説明

溶着方法及び溶着装置

【課題】照射光により部材の溶着を行う溶着技術において、照射光の反射ロスを低減し、溶着効率の高い溶着を実現する。
【解決手段】第1の部材1に光透過性のある第2の部材2を密着させ、偏向制御されたレーザ光Lを第2の部材2側から照射して溶着面Rにおいて両部材を溶着する溶着技術であって、第2の部材2の光照射面側に配設した押え板14に設けた入射角調整ステップ141からなる反射率低減手段によって第1の部材1と第2の部材2の光照射面での光の入射角θ1,θ2を小さくし、光照射面でのレーザ光の反射ロスを低減して溶着効率を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザ光等の光を照射して被加工物を溶着する際の溶着効率を高めることが可能な溶着方法及び溶着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ランプを製造する工程の一つに容器状をしたランプボディに透明な前面カバーを一体的に固着する工程があり、この固着する工程としてランプボディと前面カバーを溶着する方法が用いられている。例えば、図1のように前面を開口した容器状のランプボディ1と、このランプボディ1の当該前面開口に固着する透明な樹脂製の前面カバー2とでランプハウジングを構成する場合に、ランプボディ1の前面開口の周縁に沿ってフランジ3を設け、このフランジ3の前面と前面カバー2の周縁部4の内面(いずれも図1に点描する)を密接し、この密接面を溶着面として両者を溶着して一体化している。この溶着に際し、特許文献1では光吸収性の樹脂で形成したランプボディの前面開口上に光透過性のある樹脂で形成した前面カバーを接触状態に載置し、前面カバーの外面側から溶着面に対してレーザ光を照射することによって当該溶着面をレーザ光の光エネルギで溶融させて両者を溶着させている。また、このような溶着に際してはレーザ光を溶着面に沿って照射させることが必要とされるが、特許文献2ではXY2軸回転ミラーユニット、いわゆるガルバノミラー装置を用いてレーザ光を偏向制御することにより溶着面に沿ってレーザ光を走査する技術が提案されている。
【0003】
特許文献1や特許文献2の技術を用いて車両用ランプのランプハウジングを製造する溶着装置としては、例えば図2に示す溶着装置が用いられる。この溶着装置はレーザ光源11から出射されたレーザ光をガルバノミラー等の光偏向手段12により任意方向に向けて偏向して照射する光偏向装置10を備える。また当該溶着装置は被溶着物であるランプボディ1を前面開口を上方に向けて配置するワーク台13を備え、配置したランプボディ1上に前面カバー2を載置し、さらにその上に押え板14を配設する。この押え板14によって前面カバー2を下方に押圧し、前面カバー2の周縁部4をランプボディ1の前面開口のフランジ3に当接させる。そして、光偏向装置10によって偏向制御したレーザ光Lをランプボディ1のフランジ3に沿って走査しながら照射することにより、レーザ光Lは押え板14を透過し、さらに前面カバー2を透過して溶着面に照射され、当該溶着面においてランプボディ1と前面カバー2を溶着することが可能になる。この溶着装置ではレーザ光Lを全溶着面に対して高速で複数回照射することが可能であり、溶着面を全周にわたって同時に溶着するため高品質の溶着が短時間で実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−56755号公報
【特許文献2】特開2005−254618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような光偏向装置を用いた溶着装置では、レーザ光は溶着装置内において位置固定されている光偏向装置10で偏向制御されて溶着面に対して照射されるため、光偏向装置10に対する溶着面の相対位置の違いによって溶着面に対するレーザ光の入射角が変化されることになる。すなわち、近年の車両用ランプはデザインニーズによって車両側方に回り込む形状を採用することが多く、そのため前面カバーとランプボディの溶着面が同一平面上に配置されなくなり、光偏向装置10から離れた箇所の溶着面ではレーザ光の入射角が大きくなる。そのため、入射角が大きくなる箇所では押え板14の表面や前面カバー2の表面におけるレーザ光の反射率が大きくなり、前面カバー2を透過して溶着面に照射されるレーザ光の光量が低下して、いわゆる反射ロスが顕著になる。このような入射角と反射率の関係は、例えば光学分野において既に知られているところであり、入射角が所定角(この所定角はいわゆるブリュースター角に近い角であって素材の屈折率により異なり、屈折率が1.5前後のガラスにおいては40〜60°である)を越えたあたりから反射率が急激に増加することが認められている。このような反射ロスにより、レーザ光による溶着面での溶着効率が著しく低下し、溶着時間が長くなるとともに高い品質の溶着が得られ難いという問題が生じている。特に、前記したような回り込む形状を採用した車両用ランプの回り込み部を有するランプハウジングでは、この回り込み部におけるレーザ光の入射角が所定角を越えることが多く、反射ロスも顕著なものになっている。
