説明

湿式画像形成装置

【課題】濃度調整に要する時間を短縮することが可能な湿式画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像剤調整部において、高濃度調整液槽55および低濃度調整液槽56のそれぞれに温度調整手段として、温調手段73,74をそれぞれ設ける。温度計70,71,72からの測定した温度に基づいて、温調手段73,74により高濃度調整液および低濃度調整液の温度を濃度調整槽51内の液体現像剤の温度と同じあるいは略同一となるように温度調整する。高濃度調整液および低濃度調整液の温度と濃度調整槽51内の液体現像剤の温度を同じあるいは略同一にすることにより、高濃度調整液または低濃度調整液を濃度調整槽51に供給した際の濃度調整槽51内における急激な温度変動を抑制することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置に関し、液体現像剤を用いてトナー像を形成する湿式画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体(感光ドラム)に静電潜像を形成し、それにトナーを付着させて、紙などに転写して定着する電子写真方式の画像形成装置が、複写機、MFP(多機能型プリンタ)、FAX、プリンタなどに広く使用されている。それらの画像形成装置では、従来、粉体トナーを用いる乾式現像方式や、液体現像剤を用いる湿式現像方式が一般に用いられてきた。
【0003】
しかし、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、粉体トナーによる乾式現像方式と比べ、トナー粒子径が小さく、トナー画像の乱れもおきにくい液体現像剤を用いる湿式現像方式が用いられるようになってきている。
【0004】
特に近年では、シリコンオイルなどの絶縁性液体(キャリヤ液)中に樹脂及び顔料からなる固形分としてのトナーを高濃度に分散させることで構成される、高粘度で高濃度の液体現像剤を用いる画像形成装置が提案されるようになってきた。
【0005】
この液体現像剤を用いて現像する際には、現像ローラ等の現像剤担持体上に現像剤のミクロン単位の薄層を形成し、この薄層化された現像剤を感光体に接触させて現像することが望ましい。このことは特に、上記のような高粘度の液体現像剤を用いる場合により顕著である。
【0006】
このように液体現像剤の薄層によって現像を行う場合は、画像濃度を安定化させるために、一定濃度の現像剤で均一な薄層を形成することが重要な課題となる。また一般に、感光体上の潜像を現像した後も、現像ローラ上には液体現像剤が残留する。これがそのままの状態で再度現像領域に到達すると、次の現像に悪影響を及ぼす。そのような問題に対応するため、現像後、残留した現像ローラ上の現像剤をクリーニングする技術が開発されてきた。現像ローラ上の残存現像剤のクリーニングは、一般に当接させたブレードによる掻き取りが行われる。
【0007】
しかしながら、現像ローラから回収した現像剤は溜まっていくため、回収して廃棄するにしても保管容器を必要とする。そこで回収した現像剤を再利用することにより、そのような容器も必要なく、また現像剤を有効利用できるような技術が提案されてきた。
【0008】
しかしながら、現像に供する現像剤は高濃度の現像剤であるが、それが像担持体上の潜像を現像した後では、トナーを相当部分消費するため、残留現像剤は濃度が変化していることが多い。これがそのまま現像剤槽に注ぎ込まれると、現像剤槽内の現像剤の濃度が変化していき、所定の濃度を確保することが難しくなる。こういった問題に対処するために、回収現像剤を現像剤槽に注ぎ込む前に、濃度調整槽において、濃度調整用の現像剤(高濃度現像剤または低濃度現像剤など)を補給して回収現像剤の濃度調整を行う技術が提案されてきた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−209716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
回収液体現像剤を濃度調整槽にて所望のトナー濃度に調整する際、トナー濃度を測定しつつ、濃度調整用の現像剤(高濃度現像剤)あるいはキャリア液(低濃度現像剤)を供給し、目標値となるように調整される。
【0011】
しかしながら、濃度調整槽内の回収現像剤と、濃度調整用の現像剤との温度差が大きい場合、濃度調整用の現像剤を供給すると濃度調整槽内にて急激に温度が変動してしまう可能性がある。トナー濃度調整時は濃度調整槽内の液温を測定し目標電流値(負荷トルク)を補正するため、温度変動によって濃度検知精度が低下してしまうという問題がある。その結果、目標のトナー濃度範囲から外れてしまう結果となり、再度、濃度調整が必要となり、濃度調整に要する時間が増大してしまうという問題がある。
【0012】
また、濃縮調整用の現像剤の温度変動により粘性が変化し、供給量は変動するため、濃度調整精度が低下してしまうという問題もあり、目的のトナー濃度範囲に達するまでに時間を要するという問題もあった。
【0013】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、濃度調整に要する時間を短縮することが可能な湿式画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のある局面に従う湿式画像形成装置は、濃度調整用の液体現像剤を収容する濃度調整槽と、濃度調整槽に収容された液体現像剤の温度を測定する現像剤温度測定手段と、濃度調整用の少なくとも2種類以上の濃度調整液を収容する濃度調整液槽と、濃度調整液槽に収容された濃度調整液の温度を測定する調整液温度測定手段と、濃度調整槽内に収容された液体現像剤のトナー濃度を測定して、所望のトナー濃度に調整するために濃度調整液槽から濃度調整液を濃度調整槽に供給するためのトナー濃度調整手段と、トナー濃度の調整の際、現像剤温度測定手段で測定される濃度調整槽に収容されている液体現像剤の温度と、調整液温度測定手段で測定され、トナー濃度調整手段で供給される濃度調整液の温度とが略同一になるように調整するための温度調整手段とを備える。
【0015】
好ましくは、温度調整手段は、濃度調整槽に収容された液体現像剤の温度になるように濃度調整液槽に収容される濃度調整液の温度を調整する。
【0016】
特に、温度調整手段は、濃度調整槽に濃度調整液槽に収容された濃度調整液を供給する経路に設けられる。
【0017】
好ましくは、温度調整手段は、濃度調整液槽に収容された濃度調整液の温度になるように濃度調整槽に収容された液体現像剤の温度を調整する。
【0018】
