説明

測定装置および測定方法

【課題】筒体内でのコイル状の導電体の偏心状態を正確で、しかも低コストで測定する。
【解決手段】直線状の金属チューブ2内にその筒長方向に沿って配設されたコイル状の発熱コイル3を備えたグロープラグ1における発熱コイル3の金属チューブ2の軸線Lに対する偏心状態を測定する測定装置Mであって、グロープラグ1に対して軸線Lを中心とした複数のラジアル方向から一定の磁界Fを印加する磁界印加部12と、発熱コイル3とコンデンサ17の並列回路18に所定の周波数の交流信号S1を印加する信号印加部13と、交流信号S1の印加時における並列回路18の両端間電圧V1を測定する電圧測定部14と、磁界印加部13によるグロープラグ1に対する磁界Fの印加状態において電圧測定部14によって測定されたラジアル方向毎の両端間電圧V1に基づいて偏心状態を測定する処理部15とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電材料を用いて直線状に形成された筒体内に筒長方向に沿ってコイル状の導電体が配設された測定対象体におけるその導電体の筒体の軸線に対する偏心状態を測定する測定装置および測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の測定対象体の一例として、下記の特許文献1などに開示されているように、ディーゼルエンジンに使用されるグロープラグが存在する。この種のグロープラグ1は、一般的に、図10に示すように、先端が閉鎖された金属チューブ(筒体)2と、金属チューブ2内に配設された発熱コイル3(コイル状の導電体)と、金属チューブ2の開口された端部にシール4を介して装着された中心電極5と、金属チューブ2内に充填された絶縁粉末6とを備えている。この場合、発熱コイル3は、その一端が金属チューブ2における先端内面に接続され、かつその他端が中心電極5に接続された状態で、金属チューブ2の筒長方向に沿って配設されている。このグロープラグ1では、金属チューブ2、発熱コイル3および中心電極5の経路に電流を供給することによって発熱コイル3が発熱する。
【特許文献1】特許第2949362号公報(第1頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のグロープラグ1では、発熱コイル3が発熱時に膨張して曲がり(偏心し)、図11に示すように、その一部が金属チューブ2に接近する現象が発生することがある。このため、このグロープラグ1は、この現象の発生時に、曲がった発熱コイル3が金属チューブ2と接触(短絡)しないように、図10に示すように、発熱コイル3が金属チューブ2の軸線L上に位置するように製造されている。
【0004】
しかしながら、発熱コイル3の金属チューブ2内への装着工程において、誤って発熱コイル3が金属チューブ2の軸線L上からずれて配置されていたり、また当初は金属チューブ2の軸線L上に配置されていた発熱コイル3が、一例としてその後に行われる金属チューブ2内への絶縁粉末6の充填工程において、絶縁粉末6からの圧力を受けて金属チューブ2の軸線L上からずれることがある。このため、このようなグロープラグ1(製作時において既に発熱コイル3が図11に示す状態のように軸線L上からずれているグロープラグ)では、使用状態(発熱状態)において、発熱コイル3の膨張による曲がり方向(偏心方向)が、製造時における発熱コイル3のずれ方向と一致したときには、発熱コイル3の軸線Lからの全ずれ量(全偏心量)が多くなる結果、軸線Lからずれた(偏心した)発熱コイル3が図12に示すように金属チューブ2と接触(短絡)することがある。この接触状態(短絡状態)では、発熱コイル3のコイル長が実質的に短くなるため、このグロープラグ1には、供給電流を一定として駆動する条件下では、発熱量が低下するという課題が存在している。
【0005】
このため、発熱時に発熱コイル3と金属チューブ2とが接触(短絡)するおそれのあるグロープラグ1であるか否かを検査する必要がある。この検査の方法としては、第1に、発熱状態において発熱コイル3および金属チューブ2が接触したときには発熱コイル3と金属チューブ2との間の抵抗値が減少することに着目して、グロープラグ1を実際に発熱させると共に発熱状態における発熱コイル3と金属チューブ2との間の抵抗値を測定し、測定した抵抗値と基準値(発熱状態のときに発熱コイル3と金属チューブ2とが接触しない製品(良品)についての発熱コイル3と金属チューブ2との間の抵抗値)とを比較する検査方法が考えられる。しかしながら、発熱コイル3の抵抗値はそもそも小さいため、発熱コイル3が金属チューブ2と接触しない状態での発熱コイル3の抵抗値と、接触した状態での発熱コイル3の抵抗値との差も小さいことから、この第1の検査方法では、測定したこの両抵抗値の差が、接触に起因する差なのか、測定上の誤差による差なのかを判別し難いため、発熱時に発熱コイル3と金属チューブ2とが接触(短絡)するおそれのあるグロープラグ1であるか否かを正確に検査することが困難となっている。
【0006】
