説明

湿気硬化性シーリング材組成物

【課題】変成シリコーン系シーリング材において、耐水接着性を改善し、硬化触媒量を低減することができる湿気硬化性シーリング材組成物の提供。
【解決手段】架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部と、接着付与剤(B)5〜70質量部とを含有する湿気硬化性シーリング材組成物であって、
前記接着付与剤(B)が、重量平均分子量8000以上の脂肪族ウレンプレポリマーと、2級アミノ基を有するシランカップリング剤とを、該脂肪族ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と該シランカップリング剤の2級アミノ基との当量比(イソシアネート基/2級アミノ基)が0.1〜1.0となる範囲で反応させた反応生成物である湿気硬化性シーリング材組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋性シリル基含有有機重合体を含有する湿気硬化性シーリング材組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
1液型の湿気硬化性樹脂組成物として、いわゆる変成シリコーン系の硬化性樹脂組成物が知られている。この変成シリコーン系の湿気硬化性樹脂組成物には、特許文献1〜3に記載されている変成シリコーンポリマーが用いられている。この変成シリコーンポリマーは、ポリエーテルを主鎖とする架橋可能な加水分解性シリル基(例えば、アルコキシシリル基)を有する重合体であり、密封下では長期間安定であるが硬化触媒を用いて湿気にさらすと急速に加水分解、縮合(架橋)が進行して硬化するため、1液型の湿気硬化性組成物とすることができる。
【0003】
このような変成シリコーン系の湿気硬化性樹脂組成物は、建築用のシーリング材として好適に用いられており、この変成シリコーンポリマーをシーリング材に用いた変成シリコーン系シーリング材は、ポリウレタン系のシーリング材に比べ貯蔵安定性、耐候性、耐発泡性、耐変色性が良好であり、ポリサルファイド系のシーリング材に比べ硬化性に優れ、周囲へのシーリング材成分の溶出や流出が少なく、毒性が少ないといった利点を有していることが知られている。
【0004】
また、建築用の変成シリコーン系シーリング材としては、水密性および気密性を確保する観点から、接着付与剤として各種低分子量シランカップリング剤を使用することが知られている。しかしながら、低分子量シランカップリング剤を使用した変成シリコーン系シーリング材の場合、十分な接着性を確保することが困難であり、特に耐水接着性が悪いという問題があった。さらに、このような変成シリコーン系シーリング材の硬化触媒には有機錫触媒が用いられているが、これは、有害性が高いばかりでなく耐久性を低下させる原因にもなっており、硬化触媒量を低減させることが望まれていた。
【0005】
【特許文献1】特公昭62−35421号公報
【特許文献2】特開昭61−141761号公報
【特許文献3】特公平1−58219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、変成シリコーン系リーシング材において、耐水接着性を改善し、硬化触媒量を低減することができる湿気硬化性シーリング材組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定のウレンプレポリマーと、特定のシランカップリング剤とを反応させて得られる接着付与剤を含有した湿気硬化性シーリング材組成物が、耐水接着性に優れ、硬化触媒量を低減することが可能になることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記(1)および(2)に記載の湿気硬化性シーリング材組成物を提供する。
【0008】
(1)架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部と、接着付与剤(B)5〜70質量部とを含有する湿気硬化性シーリング材組成物であって、
上記接着付与剤(B)が、重量平均分子量8000以上の脂肪族ウレンプレポリマーと、2級アミノ基を有するシランカップリング剤とを、該脂肪族ウレタンプレポリマーのイソシアネート基(NCO基)と該シランカップリング剤の2級アミノ基(NH基)との当量比(NCO基/NH基)が0.1〜1.0となる範囲で反応させた反応生成物である湿気硬化性シーリング材組成物。
【0009】
(2)上記脂肪族ウレンプレポリマーが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)と、重量平均分子量が8000以上のポリプロピレングリコール(PPG)との反応生成物である上記(1)に記載の湿気硬化性シーリング材組成物。
【発明の効果】
【0010】
以下に説明するように、本発明によれば、耐水接着性を改善し、硬化触媒量を低減することができる湿気硬化性シーリング材組成物を提供することができ、各種のシーリング材、防水材等に好適に用いることができるため有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の湿気硬化性シーリング材組成物(以下、単に「本発明のシーリング材組成物」という。)は、架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部と、接着付与剤(B)5〜70質量部とを含有する湿気硬化性シーリング材組成物であって、該接着付与剤(B)が、重量平均分子量8000以上の脂肪族ウレンプレポリマーと、2級アミノ基を有するシランカップリング剤とを、該脂肪族ウレタンプレポリマーのイソシアネート基(NCO基)と該シランカップリング剤の2級アミノ基(NH基)との当量比(NCO基/NH基)が0.1〜1.0となる範囲で反応させた反応生成物である湿気硬化性シーリング材組成物である。
次に、架橋性シリル基含有有機重合体(A)および接着付与剤(B)について詳述する。