好ましくは、温度調整手段は、濃度調整槽に収容された液体現像剤および濃度調整液槽に収容された濃度調整液の温度が所望の温度となるように調整する。
【0019】
好ましくは、温度調整手段は、濃度調整槽に収容された液体現像剤の温度を調整する第1の温度調整部と、濃度調整液槽に収容された濃度調整液の温度を調整する第2の温度調整部とを含み、第1および第2の温度調整部は、濃度調整槽に収容された液体現像剤および濃度調整液槽に収容された濃度調整液の温度が所望の温度となるように調整する。
【0020】
本発明の別の局面に従う湿式画像形成装置は、濃度調整用の液体現像剤を収容する濃度調整槽と、濃度調整用の少なくとも2種類以上の濃度調整液を収容する濃度調整液槽と、濃度調整槽内に収容された液体現像剤のトナー濃度を測定して、所望のトナー濃度に調整するために濃度液調整槽から濃度調整液を濃度調整槽に供給するためのトナー濃度調整手段とを備える。トナー濃度調整手段は、濃度調整液槽に収容された濃度調整液の温度を測定する調整液温度測定手段と、濃度調整液槽から濃度調整液を濃度調整槽に供給するための供給手段とを含む。供給手段は、トナー濃度の調整の際、調整液温度測定手段で測定された濃度調整液に収容されている濃度調整液の温度に基づいて、濃度調整液槽から濃度調整液を供給する供給量を制御する。
【0021】
好ましくは、濃度調整液の温度に関連付けられて、予め設けられた濃度調整液の供給量を調整するための調整テーブルを格納するメモリを備え、供給手段は、メモリの調整テーブルを参照して、濃度調整液を供給する供給量を制御する。
【発明の効果】
【0022】
本発明のある局面に従う湿式画像形成装置は、トナー濃度の調整の際、現像剤温度測定手段で測定される濃度調整槽に収容されている液体現像剤の温度と、調整液温度測定手段で測定され、トナー濃度調整手段で供給される濃度調整液の温度とが略同一になるように調整するための温度調整手段を設ける。当該手段により、濃度調整液を濃度調整槽に供給した際の急激な温度変動を抑制することが可能となり、濃度検知精度の低下を抑制して、濃度調整に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に従う湿式画像形成装置における画像形成部の構成について説明する概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1に従う画像形成部10に供給する液体現像剤を調整する現像剤調整部54の構成を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態1に従う現像剤調整部54の濃度調整処理について説明するフロー図である。
【図4】本発明の実施の形態1に従う現像剤調整部54の温度調整手段を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態1の変形例1に従う現像剤調整部54の温度調整手段について説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態1の変形例2に従う現像剤調整部54の温度調整手段について説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態1の変形例3に従う現像剤調整部54の温度調整手段について説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態1の変形例4に従う現像剤調整部54の温度調整手段について説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態1の変形例5に従う現像剤調整部54の温度調整手段について説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態1の変形例6に従う現像剤調整部54の温度調整手段について説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態2に従う現像剤調整部54の濃度調整処理について説明するフロー図である。
【図12】本発明の実施の形態2に従う高濃度調整液時間/温度テーブルを説明する図である。
【図13】本発明の実施の形態2に従う低濃度調整液時間/温度テーブルを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明においては同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一であるものとする。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施形態に従う湿式画像形成装置における画像形成部の構成について説明する概略図である。なお、当該図1には、湿式画像形成装置における画像形成部の概略断面図が示されている。
【0026】
図1を参照して、感光体ドラム1は、像担持体として機能する。
画像形成部10は、この感光体ドラム1を中心に、この周囲に配設された、感光体ドラム1の表面を均一に帯電させる帯電装置2と、帯電した感光体ドラム1上にLED光またはレーザビームを照射して、静電潜像を形成する露光装置3と、その静電潜像を液体現像剤を用いて現像する液体現像装置4と、現像されたトナー像を転写材に転写する転写装置5と、そして転写後の感光体ドラム1の表面に残存する液体現像剤を除去するクリーニング装置6等を含む。
【0027】
また、液体現像装置4の前後には、予め液体現像剤の一部を塗布したり、回収したりする装置を設けるようにすることも可能である。
【0028】
転写材は、そのまま記録用紙などの記録材であってもよいし、転写材として中間転写ベルトなどを用いて、再度記録材に転写するような構成であってもよい。
【0029】
液体現像装置4は、一般的には、表面に液体現像剤の薄層を担持し、像担持体である感光体ドラム1上の潜像を現像する現像ローラ41と、現像ローラ41に当接して、その表面に液量調整された液体現像剤を転移させる搬送ローラ42と、そしてその搬送ローラ42に当接して、その表面に現像剤槽44内の液体現像剤8を供給する供給ローラ43とを含む。
【0030】
なお、供給ローラ43には液体現像剤8を汲み上げる量を規制するための規制ブレード45が設けられている。また、現像ローラ41には感光体ドラム1に現像された後の残留した液体現像剤を除去するためのクリーニング装置46が設けられている。
【0031】
なお、図1においては、液体現像装置4が1台のみ配置されているが、カラー画像形成のために複数台配置される構成としても良い。また、カラー現像の方式、中間転写の有無等は任意に設定すればよく、それに合わせた任意の構成配置をとることが可能である。
【0032】
感光体ドラム1は、図1に示す矢印方向に回転し、帯電装置2は、回転する感光体ドラム1の表面をコロナ放電などにより数百V程度に帯電させる。
