説明

測量システム

【課題】 計測データの測量を簡便に行え得られた計測データの記録を自動で行える測量システムを提供することである。
【解決手段】 本発明の測量システムは、意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷された測量用具と、測定用具のパターン情報に基づいて計測データを入力して計測データを収集しコンピュータに送信する採寸用具とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷された測量用具を用いて電子的にデータを計測して処理する測量システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、服や靴をオーダメードする場合には、その人の体や足の寸法を計測し体や足の大きさに合った服や靴を製造することになる。人の体や足の寸法の計測は、例えば巻尺や物差し等の測量用具を用いて計測するが、その場合、計測対象に巻尺や物差し等の測量用具を当て目盛を合わせて計測するようにしている。そして、測量から得たデータの記録は、筆記か暗記によって一時記憶されて収集され、後に用紙に記載して保存している。CADなどコンピュータが使用される場合には、計測データはコンピュータへ入力している。
【0003】
意味を持つ符号化されたパターン情報を用紙に印刷した光学読み取り用の符号化用紙がある(例えば、特許文献1参照)。また、被測定物が記載されている図面等の上に載置され、タッチセンサ付ドットマトリクス液晶ディスプレイからなるメインディスプレイにより、被測定物である図面に対応する指定点を入力し、被測定点の座量データを基に、直線、2直線のなす角度、曲線等の長さ、あるいは領域の面積等を演算部によって算出して、その演算結果をメインディスプレイに表示するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【特許文献2】特開平6−18250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のものは光学読み取り用の符号化用紙であり、その符号化用紙を用いて計測データを収集する工夫は開示されていない。また、特許文献2のものは被測定点の座量データを基に、直線、2直線のなす角度、曲線等の長さ、あるいは領域の面積等を算出するものであるが、計測データをどのように応用し管理するかについての工夫がない。
【0005】
例えば、計測データが服や靴の寸法である場合には、どの部分の寸法であるのか、また誰の寸法であるのか等のデータも含めて管理することが必要である。そのような寸法を従来の巻尺や物差し等の測量用具を用いて計測した場合には、データの読み取りや採取したデータの記録に手間がかかり、間違いが発生しやすいという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、計測データの測量を簡便に行え得られた計測データの記録を自動で行える測量システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係わる測量システムは、意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷された測量用具と、前記測定用具のパターン情報に基づいて計測データを入力して計測データを収集しコンピュータに送信する採寸用具とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明に係わる測量システムは、意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷された測量用具と、意味を持つ符号化されたパターン情報及び測量に必要な項目欄が印刷され、測量したデータ収集のために使用されるデータ帳票と、前記測定用具のパターン情報に基づいて計測データを入力するとともに前記データ帳票の項目欄に基づいて計測データを収集しコンピュータに送信する採寸用具とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、計測データの採取と同時に電子化できるので、計測データの採取と記録との間に時間差がなく時間を節約できる。また、データ入力は採寸用具により意味を持つ符号化されたパターン情報により入力するので、特別のデータ入力のための労力を必要としない。従って、人件費を節約できデータ入力の間違いの危険が少ない。また、測量過程においてデータ記録する必要がないので記録の間違いの危険が少ない。さらに、人の目でのデータ読み取る必要がないので、読み間違いの危険が少ない。
【0010】
例えば、オーダメードの服や靴などの場合、設計や生産システムなどソフトとの連携で、採寸から設計の一連作業が自動的に効率よく行うことができる。また、取れた注文を時間差がなく生産計画に取り組むことができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係わる測量システムの構成図である。図1では測定用具11が巻尺であり、その巻尺で測定対象物12の周囲長を測定する場合を示している。測定用具11には、意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷されている。
【0012】
測定対象物12の周囲長を測定するには、通常の巻尺と同じ使い方で測定用具11を測量対象物12に当て測量対象物12の周囲を1周させる。そして、測定用具11の計測始点と計測終点とをペン状採寸用具13で指示する。ペン状採寸用具13のペン先は、例えば、ボールペンの芯の部分が採点針に代替されて、測りやすいための外形設計となっている。また、ペン状採寸用具13で測定用具11の計測始点と計測終点とを指示するだけでなく、実際に点か線を書くようにしても良い。
