説明

溶接システム

【課題】 材料を溶接して製品を製造する溶接システムにおいて、溶接システムの設計に要する時間や製作に要する時間を削減する。
【解決手段】 材料位置決め装置3とこの材料位置決め装置3で位置決めされた材料W1、W3を溶接可能な溶接装置5とを備えた位置決め溶接モジュール7と、前記位置決め溶接モジュール7に供給する材料W1、W3をストックする材料モジュール11と、前記位置決め溶接モジュールで7溶接された製品W5をストックする製品モジュール15とを有する溶接システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接システムに係り、特に、機能毎にモジュール化された各モジュールを有機的に結合することによって構成されているものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の溶接システムとして、材料ストッカーにストックしてある板状の材料を枚葉で溶接装置に供給し、溶接後の製品を製品ストッカーにストックする構成のものが知られている。
【0003】
また、従来のような溶接システムを製作するにあたっては、材料の形状、溶接箇所の形態、生産数等のユーザの要求に応じてその都度システムを設計し製作している。
【0004】
なお、前記従来の溶接装置に関連するものとして、たとえば特許文献1に記載の溶接装置が知られている。
【特許文献1】特開2002−239788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記従来の溶接システムを構築するときは、個々のユーザの要求に応じて溶接システム全体をその都度設計し製作しているので、設計や製作に長い時間を要し、個々のユーザの要求に柔軟に対応することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、材料を溶接した製品を製造する溶接システムにおいて、個々のユーザの要求に柔軟に対応することができる溶接システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、材料を溶接して製品を生成する際に必要な各種機能を備えた装置や機器を、予め規格化されているフレームに組み込むことにより装置モジュールを形成し、前記製品を生成するための各種機能を有するモジュールが連結されることにより構成される溶接システムである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の溶接システムにおいて、前記フレームの内部に前記機能を備えた装置や機器が設けられていると共に、前記装置や機器の動作及び溶接加工時に作業員の安全を確保するための物理的障壁が、前記モジュールに設けられている溶接システムである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の溶接システムにおいて、前記溶接システムは、複数のモジュールを備えていると共に、前記材料や製品を搬送するために前記各モジュールで共有の搬送系を備えている溶接システムである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の溶接システムにおいて、前記溶接システムは、複数のモジュールを備えていると共に、前記材料や製品を搬送するために前記各モジュールが個別の搬送系を備えている溶接システムである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の溶接システムにおいて、前記モジュールとして、材料位置決め装置と、この材料位置決め装置で位置決めされた材料を溶接可能な溶接装置とを備えた位置決め溶接モジュールと、前記位置決め溶接モジュールに供給する材料をストックする材料モジュールと、前記位置決め溶接モジュールで溶接された製品をストックする製品モジュールとを有する溶接システムである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の溶接システムにおいて、前記モジュールとして、前記材料モジュールと前記位置決め溶接モジュールとの間に、前記位置決め溶接モジュールに供給される材料を検査する材料検査モジュールが設けられている溶接システムである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の溶接システムにおいて、前記モジュールとして、前記位置決め溶接モジュールと前記製品モジュールとの間に、前記位置決め溶接モジュールで溶接された製品を検査する検査モジュールが設けられている溶接システムである。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の溶接システムにおいて、前記モジュールとして、前記各モジュールの間のうちのいずれかの間に、前記材料や前記製品を分岐する機能、または前記材料や前記製品を合流する機能を備えたトラバースモジュールが設けられている溶接システムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、モジュール化を実施することによって、溶接システムに必要な各種機能を予め標準化しておくことができ、ユーザの個々の要求に対して必要となるモジュールを選択して連結すればよいので、個々のユーザの要求に柔軟に対応することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る溶接システムは、材料を溶接して製品を生成する際に必要な各種機能を備えた装置や機器を、予め規格化されているフレームに組み込むことにより装置モジュールを形成し、前記製品を生成するための各種機能を有するモジュールが連結されている溶接システムである。
【0017】
そして、前記モジュールは、前記材料や製品の仕様が変更になった場合、容易に交換することができるように構成されている。
【0018】
