説明

溶湯供給装置及び溶湯供給方法

【課題】真空ダイカストにおける真空吸引に支障なく任意の時間を費やすことができる簡便な溶湯供給装置及び溶湯供給方法を提供する。
【解決手段】下部に開閉可能な溶湯出入口8を有するラドル5を溶湯保持炉内の溶湯に浸漬してラドル5内に溶湯を収容し、その後、溶湯出入口8を、射出スリーブ3の給湯口に接続し、その後、ラドル5及び射出スリーブ3の内部を減圧し、そして、溶湯出入口8を開放してラドル5内の溶湯を射出スリーブ3内に供給する。ラドル5及び射出スリーブ3の減圧は、ラドル5の減圧度よりも射出スリーブ3の減圧度が高くなるようにして行ってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ダイカストにおける溶湯供給装置及び溶湯供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャビティ内のガスの巻込み等による欠陥の発生を防止するためにキャビティ内を減圧するようにした真空ダイカスト法が用いられている。例えば、特許文献1には、一般的な真空ダイカストによる鋳造方法が記載されている。
【0003】
この鋳造方法では、プランジャスリーブ内に溶湯を投入してプランジャロッドを低速で移動させ、その後、プランジャチップが給湯口を塞いだ時点から、溶湯がキャビティへのゲートに達し(ゲート打ち)、キャビティへの溶湯充填が開始されるまでの間に、キャビティの真空吸引を行うようにしている。
【0004】
また、特許文献2には、真空ダイカストにおける給湯技術が記載されている。この給湯技術においては、高品質な製品を成形するために必要とされるキャビティの高い真空度を得るに十分な真空吸引時間を確保している。すなわち、溶湯が満たされたラドルとスリーブの給湯口を覆って密閉チャンバを構成し、十分時間をかけて該密閉チャンバを真空吸引してからラドルを傾けて、給湯口からスリーブ内へ給湯するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第08/088064号
【特許文献2】特許第3900422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法によれば、ゲート打ちまでの間にキャビティの真空吸引を行うようにしているので、キャビティの真空度を高めるために真空吸引時間を長くする場合には、プランジャロッドの前進速度を下げて、ゲート打ちを遅らせる必要がある。そうすると、遅延された時間だけ、プランジャスリーブ内の溶湯温度が低下し続けることになる。
【0007】
また、プランジャスリーブ内に供給された溶湯は、プランジャスリーブ内で流動して広がり、表面積が増大しているので、温度の低下が速く進行する。このため、真空吸引時間を延長させる場合には、その延長分による溶湯温度の低下が、より一層無視できないものとなる。したがって、十分な真空吸引時間を確保することが困難となる場合がある。
【0008】
また、特許文献2の技術によれば、スリーブの近傍に配置されたラドルに溶湯を搬送し又は溶湯が満たされたラドルをスリーブの近傍に配置してから、密閉チャンバが構成されるので、その間に、溶湯が空気等と接触し、溶湯温度の低下や酸化物の発生が起こり易い。また、ラドルを覆う密閉チャンバを構成し、密閉チャンバを真空吸引するようにしているので、真空吸引の対象とされる容積が大きく、大掛かりな真空装置を必要とする。また、鋳造のサイクルタイムも長期化する。
【0009】
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、真空ダイカストにおける真空吸引に支障なく任意の時間を費やすことができる簡便な溶湯供給装置及び溶湯供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の溶湯供給装置は、ダイカスト装置の射出スリーブと、溶湯保持炉中の溶湯に浸漬され、該溶湯を収容して前記射出スリーブに移送するためのラドルとを備え、前記ラドルは、下端部に設けられた溶湯出入口と、該溶湯出入口を開閉する開閉手段とを備え、前記溶湯への浸漬時に、該溶湯出入口を介して前記溶湯の収容を行うものであり、前記射出スリーブは、前記溶湯出入口が接続される給湯口と、該溶湯出入口と給湯口との接続部を気密に保持する気密保持手段とを備え、該給湯口を介して前記ラドル内の溶湯が供給されることを特徴とする。
