説明

溝切り操作および突切り操作のための切削工具

【課題】溝切り操作及び突切り操作のための切削工具およびインサートを提供すること。
【解決手段】本発明においては、工具ホルダであって、基部支持表面と、該基部支持表面から突出する少なくとも第1側部支持表面および第2側部支持表面とにより局限されたポケットを備えるという工具ホルダと、上記ポケット内に解除可能に固着可能な切削用インサートであって、該切削用インサートが、ブレード部分と、該ブレード部分から突出する側部表面を備える基礎部分とにより形成され、上記基礎部分は、該基礎部分の第1側部表面および第2側部表面が上記ポケットの第1側部支持表面および第2側部支持表面に夫々接触する如く、上記ポケット内に受容されるという切削用インサートとを備え、上記第1側部表面は、上記切削用インサートの内側に向かう凹所を備え、上記第1側部支持表面は上記切削用インサートの内側に向かう相補的な突出部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝切り操作および突切り操作のための切削工具に関する。本発明は更に、切削工具用の切削用インサートに関する。
【背景技術】
【0002】
溝切り旋削操作もしくは溝付け操作とも称される溝切り操作、および、切断操作とも称される突切り操作は、外側旋削操作であり、その場合に切削工具は通常は、機械加工される当該被加工材の一回転毎に、該被加工材に関して前進される。ひとつの被加工材に対するサイクル時間を短縮するために、上記切削工具を前進させる距離は十分に大きく選択されるが、このことは、切削用インサートの高い剛性、および、該切削用インサートを工具ホルダ上に固定する高信頼性の挟持システムを必要とする。
【0003】
溝切り操作および突切り操作のために工具ホルダおよび切削用インサートを備える切削工具は、例えば欧州特許公開公報第EP 0 027 783 A1(特許文献1)に記述されている。該欧州特許公開公報第EP 0 027 783 A1において記述された工具ホルダは、その一方の側面にて、基部支持表面と、それから直立する各側部支持表面とにより画成されたポケットを備えている。上記切削用インサートは、上記ホルダにおける横断ボアに対して螺着可能に係合可能な中心ネジにより上記ポケット内に解除可能に固着され、その場合、上記インサートは正三角形の形状であり、その中央部分は、三角形状を有する突出部であって、上記ポケット内に受容されているときに該インサートの残部から延在するという突出部とされ、上記ポケットは上記突出部に関して相補的な形状とされ、且つ、上記突出部は、上記インサートの上記残部から角度的にオフセットされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許公開公報第EP 0 027 783 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
故に本出願の目的は、サイクル時間を更に短縮するために高い剛性を有する切削工具およびインサートを提供するに在る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、溝切り操作および突切り操作のための切削工具であって、
該切削工具は、頂面と、底面と、対置されて長手方向に延在する2つの側面とを有する工具ホルダであって、該工具ホルダは、その側面の一方において、基部支持表面と、該基部支持表面から突出する少なくとも第1側部支持表面および第2側部支持表面とにより局限された多角形の形状のポケットを備えるという工具ホルダを備え、
該切削工具は更に、上記ポケット内に解除可能に固着可能な切削用インサートであって、該切削用インサートは、ブレード部分と、該ブレード部分から突出する側部表面を備える基礎部分とにより形成され、上記基礎部分は、該基礎部分の第1側部表面および第2側部表面が上記ポケットの上記第1側部支持表面および上記第2側部支持表面に夫々接触する如く、上記ポケット内に受容されるという切削用インサートを備える、
という切削工具において、
上記第1側部表面は、上記切削用インサートの内側に向かう凹所を備え、上記第1側部支持表面は上記切削用インサートの内側に向かう相補的な突出部を備える、切削工具により達成される。
【0007】
