説明

測量方法、立体図作成方法及び測量用ターゲット

【課題】 正確な立体図が作成できる測量方法、立体図作成方法及び測量用ターゲットを提供する。
【解決手段】 トータルステーションをISに設置して構造物に複数設けたT1〜T5に立てられた測量用ターゲットを測角・測距して座標を計算する。次に、3次元レーザスキャナー測定機を設置してT1、T3、T4に立てられた測量用ターゲット及び構造物の表面上の点を測定する。精度よく測定できるよう基準点を変えて構造物の表面上の点を測定する。このようにして取得した座標をコンピュータに取り込み、3次元座標における立体図形を2次元座標に投影してコンピュータの画面に描画する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、構造物の外部の形状または内部の空間について正確な立体図を作成するための測量方法、立体図作成方法及び測量用ターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地形、構造物等の測量においては、特許文献1に記載されているように、既知点の座標を基に地形、構造物等に沿って距離及び角度(水平角及び鉛直角)を測量して座標を計算し、その座標を結線して作図する。既知点とは、測量の基準とされる座標においてX座標、Y座標、Z座標の値が既知である点である。
【特許文献1】特開2001−133260号公報
【0003】
上記のような地形、構造物等の測量において、従来用いられている測量用機器及び測量方法について説明する。以下、測量装置であるトータルステーションの構成、測量の目標物である測量用ターゲットの構成、これらを用いた基準点の測量方法、3次元レーザスキャナー測定機による構造物の測定方法の順に説明する。
【0004】
まず、図8を参照して従来の測量装置であるトータルステーション100について説明する。トータルステーション100の本体103は、望遠鏡104を測量用ターゲットに向けるため、台109の上を回転軸101のまわりに360度回転する。また、望遠鏡104は本体103に対して回転軸102のまわりを360度回転する。測量用ターゲットに向けられた望遠鏡104はレーザー部107からレーザーを発光し、測量用ターゲットの反射鏡による反射光を受光して測角・測距する。なお、測量の目標物までの距離が近い場合は、測量用ターゲットを設けなくても測角・測距することができる。操作制御部108はCPU(中央処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ディスプレイ、操作ボタン、データ出力手段を備え、操作ボタンからの指示に基づき各部を制御し、また、測角・測距によって得た角度及び距離から座標を計算し記憶する。記憶された座標データは記憶媒体を介してパソコンに取り込むことができる。三脚110は本体103等を設置するために用いられる。
【0005】
次に、前述のトータルステーション100による測量の目標物である測量用ターゲットについて説明する。以下、図9、図15を参照して2種類の測量用ターゲットの構成を説明する。
図9は測量用ターゲット210を示す。これは図10に示すピンポール216、プリズム支持部217、石突き218がねじで接合されたものである。ピンポール216は軸線211上において棒状に成形されており、片側にねじ山225を有する。プリズム支持部217は、プリズム取付部227、水準器224、ねじ孔226及び228を有する。プリズム取付部227には、反射鏡である図11に示す1素子プリズム212が取り付けられ、プリズム取付部227は鉛直方向に向きを変えることができる。これにより、プリズム取付部227の向きを鉛直方向に調整して、トータルステーション100からレーザーが入射する方向に1素子プリズム212を向けることができる。
1素子プリズム212は中心213で3つの面が直交するよう成形され、正面から左右45度の範囲の角度で入射するレーザーを、入射する方向に関わらず入射方向へ180度折り返すコーナーキューブプリズムである。石突き218は軸線211上において棒状に成形されており、ねじ山229と基準点に接触させる測点部214を有する。
【0006】
図9に示す測量用ターゲット210は、1素子プリズム212の中心213と石突き218の測点部214は軸線211上に配置され、測量用ターゲット210のプリズム取付部227の向きを鉛直方向に変えても、1素子プリズム212の中心213の位置は変わらない。これはプリズム定数が0の場合であり、このプリズム定数が0でない場合、すなわち、1素子プリズム212の中心213と軸線211とがプリズム定数の示す距離だけずれた位置にあってもよい。例えば、3cmのプリズム定数を有する場合とは、1素子プリズム212の正面をトータルステーション100に向けたときに、トータルステーション100に近づく方向に軸線211から3cmずれていることを表す。このような測量用ターゲットを用いて測量を行った場合には、トータルステーション100から1素子プリズム212の中心213を測距し、その結果に3cmを加算する。
【0007】
測量用ターゲット210のプリズム支持部217は、1素子プリズム212とは異なる反射鏡である図12に示す360度プリズム30で置き換えてもよい。360度プリズム30の反射部33は、図13に示すように6つの面から構成される。これは、1素子プリズム212(図11)と同様にコーナーキューブプリズムである1素子プリズム34(図14)が6個用いられそれぞれの中心35が1点で接するように接合されている。したがって、軸線11のまわりに360度のどの方向からレーザーが入射しても6つのプリズムのいずれかが入射方向へ180度折り返す。測量用ターゲット210のプリズム支持部217は1素子プリズム212の正面から左右45度の範囲の角度でレーザーを入射する必要があったが、プリズム支持部217を360度プリズム30で置き換えることで、測量用ターゲット210の反射鏡の向きは意識する必要がなくなる。
【0008】
図15は測量用ターゲット250を示す。これは、例えば三脚の取付台253の上に設置される。プリズム取付部251は水平軸線255のまわりに向きを変えることができる。プリズム取付部251には、図11の1素子プリズム212が取り付けられている。これにより、プリズム取付部251の向きを鉛直方向に調整して、1素子プリズム212をトータルステーション100からレーザーが入射する方向に向けることができる。ターゲット板252は、後述する3次元レーザスキャナー測定機により表面上の複数の点の座標を取得して、トータルステーション100により取得した1素子プリズム212の中心213の座標と位置合せをするときに用いられる。
【0009】
次に、図1、図8、図9、図10を参照して、トータルステーション100を用いた従来の基準点座標算出方法を説明する。図1は測量装置及び測量用ターゲットの配置を示す平面図である。この図においてBSを後視点といい、座標が既知である点を用いる。
まず、ISはトータルステーション100が設置される位置であり、この点を器械点という。この座標も既知とする。次に、後視点BS及び前視点T1にそれぞれ測量用ターゲット210(図9)の測点部214を立て、水準器224(図10)により鉛直に立っていることを確認し、トータルステーション100の操作制御部108(図8)を操作して望遠鏡104をBS及びT1に立てた測量用ターゲット210の1素子プリズム212に向け、それぞれの方向をトータルステーション100に記憶させる。
【0010】
次に、操作制御部108から測量開始を指示すると、トータルステーション100はレーザー部107からレーザーを発光してBSに立てた測量用ターゲット210の1素子プリズム212を視準する。次に、トータルステーション100の本体103は、軸101のまわりを回転するとともに軸102のまわりを回転し、望遠鏡104の方向をT1に立てた測量用ターゲット210の1素子プリズム212に合わせて測角・測距する。
【0011】
次に、距離と角度を正確に測量するため、望遠鏡104を対回(ついかい)させる。すなわち、本体103を軸101のまわりに180度回転させるとともに望遠鏡104を軸102のまわりに180度回転させる。これにより望遠鏡104の上下が反転することになる。この状態でT1に立てた測量用ターゲット210を再度測角・測距した後、BSに立てた測量用ターゲット210を視準した方向に戻して再度視準する。トータルステーション100の操作制御部108は、このようにして得られた角度及び距離と後視点及び器械点の座標から前視点の座標を計算する。
【0012】
以上はトータルステーション100による自動測量である。操作制御部108を操作して手動で測量する場合は次のように行われる。まず、トータルステーション100及び測量用ターゲット210を上記と同様に設置する。次に、操作制御部108を操作して、望遠鏡104のレーザー部107からレーザーを発光してBSに立てた測量用ターゲット210の1素子プリズム212を視準する。次に、操作制御部108を操作して、望遠鏡104の方向をT1に立てた測量用ターゲット210の1素子プリズム212に合わせて測角・測距する。
【0013】
次に、操作制御部108を操作して、望遠鏡104を対回させる。この状態で操作制御部108を操作して、T1に立てた測量用ターゲット210の再度測角・測距した後、BSに立てた測量用ターゲット210の方向に戻して再度視準する。操作制御部108は、このようにして得られた距離及び角度と後視点及び前視点の座標から前視点の座標を計算する。
【0014】