【0012】
<架橋性シリル基含有有機重合体(A)>
本発明のシーリング材組成物に用いられる架橋性シリル基含有有機重合体(A)は、以下に示す架橋性シリル基を末端あるいは側鎖に少なくとも1個有する有機重合体である。
ここで、架橋性シリル基とは、例えば、ケイ素原子と結合した加水分解性基を有するケイ素含有基やシラノール基のように湿気や架橋剤の存在下、必要に応じて触媒等を使用することにより縮合反応を起こす基のことであり、代表的なものを示すと、例えば、下記一般式(1)で表される基が挙げられる。
【0013】
【化1】

【0014】
式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R33SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
ここで、R3は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2をそれぞれ示す。
また、t個の下記一般式(2)で表される基におけるbは異なっていてもよい。tは0〜19の整数を示す。ただし、a+t×b≧1を満足するものとする。
【0015】
【化2】

【0016】
上記Yで示される加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基であることが好ましく、加水分解性が穏やかで取り扱いやすいという理由からメトキシ基等のアルコキシ基が特に好ましい。
架橋性シリル基の中で、下記一般式(3)で表される架橋性シリル基が、入手容易の点から好ましい。下記一般式(3)中、R2、Y、aは上述のR2、Y、aと同義である。
【0017】
【化3】

【0018】
上記一般式(1)におけるR1およびR2の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などの脂環式炭化水素基;フェニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;R3がメチル基やフェニル基などである(R33SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基;等が挙げられる。R1、R2、R3としてはメチル基が特に好ましい。
【0019】
したがって、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)は、末端あるいは側鎖に、上記一般式(1)で表される架橋性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体であれば特に限定されず、具体的には、例えば、シリル基含有ポリエーテル、シリル基含有ポリエステル、シリル基含有ビニル系重合体、シリル基含有ポリエステル変性ビニル系重合体、シリル基含有ジアリルフタレート系重合体、シリル基含有ジアリールフタレート系重合体、シリル基含有ポリイソブチレン、シリル基含有エチレン・α−オレフィン系共重合体、これらの混合物およびこれらの共重合体(ブロック共重合体、グラフト共重合体)のシリル基含有有機重合体等が挙げられる。
【0020】
これらのうち、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)がシリル基含有ポリエーテルである場合、主鎖のポリエーテルとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブテンオキシド、テトラヒドロフランなどを原料物質として、カチオン重合、アニオン重合の方法を用いて製造されるもの等が好適に例示される。
【0021】
上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)がシリル基含有ポリエステルである場合には、主鎖のポリエステルとしては、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸などのカルボン酸、その無水物、そのエステルまたはハロゲン化物と、化学量論的過剰のエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのポリオールと、を反応させることにより調整されるポリエステルポリオール類、または、ラクトン類の開環重合により得られるラクトンポリオール類等が好適に例示される。
【0022】
上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)がシリル基含有ビニル系重合体である場合、ビニルモノマーとしてアクリルモノマーを主成分に用いることが、得られる架橋性シリル基含有有機重合体(A)を含有する本発明のシーリング材組成物の耐候性および物性(伸び、モジュラス)が向上する理由から好ましい。
上記ビニルモノマーの具体例としては、特開2002−97449号公報に記載されているシクロヘキシルアクリレートおよび/またはブチルアクリレートを主成分とするビニルモノマーが挙げられる。また、上記公報では、上記ビニルモノマーとアルコキシシリル基含有モノマーとを共重合させることによって、シリル基含有ビニル系重合体が得られることが記載されている。さらに、重合方法は、通常のラジカル重合に加え、特開昭57−502171号公報および特開昭59−6207号公報に記載されている高温連続重合を用いることもできる。
【0023】
上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)が、シリル基含有ポリイソブチレンやシリル基含有エチレン・α−オレフィン系共重合体である場合、主鎖としては、それぞれ、特開平4−154816号公報、および特開2001−31719号公報に記載された方法により製造されたものが用いられる。
【0024】
また、架橋性シリル基含有有機重合体(A)の数平均分子量は1000以上であることが好ましく、6000〜30000であることがより好ましい。数平均分子量がこの範囲であると、架橋性シリル基含有有機重合体(A)を含有する本発明のシーリング材組成物の硬化前の粘度が低くなるため取り扱い易く、硬化後の強度、伸び、モジュラス等の物性が良好となる理由から好ましい。
