説明

測定装置

【課題】任意の画面イメージについて、その測定に用いた測定装置の情報などを関連づけて保存格納できる測定装置を提供すること。
【解決手段】測定画面のイメージデータを格納保存するように構成された測定装置において、前記測定画面のイメージに関連した各種情報をExif情報として編集するExif情報編集手段と、このExif情報編集手段で編集されたExif情報を前記測定画面のイメージデータに付加して格納保存する格納保存手段、を設けたことを特徴とするもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関し、詳しくは、測定画面のイメージデータを格納保存するように構成された測定装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル化された測定装置の一種に、測定画面のイメージデータを格納保存するように構成されたものがある。図6は、このような測定装置の一例を示すブロック図であり、デジタルオシロスコープの例を示している。
【0003】
図6において、バスBを介して、CPU1、A/D変換器2、時刻カウンタ3、設定操作部4、波形メモリ5、内部メモリ(RAM)6、ROM7、表示部8、記憶メディア9が共通に接続されている。
【0004】
CPU1は、ROM7に格納されているプログラムに基づき、オペレータが設定操作部4を操作することにより設定される所望の測定条件で測定動作するように、各部を統括制御する。
【0005】
A/D変換器2には、アナログ入力部10を介してアナログ入力信号Saが入力されている。アナログ入力部10は、A/D変換器2が安定した変換動作を行える適正な振幅になるように増幅あるいは減衰される。なお、アナログ入力部10には、所望のトリガ条件を設定するためのトリガ回路が必要に応じて設けられる。
【0006】
A/D変換器2は、アナログ入力部10を介して入力されたアナログ入力信号Saを、波形データSdに変換する。変換された波形データSdは、CPU1の制御に基づき、時刻カウンタ3でカウント更新される時刻データとともに、波形メモリ5に逐次保存格納される。
【0007】
CPU1は、オペレータによる設定操作部4の操作設定に応じて、波形メモリ5に保存格納されている波形データから該当するものを内部メモリ6に読み出し、図7に示すような表示画面イメージを生成して表示部8に表示する。
【0008】
生成された画面イメージは、オペレータが保存を操作設定することにより記憶メディア9に格納され、保存が設定されないと次に生成される画面イメージで書き換えられる。
【0009】
図7は、従来の表示部8における表示画面イメージの一例を示す説明図である。図7において、波形表示領域81には4系統の波形が表示され、波形表示領域81の下部には画面イメージ保存メニューに対応したソフトキー82が表示されている。
【0010】
図8は、図7に示した画面イメージ保存メニュー用ソフトキー82の拡大図である。図8において、Print Toキー82aは、表示されている画面イメージデータの転送先を、ファイルとして保存格納する記憶メディア9か図示しない内蔵プリンタまたは外部プリンタかを選択指定するもので、図8ではファイルを選択指定している。
【0011】
Modeキー82bは選択指定された転送先における処理モードを選択指定するもので、図8ではハードコピーを選択指定している。
【0012】
Formatキー82cは、画面イメージのデータフォーマットを選択指定するもので、図8ではJPEGを選択指定している。
【0013】
Colorキー82dは、画面イメージの表示色モードを選択指定するもので、図8ではカラーを選択指定している。
【0014】
File Listキー82eは、ファイルが選択指定された場合の保存格納メディアを選択指定するもので、図8ではUSBを選択指定している。
【0015】
File Nameキー82fは、ファイルが選択指定された場合にファイル名を設定入力するためのものである。
【0016】
特許文献1には、複数の波形データの縮小波形をサムネール表示することにより、異常波形の特定が容易に行えるようにした波形表示装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2000−304774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、図6に示す従来の測定装置では、画面イメージそのものしか保存されないことから、測定に用いた機器情報などの測定時には静的な情報については、画面イメージの格納とは独立した測定記録情報として別途管理する必要があった。
【0019】
このため、任意の画面イメージについて、その測定に用いた測定装置の情報などを関連づける必要がある場合には、別途管理している測定記録情報と対応づけなければならず、その作業は煩雑になることが多い。
【0020】
また、画面イメージを一般的なパソコンで用いられるプリンタでプリントするのにあたっては、パソコンに測定装置専用に開発されたアプリケーションをインストールしておかなければならず、プリンタがあってもアプリケーションがインストールされたパソコンがないと画面イメージをプリントすることはできない。
【0021】
本発明は、これらの問題を解決するものであり、その目的は、任意の画面イメージについて、の測そ定に用いた測定装置の情報などを関連づけて保存格納できる測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
測定画面のイメージデータを格納保存するように構成された測定装置において、
前記測定画面のイメージに関連した各種情報をExif情報として編集するExif情報編集手段と、
このExif情報編集手段で編集されたExif情報を前記測定画面のイメージデータに付加して格納保存する格納保存手段、
を設けたことを特徴とする。
【0023】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の測定装置において、
