説明

溶湯金属攪拌用回転体およびこれを用いた溶湯金属の脱ガス処理装置

【課題】 アルミニウムやその合金の溶湯金属中に窒素ガス等を放出して、溶湯金属中の水素や非金属酸化物等の不純物を処理するために、シャフトとローターからなる回転体を溶湯金属中において高速で長期間回転させると、回転体が溶湯金属と擦れて減肉する結果、回転体の下端部における振れが大きくなり、シャフトやローターが破損する。
【解決手段】 窒化珪素質焼結体からなるシャフト3の下端部に、窒化珪素質焼結体または炭素から成るローター4が取り付けられ、シャフト3およびローター4の内部にガス供給路3a,4aを有する溶湯金属攪拌用回転体2であって、シャフト3の上端部に回転駆動機構5の回転軸9に対してシャフト3を傾けた状態で回転駆動可能な接続部が取り付けられていることから、溶湯金属攪拌用回転体2の下端部の振れを十分吸収することができ、シャフト3やローター4が破損することが少ないので長寿命とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウムやその合金の溶湯金属中に窒素ガスやアルゴンガスを放出して溶湯金属中の水素や非金属酸化物等の不純物を処理する溶湯金属攪拌用回転体およびこれを用いた溶湯金属の脱ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球規模の環境意識の高まりから燃費の向上やCO排出削減を図るため、自動車の構成部品の軽量化対策としてアルミニウムやその合金の溶融状態の溶湯を鋳型に流し込んで冷却し、所定の形状とする鋳造方法が採用されている。そして、このような構成部品の軽量化の要求は、さらなる燃費の向上やCO排出削減を図るため一層厳しくなっており、これら構成部品を軽量化するためには薄肉化が必要になってきていた。しかしながら、これらの構成部品の材料にアルミニウムやその合金を用いて薄肉化しただけでは機械的強度が不足するため、薄肉化させるには構成部品の材料そのものの機械的強度の向上が必要となる。この構成部品の材料そのものの機械的強度の向上には、材質や製造方法の変更などが考えられるが、最も簡単な方法は、構成部品に用いる材料に含まれる不純物の量を減らすことにより、できるだけ材料そのものの理論的強度に近づけることである。
【0003】
この構成部品に用いる材料に含まれる不純物の量を減らすには、不純物の少ない原材料を用いればよいが、不純物の少ない原材料を用いようとすると、原材料自体の価格が非常に高くなり、構成部品の価格もこれに伴って高くなるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、アルミニウムやその合金の溶湯金属内の不純物を処理する目的で、溶湯金属内に処理ガスを吹き込み、攪拌して処理ガスを分散させて不純物を処理する脱ガス処理装置が用いられている。
【0005】
図4は、従来の溶湯金属の脱ガス処理装置の一部を破断した正面図である。
【0006】
図4に示す脱ガス処理装置50は、溶湯金属55を入れる容器54と、溶湯金属55を混合攪拌するためのシャフト51と、シャフト51の一方の端部に接続したローター52と、シャフト51の他方の端部にフランジ継手58a,58bを介してボルト59およびナット60で接続した回転軸57と、この回転軸57を回転するための回転駆動機構53とから構成されている。
【0007】
そして、フランジ継手58bは処理ガス(G)を供給するための供給口61と内部にガス供給路61aとを有し、シャフト52はこのガス供給路61aに連通したガス供給路51aを内部に有しており、ガス供給路51aはシャフト51に接続したローター52のガス供給路52aと連通して、ローター52の放出口62より処理ガス(G)が容器54内の溶湯金属55中に放出される。
【0008】
この脱ガス処理装置50を用いた溶湯金属55中の不純物56の処理方法は、容器54中の溶湯金属55に浸漬したシャフト51およびローター52を、回転駆動機構53の回転駆動により回転させながら、処理ガス(G)を供給口61からガス供給路61a,51a,52aを通じて放出口62から溶湯金属55中に吹き込み、この処理ガス(G)を溶湯金属55の回転によって生じる遠心力により微細化して分散させ、溶湯金属55中の水素や非金属酸化物等の不純物56を気泡に取り込んだり付着させたりして効率的に処理する方法である。
【0009】
そして、このような溶湯金属中の不純物を処理する装置に用いる溶湯攪拌用回転体が、特許文献1に開示されている。図5(a)は、特許文献1に開示されている溶湯攪拌用回転体の縦断面図であり、(b)はその底面図である。
【0010】
