説明

溢れ防止補助水槽を有する洋風便器

【課題】洗浄水が持続的に洗浄ボウルが溢れる現象を防止するための溢れ防止補助水槽を有する洋風便器を提供する。
【解決手段】本発明の洋風便器は、内部の水位によって給水を開閉するボールタップを通じて一定量の洗浄水を保有する水タンクと、ボールタップから給水が供給されるリム水路とリム吐出口がリムの内周面に配置され、水タンクとは側面水路によって連結される洗浄ボウルと、水タンク下部の側面水路排出口を開閉する水蓋と、ボールタップと前記リム水路との間に配置され、給水と貯蔵された洗浄水とを合した混合洗浄水をリム水路に供給する噴射ポンプと、水タンク内部で噴射ポンプを内部に装着し、内部から外部に一方向洗浄水流れのみを開放するチェックバルブとを具備し、壁面の高さが水タンク正常水位より高い溢れ防止補助水槽を含む。本発明の洋風便器は、溢れ防止補助水槽を具備し、ワンピース洋風便器に汚物が詰まった場合にも洗浄ボウルの外部に洗浄水が溢れる場合を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溢れ防止水槽を有する洋風便器に係り、より詳細には、ワンピース洋風便器に汚物が詰まる場合に、洗浄水が持続的に洗浄ボウルが溢れる現象を防止するための溢れ防止水槽を有する洋風便器に関する。
【背景技術】
【0002】
洋風便器は、ボールタップを通じて洗浄水が供給されて貯蔵する水タンクと便器本体からなり、洗浄水は水タンクに設置された操作レバーの作動によって水蓋が開かれるようになれば、便器本体側に排出され、汚物とともに排出される構造からなる。このような洋風便器は、水タンクと便器本体が分離しているツーピース(two−piece)洋風便器と水タンクと便器本体が一体で形成され、水タンク正常水位が本体より低いワンピース(one−piece)洋風便器として区別されることができ、最近には住宅高級化によって、デザイン側面で高級なワンピース洋風便器である水タンク一体型洋風便器が広く普及されている。
【0003】
図1は、従来技術に係るワンピース洋風便器を示す平面図であり、図2は、従来技術に係るワンピース洋風便器の洗浄待機前の断面図である。図2は理解の便宜のためにボールタップの設置方向を変えて示す。
【0004】
図1及び図2を参照すると、便器本体陶器19は洗浄空間である洗浄ボウル18と一体で水タンク9が形成されており、水タンク9と洗浄ボウル18は側面水路29によって連結される。
【0005】
このような洋風便器は水タンク9の正常水位WLが洗浄ボウル18より低くて、洗浄ボウルの壁面を洗浄するためには、水タンク9内に給水管7から給水が供給されて水タンクの水位によって給水の開閉及びリム側または水タンク側に給水を転換する機能を果たすボールタップ17が配置される。ボールタップ17にはリム側にリム連結管21を通じて便器本体のリム水路22に連結される。水タンク9の下部には側面水路29を開閉する水蓋13が配置され、水蓋13は連結紐14を通じてハンドレバーリンク15と連結される。ハンドレバーリンク15は水タンクの外部のハンドル12と連結され、使用者の操作によって水蓋13を開閉する。
【0006】
洗浄ボウル18の上部側面にはリム水路22と連結されるリム吐出口25が形成されており、下部には汚物を排出する排出口30が配置される。リム水路22を通じてリム吐出口25はボールタップ17から供給される給水を洗浄ボウルの壁面に吐出する。排出口30と対向して側面水路29と連結されるジェット噴射口27が配置される。ジェット噴射口27は水タンク9に貯蔵された洗浄水を正常水位WLの落差を利用して汚物を強く押し出し、洗浄ボウル18に貯蔵された水を吸入して陶器の外に排出させる機能を果たす。このような洋風便器の洗浄方式をジェットサイホン型洋風便器という。
【0007】
水タンク内の洗浄水が正常水位WLから底水位DLまで設定された量だけ側面水路29に排出されれば、水蓋13は閉まり、側面水路29を遮断する。この際、ボールタップ17は転換部16を通じて給水をリム水路側から水タンク側の給水供給管31に転換して供給し、水タンク9に洗浄水を満たす。洗浄水が設定された正常水位WLだけ満ち上がれば、ボールタップ17に連結された水位感知浮具33の作用によってボールタップ17は給水を遮断し、次の動作を待機する。上述の洋風便器の構造は、特許文献1に開示されており、転換ボールタップは特許文献2に開示されている。