【0011】
この構成において、ラドルが溶湯保持炉中の溶湯に浸漬され、溶湯出入口が開放されると、溶湯がラドル内に流入する。その後、溶湯出入口が閉塞されると、溶湯がラドル内に収容されたことになる。この後、ラドルの溶湯出入口が射出スリーブの給湯口に接続され、溶湯出入口が開放されると、ラドル内の溶湯がスリーブ内に供給される。
【0012】
その際、ラドルの溶湯出入口が射出スリーブの給湯口に接続されたとき、接続部を気密保持手段により気密に保持することができる。したがって、溶湯出入口が開放されて射出スリーブ内に溶湯が供給される以前に、十分な時間を費やして射出スリーブ内を真空吸引し、減圧することができる。これにより、射出スリーブ内に溶湯を供給してから射出スリーブ内を減圧する必要がなくなるので、溶湯の温度をさほど低下させることなく、溶湯を射出スリーブによる射出に供することができる。
【0013】
したがって、本発明によれば、簡便な構成により、支障なく、任意の時間を真空吸引に費やすことができる。
【0014】
さらに、溶湯をラドルに収容してから射出スリーブに受け渡すまでの間、溶湯を外気に触れさせたり、溶湯の余分な注ぎ渡しをしたりする必要が無いので、供給される溶湯において、温度低下や酸化膜の発生、酸化膜の巻込み等が生じるのを回避し、鋳造される製品の品質低下を防止することができる。
【0015】
本発明においては、前記射出スリーブ及びラドルの内部を減圧する減圧装置を備えていてもよい。これによれば、射出スリーブ内に溶湯を供給する前に、射出スリーブ及びラドルの内部を減圧することができるので、ラドル内における溶湯についての温度低下や酸化膜の発生をより効果的に防止することができる。
【0016】
また、溶湯出入口が開放されて射出スリーブ内に溶湯が供給されるとき、ラドルと射出スリーブとが減圧用の配管によって接続され、ラドル内と射出スリーブ内の圧力が一致する場合には、溶湯がラドルと射出スリーブとの圧力差により乱流となって射出スリーブ内に流れ込むのを防止することができる。
【0017】
また、本発明においては、前記減圧装置は、前記ラドルの減圧度よりも前記射出スリーブの減圧度を高くするためのレギュレータを備えていてもよい。これによれば、射出スリーブ内に溶湯を供給する前に、射出スリーブ及びラドル内部の減圧を、射出スリーブの減圧度がラドルよりも高くなるように行うことができるので、ラドルから射出スリーブへの溶湯の供給速度を向上させ、溶湯の温度低下をより効果的に抑制することができる。
【0018】
さらに、本発明においては、前記ラドルに付着した溶湯を除去する清掃ユニットを備えていてもよい。これによれば、供給される溶湯の質を向上させ、鋳造される製品の品質をさらに向上させることができる。
【0019】
本発明の溶湯供給方法は、下部に開閉可能な溶湯出入口を有するラドルを溶湯保持炉内の溶湯に浸漬し、該溶湯出入口を介して該ラドル内に溶湯を収容する収容工程と、前記収容工程の後、前記溶湯出入口を、ダイカスト装置の射出スリーブの給湯口に接続する接続工程と、前記接続工程の後、前記ラドル及び射出スリーブの内部を減圧する減圧工程と、前記減圧工程の後、前記溶湯出入口を開放して前記ラドル内の溶湯を前記射出スリーブ内に供給する供給工程とを具備することを特徴とする。前記収容工程の後、及び前記供給工程の後に、前記ラドルに付着した溶湯を除去する清掃工程を備えていてもよい。
【0020】
本発明の溶湯供給方法によれば、上述の溶湯供給装置の場合と同様に、簡便な構成により、支障なく、任意の時間を真空吸引に供することができる。また、供給される溶湯において、温度低下や酸化膜の発生、酸化膜の巻込み等が生じるのを回避し、鋳造される製品の品質低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る鋳造システムの平面図である。
【図2】図1のシステムにおける射出スリーブとラドルとを接続したときの様子を示す断面図である。
【図3】図1のシステムにおける射出スリーブとラドルとの接続部分の断面図である。