上記第1側部表面は、上記凹所における上記領域において上記第1側部支持表面と接触する。上記ブレード部分は好適には、溝切り操作もしくは突切り操作のために上記工具ホルダから突出する少なくともひとつの切削用角隅部を有する多角形形状の平坦要素である。使用に際し、上記ブレード部分に対しては切削力が作用する。上記各側部支持表面は、上記切削力により誘起される上記切削用インサートの運動を制限する。結果として、上記切削用インサートは、上記第1側部支持表面における第1の接触領域もしくは接触点と、上記第2側部支持表面における第2の接触領域もしくは接触点とに当接して付勢される。上記ポケットは、切削力が、上記第2側部支持表面における上記第2の接触領域もしくは接触点の回りにおいて上記切削用インサートに作用するトルクもしくはモーメントに帰着する如く、形状化される。本発明に関連し、接触点という語句は、ゼロ次元の要素のみを意味すると理解されるべきでなく、2つの要素が相互に接触する領域もしくは面積も包含する。上記切削用インサートに作用する上記モーメントの故に、上記インサートの上記第1側部表面が上記ポケットの上記第1側部支持表面に接触する上記接触領域においては反力が付与される。該反力は、上記接触領域における各表面の直交方向に付与される。凹所および相補的な突出部を配備することにより、上記反力の方向は影響される。上記反力の実効性を増大するために、上記反力の方向の間の角度は最小化される。上記基礎部分の上記第1側部表面上に凹所を配備することにより、該第1側部表面上には、回転運動を制限するストッパが形成される。
【0008】
好適実施形態に依れば、上記基礎部分は正多角形の形状であると共に、該基礎部分は、等しく形状化された3つの側部表面を備える。上記基礎部分の正多角形形状に依れば、上記切削用インサートは、上記ブレード部分の種々の領域、特に上記ブレード部分上に配備された種々の切削用角隅部を旋削操作のために上記工具ホルダから突出させ乍ら、上記ポケット内で割出されて位置決めされ得る。
【0009】
一実施形態において、上記凹所は複数の平坦な側部表面区画により形成される。好適実施形態において、上記基礎部分の少なくとも上記第1側部表面は上記切削用インサートの内側に向けて凹状に湾曲されるが、上記第1側部支持表面は上記切削用インサートの内側に向けて凸状に湾曲される。上記凹所および上記対応する突出部は、各曲率形状により形成される。上記曲率形状に依れば高信頼性の位置決めが高精度で許容され、これは、平坦な各側部表面区画を有するインサートの位置決めよりも、製造誤差が生じにくい。上記基礎部分が正多角形の形状である場合、全ての側部表面は、上記インサートの内側に向けて凹状に湾曲される。
【0010】
更なる別実施形態において、上記ブレード部分は、上記基礎部分の多角形形状と同一種類であるが該基礎部分から角度的にオフセットされた多角形形状を有する。本願に関し、多角形形状の種類は配備される主要縁部の個数により定義され、その場合に上記基礎部分の各角隅部は截頭されることで、付加的な角隅部および付加的な副次的縁部を形成し得る。幾つかの実施形態において、上記ブレード部分の主要側縁部は、湾曲され、もしくは、角度付けされる。上述された如く、好適実施形態における上記切削用インサートは、割出し可能とされて、上記ブレード部分の異なる領域が使用されることを許容する。一致する種類の複数の多角形形状を提供するとき、ブレード部分の各切削用角隅部には、上記ポケットにおいて上記切削用インサートのひとつの位置が割当てられる。
【0011】
一実施形態において、上記ブレード部分および上記基礎部分、ならびに、上記ポケットは、4個の角隅部を有する正多角形の形態で構成される。好適実施形態において、上記ブレード部分は、正三角形の形状または本質的に正三角形の形状であるが、上記基礎部分は、上記ブレード部分の形状に関して約10°〜約60°に設定される角度的オフセットを以て、対応する三角形の形状もしくは本質的に三角形の形状を有する。言及された如く、使用に際し、上記ブレード部分には切削力が作用し、これは上記切削用インサートに作用するトルクもしくはモーメントに帰着する。上記第1側部支持表面と上記第1側部表面との間の上記接触領域においては、上記第1側部支持表面に対して直交する方向に反力が作用している。上記各側部表面上の上記凹所の角度的オフセットおよび深度、または、該各側部表面の凸状曲率は、上記切削力により付与される上記モーメントから帰着する運動の方向と、上記反力の方向との間の角度に影響する。一実施形態において、上記凹所の角度的オフセットおよび深度、または、曲率は、上記運動の方向と上記反力の方向との間の角度を最小化すべく選択される。これにより、上記各表面に作用する反力を減少しながら、上記ストッパは更に有効とされ得る。
【0012】
一実施形態において、三角形の形状もしくは本質的に三角形の形状を有する上記基礎部分の各角隅部は、截頭される。截頭された角隅部を配備することにより、上記切削用インサートの全体的サイズを増大することなく、上記基礎部分の有効サイズが増大され得る。
【0013】