【0008】
しかし、このようなワンピース洋風便器は、排出トラップとジェット噴射口27の前面に汚物が詰まる場合に、洗浄水が持続的に洗浄ボウル18を溢れる現象が発生する問題点があった。
【0009】
図2乃至図9は、従来技術の一実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ現象を説明する断面図である。
【0010】
図2を参照すると、汚物が洗浄ボウル18にある状態で使用者が洗浄作動をする前の断面図である。水タンク9の水位は水タンクに洗浄水が満たされた状態の正常水位WLを維持する。図面符号‘DL’は底水位として、水タンクの洗浄水が完全に排出されてボールタップ17でリムと水タンク側に給水転換が行われ、水蓋13が閉まる水位である。洗浄ボウル18の水位BWLは定常状態を維持する。
【0011】
図3を参照すると、汚物を洗浄するために使用者がハンドル12を作動させれば、このハンドル12に連結された水蓋13が上部に回転し、水タンク9の側面水路29を開放する。ハンドル12は元状態に復帰するが、水蓋13は自体浮力によってオープン状態を維持し、水タンク9に貯蔵された洗浄水は側面水路29を通じて洗浄ボウル18のジェット噴射口27に排出され、汚物及び洗浄ボウルの内部の水は陶器の排出口30方向に移動する。水タンク9の水位がボールタップの給水開放水位hrまで下降すれば、ボールタップ17が給水供給を開始し、リム側に給水を供給する。リム連結管21及びリム水路22を通じて用水が給水され、リム底部の吐出口25を通じて用水が噴射され、陶器の洗浄ボウル18の壁面を洗浄する。サイホン作用によって汚物と共に洗浄水が排出トラップ42に移り、洗浄ボウルの水位BWLは低くなり、この際、排出される汚物が排出トラップ42の内部にかかって詰まる場合が発生することができる。
【0012】
図4を参照すると、排出トラップ42が詰まった状態でボールタップ17でリム側に供給される給水は洗浄ボウル18に続いて供給され、排出トラップ42は汚物の詰まりによって少量の排出水のみが排出されるので、洗浄ボウル18の水位は持続して上昇する。洗浄ボウル18の水位BWLが水タンク9の水位TWLより上昇すれば、洗浄ボウル18の水がジェット噴射口27を通じて側面水路29を経由して水タンク9側に逆流する。この際、排出トラップ42の詰まりに関与しない自由状態の汚物の一部が逆流流れに沿ってジェット噴射口27側に移動して、ジェット噴射口27にかかる現象が発生する。ジェット噴射口27にかかった汚物によって洗浄ボウルから水タンク側への逆流量は減少する。図面符号‘h’は洗浄ボウルの水位BWLと水タンクの水位TWLとの差を示す。
【0013】
図5を参照すると、洗浄ボウル18の水位BWLは続いて上昇する一方、水タンク9の水位TWLは徐々に上昇する。したがって、洗浄ボウルの水位BWLは陶器19の最上端を越して外部に溢れる現象が発生する。一方、ボールタップ17でリム側への給水はリム水路22及びリム吐出口25を通じて続いて吐出され、外部溢れ現象は続く。
【0014】
図6を参照すると、水タンク9の水位TWLが徐々に上昇し、正常水位WLに到逹すれば、ボールタップ17は給水を中断する。ボールタップ17の給水中断によって溢れ現象も中断され、排出トラップ42を通じた持続的な少量の排出水によって洗浄ボウルの水位BWLは徐々に下降する。
【0015】
図7を参照すると、少量の排出水によって洗浄ボウルの水位BWLが続いて下降し、水タンクの水位より低くなれば、水タンク内の汚染した洗浄水は徐々に側面水路29とジェット噴射口27とを通じて洗浄ボウル18に流出される。水タンクから流出される洗浄水はジェット噴射口27にかかった汚物によってその量が少なくて、汚物を押し出すことはできない。水タンクから洗浄水が流出されながら水タンクの水位TWLも徐々に低くなる。
【0016】
図8を参照すると、水タンク9の水位がボールタップの給水開放水位hrまで下降すれば、ボールタップ17が給水供給を開示し、リム側に給水を供給する。リム給水管21及びリム水路22を通じて用水が給水され、リム底部の吐出口25を通じて用水が噴射され、洗浄ボウル18に給水を供給し、洗浄ボウルの水位BWLは再び上昇する。
