説明

測量機器用三脚

【目的】 収納時には短く脚を格納と共に、全体の重量を軽くして運搬に便利な測量機器用三脚を提供することを目的とする。
【構成】 三脚の各脚は平行した2本の摺動伸縮可能な多重円管1と、この多重円管1の伸縮位置を固定する緊締部2と、接地部3よりなり、緊締部2は2本の多重円管1を取り囲む外枠21で構成され、この外枠21の両側は多重円管1の外管11の外側半分と摺動可能に密接し、外管11に穿設された長孔11bを貫通して内管12を押圧する緊締突起21aと中間部にボルト22で緊締されるように貫通孔21bが穿設されたものである。なお、外管11と内管12との間には接触片13が挿入されて一定の隙間を確保するように構成されている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は測量機器用の三脚に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来の測量機器用の三脚の一例の脚部の平面図(部分断面)、図6は図5のC−C断面図である。この三脚は各脚部が架台4の脚取付部41に取付ボルト42で一定角度だけ回動自在に枢支されている。
【0003】
脚部は外側は2本の平行した円管5と、この円管5の先端に緊締部7が設けられている。更に2本の円管5の間に緊締部7を貫通して円管連結体6が設けられている。この円管連結体6の上端は摺動片6aが固定されて円管5と摺動接触して円管5と円管連結体6との横方向の位置を一定に保持しており、下端は接地部3が固定されている。
【0004】
緊締部7は図6に示すように、横一列に並んだ2本の円管5と中間の円管連結体6を囲むように構成されかつ一端が1本の円管5との間に固定スペーサー7bを介して固定された外枠7aと、他端に可動スペーサー7cを介して他の1本の円管5を横方向から押圧する締付ボルト7dと、両側の円管5と中間の円管連結体6との間に挿入されている2個の中間スペーサー7eとよりなる。
【0005】
円管連結体6は断面が2本の平行な円管と2枚の平行な板で構成されたもので、2枚の板の延長方向からの押圧力に対して大きな耐圧力を有するように構成されている。
【0006】
この様な構成の三脚は締付ボルト7dを緩めて円管連結体6を押し込むか、又は引き出した後に締め付けることにより、収納状態又は使用状態とするものである。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、上述の構造では、各脚は二段構造にしかならず、収納時に脚を一杯に押し込んでも、全長の半分以上の長さが必要であり、収納及び運搬に不便を伴う。
【0008】
又、最近の小形化した測量機器の場合には、測量機器に比べて大き過ぎ、使用し難いという問題がある。
【0009】
本考案は上述の問題を解決して、収納時には短く脚を格納し、使用時には従来の三脚と同じ程度の高さを保持出来、かつ全体の重量を軽くして運搬に便利なように構成した測量機器用三脚を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、測量機器用三脚において、それぞれの脚は平行した2本の摺動伸縮可能な多重円管1と、この多重円管1の伸縮位置を固定する緊締部2と、先端の接地部3よりなる。
【0011】
多重円管1の内管12は外径が外管11の内径より小さく、かつ外管11に挿入されている側の端部で前記外管11の内面と摺動接触して中心保持する拡張部12aが構成してある。
【0012】
多重円管1の外管11の挿入端側には内管12との隙間を保持するために外側に位置決め突起13aが突出している接触片13が挿入されている。
【0013】
又、外管11は挿入端側の緊締部2の位置の外側に接触片13の位置決め突起13aが遊嵌する位置決め孔11aと、内側に緊締部2の緊締突起21aが貫通する2個の長孔11bとが穿設されている。
【0014】
緊締部2は平行した2本の多重円管1を取り囲む外枠21で構成され、この外枠21の両側はそれぞれ2本の多重円管1の外管11の外側半分と摺動可能に密接し、外管11の長孔11bに対応する位置にこの長孔11bを貫通して内管12を押圧する緊締突起21aと、中間部にボルト22で緊締されるように貫通孔21bとが設けられている。
【0015】
【作用】
緊締部2のボルト22を締めると緊締部2の両側の辺は接近する方向に力を受けるため、長孔11b内に先端が挿入されている緊締突起21aは内管12を押し付けるような力を受ける。この結果、内管12は接触片13に押し付けられ、外管11と内管12とは固定された状態となる。
【0016】
又、ボルト22を緩めると、緊締突起21aの押圧力は解除され、外管11と内管12とは摺動可能な状態となり、収納又は引出しが可能となる。
【0017】
【実施例】
図1は緊締部の断面図、図2は1本の脚の外観図で、(イ)は平面図(多重円管の一部断面)、(ロ)は側面図(多重円管の一部断面)、図3は外管の挿入端の構造図で、(イ)は側面図(一部断面)、(ロ)は(イ)のB−B断面図、図4は接触片の外観図で、(イ)は平面図、(ロ)は側面図である。
【0018】
本考案の測量機器用三脚は、それぞれの脚は平行した2本の摺動伸縮可能な多重円管1と、この多重円管1の伸縮位置を固定する緊締部2と、先端の接地部3よりなる。本実施例では多重円管1は三重管で、一番外側の外管11は一端が架台4の脚取付部41に取付ボルト42で一定角度だけ回動自在に枢支されていることは従来例と同じである。
【0019】
多重円管1の内管12は外径が外管11の内径より小さく、かつ外管11に挿入されている側の端部で前記外管11の内面と摺動接触して中心保持する拡張部12aを構成して内管12の外側と外管11の内側とは一定の隙間で離隔されるように構成されている。
【0020】
外管11の他端は挿入端で、この挿入端には緊締部2が設けられている。この緊締部2の位置には図4に示す接触片13が外管11とその内側の内管12の隙間に挿入されており、この接触片13の位置決め突起13aが遊嵌する位置決め孔11aと、内側に緊締部2の緊締突起21aが貫通する2個の長孔11bとが穿設されている。
【0021】
緊締部2は図1(図2のA−A断面図)に示したように平行した2本の多重円管1の挿入端を取り囲む外枠21で構成され、この外枠21の両側はそれぞれ2本の多重円管1の外管11の外側半分と摺動可能に密接し、外管11の長孔11bに対応する位置にこの長孔11bを貫通して内管12を押圧する緊締突起21aと、中間部にボルト22と蝶ナット23で緊締されるようにボルト22の六角頭が嵌合する座ぐりを設けた貫通孔21bとが設けられている。
【0022】
上述の緊締部2と接触片13は合成樹脂製で、金属製の外管11及び内管12と摺動接触しても外管11及び内管12を損傷しないように構成されている。
【0023】
次に、この三脚の各脚の引延し及び収納動作について説明する。蝶ナット23を緩めると緊締部2の外枠21の中央部の締付力は解除され、これに伴い緊締突起21aによる内管12への押圧力も無くなり、外管11と内管12は摺動可能な状態となる。
【0024】
この状態で多重円管1を一杯に引き延ばすか、又は一杯に押し込むことにより、使用状態又は収納状態となる。このような状態にした後、蝶ナット23を回して外枠21を両側から緊締状態にすると、緊締突起21aは内管12を強く押圧するので、内管12は2個の緊締突起21aと接触片13により3方向から締め付けられ、摺動不可能な状態で外管11と内管12の相対関係は固定される。
【0025】
【考案の効果】
上述のように、本考案の三脚の各脚の主柱は2本の多重円管1よりなるので、横幅を従来例の三脚に比べて狭く構成することが出来、又各多重円管1は三重管も可能であるので、収納時には短い全長とすることも可能で、全体として小形化が可能である。
【0026】
又、一般の写真機用の三脚と異なり、各脚は2本の多重円管1を使用しているので、使用状態では従来の測量機器用の三脚と同様に安定した状態で使用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の測量機器用三脚の緊締部の、図2におけるA−A断面図である。
【図2】1本の脚の外観図で、(イ)は平面図(多重円管の一部断面)、(ロ)は側面図(多重円管の一部断面)である。
【図3】外管の挿入端の構造図で、(イ)は側面図(一部断面)、(ロ)は(イ)のB−B断面図である。
【図4】接触片の外観図で、(イ)は平面図、(ロ)は側面図である。
【図5】従来の測量機器用三脚の脚部の平面図(一部断面)である。
【図6】図5のC−C断面図である。
【符号の説明】
1 多重円管
11 外管
11a 位置決め孔
11b 長孔
12 内管
13 接触片
2 緊締部
21 外枠
21a 緊締突起
21b 貫通孔
22 ボルト
23 蝶ナット