【0033】
帯電装置2より感光体ドラム1の回転方向下流側においては、露光装置3から照射されたレーザビームにより、表面電位が百V程度以下に低下させられた静電潜像が形成される。
【0034】
露光装置3のさらに下流側には、液体現像装置4が配設されており、感光体ドラム1に形成された静電潜像が、液体現像剤8を用いて現像される。
【0035】
液体現像装置4には、絶縁性の溶媒(以後キャリヤ液とも呼称する)中にトナーを分散させた液体現像剤8が現像剤槽44内に収容されており、供給ローラ43によって搬送ローラ42表面に液体現像剤8が供給される。搬送ローラ42は液体現像剤8の薄層を搬送し、現像ローラ41に転移させる。
【0036】
そして、現像ローラ41上には液体現像剤8の薄層が担持される。さらに、現像ローラ41と感光体ドラム1との静電潜像との電位差により、現像ローラ41上に担持された液体現像剤8の薄層内のトナー粒子が感光体ドラム1上の静電潜像に移動して、静電潜像が現像される。
【0037】
転写装置5では、感光体ドラム1の周速と同速度で搬送される転写材に帯電を施し、あるいは電圧を印加することで、感光体ドラム1上の現像されたトナー像が転写材上に転写される。
【0038】
転写装置5の下流側には、感光体ドラム1の表面上に残存する液体現像剤8を除去するクリーニング装置6が配設されている。このクリーニング装置6により感光体ドラム1上に残存する液体現像剤8が除去される。
【0039】
なお、クリーニング装置6のクリーニングブレードは、ゴム体であっても剛体であっても良い。ゴム体は、ウレタンゴムや、NBRゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。剛体の場合には、ポリプロピレン、ABS、ポリカーボネート等の樹脂類や、アルミ、アルマイト、SUS、真鍮などの金属類が挙げられる。
【0040】
なお、クリーニングブレードを用いて残留したキャリア液を除去する構成について説明しているが、ウェブロール状の紙,布等を感光体に圧接し、巻き取り移動させながら残留したキャリア液を除去するいわゆるウェブクリーニングを採用することも可能である。また、バイアスを印加してトナーを引き付けるようにしてもよい。
【0041】
転写装置5でトナー像が転写された転写材は、記録材であれば、図示しない定着装置へと搬送され、加熱定着の上、排出される。
【0042】
転写材が中間転写ベルトなどの中間転写体であれば、その後、トナー像が記録材に再転写され、トナー像を転写された記録材が、同じく定着装置へと搬送され、加熱定着の上、排出される。
【0043】
次に、現像に用いる液体現像剤8について説明する。液体現像剤8は、溶媒であるキャリア液体中に着色されたトナー粒子を高濃度で分散している。また、液体現像剤8には、分散剤、荷電制御剤などの添加剤を適宜、選んで添加してもよい。
【0044】
液体現像剤は、キャリア液である絶縁性液体と、静電潜像を現像するトナーと、トナーを分散させる分散剤とを主要成分としている。
【0045】
キャリア液としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば特に制限することなく使用することができるが、例えば、キャリア液として、イソパラフィン系のアイソパー(G、H、L、Mなど)(エクソンモビール)、IPソルベント(1620、2028、2835など)(出光興産)や、パラフィン系のモレスコホワイト(P−40,P−70,P−120)(松村石油研究所)を挙げることができる。また、シリコンオイル、ミネラルオイルを用いることも可能である。
【0046】
トナー粒子は、主として、樹脂と着色のための顔料や染料からなる。樹脂には、顔料や染料を樹脂中に均一に分散させる機能と、記録用紙に定着させる際のバインダとしての機能がある。
【0047】
トナー粒子としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば、特に制限することなく使用することができる。トナー用結着樹脂としては、たとえばポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。またこれらの樹脂を複数、混合して用いることも可能である。
【0048】
また、トナーの着色に用いられる顔料および染料も一般に市販されているものを用いることができる。たとえば、顔料としては、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、シリカ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ベンジジンイエロー、レーキレッドD等を用いることができる。染料としてはソルベントレッド27やアシッドブルー9等を用いることができる。
【0049】
液体現像剤の調整方法としては、一般に用いられる技法に基づいて調整することができる。たとえば、結着剤樹脂と顔料とを所定の配合比で、加圧ニーダ、ローラミルなどを用いて溶融混練して均一に分散させ、得られた分散体をたとえばジェットミルによって微粉砕する。得られた微粉末をたとえば風力分級機などにより分級することで、所望の粒径の着色トナーを得ることができる。そして、得られたトナー粒子をキャリア液としての絶縁性液体と所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させ、液体現像剤を得ることができる。
【0050】
トナーの平均粒径は、湿式画像形成方式を採用しているため、0.1μm〜5μmとすることが可能である。0.1μm未満では現像性が大きく低下し、5μmより大きい粒径では画像品位が低下するため、0.1〜5μmに設定することが望ましい。
【0051】
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10〜50%程度が適当である。
【0052】
10%未満の場合、トナー粒子に沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性に問題があり、また、必要な画像濃度を得るため、多量の液体現像剤を供給する必要があり、記録用紙に付着するキャリア液が増加し、定着時に乾燥させた際の蒸気の処理が問題となる可能性がある。一方で、50%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も取り扱いが困難になる可能性がある。
【0053】
液体現像剤の粘土は、25℃において、0.1mPa・s以上、10000mPa・s以下が望ましい。10000mPa・sより大きくなると液体現像剤の攪拌や送液等の取り扱いが困難となり、均一な液体現像剤を供給する装置の負担が大きくなる可能性がある。
