溶接検査方法および装置
【課題】検査員の熟練度を必要とせず、また、スポット溶接部位の温度が下がるのを待つ必要が無く、また、プローブが消耗または破損することがない溶接検査方法を提供する。
【解決手段】金属板表面の溶接部位近傍に載置したプローブが、複数の金属板の境界面に対して斜め方向から超音波を入射させる。このときに、複数の金属板の境界に生じた溶接部を、境界面に対して斜め方向から入射した超音波が通り抜ける位置にプローブを載置する。また、表示処理手段が、超音波の反射波の強度を表示する。あるいは、表示処理手段が、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果の内容を表示する。
【解決手段】金属板表面の溶接部位近傍に載置したプローブが、複数の金属板の境界面に対して斜め方向から超音波を入射させる。このときに、複数の金属板の境界に生じた溶接部を、境界面に対して斜め方向から入射した超音波が通り抜ける位置にプローブを載置する。また、表示処理手段が、超音波の反射波の強度を表示する。あるいは、表示処理手段が、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果の内容を表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接箇所の検査に関する。特に、非破壊検査に利用する。
【背景技術】
【0002】
自動車の組み立て工程では、溶接が多用されている。その理由は、薄板の鋼板の端部を合わせて、そこを溶接した構造材を用いることが多いためである。例えば、トラックのフレームは厚板の鋼板をコの字状に曲げたものであるが、キャビンやルーフなどは、曲げた薄板の鋼板を合わせて、断面がロの字状の構造材を作り、それを用いる。このように、自動車の生産では、プレス加工して折り曲げた薄板の鋼板を溶接した材料を多用している。
【0003】
本発明に関連する従来の溶接検査方法として超音波による検査について図1から図9を参照して説明する。図1および図2は、従来の溶接検査方法を説明するための図であり、従来の超音波プローブ(以下では、単にプローブという)10と被検査材である鋼板13−1および13−2との位置関係を示す図である。また、図3は、溶接部(ナゲットという)12を示す図である。以下の説明では、スポット溶接について説明を行うが、本発明の適用範囲をスポット溶接に限定するものではない。
【0004】
プローブ10には探触子11を備えており、探触子11は、超音波の送受信素子を備えている。探触子11は、図外の溶接検査装置に接続され、パルス信号としての超音波の送受信を行う。溶接検査装置は、一つのパルス信号の送信毎に、反射波の受信を行い、その強度を測定する。
【0005】
また、プローブ10は、接触部14を備えており、この接触部14の内部は、水などの液体で満たされている。これにより、探触子11から発射された超音波を効率良く、鋼板13−1に伝えることができる。また、プローブ10の角度が多少変化してもプローブ10と鋼板13−1との密着度が変わらないように、接触部14は弾力性のあるゴムなどにより形成されている。
【0006】
図3に示すように、ナゲット12は、重ね合わされた複数の鋼板13−1および13−2の境界面に形成される。図3は二枚の鋼板13−1および13−2が重ね合わされた例であるが、重ね合わせる枚数は二枚以上であっても同様である。
【0007】
図1および図2に示すように、従来の超音波による溶接検査方法では、ナゲット12の直上、すなわちスポット溶接部位15の直上にプローブ10を当てて検査をする必要がある。
【0008】
その理由は、プローブ10から発射した超音波がナゲット12を通過すると共に、その超音波の反射波を必ず受信しなければ検査が成立しないので、必然的に、スポット溶接部位15の直上にプローブ10を当てることになる。さらに、効率良く反射波を得るためには、超音波の反射面が超音波の進行方向に対してほぼ直角でなければならず、プローブ10の角度調整に精度を要する。
【0009】
図4から図9は、従来の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である。図5は、正常なナゲット12に対する検査結果を示す図であり、横軸に時間をとり、縦軸に反射波の強度をとる。
【0010】
プローブ10から鋼板13−1に向けて発せられた超音波は、ある一定の時間の間に鋼板13−1の表面と、鋼板13−2の裏面との間で何度か往復し、最終的にはエネルギが減衰して消失する。この超音波が鋼板13−1および13−2内を往復する間に、鋼板13−1の表面と鋼板13−2の裏面との間で反射した超音波の一部はプローブ10に戻る。プローブ10に戻った超音波の波形を検査者が視認できるように画像表示装置(オシロスコープなど)を用いて画像表示した例を図5に示す。
【0011】
図5は、ナゲット12の状態が正常である場合の超音波波形であり、鋼板13−1および13−2の板厚による繰り返し波形が複数本現れ、それらの繰り返し波形が所定の減衰カーブを描くといった波形パターンが出力される。ナゲット12の良否判定では、これらの波形の本数、各波形の波高値、各波形間の距離、本来出現しない波形の有無などを評価することにより行う。
【0012】
なお、超音波のナゲット12内を伝播する速度は一定であるから、鋼板13−2の裏面で反射される複数の反射波は、鋼板13−1および13−2の板厚に応じた超音波の伝送時間間隔で現れるので、横軸は鋼板13−1および13−2の板厚方向の距離を示す時間軸となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
これに対し、図6は、ナゲット12が正常に形成されず鋼板13−1と13−2との間に剥がれが生じた状態を示す図である。図7は、剥がれが生じた不完全なナゲット12に対する検査結果を示す図であり、横軸に時間をとり、縦軸に反射波の強度をとる。
【0014】
ナゲット12が正常に形成されず鋼板13−1と13−2との間に剥がれが生じた状態では、図7に示すように、減衰量の少ない探傷面側の板厚の繰り返し反射波が出現する。すなわち、鋼板13−1と13−2との間に剥がれが生じた状態では、プローブ10から発した超音波は、鋼板13−1の表面と裏面との間だけで往復する。したがって、図5の例に比べると超音波の伝播距離が短くなるため、波形間の距離は、図5に比べて短くなる。また、超音波の伝播距離が短いために、図5に比べて減衰量も少ないので、同じ強度の波形が短い間隔で連続する。このような波形が現れた場合には、鋼板13−1と13−2との間に剥がれが有ると判定することができる。
【0015】
また、図8は、小さなナゲット12が形成された状態を示す図である。図9は、小さなナゲット12に対する検査結果を示す図であり、横軸に時間をとり、縦軸に反射波の強度をとる。
【0016】
正常の場合よりも小さなナゲット12が形成された場合には、プローブ10による検査範囲内に、図5に示した正常なナゲット12が形成された状態と、図7に示した剥がれが生じた状態とが並列に出現したことと同じ状態になる。したがって、図5に示した大きな波形と図7に示した小さな波形とが混在した波形が現れる。特に、大きな波形の間に現れる小さな波形をナポレオンハットと呼ぶ。このようなナポレオンハットが現れた場合には、正常の場合よりも小さなナゲット12が形成されたと判定することができる。
【0017】
以上説明したように、従来は、ナゲット12の直上に鋼板13−1に対してほぼ直角にプローブ10を置き、検査を実施していた。
【0018】
【特許文献1】特開2006−153710号公報
【特許文献2】特開2006−71422号公報
【特許文献3】特開2007−232525号公報
【特許文献4】特開2007−232526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来の溶接検査方法では、ナゲットの直上、すなわちスポット溶接部位の直上で鋼板に対して直角にプローブを当てなければ正確に測定できない。これを検査者が手動で行うとすれば、検査者の熟練度によって検査の精度にバラツキが出ることは否めないという課題がある。
【0020】
また、スポット溶接部位の直上にプローブを当てるためには、スポット溶接部位の温度が下がるのを待つ必要があり、検査効率が低下するという課題がある。
【0021】