図5に示す溶湯攪拌用回転体70によれば、気体供給路73を内部に有するシャフト71に、セラミックス製の攪拌ディスク72を固定し、シャフト71の下端部75が攪拌ディスク72の底面72bよりも下側に突出させられ、シャフト71の下端部75を閉塞するとともに、シャフト71の下端部75近傍の側面74に複数個の気体放出孔76を設けたことにより、回転中に気体放出孔76から放出される気泡は、気体供給路73から直下に放出されるのでなくシャフト71の円周方向に放出されるので、放射状に設けた溝78を有する攪拌ディスク72の底面72bに向かって上昇する間に層状に偏ることがなく均一に分散される。また、放出された気泡が攪拌ディスク72の底面72bに向かって上昇する間に、気泡が溶湯により加熱されて、攪拌ディスク72の底面72bに到達するときには、もはや攪拌ディスク72を急冷することがないので、攪拌ディスク72の上面72a側と底面72b側との温度差による大きな熱応力を生じることがなく、割れやクラックの発生を防止できるというものである。
【特許文献1】特開2004−66238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の脱ガス処理装置50は、短期的には溶湯金属55の品質を劣化させることなく、溶湯金属55中の不純物56を安定して回収することができるものの、高速で長期間回転させると、シャフト51やローター52が溶湯金属55と擦れて減肉する結果、シャフト51の下端部における振れが大きくなり、シャフト51およびローター52とも破損するという問題があった。
【0012】
また、特許文献1に開示された溶湯攪拌用回転体70は、気泡が層状に偏ることがなく、均一に分散させることができ、シャフト71の下端部75を攪拌ディスク72の底面72bよりも下側に突出させることにより、攪拌ディスク72の上面72a側と底面72b側との温度差による大きな熱応力を生じることがなく、割れやクラックの発生を防止できるものの、高速で長期間回転させると、従来の脱ガス処理装置50に用いられたシャフト51やローター52と同様に、溶湯攪拌用回転体70が破損するという問題があった。
【0013】
本発明は、上記課題を解決すべく案出されたものであり、高速で長期間回転させても破損することのない信頼性の高い溶湯金属攪拌用回転体およびこれを用いた溶湯金属の脱ガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の溶湯金属攪拌用回転体は、窒化珪素質焼結体からなるシャフトの下端部に、窒化珪素質焼結体または炭素からなるローターが取り付けられ、前記シャフトおよびローターの内部にガス供給路を有する溶湯金属攪拌用回転体であって、前記シャフトの上端部に回転駆動機構の回転軸に対して前記シャフトを傾けた状態で回転駆動可能な接続部が取り付けられていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の溶湯金属攪拌用回転体は、上記構成において、接続部が自在継手であることを特徴とするものである。
【0016】
さらに、本発明の溶湯金属攪拌用回転体は、上記各構成において、シャフトを成す窒化珪素質焼結体は、800℃における4点曲げ強度が500MPa以上であり、室温から800℃における熱膨張係数が3.4×10−6/℃以下であることを特徴とするものである。
【0017】
またさらに、本発明の溶湯金属の脱ガス処理装置は、上記各構成のいずれかの本発明の溶湯金属撹拌用回転体が、接続部を介してシャフトの回転駆動機構に接続されて、溶湯金属の容器内に配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の溶湯金属攪拌用回転体によれば、窒化珪素質焼結体からなるシャフトの下端部に、窒化珪素質焼結体または炭素からなるローターが取り付けられ、前記シャフトおよびローターの内部にガス供給路を有する溶湯金属攪拌用回転体であって、前記シャフトの上端部に回転駆動機構の回転軸に対して前記シャフトを傾けた状態で回転駆動可能な接続部が取り付けられていることから、回転によってシャフトやローターが溶湯金属と擦れて不均一に減肉して、シャフトの下端部における回転中の振れが増加しそうになっても、接続部がシャフトを傾けた状態で回転駆動することができるため、シャフトの下端部における回転中の振れを十分吸収することができ、シャフトやローターが破損することが少ないので、長期間回転させても破損することがなくなり、長寿命とすることができる。
【0019】
また、本発明の溶湯金属攪拌用回転体によれば、シャフト上端部の回転駆動機構との接続部が自在継手であることで、回転駆動機構の回転軸に対するシャフトが許容可能な旋回角度を大きくとることができるので、長期間回転させて使用したときにシャフトやローターが破損する確率をさらに低くすることができる。
【0020】