【0017】
図9を参照すると、洗浄ボウルの水位BWLが続いて上昇し、陶器19の最上端を越して再び溢れ現象が発生する。洗浄ボウルの水位と水タンクの水位との差hによって、側面水路29を通じた少量の逆流によって水タンク9の水位TWLは徐々に上昇し、正常水位WLに到逹してボールタップ17が給水を中断するまで溢れ現象は続く。すなわち、水タンクの水位が正常水位に到逹すれば、ボールタップ17が給水を中断する図6の状態になる。以後、図6乃至図9の状態を繰り返して循環しながら周期的に溢れ現象を発生させる。
【0018】
このような溢れ現象は、水タンクの水位が底水位DLまで下降しない状態で、ボールタップ17が水タンク側に給水転換ができなくて、繰り返してリム側に給水を供給して発生する。周期的な溢れ現象下では水蓋13は常に自体浮力によって開放された状態を維持する。これも水蓋13は水タンク9の水位が底水位DLまで下降した状態で閉まることができ、周期的な溢れ現象下では水タンクの水位は底水位DLまで下降しない。
【0019】
本出願人は、上述のワンピース洋風便器のリム洗浄を改善するために、特許文献3及び特許文献4において、水タンク一体型洋風便器のボールタップとリム水路との間に噴射ポンプを介在し、給水管から供給される給水と水タンク内の洗浄水が合された混合洗浄水をリム水路に供給する噴射ポンプを含む洋風便器を開示した。また、特許文献5でも噴射ポンプを利用した洋風便器が開示されている。
【0020】
図10は、従来技術の一実施形態に係る噴射ポンプを利用したワンピース洋風便器を示す断面図である。
【0021】
図10を参照すると、ボールタップ60とリム水路22との間に噴射ポンプ50が介在されている。ここで、ボールタップ60は水タンクの水位によって給水を単純開閉する作用をし、水タンク側とリム側への転換機能は噴射ポンプに具備されている。
【0022】
図11は、従来技術の他の実施形態に係る噴射ポンプを利用したワンピース洋風便器を示す断面図である。
【0023】
図11を参照すると、ボールタップ17とリム水路22との間に噴射ポンプ51が介在されている。ここで、ボールタップ17は水タンクの水位によって給水を開閉する作用だけではなく、水タンク側とリム側への転換部16を有する転換ボールタップである。
【0024】
上述の噴射ポンプを利用した洋風便器でも周期的な溢れ現象が発生する問題点を持っている。噴射ポンプを利用した洋風便器でも水タンク側とリム側への給水転換は水タンクの水位が底水位DLまで下降することによって給水を転換することができることからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】韓国実用新案出願第1996−2280号
【特許文献2】韓国実用新案出願第1998−2801号
【特許文献3】韓国登録特許第10−483510号
【特許文献4】韓国登録特許第10−555834号
【特許文献5】韓国実用新案出願第2004−36347号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
上述の従来技術の問題点を解決するために、ワンピース洋風便器に汚物が詰まった場合にも、洗浄ボウルの外部に洗浄水が溢れる場合を防止することができる溢れ防止水槽を有する洋風便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上述の目的を達成するために、本発明の洋風便器は、内部の水位によって給水を開閉するボールタップを通じて一定量の洗浄水を保有する水タンクと、ボールタップから給水が供給されるリム水路とリム吐出口がリムの内周面に配置され、水タンクとは側面水路によって連結される洗浄ボウルと、水タンクの下部の側面水路排出口を開閉する水蓋と、ボールタップとリム水路との間に配置され、給水と貯蔵された洗浄水とを合した混合洗浄水をリム水路に供給する噴射ポンプと、水タンクの内部で噴射ポンプを内部に装着し、内部から外部に一方向に洗浄水流れのみを開放するチェックバルブとを具備し、水槽の高さが水タンクの正常水位より高い溢れ防止補助水槽を含む。
【0028】