【0025】
以上のことより、架橋性シリル基含有有機重合体(A)の好適な具体例としては、鐘淵化学工業社製のMSポリマーやサイリル、エピオン、旭硝子社製のエクセスター等が挙げられる。
これらのうち、主鎖が本質的にポリエーテルで、分子中に末端としてまたは側鎖に少なくとも1個のメチルジメトキシシリル基を有するポリエーテルオリゴマー、または、該ポリエーテルオリゴマーとメチルジメトキシシリル基を有するアクリルオリゴマーとの混合物を含む架橋性シリル基含有有機重合体を用いることが好ましい。
【0026】
<接着付与剤(B)>
本発明のシーリング材組成物に用いられる接着付与剤(B)は、重量平均分子量8000以上の脂肪族ウレンプレポリマーと、2級アミノ基を有するシランカップリング剤とを、該脂肪族ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と該シランカップリング剤の2級アミノ基との当量比(イソシアネート基/2級アミノ基)が0.1〜1.0となる範囲で反応させた反応生成物である。
【0027】
上記接着付与剤(B)の生成に用いられる上記脂肪族ウレンプレポリマーは、主鎖骨格が脂肪族炭化水素基からなる重量平均分子量が8000以上、好ましくは9000〜30000のウレタンプレポリマーであり、脂肪族ポリオール化合物に対して過剰の脂肪族ポリイソシアネート化合物(すなわち、水酸基(OH基)に対して過剰のNCO基)を反応させて得られる反応生成物であって、一般的に、0.5〜10質量%のNCO基を分子末端に含有するものである。
上記脂肪族ウレタンプレポリマーの重量平均分子量がこの範囲であれば、得られる接着付与剤(B)が低粘度で作業性に優れ、該接着付与剤を含有する本発明のシーリング材組成物が耐水接着性および貯蔵安定性に優れるという理由から好ましい。
【0028】
上記脂肪族ウレタンプレポリマーを生成する脂肪族ポリイソシアネート化合物は、分子内にNCO基を2個以上有する脂肪族イソシアネートであれば特に限定されず、その具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナート(NBDI)等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を用いることが、コストおよび得られる接着付与剤(B)を含有する本発明のシーリング材組成物の硬化物の耐水接着性を両立させる理由から好ましい。
【0029】
また、上記脂肪族ウレタンプレポリマーを生成する脂肪族ポリオール化合物は、水酸基を2個以上有する脂肪族ポリオールであれば特に限定されず、その具体例としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオール等が挙げられ、重量平均分子量が8000以上であることが好ましい。
これらのポリオール化合物のうち、少なくともポリエーテルポリオールを用いる場合、すなわち、ポリエーテル骨格を有するポリオールがウレタンプレポリマーに含まれる場合には、硬化前の樹脂の粘度や、硬化物の弾性が優れる理由から好ましい。
【0030】
ここで、ポリエーテルポリオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールから選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ポリオキシテトラメチレンオキサイドなどから選ばれる少なくとも1種を付加させて得られるポリオール等が挙げられる。
【0031】
ポリエステルポリオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、その他の低分子ポリオールなどから選ばれる少なくとも1種と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、その他の低分子脂肪族カルボン酸やオリゴマー酸などから選ばれる少なくとも1種との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトンなどの開環重合体;等が挙げられる。
【0032】
その他のポリオールとしては、具体的には、例えば、ポリマーポリオール、ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の低分子ポリオールが挙げられる。
【0033】
上記脂肪族ウレタンプレポリマーとしては、上記で例示した各種脂肪族ポリオール化合物と過剰量の脂肪族ポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる反応生成物が挙げられる。これらのうち、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)と、重量平均分子量が8000以上のポリプロピレングリコール(PPG)とを反応させて得られる反応生成物が好ましい。
ここで、上記脂肪族ポリイソシアネート化合物と上記脂肪族ポリオール化合物との反応は、該ポリイソシアネート化合物と該ポリオール化合物とを、NCO基/OH基が、1.2〜2.5、好ましくは1.5〜2.4となる当量比で混合させて行われる。当量比がこの範囲であれば、得られる脂肪族ウレタンプレポリマーの粘度が適当となる理由から好ましい。また、この脂肪族ウレタンプレポリマーの生成は、通常のウレタンプレポリマーと同様の方法で行うことができ、例えば、上述の当量比の脂肪族ポリオール化合物と脂肪族ポリイソシアネート化合物とを、50〜100℃で加熱攪拌することによって行うことができる。また、必要に応じて、有機錫化合物、有機ビスマス、アミン等のウレタン化触媒を用いることもできる。
【0034】
上記接着付与剤(B)の生成に用いられる上記シランカップリング剤は、2級アミノ基を有するシランカップリング剤であって、シリル基が加水分解性基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有しているものである。