【0013】
これにより、ペン状採寸用具13は、測定用具11の計測始点及び計測終点を符号化されたパターン情報から識別し、その計測データをペン状採寸用具13内部の記憶装置に記憶する。そして、計測データを取り終わったら送信指示用紙14にチェックを入れ、図示省略のコンピュータに計測データを送信する。
【0014】
ここで、ペン状採寸用具13は、意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷された用紙に通常のペンと同じ使い方で、文字や画を書いたら、ペンの位置情報 、ペンの軌跡(書き順)、書く速さ 、筆圧 、書いた日時 、ペンの傾きなどのデータが符号化されたパターン情報に基づき記録する機能を有するものである。
【0015】
また、送信指示用紙14にも同様に、意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷されており、送信指示用紙14にチェックを入れることで、測定データをコンピュータに転送しても良いことを意味する情報であると予め設定しておく。送信指示用紙14は符号化されたパターン情報が印刷された測量用具11の一部分に形成し、測量用具11と一体としても良いし、第1の実施の形態にように別に切り離して、単独の一枚の用紙に印刷して使用しても良い。
【0016】
第1の実施の形態によれば、通常の測量用具の目盛りを読むことで、生じる誤読や誤差を避けることができ、測量時の労力を軽減できる。また、採集した計測データをコンピュータで読み込むことができるので、デザインソフトなどへのデータの手入力は必要がなく直接的に計測データを使用できる。
【0017】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態に対し、意味を持つ符号化されたパターン情報及び測量に必要な項目欄が印刷されたデータ帳票を追加して設け、データ帳票を測量したデータ収集のために使用するようにしたものである。第2の実施の形態では、服のオーダメードの採寸に適用した場合を例にとり説明する。
【0018】
一般に、オーダメードの注文受けてからの手順は以下のような手順となる。
【0019】
(1)聞取:お客様の希望を聞き取る(記入)
(2)採寸:サイズを採取し記録する
(3)生産:データの伝達及び製品によっての担当者の振り分け
(4)試着:寸法修正
(5)修正:修正のため生産部門に戻す(データの伝達)
(6)納品:受領サイン、評価(お客様意見など)の記入
そこで、第2の実施の形態では、前述した各々の各手順(1)〜(6)で以下のような作業を行うことになる。
【0020】
(1)聞取
図2に示すデータ帳票15を予め用意しておき、お客様名、年齢、性別、お客様希望などをペン状採寸用具13を用いてデータ帳票15に記入する。ペン状採寸用具13を用いて、意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷されたデータ帳票15に通常のペンと同じ使い方で、文字や画を書いたら、前述したように、ペンの位置情報 、ペンの軌跡(書き順)、書く速さ 、筆圧 、書いた日時 、ペンの傾きなどのデータが符号化されたパターン情報に基づきペン状採寸用具13内の記憶部に記録される。なお、送信指示用紙14は図2に示すデータ帳票15に一体的に設けられている。
【0021】
(2)採寸
図3に示すように、意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷された測定用具11及びペン状採寸用具13を用いて、お客様の寸法を採寸する。すなわち、意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷されてある測定用具(巻尺)11を通常の巻尺と同じ使い方で、測量対象であるお客様の体に当て、ペン状採寸用具13で測量始点Mと測量終点Nとに点か線を書くか、もしくは測量始点Mと測量終点Nとを指示する。これで一つの寸法を採集できる。また、このデータがどこの寸法であるかは、データ帳票15のフォマットの設計によって採寸操作手順はいろいろある。以下にその例を挙げる。なお、実設計ではこれら例に記述した設計方法から一つか複数を組み合わせでの設計も可能である。
【0022】
例1:データ帳票15に印刷された採取対象の寸法名の横にチェックをして、その後、採取したデータはその対象のデータとする。「採取前」や「採取後」の欄を設け、寸法名の横をチェックする前に採集したデータも指定できるような設計も可能である。
【0023】
例2:事前に決めた順番で採寸する。一般にベテランの人には習慣的な測り順があるので、その習慣的な測り順とする。
【0024】
例3:別途、選択用カードを用意し、採取する際に採取対象データ名をペンでチェック入れるかクリックすることで、寸法名と採取のデータとの関連をつける。
【0025】
例4:コンピュータなどアプリケーションとの連携でアプリケーション上で採寸予定の場所を指定してから採寸を行う。
【0026】
(3)生産
採寸が完了すると、図4のルートR1に示すように、ペン状採寸用具13で採取したデータをペン状採寸用具13から管理ソフトを搭載したコンピュータ16へ送る。一方、出張サービスで採寸した箇所が店舗ではない場合には、ルートR2に示すように、携帯電話などのモバイル端末17経由でのデータ転送も可能としている。
【0027】
そして、採寸したデータが確定したら、製品の種類によって、それぞれの生産部門に転送する。また、生産時にペン状採寸用具13や測定用具(巻尺)11で製品の製作寸法を測り、図5に示すようにデータベースシステムに保存する。
【0028】
(4)試着
お客様の試着により、採寸部門で変更必要な寸法をペン状採寸用具13及び測定用具(巻尺)11で採集し、変更必要な寸法が確定したらそのデータを生産部門に送る。
【0029】
(5)修正