上記のトータルステーション100は前視点を測角・測距してその座標を取得するものであるが、これに対し、構造物の表面上の点の座標を大量に取得できる3次元レーザスキャナー測定機が知られている。この測定機の動作は一例として水平方向360度、上下方向60度について角度読取分解能0.0018度の精度でレーザーを照射して構造物の表面上の点の座標及び色(RGBと照度)を毎秒5000点の速度で取得することができる。取得した座標データは記憶媒体を介してパソコンに取り込むことができる。なお、ここで取得することができる座標は、3次元レーザスキャナー測定機を基準とする相対座標である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記のトータルステーションは1点づつ測角・測距して、主に地形、構造物等の平面図を作成するために用いられている。また、上記の3次元レーザスキャナー測定機は、主に建築物、橋梁、ダム等の構造物をある地点から見たときの外部の形状を測定して、ある特定の構造物の立体図を作成するために用いられている。したがって、これらの技術によれば、地下街、トンネル等の構造物の内部の空間、あるいは、構造物の外部の形状を作図するには平面図を作成するか、または、ある地点から見通せる範囲での立体図を作成するしかなかった。
この発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、その目的は、構造物の外部の形状または内部の空間について正確な立体図を作成するための測量方法、立体図作成方法及び測量用ターゲットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、構造物の立体図を作成する立体図作成方法において、複数の前視点に設けられた測量用ターゲットをトータルステーションによって測角・測距して前記複数の前視点の座標を求めることによって複数の基準点をつくる第1の過程と、前記複数の基準点の中から3つの基準点を選択する第2の過程と、選択された前記3つの基準点に設けられた測量用ターゲットの表面と前記構造物の表面とを3次元レーザスキャナー測定機によって測定し、これら測量用ターゲットの表面上と前記構造物の表面上の複数の点の座標を求める第3の過程と、を有する立体図作成方法であって、前記第2の過程においては、選択される3つの基準点のうちの少なくとも2つの基準点間の鉛直方向の座標の差が、前記3次元レーザスキャナー測定機を設けた場所から前記構造物までの距離の100分の1以上となるように、3つの基準点を選択することを特徴とする立体図作成方法である。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の立体図作成方法において、前記第2の過程で3つの基準点を選ぶ際に、前記3次元レーザスキャナー測定機の設置場所を基準として、対象とする前記構造物に近い側の2つの基準点と、当該構造物から遠い側の1つの基準点を選択することを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の立体図作成方法において、前記第3の過程で求めた前記構造物の表面上の複数の点の座標と、外部から与えられる面とに基づき、これら複数の点から当該面に降ろした垂線の足の座標を求める計算処理を行う第4の過程をさらに有することを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明は、複数の前視点に設けられた測量用ターゲットを座標が既知である器械点に設置されたトータルステーションによって測角・測距して前記複数の基準点の座標を求める基準点座標算出方法であって、前記トータルステーションの望遠鏡が第1の方向の状態で、座標が既知である後視点を視準し、次に、前記トータルステーションの望遠鏡が第1の方向の状態で、前記望遠鏡を一方向に旋回させることによって前記前視点を順次測角・測距し、次に、前記望遠鏡を反転させて第2の方向の状態とし、次に、前記トータルステーションの望遠鏡が第2の方向の状態で、前記望遠鏡を逆方向に旋回させることによって前記前視点を順次測角・測距し、次に、前記トータルステーションの望遠鏡が第2の方向の状態で、前記後視点を視準することを特徴とする基準点座標算出方法である。
【0020】
請求項5に記載の発明は、器械点からトータルステーションによって、構造物における第1のコーナーおよび第2のコーナーの座標を測量するコーナー座標測量方法であって、前記器械点から前記第1のコーナーへの方向を視準し、水平角と鉛直角とを求める第1の過程と、前記器械点から前記第2のコーナーへの方向を視準し、水平角と鉛直角とを求める第2の過程と、前記第1のコーナーと前記第2のコーナーを結ぶ線分上で、前記第1のコーナーと前記第2のコーナーより内側に、第1の測距点の水平角と鉛直角とを定め、第2の測距点の水平角と鉛直角とを定め、前記器械点からこれら第1の測距点と第2の測距点までのそれぞれの距離を測量する第3の過程と、前記第1の測距点の水平角と鉛直角および前記器械点から前記第1の測距点までの距離に基づき前記第1の測距点の座標を求め、前記第2の測距点の水平角と鉛直角および前記器械点から前記第2の測距点までの距離に基づき前記第2の測距点の座標を求める第4の過程と、前記第1の測距点の座標と前記第2の測距点の座標とに基づき、前記第1の測距点の座標と前記第2の測距点とを結ぶ線を求める第5の過程と、当該線上において前記第1の角度と前記第2の角度とに基づく第1のコーナーの座標を求めるとともに、当該線上において前記第3の角度と前記第4の角度とに基づく第2のコーナーの座標を求める第6の過程と、を有することを特徴とするコーナー座標測量方法である。
【0021】
請求項6に記載の発明は、器械点からトータルステーションによって、構造物における点の座標を測量する立体図作成方法であって、前記構造物における面に属する3つの点を測角・測距し、これら3つの点の座標を求める第1の過程と、前記器械点から前記面に属する点を測角し、水平角と鉛直角とを求め、前記第1の過程において求めた3つの点の座標を通る平面と、前記第1の角度と第2の角度とに基づく直線との交点の座標を求める過程を複数回繰り返すことによって立体図を作成する第2の過程とを有することを特徴とする立体図作成方法である。
【0022】
請求項7に記載の発明は、後視点の座標、器械点の座標、構造物上の第1のコーナーへの水平角と鉛直角及び第2のコーナーへの水平角と鉛直角、前記第1のコーナーと前記第2のコーナーを結ぶ線分上の第1の点の座標及び第2の点の座標を入力する処理と、前記第1の点の座標と前記第2の点の座標とに基づき、前記第1の点の座標と前記第2の点とを結ぶ線を求める処理と、前記線上において前記第1のコーナーへの水平角と鉛直角とに基づく前記第1のコーナーの座標を求めるとともに、当該線上において前記第2のコーナーの水平角と鉛直角とに基づく前記第2のコーナーの座標を求める処理と、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0023】
請求項8に記載の発明は、後視点の座標、器械点の座標、構造物における面に属する3つの点の座標、前記面に属する点への水平角と鉛直角を入力する処理と、前記3つの点の座標を通る平面を求め、前記平面と、前記水平角と鉛直角とに基づく直線との交点の座標を求める処理を複数回繰り返すことによって立体図を作成する処理とをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0024】
請求項9に記載の発明は、反射鏡と基準物と測点部とを備え、前記基準球の中心と前記測点部とを結ぶ軸上において、または、前記軸上の近傍に所定のプリズム定数だけ隔てて、前記反射鏡を配置したことを特徴とする測量用ターゲットである。
【0025】
請求項10に記載の発明は、2つの反射鏡と1つの測点部とを軸線上に配置した測量用ターゲットであって、前記2つの反射鏡を備えた反射鏡支持部と、前記1つの測点部を備えた測点支持部と、前記反射鏡支持部と前記測点支持部とを前記軸線から離れた位置において相互に連結する連結部と、を備えた測量用ターゲットである。
【0026】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の測量用ターゲットにおいて、前記測点支持部は前記軸線上に前記1つの測点部と逆向きにさらにもう1つの測点部を設けたことを特徴とする。
【0027】
請求項12に記載の発明は、ターゲット板と、前記ターゲット板に連結された反射鏡ユニットとを備えた測量用ターゲットであって、前記反射鏡ユニットは、反射鏡本体と、前記反射鏡本体を水平軸線を中心に回転可能とする第1の回転手段と、前記反射鏡本体を鉛直軸線を中心に回転可能とする第2の回転手段と、を備えた測量用ターゲットである。
【0028】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の測量用ターゲットにおいて、前記反射鏡ユニットの少なくとも一部が前記ターゲット板の側面から外方に露出していることを特徴とする。
【0029】
請求項14に記載の発明は、請求項5に記載のコーナー座標測量方法により求めた構造物のコーナーの座標を用いて構造物の立体図を作成する第1の過程と、請求項6に記載の立体図作成方法により求めた構造物における点の座標を用いて構造物の立体図を作成する第2の過程と、請求項3に記載の立体図作成方法を用いて構造物の立体図を作成する過程と、を有する立体図作成方法である。
【発明の効果】
【0030】
この発明によれば、3次元レーザスキャナー測定機による測定に用いる基準点を複数の基準点の中から適切に選択することにより、3次元レーザスキャナー測定機の設置位置や測定方向を変えて構造物の測定を行っても誤差を抑えて構造物の表面上の点の座標を取得することができる。また、このときに必要となる複数の基準点座標を効率的に算出することができる。また、構造物の正確な立体図を作成するために必要となる座標の取得や作図、すなわち、構造物の角の点(コーナー)の正確な座標の取得、測角のみの簡易な測量による点の座標の取得、物陰に隠れた点の座標の取得、天井や壁面等の微妙な凹凸を除外した平面の作図をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明の一実施の形態における測量装置及び測量用ターゲットの配置を示す平面図である。図1のBSは前述の通り、座標が既知である後視点、T1からT5は測量によって座標を求める複数の前視点、ISはトータルステーション100の設置位置である器械点である。前視点は、構造物の形状に沿って適宜配置するが、座標を求めた後は基準点として用いられ、この座標は後で説明するように、3次元レーザスキャナー測定機による測定に適した位置関係に配置されていることが望ましい。