【図4】図1のシステムにおける溶湯供給処理を示すフローチャートである。
【図5】図4の処理におけるラドル等の様子を示す図である。
【図6】本発明の別の実施形態に係る鋳造システムにおける減圧を行うための構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る鋳造システムの平面図である。
【0023】
図1に示すように、この鋳造システム1は、真空ダイカストにより鋳造を行うためのダイカスト装置2と、ダイカスト装置2のキャビティに溶湯を射出する射出スリーブ3と、貯留された溶湯を均一に加熱して保持する溶湯保持炉4と、溶湯保持炉4中の溶湯に浸漬され、その溶湯を収容して射出スリーブ3に移送するためのラドル5と、ラドル5を搬送する搬送ロボット6と、ラドル5に付着した溶湯を除去する清掃ユニット7とを備える。
【0024】
清掃ユニット7は、ラドル5に付着した溶湯を、エアブローやブラシ等により除去する機能を有する。
【0025】
図2は、射出スリーブ3にラドル5が接続されたときの様子を示す断面図である。図2に示すように、ラドル5は、下端部に設けられた溶湯出入口8と、溶湯出入口8を開閉するロッド弁9とを備える。
【0026】
射出スリーブ3は、溶湯出入口8が接続される給湯口10と、溶湯出入口8と給湯口10との接続部を気密に保持する気密保持手段11と、射出スリーブ3内に供給された溶湯を押圧してダイカスト装置2のキャビティに射出するプランジャ12とを備える。
【0027】
射出スリーブ3及びラドル5の内部には、真空吸引用の配管13及び14がそれぞれ接続される。配管13及び14は、合流され、バルブ15を介して真空装置16に接続される。これにより、射出スリーブ3及びラドル5の内部は、真空装置16により真空吸引され、同一の減圧度で減圧されるようになっている。すなわち、配管13と14、バルブ15、及び真空装置16により減圧装置が構成される。
【0028】
なお、射出スリーブ3は、ダイカスト装置2のキャビティに通じている。このため、射出スリーブ3が真空吸引により減圧されると、該キャビティも同等の減圧度で減圧されることになる。
【0029】
図3は、射出スリーブ3にラドル5が接続されたときの接続部分近傍の断面図である。図3に示すように、ラドル5の下端部は、円錐状となっており、その先端部に溶湯出入口8が設けられている。溶湯出入口8は、ロッド弁9が上方の開位置Uに位置するとき、開放され、ロッド弁9が下方の閉位置Dに位置するとき、閉塞されるようになっている。
【0030】
気密保持手段11は、射出スリーブ3上に設けられた、外形が直方体状の部材17により構成され、給湯口10に隣接する円筒状の貫通孔18と、貫通孔18の上方に隣接し、上方に開いた円錐台状の接続面19とを備える。接続面19は、ラドル5の円錐状の下端部に適合した形状を有する。すなわち、該下端部を接続面19に密接させることにより、溶湯出入口8を貫通孔18に臨ませることができるようになっている。
【0031】
接続面19には、内周方向に沿った溝20が設けられている。溝20は部材17の側面に開口したポート21を介して真空吸引されるようになっている。したがって、ラドル5の溶湯出入口8は、ラドル5の下端部を接続面19に密接させ、溝20を真空吸引することにより、射出スリーブ3の給湯口10に対し、気密に接続される。
【0032】
図4は、鋳造システム1における溶湯供給処理を示すフローチャートであり、図5は、この処理におけるラドル5等の様子を示している。溶湯供給処理は、鋳造システム1の制御部により、搬送ロボット6等を介して行われる。
【0033】
溶湯供給処理を開始すると、まず、ラドル5内に溶湯を収容する収容工程が行われる(ステップS1)。すなわち、図5(a)のように、搬送ロボット6により、溶湯出入口8を開放した状態でラドル5を溶湯保持炉4内の溶湯に浸漬し、溶湯出入口8を介してラドル5内に溶湯を流入させる。
【0034】
このとき、ラドル5の内部は大気圧に開放されているので、溶湯への浸漬により、溶湯出入口8を介して溶湯がラドル5内に流入する。流入が完了した後、溶湯出入口8を閉塞することにより、溶湯の収容が完了する。