また、前記フレームの内部に前記機能を備えた装置や機器が設けられていると共に、前記装置や機器の動作及び溶接加工時に作業員(作業者)の安全を確保するための物理的障壁が、前記モジュールに設けられている。
【0019】
また、前記溶接システムは、複数のモジュールを備えていると共に、前記材料や製品を搬送するために前記各モジュールで共有の搬送系を備えている。
【0020】
なお、前記共有の搬送系に代えて、前記材料や製品を搬送するために前記各モジュールが個別の搬送系を備えている場合もある。
【0021】
以下に示す各実施形態で前記溶接システムについて詳しく説明する。
【0022】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る溶接システム1の概略構成を示す斜視図である。
【0023】
溶接システム1は、たとえば、ブランキング加工等によって形が形成された板状の材料同士を互いに溶接することによって、製品を生産するシステムとして採用される。
【0024】
溶接システム1は、前記モジュールとして、材料位置決め装置3と、この材料位置決め装置3で位置決めされた材料をたとえばレーザ光を用いて溶接可能な溶接装置5とを備えた位置決め溶接モジュール7を備えている。
【0025】
前記材料位置決め装置3や前記溶接装置5は、フレーム9内に設けられている。フレーム9は、たとえば、外形が直方体や立方体形状に形成されていることにより規格化されている。またフレーム9の各辺は、角型パイプを互いに溶接やボルト等の締結具で締結することによって形成されている。
【0026】
また、前記溶接システム1には、前記位置決め溶接モジュール7に供給する材料W1、W3をストックする材料モジュール11と、前記位置決め溶接モジュール7で溶接された製品W5をストックする製品モジュール15とが設けられている。
【0027】
前記材料モジュール11は、前記フレーム9と同様に構成されたフレーム13内に、材料をストックすることができるようになっており、また、前記製品モジュール15は、前記フレーム9と同様に構成されたフレーム17内に製品をストックすることができるようになっている。なお、前記各フレーム9、13、17の外形は、ほぼ同じ形態に形成されているが、必ずしも同じ形態である必要はない。
【0028】
各モジュール7、11、15が各フレーム(それぞれが互いに独立して存在しているフレーム)9、13、17をベースにして形成されているので、前記各モジュール7、11、15を設置して溶接システム1を構成する場合、フレーム単位(モジュール単位)で設置を行うことができる。
【0029】
なお、前記材料モジュール11、前記位置決め溶接モジュール7、前記製品モジュール15は、この順序で互いに隣接して並べて設けられている。なお、互いが隣接している各モジュール同士の相対的な位置関係を正確なものにするために、隣接している各モジュール同士が連結部材(図示せず)やボルト等の締結部材によって接続されていることが望ましい。
【0030】
ここで、説明の便宜上、前記各モジュール11、7、15が順に並べられている水平な長手方向をX軸方向とし、このX軸方向に直交する水平な方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。
【0031】
前記溶接システム1には、前記材料モジュール11から前記位置決め溶接モジュール7に材料W1、W3を搬送するための材料搬送手段19と、前記位置決め溶接モジュール7から前記製品モジュール15に製品W5を搬送するための製品搬送手段21とが設けられている。つまり、各モジュール間に搬送手段が設けられている。なお、前記各搬送手段19、21は、前記各モジュールを形成している各フレーム9、13、17の内部に設置されている。
【0032】
また、前記各モジュール7、11、15には、前記各モジュール7、11、15の内部と外部とを遮断するための物理的障壁(図示せず)が設けられている。前記物理的障壁は、たとえば、前記フレーム9等を構成している角型パイプに板状の鋼板を貼り付けることによって構成されている。
【0033】
前記物理的障壁を設けることにより、溶接システム1の作動時、作業員の安全を確保することができる。前記物理的障壁として、たとえば、高速で搬送されている材料や製品が前記フレームの外部に飛び出すことを防止するための障壁、前記フレームの内部に作業員が侵入することを防止するための障壁、また、溶接により発生するガスの拡散を防止するための障壁、レーザ溶接をする場合において、前記フレームの外部にレーザ光の反射光が漏れ出すことを防止するための障壁を考えることができる。
【0034】
なお、前記物理的障壁には、保守や点検のときに前記物理的障壁内(溶接システム1内)に作業員が入るためのシャッターやドア等(図示せず)が設けられている。そして、インターロックにより、前記シャッターやドアが開いているときには、前記溶接システム1が稼動しないようになっている。
【0035】
さらに、前記物理的障壁には、前記溶接システム1の稼動時に、材料や製品の状態を観察するための窓(図示せず)が設けられている。
【0036】
ここで、位置決め溶接モジュール7について更に詳しく説明する。
【0037】
図2は、位置決め溶接モジュール7の位置決め装置3、溶接装置5の概略構成を示す平面図である。
【0038】
位置決め装置3は、たとえば、略矩形状で板状の材料W1を載置するためのテーブル23と、略矩形状で板状の材料W3を載置するためのテーブル25とを備えている。
【0039】
なお、前記テーブル23の上面(材料W1を載置する面)と前記テーブル25の上面(材料W3を載置する面)とは同一平面上に位置しており、また、前記テーブル23と前記テーブル25とは、Y軸方向に並んで設けられており、図示しないサーボモータ等のアクチュエータによって、互いが相対的に接近離反するように、Y軸方向に移動自在になっている。
【0040】