【0032】
BS及びT1からT5には、図2、図4、図5、図15に示すいずれかの測量用ターゲットを立てる。図15に示す測量用ターゲット250については既に説明したので、図2、図4、図5に示す測量用ターゲットについて説明する。
【0033】
図2は測量用ターゲット10を示す。これは図3に球体部15、ピンポール16、プリズム支持部17、石突き18がねじで接合されたものである。
球体部15は、中心12を中心とする基準球19、基準球19を支持する支持部20及び円盤21、円盤21の下部に設けられたねじ孔22から構成される。基準球19は3次元レーザスキャナー測定機がその表面上の点を測定し、中心12の座標を計算するために用いられる基準物である。基準物としては基準球19に代えてターゲット板を用いてもよい。基準物の中心とは、基準球の場合はその中心であり、ターゲット板の場合は重心、あるいは、形状が長方形の場合は対角線の交点としてもよい。円盤21は球体部15のみ単体で3次元レーザスキャナー測定機による測量用ターゲットとして設置するときに使用される。基準球19の中心12とねじ孔22は軸線11上にある。
【0034】
ピンポール16は軸線11上において棒状に成形されており、両端にねじ山23及び25を有し、上部には水準器24を有する。プリズム支持部17は、水準器がない点を除き、図10のプリズム支持部217と同様である。石突き18は図10の石突き218と同様である。図2に示す測量用ターゲット10は、基準球19の中心12、1素子プリズム212の中心213、石突き18の測点部14は全て軸線11上に配置され、プリズム取付部27の向きを鉛直方向に変えても、1素子プリズム212の中心213の位置は変わらない。これはプリズム定数が0の場合であり、このプリズム定数が0でない場合、すなわち、軸線11上からこのプリズム定数だけ隔てて反射鏡である1素子プリズム212を配置したものであってもよい。この場合の使い方は前述した通りである。
【0035】
図4に示す測量用ターゲット230は、ターゲット板232と、これに連結された反射鏡ユニット236とを備える。反射鏡ユニット236は、プリズム取付部231が有する左右の突起を軸受けで支持することにより、プリズム取付部231を水平軸線235を中心に回転可能とする回転手段を備える。さらに、反射鏡ユニット236は、その上下に設けられた突起とターゲット板232に設けられた軸受けにより、鉛直軸線234を中心に回転可能とする回転手段を備える。プリズム取付部231は、1素子プリズム212を取り付けた反射鏡本体である。
この測量用ターゲット230は、図15に示す従来の測量用ターゲット250とは異なり、プリズム取付部231を水平軸線234を中心に回転させることができる。これにより水平軸線234のまわりにプリズム取付部231の向きを変えるときには、測量用ターゲット230を持ち上げて置き直すことなく反射鏡ユニット236の向きを変えるだけでよい。
【0036】
反射鏡ユニット236のプリズム取付部231に取り付けられている1素子プリズム212は、前述の通り、所定の範囲の角度で入射するレーザーを、入射する方向に関わらず入射方向へ180度折り返すので、この1素子プリズム212に対して必ずしも正面からレーザーを入射させる必要はない。しかし、1素子プリズム212の中心213から外れてレーザーが入射して折り返す場合には、トータルステーション100の望遠鏡104で測角される角度に誤差が生じる。そこで、プリズム取付部231を鉛直軸線234を中心に回転させて、1素子プリズム212の正面にレーザーを入射させることにより誤差を抑えることができる。
また、測量用ターゲット230は、反射鏡ユニット236の一部がターゲット板232の側面から外方に露出している。これにより、ターゲット板232の側方から容易に反射鏡ユニット236に手で触れて向きを変えることができる。
図5に示す測量用ターゲット240は、ターゲット板242の形状が異なる他は測量用ターゲット230と同様である。
【0037】
次に、図1及び図8を参照して、この発明の実施形態による測量方法及び立体図作成方法を説明する。まず、ISにトータルステーション100を設置し、その周囲に設けられた複数の前視点T1からT5を測角・測距して座標を求め基準点をつくる。
BSは座標が既知の点である。ISにトータルステーション100を設置し、BS及び前視点T1からT5に測量用ターゲット10を立て、これらを測角・測距する。なお、ここでは地下街、トンネル等の内部に空間を有する構造物において、その内部の空間の立体図を作成するものとし、図1において設けた各点の周囲には壁面や天井があるものとして説明する。
【0038】
BS及びT1からT5に測量用ターゲット10の測点部14を立て、水準器24により鉛直に立っていることを確認し、トータルステーション100の操作制御部108を操作して望遠鏡104をBS及び複数の前視点T1からT5に設けられた各測量用ターゲットの1素子プリズム212に向け、それぞれの方向をトータルステーション100に記憶させる。なお、ここで使用する測量用ターゲットは、測量用ターゲット10のプリズム支持部17を前述した図12の360度プリズム30で置き換えたものでもよく、また、測量用ターゲット230、240、250のうちいずれかを用いてもよい。
【0039】
次に、操作制御部108から測量開始を指示すると、トータルステーション100は望遠鏡104を一方向に旋回させることによって複数の前視点を順次測角・測距する。すなわち、トータルステーション100の望遠鏡104はレーザー部107からレーザーを発光してBSに立てた測量用ターゲット10の1素子プリズム212を視準する。次に、本体103が軸101のまわりに回転するとともに、望遠鏡104が軸102のまわりを回転し、望遠鏡104の方向をT1に立てられた測量用ターゲット10の1素子プリズム212に合わせて測角・測距する。次に、本体103が軸101のまわりに回転するとともに、望遠鏡104が軸102のまわりを回転し、望遠鏡104の向きをT2に立てられた測量用ターゲット10の1素子プリズム212に合わせて測角・測距する。T3からT5についても同様に測角・測距する。
【0040】
T5まで測角・測距が終わると、正確な測量のためトータルステーション100は望遠鏡104を対回させる。すなわち、本体103を軸101のまわりに180度回転させるとともに望遠鏡104を軸102のまわりに180度回転させることにより、望遠鏡104の上下を反転させる。そして、トータルステーション100は望遠鏡104の上下が反転した状態で、T1からT5を順次測角・測距したときと逆方向に望遠鏡104を旋回させることによって複数の前視点を順次測角・測距する。すなわち、T5に立てられた測量用ターゲットを測角・測距した後、T4に立てられた測量用ターゲット10の方向に旋回して再度測角・測距する。続いて、T3、T2、T1の順に、これらの前視点に立てられた測量用ターゲット10の方向に旋回して再度測角・測距した後、BSに立てられた測量用ターゲット10の方向に旋回して再度視準する。
前視点を測角・測距する従来の方法によれば、座標が既知のBSを基に前視点を1つづつ測角・測距するので、前視点が複数の場合は、前視点の数だけ望遠鏡104の対回及びBSと前視点の間の往復が発生する。しかし、上記の方法によれば、望遠鏡104の旋回は1往復で済み、望遠鏡104の上下を反転させる対回も1回で済むので、多数の前視点の測角・測距においては要する時間が短縮される。
【0041】
以上で、T1からT5に立てられた測量用ターゲット10が測角・測距されたので、操作制御部108において後視点BS及び器械点ISの座標を基に複数の前視点T1からT5の座標を求める。各前視点の座標は、測量用ターゲット10の1素子プリズム212の中心213の座標が求まると、中心213と測点部14との距離から求めることができる。測量用ターゲット10が前述のプリズム定数を有する場合は、トータルステーション100と中心213との距離に中心213と軸線11との距離を加算して、中心213を軸線11上に補正した点と測点部14との距離から前視点の座標を求める。
【0042】
以上はトータルステーション100による自動測量である。操作制御部108を操作して手動で測量する場合は次のように行われる。まず、トータルステーション100及び測量用ターゲット10を上記と同様に設置する。次に、操作制御部108を操作して、望遠鏡104のレーザー部107からレーザーを発光してBSに立てた測量用ターゲット10の1素子プリズム212を視準する。
次に、操作制御部108を操作して、望遠鏡104の方向をT1に立てられた測量用ターゲット10の1素子プリズム212に合わせて測角・測距する。次に、操作制御部108を操作して、望遠鏡104の向きをT2に立てられた測量用ターゲット10の1素子プリズム212に合わせて測角・測距する。T3からT5についても同様に測角・測距する。
【0043】
T5まで測角・測距が終わると、次に、操作制御部108を操作して、望遠鏡104を対回させる。そして、操作制御部108を操作して、望遠鏡104の上下が反転した状態で、T1からT5を順次測角・測距したときと逆方向に望遠鏡104を旋回させることによって複数の前視点を順次測角・測距する。すなわち、操作制御部108を操作して、T5に立てられた測量用ターゲットを測角・測距した後、操作制御部108を操作して、T4に立てられた測量用ターゲット10の方向に旋回して再度測角・測距する。続いて、操作制御部108を操作して、T3、T2、T1、BSの順に、これらの前視点に立てられた測量用ターゲット10の方向に旋回して再度測角・測距する。
以上で、T1からT5に立てられた測量用ターゲット10が測角・測距されたので、操作制御部108においてBSの座標を基に複数の前視点T1からT5の座標を求める。
このようにして前視点T1からT5は座標が既知の後視点BSから座標が求められると、それ以後は基準点と呼ばれる。以下の説明においてはT1からT5は基準点として説明する。