ここで、上記加水分解性基としては、上記一般式(1)〜(3)中のYで例示した置換基等が挙げられる。これらのうち、加水分解性の穏やかなアルコキシ基が好ましい。なお、加水分解性基を選択することにより、用途に応じた、加水分解速度や接着性発現時間を調整することができる。
【0035】
このようなシランカップリング剤は、具体的には、下記一般式(4)〜(6)で表される化合物である。
【0036】
【化4】

【0037】
上記一般式(4)中、R4は炭素数1〜12のアルキレン基であり、R5およびR6はそれぞれ独立に炭素数1〜8の分岐していてもよいアルキル基であり、nは0〜2の整数である。また、複数のR4、R5およびR6はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0038】
4の炭素数1〜12のアルキレン基としては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられ、入手が容易で接着性が優れる点からトリメチレン基がより好ましい。
5およびR6の炭素数1〜8の分岐していてもよいアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基等が挙げられ、これらの基が二重結合または三重結合を含んでいてもよい。これらのうち、メチル基、エチル基が好ましい。
【0039】
ここで、上記一般式(4)で表されるシランカップリング剤としては、具体的には、例えば、N,N−ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[(3−トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[(3−トリプロポキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[(3−メトキシジメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[(3−エトキシジエトキシシリル)プロピル]アミン等が挙げられる。
【0040】
上記一般式(5)中、R5およびR6はそれぞれ独立に炭素数1〜8の分岐していてもよいアルキル基であり、R7は炭素数1〜12のアルキレン基であり、R8は炭素数1〜8の分岐していてもよいアルキル基、炭素数7〜18のアラルキル基もしくは炭素数6〜18のアリール基であり、nは0〜2の整数である。また、複数のR5またはR6はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0041】
ここで、R5およびR6は、上記一般式(4)で説明したものと基本的に同一である。
7の炭素数1〜12のアルキレン基としては、具体的には、例えば、上記一般式(4)のR4で例示したアルキレン基を挙げることができ、炭素数2〜6のアルキレン基であることが好ましい。
【0042】
8の炭素数1〜8の分岐していてもよいアルキル基としては、具体的には、例えば、上記一般式(4)のR5およびR6で例示したアルキル基を挙げることができる。
ここで、R8が炭素数1〜8の分岐していてもよいアルキル基である、上記一般式(5)で表されるシランカップリング剤としては、具体的には、例えば、N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasilane1189(デグサヒュルス社製))、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製)等が挙げられる。
【0043】
8の炭素数7〜18の分岐していてもよいアラルキル基としては、具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基等を挙げることができる。
【0044】
8の炭素数6〜18のアリール基としては、具体的には、例えば、フェニル基、メチルフェニル基(トルイル基)、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等を挙げることができる。また、アリール基の置換基としては、上記したアルキル基の他に、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子からなる基等が好適に例示される。これらの置換基は1または2以上を有してもよく、それらの置換位置も限定されない。
ここで、R8が炭素数6〜18のアリール基である、上記一般式(5)で表されるアミノシラン化合物としては、具体的には、例えば、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製)等が挙げられる。
【0045】
上記一般式(6)中、R5およびR6はそれぞれ独立に炭素数1〜8の分岐していてもよいアルキル基であり、R9およびR10はそれぞれ独立に炭素数1〜12のアルキレン基であり、nは0〜2の整数である。また、複数のR5またはR6はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0046】
ここで、R5およびR6は、上記一般式(4)で説明したものと基本的に同一である。
9およびR10の炭素数1〜12のアルキレン基としては、具体的には、例えば、上記一般式(4)のR4で例示したアルキレン基を挙げることができ、炭素数2〜6のアルキレン基であることが好ましい。
【0047】
ここで、上記一般式(6)で表される化合物としては、具体的には、例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン等のアミノシラン等が挙げられる。
【0048】
