説明

溶融炉の酸素供給装置

【課題】 溶融炉に挿入される酸素供給装置の外部に備えられた空冷部材を用いて冷却させることで、酸素供給装置の耐久性向上によって長期間廃棄物を溶融させ、簡素化した構造によって摩耗及び破損による経済的な被害を最小化する溶融炉の酸素供給装置を提供する。
【解決手段】 溶融炉の酸素供給部材を用いて前記溶融炉の内部に収容された廃棄物を撹拌させる溶融炉の酸素供給装置であって、前記溶融炉に形成された貫通ホールに備えられるとともに前記酸素供給部材に装着されることにより、外部空気が流入できるようにする空冷部材;を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶融炉の酸素供給装置に係り、より詳しくは溶融炉に挿入される酸素供給装置の外部に備えられた空冷部材で冷却させることで、酸素供給装置の耐久性向上によって長期間廃棄物を溶融させることができ、簡素化した構造によって摩耗及び破損による経済的な被害を最小化することができる溶融炉の酸素供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所は、運転及び整備の際に発生する防護服、PVC、ビニルなどの廃棄物と廃イオン交換樹脂、ホウ酸廃液、スラリー及び乾燥物などを誘導電流加熱式溶融炉に同時に投入して環境影響を最小化することができるガラス固化体を作ることができるだけでなく、放射性廃棄物ドラムの発生量を減少させることができる技術が使われている。
【0003】
一般に、溶融炉(Crucible)の酸素供給装置は、内部に収容された廃棄物をガラス化(Vitrification)させるのに使われる装置である。
【0004】
先行技術文献の例として、特許文献1の廃棄物、特に放射性廃棄物の焼却とガラス化方法及び装置、特許文献2の放射性廃棄物の焼却、溶融及び工程、特許文献3の放射性廃棄物の焼却及び溶融処理装置などがある。
【0005】
前記先行技術文献は、酸素を溶融炉に供給するための酸素供給装置が備え、このような酸素供給装置には過熱を防止するために水冷式が用いられる。
【0006】
しかし、従来の溶融炉の酸素供給装置は、水冷式で冷却させるため、摩耗及び腐食などの破損によって漏水が発生する問題点がある。
【0007】
また、破損品を入れ替えることによる時間及び費用が増加するため、溶融させる溶融炉の信頼性が低下する問題点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10−0507893号明細書
【特許文献2】大韓民国登録特許第10−0498881号明細書
【特許文献3】大韓民国実用新案登録第20−0294861号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、溶融炉に挿入される酸素供給装置の外部に備えられた空冷部材を用いて冷却させることで、酸素供給装置の耐久性向上によって長期間廃棄物を溶融させることができ、簡素化した構造によって摩耗及び破損による経済的な被害を最小化することができる溶融炉の酸素供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記のような目的を達成するために、本発明は、溶融炉の酸素供給部材を用いて前記溶融炉の内部に収容された廃棄物を撹拌させる溶融炉の酸素供給装置であって、前記溶融炉に形成された貫通ホールに備えられるとともに前記酸素供給部材に装着されることにより、外部空気が流入できるようにする空冷部材;を含む溶融炉の酸素供給装置を提供する。
【0011】
前記酸素供給装置は、前記溶融炉の上部に装着固定されるとともに前記空冷部材の外側に備えられる固定部材をさらに含むことができる。
【0012】
前記酸素供給部材は空冷部材との間に多数の連結部を介して支持されることができる。
【0013】
前記酸素供給部材は空冷部材より長手方向に長く形成されることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、溶融炉に挿入される酸素供給装置の外部に備えられた空冷部材を用いて冷却させることで、酸素供給装置の耐久性向上によって長期間の間廃棄物を溶融させることができる。
【0015】
また、簡素化した構造によって摩耗及び破損による経済的な被害を最小化することができるので、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による溶融炉の酸素供給装置の部分断面正面図である。
【図2】本発明による空冷部材と酸素供給部材の間に備えられる連結部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明による溶融炉の酸素供給装置は、図1に示すように、溶融炉の内部に酸素供給装置が挿入されるものであり、図2に示すように、空冷部材と酸素供給部材の間に連結部が備えられるものである。
【0019】
溶融炉の酸素供給装置は、図1に示すように、溶融炉100、酸素供給部材200及び空冷部材300を含む。
【0020】
溶融炉100は円筒状に構成され、内部に放射性及び非放射性などの廃棄物が収容される。
【0021】
具体的に説明すれば、溶融炉100は、溶融させるための廃棄物を収容する容器と、収容された廃棄物を密閉させるためのカバーとからなる。
【0022】
溶融炉100は酸素供給部材200を備え、酸素供給部材200から供給される酸素によって溶融炉100の内部に収容された廃棄物の燃焼を促進させるか、あるいは溶融炉100の内部に収容された廃棄物にバブル(Bubble)を発生させて均質に溶融させる。
【0023】
酸素供給部材200は溶融炉100に形成された貫通ホール110に貫いて溶融炉100の内部に挿入され、酸素供給部材200の直径は貫通ホール110より小さく形成される。
【0024】
具体的に説明すれば、酸素供給部材200は後述するような空冷部材300より長手方向に長く形成されるもので、酸素供給部材200の一部が空冷部材300の上部を通って外部に露出され、同時に溶融炉100の内部に挿入された酸素供給部材200の他の一部が空冷部材300の下部を通過する。
【0025】
酸素供給部材200は両端が開放した管状のもので、ステンレス鋼が用いられることができる。
【0026】
これにより、酸素供給部材200によって溶融炉100に収容された廃棄物を撹拌して処理容量を増やす。