また、前記テーブル23の端部(前記テーブル25側の端部)から僅かに離れたところには、前記材料W1を位置決めするための複数の突き当て部材(ピン)27が設けられている。これらの各ピン27は、材料W1を位置決めする場合には、前記テーブル23上面から上方に突出しているが、各材料W1、W3を互いに突き合わせて溶接する場合には、各材料W1、W3やテーブル23、25と干渉しないように、シリンダ等のアクチュエータとリンク機構とにより、テーブル23の下の位置(図2に破線で示す位置)の退避できるようになっている。
【0041】
前記位置決め装置3には、前記搬送手段19によって前記材料モジュール11から前記テーブル23上に供給された材料W1(PS1の位置に供給された材料W1)を、前記ピン27に突き当てて前記材料W1のY軸方向の位置決めを行なうための押し付け装置29が設けられている。この押し付け装置29は、たとえば、シリンダ等のアクチュエータで、前記材料W1を押すように構成されている。
【0042】
また、前記位置決め装置3には、前記材料W1のX軸方向の位置決めを行なうための位置決め装置31が設けられている。この位置決め装置31は、シリンダ等のアクチュエータで駆動するリンク機構を用いて前記材料W1を挟み込み、前記材料W1をX軸方向でセンタリングすることができるようになっている。そして、Y軸方向およびX軸方向の位置決めがされた材料W1は、図2に示すPS3の位置に存在することになる。
【0043】
なお、前記位置決め装置31において、前記Y軸方向の位置決めを行なう場合と同様に、位置決めピンを設置し、材料W1を一方の側に押し付け位置決めをしてもよい。
【0044】
また、前記テーブル23には、前記テーブル23が移動するときに、位置決めされた材料W1の位置ずれを防止するための第1のクランプ装置(図示せず)が設けられている。この第1のクランプ装置は、たとえば、前記テーブル23に埋め込まれた電磁マグネットにより、前記材料W1を吸着することによって、前記材料W1を固定するようになっている。
【0045】
また、前記搬送手段19によって供給された材料W3を位置決めするために、前記テーブル25にも、前記ピン27と同様なピン33、前記押し付け装置29と同様な押し付け装置35、前記位置決め装置31と同様な位置決め装置37、位置決めされた材料W3をテーブル25に固定するための第2のクランプ装置(前記テーブル23の第1のクランプ装置と同様なクランプ装置)が設けられている。
【0046】
さらに、前記各材料W1、W3を互いに突き合わせて溶接する場合、前記各材料W1、W3が溶接の熱によって変形することを防止するための第3のクランプ装置(図示せず)と第4のクランプ装置(図示せず)とが設けられている。
【0047】
前記第3のクランプ装置は、シリンダ等のアクチュエータを用いて構成されている加圧装置を用い、溶接線の近傍で溶接線に沿って、材料W1を上方向からテーブル23に押し付け、テーブル23に材料W1を固定するようになっており、また、前記第4のクランプ装置も、前記第3のクランプ装置と同様に構成され、材料W3を上方向からテーブル25に押し付け、テーブル25に材料W3を固定するようになっている。
【0048】
前記各材料W1、W3を溶接するための溶接装置5は、たとえばレーザ光を出射する溶接トーチ39を備えており、この溶接トーチ39は、サーボモータ等のアクチュエータにより、前記各材料W1、W3の溶接線に沿って、たとえばX軸方向に直線的に移動し溶接を行なうようになっている。
【0049】
ここで、位置決め溶接モジュール7の動作について説明する。
【0050】
図3は、位置決め溶接モジュール7の動作を説明する図である。
【0051】
図3(a)は、初期状態において、前記搬送手段19によって各材料W1、W3が各テーブル23、25に載置された直後の状態を示している。前記初期状態では、テーブル23とテーブル25とは互いに離れていると共に、各ピン27、33は、各テーブル23、25の上面に突出している。
【0052】
図3(a)に示す状態から図3(b)に示す状態の間では、各材料W1、W3の位置決めが行なわれ、前記第1のクランプ装置によって材料W1が固定され、前記第2のクランプ装置によって材料W3が固定される。
【0053】
図3(b)に示す状態から図3(c)に示す状態の間では、各ピン27、33が各テーブル23、25の下に引っ込む。
【0054】
図3(c)に示す状態から図3(d)に示す状態の間では、前記各テーブル23、25が互いに接近し、各材料W1、W3が互いに突き合わされ、溶接線L1が形成されると共に、前記第3のクランプ装置によって材料W1が固定され、前記第4のクランプ装置によって材料W3が固定される。
【0055】
図3(d)に示す状態と図3(a)に示す状態との間では、溶接トーチ39が前記溶接線L1に沿って移動しつつ材料W1と材料W3とを互いに溶接し、製品W5が形成される。続いて、前記第1のクランプ装置〜前記第4のクランプ装置によるクランプを解除し、前記製品W5が前記搬送手段21によって搬出され、前記溶接トーチ39が溶接開始前の位置に戻り、前記各テーブル23、25が互いに離れ、前記各ピン27、33が各テーブル23、25の上面に突出し、前記初期状態になる。そして、次の材料がテーブル23、25に載置され、同様な動作が繰し行なわれる。
【0056】
次に、前記材料モジュール11、前記製品モジュール15について説明する(図1参照)。
【0057】
材料モジュール11のフレーム13内には、重なった状態の複数枚の材料W1を載置するパレットP1と、重なった状態の複数枚の材料W3を載置するパレットP3とが設置されている。前記各パレットP1、P3は、Y軸方向において、互いに離れた位置に設置されており、したがって、前記各材料W1、W3も、Y軸方向で互いに離れた位置で、前記材料モジュール11内に格納される。
【0058】
製品モジュール15のフレーム17内には、重なった状態の複数枚の製品W5を載置しているパレットP5が設置されている。
【0059】
次に、図1を参照して、搬送手段19について詳しく説明する。
【0060】