また、本発明の溶湯金属攪拌用回転体によれば、シャフトを成す窒化珪素質焼結体の800℃における4点曲げ強度を500MPa以上であるときには、この温度における強度が高くなるため、溶湯金属に浸漬している部分の変形が小さくなり、かつ、室温から800℃における熱膨張係数を3.4×10−6/℃以下であるときには、溶湯金属に浸漬している部分と、浸漬していない部分との熱膨張の差が小さくなり、シャフト全体の変形を抑制することができる。
【0021】
さらに、本発明の溶湯金属の脱ガス処理装置によれば、上述のような優れた特性を備えた本発明の溶湯金属攪拌用回転体を前記接続部によってシャフトの回転駆動機構に接続して脱ガス処理をする構成としているので、長期間回転させて使用しても溶湯金属攪拌用回転体が破損することがなくなり、信頼性の高い装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の溶湯金属攪拌用回転体およびこれを用いた溶湯金属の脱ガス処理装置の実施の形態の例について説明する。
【0023】
図1は、本発明の溶湯金属攪拌用回転体およびこれを用いた溶湯金属の脱ガス処理装置の実施の形態の一例を示す、一部を破断した正面図である。
【0024】
図1に示す脱ガス処理装置1は、溶湯金属7を入れる容器6と、溶湯金属7を混合攪拌するためのシャフト3とシャフト3の一方の端部に接続したローター4とシャフト3の他方の端部にフランジ継手13を介してボルト14およびナット15で接続した接続部(自在継手)10とからなる溶湯金属攪拌用回転体2と、接続部(自在継手)10に対してボルト14およびナット15で接続したフランジ継手12に接続する回転軸9と、この回転軸9を回転するための回転駆動機構5とから構成されている。なお、シャフト3とローター4と、シャフト3とフランジ継手13と、回転軸9とフランジ継手12とは、それぞれ回転方向と逆方向に形成されたねじ溝に、ねじを切られた端部を差し込むことにより接続されている。
【0025】
そして、フランジ継手13は処理ガス(G)を供給するための供給口16と内部にガス供給路16aとを有し、シャフト3はこのガス供給路16aに連通したガス供給路3aを内部に有し、ガス供給路3aはシャフト3に接続したローター4のガス供給路4aと連通してローター4の放出口17より処理ガス(G)を容器6内の溶湯金属7中に放出するようにしてある。このような処理ガスとしては、例えば窒素ガスやアルゴンガスが用いられる。なお、処理ガス(G)は、図示していないが、回転駆動機構5の上部のガス供給手段と供給口16とをフレキシブルチューブ等を用いて接続することにより供給されている。
【0026】
この脱ガス処理装置1を用いた溶湯金属7中の不純物8の処理方法は、容器6中の溶湯金属7に浸漬したシャフト3およびローター4を、回転駆動機構5の回転駆動により回転させながら、処理ガス(G)を供給口16からガス供給路16a,3a,4aを通じて放出口17から溶湯金属7中に吹き込み、この処理ガス(G)を溶湯金属7の回転によって生じる遠心力により微細化して分散させ、溶湯金属7中の水素や非金属酸化物等の不純物8を気泡に取り込んだり付着させたりして効率的に処理(除去)する方法である。
【0027】
本発明の溶湯金属攪拌用回転体2を構成する接続部(自在継手)10は、駆動側ヨーク10bと従動側ヨーク10dとを連結部10cを介して接続し、駆動側ヨーク10bに設けた基部10aと回転軸9に接続したフランジ12とをボルト14とナット15とで締結するとともに、従動側ヨーク10dに設けた基部10eとシャフト3の上端部に接続したフランジ継手13とをボルト14とナット15で締結して構成している。
【0028】
そして、回転駆動機構5によって回転軸9が回転すると、接続部(自在継手)10もこれに伴って回転し、シャフト3およびローター4も回転して溶湯金属7を攪拌するようにしてある。このとき、シャフト3は接続部(自在継手)10を介して回転するようにしてあるので、溶湯金属攪拌用回転体2は回転駆動機構5の回転軸9に対して傾けた状態で回転駆動可能となる。
【0029】
図2は、本発明の溶湯金属攪拌用回転体を回転駆動機構の回転軸に対して旋回角度(θ)で傾けた状態を模式的に示す、脱ガス処理装置の実施の形態の一例の一部を破断した正面図である。
【0030】
このように、本発明の溶湯金属攪拌用回転体2は、窒化珪素質焼結体からなるシャフト3の下端部に、窒化珪素質焼結体または炭素からなるローター4が取り付けられ、シャフト3およびローター4の内部にガス供給路3a,4aを有する溶湯金属攪拌用回転体2であって、シャフト3の上端部に回転駆動機構5の回転軸9に対してシャフト3を傾けた状態で回転駆動可能な接続部10が取り付けられているので、回転によってシャフト3やローター4が溶湯金属7と擦れて不均一に減肉し、シャフト3の下端部における回転中の振れが増加しそうになっても、接続部(自在継手)10がシャフト3を傾けた状態で回転駆動させることができるため、シャフト3の下端部における回転中の振れを十分吸収することができ、シャフト3やローター4が破損することが少ないので、長寿命とすることができる。
