説明

測定装置

【課題】製造コストの高騰や装置の大型化を招くことなく、接触子に設けた操作スイッチの操作による遠隔操作、および外部制御装置からの遠隔操作のいずれかを選択的に実行可能とする。
【解決手段】テストリード6a,6bを介して測定対象についての電気的パラメータを測定する測定処理を実行する測定部13を備え、テストリード6bに配設されたホールドスイッチ33の操作時に出力される操作信号を測定装置1に入力するための遠隔操作用信号ケーブル37と、パーソナルコンピュータ2から出力された制御信号を測定装置1に入力するための遠隔操作用信号ケーブル3とのいずれか1つを選択的に接続可能なケーブル接続部12を備えると共に、操作信号が入力されたときに入力された操作信号に対応付けられている処理を実行し、かつ制御信号が入力されたときに入力された制御信号に対応付けられている処理を実行する制御部16とを備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の接触子を介して測定対象についての電気的パラメータを測定可能に構成された測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の測定装置として、一対の測定用プローブ(以下、単に「プローブ」ともいう)を使用して、電圧、電流および抵抗等を測定可能に構成されたディジタルマルチメータ(以下、単に「マルチメータ」ともいう)が実開昭63−10461号公報に開示されている。この場合、このマルチメータは、測定結果を表示する表示器、および測定結果を音声で報知するスピーカを備えて構成されている。また、このマルチメータは、上記のスピーカを駆動する回路(以下、「スピーカ駆動回路」ともいう)をオン・オフ制御するためのリモートスイッチ装置(以下、単に「スイッチ装置」ともいう)を接続可能に構成されている。この場合、スイッチ装置は、上記の両プローブのいずれか一方に本体部を取り付けると共に、マルチメータに設けられている「スイッチ装置接続用の端子」に信号ケーブルを接続することで、両プローブを手にしたままスイッチ操作を行って、スピーカ駆動回路をオン・オフ制御できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−10461号公報(第3−6頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のマルチメータには、以下の問題点が存在する。すなわち、従来のマルチメータでは、「スイッチ装置接続用の端子」にスイッチ装置を接続することで、両プローブを手にしたまま、スピーカ駆動回路をオン・オフ制御できるように構成されている。一方、測定装置を遠隔操作するための構成としては、接触子(テストリード)に操作スイッチを設けた上記のマルチメータのような構成だけでなく、パーソナルコンピュータ等の外部制御装置からの制御コマンドに従って各種の処理を実行する構成が挙げられる。具体的には、一例として、特開平7−306065号公報には、SCSIケーブルやLANケーブルを介して測定装置とパソコンとを相互に接続すると共に、パソコン上において、測定条件の設定、パラメータの付与、測定開始の指示、およびデータ収集等の操作を行うことで、測定装置に各種の処理を実行させる構成の測定装置システムが開示されている。
【0005】
この場合、従来のマルチメータの構成に、上記の測定装置システムにおける測定装置の構成を付加することで、接触子(テストリード)に設けた操作スイッチの操作による遠隔操作、およびパソコンからの遠隔操作の双方を実行することが可能となる。しかしながら、このような構成を採用する場合には、接触子に設けた操作スイッチ(従来のマルチメータにおけるスイッチ装置)を接続するための接続部、およびパソコンを接続するための接続部(従来の測定装置システムにおける測定装置のSCSIポート、またはLANポート)の双方を測定装置に設ける必要が生じる。このため、このような構成を採用した測定装置では、遠隔操作用の2つの接続部を測定装置に設けるのに要する部品コストや組立てコストの分だけ測定装置の製造コストが高騰すると共に、2つの接続部を測定装置に設けたことで大型化を招くという問題が生じる。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、製造コストの高騰や装置の大型化を招くことなく、接触子に設けた操作スイッチの操作による遠隔操作、および外部制御装置からの遠隔操作のいずれかを選択的に実行し得る測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定装置は、一対の接触子を介して測定対象についての電気的パラメータを測定する測定処理を実行する測定部を備えた測定装置であって、前記一対の接触子の一方に配設された操作スイッチの操作時に出力される操作信号を当該測定装置に入力するための第1の接続ケーブルと、外部制御装置から出力された制御信号を当該測定装置に入力するための第2の接続ケーブルとのいずれか1つを選択的に接続可能なケーブル接続部を備えると共に、前記操作信号が入力されたときに当該入力された操作信号に対応付けられている処理を実行し、かつ前記制御信号が入力されたときに当該入力された制御信号に対応付けられている処理を実行する制御部とを備えて構成されている。