搬送手段19は、材料モジュール11内の材料W1や材料W3を一旦Z軸上方向に持ち上げ、X軸方向で材料モジュール11から位置決め溶接モジュール7の位置決め装置3の上まで搬送し、位置決め装置3の上で、前記各材料W1、W3をZ軸下方向に下げて、前記各材料W1、W3を各テーブル23、25上に載置するようになっている。
【0061】
より詳しく説明すると、各モジュール7、11、15の各フレーム9、13、17内で、Y軸方向の一端部側の上方(前記パレットP1や前記位置決め装置3の上方)に、X軸方向に長く延びていると共に、前記各モジュール7、11、15に共通な第1のレール部材41Aが、前記フレーム9、13、17の少なくともいずれかに支持されて設けられている。
【0062】
また、前記第1のレール部材には、第1のキャリッジ43Aが、図示しないリニアベアリング等を介して、前記X軸方向に移動自在なように係合している。なお、前記第1のキャリッジ43Aは、図示しないラック&ピニオン等の機構とサーボモータ等のアクチュエータとにより、X軸方向に移動位置決め自在になっている。
【0063】
また、前記第1のキャリッジ43Aには、Z軸方向に長く延びた第1のZ軸用部材45AがZ軸方向に移動自在に係合していると共に、前記第1のZ軸用部材45Aは、図示しないボールネジ等とサーボモータ等のアクチュエータとにより、Z軸方向に移動するようになっている。
【0064】
また、前記第1のZ軸用部材45Aの下端部には、真空吸着等により前記材料W1を1枚ずつ把持するための把持装置(図示せず)が設けられている。
【0065】
そして、前記パレットP1に載置されている材料W1を、1枚ずつ、前記位置決め装置3のテーブル23上に載置することができるようになっている。
【0066】
さらに、各モジュール7、11、15の各フレーム9、13、17内で、Y軸方向の他端部側の上方には、前記第1のレール部材41Aと同様に、X軸方向に長く延びた第2のレール部材41Bが設けられており、この第2のレール部材41Bには、第2のキャリッジ43Bが前記第1のキャリッジ43Aと同様に係合しており、前記第2のキャリッジ43Bには、第2のZ軸用部材45Bが前記第1のZ軸用部材45Aと同様に係合しており、前記第2のZ軸用部材45Bの下端部には、前記把持装置と同様な把持装置が設けられている。
【0067】
そして、前記パレットP3に載置されている材料W3を、1枚ずつ、前記位置決め装置3のテーブル25上に載置することができるようになっている。
【0068】
前記各キャリッジ43A、43Bは図示しない連結部材で互いに連結されており、前記第1のキャリッジ43Aの駆動に伴って、前記第2のキャリッジ43Bも同時に駆動するようになっている。なお、前記連結部材を用いることなく、前記各キャリッジ43A、43Bを、それぞれのアクチュエータで駆動するようにしてもよい。
【0069】
また、搬送手段21も、搬送手段19と同様に構成されており、材料W1と材料W3と溶接することによって生成された製品W5を一旦Z軸上方向に持ち上げ、X軸方向で位置決め溶接モジュール7から製品モジュール15のパレットP5の上まで搬送し、前記パレットP5の上で、前記製品W5をZ軸下方向に下げて、前記製品W5を各パレットP5上に載置するようになっている。
【0070】
なお、前記材料モジュール11と前記位置決め溶接モジュール7との間における各材料W1、W3のX軸方向の搬送距離と、前記位置決め溶接モジュール7と前記製品モジュール15との間における製品W5のX軸方向の搬送距離とが互いに等しい場合には、連結部材を用いて前記搬送手段19の第1のキャリッジ43Aと前記搬送手段21の第1のキャリッジ43Aとを互いに連結し、1つのアクチュエータで、前記各キャリッジ43Aを駆動するようにしてもよい。
【0071】
なお、前述したように、各搬送手段19、21が共通の軌道(たとえば各レール部材41A、41B)をもって構成されていることにより、溶接システム1は、複数のモジュールを備えていると共に、前記材料や製品を搬送するために前記各モジュール7、11、15で共有の搬送系を備えていると言える。
【0072】
また、このように、前記各モジュール7、11、15で共有の搬送系を備えている場合、前記各モジュール7、11、15に設置後に、前記各搬送手段19、21が設置されることになる。
【0073】
ところで、前記材料や製品を搬送するために前記各モジュールが個別の搬送系を備えているようにしてもよい。
【0074】
たとえば、前記搬送手段19において、レール部材41AをX軸方向で所定の長さに分断し、前記フレーム9やフレーム13の上部側であってY軸方向の一端部側で前記材料モジュール11から前記位置決め溶接モジュール7にかけて延伸するように、前記分断されたレール部材を前記フレーム9に一体的に設け、前記分断され設置されたレール部材に前記キャリッジ43Aを係合させ、前記キャリッジ43Aに前記Z軸用部材45Aを係合させた構成にして、前記材料W1を前記材料モジュール11から前記位置決め溶接モジュール7まで搬送することができるようにし、同様に、レール部材41BをX軸方向で所定の長さに分断し、前記フレーム9やフレーム13の上部側であってY軸方向の他端部側で前記材料モジュール11から前記位置決め溶接モジュール7にかけて延伸するように、前記分断されたレール部材を前記フレーム9に一体的に設け、前記分断され設置されたレール部材に前記キャリッジ43Bを係合させ、前記キャリッジ43Bに前記Z軸用部材45Bを係合させた構成にして、前記材料W3を前記材料モジュール11から前記位置決め溶接モジュール7まで搬送することができるようにしてもよい。
【0075】
この場合、前記各キャリッジ43A、43Bを互いに連結し1つのアクチュエータで前記各キャリッジ43A、43Bを駆動するようにしてもよいし、各キャリッジ43A、43Bを互いに連結することなく、2つのアクチュエータで前記各キャリッジ43A、43Bのそれぞれを別個に駆動してもよい。
【0076】
また、前記各Z軸用部材45A、45Bを互いに連結し1つのアクチュエータで前記各Z軸用部材45A、45Bを駆動するようにしてもよいし、前記各Z軸用部材45A、45Bを互いに連結することなく、2つのアクチュエータで前記各Z軸用部材45A、45Bのそれぞれを別個に駆動してもよい。