上記工具ホルダに配備された上記ポケットは2つの側部支持表面を備えるV形状ポケットの形状であり、上記各側部支持表面は、上記2つの側部支持表面の中間の二等分線が上記工具ホルダの長手方向に関して傾斜される如く、上記工具ホルダの前部および頂面に向けて発散する。換言すると、上記2つの側部支持表面を備える上記ポケットの内側境界は、該ポケットが上記ホルダの前部および頂面に向けて開口する如く、中断される。
【0014】
上記工具ホルダは、上記ポケットの形状に対応する同一的な基礎部分を夫々有する種々の切削用インサートであって、サイズが異なり、特に上記ブレード部分の厚みが異なるという種々の切削用インサートと共に使用され得る。一実施形態において、上記切削用インサートのブレード部分は、上記基礎部分が上記ポケット内に挿入されたときに上記工具ホルダから突出する。上記工具ホルダは、上記側面における陥没部であって、該陥没部内に上記ポケットが配置されるという陥没部を備え、上記陥没部の深度は、上記ポケットの深度よりも小さく、使用中でない上記基礎部分の一部分は、少なくとも部分的に上記陥没部内に収容される。上記切削用インサートは上記工具ホルダから突出しないので、上記切削工具の安全性は高められる。
【0015】
上記切削用インサートは、磁力要素により上記工具ホルダ内に固定されても良い。好適実施形態において、上記インサートを上記ポケット内に固着するための少なくともひとつの固定要素が配備され、好適には、上記少なくともひとつの固定要素は、上記ポケットにおける雌ネジ切りされた孔に螺着可能に係合可能な中心ネジである。
【0016】
上記工具ホルダは好適には、柄部と、該柄部の前端部上に配備されて上記ポケットが形成される突出部とにより形成される。上記柄部および上記突出部は好適には一体的な要素として設計され、その場合に上記突出部の断面積は、上記工具ホルダの残部、特に上記柄部のそれよりも大きく選択され得る。好適実施形態において、上記工具ホルダの頂面と前面との間の縁部は、截頭される。上記工具ホルダの上記縁部を截頭することにより、上記ブレード部分の使用に際して切削用角隅部に対する間隙が提供される。上記截頭部は好適には、上記基部支持表面の減少を回避するために、該截頭部が上記ポケットの領域と干渉しない様に選択される。
【0017】
上記目的は更に、切削工具のための切削用インサートであって、ブレード部分と、該ブレード部分から突出する側部表面を備える基礎部分とを備えるという切削用インサートにおいて、上記基礎部分の少なくとも第1側部表面は、当該切削用インサートの内側に向かう凹所を備える、という切削用インサートにより達成される。好適実施形態において、上記基礎部分は正多角形の形状であると共に、該基礎部分は、等しく形状化された3つの側部表面を備える。付加的に、または、代替策として、好適には上記基礎部分の少なくとも上記第1側部表面は上記切削用インサートの内側に向けて凹状に湾曲される。一実施形態において、上記ブレード部分は、上記基礎部分の多角形形状と同一種類であるが該基礎部分から角度的にオフセットされた多角形形状を有する。好適実施形態において、上記ブレード部分は、正三角形の形状または本質的に正三角形の形状であるが、上記基礎部分は、上記ブレード部分の形状に関して約15°〜約50°に設定される角度的オフセットを以て、対応する三角形の形状もしくは本質的に三角形の形状を有する。
【0018】
好適実施形態は、従属請求項において定義される。
【0019】
以下において、本発明の実施形態は幾つかの概略図に基づいて詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】工具ホルダと切削用インサートとを備える切削工具の概略的斜視図である。
【図2】図1に示された切削工具の概略的な分解斜視図である。
【図3】図1に示された切削工具の概略的側面図である。
【図4】図3に係る断面IV−IVに沿う切削工具の概略的断面図である。
【図5】図1に示された切削工具において使用される切削用インサートの概略的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
各図を通し、同一の要素は同一の参照番号により表される。
【0022】
図1から図3に示された切削工具1は、工具ホルダ2、切削用インサート3、および、中心ネジ4を備える。工具ホルダ2は本質的に矩形状の断面を有することから、頂面20と、底面21と、対置されて長手方向に延在する2つの側面22、23とを有する。
【0023】
前端部にて、工具ホルダ2は、その一方の側面22にてポケット24を備え、該ポケット24はV形状ポケットである。図2に最適に見られる如く、該ポケット24は、本質的に三角形状の基部支持表面240と、該基部支持表面240からV形状に突出する第1側部支持表面241および第2側部支持表面242とにより局限される。