【0008】
なお、「第1の接続ケーブルと、第2の接続ケーブルとのいずれかを選択的に接続する」とは、「操作信号または制御信号を入力可能な状態に両接続ケーブルのいずれかの一端部を測定装置に装着すること」を意味する。したがって、「接続ケーブルを接続する」との状態には、「接続ケーブルを電気的に接続する」との状態だけでなく、「操作信号」や「制御信号」として「光信号」を測定装置に入力する構成においては、「光信号を受光可能な状態に接続ケーブルの一端部を測定装置に装着する」との状態がこれに含まれる。
【0009】
また、請求項2記載の測定装置は、請求項1記載の測定装置において、前記ケーブル接続部は、前記操作信号としての第1の光信号、および前記制御信号としての第2の光信号を受光して電気信号に変換して前記制御部に出力する受光部を備えて構成されている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の測定装置によれば、一方の接触子に配設された操作スイッチの操作によって測定装置を遠隔操作するときには、ケーブル接続部に第1の接続ケーブルを接続した状態においてスイッチ操作を行うことで、制御部が、操作信号に対応付けられている処理を実行し、外部制御装置から測定装置を遠隔操作するときには、ケーブル接続部に第2の接続ケーブルを接続した状態において外部制御装置から制御信号を送信することで、制御部が、制御信号に対応付けられている処理を実行することにより、一方の接触子に配設された操作スイッチの操作による遠隔操作用のケーブル接続部、および外部制御装置からの遠隔操作用のケーブル接続部を別個に設ける必要がないため、製造コストの高騰や装置の大型化を招くことなく、操作スイッチの操作による遠隔操作、および外部制御装置からの遠隔操作のいずれかを選択的に実行することができる。
【0011】
また、請求項2記載の測定装置によれば、ケーブル接続部が、操作信号としての第1の光信号、および制御信号としての第2の光信号を受光して電気信号に変換して制御部に出力することにより、外部制御装置から測定装置を遠隔操作する際に、汎用の光通信ケーブルを使用して第2の光信号(制御信号)を測定装置に入力することができるため、外部制御装置から測定装置を遠隔操作するのに要するコストを十分に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】測定装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】遠隔操作用信号ケーブル3(37)における嵌入用部材3a(37a)の外観斜視図である。
【図3】測定装置本体5におけるケーブル接続部12の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示す測定装置1は、測定対象についての電流値、電圧値および抵抗値などの各種電気的パラメータを測定可能に構成された装置であって、後述するように、測定装置本体5に設けられた操作部14の操作による各種処理の実行に加えて、テストリード6bに設けられた操作スイッチの操作による遠隔操作、およびパーソナルコンピュータ2からの遠隔操作のいずれかを選択的に実行できるように構成されている。
【0015】
この場合、パーソナルコンピュータ2は、「外部制御装置」に相当し、一例として、USB接続端子に接続した遠隔操作用信号ケーブル(第2の接続ケーブル)3を介して測定装置1(測定装置本体5)を遠隔操作できるように、遠隔操作用の制御プログラムがインストールされている。なお、「外部制御装置」としては、上記の例にように汎用のパーソナルコンピュータ2に制御プログラムをインストールしたものに限定されず、測定装置1を遠隔操作するための専用の制御装置(図示せず)を利用することもできる。また、遠隔操作用信号ケーブル3における測定装置本体5に対する接続側端部には、パーソナルコンピュータ2の制御下で点滅させられることで、一例として、IrDA規格に準ずる赤外線通信を行うための光信号L2(「第2の光信号」の一例)を出射するLED3bが配設されている。
【0016】
一方、測定装置1は、測定装置本体5およびテストリード6a,6bを備えて構成されている。測定装置本体5は、ケーブル接続部11a,11b,12、測定部13、操作部14、表示部15、制御部16および記憶部17を備えて構成されている。ケーブル接続部11aは、テストリード6aを接続するためのバナナジャックを備えて構成され、ケーブル接続部11bは、テストリード6bを接続するためのバナナジャックを備えて構成されされている。ケーブル接続部12は、「ケーブル接続部」の一例であって、後述するように、テストリード6bからの操作信号を入力するための遠隔操作用信号ケーブル(第1の接続ケーブル)37、およびパーソナルコンピュータ2からの制御信号を入力するための遠隔操作用信号ケーブル3のいずれかを選択的に接続することができるように構成されている。
【0017】