【0077】
さらに、前記搬送手段21の構成を、分断された各レール部材をフレーム17に設ける等、前記搬送手段19と同様に変更し、製品W5を位置決め溶接モジュール7から製品モジュール15まで搬送するようにしてもよい。
【0078】
また、たとえば、1台または2台の搬送用ロボットを、前記フレーム9の入り口側(材料モジュール11側)に設けて搬送手段19を構成し、前記各材料W1、W3を前記材料モッジュール11から前記位置決め溶接モジュール7まで搬送するようにしてよく、同様に、1台または2台の搬送用ロボットを、前記フレーム17の入り口側(溶接位置決めモジュール7側)に設けて搬送手段21を構成し、前記製品W5を前記位置決め溶接モジュール7から前記製品モジュール15まで搬送するようにしてよい。
【0079】
このように前記材料や製品を搬送するために前記各モジュールが個別の搬送系を設けることにより、各モジュールの設置は終了した後、別途、搬送装置を設置する必要がなくなる。
【0080】
さらにまた、各モジュール間にチェーンコンベヤやローラコンベヤ等、各モジュールにアクセス可能なものを用いて前記搬送手段を構成してもよい。
【0081】
次に、溶接システム1の動作について説明する。
【0082】
なお、前記位置決め溶接モジュール7の位置決め装置3と溶接装置5の動作は、既に説明してあるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0083】
また、前記位置決め装置3と前記溶接装置5を含む溶接システム1は、図示しない制御装置の制御の下で動作するようになっている。
【0084】
さらに、初期状態として、各パレットP1、P3には各材料W1、W3が載置されており、前記位置決め溶接モジュール7の位置決め装置3や溶接装置5も前述したような初期状態になっている。
【0085】
まず、前記初期状態から、搬送手段19で、各材料W1、W3を各1枚ずつ前記材料モジュール11から前記位置決め溶接モジュール7に移送し、前記位置決め溶接モジュール7で位置決めし溶接する。
【0086】
前記位置決め溶接モジュール7で位置決めし溶接している間に、前記搬送手段19が次の各材料W1、W3を搬送するために、前記材料モジュール11のところまで戻り、位置決め溶接モジュール7で溶接された製品W5を、製品モジュール15まで搬送手段21で搬送すると同時に、搬送手段19で、次の材料W1、W3を1枚ずつ搬送する。
【0087】
このような動作を繰り返して、各材料W1、W3から製品W5を1枚ずつ生成する。
【0088】
溶接システム1によれば、モジュール化することによって、溶接システム1に必要な各種機能を予め標準化しておくことができ、ユーザの個々の要求に対して必要となるモジュールを選択して連結すればよいので、個々のユーザの要求に柔軟に対応することができる。
【0089】
また、溶接システム1によれば、各モジュール7、11、15を組み合わせることによって溶接システムが構成されているので、溶接加工に必要な機能を装置モジュールとして予め標準設計しておくことが可能であり、ユーザの要求に応じて各モジュールを選択しこの選択したものを組み合わせて溶接システムの設備を構成することができる。
【0090】
したがって、設備の設計に要する時間や設備の製作に要する時間を削減でき、設備の製造コストを削減することができる。
【0091】
また、各モジュール7、11、15によって溶接システム1が構成されているので、ユーザの要求に応じてモジュールを選択し(たとえば、同じ位置決め溶接モジュールであっても図4を用いて後述するように材料の形態を変更することよって構成が若干異なったモジュールの中から適宜のモジュールを選択し)、この選択したものを組み合わせて溶接システムの設備を構成する場合、各モジュールの据付や各モジュール同士の結合を簡便に行なうことができる。
【0092】
さらに、機能の追加、機能の省略、生産対象ワークの変更等のような溶接システムの仕様を、たとえば、後述する各実施形態のように変更する場合であっても、モジュール毎に、追加、削除、代替、変更を行なえばよいので、仕様変更に対しても柔軟に対応することができる。
【0093】
また、溶接システム1によれば、モジュールを組み合わせて溶接システムが構成されているので、各モジュールに沿って、圧縮空気、溶接ガス、冷却水等のユーティリティ配管や電力線や信号線等のユーティリティ配線を敷設しておくことができ、この敷設により、前記溶接システムを設置するときのユーティリティ敷設工事を簡素化することができる。
【0094】
さらに、溶接システム1によれば、材料や製品(生産対象であるワーク)が大型化しても、従来の溶接システムのように、システム内におけるワークの搬送距離が増加する度合いが小さい。すなわち、従来の溶接システムでは、各機能がモジュール化されていないので、ワークが大型化すると、ワークの搬送距離が長くなりやすいが、溶接システム1では、ワークを隣接するモジュール間で搬送すればよいので、ワークの1回の搬送距離が長くなる度合いが小さい。
【0095】
したがって、従来の溶接システムのように、ワークが大型化してワークの搬送距離が長くなり、溶接システムの生産タクトが、ワークの溶接時間ではなくワークの搬送時間で律されてしまうという事態を回避すること、すなわち、ワークが大型化してもワークの生産タクトが常に溶接の時間で律されるようにすることができる。
【0096】
さらに、機能を備えた装置を規格化されたフレーム内に設置してモジュールを構成してあるので、各モジュールの外形がほぼ等しくなり、溶接システムを形成するための各モジュールの設置が一層容易になり、また、ユーティリティ敷設工事を一層簡素化することができる。
【0097】
なお、前記溶接システム1では、略長方形の材料W1、W3同士を互いに溶接しているが、各モジュール7、11、15内の装置等を適宜変更し、その他の形状の材料や3枚以上の材料を溶接して製品を生成してもよい。
