ(ダイヤルゲージ)などである。
【0009】
このような構成によれば、表示部が有機ELパネルまたは電子ペーパにより構成されているから、表示内容も容易に変更することができる。そして、表示制御手段と、目盛情報入力手段とを備え、表示制御手段は、目盛情報入力手段によって指定された指定領域の目盛セグメント画像の間隔を目盛間隔情報に基づいて表示する目盛間隔変更手段を有しているから、指定領域の目盛セグメント画像の間隔を目盛情報入力手段によって入力された目盛間隔情報に基づく間隔に変更することができる。
従って、比較的広い測定領域を表示しつつ、指定領域の目盛セグメント画像の間隔を任意の間隔に変更することができるから、測定範囲の確保と目盛の読み取りやすさを同時に達成できる。
【0010】
もとより、表示部が有機ELパネルまたは電子ペーパにより構成されているから、視認性の向上が可能なうえ、コストダウンが図れる。例えば、有機ELパネルでは、視野角が広く(180°近い視野角)、しかも、自発光であるから、視認性の向上が期待できる。また、表示内容も容易に変更することができるので、複数種の表示器について表示部を共通化することができるとともに、表示デザインの変更も容易であるから、コストダウンが可能である。
【0011】
本発明の測定器において、前記目盛情報入力手段からは、基準値に対する公差寸法が前記指定領域として入力され、前記目盛間隔変更手段は、前記基準値に対する公差寸法の範囲を指定領域として、その指定領域の目盛セグメント画像の間隔を指令間隔で表示する、ことが好ましい。
このような構成によれば、目盛情報入力手段からは、基準値に対する公差寸法、目盛間隔情報が入力されると、目盛間隔変更手段は、基準値に対する公差寸法の範囲を指定領域として、その指定領域の目盛セグメント画像を入力された目盛間隔情報に基づく間隔で表示するから、測定結果が公差内に入っているか否かを容易に確認できる。
【0012】
本発明の測定器において、前記測定結果が前記基準値に対する公差寸法範囲内であるか否かを判定する判定手段と備え、前記表示制御手段は、前記判定手段によって判定された判定結果画像を前記表示部に表示する、ことが好ましい。
このような構成によれば、判定手段によって、測定結果が基準値に対する公差寸法の範囲内であるか否かが判定されると、表示制御手段は、判定手段によって判定された判定結果画像を表示部に表示するから、この表示部に表示された表示内容から、測定結果の良否を把握できる。
【0013】
本発明の測定器において、前記表示制御手段は、前記基準値および前記公差寸法、測定結果、基準値に対する測定結果の差、合否判定結果を前記表示部に表示する、ことが好ましい。
このような構成によれば、基準値および公差寸法、測定結果、基準値に対する測定結果の差が表示部に表示されるから、表示部に表示された表示内容から、それぞれの数値情報を正確に確認できる。
【0014】
本発明の測定器において、前記表示制御手段は、前記指針画像の移動状態の変化に応じて、指針の残像画像を表示する残像画像表示手段を有する、ことが好ましい。
このような構成によれば、指針画像が移動すると、その移動状態の変化から、指針の残像が表示されるから、この指針の残像から指針の動き、つまり、測定結果の変動方向や大まかな位置を把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る測定器を示すブロック図。
【図2】同上実施形態の表示制御部および表示部を示すブロック図。
【図3】同上実施形態の表示部の表示例を示す図。
【図4】同上実施形態において、表示部の他表示例を示す図。
【図5】同上実施形態において、表示部の他表示例(指針残像表示)を示す図。
【図6】同上実施形態において、表示部の他表示例(目盛直線配列表示)を示す図。
【図7】同上実施形態において、表示部の他の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<測定器の構成>
図1は、実施形態の測定器を示している。
同測定器は、変位検出センサ10と、変位演算部20と、目盛情報入力手段としての目盛情報入力部31と、記憶部32と、表示制御手段としての表示制御部40と、表示部50とを備えている。
ここで、測定器とは、本体に対して可動部材が移動し、この可動部材の移動量から被測定物の寸法を測定する測定器、例えば、ノギス、マイクロメータ、インジケータ(ダイヤルゲージ)などをいう。
【0017】
変位検出センサ10は、測定器の可動部材の変位量を検出する。例えば、ノギスでは、本体としての本尺に対する可動部材としてのスライダの変位量を検出する。また、マイクロメータでは、本体に対する可動部材としてのスピンドルの変位量を検出する。更に、インジケータ(ダイヤルゲージ)では、本体に対する可動部材としてのスピンドルの変位量を検出する。
なお、これらの変位検出センサ10は、例えば、ノギスの場合、本尺の長手方向に沿って所定のピッチで形成されたメインスケールと、このメインスケールに対向してスライダに設けられた検出ヘッドとからなる静電容量式エンコーダによって構成することができる。