【0035】
次に、図5(b)のように、ラドル5を溶湯保持炉4から引き上げ、清掃ユニット7による清掃位置へ移動させる(ステップS2)。そして、清掃ユニット7により、ラドル5の下部に付着した溶湯を除去する清掃工程を行う(ステップS3)。このとき、特に、図5(c)のように、溶湯出入口8の周りの、射出スリーブ3に接続される部分に付着した溶湯22を除去する。
【0036】
次に、ラドル5を、射出スリーブ3の位置へ移動させる(ステップS4)。そして、図5(d)のように、ラドル5を射出スリーブ3に接続する接続工程を行う(ステップS5)。このとき、図3のように、ラドル5の下端部が、気密保持手段11の接続面19に密接され、溝20の真空吸引が開始される。
【0037】
これにより、溶湯出入口8が、射出スリーブ3の給湯口10に対し、気密状態で連結する。連結している間、溝20の真空吸引により、接続面19に沿って大気が射出スリーブ3内に侵入するのが極力防止される。
【0038】
次に、ラドル5及び射出スリーブ3の内部を減圧する減圧工程が行われる(ステップS6)。すなわち、バルブ15(図2)を開き、真空装置16によりラドル5及び射出スリーブ3の内部を同時に真空吸引する。このとき、ラドル5及び射出スリーブ3の内部は、同一の減圧度で減圧され、所定の減圧度に達するまで真空吸引が行われる。
【0039】
次に、図5(e)のように、溶湯出入口8を開放してラドル5内の溶湯を射出スリーブ3内に供給する供給工程が行われる(ステップS7)。溶湯出入口8の開放は、ロッド弁9を、図3で示される開位置Uに上昇させることにより行われる。
【0040】
次に、気密保持手段11の溝20における真空吸引を解除して、ラドル5を、射出スリーブ3から分離し、清掃ユニット7による清掃位置へ移動させる(ステップS8)。そして、清掃ユニット7により、ラドル5の下部に付着した溶湯を除去する清掃工程を行う(ステップS9)。このとき、特に、図5(f)のように、溶湯出入口8の内部やロッド弁9の先端に付着した溶湯22を除去する。
【0041】
次に、ラドル5を溶湯保持炉4上に移動し、待機する(ステップS10)。その後、溶湯供給処理の終了に至るまで(ステップS11)、再びステップS1の収容工程に戻り、ステップS1〜S10の処理が繰り返される。
【0042】
本実施形態によれば、ラドル5の溶湯出入口8が射出スリーブ3の給湯口10に接続されたとき、接続部を気密保持手段11により気密に保持するようにしたため、射出スリーブ3内に溶湯を供給する前に、射出スリーブ3内を減圧することができる。このため、射出スリーブ3内に溶湯を供給してから射出スリーブ3内を減圧する必要がないので、供給される溶湯の温度が低下するのを極力防止することができる。したがって、簡便な構成により、支障なく、任意の時間を、射出スリーブ3内の真空吸引に供することができる。
【0043】
また、溶湯をラドル5に収容してから射出スリーブ3に受け渡すまでの間、溶湯を外気に触れさせたり、溶湯の余分な注ぎ渡しをしたりする必要が無いので、供給される溶湯において、温度低下や酸化膜の発生、酸化膜の巻込み等が生じるのを回避し、鋳造される製品の品質低下を防止することができる。
【0044】
また、射出スリーブ3及びラドル5の内部を減圧する減圧装置を備えているので、射出スリーブ3内に溶湯を供給する前に、射出スリーブ3及びラドル5の内部を減圧することにより、ラドル5内における溶湯についての温度低下や酸化膜の発生をより効果的に防止することができる。
【0045】
また、溶湯出入口8が開放されて射出スリーブ3内に溶湯が供給されるとき、ラドル5と射出スリーブ3とが配管13と14によって接続されており、ラドル5内と射出スリーブ3内の圧力が一致するので、ラドル5と射出スリーブ3との圧力差により溶湯が乱流となって射出スリーブ3内に流れ込むのを防止することができる。
【0046】
また、ラドル5に付着した溶湯を除去する清掃ユニット7を備えているので、供給される溶湯の品質を向上させ、鋳造される製品の品質をさらに向上させることができる。
【0047】