【0054】
図2は、本発明の実施の形態1に従う画像形成部10に供給する液体現像剤を調整する現像剤調整部54の構成を説明する図である。
【0055】
図2を参照して、現像剤調整部54は、回収槽53と、濃度調整槽51と、高濃度調整液槽55と、低濃度調整液槽56と、現像剤貯蔵槽52と、ポンプ62,64,66,68,69と、攪拌羽65と、モータ61と、測定部60と、温度計70,71,72と、現像剤調整部54全体を制御する制御部100とを含む。なお、各槽には、濃度調整槽51と同様に攪拌羽と攪拌羽を駆動するモータとが設けられている。なお、図示しないが、温度計70,71,72および測定部60およびモータ61等ならびにポンプ62,64,66,68,69は制御部100と接続されているものとする。
【0056】
液体現像装置4のクリーニング装置46からの回収液は、現像プロセスによりトナー濃度が所定のトナー濃度から変化しているため、トナー濃度を再調整する必要があり、制御部100からの指示に従って各部が動作する。
【0057】
トナー濃度を再調整する必要のある回収現像液等は回収槽53に一旦蓄えられる。そして、所定のタイミングで回収現像液は、ポンプ68を介して濃度調整槽51に送出される。
【0058】
そして、濃度調整槽51において、トナー濃度の測定および調整が行われる。
ここで、トナー濃度測定時の濃度調整槽51の液量は一定に保たれる必要があり、濃度調整槽51は所定の位置に開口部51aが設けられており、余剰の液体現像剤は開口部51aより溢れ出し液量は一定に維持される。
【0059】
開口部51aから溢れ出した液体現像剤は回収槽53で回収される。
濃度調整槽51には、攪拌羽65と、攪拌羽65を回転させるモータ61と、モータ61のモータ消費電流を測定する測定部60が設けられている。測定部60の測定結果は、制御部100に出力される。
【0060】
液体現像剤の粘度は、トナー濃度に依存するため、液体現像剤を攪拌する攪拌羽65の攪拌トルクにより変化するモータ消費電流を測定部60が測定し、トナー濃度の測定が可能となる。
【0061】
また、液体現像剤の温度により粘度は変動するため濃度調整槽51には温度計70が設けられており、液体現像剤の温度を測定しながら予め記憶されているトナー濃度の温度テーブルによりトナー濃度を検知する。当該温度テーブルは、図示しないが制御部100のメモリに格納されているものとする。制御部100は、測定部60からの測定結果および温度計70で測定された温度に基づいて、メモリに格納されている温度テーブルに従ってトナー濃度を測定する。
【0062】
制御部100は、測定されたトナー濃度に従って、濃度調整槽51内の液体現像剤のトナー濃度を所望の値あるいは所望の範囲に調整するために、高濃度調整液槽55あるいは低濃度調整液槽56から濃度調整液を濃度調整槽51に供給する。具体的には、ポンプ62あるいはポンプ64に指示にして所望の濃度調整液を濃度調整槽51に供給するように指示する。
【0063】
そして、濃度調整槽51で再び、トナー濃度の測定および調整が行われて、再調整が完了した液体現像液は、ポンプ66を介して現像剤貯蔵槽52に収容された後、ポンプ69を介して現像剤槽44に送られて、再び現像プロセスで用いられる。
【0064】
なお、各槽には、現像剤等が固化しないように攪拌羽と、攪拌羽を回転させるためのモータとが設けられており、制御部100からの指示に従って定常的に回転しているものとする。
【0065】
なお、ここでは、温調調整手段については図示されていない。
図3は、本発明の実施の形態1に従う現像剤調整部54の濃度調整処理について説明するフロー図である。当該処理は、主に制御部100から各部への指示に基づいて実行される。
【0066】
図3を参照して、まず、濃度調整を開始する(ステップS2)。具体的には、ポンプ68を介して濃度調整槽51に液体現像剤を所定量供給する。
【0067】
次に、温度調整処理を実行する(ステップS3)。温度調整処理については後述する。
次に、濃度調整槽51のトナー濃度を測定する(ステップS4)。具体的には、攪拌羽65の攪拌トルクにより変化するモータ消費電流を測定部60で測定する。そして、制御部100は、測定結果に基づいてトナー濃度を測定する。
【0068】
次に、測定したトナー濃度が所定濃度の範囲内であるかどうかを判断する(ステップS6)。
【0069】
ステップS6において、測定したトナー濃度が所定濃度の範囲内であると判断した場合(ステップS6においてYES)には、濃度調整処理を終了する(エンド)。
【0070】
一方、ステップS6において、測定したトナー濃度が所定濃度の範囲内でないと判断した場合(ステップS6においてNO)には、測定したトナー濃度が所定濃度範囲未満であるかどうかを判断する(ステップS8)。
【0071】
ステップS8において、測定したトナー濃度が所定濃度範囲未満であると判断した場合(ステップS8においてYES)には、高濃度調整液を濃度調整槽51に供給する(ステップS10)。
【0072】
そして、再び、ステップS4に戻り、濃度調整槽51のトナー濃度を測定する。
一方、ステップS8において、測定したトナー濃度が所定濃度範囲未満でない、すなわち、所定濃度範囲以上であると判断した場合(ステップS8においてNO)には、低濃度調整液を濃度調整槽51に供給する(ステップS14)。
【0073】
そして、再び、ステップS4に戻り、濃度調整槽51のトナー濃度を測定する。
そして、ステップS6において、測定したトナー濃度が所定濃度の範囲内であるかどうかを判断し、トナー濃度が所定濃度となるまで上述した処理を繰り返す。
【0074】
次に、本発明の実施の形態1に従う現像剤調整部54における温度調整処理について説明する。
【0075】
図4は、本発明の実施の形態1に従う現像剤調整部54の温度調整手段を説明する図である。
【0076】
図4を参照して、本発明の実施の形態1に従う現像剤調整部54においては、高濃度調整液槽55および低濃度調整液槽56のそれぞれに温度調整手段として、温調手段73,74をそれぞれ設けた構成が示されている。なお、ポンプおよび制御部等の構成については省略している。以下の図面においても同様である。
【0077】
制御部100は、温度計70,71,72からの測定した温度に基づいて、温調手段73,74により高濃度調整液および低濃度調整液の温度を濃度調整槽51内の液体現像剤の温度と同じあるいは略同一となるように温度調整する。
【0078】