本発明において、噴射ポンプの噴射ノズルとスロートとの間にはボールが挿入されたボール案内管が所定の長さだけ上に延長され、水位によってボールタップから供給される給水を補助水槽側とリム側に転換することができる。
【0029】
本発明において、ボールタップには水位によって給水を水タンク側とリム側に転換する転換部が具備されており、ボールタップの水タンク側の供給管及び水位感知浮具は補助水槽内に配置されることができる。
【0030】
本発明において、ボールタップと噴射ポンプの噴射ノズルとの間を連結する連結ホースから分岐し、定量の給水を供給する水圧調節装置をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の洋風便器は、溢れ防止補助水槽を具備し、ワンピース洋風便器に汚物が詰まった場合にも洗浄ボウルの外部に洗浄水が溢れる場合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】従来技術の一実施形態に係るワンピース洋風便器を示す平面図である。
【図2】従来技術の一実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ現象を説明する断面図である。
【図3】従来技術の一実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ現象を説明する断面図である。
【図4】従来技術の一実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ現象を説明する断面図である。
【図5】従来技術の一実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ現象を説明する断面図である。
【図6】従来技術の一実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ現象を説明する断面図である。
【図7】従来技術の一実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ現象を説明する断面図である。
【図8】従来技術の一実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ現象を説明する断面図である。
【図9】従来技術の一実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ現象を説明する断面図である。
【図10】従来技術の一実施形態に係る噴射ポンプを利用したワンピース洋風便器を示す断面図である。
【図11】従来技術の他の実施形態に係る噴射ポンプを利用したワンピース洋風便器を示す断面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る溢れ防止補助水槽を示す斜視図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係る溢れ防止補助水槽を水タンクの内部に設置した平面図である。
【図14】本発明の第1実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ防止現象を説明する断面図である。
【図15】本発明の第1実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ防止現象を説明する断面図である。
【図16】本発明の第1実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ防止現象を説明する断面図である。
【図17】本発明の第1実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ防止現象を説明する断面図である。
【図18】本発明の第1実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ防止現象を説明する断面図である。
【図19】本発明の第1実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ防止現象を説明する断面図である。
【図20】本発明の第1実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ防止現象を説明する断面図である。