また、一般的に、プローブは、ゴムなどの弾力性を有する材料により形成された接触部(図1の符号14)を有し、この接触部を鋼板に押し付けることによりプローブと鋼板との密着を図るように構成されている。このような柔軟な材質により形成された接触部をスポット溶接部位に密着させて検査することにより、接触部が消耗または破損し易いという課題がある。
【0022】
本発明は、このような課題を解決するために行われたものであって、検査者の熟練度を必要とせず、また、スポット溶接部位の温度が下がるのを待つ必要が無く、また、接触部が消耗または破損することがない溶接検査方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明を溶接検査方法としての観点から観ると、本発明は、重ね合わせた複数の金属板に対して行われた溶接の良否を判断するための溶接検査方法において、前記金属板表面の溶接部位近傍に載置したプローブが、前記複数の金属板の境界面に対して斜め方向から超音波を入射させることを特徴とする。
【0024】
このときに、金属板の境界面に対して斜め方向から入射した超音波が前記複数の金属板の境界に生じたナゲットを通り抜ける位置に前記プローブを載置するようにする。
【0025】
また、表示処理手段が、超音波の反射波の画像を表示するようにすることができる。あるいは、表示処理手段が、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果の内容を表示することができる。あるいは、表示処理手段が、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果を示す情報を外部装置に対して出力することができる。
【0026】
例えば、前記溶接は、スポット溶接である。
【0027】
これによれば、ナゲットの直上、すなわちスポット溶接部位の直上で鋼板に対してほぼ直角にプローブを当てる必要がなく、検査者の熟練度に依らず正確な検査を行うことができる。
【0028】
さらに、スポット溶接部位の直上にプローブを当てる必要がないため、スポット溶接部位の温度が下がるのを待つ必要がなく、検査効率を向上させることができる。
【0029】
さらに、プローブは、ゴムなどの柔軟な材質により形成された接触部を有しておらず、プローブが消耗または破損することがない。
【0030】
また、本発明を溶接検査装置としての観点から観ると、本発明は、重ね合わせた複数の金属板に対して行われた溶接の良否を判断するための溶接検査装置において、前記金属板表面の溶接部位近傍に載置するプローブと、このプローブを介して前記複数の金属板の境界面に対して斜め方向から超音波を入射させる手段とを備えたことを特徴とする。
【0031】
さらに、超音波の反射波の画像を表示する表示処理手段を備えることができる。あるいは、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果の内容を表示する表示処理手段を備えることができる。あるいは、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果を示す情報を外部装置に対して出力する表示処理手段を備えることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、検査者の熟練度に依らず正確な検査を行うことができる。また、プローブが消耗または破損することがない。さらに、溶接部位の形状の精度に依存しない。これにより検査効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施形態を図10から図23を参照して説明する。図10は、本発明の実施形態の溶接検査装置のブロック構成図である。本発明の実施形態の溶接検査装置は、図10に示すように、鋼板13−1の表面の溶接部位近傍に載置するプローブ1と、このプローブ1を介して鋼板13−1および13−2の境界面に対して斜め方向から超音波を入射させる手段である探触子2とを備えたことを特徴とする。
【0034】
さらに、超音波の反射波の画像を表示する表示処理手段である表示処理部8を備える。あるいは、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果の内容を表示する表示処理手段である表示処理部8を備える。また、表示処理部8は、「正常」、「剥がれ有り」、「ナゲット小」などの情報を外部装置9に対して出力することもできる。外部装置9は、例えば、検査結果の記録装置、検査結果の転送装置、検査結果の異常警報装置などである。
【0035】
以下では、スポット溶接について説明するが、本発明の適用範囲をスポット溶接に限定するものではない。
【0036】
探触子2は、超音波の送受信素子(図示省略)を備えている。パルス発振器3は、探触子2の超音波の送受信素子に対して電気信号としてのパルス信号を与える。電気信号としてのパルス信号を与えられた超音波の送受信素子は、与えられたパルス信号に応じて超音波を発生させる。また、超音波の送受信素子は、超音波の反射波としてのパルス信号を受信し、電気信号に変換して受信器4に出力する。受信器4は、探触子2の送受信素子から電気信号として入力した超音波の反射波としてのパルス信号を、データ解析部5が入力可能な信号形態に変換してデータ解析部5に出力する。
【0037】
データ解析部5は、受信器4とパルス発振器3とからパルス信号を受け取り、両者からのパルス信号の時間差と強度差とを解析する。これにより、プローブ1から発した超音波が鋼板13−1および13−2内でどのように反射し減衰したかを解析することができる。
【0038】
データ解析部5の解析結果は、表示制御部6に送られ、表示制御部6は、その解析結果を検査者が目視確認できるような波形画像、あるいは、「正常」、「剥がれ有り」、「ナゲット小」などの文字情報として表示部7に表示する。あるいは、「正常」、「剥がれ有り」、「ナゲット小」などの情報を外部装置9に対して出力する。外部装置9は、例えば、検査結果の記録装置、検査結果の転送装置、検査結果の異常警報装置などである。
【0039】
図11および図12は、本発明の実施形態の溶接検査方法を説明するための図であり、本発明の実施形態のプローブ1と被検査材である鋼板13−1および13−2との位置関係を示す図である。
【0040】
図11および図12に示すように、本発明の実施形態の超音波による溶接検査方法では、ナゲット12の直上、すなわちスポット溶接部位15の直上にプローブ1を当てて検査をする必要がなく、鋼板13−1におけるスポット溶接部位15の近傍にプローブ1を載置することによって検査を行うことができる。
【0041】
すなわち、図11に示すように、探触子2から発射された超音波はプローブ1を介して鋼板13−1に入射する。鋼板13−1に入射した超音波は、鋼板13−1と鋼板13−2とが結合していない境界面では鋼板13−2側に入射せず、鋼板13−1と鋼板13−2とが結合しているナゲット12を通過して鋼板13−2に入射する。鋼板13−2に入射した超音波は、鋼板13−2の端部16にて反射し、鋼板13−2内に戻る。
【0042】
このように、本発明の実施形態の超音波による溶接検査方法では、鋼板13−1および13−2の端部16にて反射した超音波を検出することにより、ナゲット12の状態を知ることができる。したがって、図12に示すように、プローブ1の鋼板13−1への載置位置は、必然的に、端部16とプローブ1との間に、ナゲット12(またはスポット溶接部位15)が有る位置となる。また、プローブ1の方向は、ナゲット12(またはスポット溶接部位15)に向けて超音波を発射する方向になる。
【0043】
また、図12(b)に示すように、プローブ1の超音波発射方向(一点鎖線により図示)は、端部16の面に対して直角となるようにする。これにより、プローブ1から発射された超音波の端部16での反射波が効率良くプローブ1の方向に戻るため、精度の高い検査を実施することができる。
【0044】
なお、図1および図2に示した従来例のように、検査に際し、ナゲット12(またはスポット溶接部位15)の直上で鋼板13−1に対して直角にプローブ10を当てるためには、検査者が手でプローブ10を鋼板13−1に対して検査中ずっと直角に保持する必要がある。この際、鋼板13−1に対してプローブ10が直角であるか否かの判断は、検査者の目視によるだいたいの感覚でしか判断できず、検査者の熟練度が要求される。
【0045】