生産部門は送られてきたデータに基づいて修正し、担当者のサインとかをシステムに保存することで品質管理記録として利用可能である。
【0030】
(6)納品
製品の納品時に、受領サインやお客様意見などをペン状採寸用具13で記入し、そのデータを顧客管理システムの当該お客様カードに添付し、情報データベースとして活用できる。
【0031】
第2の実施の形態によれば、意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷された測定用具11及びペン状採寸用具13に加え、意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷されかつ測量に必要な項目欄が印刷されたデータ帳票15を測量したデータ収集のために使用するので、測量ミスや記入ミスを防ぐことができる。また、採集したデータは電子データであるので、コンピュータ16による整理や保存がされ易く、またこれらのデータ利用する他のシステムへの転用も簡単になる。
【0032】
データのコンピュータ16への手入力の一環を省くことで、注文を受けてから生産にデータを反映までの時間差を無くすことができ、採寸した後の操作が自動化され易いので、設計や生産のスピードアップを図ることができる。また、出張サービスでお客先で採集したデータも即時に本部に送ることができるので、すぐ生産計画に取り組むことができる。
【0033】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図6は本発明の第3の実施の形態に係わる測量システムの構成図である。この第3の実施の形態は、意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷された測量用具として、第1の測量用具(巻尺)11aと第2の測量用具(下敷き板)11bとを用いて、靴のオーダメードの採寸に適用した場合を示している。この場合の採寸の手順は以下の通りである。
【0034】
(1)意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷されてある第1の測量用具(巻尺)11aと、意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷されてある第2の測量用具(下敷き板)11bと、ペン状採寸用具13とを使用する。
【0035】
(2)採寸される足を第2の測量用具(下敷き板)11bに載せ、ペン状採寸用具13で足の外囲を一周なぞる。
【0036】
(3)第1の測量用具(巻尺)11aは、通常の巻尺と同じ使い方で必要な寸法を測り、ペン状採寸用具13で測量始点Mと測量終点Nとに点か線を書く。もしくはその測量始点Mと測量終点Nとを指示する。
【0037】
(4)全部のデータを取り終わったら、送信指示用紙14にチェックを入れる。
【0038】
(5)ペン状採寸用具13とコンピュータ16との直接的な接続、またはペン状採寸用具13と携帯電話等のモバイル端末17を介してのコンピュータ16との接続によって、データは指定されたコンピュータ16へ転送され、コンピュータ16に搭載された専用ソフトでデータのリストアップや保存転用などを行う。
【0039】
第3の実施の形態によれば、採集したデータは電子データであるため、コンピュータ16によるデータの整理、保存、運用がやり易い。また、データのコンピュータ16への入力の手入力の一環を省くことができるので、採寸した後の操作が自動化され易く、設計や生産のスピードアップを図ることができる。また、出張サービスでお客先で採集したデータは即時に本部に送ることができ、すぐ生産に取り組むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる測量システムの構成図。
【図2】本発明の第の実施の形態におけるデータ帳票の説明図。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係わる測量システムでの採寸の説明図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係わる測量システムでのデータ送信の説明図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係わる測量システムのデータベースシステムの説明図。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係わる測量システムの構成図。
【符号の説明】
【0041】
11…測定用具、12…測定対象物、13…ペン状採寸用具、14…送信指示用紙、15…データ帳票、16…コンピュータ、17…モバイル端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷された測量用具と、
前記測定用具のパターン情報に基づいて計測データを収集しコンピュータに送信する採寸用具とを備えたことを特徴とする測量システム。
【請求項2】
意味を持つ符号化されたパターン情報が印刷された測量用具と、
意味を持つ符号化されたパターン情報及び測量に必要な項目欄が印刷され、
測量したデータ収集のために使用されるデータ帳票と、
前記測定用具のパターン情報と前記データ帳票の項目欄とに基づいて計測データを収集しコンピュータに送信する採寸用具とを備えたことを特徴とする測量システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−252371(P2006−252371A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70407(P2005−70407)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】