【図21】本発明の第2実施形態に係る溢れ防止水槽を水タンクの内部に設置した平面図である。
【図22】本発明の第2実施形態に係る溢れ防止水槽を水タンクの内部に設置した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
上述の目的、特徴及び長所は添付の図と係わった次の詳細な説明を通じてより明確になるであろう。以下、添付の図を参照して、本発明に係る望ましい一実施形態を詳細に説明する。本発明は、噴射ポンプを用いるワンピース洋風便器の水タンクの内部に別途の補助水槽を設置し、ワンピース洋風便器に汚物が詰まった場合にも水タンクが底水位まで下降するようにする。これは、噴射ポンプを用いる場合のみにその目的を達成することができ、従来技術の図1及び図2のような噴射ポンプを使用しないワンピース洋風便器ではその目的を達成することができない。
【0034】
(第1実施形態)
【0035】
図12は、本発明の一実施形態に係る溢れ防止補助水槽170を示す斜視図である。
【0036】
図12を参照すると、溢れ防止補助水槽170は、洋風便器の水タンク内に設置される補助水槽として、噴射ポンプを内部に装着し、外部と疎通される開口部171と開口部171の一方向流れだけ開放する板型チェックバルブ172を具備する。溢れ防止補助水槽170の高さは水タンクの正常水位より高く、補助水槽の内部から水タンク側に一方向開放だけが可能であり、補助水槽の水位が水タンクの水位より高ければ、開放されて補助水槽の内部の水を水タンク側に送り、水タンク側の水位が高ければ、補助水槽への流入を遮断する機能を果たす。正常の洋風便器作動の中には給水が補助水槽にまず満たされ、開口部171と板型チェックバルブ172とを経由して、水タンクに洗浄水を貯蔵する。未説明図面符号‘173’、‘174’は噴射ポンプへの給水引入管及びリム側への出口管を挿入する開口部であり、図面符号‘175’は補助水槽170を水タンクに設置するための固定ボルトである。
【0037】
以下、溢れ防止補助水槽を利用した溢れ防止の作動原理を説明する。
【0038】
図13及び図14は、本発明の第1実施形態に係る溢れ防止補助水槽を水タンクの内部に設置した平面図及び断面図である。図14での断面図は理解の便宜のために、各構成部分を展開した模式図を示す。
【0039】
図13及び図14を参照すると、便器本体陶器119は洗浄空間である洗浄ボウル118と一体で水タンク109が形成されており、水タンク109と洗浄ボウル118は側面水路129によって連結される。水タンク109内には給水管107から給水が供給され、水タンクの水位によって給水を開閉する単純ボールタップ160が配置されている。ボールタップ160とリム水路122との間に噴射ポンプ150が介在されている。水タンク側とリム側への転換機能は噴射ポンプ150に具備されている。噴射ポンプ150の出口はリム水路122に連結される。ここで、水タンク109の内部には溢れ防止補助水槽170が噴射ポンプ150を内部に具備した状態で配置されている。ボールタップ160と噴射ポンプの噴射ノズル152との間を連結する連結ホース161から分岐し、定量の給水を供給する水圧調節装置159が配置されることができる。水圧調節装置159に対する詳細の説明は特許文献4に開示されているので、その説明を略する。
【0040】
水タンク109の下部には側面水路129を開閉する水蓋113が配置され、水蓋113は連結紐114を通じてハンドレバーリンク115と連結される。ハンドレバーリンク115は水タンクの外部のハンドル112と連結され、使用者の操作によって水蓋113を開閉する。
【0041】
洗浄ボウル118の上部側面にはリム水路122と連結される吐出口125が形成されており、下部には汚物を排出する排出口130が配置される。リム水路122を通じて吐出口125は噴射ポンプ150に供給される給水を洗浄ボウルの壁面に吐出する。排出口130と対向して側面水路129と連結されるジェット噴射口127が配置される。ジェット噴射口127は汚物を強く押し出し、洗浄ボウル118に貯蔵された水を吸入して陶器119の外に排出させる役割を果たす。
【0042】