また、第2の検査方法として、金属チューブ2内の発熱コイル3の状態をX線スキャナで検査し、この検査結果を表示装置に表示させることで、発熱コイル3の状態を直接検査する検査方法が考えられる。この第2の検査方法によれば、金属チューブ2内での発熱コイル3の曲がり具合(偏心状態)を直接測定することができるため、グロープラグ1を発熱させることなく、発熱時における発熱コイル3と金属チューブ2との接触(短絡)のおそれの有無を検査することが可能である。しかしながら、X線スキャナの使用によって測定コストが高価になるため、検査コストも高価になるという課題が存在している。このため、金属チューブ2(筒体)内での発熱コイル3(コイル状の導電体)の曲がり具合(偏心状態)を正確に、かつ低コストで測定し得る測定装置の開発が望まれている。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決すべくなされたものであり、筒体内でのコイル状の導電体の偏心状態を正確で、しかも低コストで測定し得る測定装置および測定方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定装置は、直線状の筒体、および当該筒体内に当該筒体の筒長方向に沿って配設されたコイル状の導電体を備えた測定対象体における前記導電体の当該筒体の軸線に対する偏心状態を測定する測定装置であって、前記測定対象体に対して前記軸線を中心とした複数のラジアル方向から一定の磁界を印加する磁界印加部と、前記導電体、および当該導電体に並列に接続された静電容量体の並列回路に所定の周波数の交流信号を印加する信号印加部と、前記交流信号の印加時における前記並列回路の両端間電圧を測定する電圧測定部と、前記磁界印加部による前記測定対象体に対する前記磁界の印加状態において前記電圧測定部によって測定された前記ラジアル方向毎の前記両端間電圧に基づいて前記偏心状態を測定する処理部とを備えている。
【0009】
また、上記目的を達成すべく請求項2記載の測定装置は、直線状の筒体、および当該筒体内に当該筒体の筒長方向に沿って配設されたコイル状の導電体を備えた測定対象体における前記導電体の当該筒体の軸線に対する偏心状態を測定する測定装置であって、前記測定対象体に対して前記軸線を中心とした複数のラジアル方向から一定の磁界を印加する磁界印加部と、所定の周波数の交流信号を前記導電体、および当該導電体に直列に接続された静電容量体の直列回路に印加する信号印加部と、前記交流信号の印加時における前記直列回路の両端間電圧を測定する電圧測定部と、前記磁界印加部による前記測定対象体に対する前記磁界の印加状態において前記電圧測定部によって測定された前記ラジアル方向毎の前記両端間電圧に基づいて前記偏心状態を測定する処理部とを備えている。
【0010】
また、請求項3記載の測定装置は、請求項1または2記載の測定装置において、前記磁界印加部は、前記軸線を中心とした仮想円上に配設されて前記磁界を発生する1つの磁界発生部、および当該磁界発生部を当該仮想円上で移動させる移動部を備えている。
【0011】
また、請求項4記載の測定装置は、請求項1または2記載の測定装置において、前記磁界印加部は、前記軸線を中心とした仮想円上における前記各ラジアル方向に対応する位置に配設された複数の磁界発生部を備え、当該複数の磁界発生部は、前記磁界を順次発生する。
【0012】
また、請求項5記載の測定装置は、請求項1または2記載の測定装置において、前記磁界印加部は、前記軸線を中心とした仮想円上に配設されて前記磁界を発生する1つの磁界発生部、および前記軸線を中心に前記測定対象体を回転させる回転部を備えている。
【0013】
また、請求項6記載の測定装置は、請求項1から5のいずれかに記載の測定装置において、前記処理部は、前記ラジアル方向毎の前記両端間電圧のばらつき度合いに基づいて前記偏心状態を測定する。
【0014】
また、請求項7記載の測定装置は、請求項1から6のいずれかに記載の測定装置において、前記複数のラジアル方向は、前記軸線を中心として等角度間隔で規定されている。
【0015】
また、上記目的を達成すべく請求項8記載の測定方法は、直線状の筒体、および当該筒体内に当該筒体の筒長方向に沿って配設されたコイル状の導電体を備えた測定対象体における前記導電体の当該筒体の軸線に対する偏心状態を測定する測定方法であって、前記導電体に静電容量体を並列に接続した状態において、前記測定対象体に対して前記軸線を中心とした複数のラジアル方向から一定の磁界を印加しつつ、当該導電体および当該静電容量体の並列回路に所定の周波数の交流信号を印加したときの前記ラジアル方向毎の当該並列回路の両端間電圧を測定し、当該測定したラジアル方向毎の両端間電圧に基づいて前記偏心状態を測定する。
【0016】
また、上記目的を達成すべく請求項9記載の測定方法は、直線状の筒体、および当該筒体内に当該筒体の筒長方向に沿って配設されたコイル状の導電体を備えた測定対象体における前記導電体の当該筒体の軸線に対する偏心状態を測定する測定方法であって、前記導電体に静電容量体を直列に接続した状態において、前記測定対象体に対して前記軸線を中心とした複数のラジアル方向から一定の磁界を印加しつつ、当該導電体および当該静電容量体の直列回路に所定の周波数の交流信号を印加したときの前記ラジアル方向毎の当該直列回路の両端間電圧を測定し、当該測定したラジアル方向毎の両端間電圧に基づいて前記偏心状態を測定する。
【0017】
また、請求項10記載の測定方法は、請求項8または9記載の測定方法において、前記軸線を中心とした仮想円上に配設されて前記磁界を発生する1つの磁界発生部を当該仮想円上で移動させる。
【0018】
また、請求項11記載の測定方法は、請求項8または9記載の測定方法において、前記軸線を中心とした仮想円上における前記各ラジアル方向に対応する位置に配置した複数の磁界発生部を順次作動させて前記磁界を発生させる。
【0019】