これに対し、本発明では、図12(b)に示すように、プローブ1の超音波発射方向を端部16の面に対して直角となるようにプローブ1を鋼板13−1上に載置するが、この際、端部16の面に対するプローブ1の載置角度は、プローブ1を振ることで最大反射強度の角度を簡単に確認でき、最適な載置位置への調整が容易にできる。これにより、検査者の熟練度は要求されない。また、従来例と比べて検査作業の作業性も良い。
【0046】
また、図11に示す探触子2と鋼板13−1との成す角αを調整することにより、鋼板13−1および13−2の板厚に対する探触子2の角度を最適な角度に調整することができる。すなわち、角度αの調整により鋼板13−1の表面に対するプローブ1から発射された超音波の入射角度を調整することができる。これにより、様々な板厚を有する鋼板13−1および13−2の検査に対応することができる。
【0047】
また、プローブ1の大きさは、検査対象となるナゲット12の直径とほぼ等しい、または、小さいことが望ましい。プローブ1の大きさがナゲット12の直径と比べて大きい場合には、ナゲット12の外側にも超音波が入射し、検査に不要な反射波(ノイズ)が生じるためである。
【0048】
このようにして、本発明の実施形態の溶接検査方法によれば、従来の課題を解決することができる。すなわち、前述したように、スポット溶接部位15の直上で鋼板13−1に対して直角にプローブ1を当てる必要はなく、検査者の熟練度とは無関係に精度の高い検査を行うことができる。
【0049】
また、スポット溶接部位15の直上にプローブ1を当てる必要がないため、スポット溶接部位15の温度が下がるのを待つ必要がなく、検査効率の低下を回避することができる。
【0050】
また、プローブ1と鋼板13−1とが直接接触する部分であるウェッジは、アクリル等の堅固な材質を用いて制作することができるため、従来例の接触部14のように消耗または破損するということもない。
【0051】
図13から図18は、本発明の実施形態の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である。図13は、ナゲット12が正常に形成された状態を示す図である。図14は、正常なナゲット12に対する検査結果を示す図であり、横軸に時間をとり、縦軸に反射波の強度をとる。
【0052】
図13に示すように、プローブ1をスポット溶接部位15の近傍の上述したような適当な位置に載置することにより、鋼板13−1の内部に入射した超音波がナゲット12を介して鋼板13−2の内部に入射する。鋼板13−2の内部に入射した超音波は、鋼板13−2の端部16で反射すると、さらに鋼板13−2の内部で反射を繰り返すものの鋼板13−1には殆ど戻って来ない。これにより、図14に示すように、反射波は殆ど出現しない。
【0053】
したがって、検査手順としては、端部16に対して超音波の発射方向が直角となり、端部16とプローブ1との間にスポット溶接部位15が有る位置にプローブ1を載置し、プローブ1を少しずつ移動させ、反射波が所定の最小値となる位置を探すようにする。
【0054】
また、このときに、反射波が所定の最小値となる位置が探せない場合には、以下に説明するように、溶接が適切に行われていないと判定できる。
【0055】
図15は、ナゲット12が正常に形成されず鋼板13−1と13−2との間に剥がれが生じた状態を示す図である。図16は、剥がれが生じた不完全なナゲット12に対する検査結果を示す図であり、横軸に時間をとり、縦軸に反射波の強度をとる。
【0056】
図15に示すように、鋼板13−1と13−2との間に剥がれが生じた状態では、プローブ1から鋼板13−1に入射した超音波は鋼板13−2には入射することなく、鋼板13−1の端部16で反射すると、さらに鋼板13−1内で反射を繰り返すため、図16に示すように、強い反射波が出現する。
【0057】
また、図17は、小さなナゲット12が形成された状態を示す図である。図18は、小さなナゲット12に対する検査結果を示す図であり、横軸に時間をとり、縦軸に反射波の強度をとる。
【0058】
図17に示すように、小さなナゲット12が形成された状態では、プローブ1から鋼板13−1に入射した超音波の一部は、小さなナゲット12を介して鋼板13−2に入射するが、残りの超音波は、鋼板13−1の端部16で反射すると、さらに鋼板13−1内で反射を繰り返す。このため、図18に示すように、図14に示した正常なナゲット12の場合よりも強い反射波が出現する。
【0059】
このようにして、ナゲット12が正常に形成された場合、または、ナゲット12が正常に形成されず鋼板13−1と13−2との間に剥がれが生じた場合、または、ナゲット12が規格よりも小さく形成された場合のそれぞれについて判定を行うことができる。
【0060】
なお、表示部7への表示形態については、図14、図16、図18に示したように、反射波の波形そのものを画像表示し、検査者がこれを目視確認することによって判定する場合と、データ解析部5が解析した反射波強度に基づき、表示制御部6が「正常」、「剥がれ有り」、「ナゲット小」などの文字情報の表示を行うことができる。または、外部装置9に対して「正常」、「剥がれ有り」、「ナゲット小」などの情報の出力を行ってもよい。もちろん、表示部7に表示すると共に外部装置9に対して情報の出力を行うこともできる。外部装置9に対する情報の出力は、検査記録を自動的に行ったり、検査結果を複数箇所に転送したり、検査結果の異常を警報するなどに利用することができる。
【0061】
図19は、後者の場合の表示制御部6の処理手順を示すフローチャートである。すなわち、図19に示すように、表示制御部6は、データ解析部5により解析された反射波強度を監視し(ステップS1)、反射波強度が所定値より小さい場合には(ステップS2のYes)、表示部7に「正常」と表示する、および/または、外部装置9に対して「正常」という情報を出力する(ステップS5)。反射波強度が所定値より小さくないが(ステップS2のNo)、所定値より大きくない場合は(ステップS3のNo)、ディスプレイ7に「ナゲット小」と表示する、および/または、外部装置9に対して「ナゲット小」という情報を出力する(ステップS4)。また、反射波強度が所定値より大きい場合には(ステップS3のYes)、表示部7に「剥がれ有り」と表示する、および/または、外部装置9に対して「剥がれ有り」という情報を出力する(ステップS6)。
【0062】
(検査補助器具の実施例)
検査補助器具の実施例を図20および図21を参照して説明する。図20および図21は、検査補助器具17の実施例を説明するための図である。図20は斜視図であり、図21は側面図である。スポット溶接は、図20に示すように、鋼板13−1上に、連続して施される場合が多い。このような場合には、端部16とスポット溶接部位15との間の距離は、ほぼ一定である。したがって、端部16からのプローブ1の距離をいったん決めてしまえば、プローブ1を、そのまま鋼板13−1および13−2の長手方向にスライドさせることにより、連続してスポット溶接部位15の検査が可能である。
【0063】
図20および図21に示すように、検査補助器具17の直角に折れ曲がった先端部分を端部16に当てることにより、端部16とプローブ1との間の距離を一定に保つことができる。このようにすれば、鋼板13−1上に連続して設けられたスポット溶接部位15に対して連続して検査を行うことができる。
【0064】
なお、図示はしていないが、検査補助器具17には、検査補助器具17上のプローブ1の位置を調整できる機構が設けられており、検査補助器具17の直角に折れ曲がった先端部分を端部16に当て、一つのスポット溶接部位15に対して最適な位置を調整する。これにより最適な位置が調整できれば、その後は、検査補助器具17を鋼板13−1および13−2上でスライドさせることにより、他のスポット溶接部位15に対しても最適なプローブ1の位置を得ることができる。このように、検査補助器具17を用いることにより、検査効率を飛躍的に高める効果を奏する。
(効果の説明)
【0065】
本発明の実施形態の溶接検査方法によれば、前述したように、従来の課題を解決することができるが、その他にも、溶接部位の形状の精度に依存せず検査が行えるという効果がある。この効果について図22から図24を参照して説明する。
【0066】