図14乃至図20は、本発明の第1実施形態に係るワンピース洋風便器の溢れ防止現象を説明する断面図である。
【0043】
図14を参照すると、汚物が洗浄ボウル118にある状態で、使用者が洗浄作動を実行する前の断面図である。水タンク109の水位TWLは水タンクに洗浄水が満たされた状態である正常水位WLを維持し、ボールタップ160は止水状態である。補助水槽170の内部には噴射ポンプ150が具備され、噴射ポンプの給水転換用ボール151はボール案内管153に拘束され、正常水位の表面に浮かんでいる。補助水槽のチェックバルブ172は自重によって閉まった状態を維持する。図面符号‘DL’は底水位として、水タンクの洗浄水が完全に排出されて、水タンク側に給水転換が行われ、水蓋が閉まる水位である。洗浄ボウル118の水位BWLは定常状態を維持する。
【0044】
図15を参照すると、汚物を洗浄するために、使用者がハンドル112を作動させれば、このハンドル112に連結された水蓋113が上部に回転し、側面水路129を開放するようになる。ハンドル112は元状態に復帰するが、水蓋113は自体浮力によってオープン状態を維持し、水タンクに貯蔵された洗浄水は側面水路129を通じて洗浄ボウル118のジェット噴射口127に排出され、汚物及び洗浄ボウルの内部の水は陶器の排出口130方向に移動する。水タンク109の水位がボールタップ160の給水開放水位hrまで下降すれば、ボールタップ160が給水供給を開始する。この際、補助水槽内部の水位IWLが水タンクの水位TWLより相対的に高くて(htだけ)、チェックバルブ172が開放され、補助水槽の水が水タンク方へ排出され、すぐ両側の水位は同一になる。ボールタップでの給水は連結ホース161を経由して補助水路70の内部の噴射ポンプ150のノズル152から噴射される。噴射された給水は補助水槽内部の周辺の水を吸入して噴射ポンプのスロート155と拡大管156とを経由して、陶器のリム水路122にリム洗浄水を供給する。リム水路122を通じてリム洗浄水が給水され、リム底部の吐出口125を通じて洗浄水が噴射されて、陶器の洗浄ボウル118の壁面を洗浄する。サイホン作用で汚物とともに洗浄水が排出トラップ142に移り、洗浄ボウルの水位BWLは低くなり、この際、排出される汚物が排出トラップ142の内部にかかって詰まる場合が発生することができる。
【0045】
図16を参照すると、排出トラップ142が詰まった状態で給水が噴射ポンプ150で補助水槽170の水を吸入して洗浄ボウル118に続いて供給され、排出トラップ142は汚物の詰まりで少量の排出水のみが排出されるので、洗浄ボウル118の水位は持続的に上昇する。洗浄ボウル118の水位BWLが水タンク109の水位TWLより上昇すれば(hだけ)、洗浄ボウル118の水がジェット噴射口127を通じて側面水路129を経由して水タンク109側に逆流する。この際、排出トラップ142の詰まりに関与しない自由状態の汚物の一部が逆流流れに沿ってジェット噴射口127側に移動し、ジェット噴射口127にかかる現象が発生する。ジェット噴射口127にかかった汚物によって洗浄ボウルから水タンク側への逆流量は減少する。この際、水タンクの水位TWLは徐々に上昇する。
【0046】
一方、補助水槽170の内部水位IWLは噴射ポンプ150で吸入され、リム側に排出される水量によって水位が続いて下降する。この際、補助水槽170の内部水位IWLが水タンクの水位TWLより低くて(htだけ)、補助水槽のチェックバルブ172は閉まる。すなわち、補助水槽の内部水位IWLは噴射ポンプの吸入作用による流出だけがあり、補助水槽170内部への流入がなくて、続いて下降する。
【0047】
図17を参照すると、洗浄ボウル118の水位は続いて上昇する一方、補助水槽170内部の水位IWLは持続的に下降する。補助水槽の水位IWLが底水位DLに到逹すれば、ボール151がノズルの前端に吸入され、ノズルから噴射される給水を阻んで、噴射ポンプのポンプ作用を中断させ、給水を補助水槽の内部側に転換して、補助水槽170に洗浄水を貯蔵する。したがって、リム側への給水が中断され、洗浄ボウル118の水位BWLは上昇を止め、陶器の外部に溢れない。ここで、洗浄ボウルの水位BWLは水タンク側の水位TWLより高くて(hだけ)、水タンク側への逆流は続き、水タンクの水位BWLは徐々に上昇する。