【0018】
変位演算部20は、変位検出センサ10からの信号を演算処理し、測定器の可動部材の変位量を求める。これによって求められた結果は、表示制御部40に与えられる。
目盛情報入力部31からは、表示部50に表示される表示領域のうち少なくとも一部の領域を指定するデータが入力されるとともに、この指定領域の目盛セグメント画像の間隔を指定する目盛間隔情報が入力される。具体的には、基準値(設計上の仕上げ寸法値)、この基準値に対する公差寸法が指定領域として入力されるとともに、この公差寸法(指定領域)内の目盛の目盛間隔情報などが入力される。
【0019】
記憶部32には、表示制御部40の動作を制御するプログラムなどのほかに、表示部50に表示する画像データが記憶されている。
画像データとしては、複数の目盛セグメント画像を円環状にかつ等間隔で表示するための目盛セグメント画像データ、所定位置の目盛セグメント画像データに対して数値情報を表す数値画像データ、指針画像データなどが格納されている。また、記憶部32には、前記画像データを格納するエリアのほかに、変位検出センサ10によって検出され変位演算部20で求められた測定結果を記憶する測定結果記憶エリア、目盛情報入力部31から入力された基準値、公差寸法、目盛間隔情報を記憶する基準値記憶エリア、公差寸法記憶エリア、目盛間隔情報記憶エリアが設けられている。更に、基準値に対する測定結果の差を記憶する差記憶エリアや、差が公差寸法内にあるか否かを判定した合否判定結果を記憶する合否判定結果記憶エリアなどが設けられている。
【0020】
表示制御部40は、記憶部32に記憶された画像データに従って表示部50に画像を表示するとともに、変位演算部20によって求められた測定結果を画像として表示部50に表示する。
具体的には、複数の目盛セグメント画像を等間隔で表示するとともに、これらの表示領域のうち測定結果に対応する位置に指針画像を表示する。また、表示制御部40は、目盛情報入力部31によって指令された指定領域の目盛セグメント画像の間隔を目盛間隔情報に基づいた間隔で表示する目盛間隔変更手段、測定結果が公差寸法の範囲内であるか否かを判定する判定手段、指針画像の移動状態の変化に応じて、指針の残像画像を表示する残像画像表示手段を兼ねている。
【0021】
表示部50は、図2に示すように、有機EL(Electro-Luminescence:エレクトロルミネッセンス)表示装置によって構成されている。
有機EL表示装置は、有機ELパネル51と、コラムドライバ52と、ロウドライバ53とから構成されている。有機ELパネル51は、例えば、モノクロ画面から構成され、マトリックス状に配置された複数本ずつの信号線と走査線との各交点に、画素としての有機EL素子がそれぞれ配置されて構成されている。コラムドライバ52が信号線に、また、ロウドライバ53が走査線に電圧を同時に印加すると、その交点に配置された有機EL素子が発光される。発光した部分が白色に、発光していない部分が黒色となる白黒の2色で画像情報が表示される。つまり、表示制御部40が画像データに基づいて、有機ELパネル51に文字や図形などを表示させる。
ちなみに、このような有機ELパネルの駆動方式は、「単純マトリックス方式」あるいは「パッシブマトリックス方式」と称されている。なお、有機ELパネルとしては、ドットマトリックス型に限られない。他の型であってもよく、また、モノクロ画像に限らず、カラー画像で表示するものであってもよい。
【0022】
<測定結果の表示>
本体に対して可動部材が移動すると、変位検出センサ10によって本体に対する可動部材の変位量が電気信号として検出されたのち、変位演算部20へ与えられる。変位演算部20では、変位検出センサ10からの検出信号を基に本体に対する可動部材の変位量を演算し、その結果を表示制御部40へ与える。
表示制御部40では、記憶部32に記憶された画像データに従って表示部50に画像を表示するとともに、変位演算部20によって求められた測定結果を画像として表示部50に表示する。
【0023】
このとき、測定開始前に、目盛情報入力部31から、基準値、この基準値に対する公差寸法、公差寸法の領域内の目盛間隔情報を入力しておくと、これらの情報が記憶部32の各記憶エリアに記憶されるとともに、基準値に対する測定結果の差や、測定結果が公差寸法内にあるか否かの合否判定結果が記憶部32の各記憶エリアに記憶される。
すると、表示制御部40によって、記憶部32の各記憶エリアに記憶された情報に基づいて、表示部50に目盛セグメント画像、測定結果に基づく指針画像などが表示される。
【0024】
例えば、基準値として「9.55mm」、公差寸法として「+0.01」「−0.01」、目盛間隔情報として、公差寸法範囲の間隔を通常の目盛間隔に対してn1倍、「+0.01〜+0.1」「−0.01〜−0.1」の範囲を通常の目盛間隔に対してn2倍に設定しておくと、表示部50には、図3に示すように表示される。