【0024】
切削用インサート3は、図5において詳細に示される。図5に示された如く、切削用インサート3は、ブレード部分30と、該ブレード部分31から突出する側部表面310、311、312を有する基礎部分31とにより形成され、該基礎部分31は、該基礎部分31の第1側部表面310および第2側部表面311がポケット24の第1側部支持表面241および第2側部支持表面242に夫々接触する如く、上記ポケット24(図2参照)内に受容される。
【0025】
図5に示された如く、ブレード部分30は3つの切削用角隅部300、301、302を備える本質的に正三角形の形状であり、基礎部分31もまた、ブレード部分31の形状に関してオフセットされた本質的に三角形状を有している。基礎部分31の各先端は、截頭されている。図1および図2から理解され得る如く、描かれた切削用インサート3は、該切削用インサート3がポケット24内に3つの異なる配向にて受容され得る如く割出し可能であり、各配向において、3つの切削用角隅部300、301、302の内のひとつは、工具ホルダ2から突出して旋削操作のために使用され得る。
【0026】
図2に最適に見られる如く、ポケット24は2つの側部支持表面241、242を備えたV形状ポケットの形状であり、その場合に各側部支持表面241、241は、中間の二等分線が上記工具ホルダ2の長手方向に関して傾斜される如く、工具ホルダ2の前部および頂面20に向けて夫々発散する。ポケット24は前部および頂面20に向けて外方に開くことから、使用に際して切削用角隅部302に対応する基礎部分31のひとつの側部表面312(図5参照)は、基礎部分31がポケット24内に受容されたときに支持されない。
【0027】
工具ホルダ2の前面27は傾斜され、且つ、該工具ホルダ2の頂面20と前面27との間の縁部は、使用に際して切削用角隅部302に対する間隙を増大するために截頭される。
【0028】
描かれた実施形態において、工具ホルダ2は、ポケット24が配置される側面22に陥没部25を備えている。陥没部25の深度はポケット24の深度より小さく、且つ、使用中でない切削用角隅部300、301は陥没部25内に収容される。陥没部25を配備することにより、使用中でない切削用角隅部300、301は保護される。他の実施形態において、上記工具ホルダの断面積は、切削用インサート3が、ポケット24内に受容されている間に工具ホルダ2の側面22から突出する如く選択される。夫々の切削用インサート3はブレード部分30の背面に、該切削用インサート3がポケット24内に受容されたときに陥没部25の表面に当接する接触表面34を備えている。該接触表面24は、ブレード部分30および基礎部分31に対して角度的にオフセットされた截頭三角形の形態である。ブレード部分30の各側縁部は、外側へと凸状に湾曲される。
【0029】
切削用インサート3は貫通孔33を備えると共に、該インサートは、ポケット24における雌ネジ切りされた孔26に対して螺着可能に係合可能し得る中心ネジ4を用いてポケット24内に固着される。
【0030】
図4は、図3に係る断面IV−IVに沿う切削工具1の概略的断面図であり、機械加工される被加工材5は概略的に示される。機械加工の間、切削用インサート3に対しては切削力Fが作用する。該切削力Fは切削用インサート3の運動を引き起こし、該運動は、ポケット24の堅固な支持表面241、242により制限される。更に詳細には、切削用インサート3の第2側部表面311は側部支持表面242に対して接触点Cにて接触し、その場合に該接触点Cの回りに回転モーメントが付与される。換言すると、接触点Cは、切削力Fにより誘起されるモーメントの回転中心である。中心ネジ4の伸縮性のある弾性の故に、上記回転中心は概略的には、中心ネジ4とは一致せずに、堅固な支持表面242に位置する。
【0031】
インサート3の第1側部表面310と第1側部支持表面241との間における接触領域もしくは接触点Eにおける接触は、回転中心Cの回りにおけるモーメントに依る回転変位に対抗する。本出願に依れば、インサート3の第1側部表面310は該切削用インサート3の内側に向かう凹所を備え、且つ、第1側部支持表面241は切削用インサート3の内側に向かう相補的な突出部を備える。
【0032】
描かれた実施形態において、基礎部分31は正多角形の形状であると共に、該基礎部分は、等しく形状化された3つの側部表面310、311、312を備える。上記基礎部分の側部表面310、311、312は、切削用インサート3の内側へと凹状に湾曲される。第1側部支持表面241は、切削用インサート3の内側へと凸状に湾曲される。側部表面310、311、312の凹状に湾曲された形状に依り、夫々、切削用インサート3の内側に向かう凹所が形成される。同様に、第1側部支持表面241の凸状に湾曲された形状に依り、切削用インサート3の内側に向かう相補的な突出部が提供される。