図6は、本発明の別の実施形態に係る鋳造システム1における射出スリーブ3及びラドル5の減圧を行うための構成を示す。この構成は、図2の構成において、バルブ15に代えて、配管13及び14のそれぞれに、バルブ23とレギュレータ25、及びバルブ24とレギュレータ26を設けたものとなっている。本実施形態における他の点については、上述図1〜図5の実施形態の場合と同様である。
【0048】
本実施形態によれば、レギュレータ25及び26の操作により、ラドル5の減圧度よりも射出スリーブ3の減圧度が高くなるように、ラドル5及び射出スリーブ3の真空吸引を行うことができる。したがって、上述のステップS6の減圧工程において、射出スリーブ3の減圧度を、ラドル5の減圧度よりも高くすることができる。これにより、ステップS7の供給工程におけるラドル5から射出スリーブ3内への溶湯の供給速度を高めて、溶湯の温度低下をより効果的に抑制することができる。
【0049】
なお、本発明は上述実施形態に限定されない。例えば、上述においては、気密保持手段11として、ラドル5の下端部に密接する接続面19及び真空吸引される溝20を有するものを用いているが、この代わりに、他の気密保持手段、例えばメタルシールやガスケット等による気密保持手段や、これらを組み合わせたものを用いてもよい。
【0050】
また、上述においては、ステップS1における収容工程においてラドル5内に溶湯を収容する際に、ラドル5内の空間を大気開放することにより溶湯を溶湯出入口8から導入するようにしているが、この代わりに、ラドル5内の空間を減圧することにより溶湯を溶湯出入口8から導入するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
2…ダイカスト装置、3…射出スリーブ、4…溶湯保持炉、5…ラドル、7…清掃ユニット、8…溶湯出入口、10…給湯口、11…気密保持手段、25,26…レギュレータ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイカスト装置の射出スリーブと、
溶湯保持炉中の溶湯に浸漬され、該溶湯を収容して前記射出スリーブに移送するためのラドルとを備え、
前記ラドルは、下端部に設けられた溶湯出入口と、該溶湯出入口を開閉する開閉手段とを備え、前記溶湯への浸漬時に、該溶湯出入口を介して前記溶湯の収容を行うものであり、
前記射出スリーブは、前記溶湯出入口が接続される給湯口と、該溶湯出入口と給湯口との接続部を気密に保持する気密保持手段とを備え、該給湯口を介して前記ラドル内の溶湯が供給されることを特徴とする溶湯供給装置。
【請求項2】
前記射出スリーブ及びラドルの内部を減圧する減圧装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の溶湯供給装置。
【請求項3】
前記減圧装置は、前記ラドルの減圧度よりも前記射出スリーブの減圧度を高くするためのレギュレータを備えることを特徴とする請求項2に記載の溶湯供給装置。
【請求項4】
前記ラドルに付着した溶湯を除去する清掃ユニットを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶湯供給装置。
【請求項5】
下部に開閉可能な溶湯出入口を有するラドルを溶湯保持炉内の溶湯に浸漬し、該溶湯出入口を介して該ラドル内に溶湯を収容する収容工程と、
前記収容工程の後、前記溶湯出入口を、ダイカスト装置の射出スリーブの給湯口に接続する接続工程と、
前記接続工程の後、前記ラドル及び射出スリーブの内部を減圧する減圧工程と、
前記減圧工程の後、前記溶湯出入口を開放して前記ラドル内の溶湯を前記射出スリーブ内に供給する供給工程とを具備することを特徴とする溶湯供給方法。
【請求項6】
前記収容工程の後、及び前記供給工程の後に、前記ラドルに付着した溶湯を除去する清掃工程を備えることを特徴とする請求項5に記載の溶湯供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−35039(P2013−35039A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173827(P2011−173827)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)