つまり、表示部50に表示される目盛セグメント画像Mのうち、公差寸法範囲(−0.01〜+0.01)の領域E1内の目盛セグメント画像M1の間隔は、通常の目盛セグメント画像M3の間隔に対してn1倍の間隔に表示されるとともに、公差寸法範囲に隣接した領域E2(+0.01〜+0.1、−0.01〜−0.1)の目盛セグメント画像M2の間隔は、通常の目盛セグメント画像M3の間隔に対してn2倍に表示される。また、これらの表示領域のうち、測定結果に対応する位置に指針画像Sが表示される。更に、これらの下部分に、基準値に対する測定結果(9.555mm)の差61や、測定結果が公差寸法内にあるか否かの合否判定結果62が表示される。
【0025】
従って、本実施形態によれば、予め、目盛情報入力部31によって、表示部50に表示される表示領域のうち少なくとも一部の領域を指定するデータを入力するとともに、この指定領域の目盛セグメント画像の間隔を指定する目盛間隔情報を入力しておくと、表示制御部40によって、指定領域の目盛セグメント画像の間隔が目盛間隔情報に基づく間隔に変更されるから、比較的広い測定領域を表示しつつ、指定領域の目盛セグメント画像の間隔を任意の間隔に変更することができる。そのため、測定範囲の確保と目盛の読み取りやすさを同時に達成することができる。
【0026】
また、目盛情報入力部31からは、基準値に対する公差寸法を指定領域として入力するようにしたので、その公差寸法内の目盛セグメント画像を入力された目盛間隔情報に基づく間隔で表示することができるから、測定結果が公差内に入っているか否かを容易に確認できる。
また、測定結果が基準値に対する公差寸法の範囲内であるか否かを判定する判定手段を備えるとともに、表示制御部40は、判定手段によって判定された判定結果画像を表示部50に表示するから、この表示部50に表示された表示内容から、測定結果の良否を把握できる。
【0027】
もとより、表示部50の表示内容も容易に変更することができるので、表示デザインの変更も容易であるから、コストダウンが可能である。
さらに、本実施形態では、表示部50が有機EL素子の集合体からなる有機ELパネル51により構成されているから、視認性の向上が可能である。つまり、有機ELパネル51では、視野角が広く(180°近い視野角)、しかも、自発光であるから、視認性の向上が期待できる。
また、有機ELパネル51は、有機EL素子がマトリックス状に配置されたドットマトリックス型であるから、測定結果を数値表示させるだけでなく、多用なデザイン表示を行うことができる。
【0028】
<変形例>
本発明は、前述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれる。
前記実施形態において、表示部50の表示内容を切り替える表示切替部を設け、この表示切替部の切り替え操作によって、記憶部32の各記憶エリアの内容を表示部50にデジタル表示するようにしてもよい。
例えば、図4に示すように、測定結果(原点からの絶対寸法)60、基準値63およびこれに対する公差寸法64、基準値63に対する測定結果の差61、合否判定結果62などを、表示部50に表示するようにしてもよい。
このようにすれば、基準値および公差寸法、測定結果、基準値に対する測定結果の差が表示部に表示されるから、表示部に表示された表示内容から、それぞれの数値情報を正確に確認できる。
【0029】
前記実施形態において、表示制御部40は、指針画像Sの移動状態の変化に応じて、指針の残像画像S’を表示する残像画像表示手段を有するように構成してもよい。
このようにすれば、図5に示すように、指針画像Sが移動すると、その移動状態の変化から、指針画像Sの残像画像S’が表示されるから、この指針画像Sの残像画像S’から指針の動き、つまり、測定結果の変動方向や大まかな位置を把握できる。
【0030】
前記実施形態では、複数の目盛セグメント画像を円環状に配置したが、例えば、図6に示すように、複数の目盛セグメント画像M1〜M3を直線状に配置するようにしてもよい。
【0031】
前記実施形態では、表示部50の表示領域のうち、基準値に対する公差寸法範囲の領域E1、および、これに隣接する領域E2の目盛セグメント画像M1,M2の間隔を変更するようにしたが、少なくとも1つの領域を変更できればよい。
また、目盛セグメント画像の間隔を変更する領域についても、公差寸法範囲の領域に限らず、他の領域であってもよく、あるいは、表示領域全域の目盛セグメント画像の間隔を変更するようにしてもよい。
【0032】
前記実施形態では、表示部50として有機ELパネル51を用いたが、これに限らず視認性や携帯性を保った表示媒体のうち、表示内容を電気的に書き換えできる電子ペーパ、具体的には電気泳動表示パネルであってもよい。
例えば、図7に示すように、電気泳動表示パネル70は、表面基材71、共通電極72、電気泳動層73、画素電極78、TFT回路層79、背面基材80が順に積層されて構成されている。表面基材71および背面基材80は、透明な樹脂シートによって構成されている。TFT回路層79には、走査線駆動回路によって駆動されるTFT回路、具体的にはスイッチングトランジスタなどが設けられている。各トランジスタは、画素毎に設けられた画素電極78に接続されている。共通電極72は、ITO(Indium Tin Oxid)などの透明な電極材によって構成され、電気泳動表示パネル70の略全域にわたって設けられている。画素電極78は、表示パネル70の画素毎に設けられている。
