説明

湿潤検出装置及び湿潤検出方法

【課題】撮像した対象物の画像データを画素毎に分割し、さらに、該画素毎の反射率と所定の閾値とを比較することで、湿潤状態ではない画素の画素数に応じた対象物への送液量を制御する。
【解決手段】処理部10は、対象物1の湿潤状態の判定処理として、対象物1が湿潤した状態の反射率を予め閾値として保持しており、CCD制御部7から送出された対象物1の画像データを、基準板2により取得した基準値を用いて1画素毎に反射率に変換し、対象物1の該1画素毎の反射率と、前記閾値とを比較することで、湿潤していないことを示す画素の画素数を算出し、この算出結果から、対象物1を湿潤させるべき量を演算する。その後、処理部10は、この湿潤させるべき量を信号値として送液制御部9に送出する。送液制御部9は、前記信号値に基づいて、対象物1を湿潤させるのに必要な所定の種類の液体の量を、信号値として送液部8に送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は湿潤検出装置及び湿潤検出方法に係り、特に、対象物の撮像から得られる該対象物の反射率を基に、該対象物の湿潤状態を判別する湿潤検出装置及び湿潤検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の湿潤検出装置では、対象物全体に自動で液体などを滴下する場合、むらなく対象物を湿潤できたか否かの判定には作業者による判断を必要とするため、自動化を実現することは困難であり、また、湿潤の結果により再度滴下する液体などの量を定量的に決めることも操作者の個人差が生じてしまうため、本発明では、この点の解決が課題であった。
公知の湿潤検出装置として、例えば、特許文献1には、「路面状態検出装置および交通流検出装置」が開示されている。この文献では、安価で適正に路面状態を検出できる装置として、照射装置から照射したレーザ光の路面のエリアからの反射光をカメラで撮影し、該カメラで撮影したエリアの画像から反射光輝度及び反射パターンをデータ抽出回路で抽出し、また、比較判定回路が、データ抽出回路で抽出した反射光輝度及び反射パターンと、データベースに予め記憶された基準反射光輝度及び基準反射パターンとに基づいて路面の乾燥または凍結の有無を判定し、その凍結路面の情報を警告表示板に表示して通行車両の運転者に提供することを記載している。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、「可視画像式路面状況把握装置における路面状況判定方法」が開示されている。この文献では、判定範囲が狭い領域に限定されることなく、また、路面状態によって種類分けが必要となることを無くし、路面のような広い領域に渡って路面状態を監視したいという要求に応えることができるコストの安い路面状況判定方法として、或る路面範囲における路面の湿潤、乾燥等の状態を検知する路面状況把握装置において、路面を俯瞰するように取付けられた可視カメラからの路面映像信号を基に、検知したい画像を、例えば湿潤に対して外乱因子となる天候条件(即ち、晴天、曇り、夜間等)の環境条件にそれぞれ対応して予め撮像すると共に、これらを基準画像として蓄えておき、新たに撮像した検査画像と差分比較することにより、検査画像がどの基準画像に最も近いかを演算することによって、検査画像における路面状態を判別する方法を記載している。
【0004】
また、例えば、特許文献3には、「車両用路面状態推定装置」が開示されている。この文献では、遠隔路面の輝度に基づいて遠隔路面の乾湿状況を推定する場合に、周囲環境からの影響を極力排除して、より精度よく遠隔路面の乾湿状況を推定装置として、第1のセンサで検出された自車両から所定距離内の路面水分と、第2のセンサで検出された自車両から前記所定距離内の路面輝度とに基づいて、判定用しきい値を設定し、第1のセンサで検出された自車両から前記所定距離以上離れた遠隔路面の輝度と、前記判定用しきい値とを比較して、遠隔路面の乾湿状況となる路面状態を推定することを記載している。
【0005】
また、例えば、特許文献4には、「試料分析装置」が開示されている。この文献では、バイオセンサによる試料濃度測定システムを構成する周辺機器をパーソナルコンピュータにより制御して手間を無くすことを意図し、センサ出力信号をパーソナルコンピュータに入力することにより、信号処理、統計処理、ファイリング等の実行を容易にすることを記載している。また、パーソナルコンピュータのキーボードのみの操作で分析が可能となるばかりでなく、信号処理や統計処理もできるという効果も記載している。
【0006】