測定部13は、制御部16の制御に従い、ケーブル接続部11a,11bに接続されたテストリード6a,6bを介して測定対象についての電気的パラメータを測定し、その測定結果を制御部16に出力する。操作部14は、測定モードを切り替える切替えスイッチや、測定レンジを切り替える切り替えスイッチなどの各種操作スイッチを備え(図示せず)、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部16に出力する。表示部15は、制御部16の制御に従い、測定部13による測定処理の結果(測定結果)を表示する。
【0018】
制御部16は、測定装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部16は、測定部13を制御して、各種の測定処理を実行させると共に、測定部13から出力された測定結果に基づき、測定値を表示部15に表示させる。また、制御部16は、後述するように、テストリード6bからの操作信号S1に応じて、操作信号S1に対応付けられている処理(一例として、表示部15に表示させた測定値を表示替えすることなく表示し続ける「測定値ホールド処理」)を実行すると共に、パーソナルコンピュータ2からの制御信号S2に応じて制御信号S2に対応付けられている各種の処理(「電流値測定処理」、「電圧値測定処理」および「抵抗値測定処理」など)を実行する。記憶部17は、制御部16の動作プログラムや、制御部16の演算結果を一時的に記憶する。
【0019】
また、テストリード6a,6bは、「一対の接触子」に相当し、テストリード6aには、測定用信号ケーブル22を介して測定装置本体5に接続される接触子本体21が設けられると共に、テストリード6bには、測定用信号ケーブル32を介して測定装置本体5に接続される接触子本体31が設けられている。また、テストリード6bには、ホールドスイッチ33、LED点灯スイッチ34、LED点灯回路35、LED36、および図示しないバッテリ(一例として、ボタン型の一次電池)が配設されると共に、LED点灯回路35には、遠隔操作用信号ケーブル37を介してLED37bが接続されている。ホールドスイッチ33は、「一対の接触子の一方に配設された操作スイッチ」の一例であって、本例では、制御部16に対して上記の「測定値ホールド処理」を実行させる機能が割り当てられて、テストリード6bを持ったままで操作することができるように配置されている。LED点灯スイッチ34は、LED36を点灯させる機能が割り当てられたスイッチであって、テストリード6bを持ったままで操作することができるように配置されている。
【0020】
LED点灯回路35は、ホールドスイッチ33やLED点灯スイッチ34のスイッチ操作に応じてLED36,37bの点灯を制御する回路であって、本例では、ホールドスイッチ33が操作されたときにLED37bを予め規定された一定の周期で点滅させ、LED点灯スイッチ34が操作されたときに、LED36を点灯させるように構成されている。LED36は、接触子本体21,31を接触させる部位を照明するための光源であって、LED点灯回路35の制御下で点灯させられることで照明光を出射する。LED37bは、上記したように遠隔操作用信号ケーブル37を介してLED点灯回路35に接続されて、LED点灯回路35の制御下で一定の周期で点滅させられることで、「第1の光信号」の一例である光信号L1を出射する。
【0021】
この場合、図2に示すように、上記の遠隔操作用信号ケーブル3,37における測定装置本体5に対する接続側端部には、測定装置本体5のケーブル接続部12に設けられた嵌入用溝部12a(図3参照)に嵌入可能な嵌入用部材3a,37aがそれぞれ設けられている。また、嵌入用部材3aには、前述した光信号L2を出射するLED3bが埋設され、嵌入用部材37aには、前述した光信号L1を出射するLED37bが埋設されている。一方、図3に示すように、測定装置本体5のケーブル接続部12は、嵌入用部材3a,37aのいずれかを選択的に嵌入可能な嵌入用溝部12aが形成されると共に、この嵌入用溝部12aに嵌入した状態の嵌入用部材3a,37aにおけるLED3b,37bと対向する位置に、光信号L1や光信号L2を受光する受光素子12b(「受光部」の一例)が埋設されている。
【0022】
この測定装置1を単独で使用して電気的パラメータの測定を行うときには、テストリード6aの測定用信号ケーブル22をケーブル接続部11aに接続し、かつテストリード6bの測定用信号ケーブル32をケーブル接続部11bに接続すると共に、テストリード6bの遠隔操作用信号ケーブル37をケーブル接続部12に接続する。この際に、遠隔操作用信号ケーブル37の嵌入用部材37aをケーブル接続部12の嵌入用溝部12aに嵌入することで、LED37bと受光素子12bとが対向して、LED37bからの光信号L1を受光素子12bによって受光することができる状態となる。次いで、所望の測定条件で測定処理を実行するように操作部14を操作する。
【0023】