【0098】
図4は、溶接システム1で溶接する材料の形状を示す図である。
【0099】
図4(a)に示すように、略台形の各材料W7、W9同士を互いに溶接して製品を生成してもよい。なお、図4(a)に示すような形状の各材料W7、W9を位置決めする位置決め装置3では、各材料W1、W3を確実に位置決めするために、サーボモータ等のアクチュエータを用いて押し付け装置29や押し付け装置35を速度制御しつつ駆動し、押し付け装置29、35で材料W1、W3を位置決めすることが望ましい。
【0100】
同様にして、位置決め装置31、37においても、サーボモータ等を用いることが望ましい。
【0101】
また、図4(b)に示すように、3枚の材料W11、W13、W15を互いに溶接する場合には、材料モジュール11内部の構成や搬送手段の構成を適宜変更すると共に、位置決め装置3の構成を適宜変更し、材料W11と材料W13とを位置決めし互いに溶接した後、この溶接後のものと材料W15とを位置決めして溶接するものである。
【0102】
さらに、図4(c)に示すように、4枚の材料W17、W19、W21、W23、W25を互いに溶接する場合であって、しかも、溶接線同士が互いに交差している場合には、冶具を用いて前記各材料を位置決めし、溶接トーチ39を、X軸方向とY軸方向とに移動して溶接をするものである。
【0103】
さらにまた、図4(d)に示すように、略L字状の材料W27の二辺に、略矩形状の材料W29を溶接する場合や、図4(e)に示すように、略L字状の材料W31、W33同士を互いに溶接する場合には、図4(c)に示す場合と同じように、冶具を用いて前記各材料を位置決めし、溶接トーチ39を、X軸方向とY軸方向とに移動して溶接をするものである。
【0104】
さらに、溶接線がX軸に対して斜めに延伸している場合や直線ではなく曲線である場合には、溶接トーチ39を、X軸方向とY軸方向とに適宜移動して、溶接を行うようにしてもよい。
【0105】
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態に係る溶接システム1aの概略構成を示す斜視図である。
【0106】
第2の実施形態に係る溶接システム1aは、材料モジュール11と前記位置決め溶接モジュール7との間に、前記位置決め溶接モジュールに供給される材料の良否や適否等を検査する材料検査モジュールの例であるDB(Double Blank)モジュール47が設けられており、また、前記位置決め溶接モジュール7と前記製品モジュール15との間に、前記位置決め溶接モジュール7で溶接された製品の溶接部をたとえば超音波探査により検査する検査モジュール49と、この検査モジュール49での検査の結果、検疑材や不良材であると判断されたもの排出するための検疑材排出モジュール51とが設けられている点が、前記第1の実施形態に係る溶接システム1とは異なり、その他の点は、前記第1の実施形態に係る溶接システム1と同様に構成されほぼ同様の効果を奏する。
【0107】
なお、前記DBモジュールは、前記位置決め溶接モジュール7に供給される材料が複数枚重なっているか否かを検出するモジュールである。また、検疑材とは、前記検査モジュール49で溶接不良が疑われると判断されたもので、作業員による再検査が必要な材料である。
【0108】
なお、前記第1の実施形態に係る溶接システム1と同様に構成されているものには、前記溶接システム1の説明で用いた符号と同一の符号を付してある。
【0109】
前記DBモジュール47は、前記位置決め溶接モジュール7のフレーム9と同様に構成されたフレーム53内で、前記検出を行なうことができるようになっている。なお、前記検出の結果、材料が重なっている場合には、この重なっている材料を前記フレーム53内の下部側に設置したパレットP7内に排出するようになっている。
【0110】
そして、前記パレットP7を前記材料モジュール11側に移動し、前記パレットP7を前記材料モジュール11の下部側から溶接システム1aの外部に取り出すことことによって、前記パレットP7に排出された材料が前記溶接システム1aの外部に排出されるようになっている。
【0111】
また、前記検査モジュール49も、前記位置決め溶接モジュール7のフレーム9と同様に構成されたフレーム55内で、前記検査を行なうことができるようになっており、検疑材排出モジュール51も、前記位置決め溶接モジュール7のフレーム9と同様に構成されたフレーム57内で、排出された検疑材を下部側でパレットP9内に一時的に格納することができるようになっている。
【0112】
そして、前記パレットP9を前記製品モジュール15側に移動し、前記パレットP9を前記製品モジュール15の下部側から溶接システム1aの外部に取り出すことによって、前記パレットP9に排出された検疑材が前記溶接システム1aの外部に排出されるようになっている。
【0113】
また、前記各モジュール47、49、51には、前記位置決め溶接モジュール7と同様に、物理的障壁が設けられている。
【0114】
さらに、前述したように前記各モジュール47、49、51を追加してあることに応じて、前記搬送手段19と同様な搬送手段が追加されている。したがって、たとえば、材料モジュール11とDBモジュール47との間に搬送手段が設けられ、DBモジュール47と位置決め溶接モジュール7との間にも搬送手段が設けられていることになる。しかし、必ずしもこのように搬送手段を設ける必要はなく、材料モジュール11から位置決め溶接モジュール7までの搬送を1つの搬送手段で行なってもよい。
【0115】
また、前記検査モジュール49に、前記位置決め溶接モジュール7で溶接された製品W5にエンボス加工(製品W5を重ねて積み上げた場合、製品W5の荷崩れを防止するためのエンボス加工)を施すエンボス装置を組み込んでもよい。
【0116】
さらに、位置決め溶接モジュール7と検査モジュール49との間や検査モジュール49と検疑材排出モジュール51との間や検疑材排出モジュール51と製品モジュール15との間に、位置決め溶接モジュール7から出てきた製品W5を一時的に蓄えることができるバッファ機能を備えたバッファモジュールを設けてもよい。