また、請求項12記載の測定方法は、請求項8または9記載の測定方法において、前記軸線を中心とした仮想円上に前記磁界を発生する1つの磁界発生部を配置した状態において、前記軸線を中心に前記測定対象体を回転させる。
【0020】
また、請求項13記載の測定方法は、請求項8から12のいずれかに記載の測定方法において、前記ラジアル方向毎の前記両端間電圧のばらつき度合いに基づいて前記偏心状態を測定する。
【0021】
また、請求項14記載の測定方法は、請求項8から13のいずれかに記載の測定方法において、前記軸線を中心として等角度間隔で規定された前記複数のラジアル方向から当該磁界を印加する。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の測定装置および請求項8記載の測定方法では、直線状の筒体内に筒長方向に沿って配設されたコイル状の導電体を備えた測定対象体に対して筒体の軸線を中心とした複数のラジアル方向から一定の磁界を印加しつつ、導電体に静電容量体が並列接続されてなる並列回路に交流信号を印加して、ラジアル方向毎(磁界の印加方向毎)のこの並列回路の両端間電圧を測定し、測定したラジアル方向毎の両端間電圧のばらつき度合いに基づいて導電体の偏心状態を測定する。したがって、この測定装置によれば、導電体の発熱状態における抵抗値を測定する構成と比較して、筒体内での導電体の偏心状態を正確に測定することができる。また、X線スキャナを使用しないため、低コストで導電体の偏心状態を測定することができる。
【0023】
請求項2記載の測定装置および請求項9記載の測定方法では、直線状の筒体内に筒長方向に沿って配設されたコイル状の導電体を備えた測定対象体に対して筒体の軸線を中心とした複数のラジアル方向から一定の磁界を印加しつつ、導電体に静電容量体が直列接続されてなる直列回路に交流信号を印加して、ラジアル方向毎(磁界の印加方向毎)のこの直列回路の両端間電圧を測定し、測定したラジアル方向毎の両端間電圧に基づいて導電体の偏心状態を測定する。したがって、この測定装置によれば、導電体の発熱状態における抵抗値を測定する構成と比較して、筒体内での導電体の偏心状態を正確に測定することができる。また、X線スキャナを使用しないため、低コストで導電体の偏心状態を測定することができる。
【0024】
請求項3記載の測定装置および請求項10記載の測定方法によれば、軸線を中心とした仮想円上に配設されて磁界を発生する1つの磁界発生部をこの仮想円上で移動させるようにしたことにより、磁界発生部の数を最小限に抑制しつつ、複数のラジアル方向から一定の磁界を測定対象体に印加することができる。
【0025】
請求項4記載の測定装置および請求項11記載の測定方法によれば、軸線を中心とした仮想円上における各ラジアル方向に対応する位置に配置した複数の磁界発生部を順次作動させて磁界を発生させることにより、磁界発生部の数は増加するものの、可動する機械的構成を省くことができるため、装置全体の耐久性を向上させることができる。
【0026】
請求項5記載の測定装置および請求項12記載の測定方法によれば、軸線を中心とした仮想円上に磁界を発生する1つの磁界発生部を配置した状態において、軸線を中心に測定対象体を回転させることにより、磁界発生部を仮想円上で移動させる必要がなくなるため、検査装置の占有スペースを小さくすることができる。
【0027】
請求項6記載の測定装置および請求項13記載の測定方法によれば、ラジアル方向毎の両端間電圧のばらつき度合いに基づいて偏心状態を測定することにより、仕様(ターン数や抵抗値)の異なる導電体を備えた測定対象体における導電体の偏心状態を共通の閾値に基づいて正確に測定することができる。
【0028】
請求項7記載の測定装置および請求項14記載の測定方法によれば、軸線を中心として等角度間隔で規定された複数のラジアル方向から磁界を印加することにより、導電体がいずれの方向に偏心したとしてもその偏心状態を正確に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る測定装置および測定方法の最良の形態について、一例として本願発明における測定対象体の一例であるグロープラグの検査装置に適用した例について説明する。
【0030】
最初に、グロープラグ1について図10を参照して説明する。グロープラグ1は、先端(同図中における右端)が閉鎖された金属チューブ(本発明における直線状の筒体)2と、金属チューブ2内にその筒体の筒長方向に沿って配設された発熱コイル(本発明におけるコイル状の導電体)3と、金属チューブ2の開口された端部(同図中の左端)にシール4を介して装着された中心電極5と、金属チューブ2内に充填された絶縁粉末6とを備えて構成されている。
【0031】
次に、検査装置11について、図面を参照して説明する。
【0032】
検査装置11は、図1に示すように、磁界印加部12、信号印加部13、電圧測定部14、処理部15、出力部16およびコンデンサ(本発明における静電容量体)17(所定の静電容量C1)を備えている。この検査装置11では、磁界印加部12、信号印加部13、電圧測定部14および処理部15が、本発明に係る測定装置Mを構成して、グロープラグ1における金属チューブ2の軸線Lに対する発熱コイル3の偏心状態を測定し、さらに処理部15が、測定された偏心状態に基づいてグロープラグ1の良否を検査する。また、本例では、図1に示すように、コンデンサ17が、グロープラグ1に対して、具体的にはその発熱コイル3に対して並列に接続されて、インダクタである発熱コイル3と共に1つの並列回路(並列共振回路でもある)18を構成する。なお、コンデンサ17を含めて本発明に係る測定装置Mを構成することもできる。