溶接部位の形状の精度が劣化する例を図22を参照して説明する。図22は、溶接部位の形状の精度が劣化する例を説明するための図である。例えば、図22(a)に示すように、鋼板13−1が薄板であり、鋼板13−2が厚板であるような場合に、図22(b)に示すように、溶接電極18−1および18−2がやや斜めに鋼板13−1および13−2に接したとすると、図22(c)に示すように、溶接電極18−1および18−2の加圧による応力により溶接後の薄板の鋼板13−1に反りが生じることがある。このようにして、ナゲット12が存在する溶接部位の形状が規定形状ではなくなる場合がある。
【0067】
図23は、本発明の実施形態の溶接検査方法による規定形状ではない溶接部位の形状での検査の様子を示す図である。また、図24は、従来の溶接検査方法による規定形状ではない溶接部位での検査の様子を示す図である。図23に示すように、本発明の実施形態の溶接検査方法によれば、鋼板13−1内に入射した超音波がナゲット12を介して鋼板13−2に入射し、端部16で反射することができれば、検査を実行する上での支障は無い。
【0068】
これに対し、図24に示すように、従来の溶接検査方法では、鋼板13−2底部からの反射波を受信することが不可欠であるため、超音波の反射面が超音波の入射方向に対して直角ではない場合には、反射波がプローブ10以外の方向に反射してしまい、精度の高い検査は困難となる。
【0069】
このように、本発明の実施形態の溶接検査方法によれば、規定形状ではない溶接部位を有する鋼板13−1および13−2に対しても検査が可能となる。
【0070】
また、図25は、従来の溶接検査方法において一つのスポット溶接部位15に対して一つの位置から検査を行う様子を示す図であるが、図25に示すように、従来は、スポット溶接部位15を有する鋼板面に対して直角にプローブ10を当てる必要が有るため、一つのスポット溶接部位15に対して複数の位置から検査を行うことはできなかった。
【0071】
これに対し、本発明の実施形態の溶接検査方法によれば、一つのスポット溶接部位15に対して複数の位置から検査を行うことができる。図26および図27は、一つのスポット溶接部位15に対して複数の位置から検査を行う様子を示す図である。このように、本発明の実施形態の溶接検査方法では、一つのスポット溶接部位15に対して図26に示す位置および図27に示す位置から検査を行うことができる。すなわち、プローブ1と端部16との間にスポット溶接部位15が有り、プローブ1から発射された超音波が端部16で反射するといった状況が整えば検査が可能となる。例えば、鋼板が折り曲げられている場合でも超音波の伝播が折り曲げ部分で妨げられないのであれば、折り曲げ部分の先に有る溶接部位を折り曲げ部分の手前から検査するといったことも可能になる。
【0072】
さらに、前述したように、規定形状ではない溶接部位においても検査可能であることから、検査位置の選択における制約を緩和することができる。これにより、従来と比較して検査精度を高くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、検査者の熟練度に依らず正確な検査を行うことができる。また、プローブが消耗または破損することがない。さらに、溶接部位の形状の精度に依存しない。これにより、製造ライン上で自動的に溶接の検査を行う装置を開発する場合などに応用できる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】従来の溶接検査方法を説明するための図である。
【図2】従来の溶接検査方法を説明するための図である。
【図3】ナゲットを示す図である。
【図4】従来の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である(正常なナゲットが形成された状態)。
【図5】従来の正常なナゲットに対する検査結果を示す図である。
【図6】従来の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である(ナゲットが正常に形成されず鋼板の間に剥がれが生じた状態)。
【図7】従来の剥がれが生じた不完全なナゲットに対する検査結果を示す図である。
【図8】従来の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である(小さなナゲットが形成された状態)。
【図9】従来の小さなナゲットに対する検査結果を示す図である。
【図10】本発明の実施形態の溶接検査装置のブロック構成図である。
【図11】本発明の実施形態の溶接検査方法を説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態の溶接検査方法を説明するための図である。
【図13】本発明の実施形態の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である(ナゲットが正常に形成された状態)。
【図14】本発明の実施形態の正常なナゲットに対する検査結果を示す図である。
【図15】本発明の実施形態の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である(ナゲットが正常に形成されず鋼板の間に剥がれが生じた状態)。
【図16】本発明の実施形態の剥がれが生じた不完全なナゲットに対する検査結果を示す図である。
【図17】本発明の実施形態の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である(小さなナゲットが形成された状態)。
【図18】本発明の実施形態の小さなナゲットに対する検査結果を示す図である。
【図19】本発明の実施形態の表示制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】検査補助器具を説明するための図(斜視図)である。
【図21】検査補助器具を説明するための図(側面図)である。
【図22】溶接部位の形状の精度が劣化する例を説明するための図である。
【図23】本発明の実施形態の溶接検査方法による規定形状ではない溶接部位での検査の様子を示す図である。
【図24】従来の溶接検査方法による規定形状ではない溶接部位での検査の様子を示す図である。
【図25】従来の溶接検査方法において一つのスポット溶接部位に対して一つの位置から検査を行う様子を示す図である。
【図26】一つのスポット溶接部位に対して複数の位置から検査を行う様子を示す図である。
【図27】一つのスポット溶接部位に対して複数の位置から検査を行う様子を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1、10 プローブ
2、11 探触子
3 パルス発振器
4 受信器
5 データ解析部
6 表示制御部
7 表示部
8 表示処理部
9 外部装置
12 ナゲット
13−1、13−2 鋼板
14 接触部
15 スポット溶接部位
16 端部
17 検査補助器具
18−1、18−2 溶接電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接箇所の検査に関する。特に、非破壊検査に利用する。
【背景技術】
【0002】
自動車の組み立て工程では、溶接が多用されている。その理由は、薄板の鋼板の端部を合わせて、そこを溶接した構造材を用いることが多いためである。例えば、トラックのフレームは厚板の鋼板をコの字状に曲げたものであるが、キャビンやルーフなどは、曲げた薄板の鋼板を合わせて、断面がロの字状の構造材を作り、それを用いる。このように、自動車の生産では、プレス加工して折り曲げた薄板の鋼板を溶接した材料を多用している。
【0003】
本発明に関連する従来の溶接検査方法として超音波による検査について図1から図9を参照して説明する。図1および図2は、従来の溶接検査方法を説明するための図であり、従来の超音波プローブ(以下では、単にプローブという)10と被検査材である鋼板13−1および13−2との位置関係を示す図である。また、図3は、溶接部(ナゲットという)12を示す図である。以下の説明では、スポット溶接について説明を行うが、本発明の適用範囲をスポット溶接に限定するものではない。
【0004】
プローブ10には探触子11を備えており、探触子11は、超音波の送受信素子を備えている。探触子11は、図外の溶接検査装置に接続され、パルス信号としての超音波の送受信を行う。溶接検査装置は、一つのパルス信号の送信毎に、反射波の受信を行い、その強度を測定する。
【0005】