さらに、例えば、特許文献5には、「物体表面の乾湿検出システム」が開示されている。この文献では、物体表面の乾燥・湿潤の状態を的確に検知し散水の必要な場所をリアルタイムに把握する検知システムの提供を意図し、物体表面を斜めに照射する光源と、物体表面よりの反射光の中の特定振動方向の光のみを透過する偏光フィルターと、偏光した反射光を集光するカメラと、集光した光に基づく演算処理及び画像処理を行うコンピュータと、演算処理及び画像処理の結果を表示するディスプレイ並びに結果を記録する記録部とから構成されて、コンピュータにより、水平偏光のイメージから垂直偏光のイメージの減算−平均化の演算、並びに上記減算値からのしきい値の減算−平均化の演算を行い、その結果を表示及び/または記録するシステムを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−148184号公報
【特許文献2】特開2002−162343号公報
【特許文献3】特開2009−42115号公報
【特許文献4】特開平5−209861号公報
【特許文献5】特開平9−159602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記背景技術で述べた従来の湿潤検出装置にあっては、対象物全体に自動で液体などを滴下する場合、むらなく対象物を湿潤できたか否かは、作業者による判断を必要としていたために、自動化を実現することは困難であるという問題点が有った。
また、判断した湿潤度に応じて液体などを再度滴下する場合、該滴下量を定量的に決めることも、作業者の個人差による差異を生じてしまうという問題点が有った。
なお、前述の特許文献1〜5に記載の湿潤検出装置では、本発明に係る湿潤検出装置のように、湿潤度の判定に際して、対象物の画像データから、該対象物と併置した予め反射率の知れている基準板の画像データを参考にして反射率(湿潤状態の判定境界を定めるパラメータ)を求めること、及び該画像データでの湿潤状態を、画素毎に判定して、湿潤していない画素の画素数を得ること、並びに該湿潤していない画素の画素数に応じて被測定対象を湿潤させること、といった処理はなされていない。
【0009】
本発明に係る湿潤検出装置は、
(1) 対象物を撮像して得られる撮像結果から求めた対象物の反射率と、予め保持された、湿潤状態を判定するための閾値となる反射率とを比較して対象物の湿潤状態を判別するものであり、
(2) さらに、対象物をCCD撮像装置で撮像することで、対象物の映像を画素毎に分割し、該画素毎の反射率と閾値とを比較することで、湿潤状態ではない画素の画素数に応じて対象物への送液量を制御すること、
を骨子とする。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、対象物と基準板とを同時撮影して得られる撮像結果から求めた対象物の反射率と、予め保持された、湿潤状態を判定するための閾値となる反射率とを比較して対象物の湿潤状態を判定することを可能とし、作業者の判断による個人差を無くして対象物の湿潤状態を的確に判定できる湿潤検出装置及び湿潤検出方法を提供することを目的としている。
本発明の他の目的は、撮像した対象物の画像データを画素毎に分割し、さらに、該画素毎の反射率と所定の閾値とを比較することで、湿潤状態ではない画素の画素数に応じた対象物への送液量を制御することを可能にして、対象物の湿潤状態を作業者の個人差による差異を無くして判定することができる湿潤検出装置及び湿潤検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る湿潤検出装置は、所定の湿潤状態を判定するための反射率を、湿潤状態を定める閾値として予め保持する手段と、湿潤状態の判定対象となる対象物の撮像データに対応する画像データと、予め反射率が把握されている1つ以上の基準板の撮像データに対応する画像データとを同時点で取得する手段と、前記対象物の反射率を、前記対象物の画像データを基に前記基準板の画像データを参照して決定する手段と、前記対象物の湿潤状態を、前記対象物の反射率と、前記予め保持された所定の湿潤状態を判定するための前記反射率とを比較することで判定する手段と、前記判定された前記対象物の湿潤状態に応じて、前記対象物を湿潤させる手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る湿潤検出方法は、湿潤状態の判定対象となる対象物の撮像データに対応する画像データと、予め反射率が把握されている1つ以上の基準板の撮像データに対応する画像データとを同時点で取得するステップと、前記対象物の反射率を、前記対象物の画像データを基に前記基準板の画像データを参照して決定するステップと、前記対象物の