高濃度調整液および低濃度調整液の温度と濃度調整槽51内の液体現像剤の温度を同じあるいは略同一にすることにより、高濃度調整液または低濃度調整液を濃度調整槽51に供給した際の濃度調整槽51内における急激な温度変動を抑制することが可能となり、濃度検知精度の低下を抑制することが可能となる。濃度検知精度が低下した場合、結果として濃度調整結果が許容範囲から外れてしまい、再度、濃度調整を実施する必要があり、当該方式により、トナー濃度調整の時間を短縮することが可能となる。また、濃度調整の時間が増大してしまうと最悪の場合、現像剤貯蔵槽52の液体現像剤が空になってしまい、画像形成動作が停止してしまうため、生産性を大きく損なってしまうことになる。当該状況も回避することが可能となる。
【0079】
なお、温度計71,72には、熱電対を用いれば良く、温調手段73,74としては、例えば加熱手段としては、カートリッジヒータ、冷却手段としては、ペルチェ素子を用いれば良い。どちらか一方でもよく、両方備えるようにすることも可能である。
【0080】
なお、本例においては、ステップS2の濃度調整開始の後、温度調整処理を実行する場合について説明したが、ステップS8の後、温度調整処理を実行するようにしても良い。具体的には、濃度調整槽51内の液体現像剤のトナー濃度が所定濃度以上である場合は、低濃度調整液の温度を濃度調整槽51内の液体現像剤の温度と同じあるいは略同一に温度調整し、濃度調整槽51内の液体現像剤のトナー濃度が所定濃度未満である場合は、高濃度調整液の温度を濃度調整槽51内の液体現像剤の温度と同じあるいは略同一に温度調整すれば良い。
【0081】
図5は、本発明の実施の形態1の変形例1に従う現像剤調整部54の温度調整手段について説明する図である。
【0082】
図5を参照して、本発明の実施の形態1の変形例1に従う現像剤調整部54においては、図4の構成と比較して、回収槽53にも温度計75を設けた点が異なる。その他の点については同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
【0083】
制御部100は、濃度調整を実施するまでの間(回収現像剤が回収槽53に収容されている間)は、温度計75,71,72からの測定した温度に基づいて、高濃度調整液および低濃度調整液の温度を回収槽53内の回収現像剤の温度と同じあるいは略同一となるように温度調整し、濃度調整開始後は、温度計70,71,72からの測定した温度に基づいて、高濃度調整液および低濃度調整液の温度を濃度調整槽51内の液体現像剤の温度と同じあるいは略同一となるように温度調整する。
【0084】
この場合、高濃度調整液および低濃度調整液の温度を前もって回収槽53内の回収現像剤の温度に調整しておくことにより、高濃度調整液および低濃度調整液の温度を濃度調整槽51内の現像剤温度に調整するための時間をさらに短縮し、トナー濃度調整時間を短縮することが可能となる。
【0085】
図6は、本発明の実施の形態1の変形例2に従う現像剤調整部54の温度調整手段について説明する図である。
【0086】
図6を参照して、本発明の実施の形態1の変形例2に従う現像剤調整部54においては、図4の構成と比較して、温調手段73,74を削除して、温調手段76を濃度調整槽51に設けた点が異なる。その他の点については同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
【0087】
制御部100は、温度計70,71,72からの測定した温度に基づいて、濃度調整槽51に設けた温調手段76で濃度調整槽51の液体現像剤の温度を高濃度調整液あるいは低濃度調整液の温度と同じあるいは略同一となるように温度調整する。濃度調整槽51に温調手段76を設けることにより、濃度調整槽51内の液体現像剤の温度を高濃度調整液あるいは低濃度調整液の温度に調整することが可能となり、同様に高濃度調整液または低濃度調整液を濃度調整槽51に供給した際の濃度調整槽51内における急激な温度変動を抑制することが可能となる。
【0088】
なお、この場合の温度調整処理は、図3で説明したフロー図において、ステップS8における処理の後、すなわち、高濃度調整液を供給する前、あるいは、低濃度調整液を供給する前に実行する。たとえば、濃度調整槽51内の液体現像剤のトナー濃度が所定濃度以上である場合は、液体現像剤の温度を低濃度調整液の温度と同じまたは略同一となるように温度調整し、濃度調整槽51内の液体現像剤のトナー濃度が所定濃度未満である場合は、液体現像剤の温度を高濃度調整液の温度と同じまたは略同一となるように温度調整すれば良い。
【0089】
当該構成により、高濃度調整液あるいは低濃度調整液の温度と濃度調整槽51内の液体現像剤の温度を同じあるいは略同一にすることにより、高濃度調整液または低濃度調整液を濃度調整槽51に供給した際の濃度調整槽51内における急激な温度変動を抑制することが可能となり、濃度検知精度の低下を抑制することが可能となる。
【0090】
図7は、本発明の実施の形態1の変形例3に従う現像剤調整部54の温度調整手段について説明する図である。
【0091】
図7を参照して、本発明の実施の形態1の変形例3に従う現像剤調整部54においては、図6の構成と比較して、温調手段73,74をさらに高濃度調整液槽55、低濃度調整液槽56にそれぞれ設けた点が異なる。その他の点については同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
【0092】
制御部100は、温度計70,71,72からの測定した温度に基づいて、温調手段73,74,76を用いて濃度調整槽51の液体現像剤および高濃度調整液槽55の高濃度調整液あるいは低濃度調整液槽56の低濃度調整液の温度を調整する。
【0093】
高濃度調整液槽55、低濃度調整液槽56にも温調手段73,74を設けることにより、3槽に温調手段が設けられることになり、温度調整に必要な時間の短縮が可能となり、温度安定性も向上する。例えば、濃度調整槽51、高濃度調整液槽55、低濃度調整液槽56のそれぞれの温度の平均値となるように温調手段をそれぞれ制御することにより温度調整に必要な時間の短縮が可能となる。なお、平均値に限られず、例えば、それぞれの槽に収容されている液量を考慮して、温度調整の時間が最小となる適切な温度に調整するようにしても良い。
【0094】
当該構成により、高濃度調整液および低濃度調整液の温度と濃度調整槽51内の液体現像剤の温度を同じあるいは略同一にすることにより、高濃度調整液または低濃度調整液を濃度調整槽51に供給した際の濃度調整槽51内における急激な温度変動を抑制することが可能となり、濃度検知精度の低下を抑制することが可能となる。
【0095】
なお、本例においても、ステップS8の後、温度調整処理を実行するようにしても良い。具体的には、濃度調整槽51内の液体現像剤のトナー濃度が所定濃度以上である場合は、低濃度調整液の温度と濃度調整槽51内の液体現像剤の温度とが同じあるいは略同一となるように温度調整し、濃度調整槽51内の液体現像剤のトナー濃度が所定濃度未満である場合は、高濃度調整液の温度と濃度調整槽51内の液体現像剤の温度とが同じあるいは略同一となるように温度調整すれば良い。