また、プローブ10は、接触部14を備えており、この接触部14の内部は、水などの液体で満たされている。これにより、探触子11から発射された超音波を効率良く、鋼板13−1に伝えることができる。また、プローブ10の角度が多少変化してもプローブ10と鋼板13−1との密着度が変わらないように、接触部14は弾力性のあるゴムなどにより形成されている。
【0006】
図3に示すように、ナゲット12は、重ね合わされた複数の鋼板13−1および13−2の境界面に形成される。図3は二枚の鋼板13−1および13−2が重ね合わされた例であるが、重ね合わせる枚数は二枚以上であっても同様である。
【0007】
図1および図2に示すように、従来の超音波による溶接検査方法では、ナゲット12の直上、すなわちスポット溶接部位15の直上にプローブ10を当てて検査をする必要がある。
【0008】
その理由は、プローブ10から発射した超音波がナゲット12を通過すると共に、その超音波の反射波を必ず受信しなければ検査が成立しないので、必然的に、スポット溶接部位15の直上にプローブ10を当てることになる。さらに、効率良く反射波を得るためには、超音波の反射面が超音波の進行方向に対してほぼ直角でなければならず、プローブ10の角度調整に精度を要する。
【0009】
図4から図9は、従来の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である。図5は、正常なナゲット12に対する検査結果を示す図であり、横軸に時間をとり、縦軸に反射波の強度をとる。
【0010】
プローブ10から鋼板13−1に向けて発せられた超音波は、ある一定の時間の間に鋼板13−1の表面と、鋼板13−2の裏面との間で何度か往復し、最終的にはエネルギが減衰して消失する。この超音波が鋼板13−1および13−2内を往復する間に、鋼板13−1の表面と鋼板13−2の裏面との間で反射した超音波の一部はプローブ10に戻る。プローブ10に戻った超音波の波形を検査者が視認できるように画像表示装置(オシロスコープなど)を用いて画像表示した例を図5に示す。
【0011】
図5は、ナゲット12の状態が正常である場合の超音波波形であり、鋼板13−1および13−2の板厚による繰り返し波形が複数本現れ、それらの繰り返し波形が所定の減衰カーブを描くといった波形パターンが出力される。ナゲット12の良否判定では、これらの波形の本数、各波形の波高値、各波形間の距離、本来出現しない波形の有無などを評価することにより行う。
【0012】
なお、超音波のナゲット12内を伝播する速度は一定であるから、鋼板13−2の裏面で反射される複数の反射波は、鋼板13−1および13−2の板厚に応じた超音波の伝送時間間隔で現れるので、横軸は鋼板13−1および13−2の板厚方向の距離を示す時間軸となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
これに対し、図6は、ナゲット12が正常に形成されず鋼板13−1と13−2との間に剥がれが生じた状態を示す図である。図7は、剥がれが生じた不完全なナゲット12に対する検査結果を示す図であり、横軸に時間をとり、縦軸に反射波の強度をとる。
【0014】
ナゲット12が正常に形成されず鋼板13−1と13−2との間に剥がれが生じた状態では、図7に示すように、減衰量の少ない探傷面側の板厚の繰り返し反射波が出現する。すなわち、鋼板13−1と13−2との間に剥がれが生じた状態では、プローブ10から発した超音波は、鋼板13−1の表面と裏面との間だけで往復する。したがって、図5の例に比べると超音波の伝播距離が短くなるため、波形間の距離は、図5に比べて短くなる。また、超音波の伝播距離が短いために、図5に比べて減衰量も少ないので、同じ強度の波形が短い間隔で連続する。このような波形が現れた場合には、鋼板13−1と13−2との間に剥がれが有ると判定することができる。
【0015】
また、図8は、小さなナゲット12が形成された状態を示す図である。図9は、小さなナゲット12に対する検査結果を示す図であり、横軸に時間をとり、縦軸に反射波の強度をとる。
【0016】
正常の場合よりも小さなナゲット12が形成された場合には、プローブ10による検査範囲内に、図5に示した正常なナゲット12が形成された状態と、図7に示した剥がれが生じた状態とが並列に出現したことと同じ状態になる。したがって、図5に示した大きな波形と図7に示した小さな波形とが混在した波形が現れる。特に、大きな波形の間に現れる小さな波形をナポレオンハットと呼ぶ。このようなナポレオンハットが現れた場合には、正常の場合よりも小さなナゲット12が形成されたと判定することができる。
【0017】
以上説明したように、従来は、ナゲット12の直上に鋼板13−1に対してほぼ直角にプローブ10を置き、検査を実施していた。
【0018】
【特許文献1】特開2006−153710号公報
【特許文献2】特開2006−71422号公報
【特許文献3】特開2007−232525号公報
【特許文献4】特開2007−232526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来の溶接検査方法では、ナゲットの直上、すなわちスポット溶接部位の直上で鋼板に対して直角にプローブを当てなければ正確に測定できない。これを検査者が手動で行うとすれば、検査者の熟練度によって検査の精度にバラツキが出ることは否めないという課題がある。
【0020】
また、スポット溶接部位の直上にプローブを当てるためには、スポット溶接部位の温度が下がるのを待つ必要があり、検査効率が低下するという課題がある。
【0021】
また、一般的に、プローブは、ゴムなどの弾力性を有する材料により形成された接触部(図1の符号14)を有し、この接触部を鋼板に押し付けることによりプローブと鋼板との密着を図るように構成されている。このような柔軟な材質により形成された接触部をスポット溶接部位に密着させて検査することにより、接触部が消耗または破損し易いという課題がある。
【0022】
本発明は、このような課題を解決するために行われたものであって、検査者の熟練度を必要とせず、また、スポット溶接部位の温度が下がるのを待つ必要が無く、また、接触部が消耗または破損することがない溶接検査方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明を溶接検査方法としての観点から観ると、本発明は、重ね合わせた複数の金属板に対して行われた溶接の良否を判断するための溶接検査方法において、前記金属板表面の溶接部位近傍に載置したプローブが、前記複数の金属板の境界面に対して斜め方向から超音波を入射させることを特徴とする。
【0024】
このときに、金属板の境界面に対して斜め方向から入射した超音波が前記複数の金属板の境界に生じたナゲットを通り抜ける位置に前記プローブを載置するようにする。
【0025】
また、表示処理手段が、超音波の反射波の画像を表示するようにすることができる。あるいは、表示処理手段が、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果の内容を表示することができる。あるいは、表示処理手段が、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果を示す情報を外部装置に対して出力することができる。
【0026】
例えば、前記溶接は、スポット溶接である。
【0027】
これによれば、ナゲットの直上、すなわちスポット溶接部位の直上で鋼板に対してほぼ直角にプローブを当てる必要がなく、検査者の熟練度に依らず正確な検査を行うことができる。
【0028】
さらに、スポット溶接部位の直上にプローブを当てる必要がないため、スポット溶接部位の温度が下がるのを待つ必要がなく、検査効率を向上させることができる。
【0029】
さらに、プローブは、ゴムなどの柔軟な材質により形成された接触部を有しておらず、プローブが消耗または破損することがない。
【0030】
また、本発明を溶接検査装置としての観点から観ると、本発明は、重ね合わせた複数の金属板に対して行われた溶接の良否を判断するための溶接検査装置において、前記金属板表面の溶接部位近傍に載置するプローブと、このプローブを介して前記複数の金属板の境界面に対して斜め方向から超音波を入射させる手段とを備えたことを特徴とする。
【0031】