【0031】
この接続部10は、回転軸9に対してシャフト3を傾けた状態で回転駆動できるものならその構造が特に限定されるものではないが、接続部10を自在継手10とすることで、回転駆動機構5の回転軸9に対するシャフト3が許容可能な旋回角度(θ)を大きくとることができるので、シャフト3およびローター4とも回転中に破損する確率がさらに低くなり好適である。
【0032】
次に、図3に、本発明の溶湯金属攪拌用回転体と回転軸とを接続する接続部の実施の形態の他の例を示す。図3(a)は自在継手の他の形態の一例を示す正面図であり、(b)は(a)の側面図であり、(c)は可撓性(フレキシブル)継手の正面図であり、(d)は伸縮継手の正面図である。
【0033】
図3(a),(b)に示す自在継手20は、回転駆動機構5の回転軸9に対してシャフト3を傾けた状態で溶湯金属攪拌用回転体2を回転駆動することができ、第1ヨーク21,第2ヨーク22,コマ25,第3ヨーク23および第4ヨーク24が連結され、停止時はいずれも同軸上にある。これらの部材を個々に見ると、第1ヨーク21はピン26により第2ヨーク22に、第4ヨーク24はピン29により第3ヨーク23に接続され、コマ25はピン27および29により第2ヨーク22および第3ヨーク23にそれぞれ回動可能に接続されている。第1ヨーク21および第4ヨーク24と、第2ヨーク22および第3ヨーク23とは、それぞれ同一形状である。
【0034】
第1ヨーク21は、板状の基部21aと基部21aの一方の主面に接続した腕部21bとからなり、基部21aの腕部21bが接続した主面と反対の主面に接してフランジ継手12と接続するようにしてある。腕部21bは、第2ヨーク22と連通する貫通孔Aを有し、ピン26で接続されている。
【0035】
第2ヨーク22は基部22aと2本の腕部22b,22cとからなり、U字の形状を有している。U字の基部22aには、第1ヨーク21と連通する貫通孔Aを有し、ピン26で接続されている。腕部22b,22cの先端部には、コマ25と連通する貫通孔Bを有し、ニードルベアリング30が貫通孔Bの両端に挿入され、ピン27によって接続されている。
【0036】
コマ25は、外形が直方体状であり、第2ヨーク22と連通する貫通孔Bと、第3ヨーク23と連通する貫通孔Cとを有し、それぞれピン27と28とで接続されている。
【0037】
第3ヨーク23は第2ヨーク22と同様の形状で、基部23aと2本の腕部23b,23cとからなり、U字の形状を有している。U字の基部23aには、第4ヨーク24と連通する貫通孔Dを有し、ピン29で接続されている。腕部23b,23cの先端部には、コマ25と連通する貫通孔Cを有し、ニードルベアリング31が貫通孔Cの両端に挿入されピン28によって接続されている。
【0038】
第4ヨーク24は、板状の基部24aと基部24aの一方の主面に接続した腕部24bとからなり、基部24aの腕部24bが接続された主面と反対の主面に接してフランジ継手13と接続されるようにしてある。腕部24bは、第3ヨーク23と連通する貫通孔Dを有し、ピン29で接続されている。
【0039】
このような自在継手20は、貫通孔A,B,C,Dを連通するピン26,27,28,29を軸として、溶湯金属攪拌用回転体2をより自由に動かすことができ、好ましい。また、これらの自在継手10,20は、軽量であるとともに、溶湯金属7が付着するおそれもあることから溶湯金属7に対する耐食性が要求されるため、チタンで形成するか、またはアルミニウム,ジュラルミン,マグネシウム等の各種軽金属に窒化珪素もしくはDLC(Diamond like carbon)による膜を形成することが好適である。
【0040】
また、図3(c)に示す可撓性(フレキシブル)継手35は、円板状の基部37a,37bと、可撓性を有するフレキシブル管36とからなり、この可撓性(フレキシブル)継手35は、可撓性以外にも、シャフト3および回転軸9に対する取付けが容易であり、フレキシブル管36をチタンで形成した場合には、軽く、しかも耐食性が高いため、長期間用いることができるという点で好適である。
【0041】
さらに、図3(d)の伸縮継手40は、円板状の基部42a,42bと、伸縮性を有するベローズ管41とからなり、この伸縮継手40は伸縮性以外にも、シャフト3および回転軸9に対する取付けが容易であり、振動に強く、柔軟性があるので曲げても亀裂が入りにくいという点で好適である。