【0117】
さらに、前記DBモジュール47を別途設けることなく、前記材料モジュール11のフレーム13内で、材料が複数枚重なっていることを検出するようにしてもよい。
【0118】
溶接システム1aによれば、DBモジュール47を設け、材料が複数枚重なった状態で前記位置決め溶接モジュール7に供給されることを防止しているので、重なった状態の材料が下流側の位置決め溶接モジュール7に供給されることがなくなり、不良品の発生や、溶接システム1aでの故障の発生を未然に防止することができる。
【0119】
また、溶接システム1aによれば、検査モジュール49を設けてあるので、溶接部に不具合が存在するもしくは存在するおそれのある製品を排除することができる。
【0120】
さらに、バッファモジュールを設置することにより、溶接システム(生産ライン)1aにおける製品の脈動を吸収する(たとえば、製品が位置決め溶接モジュールから搬出されてきたときから次の製品が搬出されてくるまでの各時間のばらつきの平準化をする)ことができる。
【0121】
[第3の実施形態]
図6は、本発明の第3の実施形態に係る溶接システム1bの概略構成を示す平面図である。
【0122】
第3の実施形態に係る溶接システム1bでは、各モジュールの間のうちのいずれかの間に、材料や製品を分岐する機能、または前記材料や前記製品を合流する機能を備えたトラバースモジュール59が設けられている点が、前記各実施形態に係る溶接システムとは異なり、その他の点は、前記各実施形態に係る溶接システムとほぼ同様に構成されほぼ同様の効果を奏する。
【0123】
なお、トラバースモジュール59も、位置決め溶接モジュール7等と同様なフレームを備えており、このフレーム内で材料や製品を分岐しまたは合流することができるようになっている。
【0124】
溶接システム1bは、たとえば、図6に示すように、位置決め溶接モジュール7と検査モジュール49とを並列的に並べて2つのラインを構成していると共に、材料モジュール11と各位置決め溶接モジュール7との間に、トラバースモジュール59を設け、各検査モジュール49と製品モジュール15との間にも別のトラバースモジュール59を設けてある。
【0125】
そして、材料モジュール11から搬出された材料が、トラバースモジュール59で分岐され、位置決め溶接モジュール7と検査モジュール49とで構成された一方のラインまたは他の位置決め溶接モジュール7と他の検査モジュール49とで構成された他方のラインに供給され、各ラインで溶接され検査された製品が、後側の別のトラバースモジュール59で合流され、製品モジュール15に供給されるようになっている。
【0126】
溶接システム1bによれば、トラバースモジュール59を設けることにより、生産ラインの多重化を行なうことが容易になり、すなわち、1つの材料モジュール11と1つの製品モジュール15との間に位置決め溶接モジュール7や検査モジュール49を並列に設置し2つのラインで溶接や検査を行なうことができ、増産に柔軟に対応することができる等、一層柔軟な溶接システムを容易に構築することができる。
【0127】
[第4の実施形態]
図7は、本発明の第4の実施形態に係る溶接システム1cの概略構成を示す斜視図である。
【0128】
第4の実施形態に係る溶接システム1cは、第2の実施形態に係る溶接システム1aの検疑材排出モジュール51の代わりに、位置決め溶接モジュール7で溶接された製品を切断して別の製品を生成する切断加工ステーション61を備えている点が、第2の実施形態に係る溶接システム1aと異なり、その他の点は、前記溶接システム1aとほぼ同様に構成されほぼ同様の効果を奏する。
【0129】
なお、前記第2の実施形態に係る溶接システム1aと同様に構成されているものには、前記溶接システム1aの説明で用いた符号と同一の符号を付してある。
【0130】
溶接システム1cでは、第2の実施形態に係る溶接システム1aの検疑材排出モジュール51が設けられている箇所に、位置決め溶接モジュール7等と同様なフレームを備えていると共に位置決め溶接モジュール7で溶接され検査モジュール49で検査された製品を1枚ずつ一時的に載置することができる製品載置モジュール51aが設けられている。
【0131】
前記製品載置モジュール51aの側方には、搬送手段の例である多関節ロボット63、台車65、レーザ加工機67、廃材載置用パレットP11、レーザ加工後の製品を載置するための製品載置用パレットP13が設けられている。
【0132】
そして、前記検査モジュール49から前記製品載置モジュール51aの供給された製品を、前記ロボット63を用いて前記台車65に供給し、製品を載置した台車65がレーザ加工機67に投入され、レーザ加工機67によって、所望の形状の新たな製品を切断加工して生成するようになっている。
【0133】
レーザ加工が終了した後、新たな製品とこの新たな製品以外の廃材とを載置した状態で台車65が前記レーザ加工機67から出てくるようになっている。続いて、ロボット63によって、廃材が前記廃材載置用パレットP11まで搬送され、新たな製品が製品載置用パレットP13まで搬送されるようになっている。また、新たな製品を載置しているパレットP13は、製品モジュール15まで、図示しない搬送装置により搬送されるようになっている
なお、検査モジュール49で発見された検疑材は、前記製品載置モジュール51aに載置された後、前記ロボット63により、前記廃材載置用パレットP11まで搬送されるようになっている。
【0134】
溶接システム1cによれば、位置決め溶接モジュール7で溶接された製品を切断して別の新たな製品を生成する切断加工ステーション61を備えているので、溶接後の製品から種々な形態の製品を容易に作り出すことができる。
【0135】
[第5の実施形態]
図8は、本発明の第5の実施形態に係る溶接システム1cの概略構成を示す斜視図である。
【0136】