【0033】
この場合、後述するように、発熱コイル3は、磁界Fが印加されている状況下において、金属チューブ2の軸線Lに対する偏心状態に応じてそのインダクタンスが変化する。このため、この並列回路18の共振周波数frも、金属チューブ2の軸線Lに対する発熱コイル3の偏心状態に応じて変化する。本例では、一例として、発熱コイル3の偏心状態が様々な複数のグロープラグ1(発熱コイル3がほぼ軸線L上に位置する偏心状態の良好なグロープラグ1(良品)、および発熱コイル3が軸線L上から大きくずれて位置する偏心状態の不良なグロープラグ1(不良品)を含む)でそれぞれ構成したときの並列回路18における後述するように複数のラジアル方向(軸線Lに直交する方向)から一定の磁界Fを印加したときの各共振周波数frの最低周波数がfr1であり、最高周波数がfr2であるものとする。
【0034】
磁界印加部12は、1つの磁界発生部21および移動部22を備えている。本例では一例として、磁界発生部21は一定の磁界(変化しない磁界)Fを発生する磁石(永久磁石または電磁石)を用いて構成されて、図2に示すように、グロープラグ1の軸線Lを中心とした仮想円A上に配設されている。一例として、磁界発生部21は、図1,2に示すように、厚み方向に分極した直方体状の永久磁石で構成されると共に、金属チューブ2の軸線Lに対して平行に配設されて、グロープラグ1全体に亘ってその近傍における磁束の向きが、図1,2に示すように、グロープラグ1に対して(金属チューブ2の軸線Lに対して)直交する状態となる磁界Fを発生する。移動部22は、一例として、一端が磁界発生部21に連結されたアーム22aと、出力軸(不図示)の軸線が軸線L上に位置するように配設されると共にこの出力軸がアーム22aの他端に連結されて、アーム22aを介して磁界発生部21を仮想円A上で移動させるモータ22bとを備えている。この構成により、磁界印加部12は、移動部22によって仮想円A上を移動させられる磁界発生部21から、グロープラグ1に対して、軸線Lを中心とした複数のラジアル方向(軸線Lに直交する方向)から一定の磁界Fを印加可能となっている。
【0035】
信号印加部13は、1つの信号発生部13aおよびインピーダンス素子(本例では一例として抵抗)13bを備えている。信号印加部13では、信号発生部13aが、所定の周波数f1(一定)で、かつ振幅が一定な交流信号S1を生成して、抵抗13bを介して並列回路18に印加(出力)する。この場合、周波数f1は、例えば上記の周波数fr1以上周波数fr2以下の周波数範囲に含まれる所定(一定)の周波数(本例ではグロープラグ1として良品のグロープラグ1を使用したときの並列回路18の共振周波数frの平均値に対して、高周波側または低周波側に若干ずらした周波数とする)に規定されている。電圧測定部14は、一例として一つのプローブ14a,14aを備え、これらのプローブ14a,14aを介して並列回路18の両端(すなわち、グロープラグ1の金属チューブ2と中心電極5)に接続されて、交流信号S1の印加時における並列回路18の両端間電圧V1を測定して出力する。なお、この両端間電圧V1は、交流信号S1が抵抗13bの抵抗値と並列回路18の合成インピーダンスとで分圧された電圧である。
【0036】
処理部15は、例えばCPUおよびメモリ(いずれも図示せず)を備えて構成されて、グロープラグ1に対する検査処理を実行する。具体的には、処理部15は、上記したように、磁界印加部12、信号印加部13および電圧測定部14と共に本発明に係る測定装置Mを構成してグロープラグ1における発熱コイル3の金属チューブ2の軸線Lに対する偏心状態を測定する測定処理を検査処理の一部として実行する。また、処理部15は、測定処理での測定結果とメモリに予め記憶されている閾値とに基づいて、グロープラグ1の良否を判別する判別処理を検査処理の一部として実行する。また、本例では、測定処理で実行される後述の方法によって良品であると判別された複数のグロープラグ1についてのばらつき度合い(本例では標準偏差)を予め算出し、算出したすべての標準偏差の最大値が閾値として予め記憶されている。出力部16は、一例として表示装置で構成されて、処理部15が実行した検査処理の結果を出力(表示)する。
【0037】
続いて、検査装置11によるグロープラグ1の検査動作について、図3を参照して説明する。なお、グロープラグ1は、図1に示すようにその軸線Lがモータ22bの出力軸の軸線と一致する検査位置に予め配設されており、かつコンデンサ17が並列に接続されて、このコンデンサ17と共に並列共振回路18として構成されているものとする。
【0038】
検査装置11の作動状態において、信号印加部13は、周波数f1の交流信号S1を生成して、並列回路18に印加する。また、電圧測定部14は、交流信号S1の印加時における並列回路18の両端間電圧V1を繰り返し測定して出力している。また、磁界発生部21は一定の磁界Fを発生している。処理部15は、この状態において、グロープラグ1に対する検査処理を開始する。この検査処理では、処理部15は、まず、本発明に係る測定方法に基づく測定処理、すなわちグロープラグ1に対してその軸線Lと直交する複数の印加方向から一定の磁界Fを印加しつつ、その印加方向毎の両端間電圧V1を測定する測定処理を実行する。この測定処理では、処理部15は、まず、移動部22のモータ22bを作動させて、磁界発生部21を図2に示す0°の位置(初期位置)に移動させる(ステップ51)。これにより、磁界発生部21からグロープラグ1に対して、軸線Lを中心とした一のラジアル方向(0°方向)から一定の磁界Fが印加される。