【0006】
本発明の目的は偏向制御した照射光の反射ロスを低減し、溶着効率の高い溶着を実現することを可能にした溶着方法と溶着装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の溶着方法は、第1の部材に光透過性のある第2の部材を密着させ、光偏向装置によって偏向制御された光を第2の部材側から照射して密着した面において両部材を溶着する溶着方法であって、第2の部材の光照射面側に配設した反射率低減手段によって第2の部材に照射される光の反射率を低減することを特徴とする。
【0008】
本発明の溶着装置は、第1の部材と光透過性のある第2の部材を密着状態に保持する手段と、光源から出射した光を偏向制御して第2の部材側から密着した面に照射する光偏向手段を備える溶着装置であって、第2の部材の光照射面側に配設され、照射する光の反射率を低減する反射率低減手段を備えることを特徴とする。
【0009】
ここで、反射率低減手段は密着した面に入射される光の入射角を低減する光学ステップで構成される。あるいは、反射率低減手段は屈折率の異なる透光性部材を積層した構成とされる。本発明の反射率低減手段は第2の部材を第1の部材に密着させるための押え手段に形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、溶着面に照射される光は反射率低減手段によって第2の部材に照射されるまでの間における反射率が低減されるので、当該第2の部材の照射面に照射される際の反射ロスが低減されて溶着効率の高い溶着が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用するランプハウジングの一例の斜視図。
【図2】溶着装置の全体構成を示す概念構成図。
【図3】実施形態1の押え板の要部の拡大断面図。
【図4】実施形態1の作用を説明する拡大断面図。
【図5】実施形態1の変形例1の押え板の要部の拡大断面図。
【図6】実施形態1の変形例2にかかる溶着装置の概念構成図。
【図7】実施形態1の変形例2の押え板の要部の拡大断面図。
【図8】実施形態2の押え板の要部の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、図2に示したように、レーザ光を光偏向装置10によって偏向制御して被加工物としての車両用ランプのランプボディ1と前面カバー2を溶着する例を示している。すなわち、溶着装置の光偏向装置10はレーザ光源11を備えており、このレーザ光源11から出射されたレーザ光はガルバノミラー等の光偏向手段12により偏向制御され、任意の平面方向に高速で走査されながら照射されるようになっている。なお、ガルバノミラーについては既に知られているのでここでは説明は省略する。また、前記溶着装置のワーク台13上には溶着が行われるランプボディ1が前面開口を上方に向けて固定されており、このランプボディ1上には当該ランプボディ1に溶着される前面カバー2が載置されている。前記ランプボディ1は少なくとも溶着が行われるフランジ3の部分は光吸収性があってレーザ光によって加熱溶融される樹脂で構成されている。例えばカーボン等の光吸収性のある材料を含んだ樹脂で構成されることが好ましい。前記前面カバー2は光を透過する透明樹脂で構成されているが、加熱されたときに照射された光によって溶融可能な樹脂で構成される。そして、前記ランプボディ1のフランジ3の前面に前記前面カバー2の周縁部4の内面が位置決めされ、その上に配設した押え板14によって前面カバー2をランプボディ1に対して押圧することで、これら前面と内面が密接されることになる。
【0013】
(実施形態1)