【0033】
中心Cの回りにおける回転変位に依る接触点Eにおける切削用インサート3の運動の方向は、接触点Eと中心Cとの間の接続線に対して直交する。図4には、中心Cの回りにおける回転変位に依る接触点Eにおける運動の方向とは逆の方向xが示される。接触点Eにおける反力Rは、該接触点Eにおける第1側部支持表面241の直交方向において該第1側部支持表面241に対して及ぼされる。
【0034】
第1側部表面310と、第1側部支持表面241の凸状面との間における接触点Eにおける上記反力の実効性は、該反力Rと運動の方向xとの間の角度αに依存する。角度αが0°に近いほど、反力Rは小さくなる。本発明に依れば、角度αは、切削用インサート3の第1側部表面310における凹所もしくは曲率と、ポケット24の第1側部支持表面241における突出部もしくは曲率とを配備することにより、影響される。当業者であれば理解され得る様に、角度αは、上記凹所の深度もしくはサイズ、または、切削用インサート3の第1側部表面310の曲率の大きさを選択することにより最適化され得る。角度αは更に、ブレード部分30と基礎部分31との間の角度的オフセットにより影響される。示された実施形態を含む好適実施形態において、上記幾何学形状は、角度αが15°〜50°に収まる如く選択される。
【0035】
当業者であれば理解され得る様に、夫々のブレード部分30が異なるという切削用インサート3が提供され得る。特に、厚みが異なる複数のブレード部分30を備えた切削用インサート3が作製され得、その場合に厚みは、加工される被加工材の溝幅に対する要件に従って選択される。好適には、斯かる切削用インサート3の基礎部分31は本質的に、工具ホルダ1により使用されるべきであるのと同一の形態および厚みを有する。
【0036】
描かれた実施形態において、ポケット24は第1側部支持表面241と第2側部支持表面242との間に凹状形成領域244を備えることで、その作製が容易化される。
【符号の説明】
【0037】
1 切削工具
2 工具ホルダ
3 切削用インサート
24 ポケット
30 ブレード部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝切り操作および突切り操作のための切削工具であって、
該切削工具は、頂面(20)と、底面(21)と、対置されて長手方向に延在する2つの側面(22、23)とを有する工具ホルダ(2)であって、該工具ホルダ(2)は、その側面(22、23)の一方において、基部支持表面(240)と、該基部支持表面(240)から突出する少なくとも第1側部支持表面(241)および第2側部支持表面(242)とにより局限された多角形の形状のポケット(24)を備えるという工具ホルダ(2)を備え、
該切削工具は更に、前記ポケット(24)内に解除可能に固着可能な切削用インサート(3)であって、該切削用インサート(3)は、ブレード部分(30)と、該ブレード部分(30)から突出する側部表面(310、311、312)を備える基礎部分(31)とにより形成され、前記基礎部分(31)は、該基礎部分(31)の第1側部表面(310)および第2側部表面(311)が前記ポケット(24)の前記第1側部支持表面(241)および前記第2側部支持表面(242)に夫々接触する如く、前記ポケット(24)内に受容されるという切削用インサート(3)を備える、
という切削工具において、
前記第1側部表面(310)は、前記切削用インサート(3)の内側に向かう凹所を備え、前記第1側部支持表面(241)は、前記切削用インサート(3)の内側に向かう相補的な突出部を備える、ことを特徴とする切削工具。
【請求項2】
前記基礎部分(31)は正多角形の形状であると共に、該基礎部分は、等しく形状化された3つの側部表面(310、311、312)を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
【請求項3】
前記基礎部分(31)の少なくとも前記第1側部表面(310)は前記切削用インサート(3)の内側に向けて凹状に湾曲されるが、前記第1側部支持表面(241)は前記切削用インサート(3)の内側に向けて凸状に湾曲される、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切削工具。
【請求項4】
前記ブレード部分(30)は、前記基礎部分(31)の多角形形状と同一種類であるが該基礎部分から角度的にオフセットされた多角形形状を有する、ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の切削工具。