【0042】
そして、溶湯金属7は、アルミニウムやその合金が用いられ、圧延用合金は、4桁の数字からなる国際アルミニウム合金名が使用される。具体的には、1000番台である純アルミニウム,2000番台であるAl−Cu−Mg系合金,3000番台であるAl−Mn系合金,4000番台であるAl−Si系合金,5000番台であるAl−Mg系合金,6000番台であるAl−Mg−Si系合金,7000番台であるAl−Zn−Mg系合金やAl−Zn−Mg−Cu系合金(ジュラルミン),8000番台であるその他の合金がある。また、鋳造用合金は、JIS H5202−1999に規定する記号AC1BのAl−Cu−Mg系合金,AC4CHのAl−Si−Mg系合金,AC7AのAl−Mg系合金等があり、最終製品のいろいろな要求や用途に必要な性質に応じて最適な性質を持つ合金を選んで用いることができる。
【0043】
ところで、シャフト3は、溶湯金属7に浸漬している部分と、浸漬していない部分とでは変形量が異なり、長期間脱ガスを続けると破損しやすくなる。このような観点から、シャフト3を成す窒化珪素質焼結体には、高温での強度が高く、しかも熱膨張係数が小さい焼結体が求められる。本発明の溶湯金属攪拌用回転体2では、シャフト3を成す窒化珪素質焼結体は、800℃における4点曲げ強度が500MPa以上であり、かつ、室温から800℃における熱膨張係数が3.4×10−6/℃以下であることが好適である。シャフト3を成す窒化珪素質焼結体は、800℃における4点曲げ強度を500MPa以上とすることで、この温度における強度が高くなるため、溶湯金属7に浸漬している部分の変形が小さくなるからである。また、室温から800℃における熱膨張係数を3.4×10−6/℃以下とすることで、溶湯金属7に浸漬している部分と浸漬していない部分との熱膨張の差が小さくなり、シャフト3全体の変形を抑制することができるからである。
【0044】
また、ローター4も同様の理由で窒化珪素質焼結体で形成されるとよいが、取り替えコストを削減できるという理由から、耐熱性や耐食性が窒化珪素質焼結体よりやや劣るものの、例えば、黒鉛,ガラス状炭素,炭素系セラミックス等の炭素で形成したものを用いてもよい。
【0045】
なお、シャフト3を成す窒化珪素質焼結体の800℃における4点曲げ強度および室温から800℃における熱膨張係数は、それぞれJIS R1604−1995,JIS R1618−2002に準拠して測定すればよい。
【0046】
このような本発明の溶湯金属攪拌用回転体2を構成するシャフト3とローター4とを得るための製造方法の一例を説明する。
【0047】
まず、窒化珪素質粉末のβ化率が40%以下であって、組成式Si6−ZAl8−Zにおける固溶量zが0.5以下である窒化珪素質粉末と、焼結助剤としてAl,SiO,REの各粉末とを、バレルミル,回転ミル,振動ミル,ビーズミル等を用いて湿式混合し、粉砕してスラリーとする。なお、REは周期表第3族元素、例えばEr,Yb,Lu等であっても構わないが、REがYであることが好ましい。これは、Yが周期表第3族元素の中でも軽元素であるため、フォノンの伝搬が良く、熱伝導率の向上に効果的であるからである。
【0048】
窒化珪素には、その結晶構造の違いにより、α型およびβ型という2種類の窒化珪素が存在する。α型は低温で、β型は高温で安定であり、1400℃以上でα型からβ型への相転移が不可逆的に起こる。
【0049】
ここで、β化率とは、X線回折法で得られたα(102)回折線とα(210)回折線との各ピーク強度の和をIα、β(101)回折線とβ(210)回折線との各ピーク強度の和をIβとしたときに、次の式によって算出される値である。
【0050】
β化率={Iβ/(Iα+Iβ)}×100 (%)
窒化珪素質粉末のβ化率は、窒化珪素質焼結体の強度および破壊靱性値に影響する。β化率が40%以下の窒化珪素質粉末を用いるのは、強度および破壊靱性値をともに高くすることができるからである。β化率が40%を超える窒化珪素質粉末は、焼成工程で粒成長の核となって粗大で、しかもアスペクト比の小さい結晶となりやすく、強度および破壊靱性値とも低下する。特に、β化率が10%以下の窒化珪素質粉末を用いるのが好ましく、これにより、固溶量zを0.1以上にすることができる。
【0051】
また、固溶量zは、窒化珪素質焼結体の熱伝導率に影響する。固溶量zが0.5以下の粉末を用いるのは、焼結後にアスペクト比5以上の針状結晶組織が得られ、窒化珪素質焼結体の強度および熱伝導率とも高くすることができるからである。固溶量zが0.5を超える場合は、窒化珪素質粉末が焼成工程で粒成長の核となり、焼結後の主相となるβ−サイアロンの固溶量zが1を超えやすく、熱伝導率が低下するおそれがある。
【0052】