【0039】
次いで、処理部15は、この状態において電圧測定部14から出力される両端間電圧V1を入力(測定)して、現在のラジアル方向(0°)を示す情報(印加方向情報)と共にメモリに記憶させる(ステップ52)。続いて、処理部15は、モータ22bを作動させて、磁界発生部21を所定角度(本例では一例として45°)だけ軸線Lを中心として回転させる。これにより、磁界発生部21は、仮想円A上を移動させられて、次の位置(図2に示す45°の位置)に移動する(ステップ53)。
【0040】
次いで、処理部15は、移動後の磁界発生部21の位置が初期位置であるか否かを判別し(ステップ54)、初期位置でないときには、ステップ52に移行する。処理部15は、ステップ54において初期位置であると判別するまで、上記の各ステップ52〜54を繰り返し実行する。これにより、この測定処理において、図2に示す複数のラジアル方向(本例では、等角度間隔に規定された0°,45°,90°,135°,180°,225°,270°,315°の8つのラジアル方向)から一定の磁界Fをグロープラグ1に印加したときのラジアル方向毎の両端間電圧V1が測定されて、処理部15のメモリに記憶される。
【0041】
この場合、発熱コイル3は、一定の磁界Fが印加されている状態において、金属チューブ2の軸線Lに対する偏心状態に応じてそのインダクタンスが変化し、これに応じて並列回路18のインピーダンスも変化するため、両端間電圧V1も変化する。例えば、金属チューブ2内において発熱コイル3が軸線L上から図2に示す180°の方向へずれていた場合、磁界発生部21が0°の位置にあるときに、発熱コイル3(の一部の部位(偏心した部位))が磁界発生部21から最も離れた状態となっている。すなわち、発熱コイル3(の一部の部位(偏心した部位))が、磁界発生部21から印加される磁界F中を、軸線Lの位置と比較して強度のより弱い位置へ相対的に移動したことになる。このため、発熱コイル3全体に印加される磁界の強度が低下する結果、発熱コイル3のインダクタンスが増加する。
【0042】
また、磁界発生部21が軸線Lを挟んで0°の位置と反対の位置(180°の位置)に移動したときには、発熱コイル3と磁界発生部21との間の距離が最短となり、発熱コイル3(の偏心した部位)が磁界F中を軸線Lの位置と比較して強度のより強い位置へ相対的に移動したことになる。このため、発熱コイル3全体に印加される磁界の強度が上昇する結果、発熱コイル3のインダクタンスが減少する。このように、金属チューブ2内において発熱コイル3が軸線Lからずれている(偏心状態の)ときには、ラジアル方向毎の発熱コイル3のインダクタンスが大きく変動するため、並列回路18のインピーダンスZも大きく変動し、これによって図5に示すように両端間電圧V1も大きく変動する。したがって、このように、金属チューブ2内において発熱コイル3が軸線L上からずれているときには、処理部15のメモリには、発熱コイル3の金属チューブ2内での偏心状態に対応して、図5において破線で示すように、ラジアル方向毎のバラツキの多い両端間電圧V1が記憶される。
【0043】
なお、コンデンサ17を並列に接続せずに、抵抗13bと発熱コイル3とで構成される直列回路における発熱コイル3の両端間電圧V1を測定する構成とすることもできる。しかしながら、本例では、上記したように発熱コイル3にコンデンサ17を並列に接続して、これらで並列共振回路を構成し、かつこの並列共振回路である並列回路18に印加される交流信号S1の周波数f1を、発熱コイル3の偏心状態によって変化する並列回路18の共振周波数frの存在する周波数範囲(周波数fr1以上周波数fr2以下の範囲)内に規定しているため、発熱コイル3の偏心状態の変化に伴う発熱コイル3の両端間電圧V1の変化がより大きくなる構成、つまり偏心の有無がより明確に判別可能な構成となっている。
【0044】
一方、金属チューブ2の軸線Lからの発熱コイル3のずれ量が少ないときには、磁界発生部21がラジアル方向のいずれの位置に移動したとしても、発熱コイル3と磁界発生部21との間の距離がほぼ同じ長さとなる。このため、発熱コイル3のインダクタンスも大きく変化せずにほぼ一定となり、また並列回路18のインピーダンスZもほぼ一定となる結果、両端間電圧V1もほぼ一定となる。したがって、このように軸線Lからの発熱コイル3のずれ量が少ないときには、処理部15のメモリには、図5において実線で示すように、ラジアル方向毎のバラツキの少ない両端間電圧V1が記憶される。
【0045】
また、処理部15は、ステップ54において初期位置であると判別したときには、メモリに記憶されているラジアル方向毎の両端間電圧V1についてのばらつき度合い(標準偏差)を算出し、算出した標準偏差を発熱コイル3の偏心状態を示すパラメータとしてメモリに記憶する(ステップ55)。これにより、測定処理が完了する。
【0046】
次いで、処理部15は判別処理を実行する(ステップ56)。この判別処理では、処理部15は、メモリに記憶されている閾値と、算出した標準偏差とを比較する。本例では、閾値は良品のグロープラグ1について算出される最大値に規定されているため、処理部15は、算出した標準偏差が閾値以下のとき(両端間電圧V1のバラツキが許容範囲内のとき)にはグロープラグ1は良品であると判別し、閾値を超えるとき(両端間電圧V1のバラツキが許容範囲を超えるとき)には不良品であると判別する。最後に処理部15は、検査処理の結果(例えば、測定処理で測定されたラジアル方向毎の両端間電圧V1、並びに判別処理で算出した標準偏差および判別結果)を出力部16に出力(表示)させる(ステップ57)。これにより、検査装置11による検査処理が完了する。