【0027】
空冷部材300は溶融炉100に形成された貫通ホール110に備えられるとともに酸素供給部材200に装着されることにより、外部空気が流入できる。
【0028】
具体的に説明すれば、空冷部材300は酸素供給部材200より直径が大きく形成されるもので、空冷部材300の内部に酸素供給部材200の一部が挿入される。
【0029】
空冷部材300は酸素供給部材200が内部に挿入され、多数の連結部500によって酸素供給部材200と空冷部材300が連結される。
【0030】
空冷部材300は上部が開放し、下部は仕上げ部310によって閉塞されるように形成され、開放した上部を通じて外部の空気が流入される。
【0031】
空冷部材300に流入された空気が循環して、溶融炉100に挿入された酸素供給部材200を冷却させる。
【0032】
これにより、空冷部材300によって高温の極限環境で酸素供給部材200が耐久性を維持することができる。
【0033】
固定部材400は溶融炉100の上部に装着固定され、空冷部材300の外側に備えられる。固定部材400は上部固定部材410と下部固定部材420とからなるもので、空冷部材300の外周を取り囲むように備えられる。
【0034】
下部固定部材420は溶融炉100の上部に装着され、装着された下部固定部材420は熔接で溶融炉100に固定される。
【0035】
上部固定部材410は、下部固定部材420の上部に装着された状態で、別の固定ボルトBを回転締結することで、下部固定部材420に堅く固定される。
【0036】
上部固定部材420はそれが装着される下部固定部材410との間にOリングOが介在されることで、溶融炉100内の気密を維持させる。
【0037】
これにより、固定部材400によって空冷部材300が堅く固定される。
【0038】
酸素供給部材200は空冷部材300との間に多数の連結部500を介して支持される。
【0039】
連結部500は、図2に示すように、空冷部材300の内部に挿入される酸素供給部材200と空冷部材300の間に相互に離隔して一定間隔で維持される。連結部500は円筒状または一定面積を持つ広板状に形成され、空冷部材300の内側と酸素供給部材200の外側との間に固定される。
【0040】
これにより、連結部500によって酸素供給部材200と空冷部材300の間に間隔を維持することにより、空冷部材300による冷却が効率よくなされる。
【0041】
このような構成を持つ本発明による溶融炉の酸素供給装置の使用状態及び作動状態について説明すれば次のようである。
【0042】
まず、図1及び図2に示すように、ガラス化させるための廃棄物が収容された溶融炉100、酸素供給部材200及び空冷部材300は標準化して予め工場でモジュール化したもので、現場での作業効率を向上させることができる。
【0043】
廃棄物が収容された溶融炉100は、空冷部材300が溶融炉100に形成された貫通ホール110に備えられるとともに空冷部材300の内部に酸素供給部材200がモジュール化した状態のものである。
【0044】
固定部材400は溶融炉100の上部に装着されるとともに空冷部材300の外周を取り囲むように設置される。固定部材400は、溶融炉100が装着された状態で別の固定ボルトBで溶融炉100に堅く固定される。
【0045】
このように結合が済んだ溶融炉100の内部に酸素を供給することにより廃棄物が円滑に溶融される。
【0046】
したがって、本発明によれば、溶融炉に挿入される酸素供給装置の外部に備えられた空冷部材を用いて冷却させることで、酸素供給装置の耐久性向上によって長期間廃棄物を溶融させることができる。
【0047】
また、簡素化した構造によって摩耗及び破損による経済的な被害を最小化することができるので、信頼性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、溶融炉に挿入される酸素供給装置の外部に備えられた空冷部材を用いて冷却させることで、酸素供給装置の耐久性向上によって長期間廃棄物を溶融させ、簡素化した構造によって摩耗及び破損による経済的な被害を最小化する溶融炉の酸素供給装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
100 溶融炉
110 貫通ホール
200 酸素供給部材
300 空冷部材
310 仕上げ部
400 固定部材
410 上部固定部材
420 下部固定部材
500 連結部
B 固定ボルト
O Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融炉の酸素供給部材を用いて前記溶融炉の内部に収容された廃棄物を撹拌させる溶融炉の酸素供給装置において、
前記溶融炉に形成された貫通ホールに備えられるとともに前記酸素供給部材に装着されることにより、外部空気が流入できるようにする空冷部材;を含むことを特徴とする、溶融炉の酸素供給装置。
【請求項2】
前記溶融炉の上部に装着固定されるとともに前記空冷部材の外側に備えられる固定部材をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の溶融炉の酸素供給装置。
【請求項3】
前記酸素供給部材は空冷部材との間に多数の連結部を介して支持されることを特徴とする、請求項1に記載の溶融炉の酸素供給装置。
【請求項4】
前記酸素供給部材は空冷部材より長手方向に長く形成されることを特徴とする、請求項1に記載の溶融炉の酸素供給装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−64720(P2013−64720A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−86265(P2012−86265)
【出願日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【出願人】(512089461)韓国水力原子力株式会社 (2)
【氏名又は名称原語表記】KOREA HYDRO & NUCLEAR POWER CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】125 Hwarang−ro, Gyeongju−si, Gyeongsangbuk−do, 780−947 Korea
【Fターム(参考)】