さらに、超音波の反射波の画像を表示する表示処理手段を備えることができる。あるいは、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果の内容を表示する表示処理手段を備えることができる。あるいは、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果を示す情報を外部装置に対して出力する表示処理手段を備えることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、検査者の熟練度に依らず正確な検査を行うことができる。また、プローブが消耗または破損することがない。さらに、溶接部位の形状の精度に依存しない。これにより検査効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施形態を図10から図23を参照して説明する。図10は、本発明の実施形態の溶接検査装置のブロック構成図である。本発明の実施形態の溶接検査装置は、図10に示すように、鋼板13−1の表面の溶接部位近傍に載置するプローブ1と、このプローブ1を介して鋼板13−1および13−2の境界面に対して斜め方向から超音波を入射させる手段である探触子2とを備えたことを特徴とする。
【0034】
さらに、超音波の反射波の画像を表示する表示処理手段である表示処理部8を備える。あるいは、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果の内容を表示する表示処理手段である表示処理部8を備える。また、表示処理部8は、「正常」、「剥がれ有り」、「ナゲット小」などの情報を外部装置9に対して出力することもできる。外部装置9は、例えば、検査結果の記録装置、検査結果の転送装置、検査結果の異常警報装置などである。
【0035】
以下では、スポット溶接について説明するが、本発明の適用範囲をスポット溶接に限定するものではない。
【0036】
探触子2は、超音波の送受信素子(図示省略)を備えている。パルス発振器3は、探触子2の超音波の送受信素子に対して電気信号としてのパルス信号を与える。電気信号としてのパルス信号を与えられた超音波の送受信素子は、与えられたパルス信号に応じて超音波を発生させる。また、超音波の送受信素子は、超音波の反射波としてのパルス信号を受信し、電気信号に変換して受信器4に出力する。受信器4は、探触子2の送受信素子から電気信号として入力した超音波の反射波としてのパルス信号を、データ解析部5が入力可能な信号形態に変換してデータ解析部5に出力する。
【0037】
データ解析部5は、受信器4とパルス発振器3とからパルス信号を受け取り、両者からのパルス信号の時間差と強度差とを解析する。これにより、プローブ1から発した超音波が鋼板13−1および13−2内でどのように反射し減衰したかを解析することができる。
【0038】
データ解析部5の解析結果は、表示制御部6に送られ、表示制御部6は、その解析結果を検査者が目視確認できるような波形画像、あるいは、「正常」、「剥がれ有り」、「ナゲット小」などの文字情報として表示部7に表示する。あるいは、「正常」、「剥がれ有り」、「ナゲット小」などの情報を外部装置9に対して出力する。外部装置9は、例えば、検査結果の記録装置、検査結果の転送装置、検査結果の異常警報装置などである。
【0039】
図11および図12は、本発明の実施形態の溶接検査方法を説明するための図であり、本発明の実施形態のプローブ1と被検査材である鋼板13−1および13−2との位置関係を示す図である。
【0040】
図11および図12に示すように、本発明の実施形態の超音波による溶接検査方法では、ナゲット12の直上、すなわちスポット溶接部位15の直上にプローブ1を当てて検査をする必要がなく、鋼板13−1におけるスポット溶接部位15の近傍にプローブ1を載置することによって検査を行うことができる。
【0041】
すなわち、図11に示すように、探触子2から発射された超音波はプローブ1を介して鋼板13−1に入射する。鋼板13−1に入射した超音波は、鋼板13−1と鋼板13−2とが結合していない境界面では鋼板13−2側に入射せず、鋼板13−1と鋼板13−2とが結合しているナゲット12を通過して鋼板13−2に入射する。鋼板13−2に入射した超音波は、鋼板13−2の端部16にて反射し、鋼板13−2内に戻る。
【0042】
このように、本発明の実施形態の超音波による溶接検査方法では、鋼板13−1および13−2の端部16にて反射した超音波を検出することにより、ナゲット12の状態を知ることができる。したがって、図12に示すように、プローブ1の鋼板13−1への載置位置は、必然的に、端部16とプローブ1との間に、ナゲット12(またはスポット溶接部位15)が有る位置となる。また、プローブ1の方向は、ナゲット12(またはスポット溶接部位15)に向けて超音波を発射する方向になる。
【0043】
また、図12(b)に示すように、プローブ1の超音波発射方向(一点鎖線により図示)は、端部16の面に対して直角となるようにする。これにより、プローブ1から発射された超音波の端部16での反射波が効率良くプローブ1の方向に戻るため、精度の高い検査を実施することができる。
【0044】
なお、図1および図2に示した従来例のように、検査に際し、ナゲット12(またはスポット溶接部位15)の直上で鋼板13−1に対して直角にプローブ10を当てるためには、検査者が手でプローブ10を鋼板13−1に対して検査中ずっと直角に保持する必要がある。この際、鋼板13−1に対してプローブ10が直角であるか否かの判断は、検査者の目視によるだいたいの感覚でしか判断できず、検査者の熟練度が要求される。
【0045】
これに対し、本発明では、図12(b)に示すように、プローブ1の超音波発射方向を端部16の面に対して直角となるようにプローブ1を鋼板13−1上に載置するが、この際、端部16の面に対するプローブ1の載置角度は、プローブ1を振ることで最大反射強度の角度を簡単に確認でき、最適な載置位置への調整が容易にできる。これにより、検査者の熟練度は要求されない。また、従来例と比べて検査作業の作業性も良い。
【0046】
また、図11に示す探触子2と鋼板13−1との成す角αを調整することにより、鋼板13−1および13−2の板厚に対する探触子2の角度を最適な角度に調整することができる。すなわち、角度αの調整により鋼板13−1の表面に対するプローブ1から発射された超音波の入射角度を調整することができる。これにより、様々な板厚を有する鋼板13−1および13−2の検査に対応することができる。
【0047】
また、プローブ1の大きさは、検査対象となるナゲット12の直径とほぼ等しい、または、小さいことが望ましい。プローブ1の大きさがナゲット12の直径と比べて大きい場合には、ナゲット12の外側にも超音波が入射し、検査に不要な反射波(ノイズ)が生じるためである。
【0048】
このようにして、本発明の実施形態の溶接検査方法によれば、従来の課題を解決することができる。すなわち、前述したように、スポット溶接部位15の直上で鋼板13−1に対して直角にプローブ1を当てる必要はなく、検査者の熟練度とは無関係に精度の高い検査を行うことができる。
【0049】
また、スポット溶接部位15の直上にプローブ1を当てる必要がないため、スポット溶接部位15の温度が下がるのを待つ必要がなく、検査効率の低下を回避することができる。
【0050】
また、プローブ1と鋼板13−1とが直接接触する部分であるウェッジは、アクリル等の堅固な材質を用いて制作することができるため、従来例の接触部14のように消耗または破損するということもない。
【0051】
図13から図18は、本発明の実施形態の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である。図13は、ナゲット12が正常に形成された状態を示す図である。図14は、正常なナゲット12に対する検査結果を示す図であり、横軸に時間をとり、縦軸に反射波の強度をとる。
【0052】
図13に示すように、プローブ1をスポット溶接部位15の近傍の上述したような適当な位置に載置することにより、鋼板13−1の内部に入射した超音波がナゲット12を介して鋼板13−2の内部に入射する。鋼板13−2の内部に入射した超音波は、鋼板13−2の端部16で反射すると、さらに鋼板13−2の内部で反射を繰り返すものの鋼板13−1には殆ど戻って来ない。これにより、図14に示すように、反射波は殆ど出現しない。
【0053】
したがって、検査手順としては、端部16に対して超音波の発射方向が直角となり、端部16とプローブ1との間にスポット溶接部位15が有る位置にプローブ1を載置し、プローブ1を少しずつ移動させ、反射波が所定の最小値となる位置を探すようにする。