上述したシランカップリング剤が、芳香族性のシランカップリング剤であれば、得られる接着付与剤(B)が低粘度になり、該接着付与剤を含有する本発明のシーリング材組成物が耐水接着性に優れ、硬化触媒量を低減できるという理由から好ましい。すなわち、上記一般式(5)におけるR8が炭素数6〜18のアリール基であることが好ましく、具体的には、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランおよびそれらの誘導体(例えば、N−(2−メチルフェニル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−メチルフェニル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等)を用いることがより好ましい。
また、上述したシランカップリング剤が、脂肪族性のシランカップリング剤であれば、上述した脂肪族ウレタンプレポリマーとの反応が低温(例えば、20〜50℃)で進行するという理由から好ましい。すなわち、上記一般式(5)におけるR8が炭素数1〜8の分岐していてもよいアルキル基であることが好ましく、具体的には、N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシランを用いることがより好ましい。
【0049】
上記接着付与剤(B)は、上述した脂肪族ウレンプレポリマーと、上述したシランカップリング剤とを、該脂肪族ウレタンプレポリマーのイソシアネート基(NCO基)と該シランカップリング剤の2級アミノ基(NH基)との当量比(NCO基/NH基)が0.1〜1.0となる範囲で反応させた反応生成物である。その具体例としては、上記で例示した各種脂肪族ウレタンプレポリマーとシランカップリング剤とを反応させて得られる反応生成物が挙げられる。
これらのうち、重量平均分子量10000のPPGの両末端にHDIを反応させた脂肪族ウレタンプレポリマーと、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランとを反応させて得られる反応生成物が好ましい。
ここで、脂肪族ウレタンプレポリマーとシランカップリング剤との反応は、該ウレタンプレポリマーと該シランカップリング剤とを、NCO基/NH基が0.1〜1.0、好ましくは0.2〜1.0となる当量比で混合させて行われる。当量比がこの範囲であれば、得られる接着付与剤(B)のNCO基が完全にシリル化され、該接着付与剤を含有する本発明のシーリング材組成物が耐水接着性に優れ、さらに硬化触媒量を低減できるという理由から好ましい。なお、シランカップリング剤が、2級アミノ基以外に1級アミノ基(NH2基)を有している場合は、上述の当量比(0.1〜1.0)は、NH基およびNH2基の合計活性水素に対するNCO基の当量比とする。
【0050】
本発明のシーリング材組成物は、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)および上記接着付与剤(B)を含有しており、上述したように、該架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部に対して、該接着付与剤(B)を5〜70質量部、好ましくは20〜60質量部含有している。上記接着付与剤(B)の含有量がこの範囲であれば、得られる本発明のシーリング材組成物が耐水接着性に優れ、硬化触媒量を低減できるという理由から好ましい。
これは、架橋性シリル基含有有機重合体(A)と共に接着付与剤(B)が架橋し、架橋性シリル基含有有機重合体(A)と接着付与剤(B)とが共に架橋した構造を有するマトリックスを形成するためであると考えられる。
【0051】
本発明のシーリング材組成物は、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)および接着付与剤(B)に加え、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、その他の添加剤、例えば、可塑剤、充填剤、硬化触媒、チクソトロピー性付与剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、分散剤、脱水剤、紫外線吸収剤を含有することができる。
【0052】
可塑剤としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、アゼライン酸、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クエン酸およびこれらの誘導体;ポリエステル、ポリエーテル、エポキシ系、パラフィン系、ナフテン系および芳香族系のプロセスオイル;等が挙げられる。
これらのうち、フタル酸系可塑剤、アジピン酸系可塑剤等のエステル系可塑剤が好ましい。
【0053】
具体的には、フタル酸系可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、 ジオクチル錫ラウレート(DOTL)、ジブチルフタレート(DBP)、ジラウリルフタレート(DLP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジメチルフタレート、ジエチルフタレートが挙げられる。これらのうち、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレートが好ましい。
アジピン酸系可塑剤としては、例えば、ジオクチルアジぺート(DOA)、ジイソノニルアジペート(DINA)、ジイソデシルアジぺート、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステルが挙げられる。これらのうち、ジイソノニルアジペートが好ましい。
その他の可塑剤としては、例えば、セバシン酸ジブチル、コハク酸ジイソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、トリオクチルフォスフェート、トリス(クロロエチル)フォスフェート、トリス(ジクロロプロピル)フォスフェート、リン酸トリクレジル、トリブチルトリメリテート(TBTM)、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、エポキシステアリン酸アルキル、エポキシ化大豆油;分子量500〜10,000のブチルアクリレート等のアクリルオリゴマーが挙げられる。