この溶着装置を前提として、実施形態1の溶着装置は前面カバー2の上に配設した押え板14の一部に反射率低減手段を構成している。この反射率低減手段は前記光偏向装置10から出射されたレーザ光Lが前面カバー2の外面に照射される際の入射角を前記した所定角よりも小さく、ここでは40°よりも小さくする機能を有するものである。また、この押え板14はこれまでと同様に前面カバー2をランプボディ1に対して押圧する機能をも有しており、押え板14の一部に設けたステム15を図には表れない押圧機構に連結することにより、当該押圧機構を動作させたときに押え板14が前面カバー2をランプボディ1に向けて押圧し、前記したランプボディ1のフランジ3と前面カバー2の周縁部4との溶着面での密着性を確保して好適な溶着を実現することが可能とされている。
【0014】
図3は前記押え板14の要部の拡大断面図であり、本発明の反射率低減手段を設けている図2のA部に相当する部分の断面図である。押え板14は溶着に用いるレーザ光の光透過性が高く光吸収性の低い透明な材料、例えばアクリル樹脂、PC(ポリカーボネイト)樹脂、ガラス(石英ガラス等)でほぼ均一な厚みの板状部材で構成されている。なお、ここでは以降の説明を簡略化するために押え板14のレーザ光に対する屈折率は前面カバー2の屈折率と等しいものとしている。前記押え板14には前記溶着面R、すなわちランプボディ1のフランジ3と前面カバー2の周縁部4とが密接されている領域に沿って本実施形態1における反射率低減手段としての入射角調整ステップ141が形成されている。この入射角調整ステップ141は押え板14の外面を凹設して板厚方向に傾斜させたテーパ部として構成したものである。このテーパ部の外面は押え板14の外面よりも前記光偏向装置10に向けた方向に傾斜されており、この傾斜により入射角調整ステップ141は光偏向装置10から出射されたレーザ光Lが当該入射角調整ステップ141に入射する際の入射角を小さくするとともに、入射されたレーザ光Lを図の下方向に屈折して出射するステップとして構成される。
【0015】
したがって、この押え板14を備えた溶着装置においてランプボディ1と前面カバー2との溶着を行う際には、これまでと同様に図2に示した溶着装置のワーク台13上にランプボディ1を配設し、その上に前面カバー2を載置し、前面カバー2の上側に配設した押え板14で前面カバー2を押圧してランプボディ1に密接させる。このとき、押え板14に設けた入射角調整ステップ141は両者の溶着面Rに対向するように位置決めされることは言うまでもない。そして、光偏向装置10を駆動してレーザ光源11からのレーザ光をガルバノミラー12で偏向させる。これにより光偏向装置10から出射されるレーザ光Lは溶着面Rに沿って走査されながら溶着面Rに対して照射される。この照射されたレーザ光Lは押え板14の入射角調整ステップ141の入射面に照射され、この入射面で屈折されて当該入射角調整ステップ141を透過して出射され、さらに前面カバー2の外面に入射され、当該前面カバー2を透過してランプボディ1との溶着面Rに照射され、溶着が行われる。
【0016】
このとき、図3に示すように、入射角調整ステップ141の入射面は光偏向装置10に向けて傾斜されているので、当該入射角調整ステップ141に入射されるレーザ光Lの入射角θ1は入射角調整ステップ141が形成されていない場合の入射角よりも小さくなる。さらにこの入射角調整ステップ141はテーパ断面形状をしているので、入射角調整ステップ141の内面から出射されるレーザ光Lの出射角、すなわち前面カバー2の外面に入射されるときのレーザ光Lの入射角θ2も小さくなる。すなわち図4は入射角調整ステップが設けられていないときの押え板14におけるレーザ光Lの入射角を示す図であり、押え板14への入射角θ11と前面カバー2への入射角θ12はいずれも図3の入射角θ1,θ2よりも大きいことが判る。前述したように光が物質に入射されるときの入射面での反射率は当該入射面の光の入射角と密接な関係があり、特に入射角が前記した所定角度を越えると反射率が急激に増加する。したがって、この実施形態のようにレーザ光が入射角調整ステップ141によって押え板14に入射されるときの入射角θ1と、前面カバー2に入射されるときの入射角θ2をそれぞれ所定角度よりも小さくすることで光入射に際しての反射率を低くして反射ロスを低減し、押え板14と前面カバー2におけるレーザ光Lの透過性を高めることが可能になる。これによりランプボディ1と前面カバー2との溶着面Rに達するレーザ光Lの光エネルギを高めて溶着効率を高め、溶着時間の短縮及び溶着品質の向上が実現できる。
【0017】
因みに、本発明者によるシミュレーションによれば、押え板14の入射面に対するレーザ光の入射角を25°、鉛直方向に対する溶着面の角度を45°としたときに、入射角調整ステップ141が存在しない図4の場合には溶着面に照射されるレーザ光は45.8%の効率であった。一方、図3の入射角調整ステップ141の入射面の傾斜角を45°とした場合、すなわち当該入射面が鉛直方向に対して垂直方向に向けられた押え板14を用いた場合には溶着面Rに照射されるレーザ光は85.6%の効率であった。