【0054】
また、このときに、反射波が所定の最小値となる位置が探せない場合には、以下に説明するように、溶接が適切に行われていないと判定できる。
【0055】
図15は、ナゲット12が正常に形成されず鋼板13−1と13−2との間に剥がれが生じた状態を示す図である。図16は、剥がれが生じた不完全なナゲット12に対する検査結果を示す図であり、横軸に時間をとり、縦軸に反射波の強度をとる。
【0056】
図15に示すように、鋼板13−1と13−2との間に剥がれが生じた状態では、プローブ1から鋼板13−1に入射した超音波は鋼板13−2には入射することなく、鋼板13−1の端部16で反射すると、さらに鋼板13−1内で反射を繰り返すため、図16に示すように、強い反射波が出現する。
【0057】
また、図17は、小さなナゲット12が形成された状態を示す図である。図18は、小さなナゲット12に対する検査結果を示す図であり、横軸に時間をとり、縦軸に反射波の強度をとる。
【0058】
図17に示すように、小さなナゲット12が形成された状態では、プローブ1から鋼板13−1に入射した超音波の一部は、小さなナゲット12を介して鋼板13−2に入射するが、残りの超音波は、鋼板13−1の端部16で反射すると、さらに鋼板13−1内で反射を繰り返す。このため、図18に示すように、図14に示した正常なナゲット12の場合よりも強い反射波が出現する。
【0059】
このようにして、ナゲット12が正常に形成された場合、または、ナゲット12が正常に形成されず鋼板13−1と13−2との間に剥がれが生じた場合、または、ナゲット12が規格よりも小さく形成された場合のそれぞれについて判定を行うことができる。
【0060】
なお、表示部7への表示形態については、図14、図16、図18に示したように、反射波の波形そのものを画像表示し、検査者がこれを目視確認することによって判定する場合と、データ解析部5が解析した反射波強度に基づき、表示制御部6が「正常」、「剥がれ有り」、「ナゲット小」などの文字情報の表示を行うことができる。または、外部装置9に対して「正常」、「剥がれ有り」、「ナゲット小」などの情報の出力を行ってもよい。もちろん、表示部7に表示すると共に外部装置9に対して情報の出力を行うこともできる。外部装置9に対する情報の出力は、検査記録を自動的に行ったり、検査結果を複数箇所に転送したり、検査結果の異常を警報するなどに利用することができる。
【0061】
図19は、後者の場合の表示制御部6の処理手順を示すフローチャートである。すなわち、図19に示すように、表示制御部6は、データ解析部5により解析された反射波強度を監視し(ステップS1)、反射波強度が所定値より小さい場合には(ステップS2のYes)、表示部7に「正常」と表示する、および/または、外部装置9に対して「正常」という情報を出力する(ステップS5)。反射波強度が所定値より小さくないが(ステップS2のNo)、所定値より大きくない場合は(ステップS3のNo)、ディスプレイ7に「ナゲット小」と表示する、および/または、外部装置9に対して「ナゲット小」という情報を出力する(ステップS4)。また、反射波強度が所定値より大きい場合には(ステップS3のYes)、表示部7に「剥がれ有り」と表示する、および/または、外部装置9に対して「剥がれ有り」という情報を出力する(ステップS6)。
【0062】
(検査補助器具の実施例)
検査補助器具の実施例を図20および図21を参照して説明する。図20および図21は、検査補助器具17の実施例を説明するための図である。図20は斜視図であり、図21は側面図である。スポット溶接は、図20に示すように、鋼板13−1上に、連続して施される場合が多い。このような場合には、端部16とスポット溶接部位15との間の距離は、ほぼ一定である。したがって、端部16からのプローブ1の距離をいったん決めてしまえば、プローブ1を、そのまま鋼板13−1および13−2の長手方向にスライドさせることにより、連続してスポット溶接部位15の検査が可能である。
【0063】
図20および図21に示すように、検査補助器具17の直角に折れ曲がった先端部分を端部16に当てることにより、端部16とプローブ1との間の距離を一定に保つことができる。このようにすれば、鋼板13−1上に連続して設けられたスポット溶接部位15に対して連続して検査を行うことができる。
【0064】
なお、図示はしていないが、検査補助器具17には、検査補助器具17上のプローブ1の位置を調整できる機構が設けられており、検査補助器具17の直角に折れ曲がった先端部分を端部16に当て、一つのスポット溶接部位15に対して最適な位置を調整する。これにより最適な位置が調整できれば、その後は、検査補助器具17を鋼板13−1および13−2上でスライドさせることにより、他のスポット溶接部位15に対しても最適なプローブ1の位置を得ることができる。このように、検査補助器具17を用いることにより、検査効率を飛躍的に高める効果を奏する。
(効果の説明)
【0065】
本発明の実施形態の溶接検査方法によれば、前述したように、従来の課題を解決することができるが、その他にも、溶接部位の形状の精度に依存せず検査が行えるという効果がある。この効果について図22から図24を参照して説明する。
【0066】
溶接部位の形状の精度が劣化する例を図22を参照して説明する。図22は、溶接部位の形状の精度が劣化する例を説明するための図である。例えば、図22(a)に示すように、鋼板13−1が薄板であり、鋼板13−2が厚板であるような場合に、図22(b)に示すように、溶接電極18−1および18−2がやや斜めに鋼板13−1および13−2に接したとすると、図22(c)に示すように、溶接電極18−1および18−2の加圧による応力により溶接後の薄板の鋼板13−1に反りが生じることがある。このようにして、ナゲット12が存在する溶接部位の形状が規定形状ではなくなる場合がある。
【0067】
図23は、本発明の実施形態の溶接検査方法による規定形状ではない溶接部位の形状での検査の様子を示す図である。また、図24は、従来の溶接検査方法による規定形状ではない溶接部位での検査の様子を示す図である。図23に示すように、本発明の実施形態の溶接検査方法によれば、鋼板13−1内に入射した超音波がナゲット12を介して鋼板13−2に入射し、端部16で反射することができれば、検査を実行する上での支障は無い。
【0068】
これに対し、図24に示すように、従来の溶接検査方法では、鋼板13−2底部からの反射波を受信することが不可欠であるため、超音波の反射面が超音波の入射方向に対して直角ではない場合には、反射波がプローブ10以外の方向に反射してしまい、精度の高い検査は困難となる。
【0069】
このように、本発明の実施形態の溶接検査方法によれば、規定形状ではない溶接部位を有する鋼板13−1および13−2に対しても検査が可能となる。
【0070】
また、図25は、従来の溶接検査方法において一つのスポット溶接部位15に対して一つの位置から検査を行う様子を示す図であるが、図25に示すように、従来は、スポット溶接部位15を有する鋼板面に対して直角にプローブ10を当てる必要が有るため、一つのスポット溶接部位15に対して複数の位置から検査を行うことはできなかった。
【0071】
これに対し、本発明の実施形態の溶接検査方法によれば、一つのスポット溶接部位15に対して複数の位置から検査を行うことができる。図26および図27は、一つのスポット溶接部位15に対して複数の位置から検査を行う様子を示す図である。このように、本発明の実施形態の溶接検査方法では、一つのスポット溶接部位15に対して図26に示す位置および図27に示す位置から検査を行うことができる。すなわち、プローブ1と端部16との間にスポット溶接部位15が有り、プローブ1から発射された超音波が端部16で反射するといった状況が整えば検査が可能となる。例えば、鋼板が折り曲げられている場合でも超音波の伝播が折り曲げ部分で妨げられないのであれば、折り曲げ部分の先に有る溶接部位を折り曲げ部分の手前から検査するといったことも可能になる。
【0072】
さらに、前述したように、規定形状ではない溶接部位においても検査可能であることから、検査位置の選択における制約を緩和することができる。これにより、従来と比較して検査精度を高くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、検査者の熟練度に依らず正確な検査を行うことができる。また、プローブが消耗または破損することがない。さらに、溶接部位の形状の精度に依存しない。これにより、製造ライン上で自動的に溶接の検査を行う装置を開発する場合などに応用できる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】従来の溶接検査方法を説明するための図である。