【0047】
このように、この測定装置M、測定装置Mを備えた検査装置11、および検査装置11による測定方法では、処理部15が、発熱コイル3にコンデンサ17が並列に接続されたグロープラグ1に対して軸線Lと直交する複数のラジアル方向から一定の磁界Fを印加しつつ、ラジアル方向毎の発熱コイル3の両端間電圧V1を測定し、発熱コイル3の偏心状態を示す各両端間電圧V1のばらつき度合いを測定する。したがって、この検査装置11によれば、発熱コイル3の発熱状態における抵抗値を測定する構成と比較して、金属チューブ2内での発熱コイル3の偏心状態を正確に測定することができる。また、X線スキャナを使用しないため、低コストで発熱コイル3の偏心状態を測定することができる。
【0048】
また、この検査装置11、および検査装置11による測定方法によれば、金属チューブ2の軸線Lを中心として等角度間隔で規定された複数(本例では8つ)のラジアル方向から磁界Fを印加して、ラジアル方向毎の発熱コイル3の両端間電圧V1を測定することにより、発熱コイル3がいずれの方向に偏心したとしてもその偏心状態を正確に測定することができる。
【0049】
また、この検査装置11、および検査装置11による測定方法によれば、ラジアル方向毎の両端間電圧V1のばらつき度合い(標準偏差)に基づいて偏心状態を測定することにより、仕様(ターン数や抵抗値)の異なる発熱コイル3を備えたグロープラグ1における発熱コイル3の偏心状態を共通の閾値に基づいて正確に測定することができる。
【0050】
次に、この検査装置11を用いた偏心状態の測定についての検証実験を以下で説明する。
【0051】
この実験では、不良品のグロープラグ1(発熱コイル3の偏心量が大きいグロープラグ)のサンプル1と、良品のグロープラグ1(発熱コイル3がほぼ軸線L上に位置しているグロープラグ)のサンプル2とを使用し、各サンプルについて、上記の8つのラジアル方向毎の両端間電圧V1、およびその標準偏差を検査装置11で測定した。なお、一例として交流信号S1の周波数f1は、グロープラグ1として良品のグロープラグ1を使用したときの並列回路18の共振周波数frの平均値に対して、高周波側または低周波側に若干ずらした周波数とした。この実験結果を図4に示す。また、この実験結果をグラフ化したものを図5に示す。この実験結果によれば、サンプル2で測定されたラジアル方向毎の両端間電圧V1は図5において実線で示すようにバラツキが極めて少ないが、サンプル1で測定されたラジアル方向毎の両端間電圧V1は同図において破線で示すようにバラツキが大きく、不良品のサンプル1の標準偏差は図4に示すように良品のサンプル2の標準偏差の約10倍近い値となっている。このため、測定された標準偏差に基づいて、サンプル1は不良品であり、サンプル2は良品であると判別することが可能であることが理解される。また、上記の検査装置11で採用したように、良品としての複数のグロープラグ1についての標準偏差を予め測定し、この測定された複数の標準偏差に基づいて閾値を設定する構成によっても、測定対象体のグロープラグ1が良品であるか不良品であるかを判別できることも理解される。
【0052】
また、この検証実験では、上記したように、グロープラグ1として良品のグロープラグ1を使用したときの並列回路18の共振周波数frに対して、高周波側または低周波側に若干ずらした周波数を交流信号S1の周波数f1として規定しているが、グロープラグ1として良品のグロープラグ1を使用したときの並列回路18の共振周波数frを交流信号S1の周波数f1として規定してもよいのは勿論である。この構成では、良品のグロープラグ1のときには、並列回路18が共振状態となるため、ラジアル方向毎の両端間電圧V1は全体的に高く、かつバラツキの少ない状態となる。一方、不良品のグロープラグ1のときには、磁界Fの印加方向により、並列回路18が共振状態になったり、非共振状態になったりするため、ラジアル方向毎の両端間電圧V1は、バラツキの大きな状態となる。したがって、この構成においても、両端間電圧V1のバラツキに基づいて、グロープラグ1の良否判定が可能となる。
【0053】
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、上記した検査装置11では、等角度間隔で規定された複数のラジアル方向から磁界Fを印加する構成を採用したが、発熱コイル3の曲がる(偏心する)おおよその方向が予め特定できる構成のグロープラグ1が測定対象体であるときには、等角度間隔に規定するのではなく、例えば、このグロープラグ1の発熱コイル3が偏心する方向に近い側や、逆に偏心する方向に遠い側において、細かい角度間隔で規定された数多くのラジアル方向から磁界Fを印加する構成を採用することもできる。
【0054】