【0048】
図18を参照すると、洗浄ボウル118の水位BWLは水タンク側への少量の逆流と排出トラップ142側への少量の排出水によって徐々に下降し、水タンク側の水位TWLは逆流によって水位が徐々に上昇する。水タンク側の水位TWLが正常水位WLに到逹すれば、ボールタップ160が給水を遮断する。内部水槽170の水位IWLはボールタップから供給された給水によって一定水位が上昇されている状態で、ボールタップの給水遮断によって水位上昇が止められ、ボール151は拘束力を喪失し、浮力によってボール案内管153に沿って水面上に浮び上がる。
【0049】
図19を参照すると、洗浄ボウル118の水位BWLは排出トラップ142側に少量抜け出る排出水によって続いて下降し、水タンク水位TWLより低くなる。したがって、水タンクの洗浄水は水蓋113が続いて開かれているので、側面水路129を経由して徐々に排出され、水タンク水位TWLは徐々に下降する。
【0050】
図20を参照すると、水タンク109の水位TWLがボールタップ160の給水開放水位hrまで下降すれば、ボールタップ160が噴射ポンプ150に給水供給を開示する。ボールタップでの給水は連結ホース161を経由して補助水槽170の内部の噴射ポンプ150のノズル152から噴射される。噴射された給水は補助水槽内部の周辺の水を吸入して噴射ポンプのスロート155と拡大管156とを経由して陶器のリム水路122にリム洗浄水を供給する。リム水路122を通じてリム洗浄水が給水され、リム底部の吐出口125を通じて洗浄水が噴射され、陶器の洗浄ボウル118の水位BWLを上昇させる。一方、内部水槽170の水位IWLは噴射ポンプの吸入作用で持続的に下降する。
【0051】
以後の作動は図17の動作と同一である。
【0052】
再び図17を参照すると、洗浄ボウル118の水位は続いて上昇する一方、補助水槽170内部の水位IWLは持続的に下降する。補助水槽の水位IWLが底水位DLに到逹すれば、ボール151がノズルの前端に吸入され、ノズルから噴射される給水を阻んで噴射ポンプのポンプ作用を中断させ、給水を補助水槽の内部側に転換して補助水槽170に洗浄水を貯蔵する。したがって、リム側への給水が中断され、洗浄ボウル118の水位BWLは上昇を止め、陶器の外部に溢れない。ここで、洗浄ボウルの水位BWLは水タンク側の水位TWLより高くて(hだけ)、水タンク側への逆流は続き、水タンクの水位BWLは徐々に上昇する。
【0053】
以後、続いて図17乃至図20の状態を繰り返して循環し、陶器外部への洗浄水の溢れ現象は発生しない。
【0054】
溢れ現象防止は補助水槽内の水位が噴射ポンプの吸入作用によって底水位DLまで下降するので、リム側への給水供給を補助水槽側に転換することによって達成される。
【0055】
(第2実施形態)
【0056】
第2実施形態ではボールタップとリム水路との間に噴射ポンプが介在されている。ここで、ボールタップは水タンク水位によって給水を開閉する作用だけではなく、水タンク側とリム側への給水転換機能を有する転換ボールタップである。一方、噴射ポンプは給水転換機能がない。
【0057】
図21及び図22は、本発明の第2実施形態に係る溢れ防止水槽を水タンクの内部に設置した平面図及び断面図である。図22での断面図は理解の便宜のために各構成部分を展開した模式図を示す。
【0058】
図21及び図22を参照すると、水タンク109内には給水管107から給水が供給され、水タンクの水位によって給水を開閉し、水タンク側とリム側への転換機能を有する転換ボールタップ180が配置されている。ボールタップ180とリム水路122との間に噴射ポンプ195が介在されている。噴射ポンプ195の出口はリム水路122によって連結される。
【0059】
ここで、水タンク109の内部には溢れ防止補助水槽190が噴射ポンプ195を内部に具備した状態で装着されている。溢れ防止補助水槽190は洋風便器の水タンク内に設置される補助水槽として、噴射ポンプを内部に装着し、外部と疎通される開口部と内部から外部に一方向流れだけ開放する板型チェックバルブ192を具備する。溢れ防止補助水槽190の高さは水タンクの正常水位より高く、補助水槽の内部から水タンク側に一方向開放だけが可能である。補助水槽の水位が水タンク側より高ければ、チェックバルブ192は開放され、補助水槽内部の水を水タンク側に送り、水タンク側の水位が補助水槽の水位より高ければ、補助水槽への流入を遮断する機能を果たす。また、ボールタップ180の水位感知浮具184と水タンク側給水管183が補助水槽190の内部に位置する。