【0044】
T1からT5の座標が求められたので、次に、3次元レーザスキャナー測定機によって構造物の表面上の複数の点を測定する。前述の通り3次元レーザスキャナー測定機により水平方向に360度について構造物の表面上の複数の点を測定するが、測定の誤差を小さくするため、基準点を変えて複数回測定し、基準点の選択の仕方により精度よく測定される範囲をつなぎ合わせる。
【0045】
基準点の選択の仕方は、選択される3つの基準点のうちの少なくとも2つの基準点間の鉛直方向の座標の差が、3次元レーザスキャナー測定機を設けた場所から構造物までの距離の100分の1以上となるように選択する。ここで構造物までの距離とは、3次元レーザスキャナー測定機の設置場所から、構造物において測定する範囲を見たときの、当該設置場所から構造物までの距離である。
さらに、3つの基準点を選ぶ際に、3次元レーザスキャナー測定機の設置場所を基準として、対象とする構造物に近い側の2つの基準点と、当該構造物から遠い側の1つの基準点を選択する。すなわち、3次元レーザスキャナー測定機の設置場所から、構造物において測定する範囲を見たときに、構造物から近い側の2つの基準点と、構造物から遠い側の1つの基準点を選択する。
【0046】
図1において器械点ISまたはこの付近に3次元レーザスキャナー測定機を設置し、基準点T3からT4にかけての方向について構造物の表面上の座標を測定する場合、構造物に近い側の2つの基準点はT3、T4であるが、構造物から遠い側の1つの基準を選択する必要がある。3次元レーザスキャナー測定機の設置場所から構造物までの距離を求め、その100分の1の値を計算する。T3、T4のZ座標の差がこの値以上でない場合は、もう1つの基準点とT3またはT4のZ座標の差はこの値以上である必要がある。T1がこれらの条件を満たしているとして、ここではもう1つの基準点としてT1を選択する。3次元レーザスキャナー測定機は、これら3つの基準点T1、T3、T4を結んでできる三角形の内側に設置する。T1、T3、T4に測量用ターゲット10を設け、3次元レーザスキャナー測定機によって測量用ターゲット10の表面と構造物の表面を測定し、測量用ターゲット10の表面上と構造物の表面上の複数の点の座標を求める。これは前述の通り、3次元レーザスキャナー測定機からレーザーを照射して自動測定することにより行う。このとき3次元レーザスキャナー測定機が設置された位置から見て、T3からT4にかけての方向について、精度よく測定できるので、立体図作成においてはこの範囲の方向について取得した構造物の表面上の点の座標を立体図作成に用いる。
【0047】
このとき測量用ターゲット10の基準球19の表面上の複数の点の座標も取得される。この座標から基準球19の中心12の座標を計算する。次に、測量用ターゲット10の基準球19の中心12と1素子プリズム212の中心213との距離から中心12の座標を計算し、これをもとに測定によって得られた構造物の表面上の点の座標を求める。
同様に測量用ターゲット230、240、250のいずれかを用いた場合は、それぞれターゲット板232、242、252の表面上の点の座標からプリズムの中心213の座標を計算する。次に、3次元レーザスキャナー測定機で得られた座標を、トータルステーション100で測量して座標を取得した基準点T1、T3、T4に立てられた測量用ターゲット230、240、250のプリズムの中心213と位置合せする。すなわち、中心213の座標はトータルステーション100によって既に求めた座標であるので、これを用いて構造物の表面上の点の座標を求める。
【0048】
次に、図1において器械点ISまたはこの付近に3次元レーザスキャナー測定機を設置し、基準点T4からT5にかけての方向について構造物の表面上の座標を測定する場合、構造物に近い側の2つの基準点はT4、T5であるが、構造物から遠い側の1つの基準を選択する必要がある。上記と同様にもう1つの基準点としてT2を選択し、3次元レーザスキャナー測定機は、これら3つの基準点T2、T4、T5を結んでできる三角形の内側に設置する。T2、T4、T5に測量用ターゲット10を設け、3次元レーザスキャナー測定機によって測量用ターゲット10の表面と構造物の表面を測定し、測量用ターゲット10の表面上と構造物の表面上の複数の点の座標を求める。このとき3次元レーザスキャナー測定機が設置された位置から見て、T4からT5にかけての方向について、精度よく測定できるので、立体図作成においてはこの範囲の方向について取得した構造物の表面上の点の座標を立体図作成に用いる。
【0049】
同様に、基準点T1からT5にかけての方向について構造物の表面上の座標を測定するため、もう1つの基準点としてT2を選択して3次元レーザスキャナー測定機によって測定し、T1からT5にかけての方向について取得した構造物の表面上の点の座標を立体図作成に用いる。また同様に、基準点T1からT2にかけての方向について構造物の表面上の座標を測定するため、もう1つの基準点としてT5を選択して3次元レーザスキャナー測定機によって測定し、T1からT2にかけての方向について取得した構造物の表面上の点の座標を立体図作成に用いる。また同様に、基準点T2からT3にかけての方向について構造物の表面上の座標を測定するため、もう1つの基準点としてT5を選択して3次元レーザスキャナー測定機によって測定し、T2からT3にかけての方向について取得した構造物の表面上の点の座標を立体図作成に用いる。このようにして全方向において構造物の表面上の点の測定を行う。
【0050】
上記のようにして求めた構造物の表面上の複数の点の座標をもとに、次のようにして立体図の作成を行う。まず、コンピュータに上記で測定した複数の点の座標を取り込む。そして、数値データとして与えられた構造物の表面上の座標を3次元の座標空間にプロットし、線でつないだり、面を作成したりしてできる立体図形を、コンピュータの画面に投影して画像を描画する。立体図形を2次元座標に投影する手法として等角投影図法、斜投影図法等がある。
【0051】
このようにして立体図を作成したとき、例えば壁や天井には微妙な凹凸があるので、これらの壁や天井に沿って必ずしも純粋な平面が形成されるわけではない。このような微妙な凹凸の除去は、以下のように、壁や天井に対応する平面を定め、この平面に対して上記で得られた座標から垂線を下ろすことにより行うことができる。
【0052】
まず、壁や天井に対応する平面を定める。器械点ISにトータルステーション100を設置し、例えば天井の1点に合わせてレーザー部107よりレーザーを照射して測角・測距する。なお、壁や天井までの距離は短いので、測量用ターゲットを使用せずにトータルステーション100からレーザーの反射光を検出して測角・測距することができる。このようにして得た角度及び距離から座標の計算を行う。これを天井の3点について行い3つの座標を計算する。これら3点の座標、及び、3次元レーザスキャナー測定機で求めた構造物の表面上の複数の点をコンピュータに取り込む。次に、この3点を通る平面を作図する。この平面は、3次元レーザスキャナー測定機で求めた構造物の表面上の複数の点の座標に対して、外部から与えられる面である。
【0053】
次に、この平面に対して3次元レーザスキャナー測定機で求めた構造物の表面上の複数の点から垂線を降ろしたときの平面との交点である垂線の足の座標を求める計算処理を行う。この計算処理は、3点で特定される平面と他の1点が与えられたときに、その1点を通り平面に直交する直線と平面との交点の座標を求めるものであり、これを構造物の表面上の複数の点について繰り返し行う。
なお、3次元レーザスキャナー測定機では構造物の表面上の点の座標と色が測定できるので、この色を構造物の表面上の点から降ろした垂線の足の座標に着色すれば、平面上に構造物の色を再現することができる。
【0054】
次に、構造物の正確なコーナーの座標を測量する方法を説明する。すなわち、3次元レーザスキャナー測定機で得られた座標そのものは、構造物のコーナーをねらって測量したものではなく、また、コーナーにねらいを合わせようとしてもコーナー自体が丸みを帯びている場合もあるので、正確な座標の取得は困難である。そこで、以下のようにして、器械点に設けられたトータルステーション100によって、構造物におけるコーナーの座標を測量する。
【0055】
図6は壁及び天井の一部の断面図である。後視点BS、器械点ISの座標は図6に示す通りとし、コーナーP1、P2の座標がここで求めるものである。まず、器械点ISに設けられたトータルステーション100によって2つのコーナーP1、P2への方向を測量し、それぞれの水平角及び鉛直角を求める。ISとP1を結ぶ直線の極座標系における水平角はθ1、鉛直角はφ1、ISとP2を結ぶ直線の水平角はθ2、鉛直角はφ2であったとする。
次に、コーナーP1、P2を結ぶ線分上で、これらのコーナーより内側に、下記のようにして、測距点P1’の水平角と鉛直角を定め、測距点P2’の水平角と鉛直角を定める。
θ1’={(n−1)×θ1+θ2}/n・・・P1’の水平角
φ1’={(n−1)×φ1+φ2}/n・・・P1’の鉛直角
θ2’={θ1+(n−1)×θ2}/n・・・P2’の水平角
φ2’={φ1+(n−1)×φ2}/n・・・P2’の鉛直角
なお、P1、P2を結ぶ線分上におけるP1’、P2’の位置は、P1及びP2がなす水平角及び鉛直角をn等分した内側の点である。トータルステーション100は、操作制御部108から指定されたnの値に基づき、上記のθ1’、φ1’、θ2’、φ2’を計算して望遠鏡104を自動旋回させ、器械点から測距点P1’、P2’までの距離を求める。そして、P1’の水平角、鉛直角、器械点から測距点P1’までの距離に基づき測距点P1’の座標を求め、P2’ の水平角、鉛直角、器械点から測距点P2’までの距離に基づき測距点P2’の座標を求める。この座標を図6のように表す。
ここで、測距点P1’の座標と測距点P2’の座標に基づき、これらを結ぶ直線は、sをパラメータとして、[数1]のように表すことができる。
【0056】
【数1】