湿潤状態を、一般的な物質の湿潤度と反射率との関係に基づいて、前記対象物の反射率と、湿潤状態を定める閾値として予め保持された反射率とを比較することで判定するステップと、前記判定された前記対象物の湿潤状態に応じて、前記対象物を湿潤させるステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の湿潤検出装置によれば、対象物の湿潤状態を判定する判定方法を、対象物の湿潤度と反射率との関係に基づく判定方法とし、さらに、対象物の反射率を求める際には、同時点での撮影により取得した、対象物の撮像データと、予め反射率が知られている反射板の撮像データとを参照して決定し、これにより、対象物の湿潤状態を正確かつ定量的に判定できるので、この判定結果から、対象物が十分に湿潤していないと判断される場合には、対象物に適量の液体を自動的に送出することができる効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一般的な物体の湿潤度と反射率との関係を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る湿潤検出装置の全体構成を示す構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る湿潤検出装置の設置台3部分の詳細構成を示す構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る湿潤検出装置における処理部10の処理手順を示すフローチャート図である。
【図5】基準板2の画像から色信号の信号強度を反射率に換算する、校正線を含むグラフ図である。
【図6】測定された対象物1の画像の1例を示す説明図である。
【図7】図6に示す画像に対応し、湿潤していることを示していると判定された画素及び湿潤していないことを示していると判定された画素の1例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る湿潤検出装置は、対象物を撮像して得られる撮像結果から求めた対象物の反射率と、予め保持された、湿潤状態を判定するための閾値となる反射率とを比較し、対象物の湿潤状態を判別する。
また、その際に、対象物をCCD撮像装置で撮像することで、対象物の映像を画素毎に分割し、該画素毎の反射率と閾値とを比較することで、湿潤していないことを示す画素の画素数を取得しており、これにより、湿潤状態ではないことを示す画素の画素数に応じて対象物への送液量を制御する。
【0016】
(発明の基本原理)
図1は、一般的な物体の湿潤度と反射率との関係を示す説明図である。
同図に示すように、一般に、物体の反射率は、乾燥している場合は高く、湿潤している場合には低くなる。このような特性に基づいて、光電変換装置で物体を撮像し、該物体の反射率を定量的に取得することにより、該物体の湿潤の程度を検知することができる。
また、物体の部分的な湿潤状態を湿潤部分の面積で定量化し、この量に応じて物体に液体を送液することで、自動的に、かつ人手による場合の個人差を無くして物体を的確に湿潤させることができる。
以下、本発明の湿潤検出装置及び湿潤検出方法の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図2は、本発明の実施形態に係る湿潤検出装置の全体構成を示す構成図である。
同図において、本実施形態の湿潤検出装置は、反射率の基準となる基準板2と、対象物1(被測定対象)及び基準板2を積載する設置台3と、LED4(照明装置)と、CCD5(撮像装置)と、LED4を制御するLED制御部6と、CCD5を制御するCCD制御部7と、所定の種類の液体を送出す送液部8と、送液部8を制御する送液制御部9と、装置全体を制御すると共に、撮像データの処理及び湿潤度の判定処理を行う処理部10と、を備える。
【0018】
図3は、本発明の実施形態に係る湿潤検出装置の設置台3部分の詳細構成を示す構成図である。
設置台3の一部分は凹状に生成されており、対象物1を設置することができる。
また、設置台3の前記凹状部分とは異なる他の部分には、予め反射率が知られており、対象物1の反射率を決定する際の基準となる1つ以上の基準板2が貼り付けられている。
以下、本実施形態の湿潤検出装置の機能について説明する。
LED制御部6は、LED4を制御する。
CCD制御部7は、CCD5を制御すると共に、CCD制御部7から送出された対象物1と基準板2の撮像信号を基に画像データを作成し、処理部10に送出する。
LED4は、LED制御部6による制御の下で、設置台3上の対象物1と基準板2とを同時に照明する。