【0096】
図8は、本発明の実施の形態1の変形例4に従う現像剤調整部54の温度調整手段について説明する図である。
【0097】
図8を参照して、本発明の実施の形態1の変形例4に従う現像剤調整部54においては、図4の構成と比較して、温度計71,72および温調手段73,74を削除して、代わりに調整液を供給する流路に当該手段を設けた点が異なる。その他の点については同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
【0098】
具体的には、高濃度調整液槽55および低濃度調整液槽56から濃度調整槽51への流路途中にそれぞれ温調手段79,80を設ける。また、温度計77,78を温調手段79,80の濃度調整液供給方向の下流側に設けた構成としている。
【0099】
制御部100は、温度計70,77,78からの測定した温度に基づいて、温調手段79,80により高濃度調整液あるいは低濃度調整液の温度を濃度調整槽51内の液体現像剤の温度と同じあるいは略同一になるように温度調整する。
【0100】
流路に使用するチューブの材料としては、フレキシブル性、耐薬品性からタイゴンチューブ、あるいはより耐熱性を考慮してバイトンチューブを使用しても良いが、流路途中の温調手段79,80は、熱伝導性を考慮してアルミ製の金属パイプを使用するようにしても良い。その金属パイプに抵抗発熱体、およびペルチェ素子を内蔵すれば良い。想定される濃度調整液量が少ないような場合、流路途中に設けた温調手段79,80内の液量のみで濃度調整が可能であり、より温度調整時間の短縮が可能となる。すなわち、トナー濃度調整の時間を短縮することが可能となる。
【0101】
なお、この場合の温度調整処理は、図3で説明したフロー図において、ステップS8における処理の後、すなわち、高濃度調整液を供給する前、あるいは、低濃度調整液を供給する前に実行する。たとえば、濃度調整槽51内の液体現像剤のトナー濃度が所定濃度以上である場合は、低濃度調整液の温度が液体現像剤の温度と同じまたは略同一となるように温度調整し、濃度調整槽51内の液体現像剤のトナー濃度が所定濃度未満である場合は、高濃度調整液の温度が液体現像剤の温度と同じまたは略同一となるように温度調整すれば良い。
【0102】
図9は、本発明の実施の形態1の変形例5に従う現像剤調整部54の温度調整手段について説明する図である。
【0103】
図9を参照して、本発明の実施の形態1の変形例5に従う現像剤調整部54においては、図8の構成と比較して、流路途中にそれぞれ温調手段79,80および温度計77,78を設ける代わりに、バッファを設けた点が異なる。その他の点については同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
【0104】
具体的には、流路途中にバッファ81,82を設けて、それぞれ温度計83,84および温調手段85,86を設ける。当該構成により、温調可能な濃度調整液量を任意に設定可能となる。温調手段としては、バッファの壁面内に抵抗発熱体、およびペルチェ素子を内蔵すれば良い。
【0105】
制御部100は、温度計70,83,84からの測定した温度に基づいて、温調手段85,86により高濃度調整液あるいは低濃度調整液の温度を濃度調整槽51内の液体現像剤の温度と同じあるいは略同一になるように温度調整する。
【0106】
想定される濃度調整液量が少ないような場合、流路途中に設けたバッファ81,82内の液量のみで濃度調整が可能であり、より温度調整時間の短縮が可能となる。すなわち、トナー濃度調整の時間を短縮することが可能となる。
【0107】
なお、この場合の温度調整処理は、図3で説明したフロー図において、ステップS8における処理の後、すなわち、高濃度調整液を供給する前、あるいは、低濃度調整液を供給する前に実行する。たとえば、濃度調整槽51内の液体現像剤のトナー濃度が所定濃度以上である場合は、バッファ82内の低濃度調整液の温度が液体現像剤の温度と同じまたは略同一となるように温度調整し、濃度調整槽51内の液体現像剤のトナー濃度が所定濃度未満である場合は、バッファ81内の高濃度調整液の温度が液体現像剤の温度と同じまたは略同一となるように温度調整すれば良い。
【0108】
図10は、本発明の実施の形態1の変形例6に従う現像剤調整部54の温度調整手段について説明する図である。
【0109】
図10を参照して、本発明の実施の形態1の変形例6に従う現像剤調整部54においては、図8の構成と比較して、温調手段76をさらに設けた点が異なる。その他の点については同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
【0110】
制御部100は、温度計70,77,78からの測定した温度に基づいて、温調手段76,79,80により高濃度調整液あるいは低濃度調整液の温度と濃度調整槽51内の液体現像剤の温度とが同じあるいは略同一になるように温度調整する。
【0111】
具体的には、濃度調整槽51に温調手段76を設けることにより、濃度調整槽51内の液体現像剤の温度を調整することが可能となり、3つの温調手段が設けられることになり、上述したように温度調整に必要な時間の短縮が可能となり、温度安定性も向上する。すなわち、トナー濃度調整の時間を短縮することが可能となる。
【0112】
(実施の形態2)
上記の実施の形態1においては、液体現像剤の温度と供給する濃度調整液の温度とを略同一にすることにより、濃度検知精度の低下を抑制してトナー濃度調整の時間を短縮する方式について説明した。
【0113】
一方で、濃度調整液の粘性は、温度により変化する。したがって、トナー濃度調整の際に、所定量の濃度調整液を補給する場合であっても、温度によってその供給量は変化する。そのため、濃度調整精度が低下してしまうという問題があり、目的のトナー濃度範囲に達するまでに時間を要するという問題もある。
【0114】
本発明の実施の形態2においては、上記の問題を解決してトナー濃度調整の時間を短縮することが可能な方式について説明する。
【0115】
具体的な構成は、図2で説明した温度調整手段が設けられていない構成を用いることが可能である。
【0116】
図11は、本発明の実施の形態2に従う現像剤調整部54の濃度調整処理について説明するフロー図である。当該処理は、主に制御部100から各部への指示に基づいて実行される。
【0117】
図11を参照して、まず、濃度調整を開始する(ステップS2)。具体的には、ポンプ68を介して濃度調整槽51に液体現像剤を所定量供給する。