また、ISとP1を結ぶ直線及びISとP2を結ぶ直線は、uをパラメータ、|Bl|xyをBS−IS間のXY平面上の距離として、それぞれ[数2]、[数3]のように表すことができる。
【0057】
【数2】

【0058】
【数3】

ただし、これらの直線は、φ1、φ2が0又はπのときに限り、それぞれ[数4]、[数5]のように表される。ここで、±の符号は、φ=0のとき+、φ=πのとき−である。
【0059】
【数4】

【0060】
【数5】

一般に、[数1]と[数2](または[数4])の交点P1は、これらの連立方程式を解いてパラメータs、uの値を求めることにより得られる。同様に[数1]と[数3](または[数5])の交点P2は、これらの連立方程式を解いてパラメータs、vの値を求めることにより得られる。以下、[数1]と[数2]の連立方程式を解くが、[数1]と[数3]の連立方程式を解く手順も同様である。すなわち、下記のようにして、測距点P1’、P2’を結ぶ直線上において、水平角θ1及び鉛直角φ1に基づくコーナーP1の座標を求める。同様にして、測距点P1’、P2’を結ぶ直線上において、水平角θ2及び鉛直角φ2に基づくコーナーP2の座標を求めることができる。ここで、[数6]のように変数を置き換える。
【0061】
【数6】

[数2]の左辺に[数1]の右辺を代入し、この両辺に[数6]を代入すると、[数7]、[数8]、[数9]となる。
【0062】
【数7】

【0063】
【数8】

【0064】
【数9】

ここで、
tan(π/2−φ1)=sin(π/2−φ1)/cos(π/2−φ1)
=cosφ1/sinφ1
=1/tanφ1
と変形できるので、[数9]をuについて解くと[数10]となる。
【0065】
【数10】