【0018】
ここで、本実施形態1の変形例1として、図5に示すように、反射率低減手段として押え板14の内面に入射角調整ステップ142を形成した構成としてもよい。すなわち、押え板14のランプボディ1のフランジ3と前面カバー2の周縁部4に対向する領域において、当該押え板14の内面を凹設してテーパ部を形成し、このテーパ部を入射角調整ステップ142の光出射面として構成している。この光出射面は光偏向装置10に向けた方向に大きな角度で傾斜させている。このようにすれば、押え板14に入射されたレーザ光Lは押え板14に入射するときの入射角θ11は図4に示した入射角θ11と同じであるが、入射角調整ステップ142から出射される際の出射角θ3は前面カバー2側に向けて大きくなるので入射角調整ステップ142から前面カバー2の外面に入射されるときの入射角θ4は図4の入射角θ12よりも小さくなり、当該前面カバー2の外面での反射ロスを低減し、溶着面Rにおけるレーザ光の光エネルギを高めて溶着効率を高めることが可能になる。この実施形態のシミュレーションでは入射角調整ステップ142の出射面の傾斜角を30°とした場合に溶着面Rに照射されるレーザ光は80.9%の効率であった。
【0019】
図6は本実施形態1の異なる変形例2にかかる溶着装置であり、図2と同一部分には同一符号を付してある。この溶着装置では、押え板14Aは平面板状をした透光板として形成されており、下動してワーク台13上に載置したランプボディ1と前面カバー2を押圧する際に前面カバー2の上面に対して部分的に接触した状態で下方に押圧するように構成されている。この押え板14Aには前面カバー2を押圧したときに所定の姿勢を保つ際の案内となるように周辺位置には適宜数のガイドポスト16が鉛直下方向に延長形成されている。レーザ光源11から出射されたレーザ光をガルバノミラー等の光偏向手段12により任意方向に向けて偏向して照射する光偏向装置10を備えていることは図2の場合と同じである。
【0020】
この押え板14Aの内面には、図7に図6のB部を拡大図示するように、前記ランプボディ1と前面カバー2が密着される溶着面Rに対向する領域に沿って入射角調整ステップ143を形成している。この入射角調整ステップ143は基本的には前記変形例1の入射角調整ステップ142と同様に当該押え板14Aの内面を凹設してテーパ部を形成し、このテーパ部を入射角調整ステップ143の光出射面として構成したものであり、この光出射面を光偏向装置10に向けた方向に傾斜させている。このようにすれば、変形例1とほぼ同様に、押え板14Aに入射されたレーザ光Lは押え板14Aに入射するときの入射角θ13は図4に示した入射角θ11よりも小さくなり、さらに入射角調整ステップ143から出射角θ31で出射された上で前面カバー2の外面に入射されるときの入射角θ41は図4の入射角θ12よりも小さくなり、当該前面カバー2の外面での反射ロスを低減し、溶着面Rにおけるレーザ光の光エネルギを高めて溶着効率を高めることが可能になる。この変形例2では押え板14Aは前面カバー2の外面に部分的に接触して押圧しているので、押え板14Aを平面板で構成でき、押え板14Aの製造が容易となり低コストに製造できる。
【0021】
以上の実施形態1及びその変形例1では、押え板14に設けた入射角調整ステップ141,142は前面カバー2に照射されるレーザ光Lが前面カバー2に入射する際の入射角を小さくする機能を発揮するものであり、当該押え板14は前面カバー2に照射されるレーザ光Lの光路に配設されていればよいので、押え板14は必ずしも前面カバー2の外面に直接接触されていなくてもよく、当該外面に対して離間した状態に配設されていてもよい。すなわち、変形例2のように前面カバー2の一部あるいは複数箇所において部分的に接触して押圧するように構成してもよい。
【0022】
(実施形態2)
図8は本発明における反射率低減手段としての押え板14Bの実施形態2を示す断面図である。この実施形態2では押え板14Bは入射角調整ステップを設けてはおらず、その代わりに単板構造をした押え板14aに屈折率が異なる複数の透光性の薄膜をコーティング等によって積層している。ここでは、それぞれ屈折率が順次小さくなるように屈折率nb,nc,nc(nb>nc>nd)の第1,第2,第3の光透過膜14b,14c,14dを密接状態に積層している。なお、第1の光透過膜14bの屈折率nbは押え板14a及び前面カバー2の屈折率と等しい例を示している。