また、グロープラグ1の周囲に規定された仮想円A上で1つの磁界印加部12を移動させることで、磁界発生部21の数を最小限に抑制しつつ、グロープラグ1に対して軸線Lを中心とした複数のラジアル方向から磁界Fを印加する構成について上記したが、仮想円A上に1つの磁界印加部12を固定的に配設し、この仮想円Aの中心に配設したグロープラグ1をその軸線Lを中心に回転させることで、グロープラグ1に対して軸線Lを中心とした複数のラジアル方向から磁界Fを順次印加する構成を採用することもできる。この構成では、上記した検査装置11における移動部22に代えて、軸線Lを中心としてグロープラグ1を回転させる回転部を設ける。この回転部31は、例えば図1に示すように、アーム22aの形状を直線状の柱状体として軸線L上に配置し、アーム22aの一端をグロープラグ1の金属チューブ2に連結し、かつ他端をモータ22bの出力軸に連結することで実現される。この構成によれば、磁界発生部21を仮想円A上で移動させる必要がなくなるため、検査装置11の占有スペースを小さくすることができる。
【0055】
また、移動部22や回転部31を使用する構成について上記したが、図6,7に示す検査装置11Aのように、仮想円A上に等角度間隔で配置された複数(一例として検査装置11と同様に8つ)の磁界発生部21を備えた磁界印加部12Aを用いることで、移動部22や回転部31を使用することなく、グロープラグ1に対して軸線Lを中心とした複数のラジアル方向から磁界Fを順次印加する構成とすることもできる。この場合、各磁界発生部21は、永久磁石に代えて、電磁石などの磁界Fの発生のオン・オフ制御の可能なもので構成され、処理部15の制御下で、1つずつ作動して磁界Fを順次発生する。この構成によれば、磁界発生部21の数は増加するものの、可動する機械的構成を省くことができるため、装置全体の耐久性を向上させることができる。
【0056】
また、グロープラグ1(の発熱コイル3)に対してコンデンサ17を並列に接続し、かつインピーダンス素子(上記の例では抵抗13b)を介して信号印加部13から交流信号S1を印加する構成を採用した例について上記したが、グロープラグ1(の発熱コイル3)に対してコンデンサ17を直列に接続し、このコンデンサ17を介して信号印加部13から交流信号S1を印加する構成を採用することもできる。一例として、図1,6に示す検査装置11,11Aの構成を基本として採用しつつ、発熱コイル3に対してコンデンサ17を直列に接続した検査装置11B,11Cを図8,9に示す。この構成では、コンデンサ17と発熱コイル3との直列回路18Aが直列共振回路を構成する。また、検査装置11,11Aと同様にして、信号発生部13aは、例えば、発熱コイル3の偏心状態が様々な複数のグロープラグ1で構成したときの直列回路18Aの各共振周波数frの最低周波数fr1と最高周波数fr2とで規定される周波数範囲に含まれる周波数の交流信号S1を発生する。また、電圧測定部14は、直列回路18Aの両端間電圧V1を測定する。この構成においても、発熱コイル3のインダクタンスが偏心状態に応じて変化することに起因して、直列回路18AのインピーダンスZが変化するため、抵抗13bと直列回路18Aとで交流信号S1が分圧された電圧である両端間電圧V1を測定することで、金属チューブ2の軸線Lに対する発熱コイル3の偏心状態を正確に測定することができる。なお、検査装置11,11Aと同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0057】
また、測定対象体としてグロープラグ1を例に挙げて説明したが、コイル状の導電体が筒体内に収容されている構成を備えた測定対象体である限り、検査装置11〜11Cを使用して、導電体の偏心状態を測定して検査することができる。具体的には、シーズヒータもこのような構造を有しているため、測定対象体として検査装置11〜11Cで検査することができる。なお、グロープラグ1やシーズヒータでは、測定対象体における筒体の材質は導電性材料であるが、これに限定されず、樹脂などの非導電性材料で筒体が構成されていてもよいのは勿論である。また、本発明に係る測定装置Mをグロープラグ1の良否を検査する検査装置11に適用した例について説明したが、他の装置に組み込んで使用してもよいし、測定装置M単独で使用することもできる。また、発熱コイル3についての複数のラジアル方向毎の両端間電圧V1のばらつき度合いを示すパラメータとして標準偏差を使用したが、ばらつき度合いを示す他のパラメータを使用することもできる。一例として、両端間電圧V1の最大値と最小値の平均値からの各両端間電圧V1のずれの割合を標準偏差に代えて使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】検査装置11の構成図である。
【図2】検査装置11におけるグロープラグ1および磁界発生部21の側面図(図1において左側から見た図)である。
【図3】検査装置11の検査処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】サンプル1,2についての両端間電圧V1および標準偏差の実験データである。
【図5】図4の実験データを折れ線グラフで表したものである。
【図6】検査装置11Aの構成図である。
【図7】検査装置11Aにおけるグロープラグ1および磁界発生部21の側面図(図6において左側から見た図)である。
【図8】検査装置11Bの構成図である。
【図9】検査装置11Cの構成図である。
【図10】正常なグロープラグ1の断面図である。
【図11】発熱した状態のグロープラグ1の断面図である。
【図12】発熱して発熱コイル3が金属チューブ2に接触した状態のグロープラグ1の断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 グロープラグ
2 金属チューブ
3 発熱コイル
11〜11C 検査装置
12,12A 磁界印加部
13 信号印加部
14 電圧測定部
15 処理部
17 コンデンサ