【図2】従来の溶接検査方法を説明するための図である。
【図3】ナゲットを示す図である。
【図4】従来の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である(正常なナゲットが形成された状態)。
【図5】従来の正常なナゲットに対する検査結果を示す図である。
【図6】従来の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である(ナゲットが正常に形成されず鋼板の間に剥がれが生じた状態)。
【図7】従来の剥がれが生じた不完全なナゲットに対する検査結果を示す図である。
【図8】従来の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である(小さなナゲットが形成された状態)。
【図9】従来の小さなナゲットに対する検査結果を示す図である。
【図10】本発明の実施形態の溶接検査装置のブロック構成図である。
【図11】本発明の実施形態の溶接検査方法を説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態の溶接検査方法を説明するための図である。
【図13】本発明の実施形態の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である(ナゲットが正常に形成された状態)。
【図14】本発明の実施形態の正常なナゲットに対する検査結果を示す図である。
【図15】本発明の実施形態の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である(ナゲットが正常に形成されず鋼板の間に剥がれが生じた状態)。
【図16】本発明の実施形態の剥がれが生じた不完全なナゲットに対する検査結果を示す図である。
【図17】本発明の実施形態の超音波による溶接検査方法の具体例を説明するための図である(小さなナゲットが形成された状態)。
【図18】本発明の実施形態の小さなナゲットに対する検査結果を示す図である。
【図19】本発明の実施形態の表示制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】検査補助器具を説明するための図(斜視図)である。
【図21】検査補助器具を説明するための図(側面図)である。
【図22】溶接部位の形状の精度が劣化する例を説明するための図である。
【図23】本発明の実施形態の溶接検査方法による規定形状ではない溶接部位での検査の様子を示す図である。
【図24】従来の溶接検査方法による規定形状ではない溶接部位での検査の様子を示す図である。
【図25】従来の溶接検査方法において一つのスポット溶接部位に対して一つの位置から検査を行う様子を示す図である。
【図26】一つのスポット溶接部位に対して複数の位置から検査を行う様子を示す図である。
【図27】一つのスポット溶接部位に対して複数の位置から検査を行う様子を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1、10 プローブ
2、11 探触子
3 パルス発振器
4 受信器
5 データ解析部
6 表示制御部
7 表示部
8 表示処理部
9 外部装置
12 ナゲット
13−1、13−2 鋼板
14 接触部
15 スポット溶接部位
16 端部
17 検査補助器具
18−1、18−2 溶接電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わせた複数の金属板に対して行われた溶接の良否を判断するための溶接検査方法において、
前記金属板表面の溶接部位近傍に載置したプローブが、前記複数の金属板の境界面に対して斜め方向から超音波を入射させる
ことを特徴とする溶接検査方法。
【請求項2】
前記複数の金属板の境界面に生じた溶接部を、前記境界面に対して斜め方向から入射した超音波が通り抜ける位置に前記プローブを載置する請求項1記載の溶接検査方法。
【請求項3】
表示処理手段が、超音波の反射波の画像を表示する請求項1または2記載の溶接検査方法。
【請求項4】
表示処理手段が、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果の内容を表示する請求項1または2記載の溶接検査方法。
【請求項5】
表示処理手段が、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果を示す情報を外部装置に対して出力する請求項1または2記載の溶接検査方法。
【請求項6】
前記溶接は、スポット溶接である請求項1から5のいずれか1項記載の溶接検査方法。
【請求項7】
重ね合わせた複数の金属板に対して行われた溶接の良否を判断するための溶接検査装置において、
前記金属板表面の溶接部位近傍に載置するプローブと、
このプローブを介して前記複数の金属板の境界面に対して斜め方向から超音波を入射させる手段と
を備えたことを特徴とする溶接検査装置。
【請求項8】
超音波の反射波の画像を表示する表示処理手段を備えた請求項7記載の溶接検査装置。
【請求項9】
超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果の内容を表示する表示処理手段を備えた請求項7記載の溶接検査装置。
【請求項10】
超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果を示す情報を外部装置に対して出力する表示処理手段を備えた請求項7記載の溶接検査装置。
【請求項1】
重ね合わせた複数の金属板に対して行われた溶接の良否を判断するための溶接検査方法において、
前記金属板表面の溶接部位近傍に載置したプローブが、前記複数の金属板の境界面に対して斜め方向から超音波を入射させる
ことを特徴とする溶接検査方法。
【請求項2】
前記複数の金属板の境界面に生じた溶接部を、前記境界面に対して斜め方向から入射した超音波が通り抜ける位置に前記プローブを載置する請求項1記載の溶接検査方法。
【請求項3】
表示処理手段が、超音波の反射波の画像を表示する請求項1または2記載の溶接検査方法。
【請求項4】
表示処理手段が、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果の内容を表示する請求項1または2記載の溶接検査方法。
【請求項5】
表示処理手段が、超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果を示す情報を外部装置に対して出力する請求項1または2記載の溶接検査方法。
【請求項6】
前記溶接は、スポット溶接である請求項1から5のいずれか1項記載の溶接検査方法。
【請求項7】
重ね合わせた複数の金属板に対して行われた溶接の良否を判断するための溶接検査装置において、
前記金属板表面の溶接部位近傍に載置するプローブと、
このプローブを介して前記複数の金属板の境界面に対して斜め方向から超音波を入射させる手段と
を備えたことを特徴とする溶接検査装置。
【請求項8】
超音波の反射波の画像を表示する表示処理手段を備えた請求項7記載の溶接検査装置。
【請求項9】
超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果の内容を表示する表示処理手段を備えた請求項7記載の溶接検査装置。
【請求項10】
超音波の反射波の強度に基づき推定される検査結果を示す情報を外部装置に対して出力する表示処理手段を備えた請求項7記載の溶接検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2009−180602(P2009−180602A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19543(P2008−19543)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】
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