CCD5は、LED制御部6による制御の下で、照明された対象物1と基準板2とを撮像し、その撮像信号をCCD制御部7に送出する。
送液部8は、送液制御部9による制御の下で、対象物1に所定の種類の液体を送出する。
【0019】
処理部10は、LED制御部6、CCD制御部7、及び送液制御部9を制御すると共に、CCD制御部7から送出される画像データに基づいて、対象物1の湿潤状態の判定処理を行う。
処理部10は、対象物1の湿潤状態の判定処理として、対象物1が湿潤した状態の反射率を予め閾値として保持しており、CCD制御部7から送出された対象物1の画像データを、基準板2により取得した基準値を用いて1画素毎に反射率に変換し、対象物1の該1画素毎の反射率と、前記閾値とを比較することで、湿潤していないことを示す画素の画素数を算出し、この算出結果から、対象物1を湿潤させるべき量(即ちレベル値)を演算する。その後、処理部10は、この湿潤させるべき量(レベル値)を信号値として送液制御部9に送出する。
【0020】
なお、前記画素の各々は、前記画像データに対応する画像上で、所定の一定面積を占めるものである。また、ここでは、図7に示すように、前記画素の各々をメッシュとして切り出した画素としているが、一般に、本発明では、これら画素の該画像上での切り出し方、特に、形状や配置については任意である。
送液制御部9は、前記信号値(レベル値)に基づいて、対象物1を湿潤させるのに必要な所定の種類の液体の量を、信号値として送液部8に送出する。
送液部8は、送液制御部9から送出された前記信号値に基づいて、対象物1を湿潤させるのに必要な量の、前記液体を、対象物1の表面上に送出する。
【0021】
図4は、本発明の実施形態に係る湿潤検出装置における処理部10の処理手順を示すフローチャート図である。
以下、図2,3を参照しながら、図4に示すフローチャート図を使用して、本実施形態に係る湿潤検出装置における処理部10の処理手順を説明する。
(ステップS1)
まず、ステップS1で、処理部10は、CCD制御部7から送出される画像データに基づいて、対象物1の色信号を取得する。
【0022】
図5は、基準板2の画像から色信号の信号強度を反射率に換算する、校正線を含むグラフ図である。
(ステップS2)
次に、ステップS2で、処理部10は、基準板2の画像から信号強度と反射率を換算する校正線を作成する(校正線の1例を図5に示す)。
図6は、測定された対象物1の画像の1例を示す説明図である。
図7は、図6に示す画像に対応し、湿潤していることを示していると判定された画素及び湿潤していないことを示していると判定された画素の1例を示す説明図である。
【0023】
(ステップS3)
次に、ステップS3で、処理部10は、対象物1の画像を図6に示すグラフ図に基づく算式により、該画像の1画素毎に信号強度を反射率に換算する。
(ステップS4)
次に、ステップS4で、処理部10は、処理した画素の画素数をカウントする変数iと、湿潤していないことを示す画素の画素数だけをカウントする変数jとを、それぞれ初期化する。
(ステップS5)
次に、ステップS5で、処理部10は、変数iが全画素数に到達したか否かを判定し、変数iが全画素数に到達していればステップS9に移り、変数iが全画素数に到達していなければステップS6に進む。
【0024】
(ステップS6)
ステップS6では、処理部10は、変数iが全画素数に到達していない場合の処理として、処理部10は、予め記憶した閾値(即ち、対象物1が湿潤した状態における反射率)を読み出し、該閾値とステップ3で得られた反射率とを比較し、その結果、対象物1が湿潤していない場合(即ち、前記反射率が該閾値より大となる場合)は、ステップS8に移り、対象物1が湿潤している場合(即ち、前記反射率が該閾値より小となる場合)はステップS7に進む。
(ステップS7)
ステップS7では、処理部10は、対象物1が湿潤している場合の処理として、変数iをi=i+1とし、その後、ステップ5に戻る。
【0025】
(ステップS8)
ステップS8では、処理部10は、対象物1が場合の処理として、変数jをj=j+1とし、その後、ステップ7に移る。
(ステップS9)
ステップS9では、処理部10は、変数iが全画素数に到達した場合の処理として、予め記憶した算式(即ち、湿潤していないことを示す画素の画素数を送液量に換算する算式)を読み出し、該算式に基づいて変数jの値(即ち、対象物1の湿潤していないことを示す画素の画素数)を、所定の種類の液体の送液量に換算する。
(ステップS10)
ステップS10では、処理部10は、ステップS9で算出した送液量と該送液量の送液指示とを送液制御部9に送出し、送液制御部9の制御の下に、該送液量の所定の種類の液体を、送液部8を介して対象物1に送液させる。