【0054】
所望により添加する可塑剤の含有量は、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部に対して、10〜200質量部であることが好ましく、50〜150質量部であることがより好ましい。可塑剤の含有量がこの範囲であれば、得られる本発明のシーリング材組成物の粘度が良好となり作業性を良好にすることができる理由から好ましい。
なお、可塑剤が上記脂肪族ウレタンプレポリマーの製造に用いられた場合には、シーリング材組成物における可塑剤の含有量は、該ウレタンプレポリマーの製造に用いられた可塑剤の量と、後に混合された可塑剤の量との和である。
【0055】
充填剤としては、各種形状の有機または無機のもの、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ(ホワイトカーボン)、クレー・タルク類、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、生石灰、炭酸塩類(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、胡粉)、アルミナ水和物(例えば、含水水酸化アルミニウム)、ケイソウ土、硫酸バリウム(例えば、沈降性硫酸バリウム)、マイカ、硫酸アルミナ、リトポン、アスベスト、グラファイト、二硫化モリブデン、軽石粉、ガラス粉、ケイ砂、ゼオライト;これらの脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル、高級アルコール付加イソシアネート化合物などによる表面処理物;ガラスバルーン;樹脂バルーン;等が挙げられる。
【0056】
カーボンブラックとしては、例えば、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace)、HAF(High Abrasion Furnace)、FEF(Fast Extruding Furnace)、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi−Reinforcing Furnace)、FT(Fine Thermal)、MT(Medium Thermal)等が挙げられる。
具体的には、上記SAFとしてはシースト9(東海カーボン社製)、ISAFとしてはショウワブラックN220(昭和キャボット社製)、HAFとしてはシースト3(東海カーボン社製)、FEFとしてはHTC#100(中部カーボン社製)等が例示される。また、GPFとしては旭#55(旭カーボン社製)、シースト5(東海カーボン社製)、SRFとしては旭#50(旭カーボン社製)、三菱#5(三菱化学社製)、FTとしては旭サーマル(旭カーボン社製)、HTC#20(中部カーボン社製)、MTとしては旭#15(旭カーボン社製)等が例示される。
【0057】
炭酸カルシウムとしては、具体的には、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)、コロイダル炭酸カルシウム等が挙げられる。
また、脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル、高級アルコール付加イソシアネート化合物等により表面処理された表面処理炭酸カルシウムも用いることができる。具体的には、脂肪酸で表面処理された炭酸カルシウムとして、カルファイン200(丸尾カルシウム社製)、ホワイトン305(重質炭酸カルシウム、白石カルシウム社製)、脂肪酸エステルで表面処理された炭酸カルシウムとして、シーレッツ200(丸尾カルシウム社製)等が好適に用いられる。これらのうち、脂肪酸、脂肪酸エステル、高級アルコール付加イソシアネート化合物等で表面処理されたものが特に好ましい。表面処理炭酸カルシウムは、粘度を高くするため形状保持性および作業性に寄与し、また、表面が疎水性であるため貯蔵安定性に寄与する。
【0058】
シリカとしては、具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、無水微粉ケイ酸、含水微粉ケイ酸、含水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
クレーとしては、具体的には、例えば、ろう石クレー、カオリン質クレー(カオリナイト、ハロイサイト)、パイロフィライト質クレー、セリサイト質クレー、焼成クレー等が挙げられる。
【0059】
所望により添加する充填剤の含有量は、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部に対して、50〜500質量部であることが好ましく、100〜400質量部であることがより好ましい。充填剤の含有量がこの範囲であれば、得られる本発明のシーリング材組成物の作業性の確保と補強効果に優れる理由から好ましい。
【0060】
硬化触媒としては、例えば、金属触媒、第三級アミン触媒が挙げられる。
金属触媒としては、具体的には、例えば、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫シリレート、オクチル酸ビスマス等が挙げられる。
【0061】