第5の実施形態に係る溶接システム1dは、位置決め溶接モジュール7と検査モジュール49との間に、トラバースモジュール(位置決め溶接モジュール7から受け取った製品を1枚ずつY軸方向に搬送して検査モジュール49に供給可能なモジュール)59aを設け、溶接システム全体の形態を「コ」字状に形成してある点が前記第2の実施形態に係る溶接システム1aと異なり、その他の点は、溶接システム1aとほぼ同様に構成されほぼ同様の効果を奏する。
【0137】
前記第2の実施形態に係る溶接システム1aと同様に構成されているものには、前記溶接システム1aの説明で用いた符号と同一の符号を付してある。
【0138】
なお、溶接システム1dでは、溶接システムを「コ」字状に形成してあるが、「コ」字状以外の形状(たとえば「L」字状)に形成してもよい。
【0139】
このようにトラバースモジュール59aを用いて、溶接システム全体の形状を変形するようにすれば、溶接システムの設置スペースに応じて柔軟な配置のレイアウトを行なうことができる。
【0140】
なお、前記各実施形態では、板状の材料を溶接する場合を例に掲げて説明したが、板状以外の形状の材料を溶接する場合にも、前記各実施形態を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る溶接システムの概略構成を示す斜視図である。
【図2】位置決め溶接モジュールの位置決め装置、溶接装置の概略構成を示す平面図である。
【図3】位置決め溶接モジュールの動作を説明する図である。
【図4】溶接システムで溶接する材料の形状を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る溶接システムの概略構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る溶接システムの概略構成を示す平面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る溶接システムの概略構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る溶接システムの概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0142】
1、1a、1b、1c、1d 溶接システム
W1、W3 材料
W5 製品
3 材料位置決め装置
5 溶接装置
7 位置決め溶接モジュール
11 材料モジュール
15 製品モジュール
47 DBモジュール
49 検査モジュール
59 トラバースモジュール
61 切断加工ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を溶接して製品を生成する際に必要な各種機能を備えた装置や機器を、予め規格化されているフレームに組み込むことにより装置モジュールを形成し、前記製品を生成するための各種機能を有するモジュールが連結されることにより構成されることを特徴とする溶接システム。
【請求項2】
請求項1に記載の溶接システムにおいて、
前記フレームの内部に前記機能を備えた装置や機器が設けられていると共に、前記装置や機器の動作及び溶接加工時に作業員の安全を確保するための物理的障壁が、前記モジュールに設けられていることを特徴とする溶接システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の溶接システムにおいて、
前記溶接システムは、複数のモジュールを備えていると共に、前記材料や製品を搬送するために前記各モジュールで共有の搬送系を備えていることを特徴とする溶接システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の溶接システムにおいて、
前記溶接システムは、複数のモジュールを備えていると共に、前記材料や製品を搬送するために前記各モジュールが個別の搬送系を備えていることを特徴とする溶接システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の溶接システムにおいて、
前記モジュールとして、
材料位置決め装置と、この材料位置決め装置で位置決めされた材料を溶接可能な溶接装置とを備えた位置決め溶接モジュールと;
前記位置決め溶接モジュールに供給する材料をストックする材料モジュールと;
前記位置決め溶接モジュールで溶接された製品をストックする製品モジュールと;
を有することを特徴とする溶接システム。
【請求項6】
請求項5に記載の溶接システムにおいて、
前記モジュールとして、
前記材料モジュールと前記位置決め溶接モジュールとの間に、前記位置決め溶接モジュールに供給される材料を検査する材料検査モジュールが設けられていることを特徴とする溶接システム。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の溶接システムにおいて、
前記モジュールとして、
前記位置決め溶接モジュールと前記製品モジュールとの間に、前記位置決め溶接モジュールで溶接された製品を検査する検査モジュールが設けられていることを特徴とする溶接システム。
【請求項8】
請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の溶接システムにおいて、
前記モジュールとして、
前記各モジュールの間のうちのいずれかの間に、前記材料や前記製品を分岐する機能、または前記材料や前記製品を合流する機能を備えたトラバースモジュールが設けられていることを特徴とする溶接システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−26759(P2006−26759A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205597(P2004−205597)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】