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 測量機器用三脚において、それぞれの脚は平行した2本の摺動伸縮可能な多重円管と、この多重円管の伸縮位置を固定する緊締部と、先端の接地部よりなり、前記多重円管の内管は外径が外管の内径より小さく、かつ前記外管に挿入されている側の端部で前記外管の内面と摺動接触して中心保持する拡張部を具備し、前記外管の挿入端側には前記内管との隙間を保持するために外側に位置決め突起が突出している接触片が挿入されており、前記外管は挿入端側の前記緊締部の位置の外側に前記位置決め突起が遊嵌する位置決め孔と、内側に前記緊締部の緊締突起が貫通する2個の長孔とを具備し、前記緊締部は前記平行した2本の前記多重円管を取り囲む外枠で構成され、この外枠の両側はそれぞれ2本の前記多重円管の外管の外側半分と摺動可能に密接し、前記外管の前記長孔に対応する位置にこの長孔を貫通して前記内管を押圧する緊締突起と、中間部にボルトで緊締されるように貫通孔とを具備していることを特徴とする測量機器用三脚。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】実開平6−51698
【公開日】平成6年(1994)7月15日
【考案の名称】測量機器用三脚
【国際特許分類】
【出願番号】実願平4−88880
【出願日】平成4年(1992)12月25日
【出願人】(592168511)有限会社牛方商会 (5)