続いて、テストリード6a,6bを手に持って接触子本体21,31を測定対象にそれぞれ接触させる。この際に、接触子本体21,31を接触させるべき部位が暗いことに起因して、接触子本体21,31を接触させるべき部位を特定するのが困難なときには、テストリード6bに設けられているLED36を点灯させることで、測定対象を照明する。具体的には、テストリード6bのLED点灯スイッチ34が操作されたときに、LED点灯回路35がLED36を点灯させる。したがって、LED36からの照明光によって、まず、接触子本体21(テストリード6a)を接触させるべき部位を特定して、特定した部位に接触子本体21を接触させ、次いで、LED36を点灯させた状態を維持しつつ、接触子本体31(テストリード6b)を接触させるべき部位を特定して、特定した部位に接触子本体31を接触させる。これにより、接触子本体21,31を確実かつ安全に所望の部位に接触させることができる。
【0024】
また、接触子本体21,31を測定対象に接触させた際には、測定部13が接触子本体21,31を介して測定対象についての電気的パラメータ(例えば、電流値)を測定して制御部16に出力する。この際に、制御部16は、測定部13から出力された測定結果に基づき、その測定値を表示部15に表示させる。これにより、測定対象についての測定値が表示部15に逐次表示される。
【0025】
この場合、この測定装置1では、テストリード6bのホールドスイッチ33を操作することで、表示部15に表示されている測定値を表示替えさせずに、ホールドスイッチ33の操作時点において表示部15に表示されている測定値を継続的に表示させることができるように構成されている(前述した「測定値ホールド処理」の実行)。具体的には、ホールドスイッチ33が操作されたときに、LED点灯回路35は、LED37bを予め規定された一定の周期で点滅させる。これにより、LED37bから光信号L1が出射される。なお、本例の測定装置1では、一例として、ホールドスイッチ33を押圧している間、LED37bから光信号L1が継続的に出射され、ホールドスイッチ33の押圧を終了することで、LED37bからの光信号L1の出射が停止する構成が採用されている。
【0026】
また、測定装置本体5では、ケーブル接続部12の受光素子12bがテストリード6b(LED37b)からの光信号L1を受光して電気信号に変換し、操作信号S1として制御部16に出力する。この際に、制御部16は、操作信号S1に対応付けられている「測定値ホールド処理」を実行し、操作信号S1が入力された時点において表示部15に表示させていた測定値を継続的に表示させた状態を維持する。これにより、測定対象において測定すべき電気的パラメータが小刻みに変動している状態、およびテストリード6a,6bを外して測定を終了した状態においても、ホールドされた測定値の表示を確実かつ容易に認識させることができる。また、制御部16は、操作信号S1の入力が停止したときに「測定値ホールド処理」を終了し、測定部13から出力された測定結果に基づく測定値を表示部15に逐次表示させる。
【0027】
一方、この測定装置1では、パーソナルコンピュータ2から測定装置1を遠隔操作して電気的パラメータの測定処理を実行させることができるように構成されている。具体的には、まず、ケーブル接続部12の嵌入用溝部12aから遠隔操作用信号ケーブル37の嵌入用部材37aを取り外して、パーソナルコンピュータ2に接続された遠隔操作用信号ケーブル3の嵌入用部材3aを嵌入用溝部12aに嵌入する。この際には、遠隔操作用信号ケーブル3のLED3bと受光素子12bとが対向して、LED3bからの光信号L2を受光素子12bによって受光することができる状態となる。次いで、パーソナルコンピュータ2を操作して、パーソナルコンピュータ2から測定装置1(測定装置本体5)に所望の制御信号S2(例えば、電流値の測定処理を開始する制御コマンド)を送信する。
【0028】
この際に、パーソナルコンピュータ2は、送信を指示された制御信号S2の内容に応じて、LED3bを点滅させる。これにより、IrDA規格に準じた光信号L2がLED3bから出射される。また、測定装置本体5では、ケーブル接続部12の受光素子12bがパーソナルコンピュータ2(LED3b)からの光信号L2を受光して電気信号に変換し、制御信号S2として制御部16に出力する。この際に、制御部16は、制御信号S2に対応付けられている処理(この例では、「電流値の測定処理の開始」)を実行し、測定部13を制御して、測定対象についての電流値を測定させる。また、制御部16は、測定部13から出力された測定結果に基づき、その測定値を表示部15に表示させる。これにより、測定対象についての測定値が表示部15に逐次表示される。
【0029】
また、測定装置1による測定処理を終了させるときには、パーソナルコンピュータ2を操作して、パーソナルコンピュータ2から測定装置1(測定装置本体5)に所望の制御信号S2(この例では、電流値の測定処理を終了させる制御コマンド)を送信する。この際に、パーソナルコンピュータ2は、送信を指示された制御信号S2の内容に応じて、LED3bを点滅させる。これにより、IrDA規格に準じた光信号L2がLED3bから出射される。また、測定装置本体5では、ケーブル接続部12の受光素子12bがパーソナルコンピュータ2(LED3b)からの光信号L2を受光して電気信号に変換し、制御信号S2として制御部16に出力する。この際に、制御部16は、制御信号S2に対応付けられている処理(この例では、「電流値の測定処理の終了」)を実行し、測定部13を制御して、測定対象についての電流値を測定処理を終了させる。以上により、パーソナルコンピュータ2からの測定装置1の遠隔操作が完了する。