第三級アミン触媒としては、具体的には、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルアミルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルラウリルアミン、トリアリルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルフォリン、4,4′−(オキシジ−2,1−エタンジイル)ビス−モルフォリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、ピコリン、ジメチルアミノメチルフェノール、トリスジメチルアミノメチルフェノール、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−1、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、トリエタノールアミン、N,N′−ジメチルピペラジン、テトラメチルブタンジアミン、ビス(2,2−モルフォリノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、ビス(2,2−モルフォリノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルが好ましい。
【0062】
所望により添加する硬化触媒の含有量は、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。
なお、本発明においては、上記接着付与剤(B)を含有するため、上述したように、硬化触媒の含有量は、後述する比較例等でも示す従来の含有量(1.0〜5.0質量部程度)よりも低減した0.3〜1.2質量部程度に抑えることができる。これは、接着付与剤(B)が架橋性シリル基含有有機重合体(A)と存在することにより、該架橋性シリル基含有有機重合体(A)の架橋反応を促進させるためであると考えられる。
【0063】
チクソトロピー性付与剤としては、具体的には、例えば、エアロジル(日本エアロジル社製)、ディスパロン(楠本化成社製)等が挙げられる。
【0064】
顔料としては、無機顔料および有機顔料が挙げられる。
無機顔料としては、具体的には、例えば、亜鉛華、酸化チタン、弁柄、酸化クロム、鉄黒、複合酸化物(例えば、チタンエロー系、亜鉛−鉄系ブラウン、チタン・コバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック)などの酸化物;黄鉛、モリブデートオレンジなどのクロム酸塩;紺青等のフェロシアン化物;カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化亜鉛などの硫化物;硫酸バリウムなどの硫酸塩;塩酸塩;群青などのケイ酸塩;炭酸カルシウムなどの炭酸塩;マンガンバイオレットなどのリン酸塩;黄色酸化鉄などの水酸化物;カーボンブラックなどの炭素;アルミニウム粉、ブロンズ粉などの金属粉;チタン被覆雲母;等が挙げられる。
【0065】
有機顔料としては、具体的には、例えば、モノアゾレーキ系(例えば、レーキレッドC、パーマネンレッド2B、ブリリアントカーミン6B)、モノアゾ系(例えば、トルイジンレッド、ナフトールレッド、ファストエローG、ベンズイミダロンボルドー、ベンズイミダゾロンブラウン)、ジスアゾ系(例えば、ジスアゾエローAAA、ジスアゾエローHR、ピラゾロンレッド)、縮合アゾ系(例えば、縮合アゾエロー、縮合アゾレッド、縮合アゾブラウン)、金属錯塩アゾ系(例えば、ニッケルアゾエロー)などのアゾ系顔料;銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、臭素化銅フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;塩基性染料レーキ(例えば、ローダミン6レーキ)などの染付顔料;アンスラキノン系(例えば、フラバンスロンエロー、ジアンスラキノリルレッド、インダンスレンブルー)、チオインジゴ系(例えば、チオインジゴボルドー)、ペリノン系(例えば、ペリノンオレンジ)、ペリレン系(例えば、ペリレンスカーレット、ペリレンレッド、ペリレンマルーン)、キナクリドン系(例えば、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンスカーレット)、ジオキサジン系(例えば、ジオキサジンバイオレット)、イソインドリノン系(例えば、イソインドリノンエロー)、キノフタロン系(例えば、キノフタロンエロー)、イソインドリン系(例えば、イソインドリンエロー)、ピロール系(例えば、ピロールレッド)などの縮合多環顔料;銅アゾメチンエローなどの金属錯塩アゾメチン;アニリンブラック;昼光蛍光顔料;等が挙げられる。
【0066】
染料としては、具体的には、例えば、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化クロム、弁柄等が挙げられる。
老化防止剤は、具体的には、例えば、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N′−ジナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリン(TMDQ)、N−フェニル−1−ナフチルアミン(PAN)、ヒンダードフェノール系化合物等が挙げられる。
酸化防止剤は、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)などのヒンダードフェノール系化合物;亜リン酸トリフェニル:等が挙げられる。
帯電防止剤は、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩、アミンなどのイオン性化合物;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体などの親水性化合物;等が挙げられる。
難燃剤は、具体的には、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ジエチルビスヒドロキシエチルアミノホスフェート、ネオペンチルブロマイドーポリエーテル、臭素化ポリエーテル等が挙げられる。
【0067】
接着性付与剤は、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂、各種シランカップリング剤等が挙げられる。