【0060】
第2実施形態に係る溢れ防止水槽を利用した溢れ防止の作動原理は、第1実施形態のように補助水槽内の水位が噴射ポンプの吸入作用によって底水位まで下降するので、水位感知浮具184が底水位に下降する時、リム側への給水供給を補助水槽側の内部に位置した水タンク側給水管183に転換することによって達成される。このような作用は実質的に第1実施形態とほとんど同一であるので、詳細の説明は略する。第1実施形態との差異はリム側と水タンク側への給水の転換機能を転換ボールタップ180が具備しており、転換ボールタップ180の転換部181からリム側供給管182と水タンク側への給水管183が分岐され、水位によってリム側または水タンク側に給水を転換する。
【0061】
また、溢れ防止補助水槽190の内部には噴射ポンプ195だけでなく、転換ボールタップの水位を感知することができる水位感知浮具184と水タンク側給水管183が溢れ防止補助水槽の内部に位置するという差異がある。
【0062】
以上の本発明は上述の図面及び詳細の説明によって限定されるのではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で該当の技術分野の当業者が多様に修正及び変更したことも本発明の範囲内に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
7、107 給水管
9、109 水タンク
18、118 洗浄ボウル
27、127 ジェット噴射口
29、129 側面水路
42、142 排出トラップ
50、51、150、195 噴射ポンプ
170、190 溢れ防止補助水槽
171 開口部
172、192 板型チェックバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の水位によって給水を開閉するボールタップを通じて一定量の洗浄水を保有する水タンクと、
前記ボールタップから給水が供給されるリム水路とリム吐出口がリムの内周面に配置され、前記水タンクとは側面水路によって連結される洗浄ボウルと、
前記水タンク下部の側面水路排出口を開閉する水蓋と、
前記ボールタップと前記リム水路との間に配置され、給水と貯蔵された洗浄水とを合した混合洗浄水をリム水路に供給する噴射ポンプと、
前記水タンクの内部で噴射ポンプを内部に装着し、内部から外部に一方向洗浄水流れのみを開放するチェックバルブとを具備し、壁面の高さが水タンク正常水位より高い溢れ防止補助水槽を含むことを特徴とする洋風便器。
【請求項2】
前記噴射ポンプの噴射ノズルとスロートとの間にはボールが挿入されたボール案内管が所定の長さだけ上に延長され、水位によってボールタップから供給される給水を補助水槽側とリム側に転換することを特徴とする請求項1に記載の洋風便器。
【請求項3】
前記ボールタップには水位によって給水を水タンク側とリム側に転換する転換部が具備されており、前記ボールタップの水タンク側供給管及び水位感知浮具は前記補助水槽内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の洋風便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2010−531399(P2010−531399A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513129(P2010−513129)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003561
【国際公開番号】WO2009/002062
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(509353621)イスーイン カンパニー・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】