【0026】
なお、この実施形態で説明した前記湿潤度の閾値として設定する数値は、本発明では、一般に、任意の値に変更することが可能である。
本実施形態の湿潤検出装置によれば、対象物の湿潤状態の判定を、人手による判断ではなく、対象物の湿潤度と反射率との関係に基づく判定方法により、定量的に判定することができるので、対象物の湿潤度を的確に測定することが可能となる効果が有る。
また、この結果を用いて対象物が十分に湿潤していない場合は、対象物1に、適量の所定の種類の液体を、作業者による判断には依らずに自動で送液することができる効果が有る。
【0027】
なお、本発明に係る湿潤検出装置の各構成要素の処理の少なくとも一部をコンピュータ制御により実行するものとし、かつ、上記処理を、図4のフローチャートで示した手順によりコンピュータに実行せしめるプログラムは、半導体メモリを始め、CD−ROMや磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配付してもよい。そして、少なくともマイクロコンピュータ、パーソナルコンピュータ、汎用コンピュータを範疇に含むコンピュータが、上記の記録媒体から上記プログラムを読み出して、実行するものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、湿潤検出装置の構築に適用可能であり、特に、対象物の撮像から得られる該対象物の反射率を基に、該対象物の湿潤状態を判別する湿潤検出装置の構築に好適であり、例えば、
(1)液体と対象物との化学変化を自動で観測する装置、
(2)車両が通行する路面に複数のセンサを設置して、路面の湿潤状態を自動で検出し、その値を集中管理することで、当該路面がスリップするような状況にあるかを判断する装置、
等への応用が可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 対象物(被測定対象)
2 基準板
3 設置台
4 LED(照明装置)
5 CCD(撮像装置)
6 LED制御部
7 CCD制御部
8 送液部
9 送液制御部
10 処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の湿潤状態を判定するための反射率を、湿潤状態を定める閾値として予め保持する手段と、
湿潤状態の判定対象となる対象物の撮像データに対応する画像データと、予め反射率が把握されている1つ以上の基準板の撮像データに対応する画像データとを同時点で取得する手段と、
前記対象物の反射率を、前記対象物の画像データを基に前記基準板の画像データを参照して決定する手段と、
前記対象物の湿潤状態を、前記対象物の反射率と、前記予め保持された所定の湿潤状態を判定するための前記反射率とを比較することで判定する手段と、
前記判定された前記対象物の湿潤状態に応じて、前記対象物を湿潤させる手段と、
を備えたことを特徴とする湿潤検出装置。
【請求項2】
前記対象物の湿潤状態を前記画像データの画素毎に判定処理すると共に、前記画像データの前記画素毎の判定処理において、前記所定の湿潤状態では無いと判定された画素の総画素数をカウントし、該カウントの終了後に、前記対象物に対して、所定の種類の液体を、前記カウントされた総画素数に対応した液量だけ注入することを特徴とする請求項1記載の湿潤検出装置。
【請求項3】
前記画素の各々は、前記画像データに対応する画像上で、所定の一定面積を占めるものであることを特徴とする請求項2記載の湿潤検出装置。
【請求項4】
湿潤状態の判定対象となる対象物の撮像データに対応する画像データと、予め反射率が把握されている1つ以上の基準板の撮像データに対応する画像データとを同時点で取得するステップと、
前記対象物の反射率を、前記対象物の画像データを基に前記基準板の画像データを参照して決定するステップと、
一般的な物質の湿潤度と反射率との関係に基づいて、前記対象物の湿潤状態を、前記対象物の反射率と、湿潤状態を定める閾値として予め保持された反射率とを比較することで判定するステップと、
前記判定された前記対象物の湿潤状態に応じて、前記対象物を湿潤させるステップと、を有することを特徴とする湿潤検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−149911(P2011−149911A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13486(P2010−13486)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】