前記Exif情報を、
前記測定画面のイメージデータと共通の画面に表示することを特徴とする。
【0024】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の測定装置において、
前記Exif情報は、
前記測定画面のイメージデータの名称と、
前記測定画面のイメージデータを取得した装置の製造者名称と、
前記測定画面のイメージデータを取得した装置の名称と、
前記測定画面のイメージデータを取得した時刻、
を含むことを特徴とする。
【0025】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の測定装置において、
前記測定画面のイメージデータと前記Exif情報を、DCF規格に準拠したフォルダに保存することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の測定装置によれば、測定画面のイメージに関連した各種情報をExif情報として測定画面のイメージデータに付加して格納保存することができ、これらExif情報を必要に応じて測定画面のイメージデータと共通の画面に表示させたり、これらExif情報や測定画面のイメージデータをパソコンを介することなく直接プリンタでプリントすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1の動作の流れを示すフローチャートである。
【図3】図1の表示画面例図である。
【図4】本発明の応用例の説明図である。
【図5】本発明の他の応用例の説明図である。
【図6】従来の測定装置の一例を示すブロック図である。
【図7】従来の表示部8における表示画面イメージの一例を示す説明図である。
【図8】図7に示した画面イメージ保存メニュー用ソフトキー82の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明について、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示すブロック図であり、図6と共通する部分には同一の符号を付けている。図1と図6の相違点は、バスBに、Exif情報編集部11と、表示画面編集部12と、ネットワークインタフェース13が接続されていることである。
【0029】
図1において、Exif情報編集部11は、表示部8に表示される測定画面のイメージに関連した各種情報をExif情報として編集する。ここで、Exifとは、Exchangeable image file formatの略称であって、画像ファイルのフォーマットを統一するための規格である。このようなExif情報をDCF(Design rule for Camera File system:カメラファイルシステム)規格と併用することにより、後工程でそれらの情報を任意に取得でき、有効に利用できる。
【0030】
この規格によれば、画像ファイルの中に、撮影された日時や機種名、シャッタースピード、絞り値の設定などの撮影に関する情報や各種カメラ情報と、主画像のデータを正しく読み取るための圧縮モード、色空間、画素数などの情報を記述することができる。
【0031】
そこで、本発明では、表示部8に表示される測定画面をデジタルカメラで撮影された画像ファイルと同等のものと位置づけて、表示部8に表示される測定画面のイメージに関連した各種情報をExif情報として編集して測定画面のイメージデータに付加して格納保存することにより、測定画面のイメージもデジタルカメラで撮影した画像と同様に、一般に普及しているパソコン用のプリンタで手軽に高品位プリントが行えるようにしたものである。
【0032】
表示画面編集部12は、表示部8に表示される表示画面を編集生成する。表示画面の編集生成にあたっては、測定画面の他、データを取得した場所などのデータ取得状況や測定対象の特異現象に関する所見なども必要に応じて入力される。
【0033】
ネットワークインタフェース13は、外部機器とネットワークを介して接続するためのインタフェースであり、たとえばUSB(Universal Serial Bus:ユニバーサル・シリアル・バス)ポートを用いる。
【0034】
図2は図1の構成における測定装置の基本的な処理動作の流れを説明するフローチャートであり、(A)は画面イメージ付加情報が付加された画面イメージを保存するまでの流れを示し、(B)は画面イメージファイルの表示処理の流れを示している。
【0035】
はじめに、キーボードなどの設定操作部4を用いて、画面イメージファイルに付加するデータを取得した場所などのデータ取得状況や測定対象の特異現象に関する所見などの測定画面に関連した静的な情報を入力し、内部メモリ6に保存する(ステップS1)。
【0036】
測定をスタートすると、アナログ入力信号Saはアナログ入力部10を介してA/D変換器2に入力され、波形データSdに変換される。変換された波形データSdは、CPU1の制御に基づき、波形メモリ5に逐次保存格納される(ステップS2)。
【0037】
CPU1は、オペレータによる設定操作部4の操作設定に基づいて、波形メモリ5に保存格納されている波形データから該当するものを内部メモリ6に読み出して測定データを取得し(ステップS3)、表示画面編集部12で表示画面を生成更新して(ステップS4)、表示部8に表示する。
【0038】
生成更新した表示画面を記憶メディア9に保存する必要がなければ、ステップS2の測定スタートに戻り、測定を繰り返す(ステップS5)。
【0039】
生成更新した表示画面を記憶メディア9に保存する必要がある場合には、画面イメージ保存用のデータを生成し(ステップS6)、さらにたとえば時刻カウンタ3から測定データの取得データを取り出して、ステップS1において内部メモリ6に保存されている静的な情報と併せて、画面イメージに付加する画面イメージ付加情報を生成する(ステップS7)。
【0040】
そして、ステップS6で生成された画面イメージにステップS7で生成された画面イメージ付加情報を付加する(ステップS8)。
【0041】