【請求項5】
前記ブレード部分(30)は、正三角形の形状または本質的に正三角形の形状であるが、前記基礎部分(31)は、前記ブレード部分(30)の形状に関して好適には約10°〜約60°に設定される角度的オフセットを以て、対応する三角形の形状もしくは本質的に三角形の形状を有する、ことを特徴とする請求項2、請求項3または請求項4のいずれか一つの請求項に記載の切削工具。
【請求項6】
三角形の形状もしくは本質的に三角形の形状を有する前記基礎部分(31)の各角隅部は、截頭される、ことを特徴とする請求項5に記載の切削工具。
【請求項7】
前記ポケット(24)は2つの側部支持表面(241、242)を備えるV形状ポケットの形状であり、前記各側部支持表面(241、242)は、中間の二等分線が前記工具ホルダ(2)の長手方向に関して傾斜される如く、前記工具ホルダ(2)の前部および頂面に向けて発散する、ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の切削工具。
【請求項8】
前記工具ホルダ(2)は、前記側面(22)における陥没部(25)であって、該陥没部(25)内に前記ポケット(24)が配置されるという陥没部(25)を備え、
前記陥没部(25)の深度は、前記ポケット(24)の深度よりも小さく、
使用中でない前記基礎部分(31)の一部分は、少なくとも部分的に前記陥没部(25)内に収容される、ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一つの請求項に記載の切削工具。
【請求項9】
前記インサートを前記ポケット内に固着するための少なくともひとつの固定要素が配備され、
好適には、前記少なくともひとつの固定要素は、前記ポケット(24)における雌ネジ切りされた孔(26)に螺着可能に係合可能な中心ネジ(4)である、ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一つの請求項に記載の切削工具。
【請求項10】
前記工具ホルダ(2)の前記頂面(20)と前面(27)との間の縁部は截頭される、ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一つの請求項に記載の切削工具。
【請求項11】
ブレード部分(30)と、該ブレード部分(30)から突出する側部表面(310、311、312)を備える基礎部分(31)とを備える、請求項1から請求項10のいずれか一つの請求項に記載の切削工具のための切削用インサートにおいて、
前記基礎部分(31)の少なくとも第1側部表面(310)は、当該切削用インサート(3)の内側に向かう凹所を備える、ことを特徴とする切削用インサート。
【請求項12】
前記基礎部分(31)は正多角形の形状であると共に、該基礎部分は、等しく形状化された3つの側部表面(310、311、312)を備える、ことを特徴とする請求項11に記載の切削用インサート。
【請求項13】
前記基礎部分(31)の少なくとも前記第1側部表面(310)は当該切削用インサート(3)の内側に向けて凹状に湾曲される、ことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の切削用インサート。
【請求項14】
前記ブレード部分(30)は、前記基礎部分(31)の多角形形状と同一種類であるが該基礎部分から角度的にオフセットされた多角形形状を有する、ことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の切削用インサート。
【請求項15】
前記ブレード部分(30)は、正三角形の形状または本質的に正三角形の形状であるが、前記基礎部分(31)は、前記ブレード部分(30)の形状に関して好適には約10°〜約60°に設定される角度的オフセットを以て、対応する三角形の形状もしくは本質的に三角形の形状を有する、ことを特徴とする請求項11から請求項14のいずれか一つの請求項に記載の切削用インサート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−82063(P2013−82063A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−226047(P2012−226047)
【出願日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【出願人】(505333492)バーガス リミティド (2)
【Fターム(参考)】