これを[数7]の右辺に代入すると[数11]が得られる。
【0066】
【数11】

さらに[数11]について、右辺の[数12]を右辺の第1番目の括弧内に展開することにより[数13]が得られる。
【0067】
【数12】

【0068】
【数13】

ここで、lx、ly、θ1、φ1は既知の値であるので、[数14]に示す定数Aを求めることができる。
【0069】
【数14】

この定数を[数13]に代入すると[数15]となる。
【0070】
【数15】

これをsについて解くと[数16]となる。
【0071】
【数16】

このsを[数1]に代入するとコーナーP1の座標を求めることができる。
【0072】
上記のコーナー座標測量において、コンピュータが行う処理は次の通りである。まず、コンピュータに、後視点の座標(xb、yb、zb)、器械点の座標(xi、yi、zi)、構造物上の第1のコーナーP1への水平角θ1と鉛直角φ1、及び第2のコーナーP2への水平角θ2と鉛直角φ2、及び、第1のコーナーと第2のコーナーを結ぶ線分上の第1の点P1’の座標(x1、y1、z1)及び第2の点P2’の座標(x2、y2、z2)が入力されるとこれをコンピュータの記憶装置に記憶する。
次に、コンピュータのCPUは、第1の点P1’の座標(x1、y1、z1)と第2の点P2’の座標(x2、y2、z2)を用いて[数1]により、第1の点P1’の座標と第2の点P2’とを結ぶ線を定める(x2−x1、y2−y1、z2−z1)の値を計算する。
次に、この線上において第1のコーナーP1への水平角θ1と鉛直角φ1とに基づく前記第1のコーナーP1の座標を求める。これは、コンピュータのCPUが、後視点の座標(xb、yb、zb)、器械点の座標(xi、yi、zi)、第1の点P1’の座標(x1、y1、z1)、第2の点P2’の座標(x2、y2、z2)を用いて[数6]によりLx、Ly、Lz、lx、lyを計算し、lx、lyを用いて[数14]によりAを計算し、これらの値を用いて[数16]によりsを計算し、これを用いて[数1]により(x、y、z)を計算する。同様に、コンピュータのCPUは、この線上において第2のコーナーP2の水平角θ2と鉛直角φ2とに基づく第2のコーナーP2の座標を計算する。
【0073】
次に、トータルステーション100を用いて平面上に作図を行う方法を説明する。既に、平面を作図する方法、例えば、部屋の内部から壁や天井に属する点を測角・測距してこれらをもとに平面を作図する方法について説明したが、さらに、壁として定めた平面上に窓を作図したいような場合には窓の4点の座標を求めて作図する。これを行うには壁として定めた平面上の4点が定まればよい。このような場合には、トータルステーション100から窓の4角に1つづつレーザーで方向を合わせることにより点を指定し、それらを測角し、下記のようにして平面上の点の座標を計算する。これを4点について行い、これらを結線して窓を作図する。
【0074】
図1の後視点BSと器械点ISの座標は[数17]に示す通りとする。
【0075】
【数17】

ISとBSを結ぶ直線に対して、ISと、トータルステーション100を用いてレーザーで方向を合わせることにより指定した点を結ぶ直線の方向について測角して得られた水平角をθ、鉛直上方からの角度をφとする。また、構造物における面に属する3つの点をQ1、Q2、Q3とする。これら3つの点の座標は器械点ISに設けられたトータルステーション100によって測角・測距して求めるが、ここでこれらの座標は[数18]に示す通りとする。
【0076】
【数18】

このとき、s、tをパラメータとして、3点Q1、Q2、Q3を通る平面は[数19]のように表すことができる。
【0077】
【数19】

このとき、器械点ISと構造物における面に属する点を通る直線上の点は、uをパラメータ、|Bl|xyをBS−IS間のXY平面上の距離とし、前述の水平角θ及び鉛直角φを用いて[数20]のように表すことができる。なお、前記の構造物における面に属する点の極座標系における水平角θ及び鉛直角φは、器械点からトータルステーション100によって測角して求める。
【0078】
【数20】

ただし、この直線は、φ=0又はπのときに限り、[数21]のように表される。ここで、[数21]の±の符号は、φ=0のとき+、φ=πのとき−である。
【0079】
【数21】

一般に、[数19]と[数20](または[数21])の交点は、これらの連立方程式を解いて、パラメータs、t、uの値を求めることにより得られる。以下、[数19]と[数20]の連立方程式を解く。すなわち、以下のようにして、前記の3つの点の座標を通る平面と、前記の水平角θ及び鉛直角φに基づく直線の交点の座標を求める。ここで、[数22]のように変数を置き換える。
【0080】
【数22】

[数20]の左辺に[数19]の右辺を代入し、この両辺に[数22]を代入すると、[数23]、[数24]、[数25]となる。
【0081】
【数23】

【0082】
【数24】

【0083】
【数25】

ここで、
tan(π/2−φ)=sin(π/2−φ)/cos(π/2−φ)
=cosφ/sinφ
=1/tanφ
と変形できるので、[数25]をuについて解くと[数26]となる。
【0084】
【数26】

これを[数23]、[数24]の右辺に代入すると、それぞれ[数27]、[数28]が得られる。
【0085】
【数27】

【0086】
【数28】

さらに[数27]、[数28]について、それぞれの右辺の[数29]を、それぞれの右辺の第1番目の括弧内に展開することにより、[数30]、[数31]が得られる。
【0087】
【数29】

【0088】
【数30】

【0089】
【数31】

ここで、lx、ly、θ、φは既知の値であるので、[数32]、[数33]に示す定数A、Bを求めることができる。
【0090】
【数32】

【0091】
【数33】

これらの定数を[数30]、[数31]に代入すると、[数34]、[数35]となる。
【0092】
【数34】

【0093】
【数35】

[数34]、[数35]それぞれについて、パラメータs、tを含む項を左辺に移項し、s、tを括り出す変形を行うと、[数36]、[数37]となる。
【0094】
【数36】