【0033】
電気泳動層73は、共通電極に接着された複数のマイクロカプセル74を備える。マイクロカプセル74には、多数の帯電粒子を分散させた電気泳動粒子分散液75が封入されている。電気泳動粒子分散液75には、黒色の電気泳動粒子76(これを黒色粒子と呼ぶ)と、白色の電気泳動粒子77(これを白色粒子と呼ぶ)とが分散され、二色の粉体流体方式の電気泳動層が形成されている。これら黒色粒子76および白色粒子77は、互いに異なる極性に帯電されている。ここでは、黒色粒子76がマイナス(負)に帯電され、白色粒子77がプラス(正)に帯電されている。
【0034】
マイクロカプセル74の黒色粒子76および白色粒子77は、共通電極72および画素電極78間に電位差を生じさせることで電気泳動が行われる。
いま、画素電極78がローレベル、共通電極72がハイレベルの場合、その間の電位差によって共通電極72から画素電極78に向かう電界が発生する。すると、正に帯電した白色粒子77が画素電極78側に移動され、負に帯電した黒色粒子76が共通電極72側に移動されるため、共通電極72の電位に比べて画素電極78の電位が低い部分は、表面基材71側から視認した場合、黒色に表示される。
これとは逆に、画素電極78をハイレベル、共通電極72をローレベルに切り換えると、電界の向きが逆転するので、表示は白色に表示される。
また、黒色表示や白色表示の状態において、電界印加が停止されると、黒色粒子76や白色粒子77の移動も止まり、そのままの表示色が保持される。
【0035】
また、本発明は、前記実施形態で説明したノギス、マイクロメータ、インジケータに限られず、キャリパーゲージ、表面性状測定器など種々の測定器に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、測定結果を表示する表示部を備えた測定器、例えば、ノギス、マイクロメータ、インジケータなどに利用できる。
【符号の説明】
【0037】
31…目盛情報入力部(目盛情報入力手段)、
40…表示制御部(表示制御手段、目盛間隔変更手段、判定手段、残像画像表示手段)、
50…表示部、
51…有機ELパネル、
60…測定結果、
61…差、
62…合否判定結果、
63…基準値、
64…公差寸法、
70…電気泳動表示パネル(電子ペーパ)、
E1,E2,E3…領域
M,M1,M2,M3…目盛セグメント画像、
S…指針画像、
S’…残像画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定結果を表示する表示部を有する測定器において、
前記表示部は、有機EL素子の集合体からなる有機ELパネルまたは電子ペーパにより構成され、
前記表示部に、複数の目盛セグメント画像を等間隔で表示するとともに、これら目盛セグメント画像によって表示される表示領域のうち前記測定結果に対応する位置に指針画像を表示する表示制御手段と、
前記表示領域のうち少なくとも一部の領域を指定するとともに、この指定領域の前記目盛セグメント画像の目盛間隔情報を入力する目盛情報入力手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記目盛情報入力手段によって指令された前記指定領域の前記目盛セグメント画像を前記目盛間隔情報に基づいて表示する目盛間隔変更手段を有する、
ことを特徴とする測定器。
【請求項2】
請求項1に記載の測定器において、
前記目盛情報入力手段からは、基準値に対する公差寸法が前記指定領域として入力され、
前記目盛間隔変更手段は、前記基準値に対する公差寸法の範囲を指定領域として、その指定領域の目盛セグメント画像の間隔を前記目盛間隔情報に基づいて表示する、
ことを特徴とする測定器。
【請求項3】
請求項2に記載の測定器において、
前記測定結果が前記基準値に対する公差寸法範囲内であるか否かを判定する判定手段と備え、
前記表示制御手段は、前記判定手段によって判定された判定結果画像を前記表示部に表示する、
ことを特徴とする測定器。
【請求項4】
請求項3に記載の測定器において、
前記表示制御手段は、前記基準値および前記公差寸法、測定結果、基準値に対する測定結果の差、合否判定結果を前記表示部に表示する、
ことを特徴とする測定器。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の測定器において、
前記表示制御手段は、前記指針画像の移動状態の変化に応じて、指針の残像画像を表示する残像画像表示手段を有する、
ことを特徴とする測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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