窒化珪素質粉末の粉砕で用いるメディアは、窒化珪素質,ジルコニア質,アルミナ質等の各種焼結体からなるメディアを用いることができるが、不純物が混入しにくい材質あるいは同じ材料組成の窒化珪素質焼結体からなるメディアが好適である。
【0053】
なお、窒化珪素質粉末は、粒度分布曲線の累積体積の総和を100%としたときの累積体積が90%となる粒径(D90)が3μm以下となるまで粉砕することが、焼結性の向上および結晶組織の針状化の点から好ましい。粉砕によって得られる粒度分布は、メディアの外径,メディアの量,スラリーの粘度,粉砕時間等で調整することができる。スラリーの粘度を下げるには分散剤を添加することが好ましく、短時間で粉砕するには、予め累積体積50%となる粒径(D50)が1μm以下の粉末を用いることが好ましい。
【0054】
ここで、溶湯金属攪拌用回転体2を構成するシャフト3とローター4は、組成式Si6−ZAl8−Z(z=0.1〜1)で表されるβ−サイアロンを主相とし、焼結助剤であるAl,SiO,REの各粉末の構成比率はAlが5〜50質量%,SiOが5〜20質量%,残部が主としてREであるRE−Al−Si−O−Nからなる粒界相を、前記主相と前記粒界相とからなる焼結体に対して4〜20体積%の範囲で含ことが好適である。この構成比率は焼結性の向上だけではなく、高温においても粒界相の原子間結合力を保持できるので、高温における熱伝導率および強度の改善に効果的である。
【0055】
また、粒界相の焼結体に対する体積比率は、窒化珪素質焼結体の耐食性や強度に影響を与える。粒界相の体積比率が高過ぎると、酸化した硬質の酸化物により溶湯金属攪拌用回転体2が浸食されやすく、低過ぎると強度が低下する。粒界相の焼結体に対する体積比率は、4〜20体積%であることが好適であり、この範囲にすることで耐食性に優れ、強度の高い窒化珪素質焼結体を得ることができる。
【0056】
このようなAl,SiO,REの体積比率は次のようにして求めることができる。先ず、ICP(Inductivity Coupled Plasma)分光分析法により焼結体中のREおよびAlの各比率(質量%)を測定し、この比率(質量%)をそれぞれREおよびAlにした場合の比率(質量%)に換算する。次に、酸素分析法によりLECO社製酸素分析装置(TC−136型)を用いて焼結体中のすべての酸素の比率を測定し、REおよびAlの酸素の比率を差し引き、残りの酸素の比率をSiOの比率(質量%)に換算する。焼結体中の残部をSiとみなし、各比率(質量%)をそれぞれの理論密度で除して、粒界相の体積比率を算出する。
【0057】
なお、REは周期表第3族元素、例えばEr,Yb,Lu等であっても構わないが、REがYであることが好ましい。これは、Yが周期表第3族元素の中でも軽元素であるため、フォノンの伝搬が良く、熱伝導率の向上に効果的であるからである。
【0058】
次に、得られたスラリーを粒度200メッシュより細かいメッシュを通した後に乾燥させて顆粒を得る。また、スラリーの段階でパラフィンワックスやポリビニルアルコール(PVA),ポリエチレングリコール(PEG)等の有機バインダを粉末100質量%に対して1〜10質量%の割合で混合することが、成形性の向上のために好ましい。乾燥は、スプレードライヤーで乾燥させればよいが、他の方法であっても何ら問題ない。
【0059】
次に、得られた顆粒を、冷間等方圧成形(CIP)法を用いて、相対密度が45〜60%であって、焼結後の形状がシャフト3およびローター4となる成形体を形成する。成形圧力は、50〜300MPaの範囲であれば、成形体の密度の向上や顆粒の潰れ性の観点より好適である。得られた成形体は、窒素雰囲気中、あるいは真空雰囲気中などで脱脂した方がよい。脱脂温度は添加した有機バインダの種類によって異なるが、900℃以下がよく、特に500〜800℃とすることが好適である。
【0060】
次に、一般的な窒化珪素質成形体の焼成に用いる黒鉛抵抗発熱体を使用した焼成炉内に成形体を配置し、焼成する。焼成炉内には成形体の含有成分の揮発を抑制するために、Al,SiO,RE等の成分を含んだ共材を配置してもよい。
【0061】