【0095】
【数37】

これらをs、tについて解くと、[数38]、[数39]となる。
【0096】
【数38】

【0097】
【数39】

このs、tを[数19]に代入すると、3点Q1、Q2、Q3を通る平面上の点の座標を求めることができる。
【0098】
上記ように座標を求めるときに、コンピュータが行う処理は次の通りである。まず、コンピュータに、後視点の座標(xb、yb、zb)、器械点の座標(xi、yi、zi)、構造物における面に属する3つの点の座標(x1、x2、x3)、(x2、y2、z2)、(x3、y3、z3)、この面に属する点への水平角θと鉛直角φが入力されるとこれをコンピュータの記憶装置に記憶する。構造物における面に属する複数の点についての水平角θと鉛直角φが入力された場合は、これらを記憶する。
次に、コンピュータのCPUは、3つの点の座標(x1、x2、x3)、(x2、y2、z2)、(x3、y3、z3)を用いて[数19]により、3つの点を通る面を定める(x2−x1、y2−y1、z2−z1)の値及び(x3−x1、y3−y1、z3−z1)の値を計算する。
次に、この平面と、水平角θと鉛直角φとに基づく直線との交点の座標を求める。これは、コンピュータのCPUが、後視点の座標(xb、yb、zb)、器械点の座標(xi、yi、zi)、3つの点の座標(x1、x2、x3)、(x2、y2、z2)、(x3、y3、z3)を用いて[数22]によりLx、Ly、Lz、Mx、My、Mz、lx、lyを計算し、lx、ly、θ、φを用いて[数32]及び[数33]によりA、Bを計算し、これらの値を用いて[数38]及び[数39]によりs、tを計算し、これを用いて[数19]により(x、y、z)を計算する。
構造物における面に属する複数の点についての水平角θと鉛直角φが入力された場合は、3つの点の座標を通る平面を求め、この平面と、前記水平角と鉛直角とに基づく直線との交点の座標を求める処理を複数回繰り返す。
【0099】
以上で説明したのは、構造物がトータルステーション100または3次元レーザスキャナー測定機から直接見通せるような場合である。これらの機器から直接見通すことができず、物陰に隠れた点の座標を求めるには次のようにして行うことができる。
ここでは、図7に示す測量用ターゲット40を用いる。測量用ターゲット40は、反射鏡である前述の360度プリズム30a及び360度プリズム30bを備える。ピンポール41の両端には360度プリズム30a及び360度プリズム30bが接続されている。この360度プリズム30a、ピンポール41、360度プリズム30bは、2つの反射鏡を備えた反射鏡支持部を形成する。
連結部45は一方において360度プリズム30bと接続され、もう一方において、互いに逆向きに石突き43b及び43cが接続されている。石突き43b及び43cは測点部44b、測点部44cを備えた測点支持部を形成する。測点部44b、測点部44cは必ずしも両方を備える必要はなく、どちらか一方のみでもよい。
360度プリズム30aの中心35a、360度プリズム30bの中心35b、測点部44b、測点部44cは全て軸線11上に配置されており、連結部45は、軸線11から離れた位置において、前述の反射鏡支持部と測点支持部とを相互に連結する。
【0100】
この測量用ターゲット40の2つの測点部である測点部44b及び測点部44cの使い方を順に説明する。まず、測点部44bの使い方を説明する。例えば、部屋の中に壁とキャビネットが隙間を空けて設置されているときに、キャビネットの裏側の点に測点部44bを接触させる。測点部44bはキャビネットの陰に隠れて見えなくても、2つの360度プリズム30a、30bをトータルステーション100から見通せるように設置し、これらを測角・測距して座標を求める。このとき、測点部44bは360度プリズム30a及び360度プリズム30bを含む反射鏡支持部と連結部45によって軸線11から離れた位置において連結されているので、障害物に遮られることなく360度プリズム30bと測点部44bとの間にある障害物をまたいで、座標を求めたい点に測点部44bを接触させることができ、なおかつ、トータルステーション100から360度プリズム30a及び360度プリズム30bを測角・測距することができる。
【0101】
ここで、360度プリズム30aの中心35a、360度プリズム30bの中心35b、測点部44bは、前述の通り軸線11上に配置され、ピンポール41及び連結部45で接続されている。したがって、360度プリズム30aの中心35aと360度プリズム30bの中心35bの間の距離、及び、360度プリズム30bの中心35bと測点部44bとの間の距離は固定されている。そこで、前述の通りトータルステーション100によって測角・測距して求めた2つの座標、すなわち、360度プリズム30aの中心35aの座標と360度プリズム30bの中心35bの座標を通る直線上において、360度プリズム30bの中心35bと測点部44bとの距離から測点部44bの座標を求めることができる。
【0102】
次に、測点部44cの使い方を説明する。測点部44cは上記の測点部44bと逆向きに設けられており、座標を求めたい点と障害物との位置関係により、前述の測点部44bと使い分ける。例えば、部屋の中に壁とキャビネットが隙間を空けて設置されているときに、キャビネットに隠れた壁の点に測点部44cを接触させる。また、別の例としては、屋外で電柱または樹木の陰に隠れた構造物の壁面の点に測点部44cを接触させる。測点部44cは障害物の陰に隠れて見えなくても、2つの360度プリズム30a、30bをトータルステーション100から見通せるように設置し、これらの座標を求める。このとき、測点部44cは360度プリズム30a及び360度プリズム30bを含む反射鏡支持部と連結部45によって軸線11から離れた位置において連結されているので、障害物に遮られることなく360度プリズム30bと測点部44cとの間にある障害物をまたいで、座標を求めたい点に測点部44cを接触させることができ、なおかつ、トータルステーション100から360度プリズム30a及び360度プリズム30bを測角・測距することができる。
【0103】
ここで、360度プリズム30aの中心35a、360度プリズム30bの中心35b、測点部44cは、前述の通り軸線11上に配置され、ピンポール41及び連結部45で接続されている。したがって、360度プリズム30aの中心35aと360度プリズム30bの中心35bの間の距離、及び、360度プリズム30bの中心35bと測点部44cとの間の距離は固定されている。そこで、前述の通りトータルステーション100によって測角・測距して求めた2つの座標、すなわち、360度プリズム30aの中心35aの座標と360度プリズム30bの中心35bの座標を通る直線上において、360度プリズム30bの中心35bと測点部44cとの距離から測点部44cの座標を求めることができる。
【0104】
上記のキャビネットの裏側の座標を求める例においては、360度プリズム30a、ピンポール41、360度プリズム30b、連結部45、測点部44bで構成された測量用ターゲットで隠れた点の座標を求めることができ、また、上記のキャビネットに隠れた壁の点の座標を求める例においては、360度プリズム30a、ピンポール41、360度プリズム30b、連結部45、測点部44cで構成された測量用ターゲットで隠れた点の座標を求めることができる。したがって、必ずしも測点部44b、測点部44cの両方を備える必要はない。しかし、これら両方を備えることで、360度プリズム30a、ピンポール41、360度プリズム30b、連結部45を共用し、2種類の測量用ターゲットを用意することなく、座標を求めたい点と障害物との位置関係により、2つの測点部44bと測点部44cを使い分けることができる。
【0105】
以上で説明した測量方法、立体図作図方法を適宜併用することにより、構造物の正確な立体図を作成することができる。すなわち、構造物の正確なコーナーの座標を測量する方法により求めた座標を用いて構造物の立体図を作成し、その立体図に加えて、トータルステーション100を用いて平面上に作図を行う方法を用いて立体図を作成し、さらにその立体図に加えて、3次元レーザスキャナー測定機によって構造物の表面上の複数の点を測定して求めた座標を用いて立体図を作成してもよい。
また、地下街、トンネル等、構造物の立体形状が複雑で、トータルステーション100及び3次元レーザスキャナー測定機で一度に見通せないような場合には、トータルステーション100及び3次元レーザスキャナー測定機の設置位置を移動しながら上記の手順を繰り返すことによって、構造物の全部の立体図を作成することができる。このような場合に新たに前視点を設置してその座標を求めることにより基準点をつくって行く必要があるが、このとき既に座標を求めた基準点を後視点として、トータルステーション100により測角・測距を行い座標を求める。
【産業上の利用可能性】
【0106】
この発明は、地下街、トンネル等の構造物の立体図を作成するときに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】測量装置及び測量用ターゲットの配置を示す平面図である。
【図2】測量用ターゲット10の構成を示す図である。
【図3】測量用ターゲット10の各部の構成を示す図である。
【図4】測量用ターゲット230の構成を示す図である。
【図5】測量用ターゲット240の構成を示す図である。
【図6】コーナー測量における基準点、測量点等を示す図である。
【図7】測量用ターゲット40の構成を示す図である。
【図8】トータルステーション100の構成を示す図である。
【図9】測量用ターゲット210の構成を示す図である。
【図10】測量用ターゲット210の各部の構成を示す図である。