【0023】
この実施形態2では、押え板14Bに入射されるレーザ光Lの入射角θ11は実施形態1と同じであるが、レーザ光Lが第3〜第1の光透過膜14d,14c,14bを順次透過する際に各光透過膜間での屈折率の差によって入射角が順次小さくされ、押え板14aへの入射角、すなわち前面カバー2の入射角θ5は図4の入射角θ12よりも小さくなる。このように空気から前面カバー2までのレーザ光の伝播経路において、屈折率を段階的に大きくすることによって、各界面でのフレネル反射による反射ロスの総和が薄膜コートしない場合のフレネル反射による反射ロスの総和よりも少なくなる。これにより前面カバー2に照射される際のレーザ光Lの反射率が低減されて反射ロスが少なくなり、溶着面Rでの溶着効率を高めることが可能になる。
【0024】
以上の実施形態では本発明の溶着方法及び溶着装置について、車両のヘッドランプのランプボディと前面カバーとを溶着する例について説明したが、ランプユニットのリフレクタと前面レンズを溶着するための溶着方法及び溶着装置であってもよく、あるいはランプを構成する部材以外の溶着方法及び溶着装置であってもよい。すなわち、本発明は第1と第2の部材を光照射によって互いに溶着するための溶着方法及び溶着装置であれば適用することが可能である。特に、光偏向装置を備えて溶着面に対してレーザ光が大きな入射角で照射させることが余儀なくされるような溶着装置に対して本発明を適用する場合に有効である。
【0025】
本発明において、光偏向装置は実施形態のガルバノミラーを備える光偏向装置に限られるものではなく光を任意の方向に向けて偏向して走査する機能を有するものであれば適用可能である。さらに、本発明は溶着に用いる光はレーザ光に限られるものではなく、照射されたときに第1と第2の部材を溶着することが可能な光エネルギを備える光であれば適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は第1の部材と第2の部材を密接し、第2の部材を透して光を密接した面に照射し、当該密接した面を溶着面として2つの部材を溶着する溶着方法及び溶着装置に採用することが可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 ランプボディ
2 前面カバー
3 フランジ(溶着面)
4 周縁部(溶着面)
10 光偏向装置
11 レーザ光源
12 光偏向手段(ガルバノミラー)
13 ワーク台
14,14A,14B 押え板
141,142,143 反射率低減手段(入射角調整ステップ)
14a〜14d 反射率低減手段(光透過板、光透過膜)
15 ステム
16 ガイドポスト




【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材に光透過性のある第2の部材を密着させ、光偏向装置によって偏向制御された光を前記第2の部材側から照射して前記密着した面において両部材を溶着する溶着方法であって、前記第2の部材の光照射面側に配設した反射率低減手段によって前記第2の部材に照射される光の反射率を低減することを特徴とする溶着方法。
【請求項2】
第1の部材と光透過性のある第2の部材を密着状態に保持する手段と、光源から出射した光を偏向制御して前記第2の部材側から前記密着した面に照射する光偏向手段を備える溶着装置であって、前記第2の部材の光照射面側に配設され、前記照射する光の反射率を低減する反射率低減手段を備えることを特徴とする溶着装置。
【請求項3】
前記反射率低減手段は前記密着した面に照射される光の入射角を低減する光学ステップであることを特徴とする請求項2に記載の溶着装置。
【請求項4】
前記反射率低減手段は屈折率の異なる透光性部材を積層した構成であることを特徴とする請求項2に記載の溶着装置。
【請求項5】
前記反射率低減手段は前記第2の部材を前記第1の部材に密着させるための押え手段に形成されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の溶着装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−196850(P2012−196850A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61981(P2011−61981)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】