また、成形体の配置方法として、成形体を窒化珪素質粉末中または炭化珪素質粉末中に埋設する方法を用いれば、電気炉を用いて大気中で焼成することも可能である。このような方法を用いると、成形体をそれら粉末中に埋設したことにより、大気中の酸素ガスは遮断され、実質的に焼成雰囲気は窒素雰囲気となる。温度については、室温から300〜1000℃までは真空雰囲気中にて昇温し、その後、窒素ガスを導入して、窒素分圧を50〜300kPaに維持する。このとき成形体の開気孔率は40〜55%程度であるため、成形体中には窒素ガスが十分充填される。1000〜1400℃付近では添加物成分であるAlやREが固相反応を経て、液相成分を形成し、約1400℃以上の温度域で、β−サイアロンを析出し、緻密化が開始する。β−サイアロンはβ−SiのSi4+位置にAl3+,N3−,O2−が置換固溶したものであり、Si−AlN−Al−SiO系の多くの状態図(例えば、K. H. Jack,J. Mater. Sci.,11(1976)1135−1158,Fig. 11)にあるように、β−サイアロン相の安定領域はSi−Al−SiO系に対してN3−が価数の安定には不足しており、外部からN3−の供給が必要となる。本発明者が鋭意検討した結果、成形体中に充填された窒素ガスがN3−となることを突き止めるとともに、窒素分圧を低く抑えることによってβ−サイアロンの固溶量zを低くすることが可能であることを見出した。
【0062】
すなわち、開気孔率が40〜55%から5%に達するまでの段階は、できるだけ窒素分圧を低く設定する必要があり、50〜300kPaとすることが重要である。窒素分圧が300kPaを超えると、β−Siに対しAl3+,N3−,O2−の置換固溶が進み、固溶量zが1を超えやすくなり、熱伝導率が低下する傾向がある。他方、窒素分圧が50kPaより小さくなると、β−サイアロンの平衡窒素分圧より小さくなり、β−サイアロンの分解反応が進行して、シリコンが溶融するため、正常な窒化珪素質焼結体にならない傾向がある。また、温度が1800℃を超えると、Al3+,N3−,O2−の置換固溶が進行し、固溶量zが1を超えやすくなり、熱伝導率が低下する傾向がある。焼結が進行し、開気孔率が5%未満となった場合は、窒化珪素質焼結体中への窒素ガスの供給量が少なくなるため、300kPaを超える窒素分圧であっても構わないし、1800℃以上の温度で焼成しても構わない。最終的には、相対密度96%以上まで緻密化を進行させることで、高温における強度および熱伝導とも高い窒化珪素質焼結体からなるシャフト3およびローター4を得ることができる。
【0063】
なお、微細な結晶組織を得るには焼成温度を1700℃以上1800℃未満にすればよい。また、真空雰囲気中にて昇温後、窒素分圧は150kPa以下とした方が、経済的観点からも望ましい。より緻密化を促進するには、開気孔率が5%以下となった段階で200MPa以下の高圧ガス圧処理または熱間等方加圧(HIP)処理を施しても構わない。この場合、開気孔率1%以下で、相対密度が97%以上、さらには99%以上まで焼結を促進させた後に、高圧ガス圧処理または熱間等方加圧(HIP)処理を施すことが好適である。
【0064】
なお、ローター4を炭素で形成する場合には、数μmに粉砕した石油コークスや石炭コークスにバインダとしてコールタールピッチを添加し、混練し、再粉砕し、粒度調整して得られた成形用粉末を冷間等方圧成形(CIP)法により所定形状に成形後、熱処理して機械加工すればよい。
【0065】
このような方法で得られたシャフト3,ローター4および回転駆動機構5の回転軸9に対して、シャフト3を傾けた状態で回転駆動可能な自在継手10,20、可撓性(フレキシブル)継手35、伸縮継手40等の接続部10からなる溶湯金属攪拌用回転体2を用いた溶湯金属7の脱ガス処理装置1は、高速で長期間回転することができ、溶湯金属の品質を劣化させることの少ない信頼性の高い装置とすることができる。
【実施例】
【0066】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0067】
(実施例1)
回転駆動機構5の回転軸6に対して、接続部を介して溶湯金属攪拌用回転体2を接続した。接続部には、シャフト3を傾けた状態で回転駆動可能な接続部として、自在継手10と、自在継手20と、可撓性(フレキシブル)継手35と、伸縮継手40とを用いた。また、比較例として、シャフト51と回転駆動機構53の回転軸57とをフランジ継手58を介して接続したものを用いた。そして、それぞれ容器6中のアルミニウム合金(AC4CH)溶湯7に浸漬した。なお、以降において共通の部位を表す場合は図1の符号を用いて示す。
【0068】
また、シャフト3およびローター4については、焼結助剤の種類および比率を変えた窒化珪素質焼結体で形成した。そして、シャフト3は、軸方向の長さを800mm,外径を40mmとし、また、ローター4は、厚さを20mm,外径を210mmとし、シャフト3はアルミニウム合金(AC4CH)溶湯7の湯面より600mm浸漬した状態になるように配置した。
【0069】
その後、アルミニウム合金(AC4CH)溶湯7の温度を680〜720℃に維持し、アルミニウム合金(AC4CH)溶湯7中の不純物8の処理を実施した。具体的な運転条件は、不純物8の処理用のガスとして窒素ガスを用い、単位時間当たりの供給ガス量を10L/分とし、回転体の回転速度を450rpmとして、継続運転を実施し、50時間毎に、シャフト3およびローター4の破損の有無を確認した。