【図11】1素子プリズム212の構成を示す図である。
【図12】360度プリズム30の構成を示す図である。
【図13】360度プリズム30の反射部33の構成を示す図である。
【図14】反射部33を構成する1素子プリズム34を示す図である。
【図15】測量用ターゲット250の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
10…測量用ターゲット
11…軸線
12…中心
14…測点部
15…球体部
16…ピンポール
17…プリズム支持部
18…石突き
19…基準球
20…支持部
21…円盤
22…ねじ孔
23、25…ねじ山
24…水準器
26、28…ねじ孔
27…プリズム取付部
29…ねじ山
30、30a、30b…360度プリズム
33…反射部
34…1素子プリズム
35、35a、35b…中心
40…測量用ターゲット
41…ピンポール
43b、43c…石突き
44b、44c…測点部
45…連結部
100…トータルステーション
101、102…回転軸
103…本体
104…望遠鏡
107…レーザー部
108…操作制御部
109…台
110…三脚
210…測量用ターゲット
211…軸線
212…1素子プリズム
213…中心
214…測点部
216…ピンポール
217…プリズム支持部
218…石突き
224…水準器
226、228…ねじ孔
227…プリズム取付部
229…ねじ山
230、240、250…測量用ターゲット
231、241、251…プリズム取付部
232、242、252…ターゲット板
233、243、253…三脚の取付台
234、244、254…鉛直軸線
235、245、255…水平軸線
236、246…反射鏡ユニット
BS…後視点
T1、T2、T3、T4、T5…前視点
IS…器械点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の立体図を作成する立体図作成方法において、
複数の前視点に設けられた測量用ターゲットをトータルステーションによって測角・測距して前記複数の前視点の座標を求めることによって複数の基準点をつくる第1の過程と、
前記複数の基準点の中から3つの基準点を選択する第2の過程と、
選択された前記3つの基準点に設けられた測量用ターゲットの表面と前記構造物の表面とを3次元レーザスキャナー測定機によって測定し、これら測量用ターゲットの表面上と前記構造物の表面上の複数の点の座標を求める第3の過程と、
を有する立体図作成方法であって、
前記第2の過程においては、選択される3つの基準点のうちの少なくとも2つの基準点間の鉛直方向の座標の差が、前記3次元レーザスキャナー測定機を設けた場所から前記構造物までの距離の100分の1以上となるように、3つの基準点を選択する
ことを特徴とする立体図作成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の立体図作成方法において、
前記第2の過程で3つの基準点を選ぶ際に、前記3次元レーザスキャナー測定機の設置場所を基準として、対象とする前記構造物に近い側の2つの基準点と、当該構造物から遠い側の1つの基準点を選択することを特徴とする立体図作成方法。
【請求項3】
請求項1に記載の立体図作成方法において、
前記第3の過程で求めた前記構造物の表面上の複数の点の座標と、外部から与えられる面とに基づき、これら複数の点から当該面に降ろした垂線の足の座標を求める計算処理を行う第4の過程をさらに有することを特徴とする立体図作成方法。
【請求項4】
複数の前視点に設けられた測量用ターゲットを座標が既知である器械点に設置されたトータルステーションによって測角・測距して前記複数の基準点の座標を求める基準点座標算出方法であって、
前記トータルステーションの望遠鏡が第1の方向の状態で、座標が既知である後視点を視準し、
次に、前記トータルステーションの望遠鏡が第1の方向の状態で、前記望遠鏡を一方向に旋回させることによって前記前視点を順次測角・測距し、
次に、前記望遠鏡を反転させて第2の方向の状態とし、
次に、前記トータルステーションの望遠鏡が第2の方向の状態で、前記望遠鏡を逆方向に旋回させることによって前記前視点を順次測角・測距し、
次に、前記トータルステーションの望遠鏡が第2の方向の状態で、前記後視点を視準する
ことを特徴とする基準点座標算出方法。
【請求項5】
器械点からトータルステーションによって、構造物における第1のコーナーおよび第2のコーナーの座標を測量するコーナー座標測量方法であって、
前記器械点から前記第1のコーナーへの方向を視準し、水平角と鉛直角とを求める第1の過程と、
前記器械点から前記第2のコーナーへの方向を視準し、水平角と鉛直角とを求める第2の過程と、
前記第1のコーナーと前記第2のコーナーを結ぶ線分上で、前記第1のコーナーと前記第2のコーナーより内側に、第1の測距点の水平角と鉛直角とを定め、第2の測距点の水平角と鉛直角とを定め、前記器械点からこれら第1の測距点と第2の測距点までのそれぞれの距離を測量する第3の過程と、
前記第1の測距点の水平角と鉛直角および前記器械点から前記第1の測距点までの距離に基づき前記第1の測距点の座標を求め、前記第2の測距点の水平角と鉛直角および前記器械点から前記第2の測距点までの距離に基づき前記第2の測距点の座標を求める第4の過程と、
前記第1の測距点の座標と前記第2の測距点の座標とに基づき、前記第1の測距点の座標と前記第2の測距点とを結ぶ線を求める第5の過程と、
当該線上において前記第1の角度と前記第2の角度とに基づく第1のコーナーの座標を求めるとともに、当該線上において前記第3の角度と前記第4の角度とに基づく第2のコーナーの座標を求める第6の過程と、
を有することを特徴とするコーナー座標測量方法。
【請求項6】
器械点からトータルステーションによって、構造物における点の座標を測量する立体図作成方法であって、
前記構造物における面に属する3つの点を測角・測距し、これら3つの点の座標を求める第1の過程と、
前記器械点から前記面に属する点を測角し、水平角と鉛直角とを求め、前記第1の過程において求めた3つの点の座標を通る平面と、前記第1の角度と第2の角度とに基づく直線との交点の座標を求める過程を複数回繰り返すことによって立体図を作成する第2の過程と
を有することを特徴とする立体図作成方法。
【請求項7】
後視点の座標、器械点の座標、構造物上の第1のコーナーへの水平角と鉛直角及び第2のコーナーへの水平角と鉛直角、前記第1のコーナーと前記第2のコーナーを結ぶ線分上の第1の点の座標及び第2の点の座標を入力する処理と、
前記第1の点の座標と前記第2の点の座標とに基づき、前記第1の点の座標と前記第2の点とを結ぶ線を求める処理と、
前記線上において前記第1のコーナーへの水平角と鉛直角とに基づく前記第1のコーナーの座標を求めるとともに、当該線上において前記第2のコーナーの水平角と鉛直角とに基づく前記第2のコーナーの座標を求める処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
後視点の座標、器械点の座標、構造物における面に属する3つの点の座標、前記面に属する点への水平角と鉛直角を入力する処理と、
前記3つの点の座標を通る平面を求め、前記平面と、前記水平角と鉛直角とに基づく直線との交点の座標を求める処理を複数回繰り返すことによって立体図を作成する処理と
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
反射鏡と基準物と測点部とを備え、前記基準球の中心と前記測点部とを結ぶ軸上において、または、前記軸上の近傍に所定のプリズム定数だけ隔てて、前記反射鏡を配置したことを特徴とする測量用ターゲット。
【請求項10】
2つの反射鏡と1つの測点部とを軸線上に配置した測量用ターゲットであって、
前記2つの反射鏡を備えた反射鏡支持部と、
前記1つの測点部を備えた測点支持部と、
前記反射鏡支持部と前記測点支持部とを前記軸線から離れた位置において相互に連結する連結部と、
を備えた測量用ターゲット。
【請求項11】
前記測点支持部は前記軸線上に前記1つの測点部と逆向きにさらにもう1つの測点部を設けたことを特徴とする請求項10に記載の測量用ターゲット。
【請求項12】
ターゲット板と、前記ターゲット板に連結された反射鏡ユニットとを備えた測量用ターゲットであって、
前記反射鏡ユニットは、
反射鏡本体と、
前記反射鏡本体を水平軸線を中心に回転可能とする第1の回転手段と、
前記反射鏡本体を鉛直軸線を中心に回転可能とする第2の回転手段と、
を備えた測量用ターゲット。
【請求項13】
前記反射鏡ユニットの少なくとも一部が前記ターゲット板の側面から外方に露出していることを特徴とする請求項12に記載の測量用ターゲット。
【請求項14】
請求項5に記載のコーナー座標測量方法により求めた構造物のコーナーの座標を用いて構造物の立体図を作成する第1の過程と、
請求項6に記載の立体図作成方法により求めた構造物における点の座標を用いて構造物の立体図を作成する第2の過程と、
請求項3に記載の立体図作成方法を用いて構造物の立体図を作成する過程と、
を有する立体図作成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−162444(P2006−162444A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354667(P2004−354667)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(500140127)エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社 (61)
【出願人】(599157284)関西工事測量株式会社 (8)