【0118】
次に、濃度調整槽51のトナー濃度を測定する(ステップS4)。具体的には、攪拌羽65の攪拌トルクにより変化するモータ消費電流を測定部60で測定する。そして、制御部100は、測定結果に基づいてトナー濃度を測定する。
【0119】
次に、測定したトナー濃度が所定濃度の範囲内であるかどうかを判断する(ステップS6)。
【0120】
ステップS6において、測定したトナー濃度が所定濃度の範囲内であると判断した場合(ステップS6においてYES)には、濃度調整処理を終了する(エンド)。
【0121】
一方、ステップS6において、測定したトナー濃度が所定濃度の範囲内でないと判断した場合(ステップS6においてNO)には、測定したトナー濃度が所定濃度範囲未満であるかどうかを判断する(ステップS8)。
【0122】
ステップS8において、測定したトナー濃度が所定濃度範囲未満であると判断した場合(ステップS8においてYES)には、高濃度調整液の温度を測定する(ステップS20)。
【0123】
具体的には、制御部100は、温度計71からの高濃度調整液の温度を取得する。
次に、測定した温度に従って高濃度調整液時間/温度テーブルからポンプ駆動時間の補正を実行する(ステップS22)。なお、高濃度調整液時間/温度テーブルおよび低濃度調整液時間/温度テーブルは、制御部100内の図示しないメモリに格納されているものとする。
【0124】
図12は、本発明の実施の形態2に従う高濃度調整液時間/温度テーブルを説明する図である。
【0125】
図12を参照して、ここでは、液温をT℃とした場合の温度に応じたポンプ駆動時間が示されている。具体的には、T≦基準温度−20℃である場合には、基準時間に係数Aを乗算してポンプ駆動時間を基準時間から補正する。
【0126】
基準温度−20℃<T≦基準温度−15℃の条件を満たす場合には、基準時間に係数Bを乗算してポンプ駆動時間を補正する。
【0127】
基準温度−15℃<T≦基準温度−10℃の条件を満たす場合には、基準時間に係数Cを乗算してポンプ駆動時間を補正する。
【0128】
基準温度−10℃<T≦基準温度−5℃の条件を満たす場合には、基準時間に係数Dを乗算してポンプ駆動時間を補正する。
【0129】
基準温度−5℃<T<基準温度+5℃の条件を満たす場合には、基準時間とする。
基準温度+5℃≦T<基準温度+10℃の条件を満たす場合には、基準時間に係数Eを乗算してポンプ駆動時間を補正する。
【0130】
基準温度+10℃≦T<基準温度+15℃の条件を満たす場合には、基準時間に係数Fを乗算してポンプ駆動時間を補正する。
【0131】
基準温度+15℃≦T<基準温度+20℃の条件を満たす場合には、基準時間に係数Gを乗算してポンプ駆動時間を補正する。
【0132】
基準温度+20≦Tの条件を満たす場合には、基準時間に係数Hを乗算してポンプ駆動時間を補正する。
【0133】
係数A,B,C,D,E,F,G,Hの関係は、A>B>C>D>1>E>F>G>Hとなる。
【0134】
なお、ここで、基準温度は、一例として室温程度とする。
なお、液体現像剤の温度も可変であるため基準温度と基準時間との関係は固定ではなく、例えば、液体現像剤の温度に従って基準時間を変化させるようにしても良い。例えば、液体現像剤の温度に従って基準時間を設定するテーブルを別に設けるようにしても良い。
【0135】
制御部100は、メモリに予め格納されている高濃度調整液時間/温度テーブルを参照して、取得した高濃度調整液の温度に従ってポンプ駆動時間を補正する。
【0136】
再び、図11を参照して、次に、ポンプ駆動時間を補正した高濃度調整液を濃度調整槽51に供給する(ステップS10)。
【0137】
そして、再び、ステップS4に戻り、濃度調整槽51のトナー濃度を測定する。
一方、ステップS8において、測定したトナー濃度が所定濃度範囲未満でない、すなわち、所定濃度範囲以上であると判断した場合(ステップS8においてNO)には、低濃度調整液の温度を測定する(ステップS24)。具体的には、制御部100は、温度計72からの低濃度調整液の温度を取得する。
【0138】
次に、測定した温度に従って低濃度調整液時間/温度テーブルからポンプ駆動時間を補正を実行する(ステップS26)。
【0139】
図13は、本発明の実施の形態2に従う低濃度調整液時間/温度テーブルを説明する図である。
【0140】
図13を参照して、ここでは、液温をT℃とした場合の温度に応じたポンプ駆動時間が示されている。具体的には、T≦基準温度−20℃である場合には、基準時間に係数Iを乗算してポンプ駆動時間を基準時間から補正する。
【0141】
基準温度−20℃<T≦基準温度−15℃の条件を満たす場合には、基準時間に係数Jを乗算してポンプ駆動時間を補正する。
【0142】
基準温度−15℃<T≦基準温度−10℃の条件を満たす場合には、基準時間に係数Kを乗算してポンプ駆動時間を補正する。
【0143】
基準温度−10℃<T≦基準温度−5℃の条件を満たす場合には、基準時間に係数Lを乗算してポンプ駆動時間を補正する。
【0144】
基準温度−5℃<T<基準温度+5℃の条件を満たす場合には、基準時間とする。
基準温度+5℃≦T<基準温度+10℃の条件を満たす場合には、基準時間に係数Mを乗算してポンプ駆動時間を補正する。
【0145】
基準温度+10℃≦T<基準温度+15℃の条件を満たす場合には、基準時間に係数Nを乗算してポンプ駆動時間を補正する。
【0146】
基準温度+15℃≦T<基準温度+20℃の条件を満たす場合には、基準時間に係数Oを乗算してポンプ駆動時間を補正する。
【0147】
基準温度+20≦Tの条件を満たす場合には、基準時間に係数Pを乗算してポンプ駆動時間を補正する。
【0148】
係数I,J,K,L,M,N,O,Pの関係は、I>J>K>L>1>M>N>O>Pとなる。
【0149】
制御部100は、メモリに予め格納されている低濃度調整液時間/温度テーブルを参照して、取得した低濃度調整液の温度に従ってポンプ駆動時間を補正する。
【0150】
再び、図11を参照して、次に、ポンプ駆動時間を補正した低濃度調整液を濃度調整槽51に供給する(ステップS14)。
【0151】
そして、再び、ステップS4に戻り、濃度調整槽51のトナー濃度を測定する。
そして、ステップS6において、測定したトナー濃度が所定濃度の範囲内であるかどうかを判断し、トナー濃度が所定濃度となるまで上述した処理を繰り返す。
【0152】
上述したように高濃度調整液槽55あるいは低濃度調整液槽56から濃度調整槽51へ濃度調整液(高濃度調整液あるいは低濃度調整液)を供給する際、濃度調整液の温度により濃度調整液の粘度は変動する。
【0153】