21 磁界発生部
22 移動部
31 回転部
M 測定装置
V1 両端間電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状の筒体、および当該筒体内に当該筒体の筒長方向に沿って配設されたコイル状の導電体を備えた測定対象体における前記導電体の当該筒体の軸線に対する偏心状態を測定する測定装置であって、
前記測定対象体に対して前記軸線を中心とした複数のラジアル方向から一定の磁界を印加する磁界印加部と、
前記導電体、および当該導電体に並列に接続された静電容量体の並列回路に所定の周波数の交流信号を印加する信号印加部と、
前記交流信号の印加時における前記並列回路の両端間電圧を測定する電圧測定部と、
前記磁界印加部による前記測定対象体に対する前記磁界の印加状態において前記電圧測定部によって測定された前記ラジアル方向毎の前記両端間電圧に基づいて前記偏心状態を測定する処理部とを備えている測定装置。
【請求項2】
直線状の筒体、および当該筒体内に当該筒体の筒長方向に沿って配設されたコイル状の導電体を備えた測定対象体における前記導電体の当該筒体の軸線に対する偏心状態を測定する測定装置であって、
前記測定対象体に対して前記軸線を中心とした複数のラジアル方向から一定の磁界を印加する磁界印加部と、
所定の周波数の交流信号を前記導電体、および当該導電体に直列に接続された静電容量体の直列回路に印加する信号印加部と、
前記交流信号の印加時における前記直列回路の両端間電圧を測定する電圧測定部と、
前記磁界印加部による前記測定対象体に対する前記磁界の印加状態において前記電圧測定部によって測定された前記ラジアル方向毎の前記両端間電圧に基づいて前記偏心状態を測定する処理部とを備えている測定装置。
【請求項3】
前記磁界印加部は、前記軸線を中心とした仮想円上に配設されて前記磁界を発生する1つの磁界発生部、および当該磁界発生部を当該仮想円上で移動させる移動部を備えている請求項1または2記載の測定装置。
【請求項4】
前記磁界印加部は、前記軸線を中心とした仮想円上における前記各ラジアル方向に対応する位置に配設された複数の磁界発生部を備え、当該複数の磁界発生部は、前記磁界を順次発生する請求項1または2記載の測定装置。
【請求項5】
前記磁界印加部は、前記軸線を中心とした仮想円上に配設されて前記磁界を発生する1つの磁界発生部、および前記軸線を中心に前記測定対象体を回転させる回転部を備えている請求項1または2記載の測定装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記ラジアル方向毎の前記両端間電圧のばらつき度合いに基づいて前記偏心状態を測定する請求項1から5のいずれかに記載の測定装置。
【請求項7】
前記複数のラジアル方向は、前記軸線を中心として等角度間隔で規定されている請求項1から6のいずれかに記載の測定装置。
【請求項8】
直線状の筒体、および当該筒体内に当該筒体の筒長方向に沿って配設されたコイル状の導電体を備えた測定対象体における前記導電体の当該筒体の軸線に対する偏心状態を測定する測定方法であって、
前記導電体に静電容量体を並列に接続した状態において、前記測定対象体に対して前記軸線を中心とした複数のラジアル方向から一定の磁界を印加しつつ、当該導電体および当該静電容量体の並列回路に所定の周波数の交流信号を印加したときの前記ラジアル方向毎の当該並列回路の両端間電圧を測定し、
当該測定したラジアル方向毎の両端間電圧に基づいて前記偏心状態を測定する測定方法。
【請求項9】
直線状の筒体、および当該筒体内に当該筒体の筒長方向に沿って配設されたコイル状の導電体を備えた測定対象体における前記導電体の当該筒体の軸線に対する偏心状態を測定する測定方法であって、
前記導電体に静電容量体を直列に接続した状態において、前記測定対象体に対して前記軸線を中心とした複数のラジアル方向から一定の磁界を印加しつつ、当該導電体および当該静電容量体の直列回路に所定の周波数の交流信号を印加したときの前記ラジアル方向毎の当該直列回路の両端間電圧を測定し、
当該測定したラジアル方向毎の両端間電圧に基づいて前記偏心状態を測定する測定方法。
【請求項10】
前記軸線を中心とした仮想円上に配設されて前記磁界を発生する1つの磁界発生部を当該仮想円上で移動させる請求項8または9記載の測定方法。
【請求項11】
前記軸線を中心とした仮想円上における前記各ラジアル方向に対応する位置に配置した複数の磁界発生部を順次作動させて前記磁界を発生させる請求項8または9記載の測定方法。
【請求項12】
前記軸線を中心とした仮想円上に前記磁界を発生する1つの磁界発生部を配置した状態において、前記軸線を中心に前記測定対象体を回転させる請求項8または9記載の測定方法。
【請求項13】
前記ラジアル方向毎の前記両端間電圧のばらつき度合いに基づいて前記偏心状態を測定する請求項8から12のいずれかに記載の測定方法。
【請求項14】
前記軸線を中心として等角度間隔で規定された前記複数のラジアル方向から当該磁界を印加する請求項8から13のいずれかに記載の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−121866(P2009−121866A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294051(P2007−294051)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】