【0030】
このように、この測定装置1によれば、テストリード6bに配設されたホールドスイッチ33の操作によって測定装置1を遠隔操作するときには、ケーブル接続部12に遠隔操作用信号ケーブル37を接続した状態においてスイッチ操作を行うことで、制御部16が、操作信号S1に対応付けられている処理(この例では、表示部15に表示させている測定結果のホールド)を実行し、パーソナルコンピュータ2から測定装置1を遠隔操作するときには、ケーブル接続部12に遠隔操作用信号ケーブル3を接続した状態においてパーソナルコンピュータ2から制御信号S2を送信することで、制御部16が、制御信号S2に対応付けられている処理を実行することにより、ホールドスイッチ33の操作による遠隔操作用の「ケーブル接続部」、およびパーソナルコンピュータ2からの遠隔操作用の「ケーブル接続部」を別個に設ける必要がないため、製造コストの高騰や装置の大型化を招くことなく、ホールドスイッチ33の操作による遠隔操作、およびパーソナルコンピュータ2からの遠隔操作のいずれかを選択的に実行することができる。
【0031】
また、この測定装置1によれば、ケーブル接続部12の受光素子12bが、「操作信号」としての光信号L1、および「制御信号」としての光信号L2を受光して電気信号に変換して制御部16に出力することにより、パーソナルコンピュータ2から測定装置1を遠隔操作する際に、汎用の光通信ケーブル(本例では、赤外線通信ケーブルの一例である「遠隔操作用信号ケーブル3」)を使用して光信号L2(制御信号S2)を測定装置1に入力することができるため、パーソナルコンピュータ2から測定装置1を遠隔操作するのに要するコストを十分に低減することができる。
【0032】
なお、「測定装置」の構成は、上記の測定装置1の例に限定されない。例えば、測定装置本体5を遠隔操作するためのホールドスイッチ33を接触子本体31等と一体的に設けた構成のテストリード6bを使用する例について説明したが、「一対の接触子」として、同一構成のテストリード6a,6aを一対用意すると共に、ホールドスイッチ33、LED点灯スイッチ34、LED点灯回路35、LED36、遠隔操作用信号ケーブル37およびLED37bを両テストリード6a,6aとは別体にパッケージングした遠隔操作ユニット(図示せず)を両テストリード6a,6aのいずれか一方に装着して、測定装置本体5を遠隔操作する構成を採用することもできる。このような構成を採用した場合においても、上記のテストリード6bを使用する測定装置1と同様の効果を奏することができる。また、光信号L1,L2に代えて、操作信号S1や制御信号S2(電気的信号)を測定装置本体5に送信する構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0033】
1 測定装置
2 パーソナルコンピュータ
3,37 遠隔操作用信号ケーブル
3a,37a 嵌入用部材
3b,37b LED
5 測定装置本体
6a,6b テストリード
11a,11b,12 ケーブル接続部
12a 嵌入用溝部
12b 受光素子
13 測定部
14 操作部
15 表示部
16 制御部
17 記憶部
21,31 接触子本体
22,32 測定用信号ケーブル
33 ホールドスイッチ
35 LED点灯回路
L1,L2 光信号
S1 操作信号
S2 制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の接触子を介して測定対象についての電気的パラメータを測定する測定処理を実行する測定部を備えた測定装置であって、
前記一対の接触子の一方に配設された操作スイッチの操作時に出力される操作信号を当該測定装置に入力するための第1の接続ケーブルと、外部制御装置から出力された制御信号を当該測定装置に入力するための第2の接続ケーブルとのいずれか1つを選択的に接続可能なケーブル接続部を備えると共に、前記操作信号が入力されたときに当該入力された操作信号に対応付けられている処理を実行し、かつ前記制御信号が入力されたときに当該入力された制御信号に対応付けられている処理を実行する制御部とを備えて構成されている測定装置。
【請求項2】
前記ケーブル接続部は、前記操作信号としての第1の光信号、および前記制御信号としての第2の光信号を受光して電気信号に変換して前記制御部に出力する受光部を備えて構成されている請求項1記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−96886(P2013−96886A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240931(P2011−240931)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】