濃度調整液の供給は上述したようにポンプを用いて行うが、供給量は単位時間当たりの流量×供給時間にて設定される。濃度調整液の粘度変動により単位時間当たりの流量は変動する。つまり、高温になれば粘性は弱まり、低温になれば逆に粘性が高まる。
【0154】
したがって、温度変動に従って、濃度調整液の供給量が変動し、ひいては濃度調整精度の低下に繋がってしまう可能性がある。
【0155】
そこで、本発明の実施の形態2に従う方式は、温度変動に従って濃度調整液の供給量が変動しないように、基準となる供給量に対する単位時間当たりのポンプの駆動時間を予め記憶しておいて、低濃度調整液時間/温度テーブルあるいは高濃度調整液時間/温度テーブルを基に濃度調整液の供給量が一定となるように駆動時間(供給時間)を補正する。
【0156】
当該補正により、濃度調整液に温度変動が生じた場合であっても供給量は定量となる。すなわち、濃度調整液の粘度変動による濃度調整液の供給量の変動を防止することが可能である。これにより、適正量の濃度調整液を補給することが可能であり、トナー濃度調整の時間を短縮することが可能である。
【0157】
なお、以上の説明では、温度に従ってポンプの駆動時間を補正するものとしたが、駆動時間を補正する代わりに、ポンプの単位時間当たりの回転数(駆動速度)を補正してもよく、また、ポンプの駆動時間と回転数(駆動速度)との両方を補正することも可能である。
【0158】
なお、本実施の形態に従う方式に従って、所望の液体現像剤のトナー濃度をトナー濃度30%とし、高濃度調整液をトナー濃度40%、低濃度調整液をキャリア液とし、トナー濃度調整処理を実行した。
【0159】
濃度調整槽と高濃度調整液槽あるいは低濃度調整液槽の温度を同じまたは略同一とすることにより、トナー濃度調整時における濃度調整槽内における急激な温度変動を抑制することが可能となった。
【0160】
また、ポンプ駆動時間を補正することにより、液温変動による濃度調整液の供給量変動も抑制され、トナー濃度調整の精度の低下は見られず、濃度調整結果が目標範囲から外れることはなかった。
【0161】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0162】
1 感光体ドラム、2 帯電装置、3 露光装置、4 液体現像装置、5 転写装置、6 クリーニング装置、8 液体現像剤、10 画像形成部、41 現像ローラ、42 搬送ローラ、43 供給ローラ、44 現像剤槽、45 規制ブレード、46 クリーニング装置、51 濃度調整槽、51a 開口部、52 現像剤貯蔵槽、53 回収槽、54 現像剤調整部、55 高濃度調整液槽、56 低濃度調整液槽、60 測定部、61 モータ、65 攪拌羽、81,82 バッファ、100 制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃度調整用の液体現像剤を収容する濃度調整槽と、
前記濃度調整槽に収容された液体現像剤の温度を測定する現像剤温度測定手段と、
濃度調整用の少なくとも2種類以上の濃度調整液を収容する濃度調整液槽と、
前記濃度調整液槽に収容された濃度調整液の温度を測定する調整液温度測定手段と、
前記濃度調整槽内に収容された液体現像剤のトナー濃度を測定して、所望のトナー濃度に調整するために前記濃度調整液槽から前記濃度調整液を前記濃度調整槽に供給するためのトナー濃度調整手段と、
トナー濃度の調整の際、前記現像剤温度測定手段で測定される前記濃度調整槽に収容されている液体現像剤の温度と、前記調整液温度測定手段で測定され、前記トナー濃度調整手段で供給される前記濃度調整液の温度とが略同一になるように調整するための温度調整手段とを備える、湿式画像形成装置。
【請求項2】
前記温度調整手段は、前記濃度調整槽に収容された前記液体現像剤の温度になるように前記濃度調整液槽に収容される前記濃度調整液の温度を調整する、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項3】
前記温度調整手段は、前記濃度調整槽に前記濃度調整液槽に収容された前記濃度調整液を供給する経路に設けられる、請求項2記載の湿式画像形成装置。
【請求項4】
前記温度調整手段は、前記濃度調整液槽に収容された前記濃度調整液の温度になるように前記濃度調整槽に収容された前記液体現像剤の温度を調整する、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項5】
前記温度調整手段は、前記濃度調整槽に収容された前記液体現像剤および前記濃度調整液槽に収容された前記濃度調整液の温度が所望の温度となるように調整する、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項6】
前記温度調整手段は、
前記濃度調整槽に収容された前記液体現像剤の温度を調整する第1の温度調整部と、
前記濃度調整液槽に収容された前記濃度調整液の温度を調整する第2の温度調整部とを含み、
前記第1および第2の温度調整部は、前記濃度調整槽に収容された前記液体現像剤および前記濃度調整液槽に収容された前記濃度調整液の温度が所望の温度となるように調整する、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項7】
濃度調整用の液体現像剤を収容する濃度調整槽と、
濃度調整用の少なくとも2種類以上の濃度調整液を収容する濃度調整液槽と、
前記濃度調整槽内に収容された液体現像剤のトナー濃度を測定して、所望のトナー濃度に調整するために前記濃度液調整槽から前記濃度調整液を前記濃度調整槽に供給するためのトナー濃度調整手段とを備え、
前記トナー濃度調整手段は、
前記濃度調整液槽に収容された濃度調整液の温度を測定する調整液温度測定手段と、
前記濃度調整液槽から前記濃度調整液を前記濃度調整槽に供給するための供給手段とを含み、
前記供給手段は、トナー濃度の調整の際、前記調整液温度測定手段で測定された濃度調整液に収容されている濃度調整液の温度に基づいて、前記濃度調整液槽から前記濃度調整液を供給する供給量を制御する、湿式画像形成装置。
【請求項8】
前記濃度調整液の温度に関連付けられて、予め設けられた前記濃度調整液の供給量を調整するための調整テーブルを格納するメモリを備え、
前記供給手段は、前記メモリの前記調整テーブルを参照して、前記濃度調整液を供給する供給量を制御する、請求項7記載の湿式画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−159645(P2012−159645A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18602(P2011−18602)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】