画面イメージ付加情報が付加された画面イメージを、デジタルカメラなどで用いられているExif情報付きのファイルとして、記憶メディア9に保存する(ステップS9)。以降、再度測定をスタートさせる必要があればステップS2の測定スタートに戻って一連の測定処理を繰り返し(ステップS10)、再度測定をスタートさせる必要がなければ測定をストップする(ステップS11)。
【0042】
画面イメージファイルの表示処理にあたっては(ステップS12)、ステップS9で記憶メディア9に保存されている画面イメージファイルを取り出して画面イメージファイルを取得する(ステップS13)。
【0043】
取得した画面イメージファイルについて、Exif情報付か否かを判断し(ステップS14)、Exif情報が付加されたファイルであればそのExif情報を読み出す(ステップS15)。
【0044】
このようにして得られたExif情報に基づく静的情報および動的情報を表示部8の表示画面に表示するとともに(ステップS16)、ステップS13で取得した画面イメージファイルも表示部8の表示画面に表示する(ステップS17)。
【0045】
ステップS14において、取得した画面イメージファイルにExif情報が付いていない場合には、ステップS17に遷移して画面イメージのみを表示する処理を行う。
【0046】
以上の処理を実行することにより、一連の表示処理を終了する(ステップS18)。
【0047】
Exif情報の付加されていないファイルを表示する場合は、イメージファイル中のデータに関する付加情報がないために、前述の図7に示すようにそのイメージデータのみしか表示できない。
【0048】
これに対し、イメージファイル中の測定データに関する情報が測定装置の内部で生成され、Exif情報としてファイルに付加されているファイルを表示する場合には、図3に示すように、イメージデータとともに、
・測定画面のイメージデータの名称
・測定画面のイメージデータを取得した測定装置の製造者名称
・測定画面のイメージデータを取得した測定装置の名称または型名
・測定画面のイメージデータを取得した測定装置のファームウェアの改版番号
・測定画面のイメージデータを取得したトリガ日時
・カラー情報
・イメージのサイズ
などの測定データに関する各種の情報83を、イメージデータと共通する画面上に表示する。
【0049】
また、測定装置画面のイメージをExif情報付きのファイルとして作成し、そのファイルの保存パスをDCF規格に準拠したフォルダに保存することにより、たとえば図4に示すように、保存する記憶メディア9として、SDカードやUSBメモリなどのプリンタが直接読み込める形式のものを利用することにより、デジタルカメラで撮影した写真と同様の簡単な操作で、測定装置画面のイメージをパソコンを介することなく直接プリンタで選択して印刷できる。
【0050】
さらに、図5に示すように、測定装置にUSB大容量格納機能が設けられている場合には、USBホスト機能を持つプリンタと測定装置をUSBで接続することにより、あたかもプリンタにUSBメモリのような外部ストレージが挿入されたかのように振る舞わせることができる。このときも図4と同様に、プリンタからの簡単な操作で測定装置画面の所望のイメージを選択して印刷できるようになる。
【0051】
なお、上記実施例では、測定装置としてデジタルオシロスコープの例について説明したが、これに限るものではなく、本発明は、波形表示機能を有する電力測定器や、アナログ入力信号の時系列的な変化を表示画面にトレンド記録表示するように構成されたペーパーレスレコーダなどにも適用できるものである。
【0052】
以上説明したように、本発明によれば、測定画面のイメージに関連した各種情報をExif情報として測定画面のイメージデータに付加して格納保存することができ、これらExif情報を必要に応じて測定画面のイメージデータと共通の画面に表示させたり、これらExif情報や測定画面のイメージデータをパソコンを介することなく直接プリンタでプリントすることができ、測定作業の効率化が図れる。
【符号の説明】
【0053】
B バス
1 CPU
2 A/D変換器
3 時刻カウンタ
4 設定操作部
5 波形メモリ
6 内部メモリ(RAM)
7 ROM
8 表示部
9 記憶メディア
10 アナログ入力部
11 Exif情報編集部
12 表示画面編集部
13 ネットワークインタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定画面のイメージデータを格納保存するように構成された測定装置において、
前記測定画面のイメージに関連した各種情報をExif情報として編集するExif情報編集手段と、
このExif情報編集手段で編集されたExif情報を前記測定画面のイメージデータに付加して格納保存する格納保存手段、
を設けたことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記Exif情報を、
前記測定画面のイメージデータと共通の画面に表示することを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記Exif情報は、
前記測定画面のイメージデータの名称と、
前記測定画面のイメージデータを取得した装置の製造者名称と、
前記測定画面のイメージデータを取得した装置の名称と、
前記測定画面のイメージデータを取得した時刻、
を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記測定画面のイメージデータと前記Exif情報を、DCF規格に準拠したフォルダに保存することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−145149(P2011−145149A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5813(P2010−5813)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】