分散剤は、具体的には、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、リノール酸カルシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩;ステアリン酸エチル、ラウリン酸エチル、オレイン酸ブチル、アジピン酸ジオクチル、ステアリン酸モノグリセライドなどの脂肪酸エステル;等が挙げられる。
脱水剤は、具体的には、例えば、メチルスアテアロキシポリシロキサン等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、具体的には、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤、フォルムアミジン系紫外線吸収剤、トリアジン環系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0068】
本発明のシーリング材組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)および接着付与剤(B)ならびに所望により含有させる各種添加剤を混合し、ロール、ニーダー、押出し機、万能攪拌機等を用いて室温下または加熱下(40〜60℃、例えば40℃)で十分に混合し、均一に分散させることにより製造することができる。
【実施例】
【0069】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1〜3および比較例1〜4)
架橋性シリル基含有有機重合体(A1)100質量部に対して、下記表1に示す組成成分(質量部)を添加し、高粘度用混合ミキサーで均一に分散させて実施例1〜3、比較例1〜4のシーリング材組成物を調製した。得られた各シーリング材組成物について、以下に示す貯蔵安定性、タックフリータイム(分)および耐温水接着性の評価を行った。その結果を下記表1に示す。
【0070】
なお、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A1)および各組成成分としては、以下に示すものを用いた。
架橋性シリル基含有有機重合体(A1):変成シリコーン(MSP S303、鐘淵化学工業社製)
炭酸カルシウム:カルファイン200(丸尾カルシウム社製)
可塑剤:DINP(ジェイ・プラス社製)
ジブチル錫オキサイド:ネオスタンNo.918(日東化成社製)
【0071】
接着付与剤(B1):重量平均分子量10000のPPGの両末端にHDIを反応させた脂肪族ウレタンプレポリマー(MUS−100、旭化成工業社製)100質量部と、アミノシランカップリング剤(KMB−602、信越化学工業社製)6.7質量部を20℃で1時間かくはんすることにより、両末端がシリル化された合成物
【0072】
低分子シランカップリング剤1:A−187(日本ユニカー社製)
低分子シランカップリング剤2:A−1110(日本ユニカー社製)
中分子シランカップリング剤3:A−171(重量平均分子量:2000、日本ユニカー社製)
【0073】
<貯蔵安定性>
得られた各シーリング材組成物を、密閉容器中、温度60℃のオーブン内で保存し、5日間経過後の状態を観察した。ゲル化が生じない又は粘度の上昇率が1.5倍以下のものを○として、ゲル化が生じる又は粘度の上昇率が1.5倍超のものを×とした。
【0074】
<タックフリータイム>
得られた各シーリング材組成物を、温度20℃、相対湿度55%の環境下で硬化させ、JIS A5758に準じて、タックフリータイム(分)を測定した。
【0075】
<耐温水接着性>
(1)耐温水接着性(50℃×7日)の評価は、得られた各シーリング材組成物を、温度20℃、相対湿度55%の環境下で5日間養生させ、さらに50℃の温水に7日間浸漬させたもののナイフカットによる剥離試験により行った。
(2)耐温水接着性(50℃×14日)の評価は、得られた各シーリング材組成物を、温度20℃、相対湿度55%の環境下で5日間養生させ、さらに50℃の温水に14日間浸漬させたもののナイフカットによる剥離試験により行った。
なお、(1)および(2)の各評価は、剥離試験による剥離面を目視し、シーリング材の凝集破壊状態であるものを○とし、凝集破壊と界面はく離が混在するものを△とし、全面界面はく離であるものを×とした。
【0076】
【表1】

【0077】
上記表1から明らかなように、変成シリコーンと高分子シランカップリング剤とを含有する実施例1〜3のシーリング材組成物は、従来の配合であるシーリング材組成物(比較例1〜4)と比較すると、耐水接着性を改善し、硬化触媒量を低減することができ、さらに貯蔵安定性を同等以上に保持することが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部と、接着付与剤(B)5〜70質量部とを含有する湿気硬化性シーリング材組成物であって、
前記接着付与剤(B)が、重量平均分子量8000以上の脂肪族ウレンプレポリマーと、2級アミノ基を有するシランカップリング剤とを、該脂肪族ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と該シランカップリング剤の2級アミノ基との当量比(イソシアネート基/2級アミノ基)が0.1〜1.0となる範囲で反応させた反応生成物である湿気硬化性シーリング材組成物。
【請求項2】
前記脂肪族ウレンプレポリマーが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)と、重量平均分子量が8000以上のポリプロピレングリコール(PPG)との反応生成物である請求項1に記載の湿気硬化性シーリング材組成物。

【公開番号】特開2006−225472(P2006−225472A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39281(P2005−39281)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】