【0070】
表1に、回転によってシャフト3またはローター4に破損が確認された時間を示す。なお、表1中、>600は、600時間経過後に破損が確認されなかったことを示す。
【0071】
また、600時間経過後に、シャフト3およびローター4に破損が確認されなかった試料No.2〜6については、シャフト3全体の変形量(反り)をレーザー測長器で測定し、その変形量(反り)を表1に示した。
【0072】
なお、800℃における4点曲げ強度測定用および室温から800℃における熱膨張係数測定用の試験片を得るためのシャフト3も作製し、このシャフト3から試験片を切り出し、4点曲げ強度および熱膨張係数を測定し、その測定値を表1に示した。
【表1】

【0073】
表1からわかるように、回転駆動機構の回転軸9に回転駆動可能な接続部を用いなかった試料No.10は、100時間経過後に破損が確認された。これに対し、接続部に自在継手10,20、可撓性(フレキシブル)継手35、および伸縮継手40を用いた試料No.1〜9は、破損が確認されるまでに短いものでも250時間が経過しており、信頼性が高いと言える。
【0074】
特に、自在継手10,20を用いた試料No2〜7は、600時間経過しても破損が確認されず、極めて信頼性が高いと言える。
【0075】
また、800℃における4点曲げ強度が500MPa以上であり、かつ、室温から800℃における熱膨張係数が3.4×10−6/℃以下である試料2,4〜6は、シャフト3の変形量(反り)が1.1mm以下と小さく、好適であると言える。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の溶湯金属攪拌用回転体およびこれを用いた溶湯金属の脱ガス処理装置の実施の形態の一例を示す、一部を破断した正面図である。
【図2】本発明の溶湯金属攪拌用回転体を回転駆動機構の回転軸に対して旋回角度(θ)で傾けた状態を模式的に示す、脱ガス処理装置の実施の形態の一例の一部を破断した正面図である。
【図3】本発明の溶湯金属攪拌用回転体の回転軸とシャフトとの接続部の実施の形態の他の例を示す、(a)は他の形態の自在継手の正面図、(b)は(a)の側面図、(c)は可撓性(フレキシブル)継手の正面図、(d)は伸縮継手の正面図である。
【図4】従来の溶湯金属の脱ガス処理装置の一部を破断した正面図である。
【図5】従来の溶湯攪拌用回転体であり、(a)は縦断面図、(b)はその底面図である。
【符号の説明】
【0077】
1:脱ガス処理装置
2:溶湯金属攪拌用回転体
3:シャフト
3a:ガス供給路
4:ローター
4a:ガス供給路
5:回転駆動機構
6:容器
7:溶湯金属
8:不純物
9:回転軸
10,20:接続部(自在継手)
10a,10e:基部
10b:駆動側ヨーク
10c:連結部
10d:従動側ヨーク
12,13:フランジ継手
14:ボルト
15:ナット
16:供給口
17:放出口
35:可撓性(フレキシブル)継手
40:伸縮継手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化珪素質焼結体からなるシャフトの下端部に、窒化珪素質焼結体または炭素から成るローターが取り付けられ、前記シャフトおよびローターの内部にガス供給路を有する溶湯金属攪拌用回転体であって、前記シャフトの上端部に回転駆動機構の回転軸に対して前記シャフトを傾けた状態で回転駆動可能な接続部が取り付けられていることを特徴とする溶湯金属攪拌用回転体。
【請求項2】
前記接続部が自在継手であることを特徴とする請求項1に記載の溶湯金属攪拌用回転体。
【請求項3】
前記シャフトを成す窒化珪素質焼結体は、800℃における4点曲げ強度が500MPa以上であり、室温から800℃における熱膨張係数が3.4×10−6/℃以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶湯金属攪拌用回転体。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の溶湯金属撹拌用回転体が、前記接続部を介してシャフトの回転駆動機構に接続されて、溶湯金属の容器内に配置されていることを特徴とする溶湯金属の脱ガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−105084(P2008−105084A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292383(P2006−292383)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】